| 【発明の名称】 |
甲殻類用黒変防止組成物と甲殻類用黒変防止剤と黒変防止処理済食用甲殻類 |
| 【発明者】 |
【氏名】栃澤 馨
【氏名】竹島 秀明
【氏名】浜田 勉
【氏名】水野 拓也
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 魚類白子より抽出した水溶性抽出物を含有することを特徴とする甲殻類用黒変防止組成物。 【請求項2】 甲殻類用黒変防止組成物を乾燥して、粉末状もしくはフレーク状にしたことを特徴とする請求項1に記載する甲殻類用黒変防止組成物。 【請求項3】 魚類白子より抽出した水溶性抽出物を含有する甲殻類用黒変防止組成物に、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうち少なくとも一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを混合したことを特徴とする甲殻類用黒変防止剤。 【請求項4】 甲殻類用黒変防止組成物に、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうち少なくとも一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを混合したものを乾燥して、粉末状もしくはフレーク状にしたことを特徴とする請求項2に記載する甲殻類用黒変防止剤。 【請求項5】 エビ類、カニ類等の食用甲殻類の表面に、魚類白子より抽出した水溶性抽出物の含有する甲殻類用黒変防止組成物を付着したことを特徴とする黒変防止処理済食用甲殻類。 【請求項6】 エビ類、カニ類等の食用甲殻類の表面に、甲殻類用黒変防止組成物に、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうち少なくとも一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを混合したことを特徴とする甲殻類用黒変防止剤を付着したことを特徴とする黒変防止処理済食用甲殻類。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、エビ、カニ等の甲殻類の冷蔵保存時、並びに凍結・解凍後の保存時に起こるチロシナーゼを原因とした黒変現象を抑制する為に、安全で且つ黒変防止能に優れた魚類白子より抽出した水溶性抽出物を含有することを特徴とする甲殻類用黒変防止組成物と、それを含む甲殻類用黒変防止剤と、それらを用いた甲殻類の黒変防止法と、それらを用いて黒変防止処理をした食用甲殻類に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エビ、カニ等の甲殻類を冷蔵、凍結保存または凍結解凍すると黒変が発生し、最終的には全体が黒く変色し、商品価値が著しく低下するという技術的課題があった。この原因は、エビ、カニ中に内在するチロシンがチロシナーゼによってデオキシフェニルアラニン(ドーパ)、ドーパキノン、ドーパクロムへと変化していき最終的に黒色の色素であるメラニンを生成する為であった。 【0003】これに対して、従来の甲殻類用の黒変防止剤は、主として還元剤である亜硫酸塩、アスコルビン酸塩およびエリソルビン酸塩、またはチロシナーゼの拮抗阻害剤であるコウジ酸等が用いられてきた。これら亜硫酸塩、アスコルビン酸塩およびエリソルビン酸塩等の物質は、還元剤としてチロシナーゼによる反応を還元することで黒変を抑制するように働くものである。一方、コウジ酸はチロシナーゼの阻害剤であり、これはチロシナーゼの活性部位にコウジ酸が入ることで反応の阻害(拮抗阻害)をし、これによって黒変を防止するものである。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、亜硫酸塩製剤は製品中にSO2 が残存することから食品衛生法に基準(エビ、カニは、100ppm以下)が設けられており、浸漬液を調製する際に亜硫酸ガスが生ずる恐れがある等、安全性に問題が残っている。また、アスコルビン酸塩、エリソルビン酸塩は、安全性に問題はないものの、自らが酸化されると還元効力を示さなくなるため、効力の持続性が短いという欠点があった。同じ還元剤である亜硫酸塩製剤にも同様のことが言える。また、コウジ酸はこれらの製剤に代わる強い効力を持つ黒変防止剤として使用されてきたが、甲状腺腫瘍のプロモーターの疑いがある為、黒変防止剤としての製造、販売は停止するに至っている。 【0005】そこで発明者らは、従来技術の問題点、即ち安全性、黒変防止作用の持続性の向上を目的として鋭意研究を行った結果、魚類白子の水抽出画分に甲殻類の黒変を遅延させる効果があることを見出した。更にこの白子抽出物にアスコルビン酸もしくはエリソルビン酸と、更に有機酸を混合することによって長期間に渡って黒変防止効果が発現することを見出した。 【0006】本発明に係る黒変防止効果のある魚類白子抽出物には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ポリアミン等の複数の物質が含まれている。特に、白子中にポリアミン類のスペルミン、スペルミジン、プトレスシン等が多く含まれており、それらの物質が抗酸化能があることは一般的に知られているが、発明者らが行った試験によると、それらの物質にはチロシナーゼ反応の阻害効果は見られなかった。