トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 組成物
【発明者】 【氏名】土屋 裕美

【氏名】三宅 俊雄

【要約】 【課題】本発明は、α−グリコシル ルチンを有効成分とする、ビタミンP強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤および劣化防止剤から選ばれる組成物を提供することを課題とする。

【解決手段】高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させてα−グリコシル ルチンを生成せしめ、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上の高濃度に溶解含有させて得られるα−グリコシル ルチンを有効成分とする、ビタミンP強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤および劣化防止剤から選ばれる組成物を提供することにより、前記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1.0w/v%以上の高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させてα−グリコシル ルチンを生成せしめ、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上の高濃度に溶解含有させて得られるα−グリコシル ルチンを有効成分とする、ビタミンP強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤および劣化防止剤から選ばれる組成物。
【請求項2】 高濃度のルチンが、高濃度懸濁状ルチンであるか、または、アルカリ側pHで溶解させた高濃度溶液状ルチンであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−グリコシル ルチンを有効成分とする、ビタミンP強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤および劣化防止剤から選ばれる組成物に関し、更に詳細には、高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させてα−グリコシル ルチンを生成せしめ、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上の高濃度に溶解含有させたα−グリコシル ルチンを有効成分とする、ビタミンP強化剤、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤および劣化防止剤から選ばれる組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ルチンは、下記の化1で表される化学構造を有し、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整などの生理作用を持つビタミンPとして、また、黄色色素として古くから知られ、食品、医薬品、化粧品などに利用されている。
【0003】
【化1】

【0004】ビタミンPは、生体内で、ビタミンCの生理活性、例えば、生体結合組織の主成分であるコラーゲンの合成に必要なプロリンやリジンのヒドロキシル化反応に関与し、また、例えば、チトクロームCのFe+++を還元してFe++にするなどの酸化還元反応に関与し、更には、白血球増加による免疫増強作用に関与するなど、それらの反応を増強することが知られており、生体の健康維持、増進に重要な役割をなしている。
【0005】ルチンの用途は、単に栄養素としてのビタミンP強化剤にとどまらず、その化学構造、生理作用から、単独でまたは他のビタミンなどと併用して、例えば、黄色着色剤、酸化防止剤、安定剤、品質改良剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物などに、また、ウィルス性疾患、細菌性疾患、循環器疾患、悪性腫瘍など感受性疾患の予防剤、治療剤すなわち抗感受性疾患剤に、更には、黄色着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、メラニン生成抑制剤などの美肌剤、色白剤などとして化粧品にまで及び、その範囲は極めて広い。
【0006】しかしながら、ルチンは水に難溶性で、室温では8Lの水にわずか1g程度(約0.01w/v%)しか溶けず、使用上困難を極めている。これを改善する方法としては、例えば、特公昭25−1677号公報に示されるごとく、ルチンにアミノ基を有する脂肪族化合物を加えて水溶性を増大する方法、また特公昭26−2724号公報に示されるごとく、ルチンにモノハロゲン酢酸を作用させ酢酸ソーダ化合物にして水溶性を増大する方法、また、特公昭29−1285号公報に示されるごとく、ルチンにロンガリットを作用させ亜硫酸化合物にして水溶性を増大する方法などが知られていた。
【0007】しかしながら、これらの方法は、いずれもアミノ化合物、モノハロゲン酢酸、亜硫酸化合物などが用いられ、生成物質に他の生理活性、毒性が懸念され、またその精製も困難である。
