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【発明の名称】 有害生物防除剤の傷害、耐性、および有害生物防除剤の作用様式を決定するためのアッセイ
【発明者】 【氏名】ビジエイ・クマー・シング

【要約】 【課題】有害生物防除剤の傷害、耐性および作用様式を決定するためのアッセイを提供する。

【解決手段】植物、昆虫、もしくは病原体に対する有害生物防除剤の傷害の評価および定量のための、そういった傷害が疑われる植物、昆虫、もしくは病原体の抽出物が添加される酵素欠失微生物培養物を含むアッセイ、およびその使用のための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 疑わしい有害生物防除剤にさらされることによりもたらされる植物、昆虫、もしくは病原体における傷害の決定方法であって、a)植物、昆虫、もしくは病原体の部分の抽出物を調製すること;
b)前記調製物で酵素欠失微生物培養物を接種すること;
c)標準時間の間その培養物をインキュベートすること;
d)対照もしくは標準酵素欠失微生物培養物をインキュベートすること;ならびにe)有害生物防除剤にさらされることによる傷害の種類および程度を評価する目的で前記対照物もしくは標準物のいずれかとの比較によりその微生物の成長量を評価すること:を含んでなる方法。
【請求項2】 特定の種類の有害生物防除剤の効果に対して耐性を示す植物材料の同定方法であって、a)前記種類の有害生物防除剤により示される酵素阻害の種類に相関する酵素欠失微生物株を選択すること;
b)前記植物材料の部分の抽出物を調製すること;
c)前記抽出物で前記酵素欠失微生物株の培養物を接種すること;
d)標準時間の間その培養物をインキュベートさせること;
e)対照もしくは標準酵素欠失微生物培養物をインキュベートさせること;ならびにf)前記種類の有害生物防除剤/除草剤にさらすことによる傷害に対する植物材料の耐性の存在および程度を評価する目的で前記対照物もしくは標準物のいずれかとの比較によりその微生物の成長量を評価すること:を含んでなる方法。
【請求項3】 有害生物防除剤の作用様式の決定方法であって、a)有害生物防除活性が観察される植物、昆虫、もしくは病原体に前記有害生物防除剤を適用すること;
b)前記植物材料の成長部分の抽出物を調製すること;
c)前記抽出物で酵素欠失微生物株の培養物を接種すること;
d)標準時間の間前記培養物をインキュベートすること;前記培養物中では欠失している酵素の阻害を通して、有害生物防除活性が前記微生物株の酵素欠失と矛盾しないかどうか、および培養物の成長の検出が有害生物防除/除草活性の存在を示すかどうかを決定する目的で前記培養物に対する前記抽出物の効果を観察すること:を含んでなる方法。
【請求項4】 請求項1記載の方法の連続的かつ反復使用を含んでなる農作物に対する傷害を防ぐために農作物への有害生物防除剤の施用の調節方法。
【請求項5】 農作物に対する有害生物防除剤の傷害の量を評価および/または定量するための試験キットであって、a)植物材料内の酵素阻害を通して、ある特定の種類の有害生物防除剤の効能に対して相関するように選択された酵素欠失微生物培養物;
b)他の試薬;ならびにc)キットの使用のための説明書:を含んでなる検査用キット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、様々な農産物、特に食用作物における有害生物防除剤の傷害、有害生物防除剤に対する耐性、および有害生物防除剤の作用様式の評価に関する。
【0002】本発明は一般的には、植物、昆虫、および菌・カビ(fungi)のような病原体における酵素基質およびその経路の他の中間体の検出および測定に関する。
【0003】
【従来の技術】酵素の阻害はその経路における基質(一つもしくは複数)および中間体の蓄積をもたらすことが長年にわたり知られている。これらの産物の測定により阻害の程度の定量評価を提供することができる。しかしながら、これらの基質および中間体の存在を測定するための通常の方法は典型的にはある特定の基質もしくは中間体の長時間かかる単調な抽出および精製、ならびに高価かつかさばる装置での測定を必要とする。
