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【発明の名称】 プロポリス含有食品
【発明者】 【氏名】三島 敏

【氏名】田中 美穂

【要約】 【課題】プロポリス抽出物の有効成分の生体内での吸収効率を向上させることができるとともに、プロポリス抽出物特有の強い臭い及び粘膜刺激性を低減して、水がなくても容易に服用できるプロポリス含有食品を提供する。

【解決手段】プロポリス含有食品はプロポリスの抽出物をゲル化基剤によりゲル化したものである。プロポリスの抽出物はアルコール抽出法により抽出されたものを使用するのが好ましい。プロポリスの抽出物の含有量はプロポリス含有食品中に2〜25重量%の範囲で、ゲル化基剤の含有量はプロポリス含有食品中に0.01〜10重量%の範囲である。ゲル化基剤は、粘膜保護作用をプロポリス含有食品に付与するために、硫酸化糖を使用するのが好ましく、さらに免疫賦活作用をプロポリス含有食品に付与するために、β−グルカンを使用するのが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プロポリスの抽出物を含有するゲル状のプロポリス含有食品。
【請求項2】 プロポリスの抽出物をゲル化基剤によりゲル化した請求項1に記載のプロポリス含有食品。
【請求項3】 前記ゲル化基剤は硫酸化糖である請求項2に記載のプロポリス含有食品。
【請求項4】 前記ゲル化基剤はβ−グルカンである請求項2に記載のプロポリス含有食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プロポリス中の有効成分の生体内での吸収効率を高めるとともに、服用しやすくするプロポリス含有食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】古来より民間療法薬として使用されているプロポリスは、ミツバチが種々の植物から集めてきた樹脂状物質及びミツバチの腺分泌物から構成される天然物質であり、樹脂、ミツロウ、精油、花粉、フラボノイド等が含まれている。その薬理作用には、抗菌作用、抗ウィルス作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用、局所麻酔作用、免疫調節作用、制癌作用、抗アレルギー作用、鎮痛作用、免疫賦活作用等が明らかにされている。
【0003】これらの作用のうち、例えば、抗酸化作用、抗炎症作用、鎮痛作用、抗ウィルス作用、免疫賦活作用及び抗腫瘍作用は、プロポリス中のフラボノイド等の作用により発揮されている。
【0004】フラボノイド等のプロポリスの有効成分を含むプロポリス抽出物は、高い流動性を有している。そして、プロポリスの原塊をアルコール又は水により抽出して得ることができる。フラボノイド等を効率よく抽出することができる点、微生物汚染が低い点などから、プロポリス抽出物はアルコール抽出法により行われることが好ましい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、プロポリス抽出物を服用したとき、プロポリス抽出物は流動性が高いため、消化管を即座に流下して消化管滞留時間が短くなり、有効成分であるフラボノイド等が少量しか体内に吸収されないという問題があった。また、アルコール抽出法により抽出されるプロポリス抽出物は、樹脂特有の強い臭い及び刺激味と辛味による粘膜刺激性を有するため、非常に服用しづらいという問題もあった。
【0006】この発明は、このような従来技術に存在する問題に着目してなされたものである。その目的とするところは、プロポリス抽出物の有効成分の生体内での吸収効率を向上させることができるとともに、プロポリス抽出物特有の強い臭い及び粘膜刺激性を低減して、水がなくても容易に服用できるプロポリス含有食品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載のプロポリス含有食品は、プロポリスの抽出物を含有するゲル状のものである。
【0008】請求項2に記載のプロポリス含有食品は、請求項1に記載の発明において、プロポリスの抽出物をゲル化基剤によりゲル化したものである。請求項3に記載のプロポリス含有食品は、請求項2に記載の発明において、前記ゲル化基剤は硫酸化糖である。
【0009】請求項4に記載のプロポリス含有食品は、請求項2に記載の発明において、前記ゲル化基剤はβ−グルカンである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。プロポリス含有食品はプロポリスの抽出物を含有するゲル状のものである。プロポリス含有食品のゲル状形態は、一般的には多糖体等のゲル化基剤を用いて形成されるが、ゲル化基剤によることなく加熱等の手段によっても形成される。
