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【発明の名称】 新規半練り状調味料
【発明者】 【氏名】岩本 真理

【氏名】大塚 聡一郎

【氏名】高取 幸子

【氏名】青木 利之

【要約】 【課題】家庭で手軽に本格中華炒めもの特有の調理香と油脂由来のコク味を同時に、更には中華らしさ(中華風味)を付与できる半練り状調味料を提供する。

【解決手段】固形食用油脂と調味料粉体とを含有する半練り状調味料において、固形食用油脂の少なくとも一部として、葱風味の固形動物脂、特に動物脂と葱とを含有する、又はこれに更に生姜及び/又はにんにく含有する加熱処理混合物より得られる風味油脂を含む半練り状調味料が上記課題を解決し、上記調理香やコク味等を同時に付与できる調味料の提供を可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】固形食用油脂と調味料粉体とを含有する半練り状調味料において、固形食用油脂の少なくとも一部として葱風味の固形動物脂を含有することを特徴とする中華調理香を付与可能な半練り状調味料。
【請求項2】葱風味の固形動物脂が、更に生姜及び/又はにんにく風味を併せて含有する請求項1記載の調味料。
【請求項3】葱風味の固形動物脂が、動物脂と葱とを含有、又はこれに更に生姜及び/又はにんにくを含有する混合加熱処理により得られる動物脂を含む請求項1記載の調味料。
【請求項4】葱風味の固形動物脂が、全固形食用油脂に対して2〜100重量%含有する請求項1記載の調味料。
【請求項5】固形食用油脂が、当該調味料に対して20〜50重量%含まれる請求項1記載の調味料。
【請求項6】固形食用油脂が、低くとも融点50℃を有する極度硬化油脂を含む請求項1記載の調味料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規半練り(ペースト)状調味料、更に詳しくは固形食用油脂と調味料粉体とを含有する半練り状調味料において、調理香、特に中華の調理香を付与可能にした半練り状調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】半練り状調味料は、保存性や取扱性に便利なことから最近広く使用され、従来植物油脂や動物油脂等の固形の食用油脂と調味料や賦形剤等粉末成分とを混合攪拌して半練り(ペースト)状とした調味料が知られている。
【0003】しかしながら、従来から知られているこのような半練り状調味料には、家庭で手軽に本格中華炒めもの特有の調理香と油脂由来のコク味を同時に、更には中華らしさ(中華風味)を付与できる調味料は見当たらない。
【0004】中華料理では、葱、生姜等の香味野菜を炒めて香りを油に移し、料理全体の風味付けを行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】家庭で手軽に上記したような本格中華炒めもの特有の調理香と油脂由来のコク味を同時に、更には中華らしさ(中華風味)を付与できる調味料の開発が待ち望まれている。
【0006】本発明の目的は、このような課題を解消した、特に中華の調理香及びコク味を付与できる半練り状調味料の開発にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、固形食用油脂と調味料粉体とを含有する半練り状調味料において、固形食用油脂の少なくとも一部として葱風味の固形動物脂を含有することにより得られる半練り状調味料が本格中華炒めもの特有の調理香と油脂由来のコク味を同時に、更には上記中華らしさを付与できる半練り状調味料を提供できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0008】即ち、本発明は固形食用油脂と調味料粉体とを含有する半練り状調味料において、固形食用油脂の少なくとも一部として葱風味の固形動物脂を含有する、特に中華の調理香を付与できる半練り状調味料であり、本格中華炒めもの特有の調理香と油脂由来のコク味を同時に、更には前記中華らしさを付与することができる半練り状調味料である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について説明する。本発明に使用される固形食用油脂は、固形の油脂であれば、動物性油脂、植物性油脂、それ等加工油脂、これ等の混合油脂等その由来に特に制限は無い。1種類の場合のみならずこれ等固形油脂の複数混合物が適用できる。本発明の固形油脂以外に風味の付与その他の理由で液状油脂が使用可能であるが、液状油脂は本発明に使用される固形食用油脂には含まれない。固形とは、前述の如く室温で固形化しておればよく、例えば融点では20〜40℃程度の融点範囲を有するものが好ましい。
【0010】本発明の固形食用油脂の一部としてその融点が50℃以上の極度硬化油脂を使用することにより、高温下での長期保存において油脂と粉体の混合分散安定性に優れ、特に油分離し難い優れた半練り状調味料を提供することができる。
