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【発明の名称】 ダニ駆除方法
【発明者】 【氏名】玉木 聡史

【氏名】寺本 師士

【要約】 【課題】油状芳香性物質を有効成分とし、簡便且つ迅速にダニ駆除できる方法を提供する。

【解決手段】ダニが生息する物品の環境を低圧状態とし、該低圧環境内へ油状芳香性物質を導入する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダニが生息する物品の環境を低圧状態とし、該低圧環境内へ油状芳香性物質を導入することを特徴とするダニ駆除方法。
【請求項2】 低圧状態とする手段が、布団収納用袋などの容器に物品を収納し、掃除機により容器内の空気を吸い出すことを特徴とする請求項1記載のダニ駆除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダニ駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭内で生息する屋内塵性ダニ類は、畳、カーペット、布団、ソファーなどの表面や内部など湿気の多い場所に生息・繁殖していることが知られている。これらの中で、ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニなどのヒョウヒダニ類は気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等の原因になっていると考えられ、近年問題視されている。
【0003】畳、カーペット、布団、ソファーなどの表面や内部など湿気の多い場所に生息するダニ類を駆除する方法としては、その表面を掃除機で清掃したり、内部に薬剤を注入したり、畳や布団などを天日干しすることが一般的に行われている。しかしながら、表面を掃除機で清掃する方法は、物品内部に生息するダニ類を駆除することはできず、内部に薬剤を注入する方法では物品内部に薬剤を充分浸透させることが困難である。また、天日干しすると物品内部の湿度を低下させることはできるが、ダニ駆除効果が弱いという問題がある。このため、物品の内部まで効果的にダニ駆除できる簡便を方法が望まれている。
【0004】近年、植物から抽出して得られるテルペン類化合物を用いたダニ駆除剤が提案されている(特開昭63−104905号公報)。このような天然物抽出物質を有効成分としてダニ駆除を行うことは、人体に対する安全性の点で好ましいが、この有効成分だけでは布団内部まで有効成分を浸透させることは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題に鑑み、油状芳香性物質を有効成分とし、簡便且つ迅速にダニ駆除できる方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明のダニ駆除方法は、ダニが生息する物品の環境を低圧状態とし、該低圧環境内へ油状芳香性物質を導入することを特徴とする。
【0007】また、請求項2記載のダニ駆除方法は、請求項1記載のダニ駆除方法であって、低圧状態とする手段が、布団収納用袋などの容器に物品を収納し、掃除機により容器内の空気を吸い出すことを特徴とする。
【0008】本発明者らは、簡便にダニ駆除する方法として、まずダニ類を低圧状態におくことに着目して検討したが、ダニ類を10〜500mmHgの低圧状態に48時間放置しても効果的に駆除することはできなかった。そのため、ダニ類が生息する物品を低圧状態におくとともに、揮発性が高いという油状芳香性物質の長所を生かし、これを有効成分として作用させると、布団などの内部へ容易に浸透してダニ駆除に有効であり、且つ人体への安全性が確保されることを見いだした。
【0009】本発明における油状芳香性物質は、以下に述べる天然物の抽出物及び/又は抽出物成分を少なくとも1種類以上含有することが好ましい。天然物の抽出物及び抽出物成分とは、殺ダニ作用を有する公知の物質である。
【0010】天然物の抽出物の例として、ハッカ油、カッシア油、アーモンドビッター油、カラムス油、ペパーミント油、スペアミント油、シンナモン油、オールスパイス油、クローブ油、タイム油、ローズマリー油、レモングラス油、レモンオイル、ユズオイル、ライムオイル、アップルアロマ油、グレープフルーツ油、スィートオレンジ油、ネーブルオイル、スウィティーオイル、バレンシアオレンジオイル、マンダリンオイル、ベルガモット油、ローレル油、スターアニス油、スィートフェンネル油、マジョラム油、メース油、ボアドローズ油、パルマローザ油、レモンベルベナ油、レモンバーム油、ラベンダー油、ローズ油、ユーカリ油、ティーツリー油、イランイラン油、ベチバー油、パチヨウリ油、カナンガ油、カジェプット油、シトロネラ油、ナツメグ油、ペッパー油、サンダルウッド油、バルク油、カージン油、ジンジャー油、カンポー油、キュウベブュ油、コーンミント油、アニス油、ラング油、シナモン油、メース油、パロマローザ油、フェンネル油、タイムス油、ニーム油、月桂樹油、桂葉油、丁字油等の天然精油が挙げられる。
【0011】また、これらの天然精油から単一成分として精製された抽出物成分としては、例えば、メントール、メントン、リモネン(T)、リモネン(S)、シトラール、シトロネロール、ゲラニオール、シンナムアルデヒド、オイゲノール、アネトール、α−ピネン、β−ピネン、D−リモネン、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。尚、本発明における抽出物成分とは、化学合成により合成された構造的に同一の化合物を含むものとする。