【0004】植物、昆虫、および病原体では、有害生物防除剤による傷害は酵素阻害の結果であることがよくある。こういった酵素阻害はその経路の中間体の蓄積につながる。例えば、イミダゾリノンもしくはスルホニル尿素系除草剤によるアセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)の阻害は2−ケトブチレートの蓄積をもたらす(Shaner and Singh,”Phytotoxicity ofacetohydroxyacid synthase inhibitorsis not due to accumulation of 2−ketobutyrate and/or 2−aminobutyrate” Plant Physiol. 103:1221−1226,1993,Singh and Shaner,”Biosynthesis of branched chain amino acids:From test tubeto field” The Plant Cell 7:935−944,1995)。同様に、グリホサート(glyphosate)によるEPSPシンターゼの阻害によっては植物におけるシキミ酸の蓄積がもたらされる(Amrhein et al.,”The site of inhibition of the shikimate pathway by glyphosate”Plant Physiol.,66:830−834,1980,Amrhein et al.,”Interference of glyphosate with the shikimate pathway” Proc.Plant Growth Regul.Soc.Am.8:99−106,1981)。酵素阻害により蓄積する他のよく知られる中間体は、様々な種類の阻害剤によるプロトプロフィリノゲンオキシダーゼの阻害によるプロトポルフィリンIX(Becerril and Duke,”Protoporphyrin IX content correlates with activity of photobleaching herbicides”,Plant Physiol,90,1175−1181,1989);Hoe 704によるアセトラクテート レダクトイソメラーゼの阻害によるアセトラクテート(Schulz et al.”The herbicidally active experimental compound Hoe 704 isa potent inhibitor of enzyme acetolactate reductiosomerase”,FEBS Letters,238,375−378,1988);およびビアラフォスによるグルタミンシンセターゼの阻害によるアンモニア(Martin et al.”Effect of methionine sulfoximine on theaccumulation of ammonia in C3 and C4 leaves”,Plant Physiol.71,177−181,1983;Wils,Sauer and Ruhle,”The effectof phosphinothricin on photosynthesis I. Inhibition of photosynthesis and accumulation of ammonia”,Z Naturforsch.42c,263−269,1986)を含む。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】様々な有害生物防除剤、特に除草剤、製品によりもたらされる傷害の明快かつ迅速な評価および定量を提供し得るアッセイについては当該技術分野における必要性が存在する。特に、複雑かつ高価な検査室用手法および装置の支援を必要としないアッセイが望ましい。こういったアッセイを更には、有害生物防除剤による阻害を受けているある特定の酵素を具体的に同定し、そしてそういった阻害の量を定量するのに利用することもできる。本発明はこういった目的を対象としている。
【0006】本明細書における引用文献の引用は、それが本発明に対する従来の技術であることの容認として解釈されるべきではない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、疑わしい有害生物防除剤にさらされることによりもたらされる、植物、昆虫、および病原体における傷害を決定する方法であって、a)植物、昆虫、もしくは病原体の部分の抽出物を調製すること;
b)前記調製物で酵素欠失(enzyme-deficient)微生物培養物を接種すること;
