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【発明の名称】 レバーソーセージおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】岡恵 賢

【氏名】増岡 隆

【要約】 【課題】

【解決手段】レバーソーセージ重量の0.005〜0.02重量%のカテキンを含有してなるレバーソーセージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カテキンを含有してなるレバーソーセージ。
【請求項2】 前記カテキンの添加量が、前記レバーソーセージの重量の0.005〜0.02重量%の量である請求項1に記載のレバーソーセージ。
【請求項3】 レバーおよびカテキンをソーセージ原料に混合する、工程を含むことを特徴とするレバーソーセージの製造方法。
【請求項4】 前記レバーが、豚レバー、牛レバー、馬レバーおよび羊レバーからなるグループから選択されたレバーである請求項3に記載のレバーソーセージの製造方法。
【請求項5】 前記カテキンの添加量が、前記レバーソーセージの重量の0.005〜0.02重量%の量である請求項3または4に記載のレバーソーセージの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レバーソーセージ、特に、カテキンを含有してなるレバーソーセージとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】日本人の食生活の西洋化とも相俟って、豚肉、牛肉、馬肉、羊肉などの畜肉の需要も高まりを見せ、また、畜肉を精肉に加工する過程にて、屠殺動物の体内から排出される副生物も重要な食材として利用されている。
【0003】この「副生物」には、ブタの場合、胃袋、心臓、脾臓、肝臓、腎臓、小腸、子宮、舌などの内臓(臓器)があり、この中でも、肝臓(レバー)は、ビタミンA、B2、Dなどのビタミン類やミネラルの含有量が豊富で、また柔らかくて栄養価も高いことから、人気のある食材の一つになっている。
【0004】このようなレバーの栄養的側面と嗜好性に着目されて作られたものにレバーソーセージがある。 一般に、レバーソーセージは、家畜のレバーを主体に、赤身肉や脂肪などを混ぜ合わせ、燻煙、ボイルして得られるソーセージである。
【0005】ところが、このレバーソーセージには、原料として用いたレバー(原料レバー)に由来する独特の臭みが残っている場合が多く、喫食者によっては、この臭みに対して嫌悪感や不快感を感じ、食欲の減退に至る場合もある。
【0006】この不快な臭みを除去する方法として、レバーの下処理、すなわち、レバーの胆のう、血管、レバー表面の膜などを除去し、何度も水に曝し、よく血抜きをするなどの下処理を入念に行う方法がある。 この方法によれば大方の臭みは解消されるが、その下処理の作業自体が手作業に頼る煩雑なものであり、また、度重なる洗浄作業に伴ってレバーのタンパク質と香気物質が流亡してしまい、レバーの風味を損なうことが懸念されている。
【0007】また、レバーソーセージの製造時および/または喫食時に香辛料を添加してレバー臭をマスキングしたり、あるいは食後に口中を洗浄したり、ガムを噛んで口臭改善を図るなどの処置も試みられているが、いずれの方策によっても、その効果は満足のゆくものではなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来技術での問題点に鑑みて発明されたものであって、その要旨とするところは、カテキンを含有してなるレバーソーセージ、およびソーセージ原料にレバーとカテキンを混合する工程を含むレバーソーセージの製造方法にある。
【0009】ところで、日本農林規格によれば、レバーソーセージ類は、次のように分類されている。 すなわち、原料臓器類として家畜、家禽または家兎の肝臓のみを使用し、かつ最終製品に占めるレバーの重量の割合が50%未満のものを「レバーソーセージ」、また、原料臓器類として家畜、家禽または家兎の肝臓のみを使用し、かつ最終製品に占めるレバーの重量の割合が50%を超えるものを「レバーペースト」と分類している。 しかしながら、本明細書では、この分類を包括的に捉えて、動物の肝臓と原料肉との混練物のケーシングへの充填の有無、および最終製品に占めるレバー重量の割合にかかわらず、少なくとも動物の肝臓と原料肉との混練物を含んだものを、単に「レバーソーセージ」と称する。
