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【発明の名称】 乗用自走式噴霧装置
【発明者】 【氏名】金 井 洋 一

【氏名】山 内 嘉 人

【要約】 【課題】従来技術のものでは、噴霧装置が車体の最後部に構成されたものであるため、消毒の散布状態が操縦者に見えにくいという問題点や、機体前部に左右二分割したブームの場合にブームの突出先端部を機体側に近付けると、ブーム基端側が機体前方に突出して前後長さが大きくなり運転操作が難しくなる欠点があった。

【解決手段】潅水用あるいは消毒用の液体を収容するタンク22を後部に搭載して自走する乗用型の走行車輌1の前側に、昇降機構14を介して上下動する昇降機枠を設け、この昇降機枠に、前記走行車輌1の左右側全幅と同等あるいはそれよりやや広い左右方向中央部にセンター噴霧管35を取り付け、さらに、このセンター噴霧管35の左右両側部に設けた軸廻りに夫れ夫れ伝動シリンダ45,45を備え、該伝動シリンダ45により側方部のサイド噴霧管48を軸廻りに回動するもので、両方のサイド噴霧管48の突出端部を走行車輌1の車体4側に近付けた幅狭収納状態とした際に、走行車輌1の車体4側に向かう突出端側をタンク22の上方になるよう後ろ上がり姿勢としてなる乗用自走式噴霧装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 潅水用あるいは消毒用の液体を収容するタンク22を後部に搭載して自走する乗用型の走行車輌1の前側に、昇降機構14を介して上下動する昇降機枠設け、の昇降機枠に、前記走行車輌1の左右側全幅と同等あるいはそれよりやや広い左右方向中央部にセンター噴霧管35を取り付け、さらに、このセンター噴霧管35の左右両側部に設けた軸芯廻りに夫れ夫れ伝動シリンダ45,45を備え、該伝動シリンダ45により側方部のサイド噴霧管48を軸芯廻りに回動するもので、両方のサイド噴霧管48の突出端部を走行車輌1の車体4側に近付けた幅狭収納状態とした際に、走行車輌1の車体4側に向かう突出端側をタンク22の上方になるよう後ろ上がり姿勢としてなる乗用自走式噴霧装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用自走型の走行車輌に噴霧装置を装着した農業用の潅水あるいは消毒を行なう乗用自走式噴霧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、乗用型車輌の一例である農業用トラクタに消毒液を収容するタンクを後部側に搭載して、この後部側タンクの更に後部に、消毒用の噴霧管を有するブームが左右側の上下に回動するように構成した乗用式噴霧装置や、トラクタ機体前部に左右二分割したブームを取り付けて散布作業するものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のものでは、噴霧装置が車体の最後部に構成されたものであるため、消毒の散布状態操縦者見えにくいという問題点や、機体前部に左右二分割したブームの場合にブームの突出先端部を機体側に近付けると、ブーム基端側が機体前方に突出して前後長さが大きくなり運転操作が難しくなる欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、潅水用あるいは消毒用の液体を収容するタンク22を後部に搭載して自走する乗用型の走行車輌1の前側に、昇降機構14を介して上下動する昇降機枠を設け、の昇降機枠に、前記走行車輌1の左右側全幅と同等あるいはそれよりやや広い左右方向中央部にセンター噴霧管35を取り付け、さらに、このセンター噴霧管35の左右両側部に設けた軸芯廻りに夫れ夫れ伝動シリンダ45,45を備え、該伝動シリンダ45により側方部のサイド噴霧管48を軸芯廻りに回動するもので、両方のサイド噴霧管48の突出端部を走行車輌1の車体4側に近付けた幅狭収納状態とした際に、走行車輌1の車体4側に向かう突出端側をタンク22の上方になるよう後ろ上がり姿勢としてなる乗用自走式噴霧装置とする。
