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【発明の名称】 抗菌性組成物
【発明者】 【氏名】大宮 武夫

【氏名】青砥 吉隆

【要約】 【課題】有機溶媒の多量使用なしに抗菌・耐水性を付与できる水性の抗菌性組成物を得る。

【解決手段】アニオン性の親水性高分子と抗菌性の第四級アンモニウムとの塩を用いた抗菌性高分子の水混和性有機溶媒に、水を添加して乳化分散し抗菌性組成物を得る。親水性高分子には親水性多糖類(カルボキシル基含有セルロース、カルボキシル基含有デンプン、ペクチン酸、アルギン酸及びこれらの誘導体など)又は親水性樹脂を含む。第四級アンモニウム塩には一般式1の化合物を使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抗菌性高分子、有機溶媒および水を含む乳化分散体で構成された抗菌性組成物であって、前記抗菌性高分子が、アニオン性の親水性高分子と、抗菌性を有する第四級アンモニウム塩との塩である抗菌性組成物。
【請求項2】 抗菌性高分子が、水混和性有機溶媒に可溶である請求項1記載の抗菌性組成物。
【請求項3】 親水性高分子のアニオン性基1モル当たり95〜100%が、第四級アンモニウム塩と塩を形成している請求項1記載の抗菌性組成物。
【請求項4】 親水性高分子が親水性多糖類又は親水性樹脂である請求項1記載の抗菌性組成物。
【請求項5】 親水性高分子が水溶性ホモグリカンである請求項1記載の抗菌性組成物。
【請求項6】 親水性高分子が、カルボキシル基含有セルロース、カルボキシル基含有デンプン、ペクチン酸、アルギン酸及びこれらの誘導体から選択された少なくとも一種である請求項1記載の抗菌性組成物。
【請求項7】 第四級アンモニウム塩が下記式(1)
【化1】

(式中、R1 〜R4 は同一又は異なって、飽和又は不飽和C1-30脂肪族炭化水素基、アラルキル基、モノ−又はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基を示すか、又はR1 〜R4 のうち2又は3つは窒素原子とともに異項環を形成してもよい。ただし、R1 〜R4 のうち少なくとも1つは飽和又は不飽和C10-30 脂肪族炭化水素基である。Xはハロゲン原子を示す)で表される請求項1記載の抗菌性組成物。
【請求項8】 式(1)において、R1 〜R4 のうち少なくとも1つが飽和又は不飽和C10-30 脂肪族炭化水素基であり、少なくとも1つがアラルキル基である請求項7記載の抗菌性組成物。
【請求項9】 カルボキシメチル基含有セルロース及びカルボキシメチル基含有デンプンから選択された少なくとも一種のカルボキシル基含有親水性高分子と第四級アンモニウム塩との塩、有機溶媒および水を含む乳化分散体で構成された抗菌性組成物であって、前記親水性高分子の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度が1.3以上である抗菌性組成物。
【請求項10】 抗菌性高分子を含む水混和性有機溶媒溶液に、水を添加して乳化分散させる抗菌性組成物の製造方法であって、前記抗菌性高分子が、アニオン性の親水性高分子と、抗菌性を有する第四級アンモニウム塩との塩である方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多量の有機溶媒を使用することなく、高い抗菌性を付与するのに有用な抗菌性組成物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アニオン性の親水性高分子と、抗菌性又は防カビ性などを有する第四級アンモニウム塩との塩を用いて、水に不溶性又は難溶性の抗菌剤が製造されている。
【0003】特公平7−14842号公報には、水に難溶又は不溶性のアルギン酸第四級アンモニウムを有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物に溶解させた溶液を対象物に塗布又は含浸させて防カビ殺菌性を付与する方法が開示されている。
【0004】特開昭64−22824号公報には、アクリル酸又はメタクリル酸の単独又は共重合体、カルボキシメチルセルロース(カルボキシメチル基置換度1.5〜2.5)、アルギン酸、ポリガラクツロン酸などの水に難溶性の高分子カルボン酸四級アンモニウム塩を含む抗真菌剤が開示されている。
【0005】特開平8−113507号公報には、カルボキシメチル基の置換度が0.4以上であり、銀含有率が0.01〜1重量%のカルボキシメチルセルロースを含む抗菌剤が開示されており、前記カルボキシメチルセルロースを架橋させて水不溶性とすることが記載されている。