【0010】本発明のレバーソーセージに含有されるカテキンとは、フェノール性水酸基を複数有するポリフェノール化合物であり、3-オキシフラバンのポリオキシ誘導体の一つである。 本発明のレバーソーセージでは、カテキンが有する水酸基とレバー臭の原因物質(成分)とが化学的に反応して、レバー臭の原因物質の化学構造を変化せしめ、臭みの解消に至っているものと考えられる。
【0011】すなわち、本発明によれば、レバーソーセージの構成材料にカテキンを取り入れたことで、レバーソーセージ本来の食味・栄養価・栄養バランスを損ねることなく、不快なレバー臭が解消されたレバーソーセージを提供できるのである。
【0012】なお、カテキンの添加量としては、レバーソーセージ重量の約0.005〜約0.02重量%、好ましくは、約0.01〜約0.02重量%の量とする。 これは、後出の実施例からも明らかな通り、カテキンの添加量が0.005重量%より少なくなるとレバー臭の除去が不十分となり、また、その添加量が0.02重量%を超えるとカテキン特有の渋みが強くなりすぎてレバーソーセージの食味を損ねる上に、レバーソーセージの色調が黒っぽくなり美観上好ましくなくなることによる。
【0013】
【発明の実施の態様】本発明のレバーソーセージは、従来のレバーソーセージと同様の方法によって製造される。
【0014】すなわち、まず、原料肉となる豚肉、牛肉、馬肉、羊肉などの肉を所定の大きさに切断(肉切り)および肉挽きし、次いで、これに食塩や亜硝酸ナトリウムなどを添加して塩漬けし、そして、塩漬けしたこれら原料肉を熟成させた後、必要に応じて、最終製品にスプレッド性を付与する(ペースト状にする)ために湯煮したものを塩漬肉とする。
【0015】次に、塩漬けレバーを調製するが、本発明のレバーソーセージには、特に限定するものではないが、豚、牛、馬、羊などのレバーが使用できる。 塩漬けレバーの調製の手順は、塩漬肉と同様であり、まず、原料レバーとなる豚レバー、牛レバー、馬レバー、羊レバーなどのレバーを所定の大きさに切断およびレバー挽きし、次いで、これに食塩や亜硝酸ナトリウムなどを添加して塩漬けし、そして、塩漬けしたこれらレバー塊を熟成させたものを塩漬けレバーとする。
【0016】そして、塩漬けにした原料肉と原料レバーが調製できたところで、これらを、原料肉、原料レバーの順に、あるいは同時に高速カッターに投入して、原料肉と原料レバーをよく練り合わせて、粘り気が出てきた頃に、調味料や香辛料を混ぜる。 最終製品たるレバーソーセージに保水力・結着性を付与する場合には、重合リン酸塩を、また、レバーソーセージの脂肪量に見合った乳化力を付与するためにカゼインナトリウムも添加できる。 なお、通常は、最終製品のスプレッド性を改善すると共に味を整える目的で、脂肪(豚脂肪など)も投入する。
【0017】本発明のレバーソーセージには、ソーセージの製造に通常用いられる調味料や香辛料が使用される。 具体的には、調味料としては、食塩、砂糖、水あめ、脱脂粉乳、グルタミン酸ナトリウムなど、また、香辛料としては、胡椒、オニオン、メース、カルダモン、ジンジャーなどが、本発明において使用できる。
【0018】そして、本発明の特徴に従えば、レバーソーセージの製造工程において、カテキンをレバーソーセージ原料に添加する。 カテキンは、樹木、樹皮や植物の葉などからの抽出物に含まれており、例えば、カテキン製剤として茶(茶葉)の抽出物などが、本発明において使用可能である。 また、カテキンの添加方法は、特に限定されるものではなく、それ単独でレバーソーセージ原料に添加してもよく、あるいは調味料や香辛料などと予め混合して得た混合物としてレバーソーセージ原料に添加することもできる。 カテキンの態様としては、粉体、固体、液状のいずれでも適用できるが、保管や秤量のしやすさ、そして、変質防止の観点からして粉体で用いるのが好ましい。
【0019】このように、原料肉、原料レバー、脂肪、調味料、香辛料、カテキンを高速カッターに投入して、よく混練した後に、充填機を用いてケーシングに混練物を充填(肉詰め)する。 充填を終えたレバーソーセージは、70〜75℃で1〜2時間等の条件で湯煮もしくは蒸煮し、あるいは、常温流通の場合には、120℃で4分間等の条件で加熱殺菌する。 そして、加熱殺菌を終えたレバーソーセージを、冷水中で放冷して、本発明のレバーソーセージが得られる。
【0020】以下に、本発明をその実施例に沿って説明するが、この実施例の開示に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。
【0021】
