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【発明の名称】 酸性O/W型乳化組成物
【発明者】 【氏名】深谷 成男

【氏名】政岡 和彦

【要約】 【課題】乳化安定性に優れ、マヨネーズやドレッシング等の酸性O/W型乳化食品に適する、新規な乳化組成物を提供する。

【解決手段】連続相に親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し且つ分散相に親油性脂肪酸多価アルコールエステルを含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続相に親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し且つ分散相に親油性脂肪酸多価アルコールエステルを含有することを特徴とする酸性O/W型乳化組成物。
【請求項2】 親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルのポリグリセリンの重合度が4〜20の範囲である請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】 親油性脂肪酸多価アルコールエステルのHLB値が5以下である請求項1記載の乳化組成物。
【請求項4】 pHが2〜6である請求項1記載の乳化組成物。
【請求項5】 分散相と連続相の割合が重量比で90/10〜20/80の範囲内である請求項1記載の乳化組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸性O/W型乳化組成物に関し、詳しくは、乳化安定性に優れ、マヨネーズやドレッシング等の酸性O/W型乳化食品に適する、新規な酸性O/W型乳化組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高油分のO/W型乳化組成物は、分散相の比率が高いため、乳化が困難であったり、保存中に乳化破壊を生じ易いことから、これに安定性を付与するための様々な工夫がなされている。
【0003】従来、マヨネーズは、卵黄を使用し、これに食用油、食酢、調味料などが加えられ、酸性O/W型乳化物として調製されていた。しかしながら、近年、健康志向から、コレステロール含量の多い卵黄を使わず、これに代えて食品用乳化剤などを使用し、酸性域で安定なO/W型乳化物の提案がなされている。一方、酸性O/W型乳化物を使用した食品の冷凍保存や加熱調理の頻度が増え、乳化安定性に優れた高含油乳化食品に対するニーズが高くなっている。
【0004】卵黄を含まないマヨネーズ様食品の乳化安定化方法としては、水相にポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法(特開昭60─118164号公報)、水溶性乳化剤とサイクロデキストリンを添加する方法(特開昭62−208236号公報)、HLB値が10以上のポリグリセリン脂肪酸エステルと多価アルコールを水に溶解し、レシチンを添加した食用油脂を乳化する方法(特開平1─307442号公報)等が提案されている。
【0005】因に、卵黄を含むマヨネーズソースでは、変性ワキシースターチとポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用する方法(特開平2─203764号公報)が提案されている。更に、分散相の粒径を小さくして安定性を高めるために、高圧乳化機で微細乳化する方法(特開平7─31413号公報)等も提案されている。
【0006】しかしながら、上記の方法では、乳化安定性が必ずしも十分でなかったり、特殊な装置を必要としたり、また、風味の点において満足できない、といった問題があるため、乳化安定性に優れた新規な酸性O/W型乳化組成物の出現が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、乳化安定性に優れ、マヨネーズやドレッシング等の酸性O/W型乳化食品に適する、新規な乳化組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨は、連続相に親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有し且つ分散相に親油性脂肪酸多価アルコールエステルを含有することを特徴とする酸性O/W型乳化組成物に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、連続相に含有される親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度が通常2以上、好ましくは4〜20のポリグリセリンと脂肪酸とのエステルが挙げられる。構成脂肪酸としては、炭素数が通常8〜22、好ましくは12〜18であり、HLBが通常7以上、好ましくは10以上の脂肪酸が挙げられる。
【0010】親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、テトラグリセリンモノステアレート、ヘキサグリセリンモノパルミテート、ヘキサグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジオレエート、デカグリセリントリステアレート等が挙げられる。
【0011】親水性ポリグリセリン脂肪酸エステルの乳化組成物中の量は、通常0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0012】本発明において、分散相に含有される親油性脂肪酸多価アルコールエステルとしては、HLB値が5以下の食品用乳化剤が有効に使用される。斯かる脂肪酸多価アルコールエステルの具体例としては、グリセリン、ポリグリセリン、ショ糖、ソルビタン、プロピレングリコール等の多価アルコールと脂肪酸とのエステルが挙げられる。
【0013】上記の中では、ショ糖脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、更に、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、平均重合度4〜20のポリグリセリンと脂肪酸とのエステルが好ましい。一方、構成脂肪酸としては、炭素数が8〜22の脂肪酸、特に、主構成脂肪酸の炭素数が12〜18の脂肪酸が好ましい。
【0014】上記の親油性脂肪酸多価アルコールエステルとしては、長期間の冷凍保存後の解凍安定性が求められる様な、極めて安定性の高い乳化組成物の場合には、HLB3以下の親油性のものを使用するのが特に好ましい。また、乳化組成物として、例えば、液状ドレッシング等の比較的粘度が低いものの場合にはショ糖脂肪酸エステルが好適であり、比較的粘度が高いものの場合にはポリグリセリン脂肪酸エステルが好適である。
