| 【発明の名称】 |
抗菌剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮地 寿明
|
| 【要約】 |
【課題】従来使用されている抗菌剤は、耐水性や徐放性を有していないため、住宅設備部材には使用できないという課題を有している。
【解決手段】カビに対し効果のあるベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物5を無機層状化合物4に吸蔵させて、防カビ効果があって、かつ耐水性、徐放性に優れた抗菌剤としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 無機層状化合物にベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物を吸蔵させた抗菌剤。 【請求項2】 無機層状化合物は、シリカまたは酸素またはアルミまたはリンまたはジルコニウムまたはナトリウムまたはカリウムを含有している請求項1に記載した抗菌剤。 【請求項3】 無機層状化合物はモンモリロナイトを主成分とする精製ベントナイトによって構成した請求項1または2に記載した抗菌剤。 【請求項4】 抗菌剤はテトラエトキシシランでコーティングした請求項1から3のいずれか1項に記載した抗菌剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、工業用の抗菌剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】抗菌剤と呼ばれるものは市場に氾濫しているが、カビ(カビ)に効果があり、かつ住宅設備部材に適用できる耐水性、徐放性に優れたものはほとんど存在しない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前記したように、従来使用されている抗菌剤は、耐水性や徐放性を有していないため、住宅設備部材には使用できないという課題を有している。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、カビに対し効果のあるベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物を吸蔵させた抗菌剤を無機層状化合物に吸蔵させて、防カビ効果があって、かつ耐水性、徐放性に優れた抗菌剤としているものである。 【0005】 【発明の実施の形態】請求項1に記載した発明は、カビに対し効果のあるベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物を吸蔵させた抗菌剤を無機層状化合物に吸蔵させて、防カビ効果があって、かつ耐水性、徐放性に優れた抗菌剤としているものである。 【0006】請求項2に記載した発明は、無機層状化合物は、シリカまたは酸素またはアルミまたはリンまたはジルコニウムまたはナトリウムまたはカリウムを含んでいる構成として、層中にベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物を安定的に吸蔵でき、永続性の高い、耐水性や徐放性に優れている抗菌剤としているものである。 【0007】請求項3に記載した発明は、無機層状化合物は、モンモリロナイトを主成分とする精製ベントナイトを含んでいる構成として、材料の入手が容易にでき、耐水性や徐放性に優れている抗菌剤としているものである。 【0008】請求項4に記載した発明は、抗菌剤はテトラエトキシシランでコーティングした構成として、特に徐放性に優れた抗菌剤としているものである。 【0009】 【実施例】以下本発明の実施例について説明する。図1は本実施例の抗菌剤の構造を説明する構成図である。1はシリカの分子を、2はアルミの原子を、3は酸素の分子を示しており、シリカの分子1とアルミの原子2は酸素の分子3を共有している。また、前記シリカの分子1とアルミの原子2と酸素の分子3とが構成している無機層状化合物4は、ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5を吸蔵している。 【0010】この無機層状化合物4は、通常状態での分子幅は2.3Å程度である。この無機層状化合物4に吸蔵される化合物は、できるだけ分子径の小さなものがよい。すなわち、分子径が小さいほどその有効成分が多く吸蔵されることとなる。分子径が大きくなると、吸蔵される絶対量が少なくなり、効果が発揮されにくくなる。 【0011】発明者らは、この吸蔵物質としてベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5が適していることを発見しているものである。ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5は(化1)に示している組成を有している。 【0012】 【化1】
