| 【発明の名称】 |
耐焼成チョコレートおよびこれを含有した焼菓子 |
| 【発明者】 |
【氏名】細川 誠司
【氏名】中大路 恒治
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| 【要約】 |
【課題】新規な耐焼成チョコレートおよびこれを利用して製造した焼成チョコレート菓子および焼菓子を提供すること。
【解決手段】調製乳清タンパク質加工品を含有するチョコレート、耐焼成チョコレートを焼成する工程を含む方法により製造される焼成チョコレート菓子、および耐焼成チョコレートを含有する焼菓子生地を焼成する工程を含む方法により製造される焼菓子。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 調製乳清タンパク質加工品を含有する、耐焼成チョコレート。 【請求項2】 前記調整乳清タンパク質加工品の含有量が、チョコレート生地100重量部に対して、約1〜70重量部である、請求項1に記載の耐焼成チョコレート。 【請求項3】 さらに乳製品を含有する、請求項1に記載の耐焼成チョコレート。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐焼成チョコレートを焼成する工程を含む方法により製造される、焼成チョコレート菓子。 【請求項5】 前記焼成チョコレート菓子が、液体物、メレンゲ、または粉末を表面に付与した後に焼成される、請求項4に記載の焼成チョコレート菓子。 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐焼成チョコレートを含有する焼菓子生地を焼成する工程を含む方法により製造される、焼菓子。 【請求項7】 前記耐焼成チョコレートが、焼菓子生地に包餡または被覆されて焼成される、請求項6に記載の焼菓子。 【請求項8】 前記焼菓子がハードビスケットである、請求項7に記載の焼菓子。 【請求項9】 前記焼菓子がプレッツェルである、請求項7に記載の焼菓子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐焼成チョコレートならびにこれを含有した焼成チョコレート菓子および焼菓子に関する。 【0002】 【従来の技術】通常のチョコレートをビスケット等の焼菓子に包餡して(生地でチョコレートを包んで)焼成すると、突沸してチョコレートがはみだしたり、チョコレートが焼細って(油脂がビスケットに移行する事によって体積が減少して)空洞が生じたり、チョコレートがガリガリした硬い食感になったりする問題が生じる。 【0003】乳成分を含まないいわゆるブラックチョコレート(スイートチョコレート)でも、ソフトビスケットやクッキーと組合せて使用した場合にガリガリした食感となり、ハードビスケットやプレッツェルと組合せて使用した場合に突沸が生じるという問題がある。 【0004】上記の問題を解決する手段として、特定の糖、ナッツ類、澱粉、大豆タンパク質、特定の乳化剤、酵素処理卵黄等をチョコレートに配合したり、チョコレートの塊を特定の素材で被覆したりする方法が提案されている。例えば、特公平4−65654号公報は、チョコレート塊およびそれを含有したベーカリー製品に関する。ここに開示されるチョコレートは、炭素原子数20以上の脂肪酸を構成脂肪酸中に含む融点50℃以上の油脂0.2〜0.7重量%と、デンプン、大豆タンパク質、オカラ粉末から選択される1種もしくは2種以上2〜25重量%とを含有する。このチョコレート塊をパンのドウおよび焼菓子生地中に分散させた後に焼成しても、チョコレート塊の組織および原形が残存する旨が記載される。 【0005】しかし、この公報に開示されるチョコレートを、ハードビスケット(ソフトビスケットに比べて油脂や砂糖の含有量が少なくグルテン組織が強固)、およびプレッツェル(アルカリ処理したビスケット)のような、生地からの水分の抜けが悪い焼菓子に用いた場合、焼菓子の焼成の過程で生地からのチョコレートの突沸が容易に生じる。突沸とは、チョコレートがぶくぶくと泡立ち、飛び散ったり、はみ出したりする現象である。チョコレートの一部が露出している場合はもちろん、完全に焼菓子生地で覆った場合も焼成中の生地に穴があいてチョコレートが外部へ噴出する。いったん穴があけば、ほとんどのチョコレートが生地の外へ流出し、焼菓子の内部に空洞ができるのみならず、残ったチョコレートもガリガリの食感となりやすい。かろうじて突沸が起きなかったり、ソフトビスケット生地を用いた場合も、具材から油分が焼菓子生地中に移行し、焼菓子が油っぽくなったり、それに伴ってチョコレートが硬くなる現象が見られる。 