【0011】プロポリス含有食品の原料となるプロポリス原塊は、ブラジル、中国、日本、米国、ヨーロッパ諸国、オセアニア諸国等の様々な産地で採取されるものが使用される。天然のプロポリス原塊は、様々な生理活性物質及び夾雑物が含有されているが、そのまま利用しても、公知の方法によって目的とする成分を選択的に抽出した抽出物を利用してもよい。なお、以下の記載において、プロポリスとは、プロポリス原塊及びその抽出物を表すものとする。
【0012】プロポリス原塊からの抽出物としては、エタノール等の親水性有機溶媒に可溶な成分(以下、プロポリスのアルコール抽出物)及び水に可溶な成分(以下、プロポリスの水抽出物と記載する)が主として利用されている。
【0013】プロポリス抽出物は、プロポリス原塊を粉砕器などによって粉砕した後、水に溶解させて抽出する水抽出法、又は親水性有機溶媒に溶解させて抽出するアルコール抽出法により抽出される。両者のうち、プロポリスの主な有効成分であるフラボノイドを効率よく抽出することができる点及び微生物汚染が低いという点からプロポリスの抽出はアルコール抽出法を採用するのが好ましい。
【0014】プロポリス抽出物の有効成分の1つであるフラボノイドは植物色素の総称で、フラボン類、フラバノン類、イソフラボン、アントシアン、カテキン等が含まれる。植物体内でフェニルプロパン化合物と3分子の酢酸の縮合によって生成する。
【0015】ゲル化基剤は、プロポリス含有食品をゲル化するために、多糖体と、その誘導体を使用するのが好ましく、例えば、ペクチン、寒天、アラビアゴム、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸の塩(例えば、ナトリウム塩)、カラギーナン、ゼラチン、デキストリン、でんぷん類(トウモロコシ、米、小麦、馬鈴薯、クズ、タピオカ、カルボキシメチルスターチ等)、セルロース類(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、結晶セルロース等)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、マンナン類、硫酸化糖、ムコ多糖、糖蛋白質及びβ−グルカンから選ばれる少なくとも一種が使用される。
【0016】これらのうち、プロポリス含有食品を確実にゲル化させるためには、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、寒天等の複合ゲルを使用するのが好ましい。
【0017】また、プロポリス抽出物をゲル化することができるとともに、ゲル化したときの増粘効果を発揮させることができ、加えて、プロポリス抽出物の樹脂特有の強い臭いを緩和でき、刺激味と辛味による粘膜刺激性を低減させる粘膜保護作用を発揮する硫酸化糖を使用するのが好ましい。硫酸化糖としてはコンドロイチン硫酸、ヘパリン類等が挙げられる。
【0018】さらに、生体内において、免疫の活性化を図る免疫賦活作用をプロポリス含有食品に付与するという観点から、ゲル化基剤としてβ−グルカンを使用するのが好ましい。β−グルカンとしてはカードラン、アガリクスエキス及びシイタケエキス等のβ−1,3−グルカンが挙げられる。
【0019】また、ゲル化基剤としてβ−グルカンを使用して免疫賦活作用をプロポリス含有食品に付与したとき、その作用をより増強させるために、抗腫瘍作用を有するハーブ類、例えばイチョウ葉、エキナセア、ニチニチソウ、ポドフィルム、イヌサフラン、セイヨウヤドリギ、杏仁、サンゴジュナ、キンセンカ、タンポポ、カミツレ、ビワヨウ等、キノコ類、例えば霊芝、シイタケ、マイタケ、アガリスク、冬中夏草、エノキ、カワラタケ等を添加してもよい。
【0020】プロポリス抽出物はフラボノイド等の作用を有効に発揮させるために、プロポリス含有食品中に2〜25重量%含有されるのが好ましく、アルコール抽出法により抽出されたプロポリス抽出物の場合は、5〜10重量%含有されるのが好ましい。
【0021】ゲル化基剤は、プロポリス抽出物を確実にゲル化させるために、プロポリス含有食品中に0.01〜10重量%含有されるのが好ましい。ゲル化基剤がカラギーナンの場合は、0.2〜1.2重量%含有されるのが好ましく、ローカストビーンガムの場合は、0.1〜0.5重量%含有されるのが好ましい。また、キサンタンガムの場合は、0.1〜0.5重量%含有されるのが好ましく、寒天の場合は、0.1〜0.5重量%含有されるのが好ましい。