【0011】この場合、極度硬化油脂は、融点50℃以上の食用油脂であればよい。その融点として好ましくは、60〜90℃程度の食用油脂であり、低融点の液体の食用油脂から、融点を向上するために各種の水添処理等で改質された硬化油脂等を採用することもできる。
【0012】使用される極度硬化油脂の含量については、全固形食用油脂に対して0.5〜20,好ましくは1〜10、更に好ましくは2〜6重量%程度である。
【0013】本発明において、固形食用油脂の少なくとも一部として使用する葱風味の固形動物脂は、固形の動物性油脂に葱類の風味を付与した風味油脂(以下、「葱風味油脂」と略称することがある。)である。固形動物脂としては、上記したような固形状態にある動物性の油脂であればよく、上記極度硬化油脂を極一部含む方が製品の安定性のために好ましい。葱風味の固形動物脂の含有量については、全固形食用油脂に対して2〜100重量%含有することができるが、より適度の中華調理香付与の点で好ましくは60〜100重量%程度、また全調味料に対して好ましくは20〜50重量%程度含有するとよい。
【0014】葱類としては、長葱、玉葱、その他葱類に属する野菜であればよい。葱風味油脂を調製するには固形の動物脂と、葱類を必要により細かく切って、80〜250℃程度、好ましくは90〜200℃程度、更に好ましくは100〜160℃程度で加熱処理して、使用する野菜が茶色に色付く程度で焦げない程度に加熱するとよい。
【0015】葱類以外に野菜を加えて加熱処理することもでき、これ等も当然本発明の葱風味油脂に含まれる。更に加える他の野菜としては、特に生姜及び/又はにんにくが好ましく、これに更に他の野菜必要により加えることもできる。
【0016】加熱処理した後、野菜残査が含まれるがこれをそのまま本発明の風味油脂として使用することもできるが、例えば加熱状態で固液分離して油脂部分を分離して使用することもできる。【0017】本発明に使用される固形食用油脂の含量については、半練り状調味料として従来から使用される固形食用油脂の含量を適宜使用すればよいが、例えば全調味料に対して、10〜60、好ましくは20〜50、更に好ましくは30〜40重量%程度である。
【0018】本発明に使用される調味料粉体としては特に制限は無く、従来から知られている粉末状の調味料であればよく、例えば、野菜エキスパウダー、魚介エキスパウダー、畜肉(ビーフ、ポーク、チキン等)エキスパウダー、香辛料等が例示され1種又は複数の混合物の形で使用される。全組成に対し、90〜40%程度使用される。
【0019】本発明の半練り状調味料を製造するには、特に困難はなく、本発明の調味料のための混合物、例えば固形食用油脂と調味料粉体とを含有する成分混合物をよく混合して、半練り状製品を製造するために従来から使用されている方法等を利用して製造すればよい。
【0020】本発明の調味料のための組成物としては、固形食用油脂と調味料粉体を含有する混合物であればよく、勿論、更に必要により、本発明の物性、呈味を損なわない範囲で少量の液状油や液体調味料、その他増粘剤、分散安定剤、賦形剤、香料、着色料、保存料等を任意に添加、混合することができる。
【0021】このようにして、製造された本発明の半練り状調味料は、そのまま各種の調味料として使用することもできるし、更にこれを利用して、スープの素、チルド・冷凍食品等各種の食品に活用することもできる。
【0022】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明する。
(実施例1−4)表1に示す油脂成分の食用油脂(実施例2)及び下記表3に示す葱風味油脂についての内容、組成(実施例1、3及び4)に基づいて、各々の配合比を有する全食用油脂を65〜70℃に加温し、よく溶解した。一方、表2に示す組成及び配合比を有する調味料粉体をよく混合した後、当該調味料混合粉体と前記加温溶解された食用油脂を、25〜40℃で60分間攪拌、混合し半練り状調味料を製造した。上記実施例において葱風味油脂の含量を配合比で表3に示すように変更する場合、風味油脂でない精製ラードAで全体調整しその他の配合比率は変更しなかった。
【0023】尚、表1に示したラードAの葱風味油脂は、ラードA100重量部、それぞれ細かく切った長葱40重量部及び生姜20重量部を混合し、100〜160℃で5分程度、野菜の色が茶色く色付き焦げない程度に加熱処理した後固液分離して得られた(90重量部)風味油脂である。
【0024】
【表1】食用油脂の組成
【0025】
【表2】調味料粉体の組成
【0026】実施例1−4において得られた半練り状調味料製品について評価を行い、その結果を表3に示した。
【0027】[評価方法]炒飯の調理において、一人分として上記実施例で得られた半練り状調味料小匙半杯を使用した。調理香、油脂のコク味及び中華らしさの程度による総合評価を行い、その評価基準は次の通りである。