【0006】上記の問題を解決する他の手段として、中空に焼成した焼菓子にチョコレートを充填する方法もある。しかし、得られるチョコレート含有焼菓子に風味・食感上の問題はないものの、製法および設備が複雑化したり生産性が低いという問題がある。また、この方法で製造される焼菓子には、当然の事ながらチョコレートの充填穴が残り、外観上好ましくない場合がある。 【0007】このように、従来提案されてきた方法は、得られるチョコレートの風味が本来のチョコレートの風味と異なる、生産性が低い、ソフトビスケットおよびクッキーに比べてより水分の抜けが悪い焼菓子(とりわけハードビスケットおよびプレッツェル)では十分な効果が得られないなどの問題があり、いずれの方法も必ずしも満足のいくものとはいい難い。 【0008】従って、焼成後にチョコレートの食感(および所望により形状)を維持し、かつ焼菓子に含有させて焼成した場合に突沸および焼き細りを生じない耐焼成チョコレートを提供する新たな手段が望まれている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点の解決を意図するものであり、新規な耐焼成チョコレートおよびこれを利用して製造した焼成チョコレート菓子および焼菓子を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、調整乳清タンパク質加工品をチョコレートに配合することにより、焼成後もチョコレートの食感(および所望により形状)を維持し、かつ焼菓子に用いた場合に突沸および焼き細りを生じない耐焼成チョコレートが得られることを見い出し、これに基づいて本発明を完成させた。 【0011】本発明の耐焼成チョコレートは、調製乳清タンパク質加工品を含有する。好ましくは、調整乳清タンパク質加工品の含有量は、チョコレート生地100重量部に対して、約1〜70重量部である。好ましくは、さらに乳製品を含有する。 【0012】本発明の焼成チョコレート菓子は、耐焼成チョコレートを焼成する工程を含む方法により製造される。好ましくは、焼成チョコレート菓子は、液体物、メレンゲ、または粉末を表面に付与した後に焼成される。 【0013】本発明の焼菓子は、耐焼成チョコレートを含有する焼菓子生地を焼成する工程を含む方法により製造される。好ましくは、耐焼成チョコレートは、焼菓子生地に包餡または被覆されて焼成される。好ましくは、焼菓子は、ハードビスケットまたはプレッツェルである。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 【0015】<材料>本発明の耐焼成チョコレートは、調整乳清タンパク質加工品を含有する。本発明の耐焼成チョコレートは、必要に応じてその他の成分を含み得る。 【0016】本明細書中で「チョコレート」とは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」によるチョコレートおよび準チョコレートの基準に従う製品を含むが、これらには限定されず、調整乳清タンパク質加工品および油脂を含む任意の油脂性食品をいう。 【0017】本明細書中で「焼成」とは、約100℃以上の温度で約1分間以上加熱することをいう。また、「耐焼成」とは、約100℃以上の温度で約1分間以上加熱した後に、焼成前の食感を実質的に維持すること、ならびに、焼菓子生地に包餡または被覆して焼成した場合に目視し得る突沸および/または焼き細りを生じないことの少なくとも一方、好ましくは両方の条件を満たすことをいう。「焼成」と「焼く」とは、同義語として用いられる。なお、焼菓子とは、焼いて作る菓子全般をさす。 【0018】本明細書中では、「調整乳清タンパク質加工品」とは、乳清タンパク質を精製した後に、実質的に無塩状態で、この乳清タンパク質含有液を、pH4以下または6以上において、55℃以上に加熱し、その後再度pHを4以下または6以上に調整した後、該液に塩を添加し、加熱することにより製造された、塩を含有する透明な乳清タンパク質加工品をいう。 【0019】調整乳清タンパク質加工品では、乳清に含まれる塩類、糖類などの低分子化合物を実質的に除去し、その後、液のpHを乳清タンパク質の等電点(pH5前後)から離れた値、pH4以下または6以上、好ましくはpH3.5以下または6.5以上に調整した後に、加熱処理することにより、透明な液状またはゲル状製品となし、このようにして得た透明な製品のpHを、再度上記範囲に調整した後に、塩類を添加し、加熱することにより、透明な乳清タンパク質加工品となし得る。 