また、白子抽出物の他の成分では、アミノ酸のシステイン、ペプチドのグルタチオン等は、チロシナーゼ阻害物質として公知であるが、当該白子の水溶性抽出物中のシステイン、グルタチオン含有量はほんの僅かであり、上記の物質を白子中に含有する量を添加しても、またそれらを混合して添加しても、強力で持続性のある黒変防止効果は得られなかった為、未知の新規な物質もしくは公知物質の未知なる相乗効果が発揮されていると考えられる。 【0007】また、魚類白子抽出物に黒変防止相乗剤として、アスコルビン酸、エリソルビン酸、有機酸を添加することにより、チロシナーゼによる反応物を還元し、黒変防止能を失った成分を別の成分で還元することにより、再び効果を発揮させることが出来るので、黒変防止効果の持続性を高めることに成功した。 【0008】更に、白子には抗菌成分として保存料等に用いられているプロタミン、栄養補助食品として用いられているDNAを多く含んでおり、本発明における黒変防止成分抽出過程に生ずる残渣からこれらの有効成分を得ることも可能であるため、未利用資源としての白子の更なる有効利用にも貢献しうるものである。 【0009】本発明者は、上記のような技術的知見に基づいて、魚類白子抽出物が甲殻類用黒変防止組成物になること、当該魚類白子抽出物に前記のような黒変防止相乗剤を混合すると持続性のある黒変防止効果を有する甲殻類用黒変防止剤となること、エビ類、カニ類等の食用甲殻類の表面に当該甲殻類用黒変防止組成物を含む水溶液を付着することにより黒変防止処理済の食用甲殻類となることを見出し、発明として提供した。 【0010】本発明は、従来の生鮮および冷凍甲殻類の保存時に起こるチロシナーゼを原因とした黒変現象を抑制するために用いられてきた亜硫酸塩やコウジ酸に代わって、安全で且つ黒変防止能に優れた魚類白子抽出物およびその混合製剤、更には黒変防止処理済の食用甲殻類を具現化せんとするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第1発明は、魚類白子より抽出した水溶性抽出物を含有することを特徴とする甲殻類用黒変防止組成物である。 【0012】当該第1発明の特徴は、魚類白子より抽出した水溶性画分にエビ類、カニ類等の食用甲殻類のチロシナーゼを原因とした黒変現象を抑制する効果があるあるとの新しい知見を見出し、この知見に基づき魚類白子より抽出した水溶性抽出物を甲殻類用黒変防止組成物として用いた点にある。 【0013】特許を受けようとする第2発明は、甲殻類用黒変防止組成物を乾燥して、粉末状もしくはフレーク状にしたことを特徴とする第1発明に記載する甲殻類用黒変防止組成物である。 【0014】特許を受けようとする第3発明は、魚類白子より抽出した水溶性抽出物を含有する甲殻類用黒変防止組成物に、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうち少なくとも一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを混合したことを特徴とする甲殻類用黒変防止剤である。 【0015】当該第3発明の特徴は、第1発明の甲殻類用黒変防止組成物に相乗剤として、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうちの一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを混合することによって長期間に渡って黒変防止効果が発現するようにした点にある。 【0016】特許を受けようとする第4発明は、甲殻類用黒変防止組成物に、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうち少なくとも一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを、乾燥して、粉末状もしくはフレーク状にしたことを特徴とする第3発明に記載する甲殻類用黒変防止剤である。 【0017】特許を受けようとする第5発明は、エビ類、カニ類等の食用甲殻類の表面に、魚類白子より抽出した水溶性抽出物の含有する甲殻類用黒変防止組成物を付着したことを特徴とする黒変防止処理済食用甲殻類である。 【0018】当該第5発明において、エビ類、カニ類等の食用甲殻類の表面に甲殻類用黒変防止組成物を付着する具体的方法としては、食用甲殻類を甲殻類用黒変防止組成物を含む水溶液に浸漬したり、同水溶液を塗布したり、噴霧するなどの方法により付着せしめるようにする。 【0019】特許を受けようとする第6発明は、エビ類、カニ類等の食用甲殻類の表面に、甲殻類用黒変防止組成物に、アスコルビン酸、その塩、エリソルビン酸またはその塩のうち少なくとも一つと、有機酸と、必要に応じてリン酸塩とを混合したことを特徴とする甲殻類用黒変防止剤を含む水溶液を付着したことを特徴とする黒変防止処理済食用甲殻類である。 【0020】 【実施例】実施例1. <甲殻類用黒変防止組成物の抽出>サケ精巣1kgをホモジナイズした後、水200mlを加えて混合し、温度が90℃となるまで加熱し、3000×gで15分間遠心分離して沈殿を除去した後、凍結乾燥させ、淡黄色フレーク状のサケ精巣由来の甲殻類黒変防止組成物を得た。回収量は30gであった。 【0021】<甲殻類用黒変防止剤の調製>甲殻類用黒変防止剤は、表1に示したように甲殻類黒変防止組成物を主体としてこれに相乗剤を配合して混合液を調製した後、噴霧乾燥を行い、粉末状の甲殻類用黒変防止製剤A〜Gを得た。 【0022】 【表1】
