| 【発明の名称】 |
食品の処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 宏行
【氏名】松尾 宏樹
【氏名】吉田 修
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| 【要約】 |
【課題】品質を低下させることがなく、かつ、長期間保存可能な無菌充填包装食品を得ることができる食品の処理方法を提供する。
【解決手段】食品を室温以上の電解酸性水に接触させる電解酸性水処理を行った後、室温以上の水で洗浄する水洗処理を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 食品を電解酸性水に接触させる電解酸性水処理を行った後、水で洗浄する水洗処理を行うことを特徴とする食品の処理方法。 【請求項2】 前記食品が、洗米して浸漬処理を行った米であり、かつ、前記水洗処理を行った後に炊飯処理を行うことを特徴とする請求項1記載の食品の処理方法。 【請求項3】 前記電解酸性水は、温度25℃におけるpHが7.0以下、酸化還元電位が800mV以上、溶存塩素濃度が1〜200ppmであることを特徴とする請求項1記載の食品の処理方法。 【請求項4】 前記電解酸性水は、温度25℃におけるpHが3.0以下、酸化還元電位が1000mV以上、溶存塩素濃度が10〜50ppmであることを特徴とする請求項1記載の食品の処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、食品の処理方法に関し、詳しくは、高品質かつ長期保存可能な無菌充填包装食品等を製造する際の食品の殺菌処理等を行う方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、各種食品を無菌状態で包装した商品が広く流通している。これらの製法としては、食品をガスバリア性のフィルム等で密封包装する前、あるいは密封包装した後に、高温に加熱して調理及び殺菌処理を施す方法が一般的に用いられている。 【0003】しかし、密封包装する前に加熱殺菌を行う方法では、殺菌工程を終えて密封包装を行うまでの間に、細菌等により二次汚染することがあった。これを防止するためには、クリーンルーム等の高額な無菌設備を設ける必要があるが、設備投資が大きくなり、コスト高の要因となっていた。このため、密封包装後に加熱殺菌を行うことが望ましいが、食品の種類によっては、高温での加熱処理によって品質に悪影響を受けるものがあった。 【0004】一方、米飯を例にとると、原料米(精白米)には、Bacillus属、Micrococcus属、Pseudomonas属等の細菌が、1g当たり102〜105個程度付着している。なかでも、Bacillus属の細菌が形成する耐熱性芽胞は、炊飯時の加熱だけでは十分に殺菌を行うことが困難である。このため、特開平5−176696号公報に記載された方法では、あらかじめ通常の炊飯方法で炊いた米飯を無菌設備内で脱酸素剤と共に密封包装した後、さらに高温で加熱殺菌処理を行って耐熱性芽胞を死滅させるようにしている。ところが、この方法では、クリーンルーム等の高額な無菌設備が必須であるだけでなく、高温での再加熱による米飯の品質劣化は免れなかった。 【0005】また、過度な加熱による殺菌ではなく、無菌化(無菌の状態に近づける)の範疇で、静菌剤により微生物の増殖を抑制する方法も行われている。しかし、この場合には、厳密には無菌状態ではないものが多く、また、静菌剤の添加によって食品の品質に悪影響を与えることがあった。例えば、特開平5−176693号公報には、グルコノデルタラクトンや有機酸類等の静菌効果を有する物質を、米の浸漬水や炊飯水に添加し、炊飯後のpHを低下させることによって製品の保存性を高める方法が記載されている。しかし、この方法では、添加剤によって製品に酸味及び酸味臭が出て品質が損なわれていた。 【0006】これに対して、特開平8−131136号公報に記載された食品の殺菌方法は、塩化ナトリウム溶液等の電気分解の際に陽極側に得られる水(電解酸性水)を用い、さらに食品を蒸気透過性及びバクテリアバリア性を有するフィルムで被覆して加熱調理するようにしている。この方法によれば、過度の加熱や静菌剤の添加による品質劣化を解消し、クリーンルーム等の高額な無菌設備を必要としない低コストな食品が得られる。 【0007】すなわち、上述の方法は、無菌充填包装米飯を例にした場合、殺菌手段として電解酸性水を炊飯水として用い、さらに場合によっては、洗米や浸漬の際の水としても使用するようにしている。