| 【発明の名称】 |
魚肉加工食品用油脂組成物及び魚肉加工食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】福田 哲郎
【氏名】富樫 博純
【氏名】伊藤 秀行
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| 【要約】 |
【課題】生食に供する生鮮魚肉の食味向上の目的で魚肉となじみが良く、且つ、魚肉本来の呈味性を引き立てる油脂組成物を開発することを課題とする。
【解決手段】油脂に対してポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの内の1種又は2種以上を適当量配合した油脂組成物、又は当該油脂組成物にアミノ酸系の調味料を配合した調味料含有油脂組成物を使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】食用油脂に対してポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの内から選ばれた1種又は2種以上の乳化剤を配合することを特徴とする魚肉加工食品用油脂組成物。 【請求項2】ポリグリセリン脂肪酸エステルがジグリセリン脂肪酸モノエステルである請求項1記載の魚肉加工食品用油脂組成物。 【請求項3】請求項1又は2記載の魚肉加工食品用油脂組成物に、たんぱく加水分解物、発酵調味液及び酵母エキスの内から選ばれた1種又は2種以上を配合することからなる魚肉加工食品用油脂組成物。 【請求項4】請求項1、2及び3のいずれか一項記載の魚肉加工食品用油脂組成物を配合してなる魚肉加工食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は魚肉加工食品用油脂組成物及びそれを用いた魚肉加工食品に関するものである。 【0002】 【従来の技術】生鮮魚肉は刺身や寿司種や丼の具材などとして生食用として大量に消費されている。 【0003】これらの生食用の生鮮魚肉には、刺身や寿司種及び丼の具材などとして好まれる魚種があり、また好まれる魚種であっても特に好まれる部位と食味が劣るために好まれない部位がある。例えば、マグロや鮭の大トロと呼ばれる部位や、ブリ、カンパチ、シマアジなどの魚種で脂の乗った部位が特に好まれる。そのためにこのような魚種及びその部位は他の魚種及び部位に比べ高価である。 【0004】従って、生食では食味が劣るために好まれない魚種や好まれる魚種であっても好まれない部位を加工し、食味を向上させ生食用として有効利用することが試みられてきた。 【0005】例えば、マグロの粉砕肉100重量部当りガス量が100g中20ml以下である急冷練り合わせをしたショートニングを5〜25重量部加えて練り合わせる方法(特許公報第2676193号公報)や、ミンチ状生鮮魚肉に、魚介類からの抽出液で呈味成分を含有し油脂の融点が15〜40℃でかつ固体脂指数が20℃で5〜25である油中水分散型エマルジョンを1〜30重量%混合する方法(特許公報第2570298号公報)が提案されている。 【0006】しかしながら、上記のような方法を利用した魚肉加工食品は、粉砕魚肉に単にショートニングを練り込んだりミンチ状生鮮魚肉に油中水分散型エマルジョンを混合したものであり、魚肉表面は水分で湿った状態であるために油脂とのなじみが悪く、練り込んだり、混合したりしたショートニングや油中水型エマルジョンは単に魚肉表面上に散在するだけで魚肉加工食品中の均一性も乏しく、食した時に違和感があり、魚肉そのものの自然な食味向上は達成されない。魚肉加工食品中のショートニングや油中水型エマルジョンの均一性を向上させるためや魚肉内部への浸透を意図して強力な攪拌を行うと魚肉組織の破壊が生じ逆に食味食感の大幅な低下を招いてしまい好ましくない。また、油中水型エマルジョンとして水中に含まされた呈味成分はその乳化が破壊されなければ有効にその呈味性を発現することができない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような問題に鑑み、生食に供する生鮮魚肉の食味向上の目的で魚肉に油脂分を混合するに当たって、当該油脂分が魚肉となじみ、外観が改善され、摂食に際して違和感のない魚肉加工食品を得る方法と、併せて、本来呈味性の劣る魚肉においても美味しく食べられる呈味性を付与する方法を提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、魚肉への混合用に使用される油脂に対してポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの内から選ばれた1種又は2種以上の乳化剤を配合することにより当該油脂と魚肉とのなじみが大きく改善され、油脂の魚肉表面への均一な付着あるいは魚肉組織内への浸透により食味の改善がはかられると同時に外観上も優れたものに改善されることを見出した。