【0006】特開昭62−56403号公報には、ポリアミノ・モノカルボン酸及び塩化ベンザルコニウムを主体とする殺菌剤と、この殺菌剤を保持する被膜形成材(カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、アルギン酸塩、ポリアクリル酸塩、酢酸ビニルの単体又は混合物など)と、溶剤(水、エタノールなど)とを含有する殺菌用散布剤が開示されている。
【0007】特公昭63−55522号公報及び特公昭63−55524号公報には、カルボキシメチル基の置換度が無水グルコース単位当たり1.5〜3.0のカルボキシメチルセルロースの第四級アンモニウム塩が開示されている。
【0008】特開昭62−243601号公報には、第四級アンモニウム化合物を含む、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロースなどのアニオンガムからなるアニオンガムの第四級アンモニウム塩が開示されており、この第四級アンモニウム塩を水溶液や懸濁液(石炭スラリーなど)に添加すると防腐剤を特に加える必要がないことが記載されている。
【0009】基材に被覆又は塗布する場合、これらの抗菌剤は、通常、水又は有機溶媒に分散させたり、有機溶媒に溶解して使用されている。しかし、引火性の高い有機溶媒を多量に使用することは、安全上好ましくない。さらに、第四級アンモニウム塩との塩は吸湿性が高く、形成した塗膜の耐水性が充分でない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、有機溶媒を多量に使用することなく、安全に塗布できる水性の抗菌性組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、長期に亘り抗菌性を維持できるとともに、耐水性に優れた塗膜を形成できる抗菌性組成物およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討の結果、抗菌性高分子、有機溶媒および水を含む乳化分散体を使用すると、安全性が高く、抗菌性を付与できるとともに、耐水性に優れた塗膜を形成できることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明の抗菌性組成物は、抗菌性高分子、有機溶媒および水を含む乳化分散体で構成されており、前記抗菌性高分子として、アニオン性の親水性高分子と抗菌性を有する第四級アンモニウム塩との塩を用いる。抗菌性高分子は、水混和性有機溶媒に可溶であってもよい。親水性高分子には、水溶性ホモグリカンなどの親水性多糖類(例えば、カルボキシル基含有セルロース、カルボキシル基含有デンプン、ペクチン酸、アルギン酸及びこれらの誘導体など)などが含まれる。前記第四級アンモニウム塩としては、下記式(1)で表される化合物が使用できる。
【0014】
【化2】

【0015】(式中、R1 〜R4 は同一又は異なって、飽和又は不飽和C1-30脂肪族炭化水素基、アラルキル基、モノ−又はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基を示すか、又はR1 〜R4 のうち2又は3つは窒素原子とともに異項環を形成してもよい。ただし、R1 〜R4 のうち少なくとも1つは飽和又は不飽和C10-30 脂肪族炭化水素基である。Xはハロゲン原子を示す)
本発明には、抗菌性高分子を含む水混和性有機溶媒溶液に、水を添加して抗菌性組成物を製造する方法も含まれる。
【0016】なお、本明細書中、「親水性高分子」とは、親水性(水溶性、水親和性、水分散性)高分子、又は水不溶性の吸水性高分子を意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌性組成物は、抗菌性高分子、有機溶媒および水を含む乳化分散体で構成され、前記抗菌性高分子は、アニオン性の親水性高分子と抗菌性を有する第四級アンモニウム塩との塩である。
[抗菌性高分子]抗菌性高分子は、アニオン性の親水性高分子と抗菌性を有する第四級アンモニウム塩との塩で構成されている。
