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【発明の名称】 香辛調味料及びその製造方法
【発明者】 【氏名】清田 禮助

【要約】 【課題】唐辛子と柑橘類の有する味と香りを発揮し、長期間保存してもその味と香りを失なわず、しかも、保存及び味付けのために混入した食塩の量も比較的少ない香辛調味料及びその製造方法を提供する。

【解決手段】擦り潰した完熟のカプサイシンを含む唐辛子の果実と、擦り潰した完熟の柑橘類の皮と、少量の食塩との混合物を密閉可能な容器に入れた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 擦り潰した完熟のカプサイシンを含む唐辛子の果実と、擦り潰した完熟の柑橘類の皮と、少量の食塩との混合物を密閉可能な容器に入れたことを特徴とする香辛調味料。
【請求項2】 請求項1記載の香辛調味料において、前記完熟した唐辛子の果実は完熟した黄色の唐辛子からなり、前記完熟した柑橘類の皮は、完熟した柚子の皮からなる香辛調味料。
【請求項3】 請求項1又は2記載の香辛調味料において、前記密閉可能な容器は、チューブ状の蓋付き容器、若しくは密閉蓋付きのガラス製又は硬質プラスチック製容器である請求項1記載の香辛調味料。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の香辛調味料において、混合した前記少量の食塩は、全体の5〜17重量%の範囲にある香辛調味料。
【請求項5】 カプサイシンを含む完熟の唐辛子の果実を洗浄して付着したゴミを除去した後水切りを行い、これに完熟した柑橘類の皮と少量の食塩を加えて粉砕してペースト状物とし、該ペースト状物を密閉可能な容器に充填することを特徴とする香辛調味料の製造方法。
【請求項6】 請求項5記載の香辛調味料の製造方法において、前記少量の食塩は、前記ペースト状物の5〜17重量%の範囲で含まれている香辛調味料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、完熟の唐辛子の果実及び完熟した柑橘類の皮を主原料とする香辛調味料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】唐辛子はナス科に属する草木であって、種子及び果皮にはカプサイシン(C1827NO3 )からなる辛味成分を含み、食べ物に辛味や香りを付け、更に薬用としての効果もあるので、従来から食卓において調味料や漢方薬として使用されている。そして、熟成した唐辛子の果皮及び種子は、通常は収穫後、適当に乾燥した後粗粉砕して食品とされる。この唐辛子の成分は、女子栄養大学出版部の四訂食品分析表によれば、唐辛子の生果実100g当たり、水分91.2g、たんぱく質1.4g、脂質1.2g、炭水化物(糖質2.3g、繊維3.3g)、灰分0.6g、カルシウム7mg、リン25mg、鉄0.7mg、ナトリウム2mg、カリウム270mg、ビタミンA(カロチン2000μg、A効力1100IU)、ビタミンB1 0.05mg、ビタミンB2 0.13mg、ナイアシン1.3mg、ビタミンC22mg含んでおり、栄養価の高い食品であると言える。そこで、例えば、特開平8−140622号公報に記載のように、未熟の青い唐辛子を主原料として、それにゆずの果実の少なくとも果皮を加え、かつ自然塩を添加し、粉砕して混合し又は擦り潰して混練することを特徴とする香辛調味料が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記公報記載の香辛調味料においては、原料として未熟の青い唐辛子を使用している。この未熟の青い唐辛子を用い、更に薄塩(5〜15重量%)の状態で香辛調味料を製造してみると、持ちが悪く短期間のうちに変色(褐変化)してしまうという問題が発生した。この現象を検討すると、植物には外敵からの自己防衛本能があり、未熟の果実や葉等にストレスが掛かった場合には、其れ自体から化学物質を出して変色する傾向にあり、特に、未熟の唐辛子の場合には、ポリフェノールという酸化作用をする物質が多く含まれているので、粉砕すると空気によって粉砕物が酸化し褐変化又は黒色化する(以下、褐変化、又は褐変化現象という)ことが分かった。これらの変色を防止し長期間自然な状態を保持するには、比較的大量の食塩を混入する必要があり、実際的には、内分で25〜30重量%もの食塩を混入する必要があった。このため、折角の美味しい唐辛子の香辛調味料が多塩食物となって健康を害する場合があるという問題があった。