【0022】なお、プロポリス含有食品は、ゲル化基剤に加えて、必要に応じて安定化剤、界面活性剤、可溶化剤、緩衝剤、甘味剤、矯味剤、懸濁化剤、コーティング剤、着香剤・香料(芳香剤)、着色剤、pH調整剤、粘稠剤、分散剤、防腐剤(保存剤)、溶剤(溶解剤)等を添加してもよい。
【0023】安定化剤としては、アルギン酸ナトリウム、各種ゴム類、グリセリン等が使用され、界面活性剤としてはラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80等が使用される。可溶化剤としては、エタノール等が使用され、緩衝剤としては、リン酸塩、炭酸塩等が使用される。甘味剤としては、精製白糖、アスパルテーム、果糖、ソルビトール、キシリトール、ブドウ糖、マンニトール、マルトース、トレハロース、パラチノース等が使用され、矯味剤としては、メントール、食物果汁、カラメル等が使用される。
【0024】懸濁化剤としては、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、乳糖等が使用され、コーティング剤としては、精製セラミック、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等が使用される。着香剤・香料(芳香剤)としては、フルーツフレーバー、プルーン、ミントオイル等が使用され、着色料としては、オレンジエッセンス、食用色素、カラメル等が使用される。
【0025】pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸の塩、酒石酸、酒石酸の塩、コハク酸、乳酸、乳酸カルシウム、リン酸塩等が使用され、粘稠剤としては、デキストリン、キサンタンガム、大豆レシチン、ポリエチレングリコール等が使用される。分散剤としては、アラビアゴム、でんぷん類、結晶セルロース、乳糖等が使用され、防腐剤(保存剤)としては、ソルビン酸、ソルビン酸の塩、安息香酸、安息香酸の塩、パラオキシ安息香酸類が使用される。溶剤(溶解剤)としては、精製水、エタノール等が使用される。
【0026】次に、プロポリス含有食品の製造方法について説明する。まず、水などにゲル化基剤をプロポリス含有食品中に0.01〜10重量%となるように添加し、例えば、加温することによりゲル化基剤を水に完全に溶解させる。次いで、この溶液を加温し、プロポリス抽出物をプロポリス含有食品中に2〜25重量%となるように溶液中に徐々に添加して、溶液とプロポリス抽出物とを均質化する。そして、甘味剤及びゲル化に必要な他の添加物を添加してゲル状組成物を調製し、それが均質になるまで混合する。
【0027】最後に、アルミスティック(アルミニウム製の細長い袋)、カップ等の適当な容器に、ゲル状組成物を充填し、通常室温又は低温下で30分〜5時間程度冷却することにより、プロポリス含有食品を得ることができる。
【0028】以上のように、この実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 実施形態のプロポリス含有食品によれば、プロポリス抽出物は、ゲルにより包埋されている。そのため、プロポリス抽出物が消化管を即座に流下するのを防止し、プロポリス抽出物中のフラボノイド等を消化管内に長時間滞留させることができる。また、ゲルは網目構造を有するため、フラボノイド等が網目から徐々に放出され、胆汁酸等の分泌液との接触時間が長くなる。その結果、フラボノイド等の有効成分の生体内への吸収効率を向上させることができる。
【0029】また、プロポリス抽出物が消化管の粘膜に直接接触するのを防止して、プロポリス抽出物特有の強い臭い及び刺激味と辛味による粘膜刺激性が低減される。従って、プロポリス含有食品を水がなくても容易に服用することができる。
【0030】・ 実施形態のプロポリス含有食品によれば、ゲル化基剤として硫酸化糖を使用した場合、プロポリス抽出物特有の強い臭いを緩和し、刺激味と辛味による粘膜刺激性を低減させる粘膜保護作用を発揮させることができる。その結果、プロポリス含有食品を水がなくても容易に服用することができる。また、プロポリス抽出物をゲル化することができるとともに、ゲル化したときの増粘効果を発揮させることができる。
【0031】・ 実施形態のプロポリス含有食品によれば、ゲル化基剤としてのβ−グルカンを使用した場合、プロポリス含有食品に免疫の活性化を図る免疫賦活作用、例えば抗腫瘍作用を発揮させることができる。
【0032】・ 実施形態のプロポリス含有食品によれば、プロポリス抽出物はアルコール抽出法により抽出される。そのため、プロポリスの有効成分であるフラボノイド等を効率よく抽出することができ、しかも微生物汚染を低くすることができる。