(アニオン性の親水性高分子)本発明に使用されるアニオン性の親水性高分子としては、抗菌性を有する第四級アンモニウム塩と塩を形成可能であれば、その種類は特に制限されず、例えばアニオン性の親水性多糖類、アニオン性の親水性樹脂などが挙げられる。前記アニオン性の親水性多糖類としては、アニオン性の親水性基を分子内に有する限りいずれの多糖類(ホモグリカン、ヘテログリカンなど)も使用できる。前記ホモグリカンとしては、グルカン(セルロース、デンプン、グリコーゲン、カロニン、ラミナラン、デキストランなど)、フルクタン(イヌリン、レバンなど)、マンナン(ゾウゲヤシマンナンなど)、キシラン(イネワラのキシランなど)、ガラクツロナン(ペクチン酸など)、マンヌロナン(アルギン酸など)、N−アセチルグルコサミン重合体(キチンなど)、及びこれらの誘導体などが例示できる。前記ヘテログリカンとしては、ジヘテログリカン(グアラン、コンニャクのマンナン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸など)、トリヘテログリカン(メスキットガム、ガッチガムなどの植物粘質物、ゴム質、細菌多糖類など)、テトラヘテログリカン(アラビアゴムなどの粘質物、ゴム質、細菌多糖類など)、及びこれらの誘導体などが例示できる。
【0018】前記アニオン性の親水性基には、−COOH,−SO3 H,−OSO3 H,−H2 PO4 又はそれらの誘導体、あるいはそれらのアルカリ金属塩などが含まれる。さらに−NH2 ,−CN,−OH,−NHCONH2 ,−(OCH2 CH2)−などの親水性基の他、−NR3 X,SO3 NH2 CO−,−N(SO3 H)−(ここで、Rはアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)などの他の親水性基を有していてもよい。好ましい親水性基は、カルボキシル基(−COOH)などである。
【0019】前記親水性高分子は、好ましくは前記のような親水性基を有する水溶性多糖類、さらに好ましくは水溶性ホモグリカンであり、具体的には、カルボキシル基含有セルロース[カルボキシメチル基含有セルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルセルロースなど)など]、カルボキシル基含有デンプン(カルボキシメチルデンプン(CMS)など)、ペクチン酸及びその誘導体(ペクチン酸ナトリウムなど)、アルギン酸及びその誘導体(アルギン酸ナトリウムなど)などが例示できる。
【0020】前記親水性多糖類において、第四級アンモニウム塩との塩を形成する上で、カルボキシル基の含有量は特に制限されず、用途に応じて選択でき、例えば、無水グルコース基1単位当たり0.3〜3(例えば、0.5〜2.8)程度から選択できる。特に、有機溶媒に対して可溶性の塩を所望する場合、多糖類のカルボキシル基の含有量は、無水グルコース単位当たり1.3以上(例えば、1.3〜3.0)、好ましくは1.5以上(例えば、1.5〜3.0)、さらに好ましくは1.6〜2.8、特に1.7〜2.5程度から選択できる。
【0021】前記カルボキシル基含有親水性高分子のうち、特に、カルボキシメチル基を有する親水性高分子、例えばカルボキシメチル基含有セルロース(カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその誘導体など)又はデンプン(カルボキシメチルデンプン(CMS)又はその誘導体など)などをアニオン性の親水性高分子として使用すると、カルボキシル基の導入量を調整でき、また後述する第四級アンモニウム塩との塩を高効率に形成できる。
【0022】前記CMCは、下記式(2)で表される。
【0023】
【化3】

【0024】(式中、R5 は水素原子又はカルボキシメチル基を示し、nは50〜1500程度である)
前記式(2)において、セルロースに対するカルボキシメチル基の導入量[カルボキシメチル基の置換度(DS)]は、無水グルコース基1単位当たりのカルボキシル基(カルボキシメチル基)の平均置換度で表され、DSは抗菌性が損なわれない広い範囲から選択でき、例えば、0.3〜3(0.5〜2.8)程度から選択できる。特に、形成された塩が有機溶媒に対して可溶性の塩を所望するならば、1.3以上(例えば、1.3〜3.0)、好ましくは1.5以上(例えば、1.5〜3.0)、さらに好ましくは1.6〜2.8、特に1.7〜2.5程度である。また、CMSにおいてもデンプンに対するカルボキシメチル基の導入量はCMCの場合と同様の範囲から選択できる。
【0025】また、CMCの平均重合度nは、10〜1500(例えば、50〜1500)、好ましくは100〜1500(例えば、400〜1200)程度である。前記アニオン性の親水性樹脂としては、前記のような親水性基を有する樹脂(親水性基を有する重合性モノマーの単独又は共重合体など)などが使用でき、例としては、スルホン酸基又はその塩を含有するモノマー(スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩など)、カルボキシル基又はその塩を含有するモノマー((メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸モノアルキルエステルなどのカルボキシル基又はその塩など)、酸無水物基を含有するモノマー(無水マレイン酸など)などの単独又は共重合体などが挙げられる。また、前記アニオン性の親水性樹脂は、前記例示のアニオン性基含有モノマーと他の共重合性モノマーとの共重合体としても使用できる。
