| 【発明の名称】 |
種子消毒剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】永塚 隆由
【氏名】菊地 勝正
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| 【要約】 |
【課題】低薬量で、種子伝染性糸状菌病と細菌病を同時に防除できる種子消毒剤を提供する.
【解決手段】2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1−シクロペンタノールと、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩とを有効成分として含有する種子消毒剤を使用することにより、有効成分量を低減させることが可能になった。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】化1の構造式(I)の2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1−シクロペンタノールと、化2の構造式(II)のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩を有効成分として含有する種子消毒剤。[構造式(II)において、nは1〜3の整数を示す。Xは、サルフェート、クロライド、ホスフェートおよびホスファイトなどのアニオンを示す。] 【化1】
【化2】
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、化1の構造式(I)の2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1−シクロペンタノールと、化2の構造式(II)のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩を有効成分として含有する種子消毒剤を有効成分として含有する種子消毒剤に関する。 【0002】 【従来の技術】水稲の機械移植の普及に伴い、箱育苗期間中の健苗の育成が重要になっている。近年、従来から問題とされていた糸状菌によるイネばか苗病、いもち病、ごま葉枯病に加え、イネもみ枯細菌病、立枯細菌病、掲条病などの細菌病の発生が大きな問題となりつつある。 【0003】一方、育苗期間中の病害防除には、種子消毒が極めて効果的であり、従来、種子伝染性病害を防除するため、ベノミル剤、チオファネートメチル剤、チウラム剤、銅剤、トリフルミゾール剤、ペフラゾエート剤、或はそれらの混合物が使用されている。しかしながら、従来用いられている種子消毒剤は、問題が残されている。例えば、従来幅広く使用されてきたベンズイミダゾール系薬剤については、病原菌の一部に耐性菌が出現し、防除効果の低下が報告されている.ベンズイミダゾール系薬剤耐性菌にも有効な薬剤として、トリフルミゾール剤、ペフラゾエート剤などのエルゴステロール生合成阻害剤(EBI剤)が使用され始めたが、エルゴステロール生合成阻害剤は、糸状菌病に高い効果を示すものの、細菌病に効果が期待できないことから、従前の混合剤より抗菌スペクトルが狭まり、不満足な点が残されていた。また、細菌病剤としては次亜塩素酸カルシウム剤、銅剤、ピリドンカルボン酸系薬剤などが実用に供されているが、効果が充分でないこと、選択性に難があること、さらに数種の薬剤との混合には濃度が高く、溶液の調製が困難な問題があった。 【0004】 【本発明が解決しようとする課題】そこで、糸状菌病に加えて、細菌病にも効果を示す、抗菌スペクトラムが広く、かつ、これらの病害を同時に防除し、上記耐性菌に対しても安定した防除効果を示す低薬量の種子消毒剤を開発することが求められていた。本発明は、この様な実情に鑑みてなされたものである。したがって、本発明の目的は、抗菌スペクトラムが広く、上記耐性菌に対しても安定した病害防除効果を示す低薬量の種子消毒剤を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者は研究を重ねた結果、特定の2つの有効成分を組み合わせて使用すると上記の目的を達成でき、かつ、病害の防除効果に相乗的作用を持つことを見いだし、本発明を完成するに至った。したがって、本発明の種子消毒剤は、化1の構造式(I)の2−(4−クロロベンジル)−5−イソプロピル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)−1−シクロペンタノール[以下において、化合物(A)と記載する]と、化2の構造式(II)のテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩[以下において化合物(B)と記載する]を有効成分として含有することを特徴とする。テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム塩において、nは、1〜3の整数を示し、Xは、サルフェート、クロライド、ホスフェートおよびホスファイトなどのアニオンを示す。特に望ましい、nとXとの組み合わせは、nが2、Xがサルフェートである。 【化1】
【化2】
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本発明種子消毒剤の有効成分の一つである化合物(A)は、上記構造式(I)で示されるものであり、特開平1−93574公報に記載の化合物であり、各種作物のうどんこ病、さび病、果樹の赤星病、黒星病、イネのばか苗病、いもち病、ごま葉枯病等に優れた防除効果を示すことが知られている。 【0007】一方、本発明の種子消毒剤の有効成分の他の一つである化合物(B)は細菌類、真菌類、藻類に対し広い活性スペクトラムを持った化学物質として知られている。(特開昭62−114903号公報、特開昭63−305989号公報、特公平5−50481号公報)。例えば、工業用水中の水生微生物の生長抑制剤として利用されてきた。しかしながら、化合物(A)と化合物(B)とを混合して、種子消毒剤として使用することは知られていなかった。 【0008】本発明によれば、化合物(A)と化合物(B)を有効成分として併用すると、細菌病と糸状菌病を含め抗菌スペクトラムがひろく、耐性菌に対しても安定した効果を示すとともに、その防除効果は、それぞれ単独で使用した場合に比して相乗的に優れている。本発明の種子消毒剤において、化合物(A)と化合物(B)との混合比は、重量で、好ましくは、1:0.1〜1:200の範囲であり、より好ましくは1:0.5〜1:30の範囲で用いられる。 【0009】本発明の種子消毒剤を使用するには上記有効成分をそのままで用いることもできるが通常担体と混合し、製剤化して使用する.また、必要に応じて、さらに各種の製剤用補助剤、例えば、界面活性剤、湿展剤、固着剤、増粘剤、安定剤等を添加して、水和剤、粉剤、フロアブル剤等の剤型に製剤して用いることができる。 【0010】本発明の種子消毒剤において、上記有効成分を担体と混合する場合、その含量は、通常、重量比で0.1〜80%の範囲である。上記製剤の担体としては、カオリン、アッタパルジャイト、ベントナイト、酸性白土、バイロフィライト、タルク、珪藻土、方解石、クルミ粉、尿素、硫酸アンモニウム、合成含水酸化ケイ素等の微粉末或は粒状物の固体担体、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素、イソプロパノール、エチレングリコール、セルソルブ等のアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン、大豆油、綿実油等の植物油、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、水等の液体担体があげられる。 