| 【発明の名称】 |
風味と栄養を改善した低カリウムジュースの製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木下 優子
【氏名】木下 俊夫
【氏名】滝沢 登志雄
【氏名】羽太 章中
【氏名】飯沼 勝春
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| 【要約】 |
【課題】腎機能が低下した患者のために、カリウム分を低下せしめただけでなく、風味や栄養を改善し、飲むのに適したジュースを提供する。
【解決手段】カリウム分を低下せしめたジュースに対して炭酸カルシウムを加えることにより酸味を中和することを特徴とする、低カリウムジュースの製造法を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に低下せしめ、さらに該ジュースに炭酸カルシウム及びビタミンCを添加することより成る、低カリウムジュースの製造法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、カリウム濃度を低下せしめ、かつ、風味と栄養を改善したジュースであって、特にカリウム摂取が制限されている腎不全患者に適したジュースの製造法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】カリウムは主として細胞内液に存在し、主として細胞外液に存在するナトリウムと対になり酸塩基平衡の主役の一つとして生体のホメオスタシスの維持に重要な役割を果たしている。しかしながら腎不全患者は、カリウムの排泄機能が低下しており高カリウム血症を起こしやすい。著しい血清カリウム値の上昇は心臓の機能停止に結びつき、最悪の場合は生命の危険を招く。したがって、腎不全患者はカリウム摂取が厳しく制限されており、特にカリウム分を多く含む果物や野菜などは自由に摂取することはできない。果物や野菜などの摂取が制限されると食事内容の低下を招き、栄養バランスの保持が困難になる。 【0003】そこで食品中のカリウム分を減らして腎不全患者に供するための技術がいくつか出願されている(特開昭61−209573、特開平8−67633)。しかしながら従来の技術で調製された食品は、風味、呈味、食感などの点で必ずしも満足の行くものではなかった。特に、果物や野菜ジュースにあっては腎不全患者の飲用に適するまでカリウム分を減らすと酸味が過度に強まり、飲むのに適した食品にはならなかった。食品にあっては風味は重要であり、腎不全患者にとってもこのことは無視できない問題であった。 【0004】また、カリウム分を減らすために陽イオン交換樹脂で処理すると、原料ジュースに含まれているビタミンCが相当量失われるという問題点も見逃されていた。ビタミンCの補給はジュース飲用の栄養的な目的の一つであり、無視できない問題であった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の通り、従来の技術が抱えている問題点の解決を目的に行われたものであり、腎不全などの腎機能が低下した患者のために、カリウム分を低下せしめただけでなく、風味や栄養を改善し、飲むのに適したジュースを供するためになされたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、各方面の調査および研究を行ったところ、カリウム分を低下せしめて酸味が過度に強まった果物または野菜ジュースに対して適量の炭酸カルシウムを加えることにより酸味が中和され飲むのに適した飲料になる事を見出した。 【0007】一般に酸味の中和には塩基性物質の添加が考えられるが、除去したカリウムまたはナトリウム分を含む塩基性物質の添加は好ましくない。一方炭酸カルシウムはリン酸の吸収抑制のため腎不全患者に服用させているものであり、それを添加したジュースを患者が摂取しても安全であるばかりでなく、それによりリン酸の吸収抑制効果も期待される。リン酸の体内蓄積は腎不全患者にとって重大な問題でありリン酸を含む食品の摂取制限またはその吸収抑制が日常の重要な課題となっている。本発明により製造された食品は腎不全患者にとってリン酸の吸収抑制という点から見ても意味がある。 【0008】また、陽イオン交換樹脂によりジュースを処理するとその中に含まれていたビタミンCは無視できない量が失われてしまう。ジュースの飲用の栄養的な目的の一つはビタミンCの補給にあり、それが失われる事は問題である。しかしながらビタミンCは添加する事により補う事ができる。すなわち陽イオン交換樹脂処理によって失われたジュース中のビタミンCを処理前と同程度ジュース中に含有するようにビタミンCを補う事により栄養価値を高める事ができる。 【0009】すなわち、本発明は、ジュースを陽イオン交換樹脂によって処理することにより、ジュースのカリウム含有量を10分の1以下に低下せしめ、さらに該ジュースに炭酸カルシウム及びビタミンCを添加することより成る、低カリウムジュースの製造法を提供するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】本発明に用いられる原料ジュースとしては、野菜ジュース、果物ジュースなどすべての種類のジュースを用いることができる。本発明に用いられるイオン交換樹脂は、市販の陽イオン交換樹脂でよく、これを通常の方法で再生して用いる。陽イオン交換樹脂による処理としては、バッチ式やカラム式があげられ、バッチ式によって処理を行う場合は、原料ジュース1000mlに対して再生して乾燥したイオン交換樹脂の重量で 20〜1000g程度イオン交換樹脂を用意して、これを原料ジュースに加えて20分以上、通常は30分程度攪拌した後、ろ過することによって行う。