【0026】前記共重合性モノマーとしては、例えば、オレフィン類又はジエン類(例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエンなど)、マレイン酸ジアルキルエステル、(メタ)アクリル系単量体(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニルなど)、アリル系単量体(例えば、アリルアルコール、アリルイソシアネート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ含有モノマーなど)、ビニル系単量体(ビニルイソシアネート、スチレンなどの芳香族ビニル単量体、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾールなどの複素環式ビニルアミン類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルトリスアルコキシシランなどの加水分解性シリル基含有モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル単量体など)などが挙げられる。これらの共重合性モノマーは、単独又は二種以上を組合せて使用できる。
【0027】好ましい前記親水性樹脂はカルボキシル基含有親水性樹脂などであり、(メタ)アクリル酸の単独又は共重合体、(メタ)アクリル酸と他の重合性モノマーとの共重合体が特に好ましい。
【0028】前記のような親水性高分子は単独又は二種以上組合せて使用できる。前記親水性高分子は、1重量%水溶液の粘度が10〜1500mPa ・s 、好ましくは50〜1000mPa ・s 、さらに好ましくは50〜500mPa ・s (例えば、100〜300mPa ・s )程度である。
(第四級アンモニウム塩)前記抗菌性を有する第四級アンモニウム塩としては、下記式(1)で表される化合物などが使用できる。
【0029】
【化4】

【0030】(式中、R1 〜R4 は同一又は異なって、飽和又は不飽和C1-30脂肪族炭化水素基、アラルキル基、モノ−又はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル基、又はトリアルキルアンモニウムアルキル基を示すか、あるいはR1 〜R4 のうち2又は3つは窒素原子とともに異項環を形成してもよい。ただし、R1〜R4 のうち少なくとも1つは飽和又は不飽和C10-30 脂肪族炭化水素基である。Xはハロゲン原子を示す)
前記式(1)において、R1 〜R4 のうち少なくとも1つは、直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基であり、他はアラルキル基、モノ−又はジアルキルフェノキシ基、アルキレンオキシアルキル基、トリアルキルアンモニウムアルキル基などの置換基から選択でき、さらにR1 〜R4 のうち2又は3つが窒素原子とともに異項環を形成してもよい。前記脂肪族炭化水素の炭素数は、1〜30、好ましくは10〜30(例えば、10〜20)程度である。
【0031】前記第四級アンモニウム塩には、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムハライド(C10-30 アルキルトリメチルアンモニウムクロリドなど)、アルケニルトリメチルアンモニウムハライド(C10-30 アルケニルトリメチルアンモニウムクロリドなど)、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド(ジ−C10-30 アルキルジメチルアンモニウムクロリドなど)、ジアルケニルジメチルアンモニウムハライド(ジ−C10-30 アルケニルジメチルアンモニウムクロリドなど)、下記式(3): [C6 5 CH2 N(CH3 2 6 + - (3)
(式中、R6 はアルキル基、Xはハロゲン原子を示す)で表されるアルキルベンジルジメチルアンモニウムハライド[C10-30 アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)、4−C1-9アルキルフェニルオキシエトキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド(例えば、塩化ベンゼトニウムなど)など]、及びアルキルピリジニウムハライド(N−C10-30 アルキルピリジニウムブロミドなど)、アルキルピペリジニウムハライド、アルキルピロリウムハライド、アルキルピロリジニウムハライドなどの環状第四級アンモニウム塩などが含まれる。
