| 【発明の名称】 |
耐熱性酸性水中油型乳化食品 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 祐次
【氏名】楠本 総一郎
【氏名】松崎 成秀
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| 【要約】 |
【課題】加熱後に油分離をせず、かつ、加熱前と同様に滑らかな性状と適度な粘度及び固さを保っており、しかも卵黄や油特有のコク味を有する酸性水中油型乳化食品を提供すること。
【解決手段】リゾ化率70%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチン0.6重量%以上と卵黄とを含有することを特徴とする耐熱性酸性水中油型乳化食品。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リゾ化率70%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチン0.6重量%以上と卵黄とを含有することを特徴とする耐熱性酸性水中油型乳化食品。 【請求項2】 油分50〜80重量%、卵白4重量%以下、並びにキサンタンガム及び/又はタマリンドガム0.2重量%以上を含有する請求項1記載の耐熱性酸性水中油型乳化食品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、加熱後にも滑らかな性状であり、かつ、適当な粘度と固さを有する酸性水中油型乳化食品に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ドレッシングやマヨネーズを代表とする酸性水中油型食品の乳化剤としては、その呈味と乳化安定性から、卵黄を用いるのが一般的である。しかしながら、卵黄を乳化剤とした乳化製品は、加熱時に卵黄蛋白が変性を起こし、油分離が生じるといった問題が発生する。 【0003】そこで、これらの乳化食品への耐熱性付与には、リパーゼ、プロテアーゼといった酵素処理した卵黄を配合する方法が知られている(特公昭53−44426号公報、特公平6−22461号公報参照)。また、このような方法の他に、油の配合量を50重量%未満と比較的少なくして、澱粉などの増粘安定剤を用いる方法も知られている( New Food Industry(1995) Vol.37,No.10)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者のように、酵素処理した卵黄を使用した乳化食品は、未処理の卵黄と比べてタンパク間の凝集力が強いためか、マヨネーズを代表とする一般的な乳化食品と比べて固い物性となってしまうという問題がある。また、この酵素処理した卵黄を使用した乳化食品は、加熱後に油分離はないものの、タンパクの熱凝固により、全体が豆腐状に固まるなど、加熱前とは全く違った物性となり、商品価値の少ない食品となる問題も生じている。 【0005】一方、後者のように、油とタンパク含量とを少なくする方法においては、加熱後も滑らかな性状の乳化食品が得られる。しかし、この乳化食品は、油分が低いためにコク味がなく、一般的なマヨネーズ等の乳化食品の風味と比べて物足りない味であり、また、加熱前及び加熱後の粘度が低い。このように加熱前及び加熱後の粘度が低いと、この乳化食品を具材と混合した場合には、保形性が悪くなったり、液ダレが生じるといった問題が発生する。 【0006】従って、このような従来の方法に見られる問題を生じず、加熱後も滑らかな性状を有し、かつ、適度な粘度と固さを有する乳化食品が求められている。 【0007】本発明の目的は、加熱後に油分離をせず、かつ、加熱前と同様に滑らかな性状と適度な粘度及び固さを保っており、しかも卵黄や油特有のコク味を有する酸性水中油型乳化食品を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記特公昭53−44426号公報記載の方法において、得られるエマルジョンに加熱安定性を与えるのは、ホスホリパーゼAにより少なくとも10%の変換率まで変性させた卵黄等のフォスフォリポ−たん白質のみである。また、同公報では、従来技術として「未変性フォスフォ−リポたん白質+たん白質と複合しない変性フォスフォリピッドの一定量」を使用したエマルジョンは、加熱安定性がないとしている(同公報第1頁第2欄14〜17行目、同第3頁第5欄21〜26行目、同第7頁第13欄22〜38行目の例4参照)。 【0009】しかしながら、本発明者は、酵素処理レシチン(変性フォスフォリピッド)の種類、酵素処理の程度(リゾ化率)及び配合量について種々検討を重ねた結果、驚くべきことに、ホスホリパーゼA2 で特定のリゾ化率となるまで処理した大豆レシチンを特定の割合で含有するものを用いると、未酵素処理の卵黄を併用した場合にも、加熱安定性がある乳化食品を製造できることを見い出した。