| 【発明の名称】 |
ペースト状昆虫誘引毒餌剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤田 達也
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| 【要約】 |
【課題】種々の昆虫が好んで摂食するのに適した軟度が容易に得られると共に、含有する昆虫誘引物質や殺虫成分等の溶解性を高め、かつ保存安定性や取扱い性の良好なペースト状昆虫誘引毒餌剤を提供することである。
【解決手段】昆虫誘引毒餌剤は、昆虫誘引物質と、殺虫成分と、ポリエチレングリコールとを混合することによってなることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】昆虫誘引物質と、殺虫成分と、ポリエチレングリコールとを混合することによってなることを特徴とするペースト状昆虫誘引毒餌剤。 【請求項2】ポリエチレングリコールが、1重量%以上50重量%以下の配合量で混合されてなることを特徴とする請求項1に記載のペースト状昆虫誘引毒餌剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、人の生活域内に生息する有害昆虫を駆除するためのペースト状の昆虫誘引毒餌剤の組成に関する。 【0002】 【従来の技術】人の生活域内に生息する有害昆虫に対する駆除方法としては、従来、殺虫剤の散布、誘引トラップの設置、誘引毒餌剤の設置などの方法が採用されてきた。とりわけ誘引毒餌剤を設置する方法は、対象昆虫種の選択性の面、コスト面及び環境面に優れていることから汎用化されている。即ち、毒餌剤を設置する方法の場合、昆虫を誘引する手段によるから、種々の昆虫に適合する誘引物質を毒餌剤中に配合しておくだけでよく、そのための器具について特殊な構造は要求されない。また、必要最小量の殺虫成分を摂食させることによってその目的が達成されるため、配合剤について無駄が少ないから経済的に利用でき、また、これによって、残留乃至流出する殺虫剤の量を最小限に抑えることができるから、使用環境に対する影響も少ないのである。 【0003】また、誘引毒餌剤を設置する方法においては、誘引毒餌剤の剤型として、従来、粒状や顆粒状の固形状のもの、ゲル状やペースト状等の半固形状のもの、その他液状のものも存在している。この方法では、誘引毒餌剤を摂食させることによって昆虫を駆除するものであるから、その摂食性が重要視される。このため、適度の水分を含み摂食性が良好な半固形状の誘引毒餌剤が適しているとされている。また、使用面でも、器具内から容易に流出しない点から、半固形状の誘引毒餌剤は優れている。 【0004】また、従来の半固形状の誘引毒餌剤は、昆虫誘引物質と水等とを加熱下に混練してペースト状にしたもの、また、昆虫誘引物質と、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール等のゲル化剤とを加熱下に溶解し、これを常温下でゲル化させたものであった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、前記したペースト状の誘引毒餌剤では、その含水量によって柔らかさが大きく左右されるため、昆虫が摂食するのに適した柔らかさに調整することが難しく、また、使用途中で、水分が蒸散してしまってその表面が硬くなり、その有効性が速やかに低下してしまうという欠点があった。また、昆虫誘引物質は、小麦粉や水あめなど水分活性が高いものが多く、誘引毒餌剤中の含水量を多くすると、これに配合される昆虫誘引物質が腐敗し易くなる。この結果、保存安定性が不十分となる。 【0006】また、前記したゲル化剤による誘引毒餌剤は、ゲル化後に全体の軟度が低下してしまい、昆虫によっては、摂食率が低いものとなっしまう欠点がある。 【0007】そこで、本発明は、種々の昆虫が好んで摂食するのに適した軟度が容易に得られると共に、昆虫誘引物質や殺虫成分等の成分の溶解性を高め、かつ保存安定性や取扱い性の良好なペースト状昆虫誘引毒餌剤を提供することを目的とした。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するため、本発明は、ペースト状昆虫誘引毒餌剤につき、次のように構成した。即ち、昆虫誘引物質と、殺虫成分と、ポリエチレングリコールとを混合することによってなることを特徴とする。 【0009】上記した本発明の構成において、昆虫誘引毒餌剤は、ポリエチレングリコールの配合よってペースト状の軟度のものとして得られる。また、ポリエチレングリコールは、その末端に水酸基を有することから水溶性であり、昆虫誘引物質に対しては、湿潤、分散、懸濁の作用と共に、溶解補助作用が発揮され、また殺虫剤に対しては、懸濁、分散作用が発揮される。また、ポリエチレングリコールは、昆虫に対して忌避作用を示さない。 【0010】前記した昆虫誘引毒餌剤における軟度は、ポリエチレングリコールの平均分子量の違いによって異なる。従って、異なる平均分子量のポリエチレングリコールを選択することによって、あるいはその2種以上を混合することによって、昆虫誘引毒餌剤の軟度を適度に調整することができる。 【0011】本発明の昆虫誘引毒餌剤において、配合できるポリエチレングリコールは、平均分子量が、200〜20000の範囲のものである。