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【発明の名称】 刺身千切り装置
【発明者】 【氏名】中村 弌大

【要約】 【課題】刺身を圧縮せずに切断する。

【解決手段】マナ板1上の刺身Sに対し複数の切断刃3が同時に当接しないように、これら切断刃3をその刃渡り方向へ順次ずらして配置することにより、スライダー2の移動に伴って刺身Sに各切断刃3が順次当接し、先行する切断刃3aが切断終了した後に次の切断刃3b,3c…が順番に切断し、切断中の刺身S1,S2…は、隣り合う切断刃3a,3b…の間に挟み込まれない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 刺身(S)が移動不能に載置されるマナ板(1)と、このマナ板(1)に沿って往復動自在に設けられたスライダー(2)と、このスライダー(2)のマナ板(1)と対向する面に並設された複数の平行な切断刃(3)とからなり、これらマナ板(1)とスライダー(2)との間に刺身(S)を挟み、マナ板(1)に沿ってスライダー(2)を切断刃(3)の刃渡り方向へ直線移動させることにより、刺身を細長い千切り状に切断する刺身千切り装置において、前記マナ板(1)上の刺身(S)に対し複数の切断刃(3)が同時に当接しないように、これら切断刃(3)をスライダー(2)の移動方向へ順次ずらして配置したことを特徴とする刺身千切り装置。
【請求項2】 前記切断刃(3)を夫々直線状に形成し、これらの切断刃(3)をマナ板(1)に対して傾斜させると共に、各切断刃(3)が刺身(S)を切断するのに必要な移動長さ(L)毎にずらして配置した請求項1記載の刺身千切り装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばイカそうめん等のように刺身を細長い千切り状に切断する刺身千切り装置に関する。詳しくは、刺身が移動不能に載置されるマナ板と、このマナ板に沿って往復動自在に設けられたスライダーと、このスライダーのマナ板と対向する面に並設された複数の平行な切断刃とからなり、これらマナ板とスライダーとの間に刺身を挟み、マナ板に沿ってスライダーを切断刃の刃渡り方向へ直線移動させることにより、刺身を細長い千切り状に切断する刺身千切り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の刺身千切りとして、例えば実開平2−111284号公報や実開平7−13186号公報のようなものがある。これらのものは、図5に示す如くスライダー2′の移動方向全長に亙って複数の切断刃3′を平行に並設し、マナ板1′に沿ってスライダー2′を直線移動させることにより、マナ板1′上の刺身Sに対し複数の切断刃3′が同時に当接して一度に切断される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし乍ら、このような従来の刺身千切り装置では、刺身に対して複数の切断刃が同時に当接するため、切断中の刺身が隣り合う切断刃の間に夫々挟み込まれて、各切断刃の厚さ分だけ両側より圧縮される。その結果、刺身の切断抵抗が著しく増大して、スライダーを強い力で押さなければ確実に移動できず、力がない女性や子供では刺身を容易に切断できないという問題がある。更に、切断された各刺身の細胞が圧縮により破壊されるから、刺身の味が低下するという問題もある。
【0004】本発明のうち請求項1記載の発明は、刺身を圧縮せずに切断することを目的としたものである。請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明の目的に加えて、切断刃の切れ味を良くすることを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、マナ板上の刺身に対し複数の切断刃が同時に当接しないように、これら切断刃をスライダーの移動方向へ順次ずらして配置したことを特徴とするものである。請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、前記切断刃を夫々直線状に形成し、これらの切断刃をマナ板に対して傾斜させると共に、各切断刃が刺身を切断するのに必要な移動長さ毎にずらして配置した構成を加えたことを特徴とする。
【0006】