さらに、この場合、酵素処理卵黄を使用したときのような加熱後の物性変化が見られず、加熱後も加熱前と同様な滑らかな性状を呈することを知見した。 【0010】また、本発明者は、上記構成の乳化食品において、さらに、油分、卵白、キサンタンガム、タマリンドガムを特定割合で用いることにより、加熱前後においても滑らかな性状で、かつ、適度な粘度・固さを維持した乳化食品が得られることも知見した。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。 【0011】すなわち、請求項1記載の本発明は、リゾ化率70%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチン0.6重量%以上と卵黄とを含有することを特徴とする耐熱性酸性水中油型乳化食品を提供するものである。 【0012】また、請求項2記載の本発明は、油分50〜80重量%、卵白4重量%以下、並びにキサンタンガム及び/又はタマリンドガム0.2重量%以上を含有する請求項1記載の耐熱性酸性水中油型乳化食品を提供するものである。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。請求項1記載の本発明は、耐熱性酸性水中油型乳化食品に関し、リゾ化率70%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチン0.6重量%以上と卵黄とを含有することを特徴とするものである。 【0014】ここで酸性水中油型乳化食品とは、食酢等の酸剤を添加することによって、pH値が酸性を示す水中油型乳化食品をいう。そのような酸性水中油型乳化食品としては、例えばマヨネーズ,ドレッシング等を挙げることができ、更にタルタルソース等のこれらにピクルスなどの具材を混合したものであっても差し支えない。 【0015】請求項1記載の本発明は、上記のような耐熱性酸性水中油型乳化食品であって、リゾ化率が70%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチン0.6重量%以上と、卵黄とを含有することを特徴とする。 【0016】ここでホスホリパーゼA2 とは、ホスホリパーゼ(リン脂質加水分解酵素)の1種である。本発明においては、このホスホリパーゼA2 を用いることが必要であって、例えばホスホリパーゼBやホスホリパーゼCなどでは、本発明の目的を達成することはできない。 【0017】また、ホスホリパーゼA2 の処理対象である大豆レシチンとは、大豆から抽出されたグリセロリン脂質の1種である。本発明においては、ホスホリパーゼA2による処理は、得られる大豆レシチンが、リゾ化率70%以上、好ましくは80%以上となるように行う必要がある。得られる大豆レシチンのリゾ化率が70%未満では、たとえ大豆レシチンの配合量を増やしたとしても、充分な耐熱性が得られない。なお、リゾ化率とは、ホスホリパーゼA2 処理後におけるリン脂質のリゾ体への変換率であり、例えば機器分析法やアルカリ滴定法等によって確認することができる。 【0018】請求項1記載の本発明においては、使用する大豆レシチンは、リゾ化率が70%以上である他に、その添加量を、配合原料の全体中0.6重量%以上、好ましくは0.6〜1.0重量%とする必要がある。大豆レシチンの添加量が0.6重量%未満では、充分な耐熱性が得られない。なお、大豆レシチンの使用量の上限は特に制限はないが、1.0重量%を超えると、レシチン特有の苦みが感じられるため、好ましくない。従って、大豆レシチンについては、上記の2条件を共に満たすことが重要である。 【0019】請求項1記載の本発明においては、少なくとも上記大豆レシチンの他に、卵黄を含有する必要がある。卵黄は、生卵黄の他に、生卵黄に殺菌、加塩、冷凍、乾燥等の処理を施したものであっても良いし、これらの混合物であっても良い。但し、酵素処理を施したものは含まれない。卵黄を加えることにより、得られる乳化食品に特有のコク味と乳化安定性を付与することができる。卵黄の添加量は、配合する原料の全体量に対して、通常、2〜10重量%、好ましくは4〜8重量%である。卵黄の添加量が、配合する原料の全体量に対して、2重量%未満であると、得られる乳化食品に特有のコク味と乳化安定性を付与することができない。一方、卵黄の添加量が多過ぎると、卵黄の風味が強くなり過ぎて好ましくない。 