トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 食品素材及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中山 正夫

【要約】 【課題】甘藷特有の良好な食感を有し、しかも保存性が高く、各種の料理材料として幅広く使用することができる食品素材及びその製造方法を提供する。

【解決手段】甘藷類を例えば5〜25mm角のダイス状等に細断し、これを油ちょう等の手段により高温油で処理した後、急冷して凍結することにより、食品素材を得る。この食品素材は、例えばコロッケやポテトサラダなどの食品の材料として使用することができ、それによって甘藷類のテクスチャーが十分に生かされ、しかも変化に富んだ食感を有する食品を提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 甘藷類を細断し、高温油で処理し、凍結処理してなることを特徴とする食品素材。
【請求項2】 前記甘藷類の細断物の形状が、5〜25mm角のダイス状である請求項1記載の食品素材。
【請求項3】 甘藷類を細断し、これを高温油で処理した後、凍結することを特徴とする食品素材の製造方法。
【請求項4】 前記甘藷類を細断する前又は後であって高温油で処理する前に、前記甘藷類を前加熱処理する請求項3記載の食品素材の製造方法。
【請求項5】 前記甘藷類の細断物の形状が、5〜25mm角のダイス状である請求項3又は4記載の食品素材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、甘藷類のテクスチャーが十分強調された食品素材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】我が国において、甘藷は澱粉原料としても多量に利用されていたが、安価なコーンスターチが生産されるに伴って、甘藷澱粉工場は激減し、甘藷の有効利用を図るため、新たな商品の開発が望まれている。
【0003】甘藷を素材として利用した調理食品としては、きんとん、芋煮などの他、その用途はあまり広いものではなかった。また、甘藷を利用した調理食品の多くは、甘藷のデンプン質と繊維度が高いためか、ソフトながらのボソボソ感が多少なりとも残り、食感上あまり好ましいものではなかった。また、甘藷をそのままマッシュしても、あるいはダイス切りしても、食品素材としては食感上、満足のいくものは得られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、甘藷の有効利用を図るため、甘藷特有の良好な食感を有し、しかも保存性が高く、各種の料理材料として幅広く使用することができる食品素材及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の1つは、甘藷類を細断し、高温油で処理し、凍結処理してなることを特徴とする食品素材を提供するものである。
【0006】本発明のもう1つは、甘藷類を細断し、これを高温油で処理した後、凍結することを特徴とする食品素材の製造方法を提供するものである。
【0007】本発明によれば、細断した甘藷類を、高温油で処理することにより、歯触り等の食感(テクスチャー)保持効果が高まり、更にこれを凍結処理することによって、食感および保存性を高めることができる。このため、甘藷類のテクスチャーが十分強調された、保存性の高い食品素材を得ることができる。
【0008】このため、本発明の食品素材は、例えば惣菜等の原料として手軽に使用することができる。そして、本発明の食品素材を用いて調理された惣菜等の食品は、甘藷類のテクスチャーが十分に生かされた変化に富んだ食感を有し、今までにはない大変美味しい食品となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において甘藷類とは、例えばベニアズマ、コガネセンガン等の各品種の甘藷(サツマイモ)を含む意味である。特にコガネセンガンのような甘みが少ない甘藷が好ましい。甘藷類は、剥皮して用いることが好ましいが、剥皮しなくてもよい。剥皮する場合、甘藷類を細断する前後、あるいは細断した甘藷類を高温油で処理する前後などいかなる段階においてもすることができる。
【0010】本発明の食品素材は、まず上記甘藷類を、例えばダイスカッターやスライサーなどにより、あるいは手切りにより、ダイス状、薄片状等に細断する。細断形状は、特に限定されるものではないが、角のある形状の方が食感を強く感じることができるため好ましい。角のある形状としては、例えば、ダイス状、角錐形状等が挙げられる。
【0011】特に、ダイス状にする場合、ダイズ状の一辺の平均の長さが、5〜25mmであることが好ましく、10〜15mmがより好ましい。ダイス状の一辺の平均の長さが5mm未満では、歯ごたえ感が弱くなり、25mmを超えると、食べるときに大きすぎて食べにくくなる。また、手切りにより細断する場合は、形状や大きさが均一な細断物は得にくいが、不均一な形状や大きさのものを食品素材として、調理食品に使用した場合、かえって不均一さがテクスチャー面から考えれば、変化が大きく出て好ましいケースもある。
【0012】次に、細断された甘藷類を、好ましくは160〜190℃の高温油で処理する。高温油の処理は、例えば油ちょう、スプレーして加熱する方法などが好ましく採用される。なお、食用油としては、例えば大豆油、とうもろこし油、菜種油、米ぬか油、サフラワー油、ごま油、落花生油、ひまわり油、オリーブ油等が使用できる。また、揚げる際にサツマイモ切片にデンプン粉末をまぶし、表面の食感を変えることもできる。
【0013】なお、甘藷類を細断する前又は後であって、高温油で処理する前に、蒸す、煮る、焼くなどの前加熱処理を施すことが好ましい。こうすることにより、揚げ時間の短縮、使用油の節減、より一層の食感の向上を図ることができる。
【0014】その後、高温油で処理された甘藷類の細断物を、急冷して凍結処理を行うことによって、甘藷類のテクスチャーが十分強調された本発明の食品素材を製造することができる。
【0015】本発明において凍結処理とは、0℃以下、好ましくは18℃以下にて、甘藷類中の水分の少なくとも一部を、凍結固化する処理を意味する。凍結処理を行うための装置としては、例えばエアーブラスト方式、スパイラル方式、液体窒素方式などの凍結装置を用いることができる。
【0016】こうして得られた食品素材は、例えばコロッケやポテトサラダなどの食品の材料の1つとして使用することができ、特にいも類を使用した食品の材料の1つとすることが好ましい。なお、本発明の食品素材は、細断された形状のまま使用してもよく、マッシュポテトのように粗くすり潰して使用してもよい。
【0017】本発明の食品素材を使用して調製したコロッケやポテトサラダなどの食品は、甘藷類のテクスチャーが十分に生かされ、しかも変化に富んだ食感を有する、今までにはない大変美味しい食品となる。
【0018】
【実施例】実施例1サツマイモ(コガネセンガン)10kgを蒸して剥皮後、ダイスカッターにかけて15mm角とした。これを180℃の油浴で3分間フライした後、急冷し、−30℃で冷凍して食品素材を得た。
【0019】比較例1サツマイモ(コガネセンガン)10kgを蒸して剥皮後、ダイスカッターにかけて15mm角として食品素材を得た。
【0020】比較例2サツマイモ(コガネセンガン)10kgを蒸して剥皮後、ダイスカッターにかけて15mm角とした。これを急冷し、−30℃で冷凍して食品素材を得た。
【0021】比較例3サツマイモ(コガネセンガン)10kgを蒸して剥皮後、ダイスカッターにかけて15mm角とした。これを180℃の油浴で3分間フライした後、急冷して食品素材を得た。
【0022】試験例1ポテトコロッケの具のポテトの50%を、実施例1の食品素材で置換して、常法によりコロッケを作った。すなわち、マッシュしたポテト50部、実施例1の食品素材(ダイス状の油ちょうしたサツマイモ)50部、タマネギ10部、塩0.8部、コショウ0.1部からなる具を調製し、この具を用いて常法によりポテトコロッケを製造した。
【0023】この実施例1の食品素材を含有するコロッケと、実施例1の食品素材を用いないで常法により作った一般コロッケとについて、5名のパネラーにより官能試験を行った結果、全員が一般コロッケに比べて、実施例1の食品素材を使用したコロッケの方が、食感が良好で、大変美味しいと評価した。
【0024】試験例2一般ポテトコロッケの具のポテトの50%を、実施例1及び比較例1〜3の食品素材で置換して、常法によりコロッケを調製し、これらのコロッケについて、5名のパネラーにより官能試験を行った。官能試験は、食感を中心にして、5…大変美味しい、4…美味しい、3…普通、2…ややまずい、1…まずいの5点満点で評価を行い、全パネラーの平均点で表示した。この結果を表1に示す。
【0025】
【表1】

