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【発明の名称】 焼成スナック菓子の製造方法
【発明者】 【氏名】伊吹 昌久

【氏名】中村 一郎

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】小麦粉を主原料とする穀粉に対して45℃〜75℃の粉末状の油脂を0.2〜10重量%添加することを特徴とする焼成スナック菓子の製造方法。
【請求項2】粉末状の油脂の融点が、50℃〜65℃である請求項1記載の焼成スナック菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレッツェルやクラッカーなどの焼成スナック菓子の製造方法に関し、詳しくは、材料生地を圧延、成型したり、スパイク穴をあけなくとも焼成時に火ぶくれし難い焼成スナックの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プレッツェルやクラッカー等の焼成スナック菓子は小麦粉を主成分とした菓子である。一般的にはクラッカー、プレッツェルは小麦粉を原料としてイーストやベーキングパウダーを混合し、発酵させて成型した後焼成するものであり、ビスケットと比較してショートニングや乳化油脂等の油分が低く、砂糖含量も低くして、グルテンの形成を促進させた菓子である。従って、これらの菓子は焼成、膨化時における水分蒸発を効率的に行わないと、強固になったグルテンネットワークが水分の蒸発を阻害して火ぶくれが生じたり、内部のスダチが不均一になってしまい商品価値の低いものとなってしまう。
【0003】この火ぶくれを防止するために、生地にスパイク穴を空けておいて膨化、焼成することが一般的に行われている。しかしこの方法は製品に穴があくという欠点を有しているためにその他様々な工夫がなされている。
【0004】例えば、特公平5−17821号は、原料粉を混捏、圧延、蒸煮、成型等により得られるチップ状生地を、一次乾燥により一定の水分含量に調整し、生地温度を一定温度に保ちながら押圧して、表面に小さなヒビを生じさせて水分抜けをよくして火ぶくれを防止する方法を開示している。
【0005】さらに配合面と製造面との組み合わせにおいても工夫がなされており、特開平6−327396号は、小麦粉と澱粉を主原料として生イースト、イーストフード、バイタルグルテン、上白糖、食塩、マーガリンを一定配合したものを水分調整し発酵後、一定時間冷蔵保存し成型、乾燥、焼成することにより焼成時の水抜けがよくなり大きな火ぶくれを防止できるとしている。
【0006】これらの方法は一定の効果を有しているものの、水分含量や、製造工程上制限が加えられたり、ある限定された配合のみで効果を発揮するもので、その応用範囲が狭められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クラッカーやプレッツェルなどの焼成スナック菓子の製造方法に関し、従来火ぶくれを防止するために水分含量や油分含量等の配合面および製造面において一定の制約があったものを、それらの制約を気にしなくとも容易に製造することができ、火ぶくれの生じにくい製造方法を提供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成せんとして鋭意検討した結果、小麦粉を主原料としたクラッカーやプレッツェルタイプの焼成スナック生地にある一定の融点をもつ粉末状の油脂を混合することにより、油分含量や水分含量を気にしなくとも焼成時に火ぶくれ防止効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、小麦粉を主原料とする穀粉に対して45℃〜75℃の粉末状の油脂を0.2〜10重量%添加することを骨子とする焼成スナック菓子の製造方法である。
【0009】本発明における粉末状の高融点油脂を添加することによってクラッカーやプレッツェルなどの焼成スナック菓子の火ぶくれが防止できる理由は未だ明確に解明されてはいないが、添加された粉末状の高融点油脂がクラッカーやプレッツェルに微細な穴を開けるために、その穴をとおして水分が抜けやすくなり、火ぶくれが防止できると考えている。