【0032】好ましい第四級アンモニウム塩では、前記式(1)におけるR1 〜R4 のうちR1 が直鎖状又は分岐状飽和又は不飽和C10-30 脂肪族炭化水素基であり、R2がアラルキル基である。さらにR3 及び/又はR4 が同一又は異なってもよい直鎖状又は分岐状飽和又は不飽和C1-9 脂肪族炭化水素基である。このような化合物のうち、塩化ベンザルコニウム(例えば、R1 がC1225、C1429、R2 及びR4 がメチル基、R3 がベンジル基などの場合)などが特に好ましい。ハロゲン原子Xには、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が含まれる。
【0033】前記のような抗菌性を有する第四級アンモニウム塩は、単独又は二種以上を組合せて使用できる。本発明の抗菌性組成物を構成する上で、特に好ましい抗菌性高分子は、水混和性の有機溶媒に可溶性の抗菌性高分子であり、例えば、前記のように、DS値が1.5以上のカルボキシメチル基含有セルロース及びカルボキシメチル基含有デンプンから選択された少なくとも一種の第四級アンモニウム塩との塩などが例示できる。
【0034】親水性高分子のアニオン性基1モル当たりの塩の形成割合は、例えば、95〜100%、好ましくは98〜100%、さらに好ましくは99〜100%程度である。特に、アニオン性基の大部分(例えば、95〜100%、好ましくは98〜100%、さらに好ましくは99〜100%程度)が、第四級アンモニウム塩と塩を形成する場合、耐水性に優れた抗菌性組成物を得ることができる。なお、塩を形成していないアニオン性基は、通常、酸型(遊離型)又はエステル型として残存する。
【0035】[ 有機溶媒]本発明に使用される有機溶媒としては、水混和性の溶媒であり、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、セロソルブ類などである。
[抗菌性高分子、有機溶媒および水の割合]本発明の抗菌性組成物(乳化分散体)において、抗菌性高分子の含有量は、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%程度である。
【0036】また、有機溶媒と水との割合は、例えば、前者/後者(重量比)=40/60〜70/30、好ましくは45/55〜65/35、さらに好ましくは45/55〜60/40、特に50/50〜60/40程度であり、乳化分散体の溶媒は水単独であってもよい。
【0037】本発明の抗菌性組成物は、水性の乳化分散体として使用でき、引火性の高い有機溶媒を多量に使用することなく、基材などに安全に塗布でき、抗菌性および耐水性に優れた塗膜を形成できる。
【0038】[添加剤]本発明の抗菌性組成物は、他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、帯電防止剤、着色剤、防黴剤、他の抗菌剤などを含有していてもよい。また、本発明の抗菌性組成物は、分散安定性を高めるために、必要であれば、界面活性剤や分散剤などを用いてもよい。これらの添加剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。
[抗菌性組成物の製造方法]本発明の抗菌性組成物は、抗菌性高分子を含む水混和性有機溶媒溶液に、水を添加することにより製造することができる。乳化分散は、セン断力を作用させる慣用の方法、例えば、ミキサー、ホモジナイザー、超音波などの分散手段を利用して行うことができる。また、水は間欠的又は連続的に少量ずつ添加する。さらに、必要に応じて、界面活性剤を添加して乳化分散してもよい。このような方法において、水混和性溶媒を用いるので、円滑に乳化分散でき、乳化分散体の安定性も高い。また、本発明の抗菌剤組成物には、慣用の塗布方法、例えば、エアーナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレー法などが採用できる。
【0039】本発明の抗菌剤組成物は、種々の基材、例えば、金属、木材、プラスチック成形品、フィルム、シートなどに使用できる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、抗菌性高分子、有機溶媒および水を含む乳化分散体を抗菌性組成物として使用することにより、有機溶媒を多量に使用することなく、安全に抗菌性を付与できるとともに、耐水性に優れた抗菌性塗膜を形成できる。