【0012】本発明において、D−リモネン、メントン、シンナムアルデヒド、シトラール、ベンジルアルコール、フェニルアルコールの1種以上の成分を合計で全体の20%以上含む油状芳香性物質を用いるとダニ駆除効果が一層優れたものとなるので特に好ましい。
【0013】上記20%とは、油状芳香性物質を室温常圧で一定体積中に飽和するように揮発させた後、その揮発成分を個相マイクロ抽出法により採取し、無極性カラムを用いたガスクロマトグラフィーで分析した際の全成分のピーク高さに対して、該揮発成分に含まれるD−リモネン、メントン、シンナムアルデヒド、シトラール、ベンジルアルコール、フェニルアルコール成分のピーク高さの合計が20%以上であることを指す。これらの油状芳香性物質は特にダニ駆除作用が強いので好適に用いることができる。
【0014】本発明では、ダニ類が生息する物品の環境を低圧状態とする。低圧状態の環境内に油状芳香性物質などの殺ダニ性有効成分を導入すると、低圧から常圧へ向けて圧力が上昇する。圧力の上昇に伴い油状芳香性物質が物品の内部に浸透し、殺ダニ作用を発揮する。
【0015】本発明でいう低圧状態とは、おおよそ10〜500mmHgである。10mmHg程度よりも低圧にすることは高価な機器を必要とする場合が多いので好ましくない。また、500mmHgよりも高圧にすると、有効成分を迅速に物品内部に浸透させることが困難となる。
【0016】低圧状態を実現する方法は特に限定されないが、簡便な方法の例を挙げると、家庭用掃除機により布団圧縮収納用袋などの容器から空気を吸引することにより脱気する方法がある。予め容器内に布団や肌着、カーペットなどダニ駆除の対象となる物品を入れておくと迅速且つ簡便にそれらの物品を低圧状態下とすることができる。
【0017】上記低圧状態とされた物品に殺ダニ作用を有する油状芳香性物質を作用させる方法の具体的な例を挙げると、予め適量の空気内で油状芳香性物質を揮発させ、内部に物品が収納されている低圧状態の容器内に上記揮発成分を導入する方法や、油状芳香性物質をスプレーなどの噴霧剤形態とし噴霧した蒸気を低圧下の容器内に導入する方法などがある。
【0018】油状芳香性物質をスプレーなどの噴霧剤形態として用いる場合、噴射剤は特に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、クロロフルオロカーボン、炭酸ガスなどを挙げることができる。また、圧搾空気を用いることもできる。
【0019】上記製剤には必要に応じて通常添加される分散剤や浸透剤等の界面活性剤、安定剤などを配合してもよい。また、油状芳香性物質を必要に応じて適当な溶剤で希釈することもできる。
【0020】油状芳香性物質の使用量はその種類によりダニ類に対する効果が異なり、適宜調整する必要はあるが、物品に作用させる際の有効成分濃度としては10〜50000ppmが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を説明する。以下の方法により、供試ダニ袋、供試布団、低圧状態におかれた布団を準備した。
・供試ダニ袋の作製直径70mmのガラスマイクロファイバー濾紙を2つ折りにし、側方2箇所をクリップで留めて袋状にし、開口部より供試ダニ(ヤケヒョウヒダニ)の雌成虫を30個体投入し、開口部をクリップで留めて供試ダニ袋とした。
・供試布団の作製3つ折りにした布団の中心部に供試ダニ袋をセットして供試布団とし、これを市販の布団圧縮袋に入れて家庭用掃除機により内部の空気を吸引して低圧状態とした。
【0022】(実施例1)有効成分であるレモングラスオイル(天然物抽出物)4mlをハンドスプレーの液入れに入れ、このハンドスプレーにレギュレーター、圧縮空気40リットルが入ったボンベを接続した。この際、レギュレーターにより噴射圧力を5kg/cm2 とし、レモングラスオイルが細かい霧状で噴射できるよう、スプレー噴射パターンを調節した。これをダニ駆除剤とした。
【0023】殺ダニ試験上記供試布団を収納した低圧状態の布団圧縮袋にダニ駆除剤のハンドスプレー部をセットし、圧縮空気によりレモングラスオイルを布団圧縮袋内に噴射してそのまま3時間放置した。その後供試ダニ袋を取り出して死亡ダニ数(X0 )と生存ダニ数(X1 )を計数し、次式からダニ死亡率(殺ダニ率)Yを算出した。
Y(%)={X0 /(X0 +X1 )}×100【0024】(実施例2)有効成分としてレモングラスオイルの代わりにベンジルアルコールを3ml使用したこと以外は、実施例1と同様にしてダニ駆除剤を調製し、実施例1と同様にして殺ダニ試験を行った。
【0025】(比較例1)有効成分を含まない圧縮空気だけを噴射したこと以外は、実施例1と同様にして殺ダニ試験を行った。
【0026】上記実施例1、2及び比較例1の殺ダニ試験を各3回行い、それぞれの平均値を平均殺ダニ率として表1に示した。
【0027】
【表1】

【0028】
【発明の効果】本発明によれば、これまで効果的な駆除方法が無かった布団やカーペット内部に生息するダニ類を、人体に対して安全な有効成分を用いて簡便且つ効果的に駆除することができる。
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成10年11月18日(1998.11.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−154103(P2000−154103A)
【公開日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【出願番号】 特願平10−328185