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【発明の名称】 大豆粉末の製造方法、豆腐の製造方法及び大豆用摩砕装置
【発明者】 【氏名】古橋 稔

【氏名】山崎 元貴

【氏名】望月 誠人

【氏名】遠藤 正人

【要約】 【課題】安価に実施できると共に、豆腐らしい風味を保持した豆腐を製造することができる大豆粉末の製造方法を提供する。

【解決手段】原料大豆の投入用ホッパと、固定刃と回転刃とが相対して設けられ、該ホッパから供給された原料大豆を摩砕する摩砕装置を用いた大豆粉末の製造方法において、前記原料大豆として、水分量が15重量%以下のものを用いることを特徴とする。これにより、特別な摩砕装置を使用しなくても、摩砕中の油脂分の浸出量を少なくし、油脂分が失われない状態で粉末化することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原料大豆の投入用ホッパと、固定刃と回転刃とが相対して設けられ、該ホッパから供給された原料大豆を摩砕する摩砕装置を用いた大豆粉末の製造方法において、前記原料大豆として、水分量が15重量%以下のものを用いることを特徴とする大豆粉末の製造方法。
【請求項2】 請求項1記載の大豆粉末の製造方法であって、前記水分量が8〜12重量%の範囲であることを特徴とする大豆粉末の製造方法。
【請求項3】 請求項1又は2記載の大豆粉末の製造方法であって、前記回転刃の回転数を200〜500r.p.m.の範囲で制御して実施することを特徴とする大豆粉末の製造方法。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1に記載の大豆粉末の製造方法であって、前記摩砕装置として、固定刃の外周又は回転刃の内周に冷媒を循環させるためのジャケットを有するものを用いることを特徴とする大豆粉末の製造方法。
【請求項5】 請求項4記載の大豆粉末の製造方法であって、前記摩砕装置として、さらに、ホッパの下部外周に冷媒を循環させるためのジャケットを有するものを用いることを特徴とする大豆粉末の製造方法。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1に記載の大豆粉末の製造方法の実施により得られた大豆粉末を用いた豆腐の製造方法であって、前記大豆粉末を水と撹拌する第1工程と、該第1工程で撹拌することにより得られた大豆粉末の溶解液を煮沸して豆乳を得る第2工程と、得られた豆乳に凝固剤を混入させて凝固させ豆腐を得る第3工程とを有することを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項7】 請求項6記載の豆腐の製造方法であって、前記第2工程と第3工程の間に、おからを除去するためのろ過工程を有することを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項8】 請求項6又は7記載の豆腐の製造方法であって、前記大豆粉末として、粒度120メッシュ以上で、その中に30メッシュ〜80メッシュの粒度の粉末が60重量%以上含まれているものを用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項9】 請求項8記載の豆腐の製造方法であって、前記大豆粉末として、粒度100メッシュ以上で、その中に30メッシュ〜80メッシュの粒度の粉末が70重量%以上含まれているものを用いることを特徴とする豆腐の製造方法。
【請求項10】 原料大豆の投入用ホッパと、固定刃と回転刃とが相対して設けられ、該ホッパから供給された原料大豆を摩砕する大豆用摩砕装置において、前記固定刃の外周又は回転刃の内周に冷媒を循環させるためのジャケットを設けたことを特徴とする大豆用摩砕装置。
【請求項11】 請求項10記載の大豆用摩砕装置であって、さらに、ホッパの下部外周に冷媒を循環させるためのジャケットを設けたことを特徴とする大豆用摩砕装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大豆粉末の製造方法、該方法の実施により得られる大豆粉末を用いた豆腐の製造方法、及び前記大豆粉末の製造方法の実施に適する大豆用摩砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、豆腐は、大豆を洗浄してから水に浸漬し、次に摩砕した後、煮沸し、さらに、ろ過して豆乳を絞り出し、この豆乳を凝固するという工程を経てから、所定の大きさに、裁断することにより製造される。このため、豆腐の製造には、十数時間要するのが通常であると共に、皮付きの大豆を粉砕してろ過するため、ろ過の際に大量のおからが発生するという問題が指摘されている。おからは、もちろん、食することができ、販売もされているが、おからの発生量に対する販売量はきわめて低く、その多くは産業廃棄物として処分されているのが現状で、この処分に要する費用が各豆腐店においては大きな負担となっている。