この方法は、前記特開平5―176693号公報に記載された方法に比べると、品質的に優位性の高いものであった。しかし、炊飯水として電解酸性水を使用すると、若干ではあるが、電解酸性水の影響で品質が低下することがあった。 【0008】そこで本発明は、電解酸性水を使用するために生じる食品の品質の低下を回避し、より高品質で、かつ、長期間保存することが可能な無菌充填包装食品等を製造することができる食品の処理方法を提供することを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の食品の処理方法は、食品を電解酸性水に接触させる電解酸性水処理を行った後、水で洗浄する水洗処理を行うことを特徴とするものであり、特に、前記食品が洗米して浸漬処理を行った米であり、かつ、前記水洗処理を行った後に炊飯処理を行うことを特徴としている。 【0010】さらに、前記電解酸性水が、温度25℃におけるpHが7.0以下、好ましくは3.0以下、酸化還元電位が800mV以上、好ましくは1000mV以上、溶存塩素濃度が1〜200ppm、好ましくは10〜50ppmであることを特徴としている。 【0011】前記電解酸性水処理は、食品表面の殺菌や菌の損傷(耐熱性低下等)を主な目的とした処理であり、食品と電解酸性水との接触は、食品を電解酸性水中に浸したり、食品に電解酸性水をシャワリングすることにより行うことができ、適宜に撹拌することによって接触効果を高めることができる。 【0012】本発明で用いる電解酸性水は、25℃におけるpHが7.0以下、酸化還元電位が800mV以上、溶存塩素が1〜200ppmが適当であり、特に、pHが3.0以下、酸化還元電位が1000mV以上、溶存塩素が10〜50ppmであるものが好ましい。電解酸性水の特性が上記範囲内であれば、十分な殺菌効果が得られるとともに、次の水洗処理も容易に行うことができる。 【0013】また、電解酸性水の温度は、高いほど殺菌等の効果は高く、室温(常温)〜100℃(沸点)の間で、食品の種類に応じて適宜に選択することができる。すなわち、食品を電解酸性水に接触させた場合に、十分な殺菌等の効果が得られ、かつ、その食品の品質に大きな変化が認められない温度に設定すればよい。例えば、米の場合には40〜75℃が適当である。 【0014】電解酸性水処理の時間は、特に制限されるものではなく、食品の種類や電解酸性水の温度等により適宜に設定することができる。電解酸性水の効果は速効性であり、短時間でも十分な効果を発揮するので、例えば、米の場合は1秒〜5分、好ましくは15秒〜2分が適当である。1秒未満では十分な効果が得られないことがあり、1秒でも相当な効果が得られるが、15秒以上行うことで、より確実な効果が得られる。一方、5分を超えて処理を行っても、殺菌等の効果はほとんど進展せず、食品の内部に侵入する電解酸性水が多くなるので、後工程の水洗処理に過大な負担がかかるだけでなく、電解酸性水の除去が不十分となって食品の品質に悪影響を与えることもある。したがって、食品の品質に与える影響を考慮すると、電解酸性水との接触時間は、殺菌等の効果を損なわない範囲でできるだけ短く設定することが好ましい。 【0015】電解酸性水処理後の水洗処理は、電解酸性水処理によって食品に付着した電解酸性水を洗い流すことを主な目的とした処理であり、通常は、電解酸性水処理を行った食品を水道水等の通常の水に浸して適宜撹拌したり、流水中に浸したり、シャワリングしたりすることにより行うことができ、水中での超音波洗浄も併用することができる。 【0016】このとき用いる水は、通常の飲料水でよく、特に限定されるものではない。水温や時間は、適宜に設定することができ、常温でも十分であるが、水温は高いほど、時間は長いほど、洗浄効果は高まるので、食品の品質に悪影響を与えない範囲で選択すればよい。通常、水温は、常温(室温)〜100℃が適切であり、米の場合には室温〜40℃が好ましい。洗浄時間は、水温が低い場合には食品への影響が少ないので長時間洗浄が可能であるが、水温を高くする場合には、品質への影響を極力抑えるために短くすべきである。 【0017】なお、前記電解酸性水処理や水洗処理は、食品をコンベヤー等で搬送しながら連続的に行うこともできる。また、浸漬等の処理と水切りとを複数回繰返して行うことも効果的であり、電解酸性水処理では、異なる特性の電解酸性水を用いるようにしてもよい。 【0018】このように、電解酸性水処理を行った後に水洗処理を行うことにより、食品に付着した電解酸性水を除去することができるので、電解酸性水に起因する食品の品質低下を防止することができる。 