ポリエチレングリコールについて、平均分子量が200〜400の範囲のものによれば、軟度が大きく流動性のペースト状のもの、また平均分子量が600〜1540の範囲のものによれば、軟度が中程度のペースト状のもの、また平均分子量が4000〜20000の範囲のものによれば、軟度が小さいペースト状のものが得られる。また、これらのペースト状剤については、適宜水を混入して軟度を高めることができる。 【0012】また、昆虫誘引毒餌剤の軟度は、ポリエチレングリコールの配合量によっても調整できる。ポリエチレングリコールの配合量は、本発明の昆虫誘引毒餌剤中で1〜50重量%の範囲である。この配合量が、1重量%未満であると、昆虫が摂食するのに好ましい軟度のものが得られず、また、50重量%を超える量であると、軟度が小さくなり過ぎて昆虫に対する誘引作用が低下すると共に、殺虫成分の配合量が少なくなって、有効な殺虫力が得られなくなるからである。 【0013】また、昆虫誘引物質としては、対象とする種々の昆虫を誘引するのに適した一般的な物質を用いることができる。例えば、砂糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖、乳糖等の精製糖分、果汁、サトウキビ搾液、蜂蜜、廃糖密等の天然糖分、アミノ酸、タンパク質等の精製タンパク質、卵、サナギ粉、カツオブシ、大豆等の天然タンパク質、リノール酸、リノレン酸、オレイン酸等の精製油脂分、牛脂、サラダ油、魚油等の天然油脂分などを挙げることができる。これらは、対象とする昆虫に合わせて、単一又は2種以上を混合して用いることができる。 【0014】また、昆虫誘引物質の配合量については、この物質の種類や対象昆虫の種類によって異なり、一概には定まらないが、例えば、対象昆虫がアリ類やゴキブリ類である場合、砂糖等の糖分やサナギ粉については、当該誘引毒餌剤中に20〜40重量%の範囲で好ましく配合できる。 【0015】また、殺虫成分としては、昆虫に対して忌避作用が少なく、殺虫力の優れた既知の薬剤を用いることができる。これには、例えば、ペルメトリン、フェノトリン、レスメトリン等のピレスロイド系殺虫剤、フェニトロチオン等の有機リン系殺虫剤、フェノカルブ等のカーバメート系薬剤やホウ酸等の無機系薬剤であり、また、幼若ホルモン様物質、脱皮阻害物質等の昆虫成長制御物質も含まれる。 【0016】殺虫成分の配合量についても、対象昆虫の種類によって異なり一概には定まらないが、対象昆虫がアリ類やゴキブリ類である場合には、当該誘因毒餌剤中に0.0001〜40重量%の範囲で好ましく配合できる。 【0017】また、本発明の昆虫誘引毒餌剤には、上記した必須成分の性能を阻害しない限度で、任意成分として、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール等のゲル化剤などを含有させることができる。 【0018】また、本発明の昆虫誘引毒餌剤は、次の製造方法によって得ることができる。先ず、ポリエチレングリコールが平均分子量200〜400の流動性のものである場合、これに殺虫成分と水とを混合して液状混合物とする。次いで、この液状混合物を昆虫誘引物質中に混入し、これを練合することによって得られる。 【0019】なお、ポリエチレングリコールが平均分子量600以上のものである場合には、予めこれを加熱溶解させておく。また、昆虫誘引物質が2種以上からなる場合には、前記した液状混合物の混入の前に、予め、その2種以上の物質を均一に混合しておく。 【0020】また、本発明の昆虫誘引毒餌剤による駆除対象としての昆虫としては、アリ、ゴキブリ、コクゾウムシ、カツオブシムシ、シバンムシ、ハエ等であり、ダンゴムシ、ムカデ、ナメクジ等も含む。 【0021】 【実施例】(1)試料としての昆虫誘引毒餌剤の調製表1に示した配合成分によって昆虫誘引毒餌剤を得た。 【0022】 【表1】
表1中、小麦粉、サナギ粉、米ぬか、魚粉、砂糖、及びコーンスターチは、昆虫誘引物質である。また、PEGは、ポリエチレングリコールであり、その添付け数は、平均分子量である。また、スミチオンは、化学名がフェニトロチオンの有機リン系殺虫剤である。 【0023】先ず、表1に示した実施例1〜4の割合で、各昆虫誘引物質を混合し、餌料混合物をそれぞれ得た。また、別に、PEG4000を沸騰させた湯水浴中で湯せんすることによって溶解させた。この溶解液中に、PEG200と殺虫剤であるスミチオン及び水を表1に示した割合で混合して分散混合液を得た。この分散混合液を前記した餌料混合物に混入した。これを、常温下で、混練して実施例1〜4の昆虫誘引毒餌剤をそれぞれ得た。 【0024】得られた各昆虫誘引毒餌剤は、いずれも含有する各成分が均一分散された適度の軟度のペースト状を呈した。また、この得られた各昆虫誘引毒餌剤約1.5gをシャーレ(直径5cm)内に収容し、室温15〜25℃の環境条件下で7日間室内に放置した結果、各昆虫誘引毒餌剤は、そのペースト状のままの性状を維持し、軟度についてもほとんど変化は認められなかった。 【0025】また、表2には、比較例を示した。 【0026】 【表2】