【実施例】実施例1:レバーソーセージの製造本発明のレバーソーセージを、以下の手順に従って製造した。 なお、本実施例にあっては、1重量部=1kgとしてすべての材料の計量を行った。
【0022】A.塩漬豚肉の製造新鮮な豚肉97.676重量部を約5cm角に切ったものに、食塩2.3重量部と亜硝酸ナトリウム0.024重量部を加え、約5分間、ミキサーで混合した。 そして、この混合物を、5℃で、4日間熟成させた。 その後、水200重量部をさらに加えて、90℃で、40分間湯煮して得られたものを塩漬豚肉とした。 なお、豚肉が浸かっている煮汁も、後出の製造工程で用いた。
【0023】B.塩漬豚レバーの製造新鮮な豚レバー97.676重量部を約5cm角に切ったものに、食塩2.3重量部と亜硝酸ナトリウム0.024重量部を加え、約5分間、ミキサーで混合した。 そして、この混合物を、2℃で、1晩熟成させた。 その後、これを所定の大きさに切断したもの、あるいは均質化してペースト状にしたものを塩漬豚レバーとした。
【0024】C.ボイル豚脂肪の製造豚脂肪100重量部に水200重量部を加えて、90℃で、25分間湯煮して得られたものをボイル豚脂肪とした。
【0025】このようにして調製された塩漬豚肉とその煮汁、塩漬豚レバーおよびボイル豚脂肪を用いて、以下の手順Dに従って、カテキン入りのレバーソーセージを製造した。
【0026】D.レバーソーセージの製造ボイル豚脂肪14重量部、カゼインナトリウム1重量部、および塩漬豚肉の煮汁8重量部を、この順に高速カッターに添加し、2分間混合した。 続いて、塩漬豚肉28重量部を同高速カッターに添加し、30秒間混合した。 そして、高速カッターを駆動させながら、(1)塩漬豚レバー30重量部、(2)アスコルビン酸ナトリウム0.1重量部、食塩0.6重量部、および重合リン酸0.15重量部、(3)オニオン2重量部、砂糖0.25重量部、グルタミン酸ナトリウム0.25重量部、胡椒0.30重量部、メース0.10重量部、ジンジャー0.04重量部、カルダモン0.05重量部、ガーリックピューレ0.05重量部、脱脂粉乳0.50重量部、水あめ1.00重量部、およびカテキン0.01重量部(レバーソーセージの0.0095重量%)、(4)塩漬豚肉の煮汁16重量部、(5)コラーゲンパウダー0.75重量部、(6)植物性蛋白1重量部、および(7)澱粉1重量部を、この順に高速カッターに添加し、さらに、1分55秒間混合した。 なお、前出のカテキンとして、茶抽出物を用いた。
【0027】得られた混合物を、充填機を用いてケーシングに充填し、115℃、30分間の条件で加熱殺菌して、最後に冷水中で放冷して、目的とするレバーソーセージを得た。
【0028】実施例2:カテキン濃度の検討実施例1の製造方法において、添加するカテキンの濃度をレバーソーセージ重量の0.001〜0.05重量%の間で変更してレバーソーセージ(計8種)を作った。
【0029】そして、得られた各レバーソーセージを10人のパネラーが試食し、各レバーソーセージに関して、そのレバー矯臭効果およびカテキンが発現する渋みについて評価した。 その結果を、以下の表1にまとめた。
【0030】
【表1】

【0031】表1の結果から明らかなように、カテキンの濃度をレバーソーセージ重量の0.005〜0.02重量%とすることで、レバー本来の食味がカテキンの渋味による影響を受けず、かつレバーの臭みが有意に解消できたことが判明した。
【0032】
【発明の効果】このように、本発明によって、所期の目的であった、レバーソーセージ本来の食味・栄養価・栄養バランスを損ねることなく、不快なレバー臭が解消されたレバーソーセージが実現できたのである。
【0033】また、本発明のレバーソーセージでは、レバーソーセージ本体からレバー臭が除去されているので、レバー臭に対して嫌悪感や不快感を感じる、いわゆる「レバー嫌い」の喫食者でも抵抗を感じずに、食を進めることができる。 また、本発明のレバーソーセージでは、レバー臭に起因する食中および食後の口臭を気にせずに喫食できる、などの効果をも相乗的に奏するのである。
【出願人】 【識別番号】000118497
【氏名又は名称】伊藤ハム株式会社
【出願日】 平成10年7月21日(1998.7.21)
【代理人】 【識別番号】100065868
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外3名)
【公開番号】 特開2000−32955(P2000−32955A)
【公開日】 平成12年2月2日(2000.2.2)
【出願番号】 特願平10−204898