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【発明の名称】 抗菌効果物質の製造方法並びに抗菌効果物質を用いた養蜂方法
【発明者】 【氏名】伊是名 信行

【氏名】伊是名 英子

【要約】 【課題】クワガタ幼虫の排泄物や分泌物、クワガタ幼虫などを利用して抗菌効果物質を得る技術に関し、クワガタ幼虫の生息する坑道を構成する巣の材料や排泄物、幼虫などから抗菌効果物質を生産可能とする。

【解決手段】クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、濃度10%〜30%の糖液で発酵させて抽出することで、抗菌効果物質を製造する。この抗菌効果物質をミツバチの餌に混ぜて給餌すると、ミツバチの病気を治癒でき、発育も良好となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出してなることを特徴とする抗菌効果物質。
【請求項2】 クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出することを特徴とする抗菌効果物質の製造方法。
【請求項3】 前記の発酵液が、濃度10%〜30%の糖液であることを特徴とする請求項2に記載の抗菌効果物質の製造方法。
【請求項4】 クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出してなる抗菌効果物質を、ミツバチの餌に混ぜて給餌することを特徴とする抗菌効果物質を用いた養蜂方法。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、クワガタ幼虫の排泄物や分泌物、クワガタ幼虫などを利用して抗菌効果物質を得る技術に関する。
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】本発明の発明者は、特願平10−142370号として、椎茸栽培に利用された後の腐朽原木を利用してクワガタを大量に養殖する技術を発明し、特許出願してある。
【0001】発明者は、このようにクワガタ養殖を研究している間に、クワガタ幼虫の生息している場所の付近には抗菌効果のあることを発見した。すなわち、クワガタ幼虫は、生活の場が腐朽木に限られているが、害虫や害菌などの防除のために、排泄物木くずを細かく加工処理して、住処となるトンネル(坑道)を築き、害虫や害菌などから身を防護する性質がある。
【0002】このように、クワガタ幼虫の排泄物などが混じった腐朽木くず自体に、害虫などを防除できる抗菌効果があるように思われた。
【0003】しかしながら、害虫防除にはなっても、害菌を防ぐことができるのか?。坑道を作るとき、幼虫自身が排出したある種の物質か菌でもって、腐朽木を加工処理した後で、坑道を塞ぎ、抗菌物質でバリヤーを張っているのではないか?、と注目した。
【0004】特に、サナギに蛹化する時は、念入りに蛹室の内部を仕上げている。その理由は、サナギになると抗菌物質を出す能力がなくなり、害菌の影響を受け易くなるから、前もって入念にバリヤーを張っているものと思われる。
【0005】以上のようなことから、クワガタ幼虫が坑道を防護するための腐朽木くずや排泄物などには特別な物質があるのではないかと考え、この物質の特性を確認するとともに、この物質の抽出、生産方法を追求することにした。
【0006】本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、クワガタ幼虫の生息する坑道を構成する巣の材料や排泄物、幼虫などから抗菌効果物質を生産することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出してなることを特徴とする抗菌効果物質である。クワガタ幼虫の分泌物や排泄物に抗菌効果があるということは、クワガタの幼虫自体にも抗菌効果のある物質が含まれていると解釈でき、しかも実験の結果、間違いが無かったので、クワガタ幼虫自体からも抗菌効果物質が得られる。
【0008】このように、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出した物質は、抗菌効果にすぐれており、特にミツバチなどの生育を阻害する害菌やダニ等の防止に有効である。
【0009】請求項2は抗菌効果物質の製造方法の発明であり、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出する。