c)標準時間の間その培養物をインキュベートすること;
d)対照もしくは標準酵素欠失微生物培養物をインキュベートすること;ならびに有害生物防除剤にさらされることによる傷害の種類および程度を評価する目的で前記対照物もしくは標準物のいずれかとの比較によりその微生物の成長量を評価すること:を含む方法に関する。更には本発明は、本発明における使用のための、あるアッセイ、複数のアッセイの組み合わせ物、およびそのキットに関する。
【0008】本発明の方法では、酵素欠失微生物株を用いて、ある特定の有害生物防除剤、特に除草剤による植物、昆虫、もしくは病原体に対する酵素的損害を評価する。酵素欠陥微生物の培養物を用いると、ある有害生物防除剤で処理した植物、昆虫、もしくは病原体の抽出物が添加された場合にその微生物が成長する能力によりその生物体に対する酵素阻害もしくは傷害の程度の測定値が提供される。同一理論を用いると、本発明のアッセイおよび方法を、様々な有害生物防除剤で処理してある作物、ならびに所定の有害生物防除剤に対して耐性もしくは抵抗性のいずれかを示す作物および/または雑草および/または植物の特定の種を同定するのに用いることができる。最後に本発明の方法およびアッセイを、ある一定の有害生物防除剤の作用メカニズムを同定するのに用いることができ、そうすることで様々な種を実際に検査する必要なしに、他の植物および動物種におけるその一定有害生物防除剤の影響を決定することができる。
【0009】従って、植物、そして特には農作物に対する除草剤による傷害の種類および程度の評価および測定のための方法を提供することが本発明の主目的である。 本発明の更に別の目的は、商業上重要な農作物にとって有害となる、植物、昆虫、もしくは病原体、ならびに特に作物、雑草、または他の望ましくない植物もしくは害虫における有害生物防除剤に対する耐性の評価および測定のための方法を提供することである。こういった評価により、その領域で典型的に遭遇する雑草、昆虫、もしくは菌・カビ類(fungal)のような病原体にとって一番有害な有害生物防除剤に対する耐性を示す作物の種を同定し、そしてある特定の種類の有害生物防除剤、特に除草剤に対する耐性に起因する具体的な問題となる特定の雑草、菌・カビ類(fungal)、もしくは昆虫を特定することができる。
【0010】本発明の更に別の目的は、ある特定の有害生物防除剤の作用様式を同定および評価するために用いることができる方法を提供することである。こういった同定は、その特定の有害生物防除剤と接触する可能性のある他の植物および動物種に対して生じ得る傷害の評価にとっては特に重要となる。
【0011】本発明の更に別の目的は、本発明の方法を実践する際に用いられるアッセイもしくはキットである。
【0012】本発明の更に別の目的は、植物材料(plant material)に対する有害生物防除剤による傷害、特に除草剤による傷害の定量評価を行うための、比較的未熟練な技術者により現場で利用され得る廉価な異動式アッセイを提供することである。
【0013】本発明のこういった目的および他の目的は、以下の図面、本発明の詳細な記述、および実施例を参照することにより、よりよく理解される。
【0014】従って本発明は、疑わしい有害生物防除剤にさらされることによる結果として生じる、植物、昆虫、および病原体における傷害を決定する;植物の部分の抽出物の調製;前記調製物での酵素欠失微生物の接種;そういった増殖が可能な場合に増殖させるための標準時間の間その培養物のインキュベーション、ならびに有害生物防除剤にさらされることによる傷害の種類および程度を評価する目的での対照物もしくは標準物との比較によるその微生物の成長量の評価、を含む方法に関する。
【0015】好ましい態様では、酵素欠失微生物培養物は、A.J.Pittard、University of Melbourne、Victoria、Australia、から得られた大腸菌(Escherichia coli)のAB2826株(aroB35)からなる群より選択される。本発明の典型的使用では、植物がさらされていた一般的種類の有害生物防除剤を同定する目的でこの方法を様々な酵素欠失微生物培養物を用いて反復してもよい。特に好ましい態様では、本発明の方法を用いて、植物材料が感受性を示す、もしくは植物がさらされていた除草剤(一つもしくは複数)を同定することができる。
