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【発明の名称】 チョコレート包み菓子及びその製造方法
【発明者】 【氏名】平川 裕子

【要約】 【課題】果実の種を取り出しても果実が型くずれしないようにし、果実を丸ごと包んだチョコレート菓子を得る。

【解決手段】ガナッシュ2を充填した金柑1をチョコレート3によりコーティングすることによって、柔らかい金柑1が中に充填されたガナッシュ2の作用によって型くずれしなくなるため、これをチョコレート3によりコーティングしたものは元の金柑1の形状を保ったままの外観を有し、果実特有の自然な美しい形状のチョコレート包み菓子となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガナッシュを充填した果実をチョコレートによりコーティングしたチョコレート包み菓子。
【請求項2】 前記ガナッシュが、前記果実のシロップを用いたものである請求項1記載のチョコレート包み菓子。
【請求項3】 前記果実が、金柑、無花果または杏の実、若しくは干し柿である請求項1または2記載のチョコレート包み菓子。
【請求項4】 金柑または無花果の実、若しくは干し柿をチョコレートによりコーティングしたチョコレート包み菓子。
【請求項5】 果実の底部に互いに交差する切り目を入れ、同切り目よりガナッシュを充填した後、チョコレートをコーティングすることを特徴とするチョコレート包み菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、果樹の実をチョコレートによりコーティングしたチョコレート包み菓子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チョコレートを用いた包み菓子として、洋酒、スパイス、またはフルーツ・ピューレ等で風味をつけたガナッシュを詰めたもの、アーモンドまたはクルミ他のナッツ類をコーティングしたもの等が知られている。これらの他にも、柑橘類等の皮をチョコレートでコーティングしたものがある。
【0003】従来、チョコレートに使用される柑橘類等は、防腐効果も兼ねて砂糖漬けにするかフィンダンで包んでからコーティングされる。したがって、その味覚は強烈な甘さであり、しかも果実が乾燥して堅いため弾力性もない。また、香りも薄らいでおり、せっかくの果実の風味が損なわれている。
【0004】ところで、和菓子やお正月料理に用いられる果実として金柑の実がある。金柑の実は菓子の分野では見逃された果実で、これまであまり活用されていない。金柑の実には薬効があるといわれており、種々のフラボンハ配糖体やスペリジンを多量に含んでいることが、近年、注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この金柑の実やその他の果実の実を丸ごとチョコレートによってコーティングする場合、果実の内部の種を取り出す必要がある。通常、金柑の実の種を取り出す場合、図3に示すように果実11の皮の表面に縦に切り目12を3カ所ほど入れ、この切り目12から種を取り出すようにするが、種を取った後に空洞ができてしまうため型くずれし、安定が悪く凸凹になってしまう。
【0006】そこで、本発明は、果実の種を取り出しても果実が型くずれしないようにし、果実を丸ごと包んだチョコレート菓子及びその製造方法を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のチョコレート包み菓子は、ガナッシュを充填した果実をチョコレートによりコーティングしたものである。柔らかい果実や、乾燥した果実を柔軟処理したものの中にガナッシュを充填しておくことによって、その果実が型くずれしなくなるため、これをチョコレートによりコーティングしたものは元の果実の形状を保ったままの外観を有し、果実特有の自然な美しい形状となる。
【0008】また、果実の中に充填したガナッシュが程良い柔らかさであるため、このチョコレート包み菓子の口当たりが柔らかく、弾力性もあり、果実の風味をよく感じることができる。したがって、チョコレートの内部に包み込む果実の柔らかさを損なうことなく果実の型くずれを防止することができ、チョコレート包み菓子は果実特有の自然の風味をよく表現したものとなる。