【作用】請求項1の発明は、マナ板上の刺身に対し複数の切断刃が同時に当接しないように、これら切断刃をその刃渡り方向へ順次ずらして配置することにより、スライダーの移動に伴って刺身に各切断刃が順次当接し、先行する切断刃が切断終了した後に次の切断刃が順番に切断し、切断中の刺身は、隣り合う切断刃の間に挟み込まれないものである。請求項2の発明は、請求項1記載の構成に対して、前記切断刃を夫々直線状に形成し、これらの切断刃をマナ板に対して傾斜させると共に、各切断刃が刺身を切断するのに必要な移動長さ毎にずらして配置した構成を追加したので、傾斜した切断刃の移動により、刺身が上下方向へ順次当接して鋭利に切断される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。この実施例は、図1〜図4に示す如くマナ板1の上面1aにイカの刺身Sを載置させ、このマナ板1の長手方向へ往復動自在に支持したスライダー2には、複数の切断刃3を上記マナ板1に向けて並設すると共に、これらの上部を覆うようにカバー8を装着したものである。
【0008】上記マナ板1は、例えば木や合成樹脂等の従来周知材料で、その長手方向寸法を少なくとも通過し得る長さに形成され、その上面1aには、刺身Sを移動不能に保持するための滑り止め手段1bが設けられる。本実施例の場合には、図3及び図4に示す如く上記滑り止め手段1bが例えばマナ板1の上面1aに突設した多数のピンなどの突起であり、後述する切断刃3…の移動に邪魔とならないように該切断刃3…の移動経路から外れた位置に複数配置し、切断した刺身Sの回収の際に突起1b…が邪魔になる場合には、手動操作によってこれを出没動させる。
【0009】上記マナ板1には、スライド手段1cを介して後述するスライダー2が、該マナ板1の長手方向へ往復動自在に支持される。本実施例の場合には、図4に示す如く上記スライド手段1cが、マナ板1の上部に連設した一対の案内ガイド1d,1dと、これらに夫々摺動自在に係合するスライダー2の下部に連設した走行ガイド1e,1eとからなり、更に必要に応じてマナ板1とスライダー2を着脱可能にする。なお、このスライド手段1cは、上記案内ガイド1d,1d及び走行ガイド1e,1eに限定されず、マナ板1に対してスライダー2を往復動自在に支持できれば、図示以外の構造でも良い。
【0010】上記スライダー2の前記マナ板1と対向する面には、該スライダー2の移動方向と直交する左右横方向へ複数の切断刃3を平行に並設し、これらがマナ板1上の刺身Sに対し同時に当接しないように、該切断刃3をスライダー2の移動方向へ順次ずらして配置する。本実施例の場合には、図2に示す如く複数の切断刃3を夫々直線状に形成し、これらを前記マナ板1の刺身Sに対して鋭角に傾斜させると共に、図1に示す如く各切断刃3が刺身Sを切断するのに必要な移動長さL毎にずらして配置する。
【0011】詳しくは、各切断刃3が例えばステンレス等の錆難いの従来周知材料で薄板状に形成され、その相互間にスペーサー4…を挟んで左右横方向へ所定間隔毎に取り付け、これらスペーサー4…の幅寸法をサイズ変更することにより、隣り合う切断刃3の間隔、即ち切断後の刺身S…の幅寸法を調整可能にしている。
【0012】また、複数の切断刃3及びスペーサー4…と、これらを両側から挟持するホルダー5,5には、図3に示す如く穴3h…,4a…,5a,5aを左右横方向へ斜めに開穿し、これらにロッド6を貫通すると共に、その端部に螺着した固定ナット7を回転して締め付けることにより、これら切断刃3及びスペーサー4…をロッド6の軸方向へ圧縮して移動不能に保持するようになっている。
【0013】更に必要に応じて、図2に示す如く上記ロッド6が挿通する穴3h…を各切断刃3の上縁まで切り欠けば、切断刃3の着脱が容易になり、スペーサー4…に突設した凸部4b…が嵌合する凹部3i…を形成すれば、スペーサー4…に対して切断刃3を位置決めし易くなる。
【0014】そして、前記スライダー2には、各切断刃3の上部を覆うようにカバー8が装着され、このカバー8は、使用者が手で持ってスライダー2…を移動操作し易い形状に形成されている。
【0015】次に、斯かる刺身千切り装置の操作について説明する。先ず、使用者は、マナ板1の上面1aにイカの刺身Sを載置して、滑り止め手段1bにより移動不能に保持する。この状態で、使用者はカバー8を手で持ち、図1に示す如くスライダー2をスライド手段1cによりマナ板1の上面1aに沿って刺身Sへ向け直線移動すれば、スライダー2の移動方向先端に配置された先行する切断刃3aが、刺身Sの最も左右方向一端に位置する切り身部S1の後端に当接する。
