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【発明の名称】 冷水に可溶な茶抽出物の製造方法
【発明者】 【氏名】マシュー・ジョン・バレット

【氏名】リバレンド・ドミニック・ピー・ブラック

【氏名】ウイリアム・ジョージフ・レオ

【氏名】イアン・ノーブル

【氏名】ジェフリー・ブリン・リチャーズ

【要約】 【課題】冷水に可溶なブラック・ティー抽出物の製造方法の提供。

【解決手段】本発明の方法は、抽出液体を使用し、ブラック・ティーの葉から茶の固体を抽出し、茶抽出物全体を提供し、茶抽出物全体を過圧下及び60℃より高い温度で酸化し、冷水に可溶なリカーを提供し、冷水に可溶なリカーを冷却して、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、及び残存する冷水に不溶な物質を、冷水に可溶なリカーから分離し、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を提供することを含む。冷水に可溶なブラック・ティー粉末を製造する方法もまた記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を製造する方法であって、(a)抽出液体を使用し、ブラック・ティーの葉から茶の固体を抽出し、茶抽出物全体を提供し、(b)前記茶抽出物全体を過圧下及び60℃より高い温度で酸化し、冷水に可溶なリカーを提供し、(c)前記冷水に可溶なリカーを冷却して、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、及び(d)前記残存する冷水に不溶な物質を、前記冷水に可溶なリカーから分離し、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を提供する、工程を含む方法。
【請求項2】 前記温度及び圧力が、蒸留水が少なくとも0.5g/1lの酸素を溶解する最大能力を平衡状態で有する場合の温度及び圧力である、請求項1記載の方法。
【請求項3】 酸素移動速度が、8乃至50時−1である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】 酸素移動速度が、15乃至35時−1である、請求項3記載の方法。
【請求項5】 水性混合物中の溶解された酸素濃度が、0.5乃至5.0g/1l、好ましくは0.5乃至1.5g/1l、更に好ましくは0.7乃至1.0g/1lである、請求項1乃至4のいずれか1請求項記載の方法。
【請求項6】 酸素分圧が0.5乃至2.0MPaである、請求項1乃至5のいずれか1請求項記載の方法。
【請求項7】 方法の開始時点において、水性混合物中の茶固体の濃度が0.3乃至20.0%(w/v)である、請求項1乃至6のいずれか1請求項記載の方法。
【請求項8】 温度が100℃乃至120℃、好ましくは116℃乃至120℃である、請求項1乃至7のいずれか1請求項記載の方法。
【請求項9】 ブラック・ティー抽出物全体のpHが、はじめは、4.0乃至11.0、好ましくは4.0乃至7.9、より好ましくは4.0乃至5.0である、請求項1乃至8のいずれか1請求項記載の方法。
【請求項10】 さらに、冷水に可溶な茶抽出物を乾燥させ、冷水に可溶なブラック・ティー粉末を形成することを含む、請求項1乃至9のいずれか1請求項記載の方法。
【請求項11】 冷水に可溶性のあるブラック・ティー粉末を形成する方法であって、(a)抽出液体を使用してブラック・ティーの葉から茶固体を抽出し、茶抽出物全体を提供し、(b)前記葉抽出物全体を過圧下及び60℃より高い温度で酸化し、冷水に可溶なリカーを提供し、(c)前記冷水に可溶性であるリカーを冷却して、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、(d)前記残存する冷水に不溶な物質を、前記冷水に可溶なリカーから分離し、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を提供し、及び(e)冷水に可溶性のあるブラック・ティー抽出物を乾燥させ、冷水に可溶性であるブラック・ティー粉末を形成する、工程を含む方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の分野】本発明は、温水及び冷水の両方に可溶な茶製品、特に、抽出物及び粉末を製造する方法に関する。