【0003】このような背景に鑑み、従来、製造時間の短縮化、おからの発生量の低減を目的とした手段がいくつか提案されている。例えば、特開昭52−90678号公報には、大豆の乾燥微粉末を用いて煮沸して豆乳とし、ろ過後、凝固させる手段が開示されている。この方法によれば、各豆腐店における作業としては、作業開始当初から大豆の乾燥微粉末を用いるため、おからがほとんど発生しない点で優れている。しかしながら、該公報には、大豆を微粉末化する方法について全く開示されていない。該公報に示された方法を実施するに当たって、市販されている乾燥微粉末を用いて豆腐を製造することも行われているが、現在市販されている大豆の乾燥微粉末を用いて製造した豆腐は、豆腐らしい風味に欠けると言われ、消費者に受け入れられ難い面がある。
【0004】市販の大豆の乾燥微粉末を用いて製造した豆腐が風味にかける理由は、粉末化するに当たって、既に、風味のもとになる大豆の油脂分が失われていることに大きな原因があると考えられる。これは、大豆をそのまま摩砕した場合には、大豆から油脂分がしみ出て、摩砕時の熱によりこの油脂分が飴状になって摩砕用の刃(砥石)にからみつくだけで粉末状とならないため、摩砕の前に、油脂分を抜いた後に、摩砕しているからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、上記した点に鑑み、油脂分が浸出しても飴状とならないよう、液体窒素を冷媒として摩砕用の刃(砥石)を冷却しつつ、摩砕する低温粉砕システムも知られている。しかしながら、液体窒素を冷媒とする冷却装置を付設しているため、装置全体の価格が非常に高い。
【0006】本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、安価に実施できると共に、豆腐らしい風味を保持した豆腐を製造することができる大豆粉末の製造方法を提供することを第1の課題とする。また、本発明は、該大豆粉末の製造方法により得られた大豆粉末を用いることにより、豆腐らしい風味を保持した豆腐を製造することができる豆腐の製造方法を提供することを第2の課題とする。さらに、本発明は、安価でありながら、豆腐らしい風味を保持した豆腐を製造することができる大豆粉末を製造するのに適した大豆用摩砕装置を提供することを第3の課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、大豆の摩砕中に油脂分がしみ出るのは、原料大豆に含まれる油脂分の量に起因するのではなく、水分量に起因すること、すなわち、水分がしみ出ることに誘引されて油脂分がしみ出し易くなることを見いだした。従って、原料大豆として、該原料大豆中に含まれる水分量が所定量以下のもの、又は水分量のみを所定量以下に調整したものを使用すれば、油脂分の過剰浸出を防止でき、豆腐らしい風味のもとになる油脂分を保持した大豆粉末を製造できることに着目し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、請求項1記載の本発明の大豆粉末の製造方法は、原料大豆の投入用ホッパと、固定刃と回転刃とが相対して設けられ、該ホッパから供給された原料大豆を摩砕する摩砕装置を用いた大豆粉末の製造方法において、前記原料大豆として、水分量が15重量%以下のものを用いることを特徴とする。請求項2記載の本発明の大豆粉末の製造方法は、請求項1記載の大豆粉末の製造方法であって、前記水分量が8〜12重量%の範囲であることを特徴とする。請求項3記載の本発明の大豆粉末の製造方法は、請求項1又は2記載の大豆粉末の製造方法であって、前記回転刃の回転数を200〜500r.p.m.の範囲で制御して実施することを特徴とする。請求項4記載の本発明の大豆粉末の製造方法は、請求項1〜3のいずれか1に記載の大豆粉末の製造方法であって、前記摩砕装置として、固定刃の外周又は回転刃の内周に冷媒を循環させるためのジャケットを有するものを用いることを特徴とする。請求項5記載の本発明の大豆粉末の製造方法は、請求項4記載の大豆粉末の製造方法であって、前記摩砕装置として、さらに、ホッパの下部外周に冷媒を循環させるためのジャケットを有するものを用いることを特徴とする。