【0041】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0042】実施例及び比較例で用いた抗菌性高分子、有機溶媒、第四級アンモニウム塩及び菌株は以下の通りである。
1.アニオン性の親水性高分子(a−1):カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(DS:1.92、1重量%水溶液粘度:285mPa、水分:8.2%、CMCの純度:98%、ダイセル化学工業(株)製)
3.第四級アンモニウム塩(b−1):ベンザルコニウム塩水溶液(商品名:カチナールMB−50A、純度:49.7%、東邦化学工業(株)製)
4.溶媒(c−1):エチルアルコール(純度:99.6%、和光純薬(株)製)
5.菌株(d−1):黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus FDA 209P)
(d−2):枯草菌(Bacillus subtilis IFO 3007)
(d−3):大腸菌(Escherichia coli IFO 3301 )
(d−4):黒コウジカビ(Aspergillus niger ATCC 6275 )
実施例1〜2カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(a−1)4gを、純水396gが入った500mLのビーカー中にマグネティックスターラーで攪拌しながら少量ずつ添加して溶解させた。
【0043】次に、ベンザルコニウム塩水溶液(b−1)16.9gを攪拌しながら少量ずつ添加し、カルボキシメチルセルロースベンザルコニウム塩の沈殿を生成させ、その沈殿をグラスフィルターで濾過し、さらに純水約400mLでグラスフィルター中の生成物を洗浄して濾過し、精製したカルボキシメチルセルロースベンザルコニウム塩12.5g(100%第四級アンモニウム塩、水分:20%)を得た。
【0044】次に、エチルアルコール187.5gに溶解して、カルボキシメチルセルロースベンザルコニウム塩の5重量%濃度の含水アルコール溶液200gを調製した。
【0045】次に、この5重量%溶液を、各々40gずつ200mLのビーカー2つ(実施例1、実施例2)に仕込んだ。それらのビーカーをマグネティックスターラーで攪拌しながら、それぞれ表1に示す所定量の純水を少量ずつ添加して、本発明の実施例1及び2の乳化状分散抗菌組成物を得た。
【0046】比較例1カルボキシメチルセルロースナトリウム塩(a−1)2.5gを、純水247.5gが入った500mLのビーカ中にマグネティックスターラーで攪拌しながら少量ずつ添加して溶解させた。
【0047】次に、ベンザルコニウム塩水溶液(b−1)5.8gを、攪拌しながら少量ずつ添加し、比較例1の乳化状分散抗菌性組成物を得た。
(抗菌性能)滅菌済みシャーレに前記組成物を所定濃度にエチルアルコール又は純水で希釈した試料溶液0.5mLと滅菌した寒天培地(トリプトソーヤ寒天培地,日水製薬(株)製)9.5mLを分注し、均一に混合後、固化させて試験平板を作製した。
【0048】作製した試験平板に菌数を約107 個/mLに調製した各種の試験菌液を白金耳を用いて接種し、37℃にて48時間培養させた後、下記のように菌の成育の有無を観察した。
【0049】試験平板上の菌の成育の有無について下記の基準で評価した。
◎ 菌の増殖が全く認められない○ 菌の増殖が殆ど認められない△ 菌の増殖が認められる× 菌の増殖が大量に認められる− 評価せず(コーティング性能:表面平滑性、均一性、耐水性)前記組成物を、ガラス板上に10cm2 当たり0.1g流延して、105℃で2時間乾燥してコーティングし、室温に冷却後、純水中にガラス板を1時間浸漬した後、取り出して下記の基準で評価した。
【0050】
◎ 水に浸漬前と全く変化なし△ 若干白くなり、指で強くこすると剥離する× 白く膨潤し、水を掛けるだけで剥離する結果を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】表1から明らかなように、本発明の実施例は、比較例に比べて、組成物の分散安定性、コーティング性能、抗菌性能のいずれにおいても優れていた。
【出願人】 【識別番号】000002901
【氏名又は名称】ダイセル化学工業株式会社
【出願日】 平成10年11月18日(1998.11.18)
【代理人】 【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
【公開番号】 特開2000−154105(P2000−154105A)
【公開日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【出願番号】 特願平10−328561