【0020】なお、調整乳清タンパク質加工品において透明とは、半透明をも含むものであり、一般に島津製作所製の分光光度計UV160Aで測定した吸光度が1.5以下(ただし、波長600nm、光路長1cmのガラスセル使用)であることを意味する。 【0021】また、調整乳清タンパク質加工品において使用する乳清タンパク質は、乳清およびそれから得られる乳清タンパク質画分、ならびに、その主要タンパク質(β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミンおよび血清アルブミンなど)のいずれであってもよい。 【0022】調整乳清タンパク質加工品の製造において、乳清タンパク質を精製する方法としては、水または低濃度の緩衝液を用いた透析法、電気透析法、クロマトグラフィ(イオン交換、ゲルクロ、疎水クロマトなど)、マイクロフィルトレーション、電気泳動法、吸着分離法、沈澱分離法などがいずれも使用でき、これらを二種以上組み合わせて使用してもよい。 【0023】なお、調整乳清タンパク質加工品の製造において加熱処理して得た透明な液状またはゲル状製品に添加される塩類は、乳清タンパク質加工品における調味用の塩等であるが、塩等の添加はpH調整後にされる必要がある。また、塩等の添加により、その後の加熱処理により白濁し易くなるので、液のpHは、特に3.5以下または6.5以上に調整されるのが好ましい。 【0024】調整乳清タンパク質加工品における乳清タンパク質含有液の乳清タンパク質含有量は特に限定されないが、5重量%以下の低タンパク質濃度域においては、加熱後も透明液となり、粘稠な液状を示すが、濃度が増すと、粘稠な液となり取扱い難くなる。通常は、5〜20重量%に濃度を調整されるのが、扱い易く、好ましい。なお、タンパク質濃度を、10重量%以上に調整した場合には、極めて硬く、弾性に富む透明ゲルが得られる。一般に、このような液に添加される塩濃度は、特に限定されないが、製品の調味という点から、200mM以下(例えば、50〜200mM)、特に150mM以下であるのが好ましい。 【0025】また、調整乳清タンパク質加工品の製造における塩の添加後の乳清タンパク質含有液の加熱温度は特に限定されないが、55℃以上であるのが好ましく、一般に75〜95℃程度が扱い易い。しかし、100℃以上に加熱されてもよく、例えば、120℃前後の加熱では、100℃以下の加熱で得られるゲルより、弾性に富んだ硬いゲルを得ることができる。 【0026】調整乳清タンパク質加工品の製造の具体例は、特公平6−101986号公報に記載される。調整乳清タンパク質加工品は、例えば、株式会社第一化成から、商品名「ジェネシスHD−5」として販売される。 【0027】チョコレートに含まれる「油脂」としては、上昇融点が約50℃以下、好ましくは約40℃以下、さらに好ましくは約37℃以下である、任意の食用油脂を用い得る。得られるチョコの口どけをより良くするために、40℃の固体脂含量が約5%以下であることが好ましい。このような油脂の例としては、植物性または動物性の天然由来の油脂(例えば、ココアバター)および水素添加油脂、エステル交換油脂が挙げられる。当業者に公知のように、ココアバターは、カカオマス中に油脂分として約55%含まれるので、ココアバターとしてカカオマスを本発明の耐焼成チョコレート中に配合してもよい。ただし、チョコレート中のココアバターの含有率が高いと、ブルームが生じる可能性がある。そのため、カカオマスまたはココアバターを用いる場合には、ノーテンパータイプの油脂(好ましくはノーテンパータイプの植物性油脂)を同時に配合することが好ましい。ノーテンパータイプの油脂は、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油などを原料として製造され得る。カカオマスの含有量が多いほど、チョコレート本来の風味が豊かになる。 【0028】本明細書中で「チョコレート生地」とは、焼成前のチョコレートをいう。 【0029】耐焼成チョコレートに含まれる調整乳清タンパク質加工品は、チョコレート生地100重量部に対して、任意の割合で含まれ得る。含有量の上限は、代表的には、約70重量部であり、好ましくは約40重量部であり、より好ましくは約20重量部である。含有量の下限は、代表的には、約1重量部であり、好ましくは約5重量部であり、より好ましくは約10重量部である。調整乳清タンパク質加工品の量が多すぎると、得られるチョコレートの風味がチョコレート本来の風味と異なる場合がある。