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【発明の名称】 イボツヅラフジを含有する飲食品
【発明者】 【氏名】服部 征雄

【氏名】横澤 隆子

【氏名】岡部 昭男

【氏名】木村 孟淳

【要約】 【課題】高コレステロール血症改善作用及び抗炎症作用を有する飲食品を提供する。

【解決手段】高コレステロール血症改善作用及び抗炎症作用を有するイボツヅラフジ粉末またはエキスを含有する飲食品を、錠剤、顆粒、清涼飲料などの形で提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】イボツヅラフジを有効成分として含有し、高コレステロール血症改善作用及び抗炎症作用を有することを特徴とする飲食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高コレステロール血症改善作用および抗炎症作用を有するイボツヅラフジ粉末またはエキスを利用した飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】ツヅラフジ科のイボツヅラフジ(Tinospora tuberculata または Tinosporacrispa)は、中国西南部、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、インド、スリランカ、フィリピン、バングラデシュ、パキスタンなどで民間薬として使われており、不老長寿、解熱など様々な効能を持つものとされてきた。しかし、科学的に効能を実証する研究が不足しており、未知の効能についてはまだまだ検討の余地が残されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、イボツヅラフジの効能について鋭意研究を重ね、遂にこれまで知られていなかった非常に有用な作用を見出し、イボツヅラフジ粉末またはエキスを含有する飲食品を提供するに至ったものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は高コレステロール症改善作用及び抗炎症作用を有するイボツヅラフジの粉末やエキスなどを有効成分として含有する飲食品を提供することを目的とする。飲食品の剤型としては、錠剤、顆粒、清涼飲料等が考えられる。また、イボツヅラフジの粉末やエキスを有効成分として、飲食品の一つである清涼飲料に含有する量は限定されないが、7%を超えて含有させると、苦みが強く、摂取しにくく、1%未満の含有量だと充分な効果が出ないことから、イボツヅラフジの粉末やエキスを有効成分として1〜7%含有する清涼飲料を提供することでより一層、前記作用を有する効果的な飲食品とすることができる。
【0005】錠剤とするには、粉末にしたイボツヅラフジ(ニガフジ)末に、還元麦芽糖水飴、サッカロース、グルコース、ソルビトール、マルチトール、ステビア、アスパルテームなどの甘味料、二酸化ケイ素などの固結防止剤、乳糖、ショ糖脂肪酸エステルなどの賦形剤を混合し、セラックなどの光沢剤により錠剤をコーティングする。顆粒とするには、イボツヅラフジ(ニガフジ)末に還元麦芽糖水飴を加え、混合、造粒して乾燥させ、顆粒とする。糖類、甘味料、酸味料、その他の添加物を配合して清涼飲料とすることもできる。