【0033】・ 実施形態のプロポリス含有食品によれば、プロポリス抽出物の含有量は、プロポリス含有食品中に2〜25重量%に設定され、アルコール抽出法により抽出されたプロポリス抽出物の場合は、5〜10重量%に設定される。そのため、フラボノイド等の作用を有効に発揮させることができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1)この実施例1では、ゲル化基剤としてカラギーナン、ローカストビーンガム及び寒天を使用してプロポリス含有食品を製造した。
【0035】まず、適量の水にゲル化基剤としてのローカストビーンガム1.5gを加えて懸濁した後、カラギーナン5.0gを加えて、それらを約80℃まで加温して溶解させた。別に、適当量の温水を調製し、そこに寒天2.5gを加え、沸騰水浴中で加熱溶解しておく。そして、先に調製したローカストビーンガム及びカラギーナンの溶解液に、寒天の溶解液を攪拌しながら添加した。
【0036】その後、ソルビン酸カリウム0.6g、塩化カリウム1.0g、乳酸カルシウム1.0g及びアスパルテーム1.2gをそれぞれ加えて溶解し、十分攪拌しながらプロポリス抽出物66.7gを徐々に加えてゲル状組成物1000gを調製し、それを均質化した。このとき、使用される水の総量は920.5gである。そして、ゲル状組成物をプロポリス含有食品の1回の服用量となるように、規定量ずつアルミスティック又はカップ容器に分注し、シール後、室温又は氷温にて冷却し、プロポリス含有食品を製造した。
【0037】(実施例2)この実施例2では、ゲル化基剤としてカラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、寒天及びコンドロイチン硫酸を使用してプロポリス含有食品を製造した。
【0038】まず、適量の水にゲル化基剤としてのローカストビーンガム2.5gを加えて懸濁した後、カラギーナン2.5g及びコンドロイチン硫酸1.0gを加えて、それらを約80℃まで加温して溶解させた。別に、適当量の温水に寒天3.5g及びキサンタンガム1.5gを加え、沸騰水浴中で加熱溶解しておく。そして、先に調製したローカストビーンガム、コンドロイチン硫酸及びカラギーナンの溶解液に、寒天及びキサンタンガムの溶解液を攪拌しながら添加した。
【0039】その後、ソルビン酸カリウム0.6g及びアスパルテーム1.2gをそれぞれ加えて溶解し、十分攪拌しながらプロポリス抽出物66.7gを徐々に加えてゲル状組成物1000gを調製し、それを均質化した。このとき、使用される水の総量は920.5gである。そして、ゲル状組成物をプロポリス含有食品の1回の服用量となるように、規定量ずつアルミスティック又はカップ容器に分注し、シール後、室温又は氷温にて冷却し、プロポリス含有食品を製造した。
【0040】(実施例3)この実施例3では、ゲル化基剤としてカラギーナン、ローカストビーンガム、β−グルカンとしてのシイタケエキス及びカードランを使用してプロポリス含有食品を製造した。
【0041】まず、適量の水にゲル化基剤としてのローカストビーンガム2.0gを加えて懸濁した後、カラギーナン5.0g及びシイタケエキス2.0gを加えて、それらを約80℃まで加温して溶解させた。別に、カードラン1.0gを水に溶解してカードランの1重量%の懸濁液を調製し、ホモミキサーで十分攪拌した後、先に調製したローカストビーンガム、カラギーナン及びシイタケエキスの溶解液を攪拌しながら添加した。
【0042】その後、ソルビン酸カリウム0.6g、乳酸カルシウム1.0g及びアスパルテーム1.2gをそれぞれ加えて溶解し、十分攪拌しながらプロポリス抽出物66.7gを徐々に加えてゲル状組成物1000gを調製し、それを均質化した。このとき、使用される水の総量は920.5gである。そして、ゲル状組成物をプロポリス含有食品の1回の服用量となるように、規定量ずつアルミスティック又はカップ容器に分注し、シール後、室温又は氷温にて冷却し、プロポリス含有食品を製造した。
【0043】(比較例1)比較例1では、アルコール抽出法により、プロポリスのアルコール抽出物を抽出した。
【0044】(フラボノイド溶出試験)実施例1で得られた2つのプロポリス含有食品としての検体1(12.477g)と検体2(12.457g)について、0,10,20,30,45,60,90分後におけるフラボノイドの溶出試験を行った。