【0016】多種多様の培養物は、単一抽出物を用いる複数検査を可能にする目的で単一培養装置上に含めることができるか、もしくは所望される場合には微生物培養物は単一培養装置上に各々個別に存在させることができる。
【0017】本発明の更に別の態様は、ある特定の種類の除草剤/有害生物防除剤の効果に対して耐性を示す植物材料を同定する、前記種類の除草剤/有害生物防除剤により示される種類の酵素阻害に相関する酵素欠失微生物株の選択;前記植物材料の部分の抽出物の調製;前記抽出物での前記酵素欠失微生物株の培養物の接種;標準時間の間その培養物のインキュベーション;ならびに前記種類の有害生物防除剤/除草剤による傷害に対する植物材料の耐性の存在および程度を評価する目的での前記対照物もしくは標準物との比較によるその微生物の成長量の評価、を含む方法である。他の好ましい態様では、その種類の有害生物防除剤/除草剤はイミダゾリノンもしくはスルフォニル尿素除草剤であり、そして酵素欠失微生物株はスレオニンデアミナーゼの欠損を示す。他の好ましい態様は、有害生物防除剤/除草剤がグリホサートであり、そして酵素欠失微生物株がEPSPシンターゼの欠損を示す方法である。
【0018】この態様における使用にとって好ましい微生物株は、A.J.Pittard、University of Melbourne、Victoria、Australia、から取得され、かつ1999年3月16日にthe American Type Culture Collection(ATCC)に寄託され、そして受託番号ATCC202209を割り当てられた大腸菌(Escherichia coli)の酵素欠失AB2826株(aroB351)である。
【0019】本発明の更に別の態様は、有害生物防除剤/除草剤の作用様式を決定するための、有害生物防除剤/除草剤の活性が観察される植物への前記有害生物防除剤/除草剤の適用;前記植物材料の部分の抽出物の調製;前記抽出物での酵素欠失微生物株の培養物の接種;増殖を可能にするための標準時間の間前記培養物のインキュベーション;有害生物防除剤/除草剤の活性が前記微生物株の酵素欠失に矛盾しないかどうかを決定するための前記培養物に対する前記抽出物の効果の観察、ならびに前記培養物中では欠損している酵素の阻害を通しての有害生物防除剤/除草剤の活性の存在を示す培養物の成長の決定を含む方法を必要とする。典型的にはこの方法は、アセトヒドロキシ酸シンターゼもしくはEPSPシンターゼの欠損を示す酵素欠失微生物株を利用することができる。
【0020】本発明の更に別の態様は、農作物に対する有害生物防除剤/除草剤の適用を、前記作物に対する傷害を予防する目的でモニターするための、前述の方法の内のこの方法の連続および反復使用を伴う方法を含む。
【0021】本発明は更には、本発明の様々な前述の方法における使用のための農作物に対する除草剤/有害生物防除剤の傷害の量を評価および/または定量するための検査キットをも含む。これらの検査キットは、植物材料内の酵素阻害を通してある特定の種類の有害生物防除剤/除草剤の効能に対して相関性をもつように選択された一つもしくは複数の酵素欠失微生物培養物;例えば植物材料の抽出物の調製に必要とされるもののような他の試薬;ならびにキットの使用のための説明書、を含む。
【0022】好ましい態様では、これらのキットは、アセトヒドロキシ酸シンターゼもしくはEPSPシンターゼに欠損を示す酵素欠失微生物株を含むことができる。こういったキットは、イミダゾリノンもしくはスルフォニル尿素タイプの酵素阻害に対する植物材料の露出の同定のための特別な利用法を提供し得る。
【0023】従って本発明は、酵素欠失微生物株を含有する一つもしくは複数の培養培地を含む、一つのアッセイもしくは複数アッセイの組み合わせ物を含む。除草剤/有害生物防除剤で処理した植物の抽出物を、特定の酵素欠失微生物株を含有する培養培地に添加することにより、ある特定の除草剤/有害生物防除剤による植物に対する酵素傷害を評価および定量することができる。適切な培養培地は特定の微生物株に依存し、そして培養培地は特定の微生物株に依存し、そしてそういった培地は当該技術分野でよく知られている。典型的培養培地は限定される訳ではないが、M9アガー培地、NZM培地(Sambrook et al. Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989);SMMおよびSC培地(Adams et al.,Methodsin Yeast Genetics:A Laboratory Course Manual,1998)を含む。