【0002】
【発明の背景】リーフ(葉)・ティー(茶)は、グリーン・リーフ・ティー又はブラック・リーフ・ティーとして製造され得る。このような茶を製造する方法は、当技術分野に周知である。一般に、ブラック・リーフ・ティーを製造するためには、新鮮なグリーンリーフを枯らし(穏やかな乾燥にさらす)、粉砕し、発酵させ(この方法においては、茶葉中の酵素が大気中の酸素を使用して種々の基質を酸化させ、褐色の製品を生成する)、及び次に焙じる(茶葉を乾燥させる)。グリーン・リーフ・ティーは、発酵及び焙じる工程にさらさない。部分的な発酵は、「烏龍」茶のような中間型の茶を製造するのに使用され得る。
【0003】ブラック・リーフ・ティーの温水性浸出物が製造される場合、浸出物は、冷水に不溶な物質を含み、したがって、その物質は、浸出物が冷たくなるにつれて析出する傾向にあることを見出した。これらの冷水に不溶な物質は、タンニン複合体(ティー「クリーム」として周知)を含み、及び、典型的には、浸出物中の茶固体全体の15乃至35%で含む。
【0004】ブラック・リーフ・ティー浸出物は、「即席」茶、及び、好ましくは冷水に可溶な他の製品を製造するために使用され得る。この理由のために、不溶なティー・クリームを「脱クリームされた」画分(この語は、冷水に不溶なクリームの除去後の冷水に可溶な物質を意味する)から分離することが周知である。これは、典型的には、冷却された(3乃至10℃)抽出物を遠心分離することにより行われる。不溶なクリーム画分は、浸出物中の茶固体のかなりの部分である。したがって、クリーム画分(望ましいフレーバー成分を含む)を無駄にするのを防ぐために、クリーム画分を多くの方法で処理することが周知であり、冷水に可溶にさせ、次に、可溶化されたクリームを脱クリームされた画分と再度組合わせる。茶浸出物のクリーム画分の種々の処理方法は、例えば、英国特許第1,311,255号、英国特許第1,461,726号、米国特許第3,787,590号、米国特許第4,156,024号、及び米国特許第5,827,560号に記載されている。
【0005】これに対し、クリーム及び脱クリーム画分の前分離をしない、茶抽出物全体についての処理はあまり知られていない。茶浸出物全体は、分離されたクリーム部分と比べて、化学的組成に関して実質的に異なる。
【0006】米国特許第4,680,193号明細書(ネスレ(Nestle))は、冷水に不溶な物質を含むブラック・ティー浸出液全体をカテキンと混合し、不溶性物質を可溶化させる方法を開示している。
【0007】欧州特許第0,067,351号明細書(ネスレ)は、粉末状の茶抽出物の製造方法を記載している。この方法は、ブラック・ティーの葉の二つの水性抽出物、すなわち、雰囲気温度下でカルボン酸及び/又はその塩を使用して抽出する一番目の抽出物、及び上昇された温度で水を使用する二番目の抽出物を製造することを含む。両方の抽出は、大気圧下で行われる。
【0008】しかし、上記の先行技術に比較して、本発明は、pHの修正又は触媒の添加をすることなく、単に高圧での加工及び最適な酸素移動速度を組合せることにより、茶固体全体の酸化を成し遂げる。
【0009】これは、pH修正物質及び触媒の除去が不完全だと汚染を引き起こすので重要である。
【0010】本発明の目的は、ブラック・ティー浸出物全体から冷水に可溶なブラック・ティー製品を製造するための方法を提供する。
【0011】
【発明の要約】第一に、本発明は、広い意味で冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を製造する方法に関しているということができ、この方法は、(a)抽出液体を使用し、ブラック・ティーの葉から茶の固体を抽出し、茶抽出物全体を提供し、(b)前記茶抽出物全体を過圧下及び60℃より高い温度で酸化し、冷水に可溶なリカー(liquor)を提供し、(c)前記冷水に可溶なリカーを冷却して、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、及び(d)前記残存する冷水に不溶な物質を、前記冷水に可溶なリカーから分離し、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を提供する工程を含む。