【0008】そこで、本発明者等は、先に、特公昭54−32073号公報で、より安全性の高い水溶化の方法として、生合成反応を利用した糖転移酵素の作用によるα−グリコシル ルチンの製造法を提案した。この方法で得られるα−グリコシルルチンは、毒性の懸念もなく、原料のルチンと同じ生理活性を有し、水への溶解性も高く、取り扱い上極めて好都合で、より広範な用途が期待され、その実現が鶴首されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、α−グリコシル ルチンは、種々の長所を有しており、その工業化が待たれている。
【0010】しかしながら、従来、その生合成反応における仕込濃度がルチンとして約0.1w/v%程度に過ぎず、製品のα−グリコシル ルチンに対する使用水量、精製処理水量、エネルギーコストなどが過大となり、その工業化を困難にしている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の欠点を解決するためになされたものであって、とりわけ、仕込時のルチン濃度を高めた反応法と反応後のα−グリコシル ルチンの精製法について鋭意研究した。
【0012】その結果、高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させることにより、望ましくは、ルチンを高濃度懸濁状、または、アルカリ側pHで溶解させた高濃度溶液状で含有せしめ、その仕込濃度をルチンとして約1.0乃至20.0w/v%、換言すれば、従来技術の約10乃至200倍にも高めた状態で糖転移酵素を作用させることにより、α−グリコシル ルチンがよく生成され、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上もの高濃度に溶解含有させうることを見いだし、その製造法を確立するとともに、この製造法により得られるα−グリコシル ルチン高含有物を含有せしめた飲食物、感受性疾患の予防剤、治療剤、化粧品などへの用途を確立して本発明を完成した。
【0013】また、この反応により生成したα−グリコシル ルチンを精製するに際しては、その反応溶液と多孔性合成吸着剤とを接触させ、その吸着性の違いを利用することにより、容易に精製できることを見いだした。
【0014】従って、本発明のα−グリコシル ルチンの製造法は、従来方法の欠点を一挙に解消し、使用水量、精製処理水量、エネルギーコストを大幅に低減できることが判明し、その工業化の実現を極めて容易にするものである。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】本発明に用いるルチンは、高度に精製されたルチンに限る必要はなく、ルチンと、例えば、シトロニン、ナリンジン、ヘスペリジンなどのフラボノイド配糖体との混合物、更には、ルチンを含有している各種植物由来の抽出物、またはその部分精製物などが適宜使用できる。
【0017】植物組織としては、例えば、ソバの葉茎、エンジュのつぼみ(槐花)、エニシダのつぼみ、ユーカリの葉茎、イチョウの葉茎、柑橘類果実などが有利に利用できる。
【0018】本発明に用いる澱粉質は、同時に用いる糖転移酵素によってルチンからα−グリコシル ルチンを生成することのできるものであればよく、例えば、アミロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖などの澱粉部分加水分解物、更には、液化澱粉、糊化澱粉などが適宜選ばれる。
【0019】従って、α−グリコシル ルチンの生成を容易にするためには、糖転移酵素に好適な澱粉質が選ばれる。
【0020】例えば、糖転移酵素として、α−グルコシダーゼ(EC 3.2.1.20)を用いる際には、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースなどのマルトオリゴ糖、またはDE約10乃至70の澱粉部分加水分解物などが好適であり、シクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼ(EC 2.4.1.19)を用いる際には、シクロデキストリンまたはDE1以下の澱粉糊化物からDE約60の澱粉部分加水分解物などが好適であり、α−アミラーゼ(EC3.2.1.1)を用いる際には、DE1以下の澱粉糊化物からDE約30のデキストリン、澱粉部分加水分解物などが好適である。
【0021】また、反応時の澱粉質濃度は、ルチンに対して約0.5乃至50倍の範囲が好適である。
【0022】本発明でいうルチン高含有液とは、ルチンを、例えば、懸濁状で、または、pH7.0を越えるアルカリ側pHで溶解させた溶液状で高濃度に含有する溶液が適しており、その濃度は、約0.5w/v%以上の高濃度、望ましくは、約1.0乃至20.0w/v%含有している溶液を意味する。
【0023】本発明に用いる糖転移酵素は、ルチンとこの酵素に好適な性質の澱粉質とを含有するルチン高含有液に作用させる時、ルチンを分解せずにα−グリコシル ルチンを生成するものであればよい。例えば、α−グルコシダーゼは、ブタの肝臓、ソバの種子などの動植物組織由来の酵素、または、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属などに属するカビ、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属などに属する酵母などの微生物を栄養培地で培養し得られる培養物由来の酵素が、シクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼは、バチルス(Bacillus)属、クレブシーラ(Klebsiella)属などに属する細菌培養物由来の酵素が、α−アミラーゼは、バチルス属などに属する細菌、または、アスペルギルス(Aspergillus)属などに属するカビ培養物由来の酵素などが適宜選択できる。