【0005】
【実施例】この発明の一実施例について、図面に基づき詳細に説明すると、1は乗用型車輌の一例である、四輪駆動型のトラクタである。第1図及び第2図から明解な通り、前輪2,2と後輪3,3を有する車体4の上部前側にボンネット5でカバーされたエンジンを搭載し、その後部に操縦座席6を設け、ボンネット後端の左右中央にステアリングポストを立設させてハンドル7を設けている。図示省略をしたが、このトラクタ1の前輪2,2と後輪3,3は操縦座席側から選択切換できるプッシュボタン8a,8b,8cにより前輪操舵、後輪操舵及び前後輪操舵に切換可能なものにしている。9は変速主レバー、10は副変速レバー、11はスロットルレバーである。12は操縦席フロアであって、車体の上面側に張設されている。
【0006】13はフロントヒッチで、車体4の前端に設けられている。14は昇降機構で、前記フロントヒッチ13に適宜脱着可能な固定基枠15に上リンク16と下リンク17の基部側を横方向の軸心の回りに回動可能に枢着し、両リンク16,17の先端側を連結ヒッチ枠18で枢結してこの連結ヒッチ枠18を昇降可能にリンク組みならしめている。そして、この昇降機構14のリンク構成は、昇降上下の中間を境に連結ヒッチ枠18の傾きが上端側が後方に向かったり前方に向かったりするように基部側のリンク支点間隔Mよりも先端側のリンク支点間隔Lを広くしている。19は電動シリンダで、基部側を連結ヒッチ枠18に枢結すると共にピストン側を前記下リンク17に枢結してピストン19aの出入り作動で連結ヒッチ18が昇降作動するように構成している。
【0007】20はタンクで、潅水用の水や消毒液を収納する樹脂製のタンクであり、操縦座席6の左右側と後方側とを取り囲むように平面視がコ字型に形成されていて後方側へ滑らしながら容易に脱着できるようになっている。そして、このタンク20の右側部分の上部に噴霧装置の切替弁や圧力調整弁あるいは噴霧位置の切替弁等の噴霧調節操作部21を該タンク20と一体的に設けている。22は液体供給蓋、23はタンク20のセットネジを示す。24は動噴ポンプで、タンク22の後方下側の前記車輌1であるトラクタのリヤーヒッチ25に着脱可能に取付けられて、図示省略のリヤー出力軸から駆動されるようになっている。
【0008】26は噴霧装置で、センター噴霧機枠27部とサイド噴霧機枠39部に分割可能になっていて、次のように構成されている。センター噴霧機枠27は、前記連結ヒッチ枠18の前端部分に上下2段に固着した係合軸28,29の何れか側に選択して引っ掻け得るフックの切欠係止部30と、その係止状態で所定の角度に回動させるときに連結ヒッチ枠18側共々ピン31の挿脱が可能な固着孔32を有する脱着金具33を一体的に備え、このセンター噴霧機枠27に噴霧ノズル34,34,...を所定の左右間隔で取付けたセンター噴霧管35を該ノズル34が下向きとなるように固着している。36は脱着時にセンター噴霧機枠27を回動作動するための把手を示す。37は後述のサイド噴霧機枠を折畳み時に支えるための支柱であり、センター噴霧機枠27の左右端側に基部が固着されてセット時において後方上方に向かうように設けられている。そして、この支柱37の上端に該噴霧機枠全体を持ち上げて運搬する運搬用把手38が設けられている。尚、この運搬用把手38の握り部分の方向は噴霧機枠全体(センター及びサイドの全噴霧枠部を含む)を左右の支柱37側で吊り下げた時の重力方向に構成し、バランスが保たれて運べるようになっている。
【0009】サイド噴霧機枠39は、前記センター噴霧機枠27の左右先端側に固着のブラケット40に軸芯であるピン41で後方上方向かって回動可能な可動部材42と、この可動部材42にピン43で略々水平回りに後方側にのみ回動可能な金具44に固着されている。