【0009】ここで、果実に充填するガナッシュは、チョコレートによりコーティングする果実そのものから抽出したシロップを用いて風味をつけたものが望ましい。チョコレートによりコーティングする果実そのものから作ったシロップを用いて風味をつけたガナッシュを充填してその果実の型くずれを防止すれば、果実もその中に充填したガナッシュも同じ果実の風味を有しているため、チョコレート包み菓子を食したときに果実の風味を最後まで十分に感じられるようになる。
【0010】チョコレートによりコーティングする果実としては、金柑、無花果または杏の実、若しくは干し柿を用いるのが望ましい。金柑を単に含め煮又は甘煮しただけではなく、これをチョコレートによりコーティングすることによって金柑の新鮮さを残しつつ賞味期間を長くすることが可能となる。また、金柑の実には薬効があり、種々のフラボンハ配糖体やスペリジンを多量に含んでいるため、咳止め作用があり、喉にもよいといわれている。無花果の実は味に癖がなく、特に乾燥無花果はコンパクトであり使用しやすく、乾燥によりその果実の味が大きさの割に凝縮されており、チョコレートとの味の組合せもよい。また、無花果の実は食物繊維を多く含んでおり、健康にも適している。杏の実、干し柿もチョコレートとの味の組合せがよい。また、金柑または無花果の実、若しくは干し柿は、その内部にガナッシュを充填せずにそのままチョコレートによりコーティングしてチョコレート菓子とすることもできる。
【0011】ところで、本発明のチョコレート包み菓子の製造方法は、果実の底部に互いに交差する切り目を入れ、この切り目よりガナッシュを充填した後、チョコレートをコーティングすることを特徴とする。
【0012】ガナッシュを充填するための切り目を果実のへたの部分を上にして置いたときの底部に互いに交差するように入れれば、側面部に切り目を入れた場合のように果実が型くずれをすることがない。また、このような切り目からガナッシュを充填し、切り目部分を平坦に仕上げておくことによって、この切り目部分を下にして置くと果実はどっしりと安定するようになる。
【0013】ここで、果実から種子を取り出す場合は、この切り目から取り出すようにするのが望ましい。果実が型くずれしないように入れた切り目から種子を取り出し、上記と同様に、この切り目からガナッシュを充填するようにすれば、種子を取り出して空洞となった内部が埋められるため、凸凹になることもなく、チョコレート包み菓子を外観上美しい状態に保つことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)第1実施形態においては果実として金柑の実(以下、単に「金柑」と称す)を用いたチョコレート包み菓子について図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態におけるチョコレート包み菓子の縦断面図、図2は切り目を示す金柑1の底面図である。
【0015】本発明の実施の形態におけるチョコレート包み菓子は、図1に示すように、ガナッシュ2を充填した金柑1をチョコレート3によりコーティングしたものである。以下に、このようなチョコレート包み菓子の製造方法について説明する。
【0016】金柑1には苦味があるので、まず脱苦味処理を施す。金柑1を入れた鍋を用意し、これにひたひたに入れた湯に金柑重量の約1%の塩を加えて弱火で煮る。このとき、火力が強すぎると金柑1の皮1aの表面に亀裂が生じるので、金柑1の皮1aがやぶれないように注意する。こうして脱苦味処理が終わったら、金柑1をボールなどに移し、水を変えながらさらして塩分を洗い流した後、ざるなどに上げて水を切る。
【0017】こうして水切りした金柑1の底部5に、図2に示すように、互いに交差する切り目4を入れる。このとき、ぶどう種取機や小ナイフを使用すると作業がやりやすい。切り目4は十字状や米字状に入れても良い。また、切り目4は脱苦味処理を施す前に入れても良いが、そのときは風味を損なわないように注意する。
【0018】次に、鍋に入れた金柑1に砂糖(グラニュー糖)と水を加えて煮る。水量は金柑1の体積とほぼ同量とするのがよく、鍋はなるべく銅やステンレス製で底の厚いものがよい。底の厚いものほど熱が柔らかく伝わり、砂糖の焦げ付きを防止することができる。煮るときは金柑1が水分に使っている時間が長いと型くずれをおこしやすいので、なるべく手早く短時間で煮るようにする。