【0024】これらの糖転移酵素は、前記の条件を満足しさえすれば、必ずしも精製して使用する必要はなく、通常は、粗酵素で本発明の目的を達成することができる。必要ならば、公知の各種方法で精製して使用してもよい。また、市販の糖転移酵素を利用することもできる。使用酵素量と反応時間とは、密接な関係があり、通常は、経済性の点から約5乃至80時間で反応を終了するように酵素量が選ばれる。また、固定化された糖転移酵素をバッチ式で繰り返し、または連続式で反応に利用することも適宜選択できる。
【0025】本発明の反応法は、高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させればよい。例えば、ルチンを高濃度懸濁状で反応せしめる場合には、約1.0乃至5.0w/v%の懸濁状ルチンと適量の澱粉質とを含有するルチン高含有液を、pH約4.5乃至6.5とし、糖転移酵素の作用しうるできるだけ高温、具体的には、約70乃至90℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させると、ルチンがα−グリコシル ルチンに変換するにつれて懸濁状ルチンが徐々に溶解し、同時に、α−グリコシル ルチンが容易に高濃度に生成する。このようにして得られるα−グリコシル ルチン含有溶液は、ルチン換算で60w/w%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンとを溶解含有しており、室温下、中性付近の水溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約1.0乃至5.0w/v%にも達することが判明した。
【0026】また、例えば、ルチンをpH7.0を越えるアルカリ側で溶解させた高濃度溶液状で反応せしめる場合には、pH約7.5乃至10.0の水に約1.0乃至5.0w/v%のルチンを加熱溶解し、これに適量の澱粉質を溶解して得られるルチン高含有液を、糖転移酵素の作用しうるできるだけ高pH、高温、具体的には、pH約7.5乃至10.0、温度約50乃至80℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させるとα−グリコシル ルチンが容易に高濃度に生成する。この際、アルカリ性溶液中のルチンは、分解を起しやすいので、これを防ぐため、できるだけ遮光、嫌気下に維持するのが望ましい。必要ならば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸などの抗酸化剤を共存させてもよい。
【0027】このようにして得られるα−グリコシル ルチン含有溶液は、ルチン換算で60w/w%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンとを溶解含有しており、室温下、中性付近の水溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約1.0乃至5.0w/v%にも達することが判明した。更に、前記条件を組み合せる方法、例えば、約2.0乃至20.0w/v%の懸濁状ルチンと適量の澱粉質とを含有するルチン高含有液をpH約7.5乃至10.0、温度約50乃至80℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させると、α−グリコシル ルチンが容易に高濃度に生成溶解する。また、ルチンとして、例えば約0.1乃至1.0規定のカセイソーダ水溶液、カセイカリ水溶液、炭酸ソーダ水溶液、水酸化カルシウム水、アンモニア水などの強アルカリ性水溶液に約5.0乃至20.0w/v%の高濃度に溶解させたものを用い、これに塩酸、硫酸などの酸性水溶液を加えて酵素の作用しうるpHに調整するとともに澱粉質を加え、直ちに糖転移酵素を作用させることは、α−グリコシル ルチンを容易に高濃度に生成させることとなるので極めて好都合である。この際、せっかく高濃度に溶解させたルチン溶液も、酸性水溶液でpH調整することによりルチンが析出を起し易いので、そのpH調整前に、澱粉質や少量のα−グリコシル ルチンなどを共存させてルチンの析出を抑制しつつ糖転移反応を開始することも有利に実施できる。このようにして得られるα−グリコシル ルチン含有溶液は、ルチン換算で60w/w%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンとを溶解含有しており、室温下、中性付近の水溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約5.0乃至20.0w/v%にも達することが判明した。
【0028】また、更に必要ならば、反応前のルチンの溶解度を高め、ルチンへの糖転移反応を容易にするために、ルチン高含有液に水と互いに溶解しうる有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、アセトール、アセトンなどの低級アルコール、低級ケトンなどを共存させることも適宜選択できる。
