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【発明の名称】 防カビ・抗菌剤および防カビ・抗菌性組成物
【発明者】 【氏名】芝田 正之

【氏名】林 孝三郎

【要約】 【課題】ポリマー成形品、合成繊維等に対して、優れた防カビ・抗菌性を付与するとともに、優れた透明性、安全性、耐熱性、耐候性および耐劣化性を付与する防カビ・抗菌剤及び防カビ・抗菌性ポリマー組成物を提供すること。

【解決手段】防カビ・抗菌性付与物質が、N−(2−ヒドロキシドデシル)エタノールアミン及び/又はβ−ヒドロキシミリスチル−N−エタノールアミンであることを特徴とする防カビ・抗菌剤及びポリマー成分と上記の防カビ・抗菌剤からなる組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 防カビ・抗菌性付与物質が、N−(2−ヒドロキシドデシル)エタノールアミン及び/又はβ−ヒドロキシミリスチル−エタノールアミンであることを特徴とする防カビ・抗菌剤。
【請求項2】 ポリマー成分と請求項1に記載の防カビ・抗菌剤からなる防カビ・抗菌性組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマー成形品等に効果的に防カビ・抗菌性を付与する新規な抗菌剤およびそれを用いたポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から種々のポリマー成形品等に防カビ・抗菌剤を付与する目的で無機系及び有機系の防カビ・抗菌剤が使用されている。無機系の防カビ・抗菌剤は、それ自体の耐熱性、耐候性は良好ではあるが、それが添加されたポリマー成形品、合成繊維、塗膜等の透明性および機械的強度等の物性を損なう問題点がある。また、安全性については、今後の大量消費による銀等の金属の蓄積に起因する生態系への影響が問題となっている。
【0003】一方、有機系の防カビ・抗菌剤では、それ自体耐熱性・耐候性が劣る欠点に加え、ポリマー成形品等から添加された防カビ・抗菌剤が流出するという安全性の問題があり、さらには、防カビ・抗菌剤の種類によってはポリマー成形品、合成繊維等の透明性を低下させる問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする問題】本発明の目的は、上記の問題点を克服し、ポリマー成形品、合成繊維等に対して、優れた防カビ・抗菌性を付与するとともに、優れた透明性、安全性、耐熱性、耐候性および耐劣化性を付与する防カビ・抗菌剤及び防カビ・抗菌性ポリマー組成物を提供することである。上記の目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、N−(ヒドロキシドデシル)エタノールアミン及び/又はβ−ヒドロキシミリスチル−エタノールアミンが、ポリマー成形品、合成繊維等にそれらの透明性、耐候性、強度特性等を低下させずに優れた防カビ・抗菌性を安定に付与することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、防カビ・抗菌性付与物質が、N−(2−ヒドロキシドデシル)エタノールアミン又はβ−ヒドロキシミリスチル−エタノールアミンであることを特徴とする防カビ・抗菌剤およびポリマー成分と上記の防カビ・抗菌剤からなることを特徴とする防カビ・抗菌性組成物である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の特徴は、防カビ・抗菌剤としてN−(2−ヒドロキシドデシル)エタノールアミン(N-(2-Hydroxydodecyl)ethanolamine)又はβ−ヒドロキシミリスチル−エタノールアミン(β-Hydroxymyristyl-N-ethanolamine)を使用することであり、これらは単独で使用することも、また、二種を組合せて使用することもできる。
【0007】本発明の防カビ・抗菌剤による防カビ・抗菌性は以下の機構により発現すると推定される。即ち、ポリマー成形品や合成繊維等に添加された上記の化合物の第三級アミン構造が、第四アンモニウム塩と同様に、カビ等の細胞膜・細胞壁の損傷、酵素タンパク質の変性・呼吸阻害を引き起こして防カビ・抗菌性を示す。
【0008】本発明の防カビ・抗菌性組成物は、ポリマー成分と上記の防カビ・抗菌剤の少なくとも一種とからなるものである。本発明で使用されるポリマー成分は特に限定されず、フィルム、各種容器、壁紙等のプラスチック成形品、ゴム成形品、繊維、塗膜等の形成に使用可能なポリマーはいずれも使用することができ、特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル樹脂、ナイロン66,ナイロン6等のポリアミド、ポリビニルアルコール(ビニロン繊維の原料)、ポリアクリロニトリル(アクリル繊維の原料)、セルロース(レーヨン繊維の原料);ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、アクリルゴム等の合成ゴム、天然ゴム等が挙げられる。
【0009】本発明の防カビ・抗菌性組成物は、上記のポリマー成分と本発明の防カビ・抗菌剤とを混合することによって製造することができる。ポリマーの形態は固体状態、溶液状態、エマルジョンあるいは乳化状態等のいずれれでもよく、該組成物の使用目的に応じて適宜選択することができる。従って、本発明の防カビ・抗菌剤もポリマーの使用形態に応じて固体状態、溶液状態等で使用することができる。
【0010】本発明の組成物からプラスチック成形体、繊維やゴム製品を製造する場合には、これらを固体状態で通常の混合機を用いて混合して得られる組成物を使用する。その際、本発明で使用される防カビ・抗菌剤は融点乃至軟化点が80〜135℃であるから、この温度以上の温度で混合してポリマー成分中に均一に分散させることが必要である。繊維がレーヨンの場合には、紡糸液中に本発明の防カビ・抗菌剤を溶解する。また、本発明の組成物を被膜形成材として塗料の製造に使用する場合には、塗料の液媒体中に本発明の防カビ・抗菌剤を溶解、あるいは乳化状態等で添加される。