【0024】本発明のアッセイにおいて用いられる様々な酵素欠失微生物株は当該技術分野でよく知られている。本発明における利用性を有する大腸菌(Escherichia coli)の特定の株は、uiv-(MI262)株:CGSC#5769(Genetic StockCenter,Dept. of Biology,Yale University,New Haven,Ct.);アセトヒドロキシ酸シンターゼ活性が欠失する。
pro-株CGSC#4513;γ−グルタミルキナーゼ活性が欠失する;
Δ[his-gnd](WB353)株:Nagai et al.,Structural and functional conservation of histidinol dehydrogenase between plants and microbes,Proc Natl Acad Sci,88,4133−4137,1991;ヒスチジノールデヒドロゲナーゼ活性が欠失する;
ilv-(MF2000)株:M.Freundlich,State University of New York,Stony Brook,NewYork;アセトヒドロキシ酸シンターゼ活性が欠失する;
glnA-(A318)株:Miao et al. Ammonia regulated expression of a soybean geneencoding cytoplasmic glutamine synthetase in transgenic Lotus corniculatus. The Plant Cell,3,11−22,1991;グルタミンシンターゼ活性が欠失する;
ΔaroGΔaroF(HE628)株:Garner and Herrmann,Operator mutations of the Escherichi coli aroF gene. J Biol Chem,260,3820−3825,1985;DAHPシンターゼ活性が欠失する;
ribB-およびribA-:Katzenmeir,Klonierungund molekularbiologische Charakterisierung des Gens fur GTP−cyclohydrolase I aus Escherichia coli,Thesis,Technical University of Munich,1991;GTPシクロヒドロラーゼIIおよびヒドロキシブタノンホスフェートシンセターゼ活性が欠失する;ならびにilvA-(CU5125)株;Pledger and Umbarger,Isoleucine and valine metabolism inEscherichia coli,J Bacteriol,114,183−194,1973;スレオニンデアミナーゼ活性が欠失する、のようなものである。
【0025】先に記載されるように本発明のキットは、植物材料における有害生物防除剤/除草剤による傷害を測定するのに用いられてよい。各キットは、適切な成長培地を含有し、予備接種してある培養プレート/デッシュ、ならびに一つもしくは複数の微生物株を含む領域を含み、そしてこれには植物材料の抽出を実行し、かつ培養プレート/デッシュへの適用のための抽出物を調達するための溶媒およびガラス器具もしくはプラスチック器具、塩酸、酢酸、もしくは代謝産物における酵素活性を最小にするpHの緩衝溶液が付随する。
【0026】代表的抽出用溶媒は、限定するものではないが、塩酸稀釈溶液、典型的に緩衝化された塩酸、酢酸、もしくは代謝産物における酵素活性を最小にするpHの緩衝溶液を含む。
【0027】典型的にはキットは更には、例えばピペットおよびアプリケーターのような、抽出物の調製および培養プレート/ディッシュへの抽出物の適用を容易にするための様々な装置/用具を、抽出物が既に適用された後の培養プレート/ディッシュの汚染を防止するための蓋/カバーと共に含んでもよい。典型的には、適切な使用説明書も、インキュベーションの結果の解釈を容易にするための標準物質と共に含まれる。
【0028】本発明のアッセイの実施の際に用いられる実際の装置は当然のことながら、アッセイが実施される特別な状況に従って変化してよい。従って、当該分野において実施されるアッセイは、培養物用でありかつディスポーザブルという性質を有する、一層移動性に富む種類の支持材を利用してよい一方で、この方法の検査室使用のために設計されたアッセイは典型的には、再使用および/またはリサイクルすることができるガラス器具および/または装置を利用する。