◎:極めて良好;○:良好、△:やや良好;及び×:悪い。
【0028】
【表3】評価結果
【0029】表3の結果から明らかなように、本発明の風味油脂を30%程度含有すればより好ましく33%程度以上でかなり好ましい結果が得られた。
【0030】(実施例5−7及び比較例1)実施例2において、葱風味油脂調製に際し長葱と生姜の混合比率を表4に示すように変更し、その他は同様にして実施例2を繰り返し行った。評価結果を表4に示す。尚、評価方法は前記実施例の場合と同様である。
【0031】
【表4】葱類と生姜の混合風味油脂とその評価
【0032】尚、上記実施例2、5−7において長葱の代わりに玉葱を使用した場合、或いは上記実施例2、6及び7において生姜の代わりににんにくを、それぞれ使用した場合の評価結果もほぼ上記同様の評価結果であった。
【0033】表4に示す評価結果から明らかなように、葱類の風味を有する動物脂が目的とする中華の調理香及び油脂のコク味付与に効果を示すことが分かる。
【0034】(実施例8−10並びに比較例2及び3)実施例2において、葱風味油脂に使用した33重量%の精製ラードAに代えて表5に示す油脂を使用して同様に葱風味油脂を調製した後、実施例2と同様の方法で半練り状調味料を製造し、同様の評価方法で評価を行った。評価方法は、前記の通りである。評価結果を表5に示す。
【0035】
【表5】使用油脂の種類による製品とその評価
【0036】表5に示す評価結果から明らかなように、パーム油やサラダ油の風味油脂を使用した場合、それぞれ半練り状の調味料は得られるが、目的の調味香を付与することはできなかった。これに対して本発明の固形動物脂の場合は好ましい結果が得られた。特に、豚骨脂を使用した場合、甘く香ばしい葱の香りと生姜のすっきりした香りを呈し中華料理特有の調理香として特に好ましいことも分かった。
【0037】(実施例11)実施例2において、予め調製された葱風味油脂を含む全食用油脂を65〜70℃で加温し、よく溶解した。調味料粉体等をよく混合した後、当該調味料混合粉末と前記加温溶解された食用油脂を、40〜60℃で30分間攪拌混合した後、35〜40℃まで冷却し、その温度範囲で60分攪拌して、半練り状調味料を製造した。この製品は、高温下長期保存に対しても油成分の分離が全く認められず、又前記匙入れに適した評価においても特に優れていた。
【0038】尚、この実施例において、ラードAの1重量%分を極度硬化油脂(硬化牛脂)1重量%に代替した場合、得られる半練り状調味料は、高温下での長期保存においても極めて安定した優れた製品であった。
【0039】(実施例12)添加物の内容による評価比較本発明品(上記実施例2で得られた半練り状調味料)と他の添加物における添加効果を調べた結果を表6に示す。添加物の添加量について、長葱と生姜は適当量、実施例2の調味料については一人分小匙半分を使用した。
【0040】
【表6】他の添加物との比較
【0041】表6で得られた評価の結果、炒飯と野菜炒めについては新鮮な長葱及び生姜を添加したものと本発明品はほぼ同等の添加効果(○)が見られた。一方、スープにおいては長葱及び生姜の添加が生っぽい香りを呈した(×)のに対して本発明品は極めて香ばしい調理香があり良好(○)である。添加物を全く含まない調理品は目的とする効果は全く得られず(×)好ましくない結果を与えたのは当然である。
【0042】(実施例12)先行品類似品との比較次に、本発明品(実施例2の調味料)と他社先行品で最も類似していると考えられる類似品とを比較した。評価結果を表7に示す。
【0043】
【表7】先行類似品との比較
*1:中華系スパイスの風味であり、香味野菜の炒め風味ではない。
【0044】表7から明らかなように、先行品類似品の中には、調味香、コク味及び中華らしさを付与できる調味料は存在しないことが分かる。
【0045】
【発明の効果】固形食用油脂と調味料粉体とを含有する半練り状調味料において、固形食用油脂の少なくとも一部として、葱風味の固形動物脂、特に動物脂と葱とを含有する、又はこれに更に生姜及び/又はにんにく含有する加熱処理混合物より得られる風味油脂を含む本発明の調味料により家庭で手軽に本格中華炒めもの特有の調理香と油脂由来のコク味を同時に、更には前記中華らしさを付与できる。
【出願人】 【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
【出願日】 平成10年8月28日(1998.8.28)
【代理人】 【識別番号】100080229
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 康昌 (外1名)
【公開番号】 特開2000−69931(P2000−69931A)
【公開日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願番号】 特願平10−243765