【0010】45はサイド噴霧機枠39を軸芯であるピン41の回りに回動作動させる伝動シリンダで、シリンダ本体側を前記センタ噴霧機枠27に枢結させると共に、そのピストン45aを前記可動部材42に枢結してピストン45aの突出により該サイド噴霧機枠39が延びる方向と同一方向でその延長線上に該サイド噴霧機枠39が展開され、ピストン45aの引っ込みによって後方上方側へ屈折作動されるように構成している。46はサイド噴霧機枠39を引き上げ方向へ弾持するスプリングで、前記支柱37と前記可動部材42との間に介在されており、前記伝動シリンダ45によるサイド噴霧機枠39の維持と振り上げ力を助ける働きをさせている。
【0011】また、スプリング47はサイド噴霧機枠39と金具44との間に介在して、サイド噴霧機枠39が左右横方向に延びている状態において、前方側からこのサイド噴霧機枠39に異物が当接するとき該サイド噴霧機枠39がピン43の回りに回動してこのサイド噴霧機枠39の破損を防止し、異物の当接が除かれるとセンター噴霧機枠27と一直線になる元の状態に復帰させる働きをするものである。
【0012】48はサイド噴霧管で、前記サイド噴霧機枠39の下側部分に沿わせて取付けられ、このサイド噴機枠39よりも外方へ延長ならしめ、これに噴霧ノズル34,34,...を所定の左右間隔で取付けている。
【0013】49は屈曲自在なゴム製の連結ホースで、前記動噴ポンプ24から噴霧調節操作部21の各弁を経て、前記センター噴霧管35,サイド噴霧管48に圧液が送られるように連結するホースである。
【0014】50はサイド噴霧機枠39の振り上げ状態を維持させるロック装置で、前記センター噴霧機枠27に一体で両端に直角で後方上方に立設した支柱37に取付けたサイド噴霧機枠39を挟持する挾持金具51とこの挾持金具51の内部にサイド噴霧機枠39を嵌入させた状態時にその入り口から不測に脱落しないように入り口を閉鎖するロック金具52とからなり、このロック金具52を前記サイド噴霧管48にそのサイド噴霧管48の軸心に沿った方向にレバー53で移動可能に設けたロッド54で操作可能に設けている。そして、このレバー53は、当然サイド噴霧機枠39及びサイド噴霧管48と一体的に設けられているが、該サイド噴霧機枠39及びサイド噴霧管48が上方後方へ振り上げられた状態において、操縦座席側から容易に操作できる位置になるよう構成されている。55はロック状態を保持するスプリング、56はロッド54を挿通し、かつロック金具52が非ロック状態を保持するようにレバー53を係止させるレバーガイドである。尚、図中57は、センター噴霧機枠27にブラケット58を介して固着の移動用転動輪を示す。
【0015】次に、上例の作用を詳述すると、乗用型走行車輌1は、後部のタンク20及び動噴ポンプ24及び噴霧装置26更に昇降機構14を外すことによって単なる車輌となり、他の作業用の車になり得る。
【0016】また、潅水作業あるいは消毒作業では、図示した状態でこれらの作業ができる。即ち、この車輌を圃場の作物が植生する畝を跨いだ状態で運行させながら操縦者が噴霧調節操作部の適宜な操作をすることにより噴霧装置26側へ液体を給送ならしめ、センター噴霧管35、サイド噴霧管48の噴霧ノズル34から圧力給送させた液を噴霧状態で車輌が跨いでいる畝及び左右側の畝で成育している植物(野菜や花)に潅水あるいは消毒をする。
【0017】そして、圃場の端に達するとき、潅水作業や消毒作業を中断させて車輌を旋回させ、未作業部分の畝に該車輌を運行移動するが、このとき、左右両側のサイド噴霧機枠39の必要側を後方上方へ振り上げて噴霧装置26の左右幅を狭くし、容易に旋回できるようにする。この操作にあたっては、操縦座席9の近傍位置に設けたスイッチ(ロ)、(ハ)で左右側の電動シリンダー45,45を各別に作動させてピストン45a,45aの一方または両方を引っ込めると左右のサイド噴霧機枠39が第1図、第2図のようにピン41の回りに回動して振り上げられる。この状態は路上運行時にも同じであるが、路上運行時には不測に該サイド噴霧機枠39が下方側に回動するのを防止するためにロック装置50を働かせることが必要になる。また、スプリング46で常時サイド噴霧機枠39を引き上げ方向に彈持させているから、引き上げ力は弱くてよく大型の電動シリンダーは必要でない。