【0029】この系は非常に簡潔であり、日常的な微生物学的処理法に用いられるいずれかの標準プレートおよび標準培地を用いる。各株についての引用文献に既に記載されている代謝障害以外では個々の株についての特別な用件は存在しない。
【0030】M9アガー培地を含有する3つのウエルを含む典型的なシステムが図3に示される。これらのウエルの中央には一晩成長させた大腸菌(coli)細胞の適切な株の1:1000希釈物の10μlアリコートを入れる。これらのウエルは使用するまで4℃で保存することができる。代謝産物(例えばシキメート)の標準溶液を陽性対照として一つのウエルに適用し、そして未処理および処理した植物からの抽出物を他の2つのウエルに適用させる。その後にこのプレート、室温もしくは37℃下に24時間おいておき、細菌を増殖させる。処理を施したプレートからの抽出物を含有するウエル内の細胞の成長は、大腸菌(coli)の成長を補足する代謝産物の存在を意味する。
【0031】先に論議される検査技術に従うと、ある種のこういったキットは、本発明の方法における使用のための特定の微生物株を含有する少なくとも一つの培養培地を含む。一層具体的には好ましいキットは例えば、植物材料におけるグリホサートの使用を検出するために用いることができる大腸菌(coli)のAB2826株(aroB351)を含んでよい。
【0032】好ましい態様では植物材料の試料は、その植物材料が露出されていた除草剤/有害生物防除剤を同定するために複数の株について検査する。
【0033】以下の表は、様々な種類の除草剤を検出するのに用いることができる多種多様の株を説明する。
【0034】
表1 検出される除草剤AB2826 グリホサートHE628 グリホサートMI262 Hoe 704MI262 IpOHA(N−ヒドロキシ−N−イソプロピルオキサメート)MF2000 Hoe 704MF2000 IpOHA(N−ヒドロキシ−N−イソプロピルオキサメート)CU5125 イミダゾリノン除草剤CU5125 スルホニル尿素除草剤CU5125 トリアゾロピリミジンスルホンアミド除草剤CU5125 ピリチオバック除草剤本発明は以下の実施例の引用により、よりよく理解されるが、以下の実施例は本発明を説明するものであって、本発明を制限することを意図するものではない。当然のことながら前述の製剤は説明としてのものであって、当該技術分野の範囲内で変更してよく、そして本発明の実地のための最善の様式を提示する義務を履行するという意味で本明細書に掲載される。
【0035】
【実施例】実施例1植物材料。トウモロコシ植物を温室内もしくは外の畑で人工鉢植え用混合物中で生育させた。違った年齢の植物を、本明細書中これ以降に記載される多種多様の実験用に用いた。植物の活発に成長する部分、すなわちトウモロコシの若枝の下部を用いて抽出物を調製した。
微生物株。大腸菌(coli)のAB2826株(aroB351)は、オーストラリア、ビクトリア州、パークビルのメルボルン大学、A.J.Pittard教授から賜った。細胞は1mMのシキメートの存在下、M9培地中で維持した。
除草剤処理および植物抽出。トウモロコシの若枝にグリホサートの市販製剤を750g/haの割合で噴霧した。植物材料を液体窒素中で挽き、そしてその後には更に1:1の割合で0.25N HCl(組織重量/抽出用緩衝液の容積)中で挽いた。この抽出物を25,000gで15分間遠心分離にかけた。この上清を回収し、そして分光アッセイ用には直接用い、あるいは0.22μの注射器を通すことにより滅菌してから大腸菌(coli)を用いるアッセイ用に用いた。
シキメートの分光分析法による検出。シキメートはGaitondeおよびGordonの方法「A microchemical method for the detection and determination of shikimic acid」 J.Biol.Chem.,230:1043−1051,1958、の変法に従って検出した。検査試料のアリコート(10〜50μl)を過ヨウ素酸の1%溶液の0.5mlに混ぜてシキミ酸を酸化した。3時間後、0.5mlの1N NaOHを添加し、混合し、そして0.3mlの0.1M グリシンを即座に添加した。この溶液を完全に混ぜ、そして380nmでの光学密度を即座に測定した。