【0006】添加物としては、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、スクロース、ラクトース、ラクチトール、マルチトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、粉飴、水飴、蜂蜜などの糖類や、アスパルテーム、ステビオサイド、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウムなどの甘味料、グリシン、DL-アラニン、L-グルタミン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、スレオニン、セリンなどのアミノ酸、また、クエン酸、フマル酸、酒石酸、リンゴ酸、L-アスコルビン酸などの酸味料や塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウムなどの塩味料、香料、果汁などが挙げられる。これらの添加物は1種または2種以上を添加することができる。
【0007】
【実施例1】イボツヅラフジ粉末含有食品の錠剤タイプは、イボツヅラフジ(ニガフジ)末に甘味料として還元麦芽糖水飴、賦形剤としてショ糖脂肪酸エステル、固結防止剤として二酸化ケイ素を混合し、乾燥して造粒、打錠し、光沢剤のセラックでコーティングを行い、錠剤を製造する。以下に錠剤処方の一例を示す。
イボツヅラフジ(ニガフジ)末 50.0%還元麦芽糖水飴 45.0%ショ糖脂肪酸エステル 3.0%二酸化ケイ素 2.0%セラック 微量【0008】
【実施例2】イボツヅラフジエキス含有食品の錠剤処方の他の一例を示す。イボツヅラフジ(ニガフジ)末に、賦形剤として乳糖、デキストリン、ショ糖脂肪酸エステルおよびコーンスターチ、固結防止剤として微結晶セルロースおよび二酸化ケイ素、増粘安定剤としてアラビアガムを混合して造粒、打錠し、光沢剤のセラックでコーティングを行い、製造する。
イボツヅラフジ(ニガフジ)末 40.0%乳糖 8.0%ショ糖脂肪酸エステル 2.0%微結晶セルロース 14.0%デキストリン 16.0%アラビアガム 0.1%コーンスターチ 17.9%二酸化ケイ素 2.0%セラック 微量【0009】
【実施例3】イボツヅラフジエキス含有顆粒タイプ食品の製造方法は、以下の処方にてイボツヅラフジ(ニガフジ)末と還元麦芽糖水飴を混合、混捏し、造粒、乾燥させて製造する。
イボツヅラフジ(ニガフジ)末 50.0%還元麦芽糖水飴 50.0%【0010】
【実施例4】熱水によりイボツヅラフジエキスを抽出し、イボツヅラフジエキス含有清涼飲料を製造する方法の一例は次の通りである。イボツヅラフジの茎70gを純水500ミリリットルで5時間加熱還流することにより抽出し、抽出液を室温まで冷却後濾過して第1抽出液を得た。その残留物に再び500ミリリットルの純水を加え、5時間加熱還流して再度抽出後、濾過して第2抽出液を得た。第1及び第2抽出液を混合、減圧濃縮してイボツヅラフジエキスを調製し、イボツヅラフジエキスを4.9ミリリットルと、甘味料としてブドウ糖、酸味料としてクエン酸、着色料を混合し、イボツヅラフジエキスを7%含有する70ミリリットルの清涼飲料を製造した。
【0011】
【実施例5】エタノールによりイボツヅラフジエキスを抽出し、イボツヅラフジエキス含有清涼飲料を製造する方法の一例は次の通りである。イボツヅラフジの茎60gを50%エタノール300ミリリットルで5時間加熱還流して抽出し、室温まで冷却後濾過し、第1抽出液を得た。その残留物に再び300ミリリットルのエタノールを加えて5時間加熱還流し、再度抽出した後、冷却して濾過し、第2抽出液を得た。第1及び第2抽出液を混合して減圧濃縮し、乾燥固化させてイボツヅラフジエキスを調製し、イボツヅラフジエキスを3ミリリットルと、甘味料としてブドウ糖、酸味料としてクエン酸、着色料を混合し、50%エタノールに再度溶解させ、さらに水を加えて全量を60ミリリットルのイボツヅラフジエキス5%含有清涼飲料を製造した。
【0012】
