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【発明の名称】 処理液の腐敗遅延処理方法
【発明者】 【氏名】比嘉 照夫

【氏名】中農 康久

【要約】 【課題】各種機械の使用の際に用いられる切削油、作動油、金属引抜き油、洗浄液等の処理液の腐敗を遅延させると共に、悪臭の発生を防止することができる、処理液の腐敗遅延処理方法を提供する。

【解決手段】嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群を鋳型の廃砂に含有させてたとえば球形状に形成した腐敗抑止体を工作機械等の各種機械の使用の際に用いられる切削油、作動油、金属引抜き油、洗浄液等の処理液に浸漬させる工程を包含する。鋳型の廃砂は、有用微生物群の住処となる。腐敗抑止体からは、有用微生物から作り出される抗酸化物質等が発散する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群を鋳型の廃砂に含有させて形成された抗酸化作用を有する腐敗抑止体を各種機械の使用の際に用いられる処理液に混入する工程を包含する、処理液の腐敗遅延処理方法。
【請求項2】 前記有用微生物群の培養液と前記廃砂とを混練して混練物をつくる工程、前記混練物を所定形状に保型・成形する工程、および前記保型・成形された前記混練物を焼結して所定形状の腐敗抑止体を形成する工程を含む製造方法によって前記腐敗抑止体が製造される、請求項1に記載の処理液の腐敗遅延処理方法。
【請求項3】 前記腐敗抑止体を前記処理液に浸漬すると共に、前記有用微生物群を前記処理液にさらに注入する工程を包含する、請求項1または請求項2に記載の処理液の腐敗遅延処理方法。
【請求項4】 前記処理液は、切削油、作動油、金属引抜き油、フラッシング油、防錆油等の潤滑組成物を包含する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の処理液の腐敗遅延処理方法。
【請求項5】 前記処理液は、洗浄液、清浄液等の洗浄性組成物を包含する、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の処理液の腐敗遅延処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、処理液の腐敗遅延処理方法に関し、特に、たとえば工作機械等各種機械の使用の際に用いられる切削油、作動液、金属引抜き油、フラッシング油、防錆油等の潤滑組成物およびそれに類似するもの、および、たとえば機械部品を洗浄する洗浄機械に用いられる洗浄液、清浄液等の洗浄性組成物およびそれに類似するものを含む処理液の腐敗遅延処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、NC旋盤等工作機械に用いられる切削油、作動油、防錆油等は、温度の高い機械の中で使われている間に腐敗してくるため、所定の期間使用された後、廃液としてそのまま廃棄処分されていた。そして、工作機械には、新たに切削油等が注入される。また、工作機械等で製造された各種部品等を洗浄機械で洗浄するときに用いられる洗浄液、清浄液などの使用についても、同様のことが行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような腐敗した切削油等の廃液は、悪臭を発生し、その悪臭が工場内および工場周辺にまでおよぶことがある。特に、夏季などはこれら廃液の悪臭が酷いものとなり、工場内で作業する作業者の作業環境および工場周辺の住民にとっての生活環境を害するものとなっている。また、切削油等の廃液を廃棄する周期が短くなればなる程、切削油等の取り替え頻度も多くなり、ランニングコストも高くつく。
