| 【発明の名称】 |
リンゴの摘花剤及び摘花方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】川村 啓太郎
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| 【要約】 |
【課題】散布面に皮膜を形成することがなく、農薬等の効果を殺ぐおそれのないリンゴの摘花剤と摘花方法を提供すること。
【解決手段】クエン酸を希釈して開花6日目頃にリンゴに散布すると、短果枝頂芽及び中果枝頂芽の中心花は摘花せずに(結実させる)、それ以外の花を効率よく摘花できる。1000〜10000倍の希釈で摘花効果を発揮するので程度で、酸の使用量はごくわずかで済む。散布によって樹皮や葉面に被膜を形成しないので、その散布後に農薬等を散布した場合にも、皮膜が原因となって農薬等の効果が減じられることはない。リンゴの樹皮や葉が損傷するおそれもない。このような希釈倍率であれば人体に付着しても安全である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸を有効成分とするリンゴの摘花剤。 【請求項2】 前記酸は有機酸であることを特徴とする請求項1記載のリンゴの摘花剤。 【請求項3】 前記有機酸は、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、プロピオン酸のいずれかであることを特徴とする請求項2記載のリンゴの摘花剤。 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか記載の摘花剤を頂芽の中心花の満開よりも後に散布することを特徴とするリンゴの摘花方法。 【請求項5】 請求項4記載の摘花方法において、前記散布を短果枝頂芽の側花の満開期に実施することを特徴とするリンゴの摘花方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、リンゴの摘花剤及び摘花方法の技術分野に属する。 【0002】 【従来の技術】リンゴの栽培に当たっては、養分の過剰消耗を防ぎ果実の発育を促す目的で、摘花による果実数の制限が行われている。摘花の方法として花をつみとる方法があるが、この方法は、早期摘花や省力化が困難であったので、あまり行われていない。 【0003】一方、石灰硫黄合剤を摘花剤として散布する方法があり、この方法は省力化の点では優れている。石灰硫黄合剤は、硫黄の殺菌力によって花芽の受精を妨げることで、摘花効果を発揮するもので、100倍程度の希釈液を開花時に噴霧器などで散布していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、石灰硫黄合剤は水溶性ではなく、これを水に分散させたものは懸濁液であって、散布された樹皮や葉面に被膜を形成しやすい。そのため、石灰硫黄合剤の散布後に農薬等を散布した場合に、その被膜によって農薬等の効果が減じられることがあり、例えば結実した果実などを細菌や害虫から保護する目的で農薬を散布しても十分な効果が得られないこともあった。 【0005】本発明は、散布面に皮膜を形成することがなく、農薬等の効果を殺ぐおそれのないリンゴの摘花剤と摘花方法を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための請求項1記載のリンゴの摘花剤は、酸を有効成分としている。請求項2記載のリンゴの摘花剤は、請求項1記載のリンゴの摘花剤において、前記酸は有機酸であることを特徴としている。 【0007】請求項3記載のリンゴの摘花剤は、請求項2記載のリンゴの摘花剤において、前記有機酸は、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、プロピオン酸のいずれかであることを特徴としている。請求項4記載のリンゴの摘花方法は、請求項1ないし3のいずれか記載の摘花剤を頂芽の中心花の満開よりも後に散布することを特徴としている。 【0008】請求項5記載のリンゴの摘花方法は、請求項4記載の摘花方法において、前記散布を短果枝頂芽の側花の満開期に実施することを特徴としている。 【0009】 【発明の実施の形態】酸は、リンゴの花を「焼く」ことによって花芽の受精を妨げるので、摘花効果が発揮されると考えられる。酸を有効成分とする摘花剤は、酸の水溶液で十分であり、希釈倍率は、酸の種類にもよるが100〜10000倍が好ましい。したがって、酸の使用量はごくわずかで済むと言える。 【0010】また、酸は水溶性であるから、散布によって樹皮や葉面に被膜を形成しないので、その散布後に農薬等を散布した場合にも、皮膜が原因となって農薬等の効果が減じられることはない。しかも、リンゴの樹液のpH値は4.5程度の酸性であり、pH4程度までの酸性には十分に耐えるから、例えば樹皮や葉が損傷するおそれもない。特に、上述のような希釈倍率で使用するから、酸が樹皮や葉を損傷する可能性は事実上皆無といえる。また、このような希釈倍率で使用すれば、たとえ人体に付着しても安全である。 【0011】ところが、従来技術の石灰硫黄合剤は、pH10.6の強い塩基性であるため、樹皮や葉に悪影響を及ぼすおそれがあり、人体に悪影響をおよぼすこともあるので防護措置が必要で、取り扱いが面倒であった。