【参考例1】次に動物実験によるイボツヅラフジの薬理作用のうち、高コレステロール血症改善作用について示す。イボツヅラフジ抽出エキスの調製は次のようにして行った。乾燥したイボツヅラフジ茎100gを細紛し、1リットルの水で煮沸、還流し、溶液をろ過した後、濃縮、凍結乾燥することにより抽出エキスを得た。イボツヅラフジ抽出エキス(TAE)の収量は9.5%であった。
【0013】抽出エキスの、高コレステロール血症ラットへの効果を検討した。雄性Wistarラット (140〜150 g) は12時間の明暗を繰り返し、相対湿度60〜65%、気温24±1℃の標準的な環境下で飼育した。1週間飼育した後、動物は無作為に分け、高コレステロールを含む餌を与えた。これは市販の粉末状の基本的な餌 (MM3,Sankyo Labo Service ) に1%コレステロール、0.5%胆汁酸を添加したものである。イボツヅラフジ抽出エキス投与群および対照群に、この高コレステロールの餌を摂取させた。イボツヅラフジ抽出エキスは水に溶解させ、飲料水として経口投与させた。体重、餌や水の摂取量は毎日計測した。実験の終わりに、動物をエーテル麻酔し、腹部大動脈から血液を採取し、コレステロールについて調べた。さらに、動物を屠殺後、肝臓を摘出した。肝臓は冷却した生理食塩水で洗浄し、水分をふき取った後秤量し、-20℃で保存した。
【0014】次に、コレステロールの分析について述べる。血清総コレステロール、遊離コレステロール濃度は市販のキットを用いて行った (和光純薬製、T-Chol IE,F-Chol IE) 。肝臓の総コレステロール量はFolchらの方法に準じ、以下のように行った。0.5gの肝臓に9倍容の冷生理食塩水を加え均質化した。この均質液の0.5ミリリットルを取り、10ミリリットルのクロロホルム-メタノール混液 (2:1 v/v) で抽出した。抽出液は攪拌後、室温に2時間放置し、ろ過した。有機層の1ミリリットルを取り、窒素ガスを噴射して濃縮、乾固した。コレステロール含量は上述のキットを用いて定量した。対照群と投与群間の統計的評価はFisher'sProtected Least Significant Differenceに基づいて行った。
【0015】イボツヅラフジ水エキスの高コレステロール血症抑制効果の実験結果について述べる。Wistar系雄性ラット(体重約l70g)に高コレステロール食(1%コレステロール、0.5%コール酸)を投与と同時にイボツヅラフジ水エキスl00,200,400mg/kg体重の用量で飲料水に混ぜ、30日間投与した。高コレステロール食を投与することにより、血清総コレステロール、遊離コレステロール、コレステロールエステル、LDL-コレステロール値の上昇、HDL-コレステロールの低下をきたし、高コレステロール血症の症状を示した(表1)。一方、イボツヅラフジ水エキスを投与した群ではl0日目から血清総コレステロール値が低下し、20日目からは血清総コレステロール、遊離コレステロール値が有意に低下した。30日目ではいずれの投与群も血清総コレステロール、遊離コレステロール、コレステロールエステル、LDL-コレステロール値が低下し(表1)、肝臓中の総コレステロール量も低下し、肝臓と血清中の脂質過酸化を阻害した(表2)。また、動脈硬化指数も100,200,400mg/kg体重投与群のいずれにおいても有意な低下作用が認められた(表1)。しかし、血清中のHDL‐コレステロールの値には有意な変化がなかった(表1)。表3のように、イボツヅラフジ水エキスの投与によりラットの体重、食物消費量、水消費量に大きな差がなかったことから、イボツヅラフジ水エキスの摂取が安全無害であることが示された(表3)。
【表1】