【0009】請求項6記載の本発明の豆腐の製造方法は、請求項1〜5のいずれか1に記載の大豆粉末の製造方法の実施により得られた大豆粉末を用いた豆腐の製造方法であって、前記大豆粉末を水と撹拌する第1工程と、該第1工程で撹拌することにより得られた大豆粉末の溶解液を煮沸して豆乳を得る第2工程と、得られた豆乳に凝固剤を混入させて凝固させ豆腐を得る第3工程とを有することを特徴とする。請求項7記載の豆腐の製造方法は、請求項6記載の豆腐の製造方法であって、前記第2工程と第3工程の間に、おからを除去するためのろ過工程を有することを特徴とする。請求項8記載の豆腐の製造方法は、請求項6又は7記載の豆腐の製造方法であって、前記大豆粉末として、粒度120メッシュ以上で、その中に30メッシュ〜80メッシュの粒度の粉末が60重量%以上含まれているものを用いることを特徴とする。請求項9記載の豆腐の製造方法は、請求項8記載の豆腐の製造方法であって、前記大豆粉末として、粒度100メッシュ以上で、その中に30メッシュ〜80メッシュの粒度の粉末が70重量%以上含まれているものを用いることを特徴とする。
【0010】請求項10記載の大豆用摩砕装置は、原料大豆の投入用ホッパと、固定刃と回転刃とが相対して設けられ、該ホッパから供給された原料大豆を摩砕する大豆用摩砕装置において、前記固定刃の外周又は回転刃の内周に冷媒を循環させるためのジャケットを設けたことを特徴とする。請求項11記載の大豆用摩砕装置は、請求項10記載の大豆用摩砕装置であって、さらに、ホッパの下部外周に冷媒を循環させるためのジャケットを設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明で使用される原料大豆は、水分量が15重量%以下のものである。15重量%を越える場合には、原料大豆に含まれている油脂分の量に拘わらず、摩砕中に油脂分の流出が多くなる。原料大豆の水分量がこれを越える場合には、乾燥させることもできるが、乾燥させ過ぎると、油脂分も失われるので注意が必要である。油脂分が保持されている限り、水分量は少なくても問題ないが、8〜12重量%の範囲に水分量を調整することが好ましい。
【0012】原料大豆に含まれている油脂分の量は、大豆の種類により様々であるが、油脂分量が豆腐らしい風味に大きく関与するため、水分量を上記範囲に調整した場合でも、使用する大豆固有の油脂分量に近い油脂分量を保持しているものを用いる。なお、原料大豆は、予め脱皮したものを用いると1回の摩砕により所望の粒度にすることが可能であるため好ましいが、皮付きの大豆であっても、最初に粗砕して脱皮する工程を付加すればよい。
【0013】本発明の大豆粉末の製造方法では、摩砕装置の回転刃の回転数を低く制御して用いることが好ましい。回転数を低く制御することにより、回転刃と固定刃間で生じる摩擦熱を抑制し、油脂分が浸出した場合でも、該油脂分が飴状に変性することを防ぐことができる。具体的には、回転刃の回転数は、200〜500r.p.m.とすることが好ましい。
【0014】本発明の大豆粉末の製造方法で使用可能な大豆用摩砕装置としては、例えば、(株)石上機械製作所製 アントレA型等が挙げられる。この装置の概略構造は、図1に示したとおり、原料供給用のホッパ1と、ホッパ1の下方に横向きに配置される回転刃2と、該回転刃2の外周囲に配設される固定刃3と、回転刃2と固定刃3との図上左端のクリアランスから吐出される粉末をかき集めるかき出し具4と、かき集めた粉末を排出する排出口5とを有している。回転刃2は、回転軸6に支持されており、図上ホッパ1を上側とした場合に右側に配置されたプーリ7によって回転軸6が回転せしめられることにより、回転する。また、回転刃2と固定刃3とのクリアランスは図上左側に設けたハンドル8を回転させて回転刃2を左右方向にスライドさせることにより調整することができる。回転刃2と固定刃3とのクリアランスの調整により、得られる大豆粉末の粒度を調整することができる。
【0015】かかる構成の大豆用摩砕装置によれば、ホッパ1から原料大豆を投入すると、原料大豆は回転刃2の基部付近の外周に設けられたスクリュー刃2aによって、図上左側に押し出され、回転刃2と固定刃3とのクリアランスに送り込まれる。この結果、原料大豆は摩砕され、所望粒度の大豆粉末として吐出され、かき集められた後、排出口5から排出される。