【0020】本発明においては、上記リゾ化率70重量%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチンと卵黄の他に、例えば請求項2に記載した如く、油分、卵白、キサンタンガム、タマリンドガムなど他の成分を含有することができる。 【0021】請求項2記載の本発明は、油分50〜80重量%、卵白4重量%以下、並びにキサンタンガム及び/又はタマリンドガム0.2重量%以上を含有する、前記請求項1記載の耐熱性酸性水中油型乳化食品である。 【0022】油分としては、一般的には菜種油や大豆油等、食用植物油脂由来のものが用いられる。油分の添加量は、乳化食品の配合原料全体中、通常、50〜80重量%、好ましくは65〜75重量%である。油分の添加量が50重量%未満の場合には、得られる乳化食品に特有のコク味を付与することができない。一方、油分の添加量が80重量%を超えると、水中油型エマルションとしての乳化安定性が悪くなり、調製時や保管時に油分離が発生するといった問題が生ずる。 【0023】次に、卵白としては、生卵白の他に、卵黄と同様に、殺菌、加塩などの加工を施したものでも差し支えない。卵白の添加量は、乳化食品の配合原料全体中、通常、4重量%以下であり、2〜4重量%の範囲が好ましい。卵白の添加量が4重量%を超えると、加熱後にボソボソした性状になってくるという問題が生じるため好ましくない。但し、卵白を全く添加しない場合には、120℃で加熱したときにやや柔らかくなるので、キサンタンガム及び/又はタマリンドガムの添加量を工夫する必要がある。 【0024】キサンタンガムとタマリンドガムは、加熱前及び加熱後の物性を安定化させる働きがある。請求項2記載の本発明においては、これらのいずれか一方を単独で、若しくは両者の混合物を含有する。キサンタンガム及び/又はタマリンドガムの添加量は、0.2重量%以上とする。実際には、乳化食品の求める物性や油分により、0.2重量%以上の範囲で適宜に配合するのが好ましく、具体的には、油分50〜60重量%のとき、60〜70重量%のとき、70〜80重量%のときに、上記ガム量を、それぞれ0.4〜1.0重量%、0.3〜0.8重量%、0.2〜0.6重量%とするのが好ましい。 【0025】なお、キサンタンガムとタマリンドガムの混合物を用いる場合には、両者それぞれの長所、すなわち、キサンタンガムは加熱後の粘度安定性に優れており、一方、タマリンドガムは具材と混合したときの具材への付着性に優れているといった点を考慮して、用途に応じて適当な割合で混合使用するのが望ましい。 【0026】上記成分の他に、本発明においては、食酢,乳蛋白(例えば、ホエー蛋白,カゼインの塩など),スターチ,ゼラチン,水あめ,食塩,砂糖,MSG等やピクルス,オニオン,赤ピーマン,パセリ,タラゴン,バジル,ゴマ,粒コショウ,粒マスタード等といった通常、酸性水中油型乳化食品に配合される調味料、食品添加物、具材を、必要に応じて適宜添加することができる。 【0027】上記した如き請求項1,2記載の本発明の酸性水中油型乳化食品は、例えば、以下の方法により製造することができる。まず、油分以外の材料(例えば、リゾ化率70重量%以上となるようにホスホリパーゼA2 で処理した大豆レシチン,卵黄,卵白,キサンタンガム,タマリンドガム,食酢,乳蛋白,スターチ,ゼラチン等)を水に混合し、均一に溶解して水相原料とする。次に、この水相原料を攪拌しつつ、これに油分(例えば、菜種油や大豆油等)を徐々に添加して予備乳化する。さらに、コロイドミル等の乳化機により仕上げの乳化処理を施すことによって、目的とする酸性水中油型乳化食品を製造することができる。 【0028】このようにして得られる本発明の酸性水中油型乳化食品は、加熱後に油分離をせず、かつ、加熱前と同様に滑らかな性状と適度な粘度・固さを保ち、卵黄や油特有のコク味を有している。 【0029】次に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。 【0030】 【実施例】実施例1〜6〔リゾ化率70%以上の大豆レシチンを用いて作成したマヨネーズの耐熱性評価〕 リゾ化率70%以上の大豆レシチンを用いて作成したマヨネーズの耐熱性、及び、該レシチンの配合割合の耐熱性への影響について検討した。水,大豆油、10重量%加塩凍結卵黄、スターチ、タマリンドガム、酢(酸度15%)、食塩、MSG、砂糖、及び第1表に示すリゾ化率の大豆レシチン(サンレシチンA、太陽化学(株)製)を、第1表に示す配合割合で合計が100重量%となるように添加し(但し、水は残量を使用)、マヨネーズを製造した。具体的には、大豆油を除く材料を水に混合し、均一に溶解して水相原料とし、この水相原料を攪拌しつつ、これに大豆油を油相原料として徐々に添加して予備乳化し、さらにコロイドミルにより仕上げの乳化処理を施して、マヨネーズを製造した。 