【0019】例えば、最終的な製品が米飯である場合には、常法通り、水道水等の通常の水で洗米して浸漬処理を行った米に前記電解酸性水処理と水洗処理とを行い、次いで通常の水で常法通りに炊飯することにより、無菌状態で高品質な米飯が得られる。すなわち、洗米,浸漬,炊飯の各工程では電解酸性水を全く使用せず、浸漬処理後に前記電解酸性水処理を施し、次いで水洗処理を行ってから炊飯を行うので、電解酸性水が製品の米飯に残存することがほとんどなく、高品質でかつ長期間保存可能な米飯を得ることができる。 【0020】以下、米飯の製造を例に挙げて処理手順をさらに詳細に説明する。まず、洗米及び浸漬処理は、通常の炊飯操作と同様に行うことができ、通常の水で常法通りの操作を行い、米に十分に水を吸収させる。 【0021】次に、浸漬処理終了後の米を、米が通過しない程度のメッシュのざる等の容器に移し、容器ごと電解酸性水中に浸漬して電解酸性水処理を行う。米の場合は、その内部ではなく、表面層が細菌等により汚染されているため、電解酸性水を内部まで含浸させる必要はなく、表面に接触させるだけで十分な殺菌等の処理を行うことができる。また、前工程の浸漬処理で十分に水を吸収した米粒は、電解酸性水と接触しても電解酸性水が米粒の内部まで浸入することはない。このような電解酸性水処理を行うことにより、米粒表面の殺菌や菌の損傷を行うことができる。 【0022】電解酸性水処理を行った後、電解酸性水の水切りを行ってから、前記容器ごと水中に浸漬して水洗処理を行い、米の表層に付着した電解酸性水が残留しないように洗浄する。この水洗処理は、流水中で行い、かつ、水中への浸漬と水切りとを繰返すことにより、電解酸性水の除去を効果的に行うことができる。 【0023】水洗処理を行った米は、通常の水を使用して通常の方法で炊飯を行うことができる。したがって、従来法では、炊飯あるいは洗米や浸漬の段階で電解酸性水を使用するため、電解酸性水が米粒内に侵入することが避けられなかったが、本発明方法によれば、米粒内に電解酸性水が侵入することはほとんどなく、しかも、電解酸性水処理後に水洗処理を行って電解酸性水を除去するようにしているので、米粒に電解酸性水を含まない状態で炊飯でき、これによって非常に高品質の米飯の製造が可能になる。 【0024】上述の処理を施した米を使用して無菌充填包装米飯を製造する際には、耐熱性プラスチックトレーに上記処理を施した米と、通常の水とを充填し、蒸気透過性及びバクテリアバリア性を有するフィルムで覆い、高温蒸気等で加熱して個食容器炊飯を行えばよい。炊飯後は、通常のものと同様に、容器をガスバリア性フィルムで被覆して製品とする。また、必要に応じて脱酸素剤を封入してもよい。 【0025】炊飯時に使用する上記フィルムとしては、蒸気を透過する機能(蒸気透過性)と、微生物を透過させない機能(バクテリアバリア性)とを有するとともに、加熱調理温度に対応した耐熱性を具えているものであれば、様々な材質のものを使用することができる。また、全体的に蒸気透過性を有するフィルムを使用することができるが、蒸気透過性部分を形成する蒸気透過性フィルムと、蒸気非透過性部分を形成する蒸気非透過性フィルムとを接合したり、蒸気透過性フィルムの一部を加工して蒸気非透過性にしたり、蒸気透過性フィルムの一部に蒸気非透過性フィルムを積層したりしたものを使用することもできる。なお、蒸気非透過性フィルムとしては、所定の耐熱性を有し、かつ、蒸気透過性フィルムとの接合に必要な接合性を有するものであればよく、食品の包装に通常用いられるているポリエチレンや、ポリエチレンとポリスチレンとの積層フィルム等を使用できる。 【0026】なお、本発明方法は、上述の米飯の製造の他、麦飯やおかゆ等の製造にも効果的であり、アワ,ヒエ等の穀類をはじめとして、大豆,小豆,グリーンピース等の豆類、コーン,大根,人参,ジャガイモ,サツマイモ,里芋,アスパラガス等の各種野菜類、スパゲッティ,マカロニ等のパスタ類、うどん,そば,ラーメン,ソーメン等の麺類の前処理として極めて効果的である。また、製品形態としても、無菌充填包装食品の製造のみならず、チルド食品や冷凍食品,乾燥食品等の殺菌工程としても利用できる。 【0027】 【実施例】実施例1うるち米を常法により洗米して浸漬処理を行った後、この米を75℃に保温した電解酸性水(pH2.3,酸化還元電位1180mV,溶存塩素35pm)中に投入し、緩やかに撹拌しながら60秒間の電解酸性水処理を行った。一旦、電解酸性水から米を取出して水切りをした後、新しい電解酸性水を用いて同じ条件の電解酸性水処理を行った。1回の電解酸性水処理に使用した電解酸性水は、うるち米10kg(洗米・浸漬後は12.2kg)に対して、22.5kgとした。