【0019】このとき、砂糖を一度に加えると濃度が高くなって金柑1に浸透しにくくなり、場合によっては金柑1が脱水状態になることもあるため、砂糖は数回に分けて加えるのがよい。金柑と糖蜜との差が少ない方が浸透しやすいためである。金柑に透明感がでてきたら火を止め、そのまま放置して寝かせ、さらに糖分をしみこませる。
【0020】その後、金柑1を網棚等に上げて煮汁を切り、金柑1表面を乾燥させる。ここで残った煮汁はさらに煮詰めて濃縮し、水飴のような状態のシロップとしてガナッシュ2の風味付けに用いる。煮汁には多量のペクチンが流出しているため、とろみがあり風味もよい。
【0021】一方、表面を乾燥させた金柑1は、その底部5の切り目4からピンセットを用いて種子(図示せず)を取り出す。切り目4を互いに交差するように底部5に入れたことによって、この切り目4部分のみを観音開きのように開くことができるため、種子を容易に取り出すことができる。切り目4を無理にこじ開ける必要がないため金柑1は型くずれしないが、金柑1がなるべく球形をとどめるように作業する。
【0022】種子を取り出した金柑1は、底部5を上に向けてバット等の中に安定させて並べておく。そして底部5の切り目4を開け、金柑1のシロップによって風味付けしたガナッシュ2を金柑1内部に充填する。充填が完了すると切り目4を閉じ、切り目4部分を平坦に仕上げておく。このように、切り目4部分を平坦に仕上げておくことによって、切り目4部分を下にして置くと金柑1はどっしりと安定する。また、このように種子を取り出して空洞となった内部がガナッシュ2によって埋められるため、金柑1の外観が凸凹になることもない。
【0023】そして、ガナッシュ2が固まったところで、ガナッシュ2を充填した金柑1をテンパリングしたチョコレートの中に入れて、金柑1全体にチョコレートをコーティングする。このコーティングが完了した金柑1を切り目4が下になるように作業台等に取り出し、一晩置いてチョコレートが固まるとチョコレート包み菓子が完成する。
【0024】こうして完成した本発明の実施の形態におけるチョコレート包み菓子は、ガナッシュ2を充填した金柑1をチョコレート3によりコーティングしたものであり、金柑1は皮1aおよび果肉1bを丸ごと煮付けて柔らかくしたものを使用しており、このように柔らかい金柑1の中にガナッシュ2を充填しておくことによって、金柑1が型くずれしなくなるため、これをチョコレート3によりコーティングしたものは元の金柑1の形状を保ったままの外観を有し、金柑1特有の自然な美しい球形となる。
【0025】また、金柑1の中に充填したガナッシュ2が程良い柔らかさであるため、このチョコレート包み菓子の口当たりは柔らかく、弾力性のあるものとなり、金柑1の風味をよく感じることができる。したがって、チョコレート3によりコーティングする金柑1の柔らかさを損なうことなく金柑1の型くずれを防止することができ、チョコレート包み菓子は金柑1特有の自然の風味をよく表現したものとなる。
【0026】さらに、金柑1の内部に充填するガナッシュ2は、チョコレート3によりコーティングする金柑1そのものから抽出したシロップを用いて風味をつけたものであるため、このようなガナッシュ2を充填して金柑1の型くずれを防止すれば、金柑1の内部もすべて同じ金柑1の風味を有しているため味に一体感が生じ、チョコレート包み菓子を食したときに金柑1の風味を最後まで十分に感じられるようになる。
【0027】金柑1には、薬効があり、種々のフラボンハ配糖体やスペリジンを多量に含んでいるため、咳止め作用があり、喉にもよいといわれている。また、金柑を単に含め煮又は甘煮しただけではなく、これをチョコレートによりコーティングすることによって金柑の新鮮さを残しつつ賞味期間を長くすることが可能となる。
【0028】(実施の形態2)第2実施形態においては、果実として無花果の実(以下、単に「無花果」と称す)を用いたチョコレート包み菓子について説明する。
