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【発明の名称】 起泡性飲料の製造方法
【発明者】 【氏名】中田 恭弘

【氏名】佐藤 隆浩

【要約】 【課題】

【解決手段】乳入り飲料製造工程において、飲料全量中の乳脂肪分が0.1 重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 乳入り飲料製造工程において、飲料全量中の乳脂肪分が0.1重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法。
【請求項2】 乳入り飲料製造工程において、飲料全量中の乳脂肪分が0.01重量%以上0.05重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法。
【請求項3】 乳入り飲料製造工程において、乳成分溶解温度を25〜 50 ℃に調整し、かつ飲料全量中の乳脂肪分が0.1 重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法。
【請求項4】 乳入り飲料製造工程において、乳成分溶解温度を25 〜50℃に調整し、かつ飲料全量中の乳脂肪分が0.01重量%以上0.05重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法。
【請求項5】 乳成分が、脱脂粉乳単独であるか、または脱脂粉乳に牛乳若しくは全粉乳の少なくとも一方を配合したものである、請求項1〜4いずれかに記載の起泡性飲料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製造工程中の起泡を抑制し、かつ加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することのできる、起泡性飲料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、粉末のインスタントコーヒーでは調製時にウインナコーヒー、カプチーノ、エスプレッソ様の泡を形成できる製品が知られている。これらの製品には一般に各種の動植物蛋白、多糖類、界面活性剤等の起泡剤が使用されている。
【0003】一方、缶コーヒー、缶紅茶に代表される缶飲料では起泡剤が配合されていると、製造工程において種々の問題が生じ、実用化が難しい。例えば、乳入り缶コーヒー飲料の製造は、コーヒー液の抽出工程、粉乳類を溶解する溶解工程、それらを混合する調合工程、および充填・殺菌工程より成るが、例えば、溶解工程、調合工程では攪拌による空気の衝撃や送液時の空気の抱き込みによって過剰な泡が発生し、製造ラインに大きな支障をきたす。この溶解工程での起泡の問題は、粉乳類、起泡剤、安定剤を個別に溶解することによって泡の質を粗くし、消泡しやすくしてある程度は回避することができる。また、調合工程以降の起泡を抑えるには、通常シリコーン消泡剤、アルコールなどが用いられる。しかし、シリコーン消泡剤は、加熱後も残存して製品中の起泡を阻害するため、本発明の意図するような起泡性のある製品には使用できない。
【0004】本発明者らは、飲料全量中の乳脂肪分を一定の範囲に調整することによって、製造時の起泡を抑制し、かつ、加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することができる起泡性コーヒー飲料を提案した(特願平9−22467号)。しかし、製品の起泡性についてはより高いものが求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、製造工程中の起泡を抑制し、かつ加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することのできる、起泡性飲料の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、飲料全量中の乳脂肪分および乳成分の溶解温度を調整することによって、製造工程中の起泡を抑制し、しかも加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、乳入り飲料製造工程において、飲料全量中の乳脂肪分が0.1 重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法である。
【0007】本発明はまた、乳入り飲料製造工程において、乳成分溶解温度を25〜 50 ℃に調整し、かつ飲料全量中の乳脂肪分が0.1 重量%以下となる量の乳成分を、起泡剤とともに原料液に添加することを特徴とする、起泡性飲料の製造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明にいう起泡性飲料は、コーヒー、紅茶、ココア、抹茶などの原料液を単独または混合し、乳成分を配合して乳入り飲料とすることのできるものであれば特に限定はされない。乳成分を添加する原料液は、それぞれの原料の抽出液、乾燥粉体の溶解液などが挙げられる。
