トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 電動リール
【発明者】 【氏名】栗山 博明

【要約】 【課題】電子ブレーカー機能を有する電動リールにおいて、電子ブレーカー機能が作動するまでモータの性能を充分に活用可能な電動リールを提供する。

【解決手段】電子ブレーカーが作動するまでの時間を測るためのタイマ処理は、ステップS61では、タイマ開始条件のテーブルで決定されるモータ停止時間taが読み込まれる。そして、ステップS62でタイマがオンされているか否かを判断する。タイマがオフのときは、ステップS63に移行しモータを停止させるまでの時間であるモータ停止時間taの経過を検出するために、タイマをオンさせる。そしてステップS64では、タイマの残り時間tb(=ta−t)を算出する。この残り時間tbは、表示処理により液晶ディスプレイ上の水深表示部に表示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣竿に装着される電動リールであって、前記釣竿に装着されるリール本体と、前記リール本体に回転可能に支持される糸巻き用のスプールと、前記スプールを回転させる電動のモータと、前記モータをオンオフ操作するためのモータ操作手段と、前記モータ操作手段の操作に応じて前記モータに電力を供給し、前記モータが所定の制限条件になると所定時間経過後に前記モータに供給する電力を所定電力以下に制限する制御を行うモータ制御手段と、前記所定の制限条件になると前記所定時間を計測するためにその間動作するタイマ手段と、前記タイマ手段の残りの動作時間を報知するためのタイマ報知手段と、を備えた電動リール。
【請求項2】前記モータ制御手段は、前記所定の制限条件になると前記モータに供給する電力を遮断する、請求項1に記載の電動リール。
【請求項3】前記タイマ報知手段は、前記タイマ手段の残りの動作時間を表示するタイマ表示手段を有する、請求項1又は2に記載の電動リール。
【請求項4】前記タイマ表示手段は、前記タイマ手段の残りの動作時間が所定時間以下になると点滅表示を行う、請求項3に記載の電動リール。
【請求項5】前記タイマ報知手段は、前記タイマ手段の残りの動作時間を音声により報知するタイマ発音手段をさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の電動リール。
【請求項6】前記モータの温度を検出するための温度検出手段をさらに備え、前記所定の制限条件は前記モータの所定温度で設定され、前記モータ制御手段は、前記温度検出手段により検出された温度が前記所定温度を超えたとき、前記モータの前記制御を行う、請求項1から5のいずれかに記載の電動リール。
【請求項7】前記モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段をさらに備え、前記所定の制限条件は前記モータの所定電流値で設定され、前記モータ制御手段は、前記電流値検出手段により検出された電流値が前記所定電流値を超えたとき、前記モータの前記制御を行う、請求項1から6のいずれかに記載の電動リール。
【請求項8】釣竿に装着される電動リールであって、前記釣竿に装着されるリール本体と、前記リール本体に回転可能に支持される糸巻き用のスプールと、前記スプールを回転させる電動のモータと、前記モータをオンオフ操作するためのモータ操作手段と、通常状態において前記モータ操作手段の操作に応じて前記モータに電力を供給し、前記通常状態から所定条件下への移行すると前記所定条件下における経過時間を計測し、前記経過時間が所定時間を超えたとき前記モータに供給する電力を所定電力以下に制限する制限状態へ移行する制御を行うモータ制御手段と、前記制限状態に入るまでの残存時間を報知するための報知手段と、を備えた電動リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動リール、特に、電子ブレーカー機能を有する電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に電動リールは、リール本体と、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、スプールを手動で回転させるためのハンドルと、スプールを巻き上げ方向に駆動する電動のモータとを備えている。リール本体の上面には、水深等を表示するためのディスプレイや各種の入力を行うスイッチが設けられた操作パネルが装着されている。
【0003】このような電動リールでは、仕掛けの回収時や、魚がかかったときに電動巻き上げを行うことができるが、魚がかかったときにはモータにかかる負担が大きくなる。特に、大きな魚がかかったときには、モータに大きな電流が長時間流れ続けることによって、モータやモータの駆動回路、モータ駆動素子が過熱してモータ等を焼損させるおそれが生じる。
【0004】したがって、電動リールにおいて、モータにこのような負担がかかったときに、これを検知してモータ等を保護するような制御が行われることが望ましい。そこで、モータ等を保護する制御がなされる電動リールとして、負荷の上昇によって過電流が流れたときや温度が上昇したときにモータに供給されている電力を遮断する電子ブレーカー機能を備えたものがある。ここでは、ある電流値を上回る電流が所定時間流れたという条件やある温度を超えたという所定の制限条件によって、電力を遮断する制御が行われる。