【0029】以上述べたように、本発明の方法は、ルチンの仕込濃度を従来の約10乃至200倍にも高めて反応させることができ、α−グリコシル ルチンを容易に高濃度に生成しうることが判明した。すなわち、本発明の高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に糖転移酵素を作用させる方法は、高濃度にもかかわらず反応終了時点において、ルチン換算で60w/w%以上の大量のα−グリコシル ルチンと少量の未反応ルチンとを溶解含有することとなり、室温下、中性付近の水溶液条件で、その合計溶解量がルチン換算で約1.0w/v%以上、望ましくは、約1.0乃至20.0w/v%にもなり、従来技術の約10乃至200倍もの高濃度に高めうることが判明した。
【0030】このようにしてα−グリコシル ルチンを生成せしめた反応溶液は、そのままでα−グリコシル ルチン製品にすることもできる。通常は、反応溶液を濾過、濃縮してシラップ状の、更には、乾燥、粉末化して粉末状のα−グリコシル ルチン製品にする。
【0031】本製品は、ビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチック製品などの用途に有利に利用できる。更に、精製されたα−グリコシル ルチン製品を製造する場合には、多孔性合成吸着剤による吸着性の差を利用してα−グリコシル ルチンと澱粉質などの夾雑物とを分離して精製すればよい。
【0032】本発明でいう多孔性合成樹脂とは、多孔性で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン−ジビニルベンゼン重合体、フェノール−ホルマリン樹脂、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂などの合成樹脂であり、例えば、市販されているRohm & Haas社製造の商品名アンバーライトXAD−1、アンバーライトXAD−2、アンバーライトXAD−4、アンバーライトXAD−7、アンバーライトXAD−8、アンバーライトXAD−11、アンバーライトXAD−12、三菱化成工業株式会社製造の商品名ダイヤイオンHP−10、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオンHP−30、ダイヤイオンHP−40、ダイヤイオンHP−50、IMACTI社製造の商品名イマクティSyn−42、イマクティSyn−44、イマクティSyn−46などがある。
【0033】本発明のα−グリコシル ルチンを生成せしめた反応液の精製法は、反応液を、例えば、多孔性合成吸着剤を充填したカラムに通液すると、α−グリコシルルチンおよび比較的少量の未反応ルチンが多孔性合成吸着剤に吸着するのに対し、多量に共存する澱粉質、水溶性糖類は吸着されることなくそのまま流出する。
【0034】必要ならば、糖転移酵素反応終了後、多孔性合成吸着剤に接触させるまでの間に、例えば、反応液を加熱して生じる不溶物を濾過して除去したり、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウムなどで処理して反応液中の蛋白性物質などを吸着除去したり、強酸性イオン交換樹脂(H型)、中塩基性または弱塩基性イオン交換樹脂(OH型)などで処理して脱塩するなどの精製法を組み合せて利用することも随意である。
【0035】前述のようにして、多孔性合成吸着剤カラムに選択的に吸着したα−グリコシル ルチンと比較的少量の未反応ルチンとは、希アルカリ、水などで洗浄した後、比較的少量の有機溶媒または有機溶媒と水との混合液、例えば、メタノール水、エタノール水などを通液すれば、まず、α−グリコシル ルチンが溶出し、通液量を増すか有機溶媒濃度を高めるかすれば未反応ルチンが溶出してくる。
【0036】このα−グリコシル ルチン高含有溶出液を蒸溜処理して、まず有機溶媒を溜去した後、適当な濃度にまで濃縮すればα−グリコシル ルチンを主成分とするシラップ状製品が得られる。更に、これを乾燥し粉末化することによって、α−グリコシル ルチンを主成分とする粉末状製品が得られる。
【0037】この有機溶媒によるα−グリコシル ルチンおよび未反応ルチンの溶出操作は、同時に、多孔性合成吸着剤の再生操作にもなるので、この多孔性合成吸着剤の繰り返し使用を可能にする。
【0038】また、本発明の多孔性合成吸着剤による精製は、澱粉質、水溶性糖類だけでなく、水溶性の塩類などの夾雑物も同時に除去できる特長を有している。このようにして得られるα−グリコシル ルチンは、次の特長を有している。
【0039】(1)ルチンと比較してα−グリコシル ルチンは、水溶性が極めて大きい。
(2)ルチンと比較してα−グリコシル ルチンは、耐光性、安定性が大きい。
(3)α−グリコシル ルチンは、体内の酵素によりルチンとグルコースとに加水分解され、ルチン本来の生理活性(ビタミンP)を示す。また、ビタミンCとの併用により、それらの持つ生理活性を増強することができる。
(4)澱粉質を含有する製品の場合には、α−グリコシル ルチンの効果を発揮するのみならず、澱粉質が賦形、増量効果や、甘味効果を発揮することができ、また、澱粉質を除去した精製製品の場合には、ほとんど賦形、増量することなくα−グリコシル ルチンの効果を発揮することができ、また、実質的に無味、無臭なので自由に調味、調香することができる。
【0040】これらの特長から、α−グリコシル ルチンは安全性の高い天然型のビタミンP強化剤としてばかりでなく、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、ウィルス性疾患、細菌性疾患、循環器疾患、悪性腫瘍など感受性疾患の予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤など化粧品、更には、プラスチック製品などに有利に利用することができる。
