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【発明の名称】 調理殺菌装置の廃熱回収システム
【発明者】 【氏名】森 寛

【要約】 【課題】熱を有効に利用することのできる調理殺菌装置を提供する。

【解決手段】被殺菌物15を収容し内部に噴流水を噴射する殺菌槽1、噴流水を加熱または冷却する噴流水熱交換器3、噴流水を殺菌槽1と噴流水熱交換器3の間で循環させる噴流水循環経路11、噴流水熱交換器3に接続したボイラ14、ボイラ用水をためておく給水タンク16をそれぞれ設けた調理殺菌装置において、給水タンク16内に給水タンク熱交換器17、噴流水熱交換器3と給水タンク熱交換器17の間で冷却水を循環させる冷却水循環経路18を設けておき、冷却工程時、噴流水循環経路11での噴流水の循環と冷却水循環経路18での冷却水の循環を行い、噴流水の熱を冷却水に取り込ませ、さらに冷却水に移動した熱をイラ用水に取り込ませる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に被殺菌物を収容する殺菌槽、殺菌槽内へ加熱または冷却のための噴流水を噴射する噴射ノズル、噴流水を加熱または冷却する噴流水熱交換器、噴流水を殺菌槽内より取り出し噴流水熱交換器を通して再び殺菌槽内へ循環させるための噴流水循環経路、噴流水熱交換器へ供給する蒸気を発生させるボイラ、ボイラへ供給するボイラ用水をためておく給水タンク、殺菌槽内の温度を検出する槽内温度センサーをそれぞれ設けた調理殺菌装置において、給水タンク内に噴流水熱交換器にて噴流水の冷却を行った冷却水とボイラ用水の間で熱交換を行う給水タンク熱交換器、噴流水熱交換器と給水タンク熱交換器の間で冷却水を循環させる冷却水循環経路を設けておき、加熱殺菌工程後の冷却工程時、噴流水循環経路での噴流水の循環と冷却水循環経路での冷却水の循環を行い、噴流水循環経路の噴流水の熱を冷却水循環経路の冷却水に取り込ませ、さらに冷却水循環経路の冷却水に移動した熱を給水タンク内のボイラ用水に取り込ませるものであることを特徴とする調理殺菌装置の廃熱回収システム。
【請求項2】 請求項1に記載の調理殺菌装置の廃熱回収システムにおいて、温水をためておく温水タンクと、冷水をためておく冷水タンクを設け、温水タンクならびに冷水タンクは噴流水循環経路に接続しておき、加熱殺菌工程時には温水タンクにためておいた温水を噴流水として噴流水循環経路へ送り、加熱殺菌工程後の冷却工程時、槽内温度センサーによって検出される殺菌槽内温度が所定の温度よりも低下すると、それまで循環させていた噴流水は温水タンクへ回収し、代わりに冷水タンクにためておいた冷水を噴流水循環経路へ送り、冷水を噴流水として循環させることを特徴とする調理殺菌装置の廃熱回収システム。
【請求項3】 請求項1に記載の調理殺菌装置の廃熱回収システムにおいて、冷却水循環経路に給水タンク熱交換器とは並列に接続したクーリングタワー、冷却水循環経路途中には送られてきた冷却水を給水タンク熱交換器とクーリングタワーのいずれかへ通水するための通水制御バルブ、給水タンクにはボイラ用水の温度を検出する給水タンク温度センサーを設けておき、加熱殺菌工程後の冷却工程時、給水タンク温度センサーによって検出されるボイラ用水温度が所定の値まで達するか、若しくはボイラ用水温度と槽内温度センサーによって検出される殺菌槽内温度の差が所定の値に達するまでは、冷却水を給水タンク熱交換器へ導入し、ボイラ用水温度が所定の値よりも高くなるか、またはボイラ用水温度と殺菌槽内温度の差が所定の値よりも小さくなった場合には、冷却水をクーリングタワーへ導入するものであることを特徴とする調理殺菌装置の廃熱回収システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は食品を加熱して殺菌を行う調理殺菌装置における廃熱回収システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品中の微生物を死滅させることで長期間の保存を可能としたレトルト食品等は、殺菌槽内に被殺菌物を収容しておき、殺菌槽内に熱水を噴射して被殺菌物の加熱を行うことで殺菌している。調理殺菌装置の運転工程には、殺菌槽内へ高温の噴流水を噴射して被殺菌物を加熱する加熱殺菌工程と、加熱殺菌工程後に殺菌槽内へ低温の噴流水を噴射して被殺菌物を冷却する冷却工程とがある。
【0003】加熱殺菌工程の場合、ボイラで発生させた蒸気を噴流水熱交換器へ送っておき、噴流水熱交換器へ噴流水を送ることで噴流水の加熱を行い、加熱した噴流水を殺菌槽内へ噴射する。密閉した殺菌槽内へ高温の噴流水を噴射すると、殺菌槽内の温度と圧力が上昇し、殺菌槽内の被殺菌物温度を上昇させることで被殺菌物の殺菌を行う。殺菌工程が終了すると高温となっている被殺菌物を冷却する冷却工程が行われる。冷却工程では噴流水の熱を外部に放出したり、噴流水に水を追加することにより噴流水温度を徐々に低下させ、温度の低下した噴流水を殺菌槽内へ噴射することで被殺菌物を冷却する。この場合、被殺菌物を冷却するために、保有している熱を排出しており、熱を有効に利用する手段が求められていた。