大腸菌(coli)を用いるシキメートの決定。大腸菌(coli)のAB2826株は、1mMシキメートを含有するM63培地内で一晩増殖させた。この細胞を遠心分離により回収し、そして培地を棄却した。この細胞を蒸留水を用い、ボルテックスミキサーによる混合および遠心分離により2度洗浄した。その後にこの細胞を一晩培養してから当初の濃度の1000倍に希釈した。これらの細胞のアリコート(10μl)を、M9培地、ならびに未処理植物および処理を施した植物からの抽出物の様々な量を含有するアガープレート上に置いた。
【0036】未処理植物およびグリホサートで処理した植物からの試料を様々な時間に回収し、その試料中のシキメートレベルについての分析を行った。未処理植物では、図1のグラフに示されるように、その試料中のシキメートの量は無視できる程度であった。それとは対照的に、シキメートの濃度はグリホサート処理後の時間増加と共に増加した。
【0037】大腸菌(coli)のAB2826株は、未処理植物から調製した抽出物を含有するM9アガー培地上では増殖しなかった。分光分析法によるアッセイと一致し、この結果は、未処理植物は極低レベルのシキメートを有することを示す。それとは対照的に、グリホサート処理した植物から調製した抽出物は1μlという低濃度でも大腸菌(coli)のAB2826株を増殖させた。従ってこの結果により、グリホサート処理した植物はグリホサート露出の指示薬として利用することができる高レベルのシキメートを含むという分光分析法によるアッセイからの結果が立証される。
【0038】実施例2異なる経路の異なる酵素が欠損している大腸菌(coli)もしくは他の微生物の特定の株を用い、酵素阻害の結果である多種多様の代謝産物を同様に検出することができる。例えば、グリホサート−耐性もしくはグリホサート−寛容であるトウモロコシは大腸菌(coli)のAB2826株の増殖は支援せず、従って低レベルのシキメートを示す。培養アッセイの使用により、この決定に関してはシキメートの分光分析アッセイの必要性は回避される。
【0039】ある所定の酵素を阻害することが知られるある特別な種類の除草剤に対する、ある所定の農業用穀類の耐性を決定するには、植物材料の抽出物を、対応する酵素欠失微生物を成長させるかどうかを決定するためにアッセイすることができる。もしその微生物培養物が成長するのであれば、その穀物はその特定の酵素阻害特性を示す除草剤/有害生物防除剤に対して感受性を示すことになる。
【0040】従って更には、植物材料が露出されていた特定の種類の有害生物防除剤は、単一培養物プレート上に酵素欠失株のグループを置き、そしてそれらを検査にかけられる植物材料の抽出物と共にインキュベートすることにより決定することができる。どの種類の有害生物防除剤がある特定の株を成長させるか(既知の有害生物防除剤で予め検査することによる)を知ることにより、その植物が露出されていた未知の有害生物防除剤の性質および/または素性を決定することができる。
【0041】以下に本発明の主な特徴または態様を示す。
【0042】1.疑わしい有害生物防除剤にさらされることによりもたらされる植物、昆虫、もしくは病原体における傷害の決定方法であって、a)植物、昆虫、もしくは病原体の部分の抽出物を調製すること;
b)前記調製物で酵素欠失微生物培養物を接種すること;
c)標準時間の間その培養物をインキュベートすること;
d)対照もしくは標準酵素欠失微生物培養物をインキュベートすること;ならびにe)有害生物防除剤にさらされることによる傷害の種類および程度を評価する目的で前記対照物もしくは標準物のいずれかとの比較によりその微生物の成長量を評価すること:を含んでなる方法。
【0043】2.酵素欠失微生物培養物が、大腸菌(E. coli)のilv-(MI262)株:CGSC#5769、pro B-株CGSC#4513、Δ[his-gnd](WB353)株、ilv-(MF2000)株、gln A-(A318)株、ΔaroG ΔaroF(HE628)株、ribB-およびribA株、ilvA-(CU5125)株からなる群より選ばれる前記1記載の方法。
【0044】3.方法が2種以上の酵素欠失微生物培養物を用いて繰り返されて、植物がさらされた有害生物防除剤の一般的な種類が同定される前記1記載の方法。
【0045】4.方法が複数検査を実施可能にするために単一培養物装置上の各種培養物を用いて行れる前記1記載の方法。