【0012】第二に、本発明は、広い意味で冷水に可溶なブラック・ティー粉末を製造する方法に関しているということができ、(a)抽出液体を使用してブラック・ティーの葉から茶固体を抽出し、茶抽出物全体を提供し、(b)前記葉抽出物全体を過圧下及び60℃より高い温度で酸化し、冷水に可溶なリカーを提供し、(c)前記冷水に可溶であるリカーを冷却して、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、(d)前記残存する冷水に不溶な物質を、前記冷水に可溶なリカーから分離し、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を提供し、及び(e)冷水に可溶性のあるブラック・ティー抽出物を乾燥させ、冷水に可溶性であるブラック・ティー粉末を形成する工程を含む。
【0013】好ましくは、酸素移動速度は8乃至50時−1の間、より好ましくは15乃至35時−1の間である。酸素は、空気の一成分として供給され得る。
【0014】これらの茶粉末から製造された飲料は、良好な透明性及び香りのよい香り及び色を有している。
【0015】本発明の目的に鑑み、「茶」は、カメリア・シネンシス・ヴァル・シネンシス(Camellia sinensis var. sinensis)又はカメリア・シネンシス・ヴァル・アッサミカ(Camellia sinensis var. assamica)由来の葉物質を意味する。「茶」は、又、これらの茶の二つ以上をブレンドした製品をも含む。
【0016】疑問を避けるために、「含む(comprising)」という語は、包含することを意味し、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成する(composed of)」を意味しない。言い換えると、列記された工程又は任意の工程以外の工程を含んではならないわけではない。
【0017】実施例及び比較例を除いて、また、他に明示しないかぎり、物質の量又は濃度を示す本明細書中の数値は全て、「約」という語で修飾されているものと理解されたい。
〔発明の詳細な説明〕本発明は、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物又は粉末を製造する方法に関する。本発明の方法は、抽出液体を使用してブラック・ティーの葉から茶固体を抽出し、茶抽出物全体を提供し、不溶なクリーム画分のみ又は可溶な脱クリーム画分のみとは異なり、この茶抽出物全体を過圧及び60℃より高い温度で酸化させる。これは、冷水に可溶なリカーをもたらす。さらに、本発明の方法の工程は、冷水に可溶なリカーを冷却し、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、及び残存する冷水に不溶な物質を冷水に可溶なリカーから分離し、冷水に可溶なブラック・ティー抽出物を付与することを含む。
【0018】本発明者らは、温度及び圧力は、蒸留水が、その温度及び圧力において1リットル当り少なくとも0.5gの酸素を溶解させる最大能力を平衡状態で有することが好ましいことを見出した。また、触媒又はpHの修正工程の非存在下で、茶固体が酸化されるような酸素移動速度が好ましい。
【0019】上記の温度においては、冷水に不溶な茶固体は、一般に溶解可能であり、そのため、本発明の方法をブラック・ティーの葉から調製した水性抽出物に適用すると、水性混合物が実質的に溶液となることが、当業者により評価されている。水性混合物は、容易に水性ブラック・ティー抽出物全体となり、冷水に可溶な茶物質及び不溶な混合物を含有する。
