トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 工業用殺菌剤
【発明者】 【氏名】窪田 尚生

【要約】 【課題】抗微生物剤の製剤化時および水系塗料への配合時に、泡立つことなく、見かけ状にごりのない状態を保ち、かつ、その水系塗料を構造物に施した後にも、雨水などによる抗微生物剤の溶脱が少ない、工業用殺菌剤を提供すること。

【解決手段】工業用殺菌剤として、抗微生物剤と、界面活性剤と、水系溶剤とを配合し、その界面活性剤として、シクロデキストリン類を配合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抗微生物剤と、界面活性剤と、水系溶剤とが配合されている工業用殺菌剤であって、前記界面活性剤としてシクロデキストリン類が配合されていることを特徴とする、工業用殺菌剤。
【請求項2】 液剤であることを特徴とする、請求項1に記載の工業用殺菌剤。
【請求項3】 水系塗料に配合されることを特徴とする、請求項1または2に記載の工業用殺菌剤。
【請求項4】 抗微生物剤が、イソチアゾリン系化合物、有機よう素系化合物、チオフェン系化合物、トリアゾール系化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、オキサチアジン系化合物、アルコール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の工業用殺菌剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工業用殺菌剤、詳しくは、水系クリヤー塗料などの水系塗料に好適に使用することができる工業用殺菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、構造物の外壁などは、そのまま放っておくと、腐食、ひび割れなどの劣化を生じるため、一般には、その表面に塗料などの塗布による仕上げ処理が施されている。
【0003】特に、近年では、例えば、コンクリートの打放しなどのように、建築材料の素材感をそのまま生かした意匠を有する構造物が多くなってきており、そのような構造物の仕上げ処理には、例えば、クリヤー塗料などを使用して、その素材の有する質感、風合いなどを損ねることなく、構造物の表面を保護するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような構造物の外壁などに使用される塗料には、構造物の表面を、藻、かびおよび菌から保護するために、抗微生物剤を配合しておきたいという要望がある。
【0005】しかし、近年、環境衛生、安全性などの観点から、有機溶剤系の塗料に代えて水系の塗料を使用したいという要望がある。その一方で、多くの抗微生物剤は水に対して不溶または難溶であるという問題がある。
【0006】とりわけ、上記したようなコンクリートの打放しなどの用途に使用されるクリヤー塗料にあっては、透明性が要求されるため、抗微生物剤を、クリヤー塗料中に、見かけ状透明となるまで可溶化、分散させる必要がある。
【0007】そのため、抗微生物剤に界面活性剤を配合して、抗微生物剤の水溶性および水分散性を高めることが考えられる。
【0008】しかし、一般に使用されている界面活性剤を使用すると、水系塗料に抗微生物剤を見かけ状にごりを生じることなく配合することはできるが、界面活性剤を抗微生物剤に配合する時、および、この抗微生物剤を水系塗料に配合する時に泡立ち、しかも、その水系塗料を構造物に施した後には、雨水などによって、抗微生物剤が溶脱してしまい、構造物の表面を藻、かびおよび菌から有効に保護できないという問題を生じる。
【0009】そこで、本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、抗微生物剤の製剤化時および水系塗料への配合時に、泡立つことなく、見かけ状にごりのない状態を保ち、かつ、その水系塗料を構造物に施した後にも、雨水などによる抗微生物剤の溶脱が少ない、工業用殺菌剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、抗微生物剤と、界面活性剤と、水系溶剤とが配合されている工業用殺菌剤であって、前記界面活性剤としてシクロデキストリン類が配合されていることを特徴としている。
【0011】また、本発明の工業用殺菌剤は、液剤であることが好ましく、水系塗料に配合されることが好ましい。
【0012】また、本発明の工業用殺菌剤に配合される抗微生物剤は、イソチアゾリン系化合物、有機よう素系化合物、チオフェン系化合物、トリアゾール系化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、オキサチアジン系化合物、アルコール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の工業用殺菌剤には、抗微生物剤と、界面活性剤と、水系溶剤とが配合されている。
【0014】本発明の工業用殺菌剤に配合される抗微生物剤とは、防藻作用、防かび作用および抗菌作用の少なくとも何れかの作用を有するものであって、このような抗微生物剤としては、例えば、4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系化合物、例えば、メチル2−ベンツイミダゾールカーバメイト、2−(4−チアゾリル)−ベンツイミダゾールなどのイミダゾール系化合物、例えば、3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメイト、ジヨードメチル−p−トリル−スルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパギルホルマール、2,3,3−トリヨードアリルアルコールなどの有機よう素系化合物、例えば、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどのチオフェン系化合物、例えば、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキサン−2イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、(±)−α[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−(1)−エタノール、(±)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1,3−ジオキサン−2イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール系化合物、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどの尿素系化合物、例えば、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピニルアミノ−s−トリアジン(商品名:イルガロール1051、イルガロール1071、製造元:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株))などのトリアジン系化合物、例えば、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイドなどのオキサチアジン系化合物、例えば、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどのアルコール系化合物などが挙げられる。