【0004】それゆえに、本願発明の主たる目的は、各種機械の使用の際に用いられる切削油、作動油、洗浄液等の処理液の腐敗を遅延させると共に、処理液の悪臭発生を防止することができる、処理液の腐敗遅延処理方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる本願発明は、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群を鋳型の廃砂に含有させて形成された抗酸化作用を有する腐敗抑止体を各種機械の使用の際に用いられる処理液に混入する工程を包含する、処理液の腐敗遅延処理方法である。請求項2にかかる本願発明は、有用微生物群の培養液と廃砂とを混練して混練物をつくる工程と、混練物を所定形状に保型・成形する工程と、保型・成形された混練物を焼結して所定形状の腐敗抑止体を形成する工程とを含む製造方法によって腐敗抑止体が製造される、請求項1にかかる処理液の腐敗遅延処理方法である。請求項3にかかる本願発明は、腐敗抑止体を処理液に浸漬すると共に、有用微生物群を処理液にさらに注入する工程を包含する、請求項1または請求項2にかかる処理液の腐敗遅延処理方法である。請求項4にかかる本願発明は、処理液が切削油、作動油、金属引抜き油、フラッシング油、防錆油等の潤滑組成物を包含する、請求項1ないし請求項3のいずれかにかかる処理液の腐敗遅延処理方法である。請求項5にかかる本願発明は、処理液が洗浄液、清浄液等の洗浄性組成物を包含する、請求項1ないし請求項3のいずれかにかかる処理液の腐敗遅延処理方法である。
〔作用〕腐敗抑止体に含有される有用性微生物群から作り出される抗酸化物質は、有機酸、アミノ酸、糖類、ビタミン等を含み、これらは有用微生物群の発酵を促進すると共に、切削油等の処理液の酸化を防止し、腐敗を防止する。すなわち、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群からつくりだされる抗酸化物質および有機酸は、処理液の悪臭源となる腐敗菌の増加を抑制する。また、鋳型の廃砂は、多孔質に形成され、嫌気性微生物と好気性微生物とを共存させた有用微生物群の恰好の住処となる。
【0006】本願発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0007】
【発明の実施の形態】
【実施例】図1および図2は、本願発明にかかる処理液の腐敗遅延処理方法に適用される腐敗抑止体の製造方法の一例の要部を示す工程説明図である。先ず、鋳型の廃砂12が準備される。廃砂12は、たとえば図1(A)に示すように、容器14内に入れられる。廃砂12は、後述する有用微生物群の住処となる有用微生物担持体としての機能を有する。次に、容器14内の廃砂12に、有用微生物群の培養液16が注入される。培養液16は、たとえば乳酸菌、酵母菌、放線菌、光合成菌、有用糸状菌など10属80種以上の有用微生物群を複合した培養液であり、容器18内に適宜収納されている。培養液16についてさらに詳しく説明すると、培養液16は、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群を殺菌処理を施した天然の糖蜜によってたとえば40日間複合培養させて、pH3.5以下にしたものである。また、廃砂12に注入されるものとしては、上述の培養液16から低分子化の多糖類などの抗酸化物質を抽出し濃縮したもの(有用微生物発酵物質)も使用され得る。さらに詳しく説明すると、この有用微生物発酵物質は、熱帯から温帯域の植物や海草を培養液16で発酵させ、オゾンにより酸化物を除去し、各種フィルターにて残査や微生物を除去した有用微生物発酵物質である。本成分中には、植物由来、微生物由来の抗酸化物質も多種類含有されている。有用性微生物群から作り出される抗酸化物質の種類およびその作用について詳しく説明する。
(1)フラボノイド類化合物大部分は糖類の結合した配糖体として存在し、薬理作用または生理活性作用として抗発ガンプロモーター抑制効果や非常に強い抗酸化作用、血小板凝集抑制作用を有する。また、酸化作用の要因となるフリーラジカルの消去などに作用すると共に、抗菌活性作用も有する。
(2)サポニン(トリテルベン化合物の配糖体)
植物由来の生理活性物質として存在し、ラジカルの不対電子の消去作用などの抗酸化作用を有する。その作用効果は比較的強く安定維持する。
(3)ユビキノン光合成栄養細菌由来の生体内抗酸化物質として存在し、生体内の酵素系と反応し強い抗酸化作用を示す。
(4)カロテノイド類化合物光合成栄養細菌由来のリコペンが含有され、活性酸素を消去する作用を有し、生体の損傷を防御する。
(5)ビタミンE,ビタミンC(小分子抗酸化物質)
α,β,γ,δ,トコフェロールを含有し、食用油の酸化防止作用を有する。特に、生体膜の高度不飽和脂肪酸の酸化を防止する。