【0020】与えられた温度及び圧力条件下での蒸留水中の溶解酸素の得られ得る最大濃度は、標準的なテキストを参照することにより容易に決定できる。したがって、Perry’s Chemical Engineering HandbookPerry & Green 1984、第6版、3103頁、McGraw Hillは、上昇した圧力の下、100℃までの温度における水中への酸素の最大溶解性の値を示す。100℃を超える温度については、Prayらの文献(1952年、Industrial and Engineering Chemistry 44、1146乃至1151頁)を参照されたい。冷水に不溶な茶固体を含む水性混合物(本発明の方法の対象である)中で同じ条件の下において平衡状態で得られる最大の溶解酸素濃度は、蒸留水中に得られるこれらの値といくらか異なり得る。特に、水相における、水分子による水和にあたり酸素分子と競合する他の溶質の存在は、水相中の酸素の溶解性を減少させる傾向がある。しかし、これは該当条件下での酸素の溶解性の大幅な減少を引き起こすことはあまりない。水相混合物中に溶解した酸素の実際の濃度は、本方法の条件下では容易には決定できない。酸素濃度を決定する標準的な方法(例えば、酸素電極の使用による)は、実施できない。
【0021】上記に定義した方法で使用される条件は、先行技術において従来使用されていたものよりもより極端であり、水性混合物の溶解酸素濃度の得られ得る最大値が今までよりもはるかに大きくなる。一般に、同じことを達成するためのエネルギーコストのために、このような条件を避けることが望ましい。
【0022】しかし、本発明者らは、ブラック・ティー抽出物に適用するとき、このような加工は、混合物中に存在する冷水に不溶な物質をたいてい溶解させ、混合物の色に関する高度に望ましい効果、すなわち、従来の方法で一般に達成されるよりも、より暗色(すなわち、より明るくない)であり、より高度に赤い色になるという効果を有することを見出した。
【0023】好ましい酸化体は、酸素である。高分圧の酸素を使用すると、水性混合物の最大酸素溶解能力を増大させる。好ましい条件は、0.5乃至5g/l、より好ましくは0.5乃至1.5g/l、及び最も好ましくは0.7乃至1.0g/lの範囲において平衡状態である(蒸留水中)最大酸素溶解能力を生み出すような条件である。
【0024】好ましくは、この条件は、水性混合物中の溶解酸素の実際の濃度が、選択された条件下での平衡状態で得られる最大値に到達するように調整される(例えば、酸素の高分圧を使用することにより、及び攪拌の使用により)。しかし、系が平衡に到達しないことは生じ得ることであり(例えば、溶解酸素が酸化反応で消費されるため)、そのため水性混合物中の溶解酸素の平衡状態の濃度の得られ得る最大値に到達しないことがある。
【0025】当業者は、水性混合物に同等の酸素溶解性を付与するために、他の酸素含有又は酸素生成物質を使用し得ることを認識するであろう。例えば、より高い空気分圧又は酸素濃縮された空気を使用し得、また(これよりは好ましくないが)、過酸化水素の水溶液を添加し得る。代わりに、オゾン、又は他の酸化ガスも、少なくとも0.5g/1lの最大酸素溶解性により生じるのと同等の水性混合物中での「酸化力」を付与するために使用することができる。
【0026】上記から明らかなように、及び当業者が認識するように、閉鎖反応系で上昇する温度は、圧力を増加させ、そのため水性混合物中の酸素溶解量は増加する傾向にある。特定の環境下では、「開放」系を使用することが望ましく、これにより、所定の流量で反応器を通過させながら、気体の酸化剤の濃度を一定に保つことができる。代わりに、酸化剤は、パルスで導入することも有利である。
【0027】反応は、バッチ方式で行うことができ(反応容器は、例えば、攪拌されたタンクである)、また、連続方式でもあり得る(例えば、攪拌されたタンク又はパイプのような導管で行われる)。
【0028】本発明の方法は、0.3乃至20.0%(w/v)の範囲の冷水に不溶な茶固体の懸濁物を含む水性混合物で行うことができる。簡便には、3乃至10%(w/v)の範囲の濃度を選択することができる。
【0029】冷水に不溶なブラック・ティー固体の加工に関し、以下の例では、茶固体の3%(w/v)の懸濁物を脱イオン水中に調製し、水性茶抽出物から調製した乾燥凍結された粉末から開始した。この調整は、実験条件の最適な再現を可能にし、簡素化という利点も有した。実際、産業規模では、本発明の方法で、初期の凍結乾燥工程を経ずに、使用される水性混合物は、水性茶抽出物であると考えられる。水性抽出物は、本発明の方法により加工される前に容易に濃縮され得る。