使用量が少なすぎると、添加の効果が得られにくい。 【0030】本発明の耐焼成チョコレートは、調整乳清タンパク質加工品の添加の効果を実質的に損なわない限り、必要に応じて他の成分を含むことができる。他の成分としては、例えば、乳製品、ココア粉末、糖類、乳化剤、香料、色素、甘味料(糖類を除く)、食塩、調味料(糖類、甘味料および食塩を除く)などが挙げられる。乳製品としては、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、チーズパウダーなどが挙げられる。より自然な乳風味を付加するために、乳製品を使用することが望ましい。糖類としては、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、糖アルコールであるマルチトール、パラチニットなどが挙げられる。使用する場合、特に無水結晶である麦芽糖、β-乳糖が好ましく、甘味を補うためにショ糖、その他の甘味料などを併用してもよい。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステルのような脂肪酸エステル、ならびにダイズレシチン、卵黄レシチンなどのリン脂質が挙げられる。 【0031】本発明の耐焼成チョコレートの好ましい配合例としては、カカオマス約10〜20重量部(またはココアバターとして配合する場合は、それに対応する量)、植物性油脂約15〜35重量部、糖分約30〜60重量部、および調整乳清タンパク質加工品約3〜30重量部が挙げられる。 【0032】<耐焼成チョコレートの製造>本発明の耐焼成チョコレートは、当該分野の通常の方法に従って、調整乳清タンパク質加工品、油脂および任意の他の成分を含む耐焼成チョコレートの原料を混合、磨砕、精錬、必要に応じて調温および冷却することにより製造することができる。製造されたチョコレートは、常温で固体であってもよいし、液体であってもよい。 【0033】本発明の耐焼成チョコレートは、それ自体、任意の形状および大きさで最終製品として提供され得るが、後述する焼成チョコレート菓子および焼菓子の材料として特に有用である。焼成チョコレート菓子または焼菓子に包餡もしくは被覆して用いる場合、本発明の耐焼成チョコレートは、常温で固体であることが好ましい。耐焼成チョコレートが液体である場合、焼菓子に包餡して用いることが好ましい。 【0034】<焼成チョコレート菓子>本発明の耐焼成チョコレートは、種々の焼成チョコレート菓子の製造において好適に用い得る。焼成チョコレート菓子の例としては、成形したチョコレートをそのまま焼いたもの;成形したチョコレートに液体物を塗布して焼いたもの;成形したチョコレートをメレンゲで包んで焼いたもの;成形したチョコレートの表面に粉末(例えば、小麦粉のような穀粉、澱粉、ナッツを粉砕したものなど)をふって焼いたもの;豆、果実などにチョコレートをかけ、さらに上記のような粉末をふって焼いたものなどが挙げられる。 【0035】本明細書中で「液体物」とは、食用可能な任意の液体をいい、代表的にはシロップである。シロップに溶解させる糖の種類としては、ショ糖、乳糖、ブドウ糖、麦芽糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、無水トレハロース、などが挙げられる。液体物は、塗布が可能である限り、必要に応じて、香料、酸味料、色素などの他の成分を含むことができる。「メレンゲ」とは、卵白を固く泡立て、糖類を添加したものをいう。メレンゲにおいても、シロップと同様の糖類を用い得る。メレンゲもまた、気泡を実質的に維持し得る限り、必要に応じて他の成分を含むことができる。 【0036】いうまでもなく、焼成条件に耐え得る限り、上記以外の任意の菓子原料を用いることができる。当業者は、これら焼成チョコレート菓子の原料、生地の調製方法、焼成条件などを適宜選択し、設定することができる。 【0037】<焼菓子の製造>本発明の耐焼成チョコレートは、種々の焼菓子の製造において、焼菓子生地に包餡または被覆される具材として好適に用い得る。焼菓子の例としては、ビスケット類、クラッカー類、パイ類、ケーキ類、およびドーナツが挙げられる。当業者は、これら焼菓子の原料、生地の調製、焼成条件などを適宜選択し、設定することができる。なお、本明細書中で、焼菓子の「生地」とは、焼菓子の原料の混合物であって、焼成前のものをいう。 【0038】ビスケット類とは、小麦粉を主原料として、糖類、食用油脂および食塩を副原料とし、必要により乳製品、卵製品などの原料を加えて、膨張剤で膨化しながら焼成したものである。