【0016】但し、本発明の大豆粉末の製造方法で使用可能な大豆用摩砕装置は、上記した回転数で運転可能であると共に、得られる大豆粉末の粒度を後述の範囲とすることができるものであればよく、図1に示したものに限定されるものではない。
【0017】また、本発明の大豆粉末の製造方法によれば、原料大豆として上記した水分量の範囲のものを用いる限り、摩砕時の温度にほとんど関係なく、大豆の良好な粉末化が可能であるが、油脂分の浸出をより防ぐためには、上記した回転刃の回転数の制御のほか、摩砕時の固定刃及び回転刃の温度をより低く制御するために冷却手段を設けることが好ましい。但し、本発明では、冷却手段が設けられていなくても、油脂分の浸出量が少ないため、従来の液体窒素を用いたシステムのように複雑かつ高価なものである必要はない。例えば、図2に示したように、固定刃3の外周に冷媒としての冷却水が循環可能なジャケット9を付設するだけで十分である。もちろん、固定刃3の外周ではなく、回転刃2の内周にジャケットを設けてもよいし、両方に設けてもよい。さらに、念のために、ホッパ1の下部外周に同様のジャケットを設けることもできる。
【0018】次に、本発明の豆腐の製造方法について説明する。本発明において、豆腐の製造原料となる大豆粉末は、上記した大豆粉末の製造方法により製造されるが、大豆粉末の粒度としては、大豆粉末の粒度が大きくなるに従い、おからの発生量が多くなり、粒度が小さくなるに従い、製造した豆腐中に粒子がそのまま残存し、食したときにざらざら感を感じるため、これらのバランスを考慮した粒度分布を有する大豆粉末を用いることが好ましい。このことから、大豆粉末は、粒度120メッシュ(目開き131μm、線径80μmのふるい)以上であって、その中に30メッシュ(目開き577μm、線径270μmのふるい)〜80メッシュ(目開き197μm、線径120μmのふるい)の粒度の粉末が60重量%以上含まれているものが好ましい。より好ましい大豆粉末は、粒度100メッシュ(目開き149μm、線径105μmのふるい)以上であって、30メッシュ〜80メッシュの粉末が70重量%以上、さらには80重量%以上含まれているものである。
【0019】本発明の豆腐の製造方法は、上記した方法により製造した大豆粉末をまず水と撹拌する。水の分量は任意であるが、通常、大豆粉末:水=約1:5の割合で混合して撹拌することが好ましい。次に、この撹拌により得られた大豆粉末の溶解液を煮沸して豆乳を得る。次に、必要に応じて、おからを除去するためのろ過を行う。このおからの発生量は上記したように大豆粉末の粒度に依存するが、いずれにしても、大豆粉末を使用しているため、従来、一般に行われている製法と比較すれば、おからの発生量は著しく少ない。次に、ろ過により得られた豆乳を煮た後、凝固剤を混入させて凝固させる。凝固剤としては、通常、にがりが用いられる。最後に、所定の大きさに裁断すれば、所望の豆腐が得られる。
【0020】(実施例1)原料大豆として、八割りにした国産大豆60kgを、摩砕機として(株)石上機械製作所製 アントレA型を用い、回転数270r.p.m.に調整して摩砕した。この際、得られる大豆粉末の粒度が100メッシュ未満とならないように調整して摩砕した。この大豆粉末の生産量は、0.7kg/minで、最終的に58kgの大豆粉末が得られた。なお、ここで用いた原料大豆は予め脱皮されているもので、100g当たりの水分量は8.4g、油脂分の量は23.2gであった。
【0021】(実施例2)原料大豆として、アメリカ産の大豆60kgを、摩砕機として(株)石上機械製作所製 アントレA型を用い、回転数270r.p.m.で摩砕した。この大豆は、皮付きであったため、まず、脱皮目的のため、粗挽きした後、皮を吹き飛ばした。次に、得られる大豆粉末の粒度が100メッシュ未満とならないように調整して摩砕した。この大豆粉末の生産量は、0.54kg/minで、最終的に50kgの大豆粉末が得られた。なお、原料大豆100g当たりの水分量は9.5g、油脂分の量は18.2gであった。
【0022】(実施例3)原料大豆として、中国産の大豆60kgを、摩砕機として(株)石上機械製作所製 アントレA型を用い、回転数270r.p.m.で摩砕した。この大豆は、皮付きであったため、まず、脱皮目的のため、粗挽きした後、皮を吹き飛ばした。次に、得られる大豆粉末の粒度が100メッシュ未満とならないように調整して摩砕した。この大豆粉末の生産量は、0.48kg/minで、最終的に48kgの大豆粉末が得られた。なお、原料大豆100g当たりの水分量は11.4g、油脂分の量は19.6gであった。