【0023】<マッシュルーム由来チロシナーゼ阻害試験>得られた甲殻類黒変防止剤A〜Gを、1重量パーセント添加した10%ジメチルスルホキシド溶液1.8mlに、0.5規定リン酸−クエン酸緩衝液(pH6.8)2ml、0.3mg/mlチロシン水溶液2mlを加え、混合したものを30℃の湯浴中で10分間保持した。これに濃度を480units/mlとなるように調製したマッシュルーム由来チロシナーゼ(シグマ社製)水溶液を0.1ml添加し、混合した後に30℃で15分間反応させた。反応は1Mアジ化ナトリウム0.1mlで停止させ、反応によって生成するドーパクロム量を波長475nmにおける吸光度を測定した。対照として甲殻類黒変防止剤未処理群、0.3%コウジ酸添加群、0.3%アスコルビン酸及びエリソルビン酸添加群、0.5%ピロ亜硫酸ナトリウム添加群、1%クエン酸1水和物添加群についても検討を行った。 【0024】その結果は、表2の通り、甲殻類黒変防止剤A〜Gにはチロシナーゼ阻害効果が示された。特に、各種相乗剤を添加した製剤B〜Gは他の阻害剤と同様に強いチロシナーゼ阻害効果が認められた。 【0025】 【表2】
【0026】実施例2. <エビ由来チロシナーゼ阻害試験>得られた甲殻類黒変防止剤A〜Gを、1重量パーセント添加した10%ジメチルスルホキシド溶液1.8mlに、0.5規定リン酸−クエン酸緩衝液(pH6.8)2ml、0.3mg/mlチロシン水溶液2mlを加え、混合したものを5℃で1時間保持した。これにエビ頭部に等量の0.05Mカリウム−リン酸緩衝液(pH7.2)を加えてホモジナイズ、10000×gで遠心分離した上清(エビ由来粗酵素)0.1mlを添加、混合して5℃で1週間保存し、実施例1と同様、475nmの吸光度を測定した。対照として甲殻類黒変防止剤未処理群、0.3%コウジ酸添加群、0.3%アスコルビン酸及びエリソルビン酸添加群、0.5%ピロ亜硫酸ナトリウム添加群、1%クエン酸1水和物添加群についても検討を行った。 【0027】その結果は表3に示す通り、甲殻類黒変防止剤A〜Gは、エビ由来チロシナーゼに対しても強い阻害を示すことが明らかとなった。また、各種相乗剤を添加した製剤は、更に強い阻害効果が認められた。 【0028】 【表3】
【0029】実施例3.実施例1で調製して得られた甲殻類黒変防止剤A〜Gを生理食塩水(0.88%)に2重量%となるように溶解したものに、生きクルマエビを5分間浸漬したのち、ざるで水切りし、−40℃で急速凍結した。これを5℃で解凍し、経時変化を観察した。対照として黒変防止剤未処理群、0.5%コウジ酸処理群、0.3%アスコルビン酸及びエリソルビン酸群、0.5%ピロ亜硫酸ナトリウム添加群についても検討を行った。 【0030】表4は解凍開始から4日間経過後の評点であるが、甲殻類黒変防止剤A〜Gは、かなり色調を保持していることが観察され、実際の黒変防止剤としての有効性が認められた。 【0031】 【表4】
【0032】 【発明の効果】本発明により、魚類白子からの水溶性抽出物を有効成分とした甲殻類黒変防止組成物や甲殻類黒変防止剤を提供することができることとなった。当該甲殻類黒変防止組成物は魚類生殖巣を蒸煮、遠心分離して得られる。また、当該甲殻類黒変防止組成物に相乗剤としてアスコルビン酸やエリソルビン酸及び有機酸を添加することでさらに黒変防止効果を高めた甲殻類黒変防止剤を提供することが出来る。 【0033】本発明に係る甲殻類黒変防止組成物は魚類由来のアミノ酸、ペプチド、ポリアミンなどを多く含んでいる安全性の高い天然物由来の混合組成物であり、安全性に不安のない天然物由来の生鮮・冷凍甲殻類用の黒変防止剤である。つまり本発明は、健康面での問題が指摘されているコウジ酸製剤や亜硫酸塩製剤のように腫瘍形成の疑いや、使用基準が定められているといった安全性の不安のない天然物由来の生鮮・冷凍甲殻類用の黒変防止剤である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000233620 【氏名又は名称】株式会社ニチロ
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| 【出願日】 |
平成10年7月14日(1998.7.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100103698 【弁理士】 【氏名又は名称】大津 洋夫
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| 【公開番号】 |
特開2000−23615(P2000−23615A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月25日(2000.1.25) |
| 【出願番号】 |
特願平10−198319 |
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