ビスケット類は、配合、製品の食感などにより大別され、例えば、ハードビスケット、ソフトビスケット、プレッツェル、クッキーなどがある。ハードビスケットは、ソフトビスケットと比較して油脂および砂糖の含有量が少なくグルテン組織が強固なものをいう。一般に、ハードビスケットにおける油脂および砂糖の含有量の合計は、原材料の全重量を基準として、約40%以下である。プレッツェルとは、ハードビスケットの生地をアルカリ処理してから焼成したものをいう。アルカリ処理には、苛性ソーダ、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどの任意のアルカリが用いられ得る。代表的には、アルカリ処理は、ハードビスケットの生地にアルカリ溶液(例えば、約0.1〜5%の苛性ソーダ)をコートすることにより行われる。 【0039】クラッカー類とは、小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし、必要により乳製品、卵製品、イースト、酵素、膨張剤などの原料を加えて焼成したものであり、比較的甘味が少なく、塩味および脂肪分の多い焼菓子のことである。クラッカー類には、その配合および製法により、例えば、ソーダクラッカー、クリームクラッカー、オイルスプレークラッカーなどがある。 【0040】パイ類とは、小麦粉、糖類、食用油脂および食塩を原料とし、必要により乳製品、卵製品、イースト、膨張剤などの原料を加えて、焼成したものである。パイは、製法により、折りパイ(フレンチパイ)と練りパイ(アメリカンパイ)とに分けられる。 【0041】ケーキ類とは、小麦粉、糖類、卵、および食用油脂を主原料とし、乳製品、膨張剤などの副原料を加えて焼成したものである。ケーキ類は、製法の違いから、鶏卵を撹拌し気泡することによって組織をつくるスポンジケーキと、油脂をすりあわせて他の原料を加え、油脂中の空気の膨張によって組織をつくるバターケーキとに分けられる。 【0042】ドーナツとは、小麦粉を主原料とし、卵製品、糖類、乳製品、イースト、膨張剤などの原料を加えた生地をフライしたものである。ドーナツは、イーストを使用して発酵させるイーストドーナツと、化学膨張剤を用いるケーキドーナツとに大別される。 【0043】本発明に従って製造される焼菓子は、上記のおよび他の公知の焼菓子のいずれでもよい。好ましくはビスケット類であり、より好ましくはハードビスケットおよびプレッツェルである。 【0044】焼菓子の大きさおよび形状は、特に限定されない。代表的には、チョコレートが焼菓子の生地に包餡または被覆されて焼成される。ここで、「包餡」とは、実質的にチョコレートの全表面が生地に包まれることをいい、「被覆」とは、チョコレートの表面の少なくとも一部(通常は約50%以上だが、それ以下、例えば約10%程度であってもよい)が生地に包まれることをいう。 【0045】本発明の焼菓子における耐焼成チョコレートの使用量は特に限定されない。焼菓子の包餡または被覆具材として使用する場合、焼菓子用生地の100重量部に対して、代表的には約50〜1000重量部、好ましくは約100〜500重量部の耐焼成チョコレートが用いられる。本発明の焼菓子は、例えば、焼菓子用の生地を成形し、その表面上に適量の耐焼成チョコレートを重ね、さらに耐焼成チョコレートの上に焼菓子用の生地を重ねた後に、生地とチョコレートとが重なった状態で型抜きまたはカッティングしてから焼成することにより製造し得る。 【0046】本発明の耐焼成チョコレートの用途は、焼成チョコレート菓子、および焼菓子の包餡または被覆具材に限定されることはない。例えば、焼菓子または他の種類の菓子の原料混合時に耐焼成チョコレートの塊と他の原料とを混合することにより、チョコレート成分が均一に分散された菓子原料を調製し得る。これは、焼成などの加工後も均一なチョコレート風味を有する菓子、およびいわゆるチョコチップ製品の製造において有用であり得る。 【0047】 【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。 【0048】実施例1〜5および比較例1〜3では、耐焼成チョコレートの製造例およびその比較例を記載する。 【0049】<実施例1>調整乳清タンパク質加工品(商品名:ジェネシスHD−5、株式会社第一化成製)20重量部、ノーテンパータイプの植物性油脂(上昇融点33.5℃)24重量部、カカオマス16重量部、砂糖40重量部、レシチン0.4重量部、親水性−疎水性バランス(HLB)が1であるポリグリセリンポリリシノレート(PGPR)0.1重量部、およびバニリン適量を使用し、常法に従ってチョコレートを製造した(表1)。 【0050】<実施例2〜5>それぞれ表1に示す配合を用いた以外は、実施例1と同じ条件で、耐焼成チョコレートを製造した。 【0051】<比較例1〜3>それぞれ表1に示す配合を用いた以外は、実施例1と同じ条件で、チョコレートを製造した。調整乳清タンパク質の代わりに、それぞれ、比較例1では脱脂粉乳を、比較例2では全粉乳を用いた。比較例3は、乳製品を含まない、通常のブラックチョコレートである。 【0052】 【表1】