【0023】実施例1〜実施例3によれば、いずれも目的とする粒度に粉末化することができた。しかしながら、上記の1分当たりの生産量から明らかなように、粉砕のし易さ(1分当たりの生産量が多いほど油脂分の粘り付きが少なく粉砕し易い)の点では、多少の差があった。すなわち、実施例1の場合には、油脂分が飴状になって回転刃及び固定刃に粘りつくことはほとんどなく、きわめて良好に粉砕できたが、実施例2は実施例1と比較してやや劣っていた。実施例3の場合には多少飴状になって粘りついたため、粉砕のし易さの点では実施例2よりもやや劣っていた。
【0024】なお、実施例1〜実施例3で得られた粉末の粒度分布を測定したところ、次の通りであり、いずれも上記した豆腐の原料となる大豆粉末の好ましい粒度分布の範囲に収まっていた。
【0025】
ふるいサイズ 比率(重量%)
(メッシュ) 実施例1 実施例2 実施例3 16* 9.8 11 11.7 32** 23.6 22 19 60*** 38 43.6 45.2 80 18.4 12.7 12.4 100 10.2 10.7 11.7注)* 16メッシュ:目開き1000μm、線径590μm ** 32メッシュ:目開き 500μm、線径292μm ***60メッシュ:目開き 250μm、線径173μm【0026】(比較例1)原料大豆として、国産の中粒の大豆60kgを、摩砕機として(株)石上機械製作所製 アントレA型を用い、回転数270r.p.m.で摩砕した。この大豆は、皮付きであったため、まず、脱皮目的のため、粗挽きし、皮を吹き飛ばした後、摩砕した。しかしながら、油脂分の浸出量が多く、ほとんどが飴状となって回転刃及び固定刃に粘りつき、回転刃と固定刃とのクリアランスから吐出される粉末の量は計量不可能な量に過ぎなかった。なお、比較例1で用いた原料大豆100g当たりの水分量は15.5g、油脂分の量は17.3gであった。
【0027】比較例1の油脂分の量は、実施例1よりも少ないが、油脂分の浸出量が多量であった。このことから、油脂分の浸出には、水分量による影響が大きく、水分量が15重量%を越えるような場合には、摩砕ができないことがわかる。
【0028】(実施例4)実施例1〜3で得られた各大豆粉末を用いて豆腐を製造した。それぞれ、大豆粉末1kgに対し、水5リットルの割合で混合して撹拌した後、約7分間煮沸した。次に、100メッシュのふるいによりろ過しておからを除去し、にがりを入れて凝固させ、最後に、縦85mm×横85mm×高さ60mmの大きさに切断して、一丁当たり400gの豆腐を得た。大豆粉末と水との混合から裁断までの全製造時間は約30分であった。
【0029】おからの量は、実施例1〜3のいずれの大豆粉末を用いたものもほぼ同じで、大豆粉末の使用量60kgに対し、約10kgの割合であった。これは、従来、通常行われている製法で、60kgの原料大豆を使用した場合に発生するおから量が約120kgであることと比較する著しく少ない。
【0030】また、10名のパネラーにより、得られた各豆腐を試食してもらったところ、いずれも、豆腐らしい風味がよく生かされており、従来、市販されている通常の豆腐と比較しても味が濃く風味が高いとの全員一致の意見を得た。但し、中でも、実施例1の大豆粉末を使用したものがもっとも風味が高いとの意見を得た。これは、原料大豆に含まれる油脂分の量が、実施例1のものがもっとも多いと共に、粉末化しても油脂分がほとんど失われなかったことによるものと考えられる。また、いずれの豆腐も、舌に残るざらざら感はないとの全員一致の意見も得た。
【0031】(比較例2)実施例1で使用した原料大豆と同じ原料大豆(八割りにした国産大豆)60kgを、摩砕機として(株)石上機械製作所製 アントレA型を用い、回転数270r.p.m.に調整する一方、回転刃と固定刃のクリアランスを調整して、粒度100メッシュ以下の大豆粉末が70重量%以上含まれるよう摩砕した。粒度分布は、次の通りであった。
【0032】

注)* 140メッシュ:目開き109μm、線径60μm【0033】この大豆粉末を実施例4と全く同様の工程を経て、同量の豆腐を製造した。この豆腐を、実施例4と同じパネラーに試食してもらったところ、味、風味に遜色はないが、舌にざらざら感が残り、食感の点で不十分との全員一致の意見を得た。
【0034】(試験例1)摩砕機の回転刃の好ましい回転数の検討のため、上記実施例1〜3で用いた原料大豆を、次表のように回転数を変化させて摩砕し、1分当たりの生産量を比較した。なお、使用した摩砕機は、(株)石上機械製作所製 アントレA型である。
【0035】
摩砕機の回転数(r.p.m.)