【0045】(試験溶液の調製)検体1及び検体2の溶出液からそれぞれプロポリス含有食品を5mlずつ採取し、それらを遠心分離機を用いて遠心分離(12000rpm、10分間)した。そして、分離された沈殿に水1mlを加え攪拌分散した。さらに、遠心分離機を用いて遠心分離(12000rpm、10分間)し、分離された沈殿に99.5容量%エタノール2.5mlを加えて試験溶液1と試験溶液2とした。
【0046】(標準溶液の調製及び検量線の作成)ケルセチン50mgを99.5容量%エタノールに溶解し、50mlに定量してケルセチン濃度が1mg/mlの標準溶液1を調製した。さらに、標準溶液1を1ml分取し、それに99.5容量%エタノールを加えて10mlに定量してケルセチン濃度が0.1mg/mlの標準溶液2を調製した。最後に、標準溶液2を1ml分取し、それに99.5容量%エタノールを加えて10mlに定量してケルセチン濃度が0.01mg/mlの標準溶液3を調製した。
【0047】そして、標準溶液1〜標準溶液3をそれぞれ0.5ml採取し、80容量%エタノール4.3ml、10容量%硝酸アルミニウム0.1ml及び1M酢酸カリウム0.1mlをそれぞれ添加して調製した。次いで、それらを40分間放置した後、波長415nmにおける吸光度を測定した。その後、それらのブランクの吸光度をそれぞれ差し引いて補正し、その値と濃度により検量線を作成した。
【0048】(吸光度測定)続いて、試験溶液1及び試験溶液2をそれぞれ0.5ml採取し、80容量%エタノール4.3ml、10容量%硝酸アルミニウム0.1ml及び1M酢酸カリウム0.1mlをそれぞれ添加して調製した。それらを40分間放置した後、波長415nmにおける吸光度を測定した。その後、前記検量線を用いてフラボノイドの濃度を算出し、それらを平均した。
【0049】そして、試験溶液1及び試験溶液2のフラボノイドの濃度を0,10,20,30,45,60,90分後に測定し、各分におけるフラボノイドの濃度に対する0分におけるフラボノイドの濃度を示す溶出率(%)を算出した。なお、比較例1のプロポリス抽出物に対しても同様の試験を行った。その結果を表1及び図1に示す。図1において、グラフの横軸は経過時間(分)を示し、縦軸は溶出率(%)を示す。
【0050】
【表1】

表1及び図1に示すように、実施例1において、比較例1と比較してフラボノイドは時間が経過するにつれて徐々に溶出されることが示された。そのため、プロポリス抽出物をゲル化することにより、プロポリス含有食品中のフラボノイドの消化管での滞留時間が長くなり、その吸収効率が向上することが予測される。
【0051】(プロポリス含有食品の粘膜刺激性測定)実施例1〜実施例3及び比較例1で得られたプロポリス含有食品及びプロポリス抽出物を20〜70歳までの男女20人が服用し、モニターテストを行った。実施例1〜3で得られたプロポリス含有食品はそのまま服用し、比較例1のプロポリス抽出物は服用量全体量に対して6.67重量%となるように水に添加して服用した。
【0052】そして、プロポリス含有食品及びプロポリス抽出物の刺激性の有無、辛味及び食べやすさの3項目についてアンケートを行った。その採点基準は、刺激性については、刺激性が無いものは3点、少しあるものは1点、あるものは0点として評価し、辛味については、辛味が無いものは3点、少し辛いものは1点、辛いものは0点として評価した。食べやすさについては、おいしいものは3点、食べやすいものは1点、食べにくいものは0点として評価した。その結果を表2に示す。
【0053】
【表2】

表2に示すように、実施例1〜実施例3においては、比較例1に対して、プロポリス抽出物をゲル化することにより、刺激性及び辛味が減少し、食べやすさが向上することが示された。
【0054】(実施例4)この実施例4では、ゲル化基剤として寒天を使用してプロポリス含有食品を製造した。
【0055】プロポリス抽出物5ml及び寒天0.7gを蒸留水20mlに懸濁して、プロポリス含有食品を調製した。
(実施例5)この実施例5では、ゲル化基剤としてβ−グルカンを使用してプロポリス含有食品を製造した。
【0056】プロポリス抽出物5ml、β−グルカンとしてのシイタケエキス0.52g及びカードラン0.18gを蒸留水20mlに懸濁して、プロポリス含有食品を調製した。
【0057】(免疫賦活作用増強効果試験)実施例4及び実施例5で得られたプロポリス含有食品の免疫賦活作用としての抗腫瘍効果について測定した。