【0053】実施例6〜10および比較例4〜6では、耐焼成チョコレートを用いてのハードビスケットおよびプレッツェルの製造例およびその比較例ならびにそれらの評価を記載する。 【0054】<実施例6>表2の配合に基づき、常法によりハードビスケットおよびプレッツェルの生地(ドウ)を製造した。得られた生地を厚さ約0.5mmのシート状に圧延した。圧延した生地を同じ大きさの2つの生地に分けた。 【0055】 【表2】
【0056】上記の圧延した生地の一方の上に、溶解後40℃に調温した実施例1の耐焼成チョコレートを重ね、チョコレート部分の厚さを約5mmにならした。次いで、チョコレートの上に圧延した生地の他方を重ねることにより、チョコレートを生地で挟んだチョコレート包餡生地を得た。次いで、チョコレート包餡生地を、長径42mm、短径17mm、型の厚さ1mmの木の葉型モールドで型抜きを行い、耐焼成チョコレート3gおよび生地1gからなる、チョコレート包餡生地の成型品を得た。 【0057】得られたチョコレート包餡生地の成型品をライトメッシュ上に並べ、上下とも200℃のバッチ式オーブンで9分間焼成し、チョコレート包餡ハードビスケットを得た。 【0058】他方、チョコレート包餡生地の成型品をライトメッシュ上に並べた後に、常温の苛性ソーダ2%水溶液を上面からスプレーしてアルカリ処理を施した後に、ハードビスケットと同様に焼成することにより、チョコレート包餡プレッツェルを得た。 【0059】得られたチョコレート包餡ハードビスケットおよびチョコレート包餡プレッツェルでは、チョコレートが突沸することがなく、焼細りも見られなかった。内部のチョコレートは、滑らかな食感を有する美味なものであった。評価の結果を表3に示す。 【0060】なお、チョコレートの突沸は、任意に取り出したチョコレート包餡ハードビスケットおよびチョコレート包餡プレッツェルを、目視評価で2段階で評価した。○は突沸が全くみられないことを、そして×は突沸が起き、内部にほとんどチョコレートが残らないことを示す。 【0061】チョコレートの滑らかさは、任意に取り出したチョコレート包餡ハードビスケットおよびチョコレート包餡プレッツェルを、官能試験で3段階で評価した。○は、焼成後のチョコレートが焼成前と同様の滑らかさを有することを、−は、チョコレートが突沸したために評価ができなかったことを示す。 【0062】<実施例7〜10>実施例2〜5のいずれかの耐焼成チョコレートを用いた以外は、実施例6と同じ条件で、ハードビスケットおよびプレッツェルを製造した。評価の結果を表3に示す。 【0063】<比較例4〜6>比較例1〜3のいずれかのチョコレートを用いた以外は、実施例6と同じ条件で、ハードビスケットおよびプレッツェルを製造した。評価の結果を表3に示す。 【0064】 【表3】
【0065】実施例11および比較例7では、耐焼成チョコレートを用いてのチョコサンドソフトビスケットの製造例およびその比較例ならびにそれらの評価を記載する。 【0066】<実施例11>表4の配合に基づき、常法によりソフトビスケットの生地(ドウ)を製造した。得られた生地を厚さ約1.0mmのシート状に圧延した。圧延した生地を同じ大きさの2つの生地に分けた。 【0067】 【表4】
【0068】圧延した生地の一方の上に、溶解後40℃に調温した後、約5mmの厚さに冷却成型した実施例1の耐焼成チョコレートのシートを重ねた。次いで、チョコレートの上に圧延した生地の他方を重ねることにより、チョコレートを生地で挟んだチョコレートサンド生地を得た。次いで、チョコレートサンド生地を、長径40mm、短径20mmの型にカッティングを行い、耐焼成チョコレート5gおよび生地4gからなる、チョコサンド生地の成型品を得た。 【0069】得られたチョコサンド生地の成型品をライトメッシュ上に並べ、上下とも200℃のバッチ式オーブンで9分間焼成し、チョコサンドソフトビスケットを得た。 【0070】得られたチョコサンドソフトビスケットでは、チョコレートがカット面から溢れ出すことはなく、焼細りも見られなかった。