【0004】また、調理殺菌装置に温水タンクと冷水タンクを設けておき、加熱殺菌工程時には温水タンクにためておいた温水を殺菌槽内へ導入し、冷却工程時には高温の噴流水を温水タンクへの回収して、代わりに冷水タンクにためておいた冷水を殺菌槽内へ導入することで、被殺菌物の冷却には冷水タンクにためておいた冷水を使用することも行われている。回収した温水は次ロットの加熱殺菌工程時に殺菌槽へ導入することにより、次ロットで必要となる蒸気量を削減することができ、熱を再利用することができる。しかし、加熱殺菌工程時の噴流水温度は100℃を越える高温であり、噴流水を高温のまま回収する場合には温水タンクも圧力容器としておく必要がある。さらに、殺菌槽内が高温で蒸気が充満している状態の時に低温の冷水を殺菌槽内へ導入すると、蒸気の凝縮によって殺菌槽内が負圧になるという問題もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、熱を有効に利用することのできる調理殺菌装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】内部に被殺菌物を収容する殺菌槽、殺菌槽内へ加熱または冷却のための噴流水を噴射する噴射ノズル、噴流水を加熱または冷却する噴流水熱交換器、噴流水を殺菌槽内より取り出し噴流水熱交換器を通して再び殺菌槽内へ循環させるための噴流水循環経路、噴流水熱交換器へ供給する蒸気を発生させるボイラ、ボイラへ供給するボイラ用水をためておく給水タンク、殺菌槽内の温度を検出する槽内温度センサーをそれぞれ設けた調理殺菌装置において、給水タンク内に噴流水熱交換器にて噴流水の冷却を行った冷却水とボイラ用水の間で熱交換を行う給水タンク熱交換器、噴流水熱交換器と給水タンク熱交換器の間で冷却水を循環させる冷却水循環経路を設けておき、加熱殺菌工程後の冷却工程時、噴流水循環経路での噴流水の循環と冷却水循環経路での冷却水の循環を行い、噴流水循環経路の噴流水の熱を冷却水循環経路の冷却水に取り込ませ、さらに冷却水循環経路の冷却水に移動した熱を給水タンク内のボイラ用水に取り込ませる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本発明を実施している調理殺菌装置システムのフロー図である。内部に被殺菌物15を収容する殺菌槽1は、内部に被殺菌物を収容して扉を閉じると密閉される圧力容器である。殺菌槽1内には加熱若しくは冷却のための噴流水を噴射する噴射ノズル2が設けられ、殺菌槽1の底部には噴流水循環経路11が接続されている。噴流水循環経路11の他端は噴射ノズル2に接続されており、殺菌槽1底部より取り出された噴流水は、噴流水循環経路11を通して殺菌槽1内に循環されるようにしている。噴流水循環経路11の途中には噴流水を加熱または冷却する噴流水熱交換器3、噴流水循環経路11内の噴流水を噴射ノズル2へ送るための噴流水循環ポンプ4を設ける。噴流水熱交換器3は二つの流体の間で熱交換を行うプレート式熱交換器が用いられ、プレート式熱交換器の一方の流路は噴流水、他方の流路は蒸気または冷却水を通す。噴流水循環経路11を循環させる噴流水をためるためのタンクを2つ設け、それぞれを噴流水循環経路11に接続しておき、一方のタンクを温水タンク5、他方のタンクを冷水タンク6とする。
【0008】噴流水熱交換器3の噴流水の加熱は、噴流水熱交換器3へ送られる蒸気と熱交換することによって行われるものであり、噴流水熱交換器3に蒸気を供給するボイラ14を設けておく。ボイラ14には給水タンク16を接続して設けておき、ボイラ14へは給水タンク16にためたボイラ用水が給水される。殺菌槽1には内部の温度を検出する槽内温度センサー9、給水タンク16には給水タンク16内にためたボイラ用水の温度を検出する給水タンク温度センサー7を設けておき、槽内温度センサー9と給水タンク温度センサー7は調理殺菌装置の各補機類の制御を行う制御装置(図示せず)に接続しておく。
【0009】噴流水熱交換器3の噴流水の冷却は、冷却水との間で熱交換することによって行われるものであり、噴流水熱交換器3に冷却水を通すことで噴流水の熱を冷却水に取り込ませる。噴流水熱交換器3には冷却水を噴流水熱交換器3内より取り出し、冷却水の冷却手段を通して再び噴流水熱交換器3内へ循環させる冷却水循環経路18を接続しておき、冷却水循環経路18途中には冷却水循環ポンプ10を設ける。冷却水循環経路18は途中で分岐させた並列部分を設けておき、並列部分の一方には給水タンク16内に給水タンク熱交換器17、他方はクーリングタワー8を設けておく。そして冷却水循環経路18の給水タンク熱交換器17側には給水タンク熱交換器側バルブ13、クーリングタワー8側にはクーリングタワー側バルブ12を設け、冷却水循環経路18を送られる冷却水は給水タンク熱交換器17とクーリングタワー8のいずれか一方へ送られるようにしておく。