(6)Na,Mg,P,K,Ca等の約40種の金属ミネラル類これらの金属ミネラルで2価のカチオンに属するミネラル類は、生体内の抗酸化酵素や数々の酸化還元酵素と共役反応を促進する。また、電気伝導率を促進し、防錆効果も促進させる。
【0008】そして、廃砂12と培養液16とが混練された後、たとえば図1(B)に示すように、型枠部材20で所定の形状に成形される。型枠部材20は、複数の成形凹部26を備えた上型22および下型24と含む。廃砂12と培養液16との混練物は、下型24の複数の成形凹部26,26,・・・,26に入れられ、さらに、上型22がセットされる。廃砂12と培養液16との混練物は、成形凹部26の形状に応じて適宜成形される。図1(B)に示す本実施例にかかる型枠部材20では、上型22および下型24のそれぞれに略半球状の成形凹部26が形成されている。したがって、成形凹部26に入れられた廃砂12と培養液16との混練物は、略球形のブロック状に保型・成形された混練物10aとなる。
【0009】それから、型枠部材20は、たとえば図2(A)に示すように、加熱装置28により、所定の加熱温度,加熱時間で加熱される。そのため、型枠部材20の成形凹部で所定の形状に保型・成形された廃砂12と培養液16との混練物10aは、焼結される。そして、加熱装置28から型枠部材20を取り出して、その上型22および下型24を分離させる。それから、各成形凹部26から所定形状を有する焼結体が離型される。その結果、本実施例では、図2(B)に示すように、略球形ブロック状の腐敗抑止体10が得られる。
【0010】図3は、本願発明にかかる処理液の腐敗遅延処理方法の一例を示す説明図である。本実施例では、図1および図2に示した製造工程により得られた腐敗抑止体を用いて、特に、NC旋盤等の工作機械の使用の際に用いられる切削油の腐敗を遅延させる遅延処理方法について説明する。すなわち、先ず、上述の製造工程により得られた腐敗抑止体10が準備される。次に、所定量の腐敗抑止体10を工作機械40内の切削油収納タンク42に混入するため、腐敗抑止体収納保持装置50に収納される。腐敗抑止体収納保持装置50は、たとえば図4に示すように、略直方体の網かごで形成される収納部本体52を含む。収納支部本体52の長さ方向の一端および他端には、それぞれ、収納部本体52を所定の位置に取り付けるための取付け部材54,54が配設される。取付け部材54は、たとえば断面矩形棒状の支持部54aと、支持部54aの先端部に設けられる逆U字状の吊下げ係止部54bとで形成される。
【0011】所定量の腐敗抑止体10を収納した腐敗抑止体収納保持装置50は、特に、図3に示すように、工作機械40内の切削油収納タンク42に着脱自在に取り付けられる。切削油を貯蔵する切削油収納タンク42は、上面が開放された直方体状に形成され、その下面隅部に4つの移動用キャスター44を有する。切削油収納タンク42は、工作機械40の側面部からその内部に適宜収容される構造となっている。本実施例では、腐敗抑止体収納保持装置50の吊下げ係止部54bを切削油収納タンク42の長さ方向の一端側の側壁面に係止することにより、所定量の腐敗抑止体10を収納した収納部本体52が切削油42aに浸漬された状態で保持される。
【0012】上述の実施例では、所定量の腐敗抑止体10を切削油42a内に浸漬させることにより、切削油42aの腐敗を遅延させたが、さらに、所定量の腐敗抑止体10に加えて、有用性微生物群の培養液16を別途、切削油42a中に注入する工程を追加してもよい。
【0013】本実施例で示した切削油等の潤滑組成物の腐敗遅延処理方法によれば、所定量の腐敗抑止体10中の有用微生物群の作りだす抗酸化物質および有機酸の作用により、切削油42aの悪臭物質を出す腐敗菌を抑制するため、切削油42aの腐敗を遅延、防止させることができる。発明者の実験によれば、腐敗抑止体10を浸漬した場合の切削油42aと、そうでない切削油42aだけのものとをNC旋盤等の工作機械40で使用して比較してみると、腐敗抑止体10を入れていない切削油42aだけの場合、1週間程度で悪臭を発生するが、腐敗抑止体10を浸漬した場合の切削油42aでは、長期間、悪臭が発生しないことが確認されている。