【0016】この際、本実施例の場合には、直線状の各切断刃3を刺身Sに対して鋭角に傾斜させたため、その後の上記先行する切断刃3aの移動によって、最も左右一端に位置する切り身S1は上から下へ順次切断され、その下端を切断し終わった頃には、これに続いて次の切断刃3bが次の切り身S2の後端上側に当接し、切断を開始する。
【0017】それ以降は、上記切断刃3bの移動によって次の切り身S2を切断し終わる度に、後続する切断刃3c,3d…が次の切り身S3,S4…に順次当接して順番に切断して行く。
【0018】それにより、切断中の切り身S1,S2…は、隣り合う切断刃3a,3b…の間に挟み込まれず、その結果、各切断刃3a,3b…の厚さ分だけ両側から圧縮されない。従って、刺身Sの切断抵抗が小さくてスライダー2を弱い力でも押動できると共に、切断された各切り身S1,S2…の細胞が圧縮により破壊されないから刺身の味が低下しない。
【0019】更に本実施例では、鋭角に傾斜した切断刃3a,3b…の移動により、切り身S1,S2…の上側から下側へ順次当接して鋭利に切断されるから、切断刃3a,3b…の切れ味が良く、刺身Sの切断抵抗が更に小さくなってスライダー2を軽く押動できる。
【0020】そして、スライダー2が刺身S上を通過してマナ板1の長手方向他端まで移動すれば、刺身Sの切断が完了しする。その後、マナ板1上の切断された刺身Sを回収してからスライダー2を再びマナ板1の長手方向一端まで逆移動させれば、上述した操作を繰り返せる。
【0021】尚、前示実施例では、複数の切断刃3をこれらの相互間にスペーサー4…を挟んで配置し、ロッド6を貫通して取り付けたが、これに限定されず、これらの支持構造は所望位置に総ての切断刃3を所定間隔毎に平行に装着できれば、図示以外の構造でも良い。
【0022】更に各切断刃3も図示した直線状のものに限定されず、例えば切断刃3の切れ味が低下した場合には、側面に一定間隔毎に刻設された折り線に沿って破断可能にしたり、実開平7−13186号公報に開示されるような両端が円弧状に湾曲した切断刃をスライダー2に沿って傾斜させずに並設する等、図示以外の構造でも良い。
【0023】また前示実施例では、滑り止め手段1bがマナ板1の上面1aに突設したピンなどであったが、これに限定されず、刺身Sを移動不能に保持できれば、例えば実開平2−111284号公報に開示される如く、マナ板1に揺動自在に取り付けた押さえ蓋によりマナ板1の上面1aとの間に刺身Sを移動不能に挟み込み、この状態でスライダー2を直線移動することにより、複数の切断刃3が上記押さえ蓋に開設されたガイド溝を通って刺身Sが切断されるようにしても良い。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求項1記載の発明は、マナ板上の刺身に対し複数の切断刃が同時に当接しないように、これら切断刃をその刃渡り方向へ順次ずらして配置することにより、スライダーの移動に伴って刺身に各切断刃が順次当接し、先行する切断刃が切断終了した後に次の切断刃が順番に切断し、切断中の刺身は、隣り合う切断刃の間に挟み込まれないので、刺身を圧縮せずに切断できる。従って、刺身に対し複数の切断刃が同時に当接して切断中の刺身が隣り合う切断刃の間に挟み込まれる従来のものに比べ、切断中の刺身が各切断刃の厚さ分だけ両側から圧縮されないから、刺身の切断抵抗が小さくてスライダーを弱い力でも押動でき、力がない女性や子供では刺身を容易に切断できる。更に、切断された各刺身の細胞が圧縮により破壊されないから刺身の味が低下せず、刺身本来の味を維持できる。
【0025】請求項2の発明は、請求項1の発明の効果に加えて、傾斜した切断刃の移動により、刺身が上下方向へ順次当接して鋭利に切断されるので、切断刃の切れ味を良くできる従って、刺身の切断抵抗が更に小さくなってスライダーを軽く押動でき、作業性が更に向上する。
【出願人】 【識別番号】593074215
【氏名又は名称】中村物産株式会社
【出願日】 平成10年11月27日(1998.11.27)
【代理人】 【識別番号】100068607
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外2名)
【公開番号】 特開2000−157156(P2000−157156A)
【公開日】 平成12年6月13日(2000.6.13)
【出願番号】 特願平10−337616