原料大豆 100 200 270 500 700八割の国産大豆(実施例1) 0.23 0.55 0.7 1 粉砕不可アメリカ産大豆(実施例2) 0.19 0.34 0.54 0.75 粉砕不可中国産大豆(実施例3) 0.11 0.25 0.48 0.67 粉砕不可 (単位:kg/min)
【0036】上記表から明らかなように、いずれの大豆も回転数100r.p.m.では、大豆粉末の粒子径が大きくなりすぎ、豆腐製造用の大豆粉末としては不適切であり、回転数700r.p.m.では回転が速すぎ、回転刃と固定刃のすり合わせ部分の温度が高くなり、べとつきが生じた。従って、摩砕機の回転刃の回転数は、上記したように200〜500r.p.m.の範囲とすることが好ましい。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の本発明の大豆粉末の製造方法によれば、原料大豆として、水分量が15重量%以下のものを用いるため、特別な摩砕装置を使用しなくても、豆腐らしい風味のもとになる油脂分の浸出量を少なくし、油脂分が失われることなく粉末化することができる。請求項2記載の本発明の大豆粉末の製造方法によれば、原料大豆の水分量が8〜12重量%の範囲であるため、摩砕中の油脂分の浸出量を少なくすることができる。請求項3記載の本発明の大豆粉末の製造方法によれば、摩砕装置の回転刃の回転数を200〜500r.p.m.の範囲で制御して実施しているため、油脂分の浸出量の抑制に資する。請求項4記載の本発明の大豆粉末の製造方法によれば、摩砕装置として、固定刃の外周又は回転刃の内周に冷媒を循環させるためのジャケットを有するものを用いているため、安価でかつ簡易な構造でありながら、油脂分の浸出量のさらなる抑制に資する。請求項5記載の本発明の大豆粉末の製造方法によれば、摩砕装置として、さらに、ホッパの下部外周に冷媒を循環させるためのジャケットを有するものを用いているため、安価でかつ簡易な構造でありながら、油脂分の浸出量のさらなる抑制に資する。
【0038】請求項6記載の豆腐の製造方法によれば、請求項1〜5のいずれか1に記載の大豆粉末を原料として用いているため、豆腐らしい風味の高い豆腐を製造することができると共に、おからの発生量も抑制することができる。請求項7記載の豆腐の製造方法によれば、おからを除去するためのろ過工程を有するため、豆腐らしい風味の高い豆腐を製造することができる。請求項8記載の豆腐の製造方法によれば、前記大豆粉末として、粒度120メッシュ以上で、その中に30メッシュ〜80メッシュの粒度の粉末が60重量%以上含まれているものを用いているため、おからの発生量を低く抑えつつ、食感の優れた豆腐を提供することができる。請求項9記載の豆腐の製造方法によれば、前記大豆粉末として、粒度100メッシュ以上で、その中に30メッシュ〜80メッシュの粒度の粉末が70重量%以上含まれているものを用いているため、さらに、おからの発生量を低く抑えつつ、食感の優れた豆腐を提供することができる。
【0039】請求項10記載の大豆用摩砕装置によれば、固定刃の外周又は回転刃の内周に冷媒を循環させるためのジャケットを設けるという簡易かつ安価な構成で、大豆の摩砕時の発熱を抑制することができる。請求項11記載の大豆用摩砕装置によれば、さらに、ホッパの下部外周に冷媒を循環させるためのジャケットを設けることにより、大豆の摩砕時の発熱をより抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
【識別番号】594071206
【氏名又は名称】株式会社石上機械製作所
【識別番号】598114675
【氏名又は名称】有限会社ミクニ
【識別番号】598114686
【氏名又は名称】有限会社フルハシ食品
【出願日】 平成10年8月24日(1998.8.24)
【代理人】 【識別番号】100073139
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 稔
【公開番号】 特開2000−60473(P2000−60473A)
【公開日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【出願番号】 特願平10−237067