【0010】本発明において、焼成スナック菓子とは、小麦粉を主原料とした菓子であって、クラッカー、プレッツェルのように小麦粉を主原料とし、これにイースト及び/又はベーキングパウダーなどの膨剤を混合し、発酵またはねかせ、成型した後焼成したものであり、一般的なビスケットと比較してショートニングや乳化油脂等の使用量が少なく(小麦粉を主原料とする穀粉に対し油脂分として20重量%以下)、砂糖含量も低くして(同穀粉に対し20重量%以下)、比較的グルテンの形成を促進させた菓子をいう。本発明の方法による火ぶくれ防止などの効果は、上記のように生地中の油脂分や砂糖量が低いものを対象として発揮される。小麦粉以外の穀粉としては、特に限定されるものではなく、ライ麦粉、ライ小麦粉、大麦粉、とうもろこし粉、米粉などが例示され、このうち穀粉中に占める小麦粉の割合は80重量%以上であるのがよい。
【0011】本発明に用いられる油脂は食用油脂であれば特に限定されるものではなく、パーム油、菜種油、大豆油、ひまわり油、コーン油、綿実油、サフラワー油、米ぬか油、やし油、パーム核油の硬化油およびエステル交換油等が例示できる。
【0012】油脂の形状は粉末状であることを要す。液状またはペースト状では、サクサクとした食感は得られない。粉末状とは、リンペン状、球状、棒状等のものを指し、いわゆる粉体であればよい。粉末油脂の作成方法は特に限定されることはないが、溶解した油脂を冷却塔(チラー)の中へ噴霧して粉末化するスプレークーリング方式や溶解した油脂を冷却されたドラム上へ流し固化せしめてかきとるドラムフレーク方式等が挙げられる。粉末状の油脂の粒子径は平均粒子径が0.1mm以上であれば特に限定されないが、使用する小麦粉などの穀粉とうまく混合できることが好ましく、JIS規格篩大きさにおいて10#オールパス品くらいの大きさが好ましい。平均粒子径が0.1mm未満のもの、例えば、糖類、蛋白質、乳化剤を用いて油脂を乳化したものを噴霧乾燥などして得られる油脂組成物も「粉末油脂」と呼ばれているが、このものは多数の微細な油脂粒子と糖類、蛋白質などからなる集合体が粉末粒子を形成し、見かけ状の粒子径が大きくとも、油脂の実質的粒径は非常に小さな(10ミクロン程度)ものとなっている、そのため、上記空隙は明瞭には形成されず本発明の効果を奏さない。
【0013】本発明に用いられる粉末状の高融点油脂の添加量は小麦粉を主原料とした穀粉に対して0.2〜10重量%であることが必要であり、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%である。0.2%未満であると得られたクラッカーやプレッツェルの火ぶくれが起こってしまい、10%を超えると得られたクラッカーやプレッツェルが粉っぽくなってしまい商品としての味に問題を生ずる。
【0014】また、これらの粉末状の高融点油脂の融点は45℃〜75℃であることが必要であり好ましくは50℃〜65℃である。粉末状の高融点油脂の融点が45℃未満であると、焼成中瞬時に溶解してしまうために火ぶくれ防止効果を発揮しない。また70℃を超えると得られたクラッカー、プレッツェルが固くなってしまうため、食感上好ましくない。
【0015】本発明におけるクラッカーやプレッツェルの作成方法は特に限定されるものではなく既存の方法が適応できる。一例をあげると、小麦粉の一部または大部分に本発明の粉末状高融点油脂を添加して水または牛乳を加えてイーストと捏り、18時間前後発酵させ、これに残りの原料を加えて生地を捏り、再び4時間前後発酵させる。その後圧延し、型抜きにより成形を行い、オーブンヒーターにて260℃〜320℃で焼成してクラッカーを得る。また、プレッツェルの例は、前記生地(但し、発酵時間はあまりとらない)をスティック状に成形し、アルカリ処理(表面の光沢を得るために、アルカリの湯の中に通す)した後、230℃程度の温度で焼成する。
【0016】クラッカー、プレッツェル作成工程中、本発明の粉末状高融点油脂の添加時期は当然のことながら焼成する前に添加することは必要であるが、別に限定されるわけではなく混合可能な時期に添加すればよい。好ましくは、使用する小麦粉や澱粉にあらかじめ混合しておけば均一に混合でき、しかも操作性において優れている。
【0017】
【実施例】以下に本発明をよりわかりやすくするために、実施例を用いて述べる。