【0015】これら抗微生物剤は、単独または2種類以上併用してもよく、好ましくは、イソチアゾリン系化合物、有機よう素系化合物、チオフェン系化合物、トリアゾール系化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、オキサチアジン系化合物、アルコール系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、イソチアゾリン系化合物、有機よう素系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、オキサチアジン系化合物、アルコール系化合物が挙げられ、さらに、これらのうちの2種以上を併用することが好ましい。また、抗微生物剤の配合割合は、工業用殺菌剤中に、0.1〜50重量%、さらには、1〜30重量%であることが好ましい。
【0016】本発明の工業用殺菌剤に配合される必須の界面活性剤は、一般に界面活性剤として使用されているものではなく、シクロデキストリン類が使用される。界面活性剤としてシクロデキストリン類を使用することによって、本発明の工業用殺菌剤を製剤化する時および水系塗料へ配合する時に、泡立つことなく、見かけ状にごりのない状態を保ち、かつ、その水系塗料を構造物に施した後にも、雨水などによる抗微生物剤の溶脱を少なくすることができる。
【0017】このようなシクロデキストリン類としては、例えば、シクロデキストリンおよび修飾シクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリンとしては、例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。また、修飾シクロデキストリンとしては、例えば、アルキル修飾シクロデキストリン、アセチル修飾シクロデキストリン、分岐シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0018】アルキル修飾シクロデキストリンとしては、例えば、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリン、エチル−α−シクロデキストリン、エチル−β−シクロデキストリン、エチル−γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0019】アセチル修飾シクロデキストリンとしては、例えば、モノアセチル−α−シクロデキストリン、モノアセチル−β−シクロデキストリン、モノアセチル−γ−シクロデキストリン、ジアセチル−α−シクロデキストリン、ジアセチル−β−シクロデキストリン、ジアセチル−γ−シクロデキストリン、トリアセチル−α−シクロデキストリン、トリアセチル−β−シクロデキストリン、トリアセチル−γ−シクロデキストリンなどが挙げられる。
【0020】分岐シクロデキストリンとしては、シクロデキストリン環にグルトース、マルトースなどの枝が分岐したものであって、例えば、シクロデキストリン環にブドウ糖1個を結合させたG1−α−シクロデキストリン、G1−β−シクロデキストリン、G1−γ−シクロデキストリンなどのグルコシルシクロデキストリン、例えば、ブドウ糖2個のマルトースを結合させたG2−α−シクロデキストリン、G2−β−シクロデキストリン、G2−γ−シクロデキストリンなどのマルトシルシクロデキストリン、例えば、ブドウ糖3個のマルトトリオースを結合させたG3−α−シクロデキストリン、G3−β−シクロデキストリン、G3−γ−シクロデキストリンなどのマルトトリオシル基をシクロデキストリンの2位以上に結合させたG1−G1−、G1−G2−、G2−G2−などのマルトトリオシルシクロデキストリンなどが挙げられる。
【0021】これらシクロデキストリン類は、単独または2種類以上併用してもよく、修飾シクロデキストリン、中でも、アルキル修飾シクロデキストリンおよび分岐シクロデキストリンが好ましい。また、アルキル修飾シクロデキストリンの中では、メチル−α−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、メチル−γ−シクロデキストリンが好ましく、分岐シクロデキストリンの中では、マルトシルシクロデキストリンを主成分とするもの(例えば、商品名:イソエリートP、イソエリートL、イソエリート40P、イソエリート40L、製造元:塩水港精糖(株)など)が好ましい。
【0022】また、シクロデキストリン類の配合割合は、工業用殺菌剤中に、0.1〜50重量%、さらには、0.4〜40重量%、とりわけ、1〜30重量%であることが好ましい。
【0023】また、シクロデキストリン類は、抗微生物剤100重量部に対し、1〜4000重量部、さらには、5〜3000重量部、とりわけ、20〜2000重量部の割合で配合されることが好ましい。
【0024】本発明の工業用殺菌剤に配合される水系溶剤は、水、および水に対して溶解または分散する水溶性溶剤の何れのものも含まれる。このような水溶性溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤などが挙げられる。
【0025】これら水系溶剤は、単独または2種類以上併用してもよく、好ましくは、水およびグリコール系溶剤、とりわけ、グリコール系溶剤の中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。また、水系溶剤の配合割合は、工業用殺菌剤中に、0.1〜99.8重量%、さらには、1〜90重量%であることが好ましい。
【0026】このような、本発明の工業用殺菌剤は、上記した抗微生物剤、界面活性剤、および水系溶剤を上記した割合で配合し混合することによって、例えば、水溶性液剤、水分散剤、水懸濁剤、水系溶剤懸濁剤などの液剤として得ることができる。なお、その目的および用途によっては、液剤に限らず、例えば、ペースト剤、粉剤などの公知の剤型に製剤化してもよい。
【0027】さらに、本発明の工業用殺菌剤は、その目的および用途によって、例えば、酸化防止剤などの公知の添加剤や、上記に述べた界面活性剤とは異なる、一般にいう界面活性剤を添加してもよい。
【0028】このような酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2' −メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N' −ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。これら酸化防止剤は、単独または2種以上併用してもよく、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜20重量部添加される。