【0010】調理殺菌装置システムの各制御は図示していない制御装置にて行われる。加熱殺菌工程の場合、殺菌槽内に被殺菌物を収容した状態で密閉しておき、殺菌槽内に高温の噴流水を噴射する。加熱殺菌工程の開始時には温水タンク5にためられていた温水が噴流水循環経路11へ送られ、噴流水循環経路11、噴流水熱交換器3を通して殺菌槽1内へ送り込まれる。噴流水循環ポンプ4を稼働しておくことで、殺菌槽内底部にたまった噴流水は殺菌槽1より取り出され、噴流水循環経路11を通して噴流水熱交換器3を通り、噴射ノズル2へ送られて、殺菌槽1内へ戻る循環が行われる。噴流水熱交換器3へは、給水タンク16にためられたボイラ用水をボイラ14に供給し、ボイラ14よって発生させた蒸気が供給されており、蒸気と噴流水の間で熱交換が行われ、噴流水熱交換器3にて噴流水が加熱される。
【0011】殺菌は被殺菌物の温度を100℃よりも高温(例えば120℃)に一定時間保つことで行われ、その間は噴流水循環ポンプ4を稼働し続けておく。加熱殺菌工程が終了すると、被殺菌物15を冷却する冷却工程に移る。
【0012】冷却工程となっても噴流水循環ポンプ4は稼働させておき、噴流水の循環は行う。しかし噴流水熱交換器3への蒸気供給は停止し、代わりに冷却水循環ポンプ10を稼働することで冷却水循環経路18に冷却水を循環させ、噴流水熱交換器3には冷却水を導入する。冷却水循環経路18の循環開始時には給水タンク熱交換器側バルブ13を開き、クーリングタワー側バルブ12を閉じておき、冷却水を給水タンク16内の給水タンク熱交換器17へ送り、噴流水熱交換器3と給水タンク熱交換器17の間で冷却水を循環させる。噴流水熱交換器3では、高温の噴流水と低温の冷却水の間で熱交換が行われ、噴流水の熱が冷却水に移動する。噴流水の温度は徐々に低下し、温度の低下した噴流水が殺菌槽1内へ噴射されるため、高温であった被殺菌物15は冷却される。噴流水熱交換器3で噴流水からの熱を取り込んだ冷却水は、冷却水循環経路18を通して給水タンク熱交換器17へ達すると、ボイラ用水との間で熱交換を行う。噴流水熱交換器3にて噴流水から冷却水へ移動した熱は、さらに給水タンク熱交換器17にて冷却水からボイラ用水へ移動する。
【0013】噴流水の温度は槽内温度センサー9によって検出しておき、噴流水温度が100℃未満の所定の温度(例えば80℃)よりも低くなると、噴流水を温水タンク5へ回収し、代わりに冷水タンク6の冷水を噴流水として循環させる。殺菌槽1内の温度をある程度低下させた後で冷水の導入を行うものであるため、殺菌槽1内へ冷水を噴射しても殺菌槽1内圧力が急激に低下して負圧となることはなく、噴流水を冷水とすることで被殺菌物15の温度はさらに低下する。
【0014】給水タンク16内のボイラ用水の温度が高くなり、噴流水の温度との差が小さくなると、噴流水の熱をボイラ用水へ移動させて噴流水温度を低下させることができなくなる。そのため、給水タンク温度センサーにて検出されるボイラ用水温度が所定の値以上、若しくはボイラ用水温度と槽内温度センサー9によって検出される噴流水温度の温度差が所定の値以下となった場合には、給水タンク熱交換器側バルブ13を閉じ、クーリングタワー側バルブ12を開くことで冷却水をクーリングタワー8送り、クーリングタワー8によって冷却水の冷却を行う。
【0015】冷却工程が終了すると、循環させていた噴流水は冷水タンク6へ回収し、殺菌槽1内から被殺菌物15を取り出す。その後、次ロットの加熱殺菌工程が始まると、温水タンク5の温水が再び殺菌槽へ導入されて循環が行われ、噴流水熱交換器3への蒸気供給が行われる。給水タンク16にためられているボイラ用水は、前ロットの冷却工程時に噴流水から移動させた熱によって加熱されており、給水温度が高いため、ボイラ14は少ない燃料量で必要量の蒸気を発生させることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明を実施することによって、温水タンクを圧力容器としなくても熱を廃棄することなく有効に再利用でき、燃料使用量を減少させることができる。
【出願人】 【識別番号】000130651
【氏名又は名称】株式会社サムソン
【出願日】 平成10年8月31日(1998.8.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−69948(P2000−69948A)
【公開日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願番号】 特願平10−262344