【0030】水性ブラック・ティー抽出物は、本来酸性であり、典型的には、4.0乃至5.0の範囲のpHを有する。従来の方法では、冷水に不溶な物質の効率的な溶解(高圧を使用しないで行われる)には、触媒を添加し及び/又は水酸化ナトリウムのような強酸を添加してpHを8乃至11に増大させ、冷水に不溶な物質を酸化させる必要がある。酸化が進むにつれpHが下がる。しかし、pHの落下は混合物を本来のpHの範囲に戻すのにはたいてい不十分であり、より自然な製品を得るために、酸化工程の後に酸を添加することが要求される。
【0031】本発明者らは、高圧及び高温で酸化剤を使用すると、従来の方法で一般に使用するよりも低いpHで望ましい程度の溶解を生じ、アルカリ条件を到達させるために強塩基を添加する要求を避けることができる。例えば、ブラック・ティーの冷水に不溶な成分の可溶化は、pH5.0乃至7.0、より好ましくは5.5乃至6.5を使用して到達することができる。この穏やかに増加したpHは、クエン酸ナトリウムのような弱酸塩を水性混合物へ添加することにより十分に到達することができる。また、冷水に不溶な物質の酸化/溶解の間にpHは下がるので、水性溶液の最終的なpHは天然の物質のpHに非常に近く、本来の酸性の物質を付与する。
【0032】所望であれば、上記に定義した範囲の中より低い圧力及び温度を選択し、これに、相応してよりアルカリ性のpHを選択することにより、溶解性の効果を損じないことができる。穏やかなアルカリ性のpH(例えばpH8.0)は、水酸化ナトリウムのような強塩基を水性混合物へ添加することにより到達することができる。逆に、より高い圧力及び温度は、本来のpHで使用することができる。理論的な最大圧力は存在しないが、実際の制約(反応容器の強度など)を考慮しなければならないことは明らかである。
【0033】本発明の方法が行われる好ましい温度は、物質によってわずかに変動する。ブラック・ティー固体を加工するのに好ましい温度は、100℃より高く、好ましくは100℃乃至140℃、より好ましくは110℃乃至120℃である。好ましい酸素分圧は0.5乃至2.0MPaである。
【0034】反応を完了させるのにかかる時間は、もちろん、或る程度は、使用する反応条件及び要求される溶解化の程度による。一般に、より極度の条件(より高い温度/圧力)を用いるとより迅速に工程を終了させることができる。典型的には、反応は、10分乃至1時間、より通常では10乃至30分かけて行われる。反応時間は、他の酸化剤(例えば、オゾン、過酸化水素)を、一度に又は増進的に水性混合物に組込むことにより短縮することができる。
【0035】所望であれば、残存する冷水に不溶な物質は本発明の方法の最後で除去することができる。典型的には、これは、混合物を冷却し、冷水に不溶な物質を析出させ、続いて遠心することにより行うことができる(この工程は「ポリッシング」として一般に周知である)。最終的に、得られる溶液は、任意に濃縮及び乾燥され、典型的には噴霧乾燥又は凍結乾燥し、冷水に可溶な即席茶粉末を与える。このような粉末は、容易に飲むことができる茶製品を得るのに使用することができる。
【0036】好ましい態様を含む本発明について、以下の実施例を参照して説明する。
【0037】
【実施例】実施例1ブラック・ティー抽出物からの冷水に可溶な茶抽出物の製造茶抽出物を以下の方法でブラック・ティーから調製した。葉に対する水の比10:1で、脱イオン水及びブラック・ティーを7段向流連続抽出器で接触させ、ここにおいて、ブラック・ティーは約10分の滞留時間を有し、脱イオン水は約15分の滞留時間を有した。抽出は85℃で行われた。(脱イオン水で抽出された茶固体をここに茶固体の浸出物という。)次に、浸出物を凍結乾燥して粉末を得た。
【0038】上記のように調製され凍結乾燥された粉末を使用して、3%(w/v)の抽出された茶固体を含有する溶液を脱イオン水中に調製した。高圧下で安全に操作することができ、所望の温度を維持することができる、PARR(商標)ベンチトップ(卓上型)ミニ反応器型番号4562に溶液を添加した。茶固体の溶液のpHを、所望に応じて、クエン酸ナトリウム二水和物を使用して修正し、pH6.0に到達させ、又は水酸化ナトリウムでpH8.0に到達させた。次に、茶固体の溶液をPARR(商標)反応器へ移し、反応器を密閉して容器を酸素で1.9乃至2.2MPaゲージの間に加圧した。次に、電気加熱マントルを使用して容器を70℃乃至120℃の間の要求される温度へ加熱した。加熱の結果、反応温度において、反応器内の酸素分圧は2.1乃至2.7MPaゲージの間に増大した。これは、蒸留水中少なくとも0.5g/lで平衡状態の最大酸素溶解性を付与する。反応を15乃至30分間進行させた後、反応器を80℃から90℃へ冷却し、反応器内の圧力を解放し、茶固体溶液を回収した。