【0015】親油性脂肪酸多価アルコールエステル類の乳化組成物中の量は、通常0.05〜5重量%であり、好ましくは0.1〜3重量%である。
【0016】分散相の主成分である油脂としては、食用に供せられる各種の液状油脂類が使用できる。安定な乳化状態を形成するには、−20℃での固体脂含量が50重量%以下の油脂が好ましい。固体脂含量は、好ましくは75重量%以下、更に好ましくは65%重量%、特に好ましくは55重量%以下である。
【0017】油脂の具体例としては、サフラワーサラダ油、ひまわりサラダ油、綿実サラダ油、コーンサラダ油、大豆サラダ油、菜種サラダ油などが挙げられ、これらの液状油脂は、二種以上を混合して使用してもよい。斯かる混合操作は、固体脂含量が75重量%を超える油脂に他の油脂を混合して固体脂含量が75%以下の混合油脂を調製する際にも使用される。
【0018】液状油脂の量は、乳化組成物中の分散相の量として、通常20〜90重量%、好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは60〜80重量%である。
【0019】本発明の酸性O/W型乳化組成物のpHは、通常2〜6の範囲であり、通常、水相に食酢、酢酸などを含む。この他、必要により、安定剤、増粘剤、甘味料、調味料、香辛料などを加えてもよい。安定剤、増粘剤としては、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン等の水溶性高分子、各種デンプン、加工デンプン等が挙げられる。甘味料、調味料、香辛料としては、食用に使用されるものであれば、その種類や品種は問わない。
【0020】本発明の酸性O/W型乳化組成物は、水相に親水性ポリグリセリン脂肪酸エステル、油相に親油性脂肪酸多価アルコールエステル類を使用して乳化することにより調製できる。油相と水相の割合は、重量比で通常90/10〜20/80の範囲である。
【0021】上記の乳化は具体的には次の様に行う。例えば、水にポリグリセリン脂肪酸エステル、食酢、食塩、その他の水相成分を加え、加温溶解して水相を調製し、ホモジナイザー等を使用し、親油性脂肪酸多価アルコールエステル類を含有する液状油脂を滴下して乳化し、本発明の酸性O/W型乳化組成物を得る。乳化分散相の粒径は、通常100μm以下、好ましくは50μm以下であり、一般に、粒径が小さいほど安定とされる。なお、食酢および食塩を乳化処理後に加えることも出来、この場合、食塩が溶解された食酢を滴下しながら上記と同様に均質化する。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、特に断らない限り、部は重量部、%は重量%、比は重量比を示す。
【0023】実施例1水に食塩2部、食酢(ミッカン社製;穀物酢)15部、デカグリセリンステアリン酸エステル(三菱化学フーズ社製、水ペースト;固形分30%、HLB=12)1.67部、キサンタンガム(大日本製薬社製「エコーガム」)0.1部を添加し、65℃で加温溶解して水相成分30部を調製した。一方、サラダ油(日清製油社製;菜種・大豆混合油)に、ショ糖ラウリン酸エステル(三菱化学フーズ社製、HLB=1)0.5部を添加し、65℃で加温溶解して油相成分70部を調整した。
【0024】TKホモミキサーを使用し、温度65℃、回転数3000rpmで油相を水相に徐々に添加し、5分間の予備乳化後、7000rpm、5分間で乳化を行った。得られたO/W型乳化物は、pH:2.8(24℃)、粘度:6210cps(24℃、BL型回転粘度計、ローターNo.3使用、12rpm×3分間)、分散相の油脂の平均粒径:13.1μm(粒度測定装置HORIBA社製「LA920」使用)であった。
【0025】実施例2実施例1において、油相部に添加する乳化剤をショ糖混合脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、主脂肪酸炭素数12〜18、HLB=1)に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、pH:2.7、粘度:5610cps、油脂平均粒径:16.7μmの乳化物を得た。
【0026】実施例3実施例1において、油相部に添加する乳化剤をデカグリセリン混合脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、主脂肪酸炭素数12〜18、HLB=1)に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、pH:2.7、粘度:16300cps、平均粒径:6.3μmの乳化物を得た。
【0027】比較例1実施例1において、油相部に乳化剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様に操作して、pH2.5、粘度9200cps、平均粒径6.0μmの乳化物を得た。
【0028】上記で得られた各乳化物について、乳化安定性評価として、(1)5℃で10日間保存した場合、(2)−20℃の冷凍庫で10日間保存後に45℃の恒温槽で解凍した場合のそれぞれの乳化状態を観察し、結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】実施例4実施例1において、油相部に添加する乳化剤をデカグリセリン混合脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、主脂肪酸炭素数16〜18;HLB=4)に変更した以外は、実施例1と同様に操作して、pH:2.7、粘度:8760cps、分散相の平均粒径:6.8μmの乳化物を得た。この乳化物の乳化状態は、5℃で10日間の保存後も良好であった。
【0031】
【発明の効果】本発明の酸性O/W型乳化組成物は、乳化安定性に優れているので、味覚向上のための高含油液状ドレッシングの他、長期間の冷凍保存後に解凍しても乳化状態が安定で且つ冷凍解凍耐性が極めて高い酸性O/W型乳化物を得ることが出来る。このため、本発明の酸性O/W型乳化組成物は、冷凍食品をはじめとして広い用途へ利用することが出来る。
【出願人】 【識別番号】593204214
【氏名又は名称】三菱化学フーズ株式会社
【識別番号】000005968
【氏名又は名称】三菱化学株式会社
【出願日】 平成10年8月25日(1998.8.25)
【代理人】 【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦
【公開番号】 特開2000−60480(P2000−60480A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平10−238483