更には、唐辛子の青みを強調するために、青色の色粉を混合したものもあり、自然さを無くしてしまうという問題がある。そこで、本発明者は鋭意研究の結果、未熟な唐辛子の果実にはこのような褐変化現象が発生するが、完熟した唐辛子の果実には、ポリフェノールが少なく、このような現象が発生しにくいことを発見した。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、唐辛子と柑橘類の有する味と香りを発揮し、長期間保存してもその味と香りを失なわず、しかも、保存及び味付けのために混入した食塩の量も比較的少ない香辛調味料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に係る香辛調味料は、擦り潰した完熟のカプサイシンを含む唐辛子の果実と、擦り潰した完熟の柑橘類の皮と、少量の食塩との混合物を密閉可能な容器に入れている。また、前記目的に沿う本発明に係る香辛調味料の製造方法は、完熟の唐辛子の果実を洗浄して付着したゴミ等を除去した後水切りを行い、これに完熟した柑橘類の皮と少量の食塩を加えて粉砕してペースト状物とし、該ペースト状物を密閉可能な容器に充填している。なお、本発明において、唐辛子の果実及び柑橘類の皮は生のもの(即ち、未乾燥のもの)を使用する。また、完熟とは青い状態の未熟の果実がその果実独特の色彩(例えば、黄色、赤色等)になった状態をいう。
【0005】本発明においては、完熟した唐辛子の果実及び柑橘類の皮を使用しているので、未熟の唐辛子や柑橘類の皮と異なり、褐変化しないので、褐変化を防ぐための多量の食塩が不要となり、これによって、製品の保存を維持できるだけの食塩で済むことになり、結果として、例えば、全体の5〜17重量%程度の少量の食塩で済む。ここで、食塩の量が5重量%未満の場合には腐敗が発生し易く、更には味覚も落ち、食塩の量が17重量%を超えると、食塩過多に成りやすい。ここで、本発明に係る香辛調味料及びその製造方法においては、完熟した唐辛子の果実は完熟した黄色の唐辛子からなり、完熟した柑橘類の皮は、完熟した柚子の皮によって構成すると、双方が黄色の自然な色となる他、柚子の香りのする唐辛子を提供することができる。
【0006】また、本発明に係る香辛調味料において、密閉可能な容器は、チューブ状の蓋付き容器、若しくは密閉蓋付きのガラス製又は硬質プラスチック製容器とするのが好ましく、これによって香辛調味料の密閉が可能となって長期保存ができる。ここで、特に透明のガラス製又は硬質プラスチック製容器とした場合には、内部の状態を外から見ることができるので、残量や内部の香辛調味料を視認することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】続いて、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。本発明に係る香辛調味料は、要約すれば、完熟の唐辛子の果実(実)を洗浄して付着したゴミ等を除去した後水切りを行い、これに完熟した柑橘類の皮と少量の食塩を加えて粉砕してペースト状物とし、このペースト状物を密閉可能な容器に充填している。以下、これらについて詳しく説明する。
【0008】完熟の唐辛子としては、例えば、完熟した果実が黄色になる「オウゴン」等の種類の唐辛子の実を使用する。柑橘類の一例である柚子のうち、完熟の柚子の皮を用意する。この柚子の代わりにレモン等の他の柑橘類の皮を用いてもよい。なお、唐辛子及び柚子の栽培においては、農薬や化学肥料を使用しないで行うのが好ましく、鶏糞等の有機肥料を使用して栽培するのが好ましい。採集した直後の完熟の唐辛子及び柚子皮は、畑の土やゴミが付着しており、これらが香辛調味料に入り込むと食べにくい他、衛生的でないという欠点がある。そこで、水道水を用いて十分にこれらの水洗いを行う。なお、唐辛子のヘタの部分は除去してもよいが、そのまま残しておいてもよい。
【0009】次に、水洗いした唐辛子及び柚子皮の水を十分に切って、ミキサーに入れ粗粉砕を行って1〜5mm程度の砕片にする。ここで、唐辛子は、果皮、種の他、種を包む綿状物の部分にもカプサイシンを十分に含むので、その部分を除去することなく原料として使用する。ここで、柚子皮の量は唐辛子100重量部に対して30〜150重量部程度とする。柚子皮が30重量部より少ないと柚子の香りが無くなり、150重量部を超えるとカプサイシンの相対量が減少して、辛さが無くなる。