次に、水道水をオーバーフローさせた流水中に米を投入し、緩やかに撹拌しながら150秒間の水洗処理を行った。この水洗処理は、水切りを挟んで3回繰り返した。 【0028】水洗処理した米110gと水90mlとを耐熱性プラスチック容器(上下層はポリエチレン,中間層(ガスバリア層)はエチレン酢酸ビニルアルコール共重合体(商品名エバール))に充填し、蒸気透過性及びバクテリアバリア性を有するフィルム(デュポン(株)製:高密度ポリエチレン繊維シート、商品名タイペック)で被覆した。 【0029】これを連続式蒸し機により100℃で60分の個食炊飯を行った。その後、さらにガスバリア製フィルム(表層はナイロン,中間層はエチレン酢酸ビニルアルコール共重合体(商品名エバール),シーラント層(接合面)はポリエチレン)で被覆し、無菌充填包装米飯とした。製造した1500食を、35℃で1ケ月間保管し、大量保存したときの1週間毎の腐敗状況の確認と1ケ月後の品質評価試験とを行った。なお、腐敗状況の確認は、1週間毎に全検体の腐敗状態を目視で確認し、その累計を腐敗検体数とした。その結果を表1に示す。また、品質評価試験は、加温して実際に喫食し、味,臭い,色合いを評価し、これらの総合評価を行った。同時に、米飯の9倍量の蒸留水を加えて米飯を破砕し、その上澄みのpHを測定した。その結果を表2に示す。 【0030】比較例1実施例1における電解酸性水処理及び水洗処理を行わなかった以外は、実施例1と同じ条件で充填包装米飯を1500食製造し、35℃で大量保存したときの1週間毎の腐敗状況の確認(表1)と、1ケ月後の品質評価試験(表2)とを行った。 【0031】比較例2うるち米を、常法通り洗米して浸漬した後、電解酸性水(pH2.3、酸化還元電位1180mV、溶存塩素濃度35ppm)を炊飯水として個食炊飯した。炊飯水と米との割合や炊飯条件は実施例1と同じとした。実施例1と同様に1500食を35℃で保存し、1ケ月後の品質評価試験(表2)を行った。 【0032】 【表1】
【0033】表1から明らかなように、比較例1では、4週間後に1500食のうち累計7食に腐敗が認められたのに対し、実施例1では、全検体において腐敗検体は認められず、全数が完全に殺菌されていることが証明された。 【0034】 【表2】
【0035】表2の結果から、比較例2は、味,臭いについて実施例1及び比較例1に比べて僅かに劣ることがわかる。これは、電解酸性水を炊飯水に使用しているためであると思われる。また、比較例2のpHは、3区の中でもっとも低い。これに対し、実施例1は、個食炊飯である以外は通常の炊飯米に近い比較例1に比べて味,臭いともに差がなく、電解酸性水処理及び水洗処理による品質への悪影響はないことがわかる。むしろ、色合いについては、比較例1よりも良好な印象であった。これらの結果から、実施例1の総合評価は、比較例1及び比較例2に比べて良い結果となった。 【0036】また、静菌効果を有するグルコン酸等を炊き水に添加して保存性を向上させた米飯等では、pHが4.5前後のものが多いが、実施例1は、比較例1と略同じpH値であり、通常の炊飯米に極めて近いことがわかる。 【0037】実施例2米に対して麦を1割加えた麦飯を製造した。製造手順は実施例1と略同様とした。その結果、実施例1と同様に、保存性が良好で、1ケ月保存後の品質にも優れたものが得られた。 【0038】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の食品の処理方法によれば、品質を低下させることがなく、かつ、長期間保存可能な無菌充填包装食品を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000231235 【氏名又は名称】日本酸素株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年8月19日(1998.8.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086210 【弁理士】 【氏名又は名称】木戸 一彦 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−60512(P2000−60512A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月29日(2000.2.29) |
| 【出願番号】 |
特願平10−232896 |
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