【0031】得られたマヨネーズを第1表に示す温度及び時間で加熱し、加熱後の油分離の状況及び外観を観察した。油分離については、「油分離なし」、「やや油分離」、「油分離」の3段階にて評価した。結果を第1表に示す。 【0032】比較例1〜2〔大豆レシチン不使用の場合のマヨネーズの耐熱性評価〕 大豆レシチンを添加しなかった他は、実施例1〜6と同様にしてマヨネーズを作成し、加熱後の油分離の状況及び外観を観察した。結果を第1表に示す。 【0033】比較例3〜6〔リゾ化率70%以上の大豆レシチンの添加量の検討〕 リゾ化率90%の大豆レシチンの配合割合を変えた他は、実施例1〜2と同様にしてマヨネーズを作成し、加熱後の油分離の状況及び外観を観察し、該レシチンの添加量の耐熱性への影響について検討した。結果を第1表に示す。 【0034】比較例7〜14〔リゾ化率70%未満の大豆レシチンを用いて作成したマヨネーズの耐熱性評価〕 リゾ化率70%未満の大豆レシチンを用いた他は、実施例1〜6と同様にしてマヨネーズを製造し、加熱後の油分離の状況及び外観を観察した。結果を第1表に示す。 【0035】 【表1】
【0036】第1表の結果より、以下のことが明らかである。まず、実施例1〜6の場合は、いずれも油分離なしの結果が得られ、また、加熱後もゲル化せず、滑らかであった。これに対して、大豆レシチン無添加の他は、実施例1〜6と同様の条件で作成したマヨネーズでは、比較例1,2に示されるように、加熱による油分離を起こすことが分かる。従って、これらの結果からは、本発明の範囲内、即ち、リゾ化率70%以上の大豆レシチンを0.6重量%以上配合することにより、加熱温度にかかわらず、耐熱性に優れたマヨネーズを得られることが明らかである。 【0037】次に、比較例3及び4によれば、実施例1及び2と同様にリゾ化率90%の大豆レシチンを使用した場合にも、その配合割合が0.26重量%では、90℃,60分加熱でやや油分離がみられ、120℃,30分加熱では完全に油分離してしまった。同様の結果が、該大豆レシチンの配合割合が0.46重量%の場合にも得られた(比較例5及び6)。これらの結果は、本発明の範囲内であるリゾ化率90%の大豆レシチンを用いたとしても、配合割合が本発明の範囲外では、完全な耐熱性を得ることができないことを示すものである。 【0038】そして、比較例7〜10では、加熱条件にかかわらず油分離を起こした。これらの比較例では、大豆レシチンの配合割合は0.66重量%,1.00重量%と本発明の範囲内であるが、大豆レシチンのリゾ化率が60%と本発明の範囲外である。同様の結果が、リゾ化率が40%の大豆レシチンを用いた比較例11〜14でも得られた。このことから、大豆レシチンのリゾ化率が70%未満では、耐熱性が全く改善されないことが分かる。 【0039】実施例7〜9及び比較例15〜16〔油分の配合割合の検討〕 油分の配合割合のマヨネーズの風味に与える影響について検討した。菜種油,リゾ化率90%の大豆レシチン(サンレシチンA、太陽化学(株)製),キサンタンガム,タマリンドガム,10重量%加塩凍結卵黄,凍結卵白,食酢(酸度15%),食塩,MSG,砂糖及び水を、第2表に示す配合割合で合計が100重量%となるように添加し(但し、水は残量を使用)、上記実施例と同様の方法でマヨネーズを製造した。 【0040】得られたマヨネーズを90℃、60分の条件で加熱した後、パネラー5人の協力を得て、マヨネーズの官能評価を行った。評価は、コクみの強さと味全体の好ましさの項目について、以下に示した尺度で実施し、その平均点を示した。結果を第2表に示す。 【0041】・コクみの強さ:2;強い、1;やや強い、0;普通、−1;やや弱い、−2;弱い・味全体の好ましさ:2;良い、1;やや良い、0;どちらとも言えない、−1;やや悪い、−2;悪い【0042】 【表2】
【0043】第2表より、以下のことが分かる。まず、加熱後に分離が生じたのは、菜種油(油分)の割合が85重量%の場合(比較例16)のみであった。次に、官能評価の結果をみると、油分の配合割合を上げるほどコク味が強くなる傾向にあることが分かる。このうち、良好な風味との評価を得たのは、油分が50重量%、65重量%及び80重量%%の場合(実施例7〜9)、すなわち、本発明の範囲内の場合であった。 【0044】一方、本発明の範囲外、すなわち、油分が40重量%の場合には、コクみが弱くマヨネーズらしさが失われ、一方、油分が85重量%の場合には、調製翌日に油分離が起こるために評価の対象外であった。このことから、油分の配合割合を本発明の範囲内である50〜80重量%とすることにより、良好な風味を得られることが証明された。 【0045】実施例10〜17及び比較例17〜22〔ガム及び卵白の配合量の検討〕 キサンタンガム及びタマリンドガムの添加量を変えた試験を行った。