【0029】一般にいう界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン界面活性剤、高分子界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられ、好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0030】ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合物などが挙げられる。
【0031】アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられる。また、これらの金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
【0032】カチオン系界面活性剤としては、例えば、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
【0033】両イオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
【0034】高分子界面活性剤としては、例えば、特殊ポリカルボン酸型高分子などが挙げられる。
【0035】これら一般にいう界面活性剤は、単独または2種以上併用してもよく、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜10重量部添加される。
【0036】このようにして得られる本発明の工業用殺菌剤は、好ましくは、外壁用の水系塗料、とりわけ、透明性が要求される水系クリヤー塗料に配合される。
【0037】このような水系クリヤー塗料は、例えば、コンクリートの打放しなどのように、建築材料の素材感を生かした意匠を有する構造物の仕上げ処理に使用されるものであって、例えば、酢酸ビニル系、アクリル系、ポリエステル系、シリコン系、フッ素系の樹脂のエマルションまたは水溶性樹脂、およびこれらの混合物などが挙げられる。これら樹脂のエマルションまたは水溶性樹脂の平均粒子径は、例えば、1μ以下、さらには、0.5μ以下、とりわけ、0.1μ以下であることが好ましい。なお、このような水系クリヤー塗料には、例えば、顔料などが配合された有色透明のものも含まれる。
【0038】また、本発明の工業用殺菌剤は、このような水系塗料に対して、約1〜100000ppm、好ましくは、1〜50000ppmの割合で配合することが好ましい。
【0039】このようにして使用される本発明の工業用殺菌剤は、製剤化時および水系塗料への配合時に、泡立つことなく、見かけ状にごりのない状態を保つことができ、とりわけ、水系クリヤー塗料に配合した場合には、見かけ状透明となるまで可溶化、分散して、その水系クリヤー塗料の透明性を保つことができる。また、本発明の工業用殺菌剤が配合された水系塗料を、構造物に施した場合には、雨水などによる抗微生物剤の溶脱が少なく、とりわけ、水系クリヤー塗料にあっては、その構造物の素材の有する質感、風合いなどを保ちながら、かつ構造物の表面を藻、かびおよび菌から有効に保覆することができる。
【0040】なお、本発明の工業用殺菌剤は、水系塗料への配合のみならず、例えば、有機溶剤系塗料など、水系塗料以外の塗料にももちろん適用可能である。
【0041】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
(1) 実施例および比較例の工業用殺菌剤の調製実施例1メチル−β−シクロデキストリン20gをジエチレングリコールモノメチルエーテル75gに溶解し、これに、2.5gの2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、OITという。)および2.5gのイルガロール1051(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、成分名:2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピニルアミノ−s−トリアジン)を添加し、混合攪拌して、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0042】実施例2イルガロール1051に代えてテブコナゾール(慣用名、成分名:(±)−α[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−(1)−エタノール)を添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0043】実施例3OITに代えて3−ヨード−2−プロピニル−ブチル−カーバメート(以下、IPBCという。)を添加したこと以外は、実施例1と同様の操作により、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0044】実施例4メチル−β−シクロデキストリン50gを水45gに溶解し、これに、5gの3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイド(以下、BTOという。)を添加し、混合攪拌して、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0045】実施例5BTOに代えて4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下、Cl−OITという。)を添加したこと以外は、実施例4と同様の操作により、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0046】実施例6BTOに代えて3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド(以下、TeCSという。)