【0058】まず、肉腫細胞としてSarcoma−180を、マウス一匹あたり105 個となるように、マウスの皮下に移殖した。そして、移殖4日前から実施例4及び実施例5で得られたプロポリス含有食品を、それぞれ1日にマウスの体重1kgあたり1.7gとなるように、経口ゾンデを用いてマウスの胃内に直接強制投与した。そして、移殖25日目に腫瘍を採取してその重量を測定した。なお、比較例2では、肉腫細胞を移殖した後、プロポリス含有食品を投与せずに、移殖25日目の腫瘍の重量を測定した。その結果を表3及び図2に示す。図2において、グラフの横軸は腫瘍の重量(g)を示し、縦軸は試料を示す。また、グラフの先端から左右方向に延びる直線は標準偏差(σ)を示す。
【0059】
【表3】

表3及び図2に示すように、実施例4及び実施例5では、比較例2と比較して腫瘍の増殖が抑制され、25日目では比較例2に対して実施例4では44.8%、実施例5では54.4%の増殖抑制であった。また、ゲル化基剤としてβ−グルカンを使用した実施例5では、実施例4よりも17.3%強い抗腫瘍効果を示した。従って、プロポリス含有食品は免疫賦活作用の増強効果を発揮し、β−グルカンをゲル化基剤として使用した場合、さらにその効果が一層発揮されることが示された。
【0060】尚、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ プロポリス含有食品を、プロポリスを水蒸気雰囲気下に放置したり、加温したりしてゲル状に形成すること。このように構成した場合、プロポリス抽出物の有効成分の生体内への吸収効率を向上させることができる。
【0061】・ プロポリス含有食品を、プロポリス抽出物をゲル化基剤としての硫酸化糖とβ−グルカンとの併用によりゲル化して形成すること。このように構成した場合、プロポリス含有食品に粘膜保護作用を付与することができるとともに、免疫賦活作用を増強させることができる。
【0062】さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ 前記プロポリス抽出物の含有量は、プロポリス含有食品中に2〜25重量%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載のプロポリス含有食品。このように構成した場合、プロポリス含有食品にプロポリス抽出物の有効成分による生理活性作用を確実に付与することができる。
【0063】・ 前記ゲル化基剤の含有量は、プロポリス含有食品中に0.01〜10重量%の範囲である請求項2〜4のいずれかに記載のプロポリス含有食品。このように構成した場合、少量でプロポリス含有食品を確実にゲル化することができる。
【0064】・ 水にゲル化基剤をプロポリス含有食品中に0.01〜10重量%となるように添加し、ゲル化基剤を水に溶解させて溶解液を調製した後、プロポリスの抽出物をプロポリス含有食品中に2〜25重量%となるように前記溶解液に添加して、溶解液とプロポリスの抽出物とを均質化するプロポリス含有食品の製造方法。このように構成した場合、プロポリスの抽出物をゲル化したプロポリス含有食品を確実に製造することができる。
【0065】・ 前記ゲル化基剤は2種以上を組み合わせたものである請求項2に記載のプロポリス含有食品。このように構成した場合、プロポリス抽出物を確実にゲル化することができる。
【0066】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明のプロポリス含有食品によれば、プロポリス抽出物の有効成分の生体内での吸収効率を向上させることができるとともに、プロポリス抽出物特有の強い臭い及び粘膜刺激性を低減して、水がなくても容易に服用できる。
【0067】請求項2に記載の発明のプロポリス含有食品によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、プロポリス抽出物を確実にゲル化することができる。請求項3に記載の発明のプロポリス含有食品によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、粘膜保護効果を確実に発揮させることができるとともに、その服用をより容易にすることができる。
【0068】請求項4に記載の発明のプロポリス含有食品によれば、請求項2に記載の発明の効果に加え、免疫賦活効果を発揮させることができる。
【出願人】 【識別番号】591045471
【氏名又は名称】アピ株式会社
【出願日】 平成10年8月31日(1998.8.31)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開2000−69919(P2000−69919A)
【公開日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願番号】 特願平10−245211