【0041】またα−グリコシル ルチンは、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味などの呈味を有する各種物質ともよく調和し、耐酸性、耐熱性も大きいので、普通一般の飲食物、嗜好物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、果実加工品など広範に利用することができる。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料、餌料などにビタミンP強化剤、嗜好性向上などの目的で配合して利用することも好都合である。
【0042】その他、タバコ、トローチ、肝油ドロップ、複合ビタミン剤、口中清涼剤、口中香錠、うがい薬、経管栄養剤、内服薬、注射剤、練歯みがき、口紅、リップクリーム、日焼け止めなど各種固状、ペースト状、液状の嗜好物、感受性疾患の予防剤、治療剤すなわち抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤などの化粧品などに配合して利用することも有利に実施でき、更には、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとしてプラスチック製品などに配合して利用することも有利に実施できる。
【0043】また、本発明でいう感受性疾患とは、α−グリコシル ルチンによって予防され、若しくは治療される疾患であり、それが、例えばウイルス性疾患、細菌性疾患、外傷性疾患、免疫疾患、リューマチ、糖尿病、循環器疾患、悪性腫瘍などであってもよい。α−グリコシル ルチンの感受性疾患予防剤、治療剤は、その目的に応じてその形状を自由に選択できる。例えば、噴霧剤、点眼剤、点鼻剤、うがい剤、注射剤などの液剤、軟膏、はっぷ剤、クリームのようなペースト剤、粉剤、顆粒、カプセル剤、錠剤などの固剤などである。製剤に当たっては、必要に応じて、他の成分、例えば、治療剤、生理活性物質、抗生物質、補助剤、増量剤、安定剤、着色剤、着香剤などの1種また2種以上と併用することも随意である。
【0044】投与量は、含量、投与経路、投与頻度などによって適宜調節することができる。通常、α−グリコシル ルチンとして、成人1日当り、約0.001乃至10.0グラムの範囲が好適である。また、化粧品の場合も、大体、前述の予防剤、治療剤に準じて利用することができる。
【0045】α−グリコシル ルチンを利用する方法としては、それらの製品が完成するまでの工程で、例えば、混和、混捏、溶解、浸漬、浸透、散布、塗布、噴霧、注入など公知の方法が適宜選ばれる。
【0046】以下、本発明のα−グリコシル ルチンの無毒性を実験で説明する。
【0047】(実験)7周齢のdd系マウスを使用して、後述する実施例3の方法で調製したα−グリコシル ルチンを経口投与して急性毒性テストをしたところ、体重1kg当たり、5gまで死亡例は見られなかった。従って、本物質の毒性は極めて低い。
【0048】また、後述する実施例2の方法で調製したα−グルコシル ルチンを用いて本テストを行ったところ、同様の結果を得、毒性の極めて低いことが判明した。
【0049】以下、本発明の実施例について述べる。
【0050】(実施例1)
<α−グリコシル ルチン>ルチン3重量部およびデキストリン(DE18)15重量部を80℃の熱水9重量部に混合して懸濁状のルチン高含有液とし、これにバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のシクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所販売)をデキストリングラム当り20単位加え、pH6.0、75℃に維持し攪拌しつつ64時間反応させた。反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したところ、ルチンの約85%が、α−グルコシル ルチン、α−マルトシル ルチン、α−マルトトリオシル ルチン、α−マルトテトラオシル ルチン、α−マルトペンタオシル ルチンなどのα−グリコシル ルチンに転換していた。反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液を濃縮してシラップ状の澱粉質を含有するα−グリコシル ルチン製品を、固形物当り原料重量に対して約90%の収率で得た。
【0051】本品は、ビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチック製品などの用途に有利に利用できる。
【0052】(実施例2)
<α−グルコシル ルチン>実施例1の方法に準じて調製したシラップ状の澱粉質を含有するα−グリコシル ルチン製品1重量部を水4重量部に溶解し、これにグルコアミラーゼ(EC3.2.1.3、生化学工業株式会社販売)をα−グリコシル ルチン製品固形物グラム当り100単位加え、50℃、5時間反応させた。反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したところ、α−グリコシル ルチンは、α−グルコシル ルチンに転換していた。