【0010】このように、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出することによって、抗菌効果物質を効果的かつ大量に製造できる。
【0011】請求項3は、請求項2に記載の発酵液が、濃度10%〜30%の糖液である抗菌効果物質の製造方法である。抗菌効果物質の抽出、製造のための発酵液としてはいろいろ有るが、特に濃度10%〜30%の糖液が適していることが確認できた。
【0012】請求項4は、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出してなる抗菌効果物質を、ミツバチの餌に混ぜて給餌することを特徴とする抗菌効果物質を用いた養蜂方法である。
【0013】このように、クワガタ幼虫やその分泌物、排泄物などを発酵液で発酵させて抽出した抗菌効果物質をミツバチの餌に混ぜて与えると、ミツバチの病気などを効果的に治癒でき、かつ健康増進に有効であることが確認できた。
【0014】
【発明の実施の形態】次に本発明による抗菌効果物質の製造方法並びに抗菌効果物質を用いた養蜂方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。
【0015】まず、クワガタの幼虫が加工処理した木くず排泄物を、糖分濃度が10%〜30%の糖液につけこむと、よく発酵した。夏場だと、30日程度発酵させた後、使用する。冬場だと、50日程度おいて発酵させる。こうして発酵させた液を、ミツバチの給餌用糖液または代用花粉に対し5〜10%(容積比)の割合で混合して蜜蜂に与える。
【0016】ミツバチダニや病気におかされて死んだ幼虫と産卵が疎らになった巣において、平成10年9月から、前記のように5%程度の発酵液を混ぜた餌を与えた。また、代用花粉にも5%程度混ぜて与えた。
【0017】このようにして、3ヵ月間、3日〜5日ごとに1回与えたところ、病気が改善され、ダニも居なくなって、巣全体が改善された。その結果、女王蜂は産卵が活発になり、若バチが多くなった。普通のミツバチの2倍から3倍のスピードで蜂が増えるので、花粉や蜜が不足しないように注意を要するほどだった。
【0018】こうしてミツバチが繁殖し、平成11年1月現在で、15枚群を作ることに成功した。なお、普通は1群当たり5枚であるから、本発明の抗菌効果物質の効果が甚大であることが認められた。
【0019】この抗菌効果物質は、腐敗防止にも有効であった。その確認のために、腐敗発酵してカビや雑菌が繁殖し腐敗臭のある残飯を用いた。
【0020】この残飯に、本発明の糖分濃度10%の培養液を、生ゴミ1リットルにつき100グラムの割合で投入し、攪拌した。抗菌効果物質を入れないで、放置したものは、腐敗発酵して悪臭が発生したが、抗菌効果物質を加えた方の残飯は、腐敗が止まり、不快臭もほとんど生じなかった。
【0021】抗菌効果物質を加えないために悪臭の発生した方の残飯に、前記培養液をスプレーしたところ、発酵が停止し、腐敗菌の活動が停止したことが確認できた。その後、そのままの状態で放置しておいたところ、表面が寒天状になり、また不快臭はほとんど感じられなかった。
【0022】以上のことから、クワガタ幼虫のもつ物質や排泄物などを、糖液を用いて発酵させ、抽出した抗菌効果物質を工業的に生産することにより、生ゴミ処理などのように、養蜂以外にも適用でき、用途の拡大が期待できる。
【0023】例えば、生ゴミ、その他の生活廃棄物、産業廃棄物などの腐敗発酵を防止するには、技術と設備を必要とし、費用もかかるが、本発明の抗菌効果物質を利用することで、これらの問題を一掃できる。
【0024】また、下水や河川、養豚場、養鶏場その他の溜まり水などにおいても、腐敗による不快臭を抑制するのにも利用できる。
【0025】なお、発酵液として糖液を用いたが、澱粉液や大豆粉などの液に糖分を混ぜて使用することもできる。
【0026】
【実施例】本発明による発酵抽出液を作るには、容器の形はほとんど関係ないが、取り扱い上、広口ビンなどがよい。
【0027】クワガタ幼虫が加工した腐朽木くずなどを取り出して、濃度が10%〜30%の糖液を、全量の10%〜20%の割合で加えて、30日程度表面発酵させる。次第にガスが発生してくるので、蓋はゆるくしておく。
【0028】3日〜5日に1回程度、ゆっくり上下に振る。全体が褐色ないし黄金色になると、できあがりである。保管は、太陽光に当てないようにし、夏場は涼しい場所に置く。糖分濃度を10%〜30%にするのは、腐敗発酵を防ぐ為にも有効である。完成品は殆ど臭いはないが、果物の発酵に似た臭いが少々ある。