【0046】5.特定の種類の有害生物防除剤の効果に対して耐性を示す植物材料の同定方法であって、a)前記種類の有害生物防除剤により示される酵素阻害の種類に相関する酵素欠失微生物株を選択すること;
b)前記植物材料の部分の抽出物を調製すること;
c)前記抽出物で前記酵素欠失微生物株の培養物を接種すること;
d)標準時間の間その培養物をインキュベートさせること;
e)対照もしくは標準酵素欠失微生物培養物をインキュベートさせること;ならびにf)前記種類の有害生物防除剤/除草剤にさらすことによる傷害に対する植物材料の耐性の存在および程度を評価する目的で前記対照物もしくは標準物のいずれかとの比較によりその微生物の成長量を評価すること:を含んでなる方法。
【0047】6.有害生物防除剤の種類がイミダゾリノンまたはスルフォニル尿素系除草剤であり、そして酵素欠失微生物株がスレオニンデアミナーゼに欠失を有する前記5記載の方法。
【0048】7.酵素欠失微生物株が大腸菌のCU5125株である前記6記載の方法。
【0049】8.有害生物防除剤がグリホサートであり、そして酵素欠失微生物株がEPSPシンターゼに欠失を有する大腸菌株である前記5記載の方法。
【0050】9.酵素欠失株が、1999年3月16日付でアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)に寄託され、受託番号202209をもつ大腸菌(aroB351)のAB2826株である前記8記載の方法。
【0051】10.有害生物防除剤の作用様式の決定方法であって、a)有害生物防除活性が観察される植物、昆虫、もしくは病原体に前記有害生物防除剤を適用すること;
b)前記植物材料の成長部分の抽出物を調製すること;
c)前記抽出物で酵素欠失微生物株の培養物を接種すること;
d)標準時間の間前記培養物をインキュベートすること;前記培養物中では欠失している酵素の阻害を通して、有害生物防除活性が前記微生物株の酵素欠失と矛盾しないかどうか、および培養物の成長の検出が有害生物防除/除草活性の存在を示すかどうかを決定する目的で前記培養物に対する前記抽出物の効果を観察すること:を含んでなる方法。
【0052】11.酵素欠失微生物株がスレオニンデアミナーゼに欠失を有する前記10記載の方法。
【0053】12.酵素欠失微生物株がEPSPシンターゼに欠失を有する大腸菌株である前記10記載の方法。
【0054】13.前記1記載の方法の連続的かつ反復使用を含んでなる農作物に対する傷害を防ぐために農作物への有害生物防除剤の施用の調節方法。
【0055】14.農作物に対する有害生物防除剤の傷害の量を評価および/または定量するための試験キットであって、a)植物材料内の酵素阻害を通して、ある特定の種類の有害生物防除剤の効能に対して関するように選択された酵素欠失微生物培養物;
b)他の試薬;ならびにc)キットの使用のための説明書:を含んでなる検査用キット。
【0056】15.酵素欠失微生物株がスレオニンデアミナーゼに欠失を有する大腸菌である前記14記載の検査用キット。
【0057】16.酵素欠失微生物株がEPSPシンターゼに欠失を有する大腸菌株である前記14記載の検査用キット。
【0058】17.イミダゾリノンまたはスルホニル尿素型の酵素阻害を検出するための前記14記載の検査用キット。
【0059】本発明は、本明細書に記載される精神もしくは主要な特徴から逸脱することなく他の形態で実施されるか、もしくは他の方法で実行されてよい。本開示は全ての点に関して説明として見なされるべきであって、制限的なものではなく、そして本発明の範囲は添付される請求項により示され、そして等価物を意味し、かつ等価物の範疇に含まれる全ての改変物は本発明の範囲に包含されることを意図する。
【出願人】 【識別番号】591000791
【氏名又は名称】アメリカン・サイアナミド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AMERICAN CYANAMID COMPANY
【出願日】 平成12年3月30日(2000.3.30)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉
【公開番号】 特開2000−290116(P2000−290116A)
【公開日】 平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願番号】 特願2000−94191(P2000−94191)