【0010】次に、粗粉砕された唐辛子及び柚子皮を容器に入れて、少量の食塩を入れて適当に混ぜそのまま放置する。ここで、食塩は製造される香辛調味料の全体で5〜17重量%の範囲で含まれるようにする。食塩の量を全体の5〜10重量%にした場合には、比較的短期間のうちに、製造された香辛調味料を食する必要があり、食塩の量を全体の10重量%を超え、17重量%以下としたものは、長期の保存に耐えることができる。なお、保存性を向上するためと減塩のために、代用食塩(例えば、塩化カリウム)を少量混入する場合も本発明は適用される。ここで、食材として完熟した唐辛子と柚子皮を用い、食塩不足によって、褐変化することがないので、食塩の量を全体の17重量%を超えて添加する必要はない。また、食塩の量を全体の5重量%未満とすると、味付けが悪く更には香辛調味料が短期間のうちに腐敗する恐れがある。
【0011】なお、完熟した唐辛子と柚子皮に食塩を添加した後1〜2時間放置し、混入した食塩によって唐辛子及び柚子皮の水を溶出する。この状態で二次粉砕を行う。二次粉砕を一定時間(5〜15分間)行うと、溶出した水と粗粉砕(一次粗粉砕)された唐辛子とが混練されてペースト状(半練り状、及び多少粒がある場合も含む)となる。なお、使用した唐辛子は完熟品ではあるが、完熟した唐辛子を乾燥することなく使用しているのて、種子もある程度は柔らかくこれによって、唐辛子の種子も粉砕されてペースト状となる。
【0012】この状態でペースト状の香辛調味料を、密閉した容器に入れる。この場合の容器としては開閉可能な蓋を有するチューブ状の容器であることが好ましい。これによって、製品となるペースト状の香辛調味料は密閉され、仮に蓋を開けて使用してもその後蓋を閉めることによって、香りや辛さが飛んだりすることがなく、長期間保存が可能となる。なお、食塩の量を減らした場合には、凍結しない低温度で保存するのが好ましい。
【0013】この香辛調味料を食する場合には、チューブ状容器の蓋を開けて使用する量だけ絞り出し、蓋を閉めて冷蔵庫等に保存する。チューブ状の容器に収納された柚子皮入りの唐辛子は加工時の状態を保持し、更にはペースト状となっているので、少量取り出して山葵や芥子の代用とすることができ、特に、みそ汁等の汁物にも使用することができる。この唐辛子を食することによって、整腸作用、食欲増進、老化防止に効き目があることが分かる。
【0014】前記実施の形態においては、黄色の完熟唐辛子を用いたが、カプサイシンを含む完熟の唐辛子であれば、赤色、橙色等他の色の唐辛子であっても本発明は適用される。また、前記実施の形態においては、完熟の柑橘類の皮として柚子皮を使用したが、芳香性を有する他の柑橘類の皮(例えば、レモンの皮)であっても本発明は適用される。そして、製造された香辛調味料はチューブ状の容器に入れて保存しているが、蓋付きのビン、ビニールパック等の密閉容器に収納される場合も本発明は適用される。なお、収穫した唐辛子や柑橘類の洗浄が水洗だけで十分でない場合には、人体に無害な洗浄剤や殺菌剤を使用して行う場合も本発明は適用される。
【0015】
【発明の効果】請求項1〜4記載の香辛調味料及び請求項5、6記載の香辛調味料の製造方法においては、完熟した唐辛子及び柑橘類の皮を使用しているので、未熟のもののように褐変化(又は黒変化)等が発生せず、従って、比較的少量の食塩を入れて香辛調味料の保存を図ることができる。これによって、柑橘類の風味があって栄養価が高く塩分濃度の低い香辛調味料を提供できる。更には、原料として完熟した唐辛子及び柑橘類の皮を使用しているので、未熟なものを使用する場合に比較して、より強い香りと辛さを発揮することができる。特に、請求項2記載の香辛調味料においては、唐辛子及び柚子の皮が黄色であるので、混ぜても黄色となり、より自然色に近い香辛調味料を提供できる。請求項3記載の香辛調味料において、密閉可能な容器をチューブ状の蓋付き容器とした場合には、少しずつ絞り出すことができ、密閉可能な容器を密閉蓋付きのガラス製又は硬質プラスチック製容器とした場合には、内容物を視認することができ、これによって、香辛調味料の状態を確認しながら保存できる。請求項4記載の香辛調味料及び請求項6記載の香辛調味料の製造方法においては、塩分の量を5〜17重量%としているので、少ない場合には短期保存が、多い場合には長期保存が可能となる。
【出願人】 【識別番号】597148426
【氏名又は名称】清田 禮助
【出願日】 平成10年8月31日(1998.8.31)
【代理人】 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
【公開番号】 特開2000−69933(P2000−69933A)
【公開日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願番号】 特願平10−262448