内部のチョコレートは、滑らかな食感を有する美味なものであった。なお、評価は実施例6〜10と同じ基準で行った。 【0071】<比較例7>比較例2のチョコレートを用いた以外は、実施例11と同じ条件で、チョコサンドソフトビスケットを製造した。 【0072】焼成後得られたソフトビスケットでは、チョコレートが一部カット面から溢れ出していた。内部に残ったチョコレートは、滑らかな食感を有さず、ガリガリして不味いものであった。 【0073】実施例12および比較例8では、焼成チョコレートの製造例およびその比較例ならびにそれらの評価を記載する。 【0074】<実施例12>溶解後40℃に調温した実施例1の耐焼成チョコレートを、縦40mm、幅30mm、厚さ5.6mmのプラスチック製モールドに充填し、冷却固化させた。この後、モールドからチョコレートを取り出して、成型されたチョコレートを得た。次いで、成型されたチョコレートを固定式オーブンに入れ、170℃で11分間焼成し、常温に冷却することにより、焼成チョコレートを得た。 【0075】得られた焼成チョコレートは、焼成前の形状を維持しており、チョコレートの表面の変化は少なかった。チョコレートの内部は、口当たりの滑らかさを保っていた。評価の結果を表5に示す。 【0076】<比較例8>比較例1のチョコレートを用いた以外は、実施例12と同じ条件で、焼成チョコレートを製造した。 【0077】得られた焼成チョコレートは、焼成前の形状を維持できず、流動して変形し、チョコレートの表面はただれていた。チョコレートの内部は、ぼそぼそとした食感になった。評価の結果を表5に示す。 【0078】 【表5】
【0079】実施例13および比較例9では、焼成メレンゲ塗布チョコレートの製造例およびその比較例ならびにそれらの評価を記載する。 【0080】<実施例13>溶解後40℃に調温した実施例1で得られたチョコレートを、縦40mm、幅30mm、厚さ2.8mmのプラスチック製モールドに充填し、冷却固化させた。この後、モールドからチョコレートを取り出して、成型されたチョコレートを得た。卵白70重量部、グラニュー糖30重量部よりメレンゲを調製した。次いで、成型されたチョコレートの裏表にメレンゲを塗布した後、これを固定式オーブンに入れ、170℃で11分間焼成し、常温に冷却することにより、焼成メレンゲ塗布チョコレートを得た。 【0081】得られた焼成メレンゲ塗布チョコレートは、焼成前の形状を維持していた。内部のチョコレートの食感は、口溶けがよく、口当たりも滑らかさを保っていた。評価の結果を表6に示す。 【0082】<比較例9>比較例1のチョコレートを用いた以外は、実施例13と同じ条件で、焼成メレンゲ塗布チョコレートを製造した。 【0083】得られた焼成メレンゲ塗布チョコレートは、焼成前の形状は維持していた。しかし、内部のチョコレートは、組織が硬く変化し、食感は焼成前と比較して硬くぼそぼそしたものとなった。評価の結果を表6に示す。 【0084】 【表6】
【0085】 【発明の効果】本発明により、焼成後もチョコレートの食感および形状を維持し得る耐焼成チョコレートが提供される。本発明の耐焼成チョコレートは、ビスケット等の焼菓子ドウと組み合わせて焼成しても突沸および焼き細りを生じない。本発明の耐焼成チョコレートを用いれば、高い生産性で食味に優れたチョコレート含有焼菓子などを提供し得る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000228 【氏名又は名称】江崎グリコ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月19日(1999.3.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078282 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 秀策
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| 【公開番号】 |
特開2000−270774(P2000−270774A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月3日(2000.10.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−76896 |
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