加えて、かかる油脂と乳化剤の混合物に適量のたんぱく加水分解物、発酵調味料又は酵母エキスの内から選ばれた1種又は2種以上のアミノ酸/ペプタイド系調味料を併用することにより、本来呈味性の劣る魚肉においても美味しく生食が可能になることを見出し本発明を完成させたものである。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の魚肉加工食品の対象とされる魚肉は生食が可能であれば魚種や部位には限定されない。又、形態は“すき身”や“中落ち”と呼ばれるそのまま摂食されるのに適した大きさの切り身と、“たたき”と呼ばれる細かく裁断されたものが一般的であるが、その大きさや裁断方法は特に限定されるものではない。 【0010】本発明に用いられる油脂としては、大豆油、菜種油、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油等の植物性油脂及びそれらの水素添加された硬化油、豚脂、牛脂、鶏脂、魚油等の動物性油脂及びそれらの水素添加された硬化油、あるいはこれらの油脂類のエステル交換油及びそれらの水素添加された硬化油等があり、魚肉に混合して摂食した時に違和感がないものであれば食用として一般に用いられている油脂は全て利用できる。これらの油脂は単独で、あるいは、2種以上の混合物として使用できるが、低温での魚肉とのなじみ、魚肉組織中への浸透性、あるいは摂食時の食味等から融点の高すぎる油脂は好ましくなく、使用する油脂の融点は35℃以下であることが好ましい。 【0011】本発明において使用される乳化剤は油脂に容易に溶解することができ、且つ、その油脂を親水性に改質して表面が親水性である魚肉表面への付着あるいは魚肉組織内への浸透性を高める作用を有することが必須条件であり、それらの条件を備えたものとしてポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル及びグリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルが挙げられる。これらの乳化剤の内の1種又は2種以上の混合物での使用が可能である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの中ではジグリセリン脂肪酸モノエステルが特に優れた改良効果を有している。 【0012】これらの乳化剤を構成する脂肪酸の種類は、使用される油脂に溶解する範囲において飽和、不飽和、あるいは鎖長の長短は特には限定されないが、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸を主成分とする脂肪酸を原料とするエステルが低融点で油脂への混合性も良好でありより好適である。 【0013】これらの乳化剤の油脂への配合量は当該油脂に対して0.3重量%以上15.0重量%未満、より好ましくは1.0重量%以上10.0重量%未満が適当である。配合量が0.3重量%以上でないと油脂の魚肉への付着性あるいは魚肉組織内への浸透作用は不十分となり、それを用いた魚肉加工食品の食味向上をはかることが困難になる。一方、油脂の魚肉への付着あるいは魚肉組織内部への浸透性はこれらの乳化剤の油脂への配合量が増加することによって良好となるが、あまりに配合量が多いと乳化剤の異味が感じられるようになり不適当となる。 【0014】本発明では、上記の乳化剤配合の油脂組成物にたんぱく加水分解物、発酵調味料あるいは酵母エキス等のアミノ酸/ペプタイド系の調味料を併用することにより魚肉加工食品の呈味性はより大きく改善される。たんぱく加水分解物には大豆たんぱく質、小麦たんぱく質等を加水分解した植物性加水分解たんぱく(HVP)と牛、豚、羊等の家禽類の肉、皮又は毛あるいは魚肉、絹等を加水分解した動物性加水分解たんぱく質(HAP)がある。発酵調味料としては醤油及び魚醤等がある。 【0015】アミノ酸系の調味料は生鮮魚肉と良く合う調味料であり、油脂と共に使用することにより魚肉の旨味を強く引き立てる効果を発揮する。本発明に用いられる調味料はいずれもアミノ酸とペプタイドを豊富に含有しているので魚肉加工食品の呈味を高めるのに適しており、配合量が少量でも優れた呈味性向上効果が発現される。 【0016】これらの調味料は粉末で用いることも可能であるが、油脂組成物中に均一に分散するためには水溶液として用いることが好ましい。また、その配合量は特には限定されないが、油脂組成物中1.0重量%以上5.0重量%未満が適当である。 【0017】本発明においては親水性乳化剤が使用されるので添加された調味料は油滴の表面に存在するために魚肉表面に均一に付着し、且つ、その呈味効果は十分に発揮されるのである。 