なお、石灰硫黄合剤に配合されている生石灰の配合量を減らせばpHを中性近くにすることができるが、元々石灰は硫黄の薬害(葉が茶褐色にやける)を防止するための成分であり、石灰の配合量を減らした場合には、硫黄の薬害が顕著になる。 【0012】リンゴの摘花剤に使用できる酸には特に制限はなく、燐酸等の無機酸、クエン酸等の有機酸のいずれでもよい。ただし、安全性を考慮すると、塩酸、硫酸、硝酸等の強酸の使用は好ましくない。したがって、好ましいのは弱酸である。請求項2記載のリンゴの摘花剤は、有機酸を有効成分としているが、有機酸の多くは弱酸であるから、安全性から見て好ましい。 【0013】特に、請求項3に記載されるクエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、プロピオン酸は、食品添加が認められている有機酸であるから、とりわけ安全であると言える。請求項4記載のリンゴの摘花方法では、請求項1ないし3のいずれか記載の摘花剤を用いるので、請求項1ないし3について述べた効果を得られる。 【0014】また、この摘花方法においては、頂芽の中心花の満開よりも後に摘花剤を散布する。リンゴの場合、1つの花芽には1つの中心花と複数の側花が含まれており、まず中心花が咲き、やや遅れて側花が咲く。花芽は、その位置(枝)によって、短果枝頂芽、中果枝頂芽、長果枝頂芽、えき花芽に分類でき、図1に示すように、短果枝頂芽、中果枝頂芽、長果枝頂芽、えき花芽の順に咲き始める。また、一般に開花が早い枝ほど良果となる傾向にあり、1つの花そう(中心花と側花の集合)では中心花の果実が優れている。したがって、良果を得るには、短果枝頂芽及び中果枝頂芽の中心花を結実させ、それ以外は摘花するのがよい。 【0015】そのためには、頂芽の中心花の満開よりも後に摘花剤を散布するのが良いから、請求項4記載のリンゴの摘花方法では摘花剤の散布時期を頂芽の中心花の満開よりも後にしている。特に短果枝頂芽及び中果枝頂芽の中心花を結実させ(摘花せず)、それ以外を摘花するには、図1に示すところからも明らかなように、摘花剤の散布を短果枝頂芽の側花の満開期(中果枝頂芽の中心花の満開から2〜3日後)に実施するのが良い。そして、請求項5記載の摘花方法においては、摘花剤の散布時期をこの時期(短果枝頂芽の側花の満開期、中果枝頂芽の中心花の満開から2〜3日後)に限定している。 【0016】さらに、短果枝頂芽の側花の満開期から2〜3日後にえき花芽の中心花の満開期がくるので、この時期に合わせて2回目の摘花剤の散布を実施すれば、より良好な結果が得られる。次に、本発明の実施例を説明することにより発明の実施の形態をより具体的に説明する。 【0017】 【実施例】クエン酸を1000倍に希釈して摘花剤とし、これをリンゴ樹(品種:つがる)の中果枝頂芽の中心花の満開から2〜3日後に1回目の散布を実施し、その2〜3日後に2回目の散布を行った。その結果、短果枝頂芽及び中果枝頂芽の中心花は良好に残り、他の花の多くを摘花できた。また、リンゴ樹にはクエン酸による障害等は認められなかった。 【0018】以上、実施例に従って、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。 【0019】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、請求項1記載のリンゴの摘花剤の有効成分としての酸は水溶性であるから、散布によって樹皮や葉面に被膜を形成しないので、その散布後に農薬等を散布した場合にも、皮膜が原因となって農薬等の効果が減じられることはない。 【0020】請求項2記載のリンゴの摘花剤は、有機酸を有効成分としているので、請求項1の効果を発揮する上に安全性もより高い。特に、請求項3に記載されるクエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、酢酸、酒石酸、プロピオン酸は、食品添加が認められている有機酸であるから、とりわけ安全であると言える。 【0021】請求項4記載のリンゴの摘花方法では、請求項1ないし3のいずれか記載の摘花剤を用いるので、請求項1ないし3による効果を得られる。また、この摘花方法においては、頂芽の中心花の満開よりも後に摘花剤を散布するので、良果が期待できる短果枝頂芽及び中果枝頂芽の中心花を結実させ、それ以外の花を的確に摘花できる。 【0022】特に、請求項5記載の摘花方法によれば、短果枝頂芽及び中果枝頂芽の中心花を結実させ、それ以外の花を摘花する効果を一層確実にできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000167897 【氏名又は名称】晃栄化学工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月5日(1999.4.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082500 【弁理士】 【氏名又は名称】足立 勉 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−290103(P2000−290103A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月17日(2000.10.17) |
| 【出願番号】 |
特願平11−97709 |
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