【0039】次に、処理したサンプルを5℃へ冷却し、残存する冷水に不溶な物質を析出させるのに適する時間その温度を維持し、次に、不溶物質を遠心分離により冷水に可溶な物質から分離した。次に、得られた上清相を乾燥させ、水に即時に溶解する粉末にした。この粉末は、特に酸性のpHを有する飲料に使用する即席茶粉末に望ましい器官感覚受容特性を有することがわかった。水相混合物中に存在する冷水に不溶な物質の量は、最適の条件下で、85%まで減少させることができる。
【0040】遠心分離工程の上清の色の評価は、光源C、2°観測装置、1cmの透過長さの透過セルを使用してミノルタ(MINOLTA)CT−310(商標)装置を使用して行われ、結果は、CIE1976Lb色の空間(国際標準機関(ISO)標準7724−1、7724−2及び7724−3を参照のこと)に基づく。色の分析のための全てのサンプルは、pH3.7で測定され、固体濃度は、0.32%(w/v)であった。以下に、三つの異なるpHで行われた反応の結果を、表1、2、及び3に示す。
【0041】表1:本来のpHにおける増大された最大酸素溶解性の存在又は非存在下での3%(w/v)固体のブラック・ティー浸出物の加熱の、pH3.7及び0.32%(w/v)で測定された色の特性に対する影響【表1】

【0042】表2:pH6.0における増大された最大酸素溶解性の存在又は非存在下での3%(w/v)固体のブラック・ティー浸出物の加熱の、pH3.7及び0.32%(w/v)で測定された色の特性に対する影響【表2】

加熱前の茶浸出物のpHを修正するためにクエン酸ナトリウムの二水和物を使用した。
【0043】表3:pH8.0における増大された最大酸素溶解性の存在又は非存在下での3%(w/v)固体のブラック・ティー浸出物の加熱の、pH3.7及び0.32%(w/v)で測定された色の特性に対する影響【表3】

加熱前の茶浸出物のpHを修正するためにクエン酸ナトリウムの二水和物を使用した。
【0044】 表1乃至3は、ペリーの化学工学ハンドブックのデータに基づく理論的な決定による。OFNは、加熱前に容器の加熱空間から空気を排出するために、酸素を含まない窒素を使用したケースを表す。これらのケースの場合は、加熱の前に容器を加圧しなかった。
【0045】当業者であれば、与えられた系で使用された絶対圧は、使用する気体の酸化剤の酸化力に依存することを認識することができる。酸化剤が酸素源として使用される場合、これは、気体中の酸素分圧に依存する。例えば、本明細書に説明される系中の0.7g/lの最大酸素溶解性を達するために、70℃乃至100℃の範囲の温度で1.9乃至2.1MPaゲージの分圧の酸素ガスを要求し、これに対し、空気の使用を使用すると、9.5乃至10.5MPaゲージの分圧を要求する。
【0046】実施例2未発酵のドール(dhool)からの冷水に可溶な茶抽出物の製造ケニアの苗の茶から未発酵のドールの上清(5.0%、w/w茶固体)の懸濁物を、圧縮された空気を使用して、25℃の攪拌された容器中で75分間発酵させた。75分後、茶葉スラリーをろ過して、粗い葉固体を除去し、葉を除去したスラリーを圧力容器中に密閉した。最終圧力が320lb/in(2.2MPa)ゲージとなるように酸素を注入した。次にリカーを圧力容器中で120℃へ加熱し、400p.s.i(2.7MPa)ゲージの圧力を加え、この温度及び圧力で30分間維持した。リカーを4℃へ冷却し、残存する冷水に不溶な物質を析出させ、11,500×gで20分間遠心分離し、析出物を除去し、リカー中の冷水に可溶な固体の濃度及び色を測定した。リカーの色は、ミノルタCT310(商標)測定器を使用して、三刺激値(CIE Lab1976 色空間)として測定した。分析用サンプルは、pH3.7及び0.32%(w/v)固体へ調整された。