【0053】反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液を多孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP−10(三菱化成工業株式会社販売)のカラムにSV2で通液した。その結果、溶液中のα−グルコシル ルチンと未反応ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着し、グルコース、塩類などは吸着することなく流出した。次いで、カラムを水で通液、洗浄した後、エタノール水溶液濃度を段階的に高めながら通液し、α−グルコシル ルチン画分を採取し、減圧濃縮し、粉末化して、粉末状のα−グルコシル ルチンを固形物当り原料のルチン重量に対して約80%の収率で得た。
【0054】α−グルコシル ルチンを酸で加水分解したところ、ケルセチン1モルに対し、L−ラムノース1モル、D−グルコース2モルを生成し、また、α−グルコシル ルチンに、ブタの肝臓から抽出し部分精製したα−グルコシダーゼを作用させると、ルチンとD−グルコースとに加水分解されることが判明した。
【0055】本α−グルコシル ルチンは、高度に精製された水溶性の高いビタミンP強化剤として、また、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、飲食物、嗜好物、抗感受性疾患剤、化粧品などに有利に利用できる。
【0056】(実施例3)
<α−グリコシル ルチン>ルチン4重量部を水90重量部にpH9.5で加熱溶解し、別にデキストリンDE8)20重量部を水10重量部に加熱溶解し、次いで、これら溶液を混合して溶液状のルチン高含有液とし、これにシクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼをデキストリングラム当り30単位加え、pH8.2、65℃に維持して攪拌しつつ40時間反応させた。
【0057】反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したところ、ルチンの約90%がα−グリコシル ルチンに転換していた。反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し濾液を多孔性合成吸着剤、商品名アバーライトXAD−7(Rohm &Haas社製造)のカラムにSV1.5で通液した。
【0058】その結果、溶液中のα−グリコシル ルチンと未反応ルチンとが多孔性合成吸着剤に吸着し、デキストリン、オリゴ糖、塩類などは吸着することなく流出した。このカラムを水で通液、洗浄した後、50v/v%メタノールを通液して、α−グリコシル ルチンおよびルチンを溶出し、これを濃縮し、粉末化して、粉末状α−グリコシル ルチン製品を原料のルチン重量に対して約140%の収率で得た。
【0059】本品は、水溶性の高いビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、化粧品、プラスチック製品などの用途に有利に利用できる。
【0060】(実施例4)
<α−グリコシル ルチン>ルチン1重量部を1規定カセイソーダ溶液4重量部で溶解し、これに0.01規定塩酸溶液を加えて中和するとともにデキストリン(DE10)5重量部を加え、直ちにシクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼをデキストリングラム当り10単位加え、pH6.0、70℃に維持しつつ40時間反応させた。反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したところ、ルチンの約80%がα−グリコシル ルチンに転換していた。反応液を実施例3と同様に精製し、濃縮、粉末化して粉末状α−グリコシル ルチン製品を原料のルチン重量に対して約120%の収率で得た。
【0061】本品は、実施例3の場合と同様に、水溶性の高いビタミンP強化剤としてばかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、各種用途に利用できる。
【0062】(実施例5)
<α−グリコシル ルチン>(1)α−グルコシダーゼ標品の調製マルトース4w/v%、リン酸1カリウム0.1w/v%、硝酸アンモニウム0.1w/v%、硫酸マグネシウム0.05w/v%、塩化カリウム0.05w/v%、ポリペプトン0.2w/v%、炭酸カルシウム1w/v%(別に乾熱滅菌して植菌時に無菌的に添加)および水からなる液体培地500重量部にムコール ジャバニカス(Mucor javanicus)IFO 4570を温度30℃で44時間振盪培養した。培養終了後、菌糸体を採取し、その湿菌糸体48重量部に対し、0.5M酢酸緩衝液(pH5.3)に溶解した4M尿素液500重量部を加え、30℃で40時間静置した後、遠心分離した。この上清を流水中で一夜透析した後、硫安0.9飽和とし、4℃で一夜放置して生成した塩析物を濾取し、0.01M酢酸緩衝液(pH5.3)50重量部に懸濁溶解した後、遠心分離して上清を採取し、α−グルコシダーゼ標品とした。
【0063】(2)α−グリコシル ルチンの調製ルチン5重量部を0.5規定カセイソーダ溶液40重量部に加熱溶解し、これを5規定塩酸溶液でpH9.5に調整し、別にデキストリン(DE30)20重量部を水10重量部に加熱溶解し、次いで、これら溶液を混合して懸濁状のルチン高含有液とし、これに(1)の方法で調製したα−グルコシダーゼ標品10重量部を加え、pH8.5に維持して攪拌しつつ55℃で40時間反応させた。反応液をペーパークロマトグラフィーで分析したところ、ルチンの約60%がα−グリコシル ルチンに転換していた。反応液を実施例3と同様に精製し、濃縮、粉末化して粉末状α−グリコシル ルチン製品を原料のルチン重量に対して約110%の収率で得た。