を添加したこと以外は、実施例4と同様の操作により、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0047】実施例7分岐シクロデキストリン(マルトシルシクロデキストリン主成分、商品名:イソエリートP、製造元:塩水港精糖(株))30gを、水40gおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル20gに溶解し、これに、10gのIPBCを添加し、混合攪拌して、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0048】実施例85gのTeCS、15gの2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1gのメチル−β−シクロデキストリン、1gのソルポール4211(東邦化学(株)製、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、芳香族系溶剤の混合物)をジエチレングリコールモノメチルエーテル78gに溶解し、混合攪拌して、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0049】実施例95gのTeCS、15gの2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1gのメチル−β−シクロデキストリン、1gのソルポール4211をジエチレングリコールモノメチルエーテル78gに溶解し、混合攪拌して、本発明の工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0050】比較例1ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル20gをジエチレングリコールモノメチルエーテル75gに溶解し、これに、2.5gのOITおよび2.5gのイルガロール1051を添加し、混合攪拌して、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤には泡立ちが認められた。
【0051】比較例2イルガロール1051に代えてテブコナゾールを添加したこと以外は、比較例1と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤には泡立ちが認められた。
【0052】比較例3OITに代えてIPBCを添加したこと以外は、比較例1と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤には泡立ちが認められた。
【0053】比較例42.5gのOITおよび2.5gのイルガロール1051に代えて、5gのBTOを添加したこと以外は、比較例1と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤には泡立ちが認められた。
【0054】比較例5BTOに代えてCl−OITを添加したこと以外は、比較例4と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤には泡立ちが認められた。
【0055】比較例6BTOに代えてTeCSを添加したこと以外は、比較例4と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤には泡立ちが認められた。
【0056】比較例7ポリビニルピロリドン20gをジエチレングリコールモノメチルエーテル75gに溶解し、これに、2.5gのOITおよび2.5gのイルガロール1051を添加し、混合攪拌して、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0057】比較例8イルガロール1051に代えてテブコナゾールを添加したこと以外は、比較例7と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0058】比較例9OITに代えてIPBCを添加したこと以外は、比較例7と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0059】比較例102.5gのOITおよび2.5gのイルガロール1051に代えて、5gのBTOを添加したこと以外は、比較例7と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0060】比較例11BTOに代えてCl−OITを添加したこと以外は、比較例10と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0061】比較例12BTOに代えてTeCSを添加したこと以外は、比較例10と同様の操作により、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0062】比較例135gのTeCS、15gの2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1gのソルポール4211をジエチレングリコールモノメチルエーテル79gに溶解し、混合攪拌して、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
【0063】比較例145gのTeCS、15gの2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1gのソルポール4211をジエチレングリコールモノメチルエーテル79gに溶解し、混合攪拌して、工業用殺菌剤を得た。なお、得られた工業用殺菌剤の泡立ちは認められなかった。
(2) 水系クリヤー塗料への適用シリコン系水系クリヤー塗料(固形分30重量%)に実施例1〜9および比較例1〜14の工業用殺菌剤を、5000ppm配合し、60℃で3時間攪拌後、5℃で1週間放置し、少し手で振った後の外観を観察し、泡立ちおよび見かけ状のにごりの有無を判断した。見かけ状のにごりの有無の判断の結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】さらに、実施例1〜7および比較例1〜12の工業用殺菌剤が0.5重量%配合されたアクリル系水系クリヤー塗料を、ろ紙(3cm×3cm)に均一に塗布し、24時間乾燥後、200mlの水に7日間(40℃)浸漬し、水中へ溶出する抗微生物剤の溶出率%(溶出量/添加量)を液体クロマトグラフィーまたはガスクロマトグラフィーによって求めた。その結果を表2に示す。
【0066】
【表2】

【0067】表1および表2から明らかなように、実施例は、外観が透明でありながらも、その溶出率が、比較例に比べて低いことがわかる。
【0068】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の工業用殺菌剤は、製剤化時および水系塗料への配合時に、泡立つことなく、見かけ状にごりのない状態を保つことができ、とりわけ、水系クリヤー塗料に配合した場合には、見かけ状透明となるまで可溶化、分散して、その水系クリヤー塗料の透明性を保つことができる。また、本発明の工業用殺菌剤が配合された水系塗料を、構造物に施した場合には、雨水などによる抗微生物剤の溶脱が少なく、とりわけ、水系クリヤー塗料にあっては、その構造物の素材の有する質感、風合いなどを保ちながら、かつ構造物の表面を藻、かびおよび菌から有効に保覆することができる。
【出願人】 【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
【出願日】 平成12年2月16日(2000.2.16)
【代理人】 【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之 (外1名)
【公開番号】 特開2000−302601(P2000−302601A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願2000−37825(P2000−37825)