【0014】有用微生物群が作りだす抗酸化物質は、有機酸、アミノ酸、糖類、ビタミン等を含み、これらは有用微生物の発酵を促進すると共に、切削油42aの腐敗を防止する。すなわち、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群からつくりだされる抗酸化物質および有機酸は、切削油42aの酸化を防止し、切削油42aの悪臭源となる腐敗菌の増加を抑制する。また、鋳型の廃砂12は、多孔質に形成され、嫌気性微生物と好気性微生物とを共存共生させた有用微生物群の恰好の住処となり、有用性微生物群の発酵を促進させる。
【0015】したがって、本実施例では、従来より問題となっていた切削油42aの廃液の悪臭の発生を防止することができる。そのため、工作機械40を使用する作業者の作業環境および工場周辺の生活環境にも悪影響をおよぼすことがない。また、切削油42aの廃液は、悪臭を発生させることなく、環境に優しい状態で廃棄することができる。さらに、切削油42aの取り替え頻度も少なくなり、工作機械40に対するランニングコストも低くすることができる。しかも、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群の住処となる有用微生物担持体として、鋳型の廃砂12が利用されるため、廃材資源の再利用という観点においても非常に有用な方法である。鋳型の廃砂12は、たとえばセラミックスと比較しても、安価に有用微生物担持体を成形することが可能となるため、製造コストも低減できる。
【0016】図5は、図4に示す使用方法に適用される腐敗抑止体の取付け方法の他の例を示す斜視的図解図である。図5に示す腐敗抑止体収納保持装置50は、図4に示すものと比べて、特に、所定量の腐敗抑止体10が開放口56aを有する収納網袋56内に収納される。開放口56aは、紐状の結束部材58で開放口56aの近傍を結束することにより、閉塞される。結束部材58には、その先端部にフック部60aを有する鎖状の吊り下げ部材60が設けられる。図5に示す腐敗抑止体収納保持装置50も、先の実施例と同様に、吊り下げ部材60のフック部60aを切削油収納タンク42の側壁面に係止することにより、収納網袋56内に収納された所定量の腐敗抑止体10が切削油42aに浸漬される。
【0017】図6は、図1および図2に示した製造工程により得られるブロック状の腐敗抑止体の他の例を示す斜視的図解図である。先の実施例では、腐敗抑止体10が略球形ブロック状に形成されたが、腐敗抑止体10の形状はそれに限定されるものではなく、図6(A)〜(C)に示すように、三角錐状、円筒状および立方体状などに形成されてもよく、それ以外にも、たとえば直方体状、断面多角形柱状、平板状、環状等任意の形状に形成してもよい。
【0018】上述の実施例では、処理液の一例として、切削油の腐敗遅延処理方法にいて説明したが、本願発明にかかる腐敗遅延処理方法は、切削油以外にも、作動油、金属引抜き油、フラッシング油、防錆油等の潤滑組成物およびそれに類似するものの腐敗遅延処理方法についても適用される。さらに、本願発明にかかる腐敗遅延処理方法は、切削油、作動油等の潤滑組成物以外にも、たとえば工作機械で作られた部品等を洗浄する洗浄機の使用の際に用いられる洗浄液、清浄液等の洗浄性組成物およびそれに類似するものの腐敗遅延処理方法についても適用され得るものである。
【0019】
【発明の効果】本願発明によれば、各種機械の使用の際に用いられる切削油、洗浄液等処理液の腐敗を遅延させると共に、処理液の悪臭発生を防止することができる。そのため、各種機械を使用する作業者の作業環境および工場周辺の生活環境にも悪影響をおよぼすことがない。また、処理液の廃液も環境に優しい状態で廃棄することができる。さらに、処理液および工作機械に対するランニングコストも低くすることができる。しかも、嫌気性微生物と好気性微生物とを共生させた有用微生物群の住処となる有用微生物担持体として、鋳型の廃砂が利用されるため、廃材資源の再利用を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】591192292
【氏名又は名称】株式会社中農製作所
【識別番号】595035038
【氏名又は名称】株式会社イーエム研究機構
【出願日】 平成11年4月19日(1999.4.19)
【代理人】 【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
【公開番号】 特開2000−302619(P2000−302619A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−110644