比較例1は、小麦粉等の昆虫誘引物質を前記同様に混合して餌料混合物とし、常温下で、これにスミチオン及び水をさらに混合して混練したものである。この比較例1の混練物は粘土状を呈した。また、比較例2は、ゼラチン及びカラギナンの混合物を約70℃の温度で加熱して溶解させ、この溶解液にスミチオン及び水を混合したものを前記した餌料混合物に注加し、これを混練したものである。この比較例2の混練物は、比較例1の混練物よりやや軟度が大きいが、なおも粘土状を呈するものであった。 (2)次に、上記(1)の昆虫誘引毒餌剤Aの約1.5gを試料として、図1及び図2示す形態で、収容器10内に収容した。即ち、収容器10は、受器11と蓋部15とからなる。受器11は、その底部12面に4本の突起13…が形成されている。これらの突起13は、それぞれ対称位置に等間隔で設けられている。 【0027】昆虫誘引毒餌剤Aは、図2に示すように、底部12面上で密着状態であると共に、これらの突起13で支持されている。従って、収容器10内に収容された昆虫誘引毒餌剤Aは、搬送等の取扱い時に衝撃を受けた場合でも、その収容位置がズレてしまうことはない。 【0028】また、受器11には、その側面部に下部入口14…が対称位置に等間隔で形成されている。これらの下部入口13は、その下縁部が底部12面のところに位置しており、昆虫が直接侵入できるようになっている。また、下部入口13は、アリ等の小さい昆虫の出入りが容易なように比較的に小さく形成されている。また、蓋部15の上面中央部には、上部入口16が形成されている。上部入口16は、ゴキブリ等の出入りに適するように比較的に大きく形成されている。 (3)次に、昆虫誘引毒餌剤Aを試料として収容した収容器10を、図3に示す態様で、囲い容器20(210×250×100mm)内の対称位置に2つ配置した。また、シェルター21は、紙材を襞状に折り曲げて形成したもので、その側面に形成される複数の三角形状部分をそれぞれ出入り口22とした。また、水ばち23は、各収容器10に対応させて1つずつ配置した。 【0029】囲い容器20内にチャバネゴキブリ成虫を20匹(雄10匹、雌10匹)放ち、常温下で、昆虫誘引毒餌剤Aに対する誘因効果を7日間に亘り試験した。この誘引効果の指標は、試験前と試験後における昆虫誘引毒餌剤Aの重量変化によった。なお、昆虫の唾液や吸湿による重量変化を防ぐため、試料を試験前に12時間、60℃の温度の温風乾燥機によって乾燥させた。 【0030】この試験を、実施例1〜4及び比較例1〜2の試料について行ない、その結果を表3に示した。 【0031】 【表3】
表3に示した結果から、本発明の実施例1〜4の昆虫誘引毒餌剤によれば、摂食量が比較例1〜2のものより2倍以上多く、チャバネゴキブリに対する誘引効果が極めて高いことが分かる。 (4)次に、昆虫誘引毒餌剤Aを収容した収容器10を、トビイロシワアリの巣の周りの10cm離れたところに配置した。アリは、好む餌が近くにあると、それを巣内の仲間に知らせる性質がある。この性質によって集合してきたアリの数を誘引効果の指標とした。 【0032】試験は、最初のアリが収容器10内に入り始めた時点を開始時とし、以後活動が活発な開始後1時間は、5分後ごとに収容器10内に存在するアリの数を計数し、その計数値を誘引数として示した。またそれ以降は10分後ごとに同様に誘引数を計数した誘引数を示した。この誘引数の経時的変化の特性を図4に示した。図4中、特性aは、実施例2の昆虫誘引毒餌剤を試料とした場合であり、また、特性bは、比較例1の昆虫誘引毒餌剤を試料とした場合である。 【0033】特性aと特性bとを比べると、試験時間のほとんどの時間に亘って、本発明の昆虫誘引毒餌剤による特性aが、アリの集合数について上回っていることが確認される。特に、アリの活動の活発な計数開始後30分〜60分の時間で、その計数が大きく開いている。この結果から、本発明の昆虫誘引毒餌剤は、アリに対して極めて高い誘引効果を有することが分かる。 【0034】 【発明の効果】上述したように本発明は構成されるから、次のような効果が発揮される。先ず、本発明の昆虫誘引毒餌剤では、昆虫誘引物質、殺虫剤及びポリエチレングリコールを必須成分として配合した構成により、昆虫が好む軟度のペースト状剤として得られるから、各種昆虫に対する誘引効果を飛躍的に高めることができる。 【0035】また、本発明に係る昆虫誘引毒餌剤のペースト状の性状により、殺虫用の収容器内にも安定状態で収容させることができるから、搬送等の取扱いが容易となると共に、収容器の構成を簡略化でき、これにより安価に製品化することが可能となる。また、経時的にも安定性が維持されるから、保存安定性も確保される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000149181 【氏名又は名称】株式会社大阪製薬
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| 【出願日】 |
平成11年2月10日(1999.2.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075502 【弁理士】 【氏名又は名称】倉内 義朗
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| 【公開番号】 |
特開2000−228938(P2000−228938A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月22日(2000.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−33068 |
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