このように陽イオン交換樹脂による処理を行えば原料ジュース中のカリウム含量を当初の10分1以下にすることができる。カリウム摂取が制限されている患者の飲用が目的であれば、ジュース中のカリウム濃度を0〜7mEq/lとするのがよい。さらに、イオン交換樹脂による処理を行ったジュースに炭酸カルシウムを1.0〜20g/l、ビタミンCを0.2〜10g/lジュース中に含有されるように加えることによって酸味や栄養が改善された低カリウムジュースを製造することができる。また、本発明によって提供される低カリウムジュースは、必要に応じ、腎機能に悪影響がない範囲において、各種ビタミン、糖質、色素、香料などを配合し、風味に変化を付けることができる。そして、そのまま飲料に供することは勿論のこと、必要があれば、濃縮、乾燥、造粒工程を加えて、粉末または顆粒に成型する事も可能であり、粉末または顆粒状の製品はそのまま摂取してもよいし、水を加えて飲料に戻してもよく、他の食品に添加して用いることもできる。 【0011】 【実施例】以下に実施例を述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例では、市販の陽イオン交換樹脂ダウエックス50W−X4を以下の手順で再生することにより予め準備した陽イオン交換樹脂を使用した。すなわち、樹脂500gに精製水を加えて攪拌することにより、樹脂を十分水洗した。水を切った樹脂にエタノール500mlを加え、30分間攪拌してろ過してエタノールを除去した。このエタノールによる洗浄操作を3回繰り返した後、エタノールを精製水に代えて水洗した。水洗した樹脂に1M水酸化ナトリウム溶液500mlを加え、30分間攪拌した後、ろ過して樹脂を回収した。この水酸化ナトリウム溶液による処理操作を5回繰り返した後、洗液が中性になるまで樹脂を水洗した。次に洗浄した樹脂をカラムに詰め3M塩酸溶液2500mlを通液後、洗液が中性になるまで水洗した。以上の操作を行った後、吸引ろ過によって樹脂を十分乾燥して再生樹脂を得た。 【0012】実施例1市販の果汁100%オレンジジュース、果汁100%アップルジュース、果汁100%グレープフルーツジュース及び果汁100%グレープジュース各々1000mlに再生した陽イオン交換樹脂を表1に示した量添加し、30分間攪拌してカリウムを吸着させた後、ろ過した各ジュースに表1に示した量の炭酸カルシウムを加えた後、各ジュースにビタミンCを滴定法によって測定された処理前と同程度の濃度になるように加えて攪拌、溶解することにより、最終製品である低カリウムジュースを製造した。陽イオン交換樹脂による処理の前及びビタミンCを添加する前に、Automated Electolyte Analyzer EA05(エイアンドティー)を用いてジュース中のカリウム濃度及びジュースのpHを市販pHメーターで測定した結果を表1に示した。 【0013】 【表1】
【0014】実施例2市販の緑黄色野菜ジュース(原料:セロリ、パセリ、クレソン、キャベツ、ラディッシュ、ホウレン草、ミツバ)1000mlに再生した陽イオン交換樹脂700gを添加して、実施例1に記載の方法と同様に陽イオン交換樹脂処理を行うことにより、カリウムを吸着除去した野菜ジュースに表2に示した量の炭酸カルシウムを加えた後、野菜ジュースにビタミンCを滴定法によって測定された処理前と同程度の濃度になるように加えて攪拌、溶解することにより、最終製品である低カリウムジュースを製造した。実施例1と同様に陽イオン交換樹脂による処理の前及びビタミンCを添加する前に、ジュース中のカリウム濃度及びジュースのpHを測定した結果を表2に示した。 【0015】 【表2】
【0016】試験例実施例1に準じた方法で調製したカリウム濃度2.5mEq/lの低カリウムオレンジジュース200mlを実際に腎不全透析患者に透析時あるいは非透析時にそれぞれ1回給与し、給与前後での患者の血中カリウム濃度の推移をAutomated Electolyte Analyzer EA05(エイアンドティー)を用いて測定した。表3にその時の測定値を示した。この結果により本発明によって製造される低カリウムオレンジジュースは腎不全透析患者に投与しても血中カリウム濃度に何らの悪影響もない事が分かった。 【0017】 【表3】
【0018】 【発明の効果】本発明によればカリウム分を低下せしめたことによる酸味の強化を抑え、かつビタミンC添加により栄養バランスのよい野菜ジュース、果物ジュースを提供することができる。本発明によって提供される低カリウムジュースは、腎不全などの腎機能が低下し、カリウム摂取が制限されている患者の飲用に適するので有用である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006091 【氏名又は名称】明治製菓株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年8月28日(1998.8.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−69947(P2000−69947A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月7日(2000.3.7) |
| 【出願番号】 |
特願平10−242668 |
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