【0029】無花果を熱湯にさっとくぐらせてざるに上げ、しっかりと水分を切っておく。この無花果の底部に第1実施形態と同様の切り目を入れ、無花果が冷めないうちに瓶に詰める。この瓶に詰めた無花果にシェリー酒をかけて湿らせる。無花果がシェリー酒を良く吸収するので様子を見ておく。このようにシェリー酒によって柔軟化処理を施す。シェリー酒の代わりにブランデーを用いてもよい【0030】シェリー酒の風味が付いたところで無花果の周りの水分を室内に放置して乾燥させる。その後の作業は、第1実施形態と同様の手順によって行い、本実施形態のチョコレート包み菓子が完成する。但し、ガナッシュには、無花果から抽出したシロップを用いて風味をつけたものを用いる。なお、ここで用いた無花果の代わりに干し柿を用いて同様の手順により干し柿を用いたチョコレート包み菓子を得ることもできる。
【0031】(実施の形態3)第3実施形態においては、果実として杏の実(以下、単に「杏」と称す)を用いたチョコレート包み菓子について説明する。
【0032】杏を熱湯にさっとくぐらせてざるに上げ、しっかりと水分を切っておく。この杏を適当な大きさの型で抜く。この杏を瓶に詰め、シェリー酒をかけて湿らせる。杏はシェリー酒を吸収することでだんだんと柔らかくなってゆく。シェリー酒の代わりにブランデーを用いてもよい。
【0033】こうして柔軟化処理を施した杏にアプリコットブランデーを注いで漬けておく。風味がついたところで杏を取り出し、杏の表面を乾燥させる。その後の作業は、第1実施形態と同様の手順によって行い、本実施形態のチョコレート包み菓子が完成する。但し、ガナッシュには、杏から抽出したシロップを用いて風味をつけたものを用いる。
【0034】
【発明の効果】本発明により、以下の効果を奏することができる。
【0035】(1)ガナッシュを充填した果実をチョコレートによりコーティングすることによって、果実が型くずれしなくなり、果実特有の元の形状を保ったまま自然な美しい形状のチョコレート包み菓子が得られる。また、果実の中に充填したガナッシュが程良い柔らかさであるため、このチョコレート包み菓子の口当たりが柔らかく、弾力性もあり、果実の風味をよく感じることができる。すなわち、チョコレートによりコーティングする果実の柔らかさを損なうことなく果実の型くずれを防止することができ、果実特有の自然の風味をよく表現したチョコレート包み菓子が得られる。
【0036】(2)ガナッシュが、チョコレートによりコーティングする果実そのものから抽出したシロップを用いて風味をつけたものであることによって、このガナッシュを充填してその果実の型くずれを防止すれば、果実もその中に充填したガナッシュも同じ果実の風味を有しているため味に一体感が生じ、食したときに果実の風味を最後まで感じることのできるチョコレート包み菓子が得られる。
【0037】(3)果実として、金柑、無花果または杏の実、若しくは干し柿を用いることによって、チョコレートに含まれている糖分がこれらの果実への防腐効果をもたらし、果実の長期保存を可能とする。また、これらの果実がチョコレートによってコーティングされることにより、果実にチョコレートが密着し外部の空気と果実とが遮断されるため、内部を清潔に保持できさらに長期保存が可能となる。さらに、これらの果実をチョコレートによってコーティングしたものは、果実そのものだけで食すよりもチョコレートとの組合せによって高級感が得られ、それぞれに違った風味を味わえる。
【0038】(4)果実の底部に互いに交差する切り目を入れ、この切り目よりガナッシュを充填した後、チョコレートをコーティングする製造方法によれば、側面部に切り目を入れた場合のように果実が型くずれをすることがなく、この切り目からガナッシュを充填し、切り目部分を平坦に仕上げておくことによって、この切り目部分を下にして置くと果実はどっしりと安定するようになる。したがって、これをチョコレートによってコーティングしたものも同様に、型くずれすることなくどっしりと安定した美しい外観となる。
【出願人】 【識別番号】599020508
【氏名又は名称】平川 裕子
【出願日】 平成11年2月12日(1999.2.12)
【代理人】 【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
【公開番号】 特開2000−232848(P2000−232848A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願平11−34221