〔実施例1〜3、比較例1〜2〕精製パーム油を極度硬化し、完全に加熱溶融せしめた後、冷却されたドラム上に流し、固化した油脂をかきとり粉砕した後、10#の篩を通過させて粉末状の高融点油脂(粉末油脂A)を得た。この時の粉末状の高融点油脂の融点は58℃であり平均粒子径は0.35mmであった。この粉末油脂Aを用い表1に示す配合にてケンウッドミキサーを用いてオールインワンミックスでプレッツェル生地を調整した。尚、乳化油脂は、食用菜種油にオレイン酸モノグリセリド 1%、ソルビタンモノオレエート1%添加したものを用いた。調整した生地を2mmの厚さまで圧延し、長さ10mmの棒状に成形し、オーブンにて175℃、20分焼成してプレッツェルを得た(アルカリ処理を省略したため低温長時間焼成とした。)。それぞれ試食した評価結果を表2に示す。
【0018】
【表1】
配合(g)
実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2―――――――――――――――――――――――――――――――乳化油脂 5 5 5 5 5 粉末油脂A 0.5 2 5 0.1 12 中力粉 100 100 100 100 100 ベーキング 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2パウダー 水 40 40 40 40 40 ―――――――――――――――――――――――――――――――【0019】
【表2】
官能評価結果―――――――――――――――――――――――――――――――――――評価項目 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2―――――――――――――――――――――――――――――――――――概観形状(火ぶくれ有無) なし なし なし あり なし食感 さくっと さくっと さくっと 固くて 粉っぽく して良好 して良好 して良好 不良 て不良―――――――――――――――――――――――――――――――――――【0020】以上の結果のように、本発明の焼成スナックは、火ぶくれもなくサクッとした食感を有しており、良好なものとなっていることが分かる。比較例1−2の結果は、添加量が本発明より下回ると火ぶくれが起こり固い食感になり、上回ると火ぶくれは起こらないが粉っぽい食感となり商品としては不良となることを示す。
【0021】〔実施例4〜5、比較例3〕精製菜種油を硬化を行い各融点の硬化菜種油を作成し、完全に溶解せしめた後、5℃の冷却塔へ噴霧を行い粉末化し、10#の篩を通過させて3種の粉末状の高融点油脂(粉末油脂B、C、D)を得た。この時の粉末状の高融点油脂の融点は粉末油脂B:40℃、粉末油脂C:63℃、粉末油脂D:72℃であり、平均粒子径は、それぞれ0.45mm、0.35mm、0.30mmであった。これら3種の粉末油脂を用い表3に示す配合にて、中種の捏り上がり温度を23℃に調整して捏り、25℃〜30℃、湿度70〜80%の醗酵室で18時間発酵させ、残りの原料を加えて本捏りを5分程度行い、再び発酵室にて4時間発酵させて、2mmの厚さまで厚さまで圧延し、直径40mmの金型で型抜きしオーブン275℃で3分焼成してクラッカーを得た。得られたクラッカーを同じく試食して官能評価を行った結果を表4に示す。
【0022】
【表3】

【0023】
【表4】

【0024】本発明の焼成スナックは火ぶくれもなくサクっとした良好な食感をしめすことがわかる。
【0025】
【発明の効果】従来の小麦粉を主原料としたクラッカーやプレッツェルでは、スパイク穴を開けなければ火ぶくれしてしまう欠点を有しているが、本発明では、融点45℃〜75℃の粉末状の高融点油脂を添加することにより、火ぶくれを防止できかつさくっとした食感を有する焼成スナックを作成できることが分かり、これまでに水分や油分含量もしくは製造工程に制限を受けたり、スパイク穴を開けたりするなど製品形状に制約を受けるような焼成スナックの製造におおいて有効な手段であることが分かる。
【出願人】 【識別番号】000236768
【氏名又は名称】不二製油株式会社
【出願日】 平成10年9月28日(1998.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−93071(P2000−93071A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−274036