【0026】試験例3実施例1及び比較例1〜3の食品素材について、それら単独で試験例2と同様な官能試験を行った。この結果を表2に示す。
【0027】
【表2】

【0028】なお、試験例1での具材をマッシュポテト(蒸しジャガイモの粉砕物)の代わりに、マッシュした蒸しサツマイモに変えて、同様な実験を行ったところ、官能試験の結果は試験例1と同様であった。
【0029】実施例2蒸した甘藷(コガネセンガン)を10mm角、15mm角、20mm角と、ダイスカットして、蒸煮は行わずに、実施例1と同様にフライして冷凍したが、10〜15mm角はコロッケ向き、20mm角はドレッシングをかけたサツマイモサラダに適することがわかった。なお、実施例1の蒸煮処理を行った後、フライ冷凍したものよりも、含有油脂量が約20%増加していた。
【0030】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば、甘藷類のテクスチャーが十分強調された食品素材を得ることができ、また、本発明の食品素材を使用した調理食品であれば、甘藷類のテクスチャーが十分に生かされ、しかも変化に富んだ食感を有する、今までにはない大変美味しいものとなる。
【出願人】 【識別番号】598119647
【氏名又は名称】中山 正夫
【出願日】 平成10年9月2日(1998.9.2)
【代理人】 【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
【公開番号】 特開2000−69929(P2000−69929A)
【公開日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願番号】 特願平10−247900