キサンタンガム,タマリンドガム,卵白,リゾ化率90%の大豆レシチン(サンレシチンA、太陽化学(株)製),菜種油,10重量%加塩凍結卵黄,食酢(酸度15%),食塩、MSG,砂糖及び水を、第3表に示す配合割合で合計が100重量%となるように添加し(但し、水は残量を使用)、上記実施例1〜6と同様の方法でマヨネーズを製造した。 【0046】得られたマヨネーズを第3表に示す条件で加熱し、加熱前後の物性変化について観察した。評価は、パネラー5人により、加熱前の試料を対照として、粘度と滑らかさについて、以下に示した尺度で実施し、その平均点を示した。結果を第3表に示す。なお、いずれの場合も、加熱後の油分離はみられなかった。 【0047】・粘度:2;高い、1;やや高い、0;対照と同等、−1;やや低い、−2;低い・滑らかさ:2;滑らか、1;やや滑らか、0;対照と同等、−1;ややボソボソしている、−2;ボソボソしている【0048】 【表3】
【0049】第3表より以下のことが分かる。まず、キサンタンガム、タマリンドガムのいずれも添加しない場合には、加熱による粘度低下を避けることができなかった(比較例17)。これに対し、キサンタンガムを単独で0.20重量%以上配合すると、加熱前後における物性の変化がみられなかった(実施例10〜13)。一方、キサンタンガムの添加量が0.10重量%では、90℃、60分の加熱でやや粘度低下がみられ、120℃、30分の加熱で粘度低下を呈した(比較例18)。タマリンドガム単独の場合にも、0.10重量%では粘度低下がみられたが(比較例21)、0.20重量%或いは0.30重量%配合すれば、加熱の影響を受けなかった(実施例14〜15)。 【0050】また、キサンタンガムとタマリンドガムとを併用する場合にも、各単独の場合と同様に、両者の合計量が0.20重量%以上では加熱による変化がなかったが(実施例16〜17)、0.2重量%未満では、90℃、60分の加熱でやや粘度低下、120℃、30分では粘度低下がみられた(比較例22)。このことから、本発明の範囲でキサンタンガム及び/又はタマリンドガムを配合すれば、粘度の低下を防ぐことが分かる。 【0051】次に、卵白の配合割合をみると、無添加を含めて4重量%以下では、加熱の影響を受けず(実施例10〜12)、同時に添加するキサンタンガムやタマリンドガムの影響も受けなかった(実施例10〜17)。一方、卵白の配合割合を5重量%又は6重量%とすると、ボソボソした性状となる傾向にあった(比較例19〜20)。このことから、卵白を4重量%以下の配合割合で添加すれば、ボソボソとした性状を呈することなく、加熱前後の変化防止を促進することができることが明らかとなった。 【0052】 【発明の効果】請求項1記載の本発明の耐熱性酸性水中油型乳化食品は、ホスホリパーゼA2で処理された大豆レシチンを有しているため、未酵素処理の卵黄を用いているにもかかわらず、酵素処理卵黄を用いた場合と同様に、加熱後の油分離を起こすおそれがない。 【0053】また、請求項1記載の本発明の耐熱性酸性水中油型乳化食品は、上記の如き特定の大豆レシチンを含有しているため、酵素処理の卵黄を用いる必要がなく、このため加熱後も加熱前と同様に滑らかな性状と適度な粘度・固さを保っている。また、請求項1記載の本発明の耐熱性酸性水中油型乳化食品は、油分やタンパク含量を減らす必要がないため、特有のコク味をも十分に有しており、風味に問題が生じることがない。 【0054】さらに、請求項2記載の本発明の如く、上記大豆レシチン及び卵黄の他に、特定の配合割合で油分、卵白、キサンタンガム及び/又はタマリンドガムを含有する耐熱性酸性水中油型乳化食品は、加熱前後における滑らかな性状、適度な粘度及び固さを、より一層改善することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591101504 【氏名又は名称】クノール食品株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年8月19日(1998.8.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074077 【弁理士】 【氏名又は名称】久保田 藤郎 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−60481(P2000−60481A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月29日(2000.2.29) |
| 【出願番号】 |
特願平10−247713 |
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