【0011】本発明の防カビ・抗菌剤の使用量は必要有効量であればよく、好ましくはポリマー成分100重量部に対して0.05〜5重量部の割合である。5重量部を超えると成形体や繊維の種々の物性を低下する傾向にあり好ましくない。
【0012】本発明にの組成物を使用することにより、物性低下のない、安全で防カビ・抗菌性に優れた包装容器、包装用フィルム、家庭電化製品の外層材、繊維、塗料、壁紙等の製造が可能である。
【0013】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明する。尚、文中の部及び%は重量基準である。
【0014】実施例1〜2、比較例1N−(2−ヒドロキシドデシル)エタノールアミン(防カビ・抗菌剤A)またはβ−ヒドロキシミリスチル−エタノールアミン(防カビ・抗菌剤B)の防カビ性を以下に示すコロニー生育度の差により確認した。比較例として、これらの無添加の培地でも試験を行った。試験方法は下記の通りである。
【0015】カビ増殖培地ポテトデキストロース寒天(PDA)培地に上記の物質を0.1%添加・分散し、直径9cmの滅菌シャーレに分注し、以下に示す5種類のカビ(JIS Z 2911「カビ抵抗性試験」指定菌株)を中心部に接種して、25℃で2週間培養した後、コロニー直径を防カビ・抗菌剤の無添加を比較例として生育抑制効果を観察した。結果を表1に示した。
【0016】<使用したカビの種類>・アスペルギルス ニゲル(S−1、一般名クロカビ)
・ペニシリウム シトリナム(S−5、一般名アオカビ)
・リゾ−プス オリゼ(S−7、一般名ケカビ)
・クラドスポリウム クラドスポリオイデス(S−8、一般名クロカワカビ)
・ケトミウム グロボスム(S−11)
【0017】表1 防カビ性評価結果
【0018】実施例3〜4、比較例2ポリスチレン樹脂100重量部に対し、前記の防カビ・抗菌剤AまたはBを1.5重量部添加し、射出成形により1cm四方の防カビ性組成物を作製し、これらをそれぞれ別々の1/4希釈PDA培地の中心に置き、前記の5種類のカビの各々の懸濁液を周辺に0.1ml接種する。25℃で2週間培養後、試料周近の培地に未繁殖のクリア部分(ハローゾーン)がある試料を防カビ効果のあるものとして確認した。結果を表2に示した。また、比較例として無添加の試料でも試験した。
【0019】表2 防カビ性評価結果
【0020】実施例5〜8、比較例3〜4前記の防カビ・抗菌剤AおよびBの抗菌性を以下に示すシェイクフラスコ法により確認し、結果を表3に示した。
(シェイクフラスコ法)ニュートリエントブロス液体培地で37℃、16時間前培養した菌液を1000倍に希釈して試験菌液とし、試料とともに滅菌L字管中5mlで37℃、24時間培養した培養液について、寒天平板希釈法により生菌数を測定した。比較例として試験菌液のみの培養も行った。
【0021】表3 抗菌性評価結果
【0022】実施例9〜12、比較例5〜6低密度ポリエチレン樹脂100重量部に対し、防カビ・抗菌剤AまたはBを0.3重量部添加し、透明なフィルム状の抗菌性組成物を作製した。これらの組成物の抗菌性を前記のシェイクフラスコ法で評価した。また、無添加を比較例とした。結果を表4に示した。
【0023】表4 抗菌性評価結果
【0024】実施例13〜16、比較例7〜8ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、防カビ・抗菌剤AまたはBを0.5重量部添加し、プレート状の抗菌性組成物を作製し、下記のドロップ法で抗菌性を試験した。結果を表5に示す。
【0025】(ドロップ法)ニュートリエントブロス液体培地で37℃、16時間前培養した菌液をリン酸緩衝液で希釈し、滅菌処理した試料(5cm×5cm)の表面に0.1mlを対角に4カ所、中心に1カ所の計0.5mlを滴下し、滅菌シャーレ中で37℃、相対湿度90%以上で24時間培養したのち、リン酸緩衝液で菌を洗い出し、寒天平板希釈法で生菌数を測定した。比較例として無添加の試料でも行った。
【0026】表5 抗菌性評価結果
【0027】実施例17〜20、比較例9〜10ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、前記の防カビ・抗菌剤AまたはBを0.3重量部添加し、透明な繊維状の抗菌性組成物を作製し、下記の方法で抗菌性を試験した。結果を表6に示した。
(繊維製品の定量的抗菌性試験方法)ニュートリエントブロス液体培地で37℃、16時間前培養した菌液を希釈し、滅菌バイアル瓶中の試料0.4gに0.2mlを接種する。37℃、18時間培養後、生理食塩水で洗い出し、寒天平板希釈法で生菌数を測定し、表−6に示した。対照試料として繊維製品新機能評価協議会指定の標準布(ポリエ ステル)を使用した。
【0028】表6 抗菌性評価結果
【0029】
【発明の効果】以上の本発明によれば、安全で、優れた防カビ・抗菌性を有する防カビ・抗菌剤が提供される。また、本発明の防カビ・抗菌剤を使用するポリマー組成物を使用することにより、優れた防カビ・抗菌性とともに、優れた安全性、透明性、防汚性、帯電防止性、耐劣化性を発現する成形品、繊維、塗料等の製造が可能である。
【出願人】 【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
【出願日】 平成10年11月20日(1998.11.20)
【代理人】 【識別番号】100077698
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 勝広 (外1名)
【公開番号】 特開2000−154104(P2000−154104A)
【公開日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【出願番号】 特願平10−331638