【表2】

【表3】

【0016】
【参考例2】次にマウスマクロファージを用いたNO産生抑制効果について示す。マクロファージの単離は以下のように行った。すなわち、4%チオグリコレート(TGC、1.5ミリリットル)をマウス (雄、BALB/c 株、6週齡、20-25g、静岡実験動物センター) に腹腔内投与して5日後、マウスを麻酔して断頭し放血した。そして、腹腔を冷RPM1640液で2回洗浄した。洗浄液は5分間、1500rpmで遠心し、上清を除いた。ペレットは10ミリリットル新鮮な液に懸濁した。先の上清中に浮遊しているマクロファージは遠心により回収し、懸濁液中のマクロファージの数を血球計で求め、5×105 cells/mlに調製した。
【0017】このマクロファージの細胞培養は以下のように行った。96穴の組織培養クラスターを用い、ペニシリン (100 units/ml) 、ストレプトマイシン (100μg/ml)、10%胎児牛血清を含むRPM1640培地にマクロファージを5×105cells/well/0.2mlの割合で撒いた。37℃、加湿炭酸ガスインキュベーター中で2時間保温した後、非吸着細胞はPBSで2回、洗浄することにより除いた。このPBSはウエル当たり0.15ミリリットルの新鮮培地あるいは、各種濃度のイボツヅラフジ抽出エキスを含む培地で交換し、さらに37℃、24時間培養した。この時、10μg/mlのLPSを添加したものと、無添加のものを作り両者の比較を行った。イボツヅラフジ抽出エキスは通常、RPM1640培地に1mg/mlの濃度に溶かし、0.2μMの穴サイズのろ過膜を通過させ滅菌した。サンプル溶液は添加の直前に希釈調製し、各濃度の75マイクロリットルを添加した。最終濃度は250, 125, 50, 25, 12.5, 5μg/mlとした。LPSは通常、1mg/ml濃度を調製し、その200マイクロリットルを1ミリリットルに希釈し、その75マイクロリットルを培地に添加した。
【0018】遊離するNOの検定法としては亜硝酸法を用いた。すなわち、NOはGriess反応を利用して亜硝酸に変えて測定した。適当な時間培養した後、上清をGriess試薬 (1%スルファナミド/0.1%ナフチルエチレンジアミン塩酸塩/2.5%リン酸)と10分間室温で反応させた後、ELISAアナライザーを用いて540 nmのその吸光度を測定した。培地中の亜硝酸濃度は亜硝酸ナトリウム塩を標準物質として用いた検量線から求めた。数値は総亜硝酸を平均値±標準誤差で示した。統計的有意差はスチューデントのt検定で判定した。細胞生存率は3-(4,5-ジメチルチアゾロ-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)による呈色法により求めた。すなわち、96穴のプレートに植え付けた細胞に10μg/mlのLPSの存在下あるいは非存在下、イボツヅラフジ抽出エキスを添加し、24時間、37℃、5%炭酸ガス中でインキュベーションした。
【0019】10μLのMTT(5mg/ml)を各ウエルに添加した後、100マイクロリットルの培地を加え、37℃、4時間培養した。そして過剰のMTTを取り除いた。生きた細胞に取り込まれたフォルマジン結晶は100マイクロリットルのジメチル硫酸で可溶化した。各ウエルの540nmの吸収をELISA分析計で測定した。過酸化水素とL-アルギニンの反応により生成する非酵素的NOの測定は20mMリン酸緩衝液 (pH 7.4) 、種々の濃度のイボツヅラフジ抽出エキス、20mMのL-アルギニン、10mMの過酸化水素を含む反応液20ミリリットルを混和し、攪拌しながら37℃、2日間インキュベーションすることにより行った。対照としてイボツヅラフジ抽出エキスを添加しないものも同様に処理した。激しく攪拌した後、150マイクロリットルの反応混合物をウエル中の100マイクロリットルのGriess試薬と混和した。そして各ウエルの540nmの吸収をELISA分析計で測定した。
【0020】また、ニトロプルシッドソーダから生成するNO阻害作用について述べる。50mMのリン酸緩衝液に溶かした0.8ミリリットルのニトロプルシッドソーダ液 (最終濃度5mM)を種々の濃度のイボツヅラフジ抽出エキスと混和し25℃、150 min.保温した。生成するNO量は上記の方法で測定した。
【0021】結果は表4に示すように、LPS添加群では無添加群よりNO産生が約5倍増加している。イボツヅラフジ水エキスを5から250μg/mlまで添加した場合、NO産生は用量依存的に抑制された。LPS無添加群においてもエキスの抑制作用が認められた。また、無細胞系においても、イボツヅラフジはL-アルギニンと過酸化水素からのNO生成を抑制し(表5)、ニトロプルシッドソーダからのNO生成をも抑制した(表6)。
【表4】

【表5】

【表6】

【0022】
【発明の効果】本発明によるイボツヅラフジエキスは高コレステロール血症改善作用及びマクロファージからの一酸化窒素の産生抑制作用を有しているので、イボツヅラフジエキスやイボツヅラフジ粉末を服用、またはイボツヅラフジエキスやイボツヅラフジ粉末を含有する飲食品を摂取することにより高コレステロール血症を改善し、過剰な一酸化窒素の産生が原因と考えられる種々の疾患に有効であると思われる。
【出願人】 【識別番号】598117126
【氏名又は名称】岡部 昭男
【識別番号】598117137
【氏名又は名称】山田 武夫
【出願日】 平成10年8月27日(1998.8.27)
【代理人】 【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
【公開番号】 特開2000−60486(P2000−60486A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平10−242189