【0029】この発酵抽出液の効果を試験するために、5枚群の病気やダニに侵された他の養蜂家のミツバチをテスト用に借りてきた。蜂の数が少なく、全体的に元気もない。巣の内部を観察すると、蜂の数が少なく、巣全体が凸凹している。さらに、消費されていない花粉が多量に残っており、花粉を食する若バチが育っていないことが分かる。蜂蜜も古く、消費されないので、そのままの状態である。このようなミツバチでは、春まで管理しても生産性は期待できないどころか、春までもつか、どうかである。
【0030】蜂全体が弱っているので、蜂蜜と本発明の発酵抽出液とを8対2の割合で代用花粉に混合し、練状にして3日に1回与えた。量は、当初10グラム〜15グラム位にした。10日位して、蜂が元気になると、15グラム〜30グラムに増やした。同時に、新たな糖液にも発酵液を10%程度混合して与えた。
【0031】30日後、病気に対して耐性ができた結果、産卵も活発になり、蜂も増え続け、現在8枚群まで増えている。働き蜂を活発にして、女王蜂の産卵を促す作用があるからだ。また、ダニの発生は全く見えず、防虫効果が確認できた。なお、12月〜翌2月の気候で蜂が増えるのは他に例がない。
【0032】普通のミツバチは、冬1月〜2月では、5枚群を維持するのにも特別な努力や工夫を必要とし、各養蜂家が苦心するところである。ところが、本発明の培養液を5%〜10%餌に混入するだけで、1月〜2月の時点で8枚〜15枚群を作れるので、3月からはすぐに操業でき、花粉や蜂蜜、ローヤルゼリー、種蜂などのようなミツバチ生産物の収量増大が期待できる。
【0033】株式会社トロピカルテクノセンターにて、本発明の方法で製造した抗菌効果物質自体の微生物検査を行なった結果、一般細菌数は4.3×104 、乳酸菌数は3.6×104 、放線菌数は0、糸状菌数は0、酵母数は7.4×103 、大腸菌数は陰性であった。なお、菌数は(cfu/ml)で表した。
【0034】試験に際しては、試料液のpHを測定すると、試料が酸性であるため、以下の前処理を行なった。すなわち、試料50mlを濾過滅菌用フィルターで濾過した。濾過終了後のフィルターを滅菌したリン酸緩衝液に入れて十分混和し、試料原液とした。この液を適宜希釈して、各菌の選択培地に接種後、それぞれの条件で培養後に発生した集落を数えた。
【0035】また、財団法人日本食品分析センターにおいて、本発明による抗菌効果物質を検体とし、細菌を添加して、その消長を調べたところ、表1のような結果が得られた。なお、試験方法は、検体をメンブランフィルター(孔径0.45μm)でろ過滅菌し、試験液とした。
【0036】試験操作は、試験液100mlに菌液1mlを添加後、35°Cで保存し、保存24時間後の生菌数をSA培地を用いた寒天平板培養法(35°C,2日間培養)により測定した。また、対照として、1/500NB培地に菌液を添加したものについても同様に試験した。
【0037】
【表1】

【0038】
【発明の効果】請求項1のように、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出した物質は、抗菌効果にすぐれており、特にミツバチなどの生育を阻害する害菌やダニ等の防止に有効である。
【0039】請求項2のように、クワガタ幼虫またはクワガタ幼虫が出した分泌物や排泄物の混ざった腐朽木くず等の巣の材料、これらに共生する微生物などを利用して、糖分を含む発酵液で発酵させて抽出することによって、抗菌効果物質を効果的かつ大量に製造できる。
【0040】抗菌効果物質の抽出、製造のための発酵液としてはいろいろ有るが、請求項3のように、特に濃度10%〜30%の糖液が、抗菌効果物質の大量抽出に適しており、量産が可能となる。
【0041】請求項4のように、クワガタ幼虫やその分泌物、排泄物などを発酵液で発酵させて抽出した抗菌効果物質をミツバチの餌に混ぜて与えると、ミツバチの病気などを効果的に治癒でき、かつ健康増進に有効である。
【0042】近年、異常気象による高温多湿、冷害等により、ミツバチの病気や害虫による被害が甚大となり、養蜂業を続けるのが困難になりつつあるが、本発明の抗菌効果物質を用いることによって、このような事態を回避可能となる。
【出願人】 【識別番号】598067968
【氏名又は名称】伊是名 信行
【識別番号】598067979
【氏名又は名称】伊是名 英子
【出願日】 平成11年5月28日(1999.5.28)
【代理人】 【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文
【公開番号】 特開2000−333619(P2000−333619A)
【公開日】 平成12年12月5日(2000.12.5)
【出願番号】 特願平11−150583