【0009】例えば、コーヒ−飲料の場合は、コーヒー豆の抽出液やインスタントコーヒー溶解液を原料液として用いる。コーヒー豆の抽出を行う場合、コーヒー豆の種類は、特に限定されないが、例えば、ブラジル、コロンビア、タンザニア、モカ等が挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、または複数種をブレンドして用いてもよい。焙煎は通常の方法で行えばよく、焙煎の程度は所望する呈味により適宜調整すればよい。具体的には、焙煎を深くすると苦みが強くなり、焙煎が浅いと酸味が強くなる。コーヒー焙煎豆の抽出方法は、特に限定されないが、例えば熱水抽出で行う。
【0010】本発明における起泡性飲料には、乳成分として、脱脂粉乳単独か、脱脂粉乳に牛乳または全粉乳のいずれかまたは両方を組み合わせて用いる。その他、適宜、生クリーム、濃縮乳、脱脂乳、部分脱脂乳、れん乳等を配合してもよい。上記の乳成分は、起泡性飲料全量中の乳脂肪分が0.1 重量%以下、好ましくは0.01重量%以上0.05重量%以下となるような量を配合する。乳脂肪分が0.01重量%より少なくても、また0.1 重量%より多くても、製品に所望する安定な泡を形成することができない。
【0011】また、上記乳成分は、溶解温度25〜50℃に調整して原料液に溶解することにより、製造工程中の起泡が加温して溶解する場合より顕著に抑制される。具体的には、溶解時の起泡スピードが低く、調合液自体の起泡力が低くなる。その一方、加熱殺菌後の製品においては従来よりも一段と安定な泡を形成できる。本発明による起泡性飲料においては、乳脂肪分を除去した乳成分により起泡性が付与されるが、さらに、起泡剤として、卵白ペプタイド、大豆タンパク、小麦タンパク、ゼラチン、カゼインナトリウム等の動植物起源の蛋白質またはその加水分解物を用いる。
【0012】また、起泡性は、副原料として用いる後記乳化剤、安定剤によっても付与される。また、本発明における起泡性飲料に用いる糖分としては、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液糖、糖アルコール等から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、ショ糖が好ましい。
【0013】さらに、本発明における起泡性飲料には、副原料としてpH調整剤、乳化剤、安定剤、香料等を用いる。香料には、目的とする起泡性飲料の種類に応じ、コーヒー、紅茶、ココア、抹茶、バニラ、カスタード、アーモンド、キャラメル、黒糖などの風味を適宜付与できるものであれば特に限定はされない。pH調整剤は加熱殺菌による乳蛋白質の沈殿生成を防止できるものであれば特に限定はされないが、例えば重曹が好適に用いられる。
【0014】乳化剤としては、加熱殺菌による乳蛋白質の沈殿生成や、脂肪の分離を防止できるものであれば特に限定されないが、例えばショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、微結晶セルロース、レシチン、サポニン等が好適に用いられる。安定剤としては、乳化の安定化、ゲル化などの機能により、品質の安定化が望めるものであれば特に限定されないが、例えばカラギナン、アラビアガム、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、プルラン等の植物起源の多糖類およびその誘導体が好適に用いられる。
【0015】本発明の起泡性飲料の製造方法を、乳入りコーヒー飲料の場合を例として説明する。まず、コーヒー抽出液に所定量の糖分、例えばショ糖を加え溶解させた後、重曹にてpHを6.8 〜7.1 に調整する。これに、25〜50℃に調整した乳成分と、乳化剤、起泡剤、安定剤の溶解液をホモゲナイズ処理した液を加え、さらに香料も加えてコーヒー調合液とする。これを例えば60〜70℃に昇温後、ホモゲナイズ処理し、さらに90℃に昇温後、容器に充填してレトルト殺菌する。レトルト殺菌は、例えば115 〜130 ℃、15〜30分間、10〜60Fにて行う。ここで使用される容器としては、例えば缶(アルミニウム、スチール)、瓶(ガラス)である。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕 起泡性コーヒー飲料の製造焙煎したブラジル豆を粉砕した後、攪拌を行いながら、15倍量の95℃の熱水で、15分間抽出を行った。抽出終了後、市販の紙製の濾過フィルターで抽出液を濾過し、濾液を氷冷した。得られた液(以下、コーヒー抽出液)の可溶性固形分(ブリックス;Brix )は2.0 であり、抽出率は25% であった。