【0011】乳化、分散、湿展等のために用いられる界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリカルボン酸型高分子等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤等があげられる。製剤用補助剤としては、リグニンスルホン酸塩、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、アラビアガム、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PAP(酸性リン酸イソプロピル)、キサンタンガム等があげられる。 【0012】本発明の種子消毒剤を種子処理する場合は、製剤を水で希釈して、有効成分濃度が50〜10000ppmの溶液を調製し、この溶液に種子を浸漬して使用することができる。また、粉末状または液状の製剤そのものもしくは10倍までの範囲で水で希釈したものを、種子粉衣・吹き付け・塗沫処理して用いることができる。種子粉衣・吹き付け・塗沫処理する場合の使用量は、通常、乾燥種子重量の0.05〜5%が適当であるが、このような使用量は、製剤の形態や被処理作物種子の種類によっても変わりうる。さらに本発明の種子消毒剤を、ヒドロキシイソキサゾール等の他の殺菌剤と混合使用することにより、より広範囲の種子伝染性病害を防除することができる。また、チウラム、カスガマイシン、チアベンダゾール、カルベンダジム、キヤプタン、プロベナゾール、ベノミル、チオファネートメチル、トリフルミゾール、プロクロラズ、ペフラゾエート、フルジオキソニル等と混用することもできる. 【0013】本発明の種子消毒剤が有効な病害の具体例としては、イネのいもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolusmiyabeanus)、ばか苗病(Gibberella fujikuroi)、もみ枯細菌病(Burkholderia glumae)、苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、褐条病(Pseudomonas avenae)、稲こうじ病(Claviceps virens)、コムギの葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、なまぐさ黒穂病(Tilletiacaries)、裸黒穂(Ustilago nuda)、苗立枯病(Fusarium sp.)、黒目粒(Cochliobolus sativus)、オオムギの斑葉病(Pyrenophora graminea)、裸黒穂病(Ustilago nuda)、網斑病(Pyrenophora teres)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、堅黒穂病(Ustilago hordei)、なまぐさ黒穂病(Tilletia controversa)等があげられる。 【0014】 【実施例】以下に、本発明を試験例によって詳細に説明する。化合物(B)としては、硫酸塩(以下において、THPSと記載する)を用いて試験を行った例を示す。 製剤例1(水和剤) 化合物(A)5部、THPS5部、リグニンスルホン酸塩5部、アルキルスルホン酸塩3部、珪藻土82部をよく粉砕混合することにより、有効成分10%を含有する水和剤を得た。 【0015】製剤例2(懸濁剤) 化合物(A)0.4部、THPS 10部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル0.5部、キサンタンガム0.5部、ポリカルボン酸型高分子活性剤(デモールEP(登録商標))1.5部、エチレングリコール8部、水79.1部を混合し、混合物の粒度が5ミクロン以下になるまで湿式粉砕することにより、有効成分10.4%を含有する懸濁剤を得た。 【0016】試験例1(イネもみ枯細菌病に対する種子消毒効果試験) イネもみ枯細菌(Burkholderia glumae)接種籾を製剤例1に準じて調製した水和剤で、24時間浸漬処理を行ない、その後、育苗培土を詰めたプラスチック製ポットにポットあたり4.5 gづつ2ポットに播種した。ついで育苗器内で3日間30℃に保持した後、温室内で14日間栽培し、発病状態を調査し、罹病度を式1により算出した。なお、罹病度0は罹病していないことを意味し、罹病度100は薬剤無処理対照群の場合と同じであることを意味する。 【式1】
【0017】この試験において、使用した活性化合物間の相乗効果を説明するための一助として上記試験の結果をコルビー(R.S.Colbey)により、ウイーズ(Weeds)、第15巻、20〜22頁(1967年)に記載されている方法により評価した。期待される罹病度E(指数)は式2にしたがって計算した。式2において、XおよびYは、2つの活性化合物の調製液を別個に適用した場合の罹病度(指数)を表わし、Eは活性化合物の混合物を適用した場合に期待される罹病度を表す。 【式2】
実際に観察される罹病度が、式2でもとまる、期待される罹病度(E)よりも小さければ相乗効果があることを意味する。 【0018】結果を表1に示す。 【表1】
【0019】試験例2(イネばか苗病菌感染籾に対する種子消毒効果) イネばか苗病菌(Gibberella fujikuroi)をイネの開花期に接種して得た感染籾を、製剤例2に準じて調製した懸濁剤で、24時間処理を行ない、種子を風乾後、駒田培地上に培地1枚あたり30粒置床した。25℃で5日間培養後ばか苗病菌が生育した籾の数を数え、感染籾率を求めた。試験例1と同様に罹病度を式3により算出した。なお、罹病度0は罹病していないことを意味し、罹病度100は薬剤無処理対照群の場合と同じであることを意味する。 【式3】
【0020】結果を表2に示す。 【表2】
【0021】 【発明の効果】本発明の種子消毒剤は、種々の種子伝染性の病害に対し、高い効果を発揮し、それぞれの有効成分を単独で使用した場合の効果を上回り、有効成分量を低減させることが可能である。また、抗菌スペクトルが広く、種子消毒時の作業を軽減すると同時に、育苗期間中に問題となる病害の発生を抑えることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001100 【氏名又は名称】呉羽化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月8日(1999.4.8) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−290113(P2000−290113A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月17日(2000.10.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−139024 |
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