【0047】同様の実験が、上記のように実施されたが、加熱の前に加圧された酸素はリカーへ注入されなかった。処理されたサンプルの色の暗色化は、以下の表4に未処理対照と比較して示されている。
【0048】酸素添加しない熱処理は、リカーの暗色化及び三刺激黄色成分(b)の減少を引き起こした。しかし、添加酸素の存在の下では、リカーの光度の減少及び赤味の増加は予想以上に大きかった。
【0049】表4:酸化及び非酸化ブラック・ティー・サンプルの色の比較【表4】

値は、pH3.7及び0.32%(w/v)固体へ調整された溶液で測定された。
【0050】実験は、実質的に上記の通りに繰り返されたが、125℃の温度を使用した。サンプルは、比較的低い(0・7Mpaゲージ)又は非常に高い(2.5MPaゲージ)の酸素分圧に、10又は30分間さらされた。得られるサンプルの色の特徴は、上記の通りに分析された。結果を以下の表5に示す。
【0051】表5:酸化及び非酸化ブラック・ティー・サンプルの色の比較【表5】

【0052】対照サンプル及び加熱されたサンプルの表4の値に比べ、穏やかに増加された酸素分圧(0.7MPa)で30分間125℃での処理は、a値の著しい増大及びb*値の著しい減少を生じ、このため、これらの色の特徴での変化は、表4の加熱酸化されたサンプルで観察されるものと非常に類似する。しかし、サンプルの光度(L)はこのように大きくは減少しなかった。
【0053】125℃における2.5MPaの酸素分圧での10分間だけの処理は、表4の加熱及び酸化されたサンプルで見受けられるものと同様の変化を三つの色の特性全てに与えた。したがって、温度を上昇すると、反応時間を短縮すると認識され、これは、一般に当業者が予期することである。しかし、これらの条件下でより長い時間(30分間)処理すると、a値のさらなる(比較的)小さい増大及びL及びb値の顕著な減少を起こす。
【0054】実施例3冷水に可溶な茶粉末の製造冷水に可溶な茶粉末の好ましい製造方法は、凍結乾燥された抽出物に由来する6%(w/v)以下の濃度の破砕され混合された精選物(BMF)の抽出物を調製し、茶固体の上清を空気で5.4MPaまで加圧し、加圧された上清を120℃でやさしく攪拌しながら加熱し、その結果圧力を6.8MPaまで上昇させ、攪拌速度を所望の酸素移動係数に達するまで増加し、そしてこれらの状態を20乃至60分間維持することを含む。この時間の後、系を冷却し、茶固体を回収する。この方法は、不溶物のさらなる遠心分離を必要としない程度まで、通常存在する不溶物を可溶化し、したがって、本発明の方法の収量は極めて高く、典型的には95乃至98%の範囲に達する。この方法で調製された粉末は、冷水に可溶であり、特徴的な茶の外観を有する、透明で、明るい溶液を付与し、茶抽出物に匹敵する灰分を有する。この方法は、pHの修正をしても同様に効果的であるが、所望の効果を到達するのに必ずしも必要ではない。
【0055】所望の程度の溶解性を得ながら、良好な色を生成するために、酸素移動速度の臨界的な範囲を定める必要がある。好ましい範囲は、8乃至50時−1、より好ましくは15乃至35時−1である。
【0056】実験条件の範囲を使用して本発明の方法で製造された粉末の色の特徴は、以下の表6に示される。
【0057】表6:0.32%の固体及びpH3.7でハンター・ウルトラスキャン(HUNTER ULTRASCAN)IIにより測定された、本発明の方法により製造された粉末の色【表6】

【0058】本発明の方法により製造された茶粉末から製造された飲料は、良好な透明度、色、フレーバー及び酸安定を有することが見出された。
【出願人】 【識別番号】590003065
【氏名又は名称】ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
【出願日】 平成12年2月15日(2000.2.15)
【代理人】 【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造 (外3名)
【公開番号】 特開2000−232847(P2000−232847A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願2000−36985(P2000−36985)