【0018】本発明においては核酸系調味料やグルタミン酸ナトリウム等の呈味性調味料、あるいは砂糖やみりん等の甘味系調味料等のアミノ酸系の調味料は必須要素とはしないが、それらの調味料は好みに応じて使用することは可能である。 【0019】本発明における油脂及び乳化剤の配合よりなる組成物は、油脂及び乳化剤の融点以上の温度での両成分の単純な攪拌混合により調製できる。また、調味料を含む油脂組成物は、油脂及び乳化剤の混合された油脂組成物中に調味料水溶液を添加し攪拌混合または必要に応じてホモジナイズすることにより調製される。 【0020】これらの油脂組成物は融点によっては攪拌混合後冷却混練し冷蔵保存することも可能である。 【0021】 【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0022】実施例1トウモロコシ油90重量部及び魚油10重量部の混合油にジグリセリンオレイン酸モノエステルを対油3重量部及びグリセリンクエン酸オレイン酸モノエステルを対油2重量部添加混合し油脂組成物を得た。この油脂組成物20gをサケすき身1kgに振り掛け手で混合して魚肉加工食品を得た。 【0023】実施例2実施例1の油脂組成物100重量部に液状動物性たんぱく加水分解物(HAP)を5重量部配合し、調味液含有油脂組成物を得た。この組成物を実施例1と同様にサケすき身1kgに対し20g添加混合して魚肉加工食品を得た。 【0024】実施例3大豆油70重量部及びラード30重量部の混合油(融点21℃)にジグリセリンモノリノール酸エステルを対油10重量部添加混合し油脂組成物を得た。この油脂組成物1kgを包丁で裁断してたたき状にしたマグロ赤身肉5kgと共に回転型混合機に入れ低速で3分間混合し魚肉加工食品を得た。 【0025】実施例4実施例3の油脂組成物に魚醤を1.5重量部配合し調味液含有油脂組成物を得た。この組成物を実施例3と同様にマグロ赤身肉5kgに対し1kgを添加混合し魚肉加工食品を得た。 【0026】実施例5菜種油100重量部にグリセリンジアセチル酒石酸モノオレイン酸エステルを対油0.6重量部及びグリセリンクエン酸モノオレイン酸エステルを対油0.6重量部添加混合し油脂組成物を得た。この油脂組成物200gをマグロすき身5kgと共に実施例3と同様にして回転型混合機に入れ混合し魚肉加工食品を得た。 【0027】実施例6実施例5の油脂組成物に液状の植物性たんぱく加水分解物(HVP)を3重量部配合し調味液含有油脂組成物を得た。この組成物を実施例5と同様にマグロすき身5kgに対し200g添加混合し魚肉加工食品を得た。 【0028】比較例1実施例1のトウモロコシ油90重量部及び魚油10重量部の混合油を実施例1同様サケすき身1kgに対して200gを振り掛け混合して魚肉加工食品を得た。 【0029】比較例2実施例3の大豆油70重量部及びラード30重量部の混合油にジグリセリンモノリノール酸エステルを対油0.4重量部添加混合し油脂組成物を得た。これを実施例3と同様にマグロ赤身肉5kgに対し1kg添加混合し魚肉加工食品を得た。 【0030】比較例3比較例2の油脂組成物に更に魚醤0.8重量部を配合し調味料含有油脂組成物を得た。これを実施例2と同様にマグロ赤身5kgに対し1kg添加混合し魚肉加工食品を得た。 【0031】比較例4実施例5の菜種油のみを用い、これを実施例5と同様にマグロすき身5kgに対し200g添加混合し魚肉加工食品を得た。 【0032】実施例及び比較例の評価得られた魚肉加工食品をポリ袋で包装して冷蔵しておき、これを取り出して皿に載せ外観と食味の官能テストを行い品質を評価した。 【0033】結果を表−1に示した。
【0034】 【発明の効果】本発明の魚肉加工食品用油脂組成物を使用した魚肉加工食品は、脂肪分の少ない魚種や部位を原料にしても食欲をそそる色調と外観を呈するようになり、又、食した時に不自然なオイリー感を感じないで脂の乗った魚肉本来の美味しい食味になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390010674 【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年8月26日(1998.8.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063484 【弁理士】 【氏名又は名称】箕浦 清
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| 【公開番号】 |
特開2000−60495(P2000−60495A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月29日(2000.2.29) |
| 【出願番号】 |
特願平10−240503 |
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