このコーヒー抽出液を1000g 処方でのコーヒー焙煎豆の使用量が40g になるように秤量した。この抽出液に、ショ糖を50g 添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整した。次いで、乳成分として飲料全量中の乳脂肪分が0.02、0.04、0.05重量%となる量を35℃または60℃で溶解した脱脂粉乳と、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル0.3g、起泡剤として卵白ペプタイド1.0g、安定剤としてカラギナン0.5gを溶解した液をホモゲナイズ処理(1次圧100kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の計150kg/cm2)にて均質化した液を順次前記コーヒー抽出液へ添加した。最後に、香料を1g加え、コーヒー調合液とした。この調合液をホモゲナイズ処理(1次圧150kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の計200kg/cm2)して均質化し、90℃に昇温後、缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃, 20分間, F=39) 、目的の起泡性コーヒー飲料を得た。
【0017】〔実施例2〕 起泡性ココア風味飲料の製造実施例1で1000g 処方でのコーヒー焙煎豆の使用量が40g になるように秤量したコーヒー抽出液に対してカカオエキスを5g、ショ糖を50g 添加し完全に溶解した後、重曹を加えpHを6.9 に調整した。次いで、乳成分として飲料全量中の乳脂肪分が0.04重量%となる量を35℃で溶解した脱脂粉乳と、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル0.3g、起泡剤として卵白ペプタイド1.0g、安定剤としてカラギナン0.5gを溶解した液をホモゲナイズ処理(1次圧100kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の計150kg/cm2)にて均質化した液を順次前記コーヒー抽出液に添加した。最後に、香料を1g加え、コーヒー調合液とした。この調合液をホモゲナイズ処理(1次圧150kg/cm2 、2次圧50kg/cm2の計200kg/cm2)して均質化し、90℃に昇温後、缶に充填し、レトルト殺菌を行い(124℃, 20分間, F=39) 、目的の起泡性ココア風味飲料を得た。
【0018】〔試験例1〕 起泡性試験(1) 試料実施例1において、乳成分の配合量と溶解温度を異なった条件で調製した各コーヒー飲料、および実施例2で調製したココア風味飲料を本試験の試料とした。製造時における起泡力は、ホモゲナイズ処理をした調合液(レトルト殺菌前)を、また製品後の起泡力は、レトルト殺菌後常温にて7日間経過後の保存液をそれぞれ試料とし、以下の方法にて測定した。
【0019】(2) 測定方法使用する試料は予め20〜25℃にする。市販のスピッツ管(イワキガラス社製CORNING 、容量15ml、直径14.5mm、蓋付きプラスチック製)に泡立てないように注意しながら試料10mlを計り取り、蓋を閉めた後、管を横にした状態で5秒以上(15 〜20回) 激しく振盪する。試験管立てに1分間静置後、泡の高さをmm単位で測定し、平均値(n=3以上) を起泡力とした。製造時における起泡を抑制するには本測定方法での測定値が15mm以下、製品に所望する安定な泡を形成させるには本測定方法での測定値が30mm以上とした。
【0020】(3) 結果結果を表1に示す。上記の測定値と起泡性の相関より、飲料中の乳脂肪分が0.1 重量%以下の範囲で、かつ乳成分の溶解温度を35℃にすれば、調合液の起泡力が15mm以下、製品の起泡力が30mm以上となって、製造工程中の起泡を抑制し、かつ製品においては所望する安定な泡が形成できると判断される。
【0021】
【表1】

【0022】
【発明の効果】本発明によれば、製造工程中の起泡を抑制し、かつ加熱殺菌後の製品において安定な泡を形成することのできる、起泡性飲料の製造方法が提供される。また、この起泡性に対する好ましい効果は、コーヒー、紅茶、ココア等の原料の違いに左右されず、いずれにおいても得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
【出願日】 平成10年8月24日(1998.8.24)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2000−60507(P2000−60507A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平10−237460