【0018】また、作業中に畦畔や杭等の異物にサイド噴霧機枠39が衝突するとピン43の回りにスプリング47に抗して後方側に該サイド噴霧機枠39が回動し、サイド噴霧機枠39やサイド噴霧管48を破損させないで保持でき、異物が通り過ぎると元に復帰する。
【0019】また、畝高さの差異あるいは作物の成育状態で噴霧高さを変更させるには、昇降機構14の電動シリンダー19をスイッチ(イ)で作動させ、昇降高さを変更調節すればよい。また、この昇降機構14の調節範囲では調節できない場合には、噴霧装置26全体を、センター噴霧機枠27を係合軸28から29側へ上下方向取付け位置を移動させることで大きく変更できる。
【0020】噴霧装置26を昇降機構14側から取り外して適所に格納、保管するような場合の取外し運搬にあたっては、独り作業が可能である。即ち、左右のサイド噴霧機枠39を上方へ振り上げて折り畳み、かつロック装置50でロックさせた状態で、片手で把手36を掴み、ピン31を外して持ち上げながら係合軸28から脱着金具33の切欠係止部30をして地面に下ろし、次に、左右側の運搬用把手38を掴んで持ち上げながら運搬すればよい。この時、噴霧装置26の重心が把手38で吊り下げたときに丁度その把手38の垂直側にかかって前後方向の回動がない状態の位置と方向を選んで構成してあるから容易に持ち上げて運搬できる。
【0021】尚、前記昇降機構14は、その昇降によって第1図のように噴霧装置26の車輌1に対する角度が変更れるが、この変更は、上昇されたときに折り畳み状態のサイド噴霧管48を含むサイド噴霧機枠39の角度がゆるくなり、下降したときは逆に急角度になって、上昇したときにサイド噴霧管48の上端部の高さを低くして路上走行の邪魔にならないようにしている。
【0022】
【発明の作用効果】以上、この発明によれば、潅水用あるいは消毒用の液体を収容するタンク22を後部に搭載して自走する乗用型の走行車輌1の前側に、昇降機構4を介して上下動する昇降機枠を設け、の昇降機枠に、前記走行車輌1の左右側全幅と同等あるいはそれよりやや広い左右方向中央部にセンター噴霧管35を取り付け、さらに、このセンター噴霧管35の左右両側部に設けた軸芯廻りに夫れ夫れ伝動シリンダ45,45を備え、該伝動シリンダ45により側方部のサイド噴霧管48を軸芯廻りに回動するもので、両方のサイド噴霧管48の突出端部を走行車輌1の車体4側に近付けた幅狭収納状態とした際に、走行車輌1の車体4側に向かう突出端側をタンク22の上方になるよう後ろ上がり姿勢としてなる乗用自走式噴霧装置の構成としたので、サイド噴霧管48を軸回りに回動するとき、走行車輌1の昇降機枠から前方に噴霧管の突出がなく、操縦が容易である。【0023】また、両方のサイド噴霧管48の突出端部を走行車輌1の車体4側に近付けた幅狭収納状態とした際に、走行車輌1の車体4側に向かう突出端側をタンク22の上方になるよう後ろ上がり姿勢としているので、サイド噴霧管48が斜めになった分前後長さが短くなって、操縦が容易である。【0024】また、噴霧装置26が乗用型走行車輌1の前側にあって、その噴霧装置26側が昇降機枠部で昇降調節できるから、作業状態を操縦座席9から容易に監視できて昇降調節等が的確にできる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成3年4月15日(1991.4.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−78945(P2000−78945A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平11−272535