【0064】本品は、実施例3の場合と同様に、水溶性の高いビタミンP強化剤としてかりでなく、安全性の高い天然型の黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤などとして、各種用途に利用できる。
【0065】(実施例6)
<ハードキャンディー>還元麦芽糖水飴(林原商事株式会社販売、登録商標マビット)1,500重量部を加熱し、減圧下で水分約2%以下になるまで濃縮し、これにクエン酸15重量部および実施例3の方法で得た粉末状α−グリコシル ルチン1重量部および少量のレモン香料を混和し、次いで常法に従って、成形、包装してハードキャンディーを得た。
【0066】本品は、ビタミンPを強化した黄色のレモンキャンディーであって、低う蝕性、低カロリーである。
【0067】(実施例7)
<フキの水煮>フキを皮むきし、適当な長さに切断して、薄い食塩水に数時間浸し、これを実施例1の方法で得たシラップ状α−グリコシル ルチンと青色1号とを配合して調製した緑色着色料を含有する液で煮込んで、緑色の鮮かなフキの水煮を得た。
【0068】本品は、各種和風料理の材料として色どりを添えるとともに、食物繊維としての生理効果をも発揮する。
【0069】(実施例8)
<求肥>モチ種澱粉1重量部に水1.2重量部を混合し、加熱糊化しつつ、これに砂糖.5重量部、結晶性β−マルトース(林原株式会社製造、登録商標サンマルト)0.7重量部、水飴0.3重量部および実施例1の方法で得たシラップ状α−グリコシル ルチン0.2重量部を混和し、以後、常法に従って、成形、包装して求肥を製造した。
【0070】本品は、風味、口当りとも良好な求肥で、きびだんご風の和菓子である。
【0071】(実施例9)
<混合甘味料>はちみつ100重量部、異性化糖50重量部、黒砂糖2重量部および実施例5の方法で得た粉末状α−グリコシル ルチン1重量部を混合して混合甘味料を得た。
【0072】本品はビタミンPを強化した甘味料で健康食品として好適である。
【0073】(実施例10)
<サンドクリーム>結晶性α−マルトース(林原株式会社製造、登録商標ファイントース)1,200重量部、ショートニング1,000重量部、実施例4の方法で得た粉末状α−グリコシル ルチン10重量部、レシチン1重量部、レモンオイル1重量部、バニラオイル1重量部を常法により混和してサンドクリームを製造した。
【0074】本品は、ビタミンP強化、黄色着色したサンドクリームで、油脂の酸化が抑制され、口当り、溶け具合、風味とも良好である。
【0075】(実施例11)
<錠剤>L−アスコルビン酸20重量部に結晶性β−マルトース13重量部、コーンスターチ4重量部および実施例2方法で得た粉末状α−グルコシル ルチン3重量部を均一に混合した後、直径12mm、20R杵を用いて、打錠し錠剤を得た。
【0076】本品は、L−アスコルビン酸とα−グルコシル ルチンとの複合ビタミン剤で、アスコルビン酸の安定性もよく、飲み易い錠剤である。
【0077】(実施例12)
<カプセル剤>酢酸カルシウム・一水塩10重量部、L−乳酸マグネシウム・三水塩50重量部、マルトース57重量部、実施例2の方法で得たα−グルコシル ルチン20重量部及びエイコサペンタエン酸20%含有γ−シクロデキストリン包接化合物12重量部を均一に混合し、顆粒成形機にかけて顆粒とした後、常法に従って、ゼラチンカプセルに封入して、一カプセル150mg入のカプセル剤を製造した。
【0078】本品は、血中コレステロール低下剤、免疫賦活剤、美肌剤などとして、感受性疾患の予防剤、治療剤、健康増進用食品などとして有利に利用できる。
【0079】(実施例13)
<軟膏>酢酸ナトリウム・三水塩1重量部、DL−乳酸カルシウム4重量部をグリセリン10重量部と均一に混合し、この混合物を、ワセリン50重量部、木ロウ10重量部、ラノリン10重量部、ゴマ油14.5重量部、実施例4の方法で得たα−グリコシル ルチン1重量部及びハッカ油0.5重量部の混合物に加えて、更に均一に混和して軟膏を製造した。
【0080】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして、更には外傷、火傷の治癒促進剤などとして有利に利用できる。
【0081】(実施例14)
<注射剤>実施例2の方法で得たα−グルコシル ルチンを水に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイロゲンフリーとし、この溶液を20mL容アンプルにα−グルコシル ルチン200mgになるように分注し、これを減圧乾燥し、封入して注射剤を製造した。
【0082】本注射剤は、単体で、または、他のビタミン、ミネラルなどと混合して筋肉内又は静脈内に投与できる。また、本品は、低温貯蔵の必要もなく、使用に際しての生理食塩水などへの溶解性は極めて良好である。
【0083】(実施例15)
<注射剤>塩化ナトリウム6重量部、塩化カリウム0.3重量部、塩化カルシウム0.2重量部、乳酸ナトリウム3.1重量部、マルトース45重量部及び実施例2の方法で得たα−グルコシル ルチン2重量部を水1,000重量部に溶解し、常法に従って、精製濾過してパイロゲンフリーとし、この溶液を滅菌したプラスチック容器に250mLずつ充填して注射剤を製造した。