【0013】ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5の分子径は18Å程度である。発明者らの実験によれば本実施例のベンズイミダゾール骨格を有する化合物5を吸蔵させると、この分子幅が35Å程度に拡大するものである。換言すれば、このように分子幅が拡大されるために前記ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5が容易に吸蔵されるものである。ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5は、カビの発生を防止できる効果を有しているものである。 【0014】以下本実施例の抗菌剤の製造方法について説明する。シリカまたは酸素またはアルミまたはリンまたはジルコニウムまたはナトリウムまたはカリウムを含んでいる無機化合物、あるいはモンモリロナイトを主成分とする精製ベントナイトを含んでいる無機化合物と、ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物とをエタノール等の溶液中に浸漬して、適切な時間例えば10分間が経過した後、溶液から引き上げて、100℃以上で例えば3時間程度乾燥する。この乾燥によって、余分な水は蒸発し、前記シリカとアルミナとは酸素の分子を共有した無機層状化合物4を形成するものである。また、この無機層状化合物4間に、ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5が吸蔵されるものである。 【0015】また、前記ベンズイミダゾール骨格を有する有機化合物5をテトラエトキシシランでコーティングしたものを同様に抗菌成分として使用することもできる。テトラエトキシシランコーティングを行うことによって、徐放性が向上するものである。このコーティングは、テトラエトキシシランにエタノールを加えたものに、前記抗菌剤を加え、さらに精製水を添加して、ゾルゲル反応を起こさせることによって行うものである。 【0016】つまり、テトラエトキシシランコーティングを行うことによって、抗菌剤とこの抗菌剤を含有させる樹脂との間の密着性を高めることができるものである。 【0017】(実験例)以下本実施例の抗菌剤の効果を検証する実験の結果について報告する。実験に使用したサンプルは、本実施例によって作成した抗菌剤をポリプロピレン樹脂中に1wt%加え、ポリプロピレン樹脂を射出成型することによって作成しているものである。このとき、比較品として前記抗菌剤を使用せずに成型したものを使用している。防かび効果はクロカビ(Aspergillus niger)、クロカワカビ(Cladosporium cladosporides)、アオカビ(Penicillium funiclosium)の胞子を混濁した栄養培地にサンプル片をのせ、ハローの形成の有無を見ることによって行っている。一般的に、ハロー試験はハローが形成されるとハローの大きさには関わりなく効果有りと判断できるものである。また前記試験は、成型直後の時点と、耐久試験終了時点のものについて行っている。耐久試験は、サンプルを90℃の温水中に8時間浸漬するものである。この耐久試験は、抗菌効果の永続性を評価するために行っているものである。この試験の結果を表1に示している。 【0018】 【表1】
【0019】表1から分かるように、本実施例の抗菌剤を使用したサンプルは、もちろん耐久試験前の初期状態では絶大な効果があり、耐久試験を実施した後も指数値で4桁の減少を見ることができ、大きな効果を継続しているものである。 【0020】なお、テトラエトキシシランコーティングを行ったサンプルを走査型電子顕微鏡を使用して樹脂表面を観察すると、樹脂と抗菌剤との間に間隙はほとんど存在しないことが確認された。つまり、テトラエトキシシランコーティングを行うことによって、基材との間の密着性が高まって、抗菌成分の溶出が徐放的となるものである。つまり永続的な抗菌効果が期待できるものである。 【0021】 【発明の効果】請求項1に記載した発明は、無機層状化合物にベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物を吸蔵させた構成として、防カビ効果があって、かつ耐水性、徐放性に優れた抗菌剤を実現するものである。 【0022】請求項2に記載した発明は、無機層状化合物は、シリカまたは酸素またはアルミまたはリンまたはジルコニウムまたはナトリウムまたはカリウムを含有している構成として、層中にベンズイミダゾール骨格を有する有機系化合物を安定的に吸蔵でき、永続性の高い、耐水性や徐放性に優れている抗菌剤を実現するものである。 【0023】請求項3に記載した発明は、無機層状化合物はモンモリロナイトを主成分とする精製ベントナイトによって構成して、材料の入手が容易にでき、耐水性や徐放性に優れている抗菌剤を実現するものである。 【0024】請求項4に記載した発明は、抗菌剤はテトラエトキシシランでコーティングした構成として、特に徐放性に優れた抗菌剤を実現するものである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年3月31日(1999.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097445 【弁理士】 【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−290106(P2000−290106A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月17日(2000.10.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−92561 |
|