【0084】本品は、ビタミンP補給としてだけでなく、カロリー補給、ミネラル補給のための注射剤で、病中、病後の治療促進、回復促進などに有利に利用できる。
【0085】(実施例16)
<経管栄養剤>結晶性α−マルトース20重量部、グリシン1.1重量部、グルタミン酸ナトリウム0.18重量部、食塩1.2重量部、クエン酸1重量部、乳酸カルシウム0.4重量部、炭酸マグネシウム0.1重量部、実施例3の方法で得たα−グリコシル ルチン0.1重量部、チアミン0.01重量部及びリボフラビン0.01重量部からなる配合物を調製する。この配合物24gずつをラミネートアルミ製小袋に充填し、ヒートシールして経管栄養剤を調製した。
【0086】本経管栄養剤は、一袋を約300乃至500mLの水に溶解し、経管方法により鼻腔、胃、腸などへの経口的又は非経口的栄養補給液としても有利に利用できる。
【0087】(実施例17)
<浴用剤>DL−乳酸ナトリウム21重量部、ピルビン酸ナトリウム8重量部、実施例1の方法で得たα−グリコシル ルチン5重量部及びエタノール40重量部を、精製水26重量部及び着色料、香料の適量と混合し、浴用剤を製造した。
【0088】本品は、美肌剤、色白剤として好適であり、入浴用の湯に100乃至10,000倍に希釈して利用すればよい。本品は、入浴用の湯の場合と同様に、洗顔用水、化粧水などに希釈して利用することも有利に実施できる。
【0089】(実施例18)
<乳液>ポリオキシエチレンベヘニルエーテル0.5重量部、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール1重量部、親油型モノステアリン酸グリセリン1重量部、ピルビン酸0.5重量部、ベヘニルアルコール0.5重量部、アボガド油1重量部、実施例3の方法で得たα−グリコシル ルチン1重量部、ビタミンE及び防腐剤の適量を、常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸ナトリウム1重量部、1,3−ブチレングリコール5重量部、カルボキシビニルポリマー0.1重量部及び精製水85.3重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて攪拌混合し乳液を製造した。
【0090】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に利用できる。
【0091】(実施例19)
<クリーム>モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール2重量部、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン5重量部、実施例2の方法で得たα−グルコシル ルチン2重量部、流動パラフィン1重量部、トリオクタン酸グリセリル10重量部及び防腐剤の適量を、常法に従って加熱溶解し、これにL−乳酸2重量部、1,3−ブチレングリコール5重量部及び精製水66重量部を加え、ホモゲナイザーにかけ乳化し、更に香料の適量を加えて攪拌混合しクリームを製造した。
【0092】本品は、日焼け止め、美肌剤、色白剤などとして有利に利用できる。
【0093】
【発明の効果】本文で述べたごとく、本発明は、α−グリコシル ルチンの製造に際して、高濃度のルチンと澱粉質とを含有するルチン高含有液に、糖転移酵素を作用させて糖転移反応を行うことにより、望ましくは、ルチンを高濃度懸濁状、または、アルカリ側pHで溶解させた高濃度溶液状で含有せしめて糖転移反応を行うことにより、ルチンの仕込濃度を従来技術の約10乃至200倍にも高めて反応させることができ、α−グリコシル ルチンを容易に高濃度に生成し、室温下、中性付近の水溶液条件で、ルチン換算で約1.0w/v%以上もの高濃度溶液を生成しうることを見いだし、更に、この反応液の精製に際して、反応液を多孔性合成吸着剤と接触させてα−グリコシル ルチンを精製できることを見いだし、α−グリコシル ルチンの製造に要する使用水量、精製処理水量、エネルギーコストを大幅に低減できることとなり、その工業化の実現を極めて容易にするものである。
【0094】このようにして得られるα−グリコシル ルチンは、水溶性良好、耐光性・安定性良好、体内の酵素によりルチンとグルコースとに加水分解されてルチン本来の生理活性を発揮するなどの特長を有しており、安全性の高い天然型のビタミンP強化剤としてばかりでなく、黄色着色剤、抗酸化剤、安定剤、品質改良剤、予防剤、治療剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤などとして、飲食物、嗜好物、飼料、餌料、抗感受性疾患剤、美肌剤、色白剤など化粧品、更には、プラスチック製品などに有利に利用される。
【0095】従って、飲食品、化粧品、医薬品、プラスチック産業に与える本発明の工業的意義は極めて大きい。
【出願人】 【識別番号】000155908
【氏名又は名称】株式会社林原生物化学研究所
【出願日】 平成1年6月6日(1989.6.6)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−60484(P2000−60484A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平11−101439