【0005】この種の電動リールでは、所定の制限条件になると、その旨を釣人に知らせるために、ディスプレイに「要注意」と表示される。そしてモータが停止するまで「要注意」が表示され、まもなくモータが停止することを釣人に報知可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電子ブレーカー機能を有する電動リールでは、釣人はディスプレイに「要注意」が表示されてからモータがいつ停止するか具体的に把握することができない。このため、釣人は「要注意」が表示されると直ちにモータの回転速度を下げたり、停止させたりするので、モータの性能を充分に活かしきれない。
【0007】本発明の課題は、電子ブレーカー機能を有する電動リールにおいて、電子ブレーカー機能が作動するまでモータの性能を充分に活用可能な電動リールを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明1に係る電動リールは、釣竿に装着される電動リールであって、釣竿に装着されるリール本体と、リール本体に回転可能に支持される糸巻き用のスプールと、スプールを回転させる電動のモータと、モータをオンオフ操作するためのモータ操作手段と、モータ操作手段の操作に応じてモータに電力を供給し、モータが所定の制限条件になると所定時間経過後にモータに供給する電力を所定電力以下に制限する制御を行うモータ制御手段と、所定の制限条件になると所定時間を計測するためにその間動作するタイマ手段と、タイマ手段の残りの動作時間を報知するためのタイマ報知手段とを備えている。
【0009】この電動リールでは、モータの負荷が増大したり、温度が上昇して所定の制限条件になると、モータへの電力が制限(電力の遮断を含む)され、モータが減速又は停止する。そしてタイマ手段が、モータが減速又は停止するまでの所定時間の間動作する。このタイマ手段の残りの動作時間はタイマ報知手段により釣人に報知される。ここでは、モータが減速又は停止するまでの残りの動作時間が釣人に報知されるので、釣人はモータが減速又は停止するまでモータを最大限回転させることができ、モータの性能を充分に活用することができる。
【0010】発明2に係る電動リールは、発明1の電動リールにおいて、モータ制御手段は、所定の制限条件になると所定時間経過後にモータに供給する電力を遮断する。この場合は、所定の制限条件になると所定時間経過後に電力が遮断され、モータを停止させることができるので、モータが停止するまでの時間を正確に把握することができる。
【0011】発明3に係る電動リールは、発明1又は2の電動リールにおいて、タイマ報知手段は、タイマ手段の残りの動作時間を表示するタイマ表示手段を有する。この場合には、タイマ手段の残りの動作時間が表示されるので、釣人はモータが減速又は停止するまでの時間を容易に視認することができる。発明4に係る電動リールは、発明3の電動リールにおいて、タイマ表示手段は、タイマ手段の残りの動作時間が所定時間以下になると点滅表示を行う。
【0012】この場合は、表示手段により表示される残りの動作時間を点滅させることにより、釣人はモータが減速又は停止するまでの時間をさらに容易に視認することができる。発明5に係る電動リールは、発明1から4のいずれかの電動リールにおいて、タイマ報知手段は、タイマ手段の残りの動作時間を音声により報知するタイマ発音手段をさらに有する。
【0013】この場合は、たとえば音声で残りの動作時間を報知したり、残り時間が少なくなると所定の間隔でアラームを鳴らしたりすることにより、釣人はモータが減速又は停止するまでの時間を容易に把握することができる。発明6に係る電動リールは、発明1から5のいずれかの電動リールにおいて、モータの温度を検出するための温度検出手段をさらに備え、所定の制限条件はモータの所定温度で設定され、モータ制御手段は、温度検出手段により検出された温度が所定温度を超えたとき、前記モータの前記制御を行う。
【0014】発明7に係る電動リールは、発明1から6のいずれかの電動リールにおいて、モータに供給される電流値を検出する電流値検出手段をさらに備え、所定の制限条件はモータの所定電流値で設定され、モータ制御手段は、電流値検出手段により検出された電流値が所定電流値を超えたとき、モータの前記制御を行う。発明8に係る電動リールは、釣竿に装着される電動リールであって、釣竿に装着されるリール本体と、リール本体に回転可能に支持される糸巻き用のスプールと、スプールを回転させる電動のモータと、モータをオンオフ操作するためのモータ操作手段と、通常状態においてモータ操作手段の操作に応じてモータに電力を供給し、通常状態から所定条件下への移行すると所定条件下における経過時間を計測し、経過時間が所定時間を超えたときモータに供給する電力を所定電力以下に制限する制限状態へ移行する制御を行うモータ制御手段と、制限状態に入るまでの残存時間を報知するための報知手段とを備えている。
【0015】
【発明の実施の形態】<全体構成>本発明の一実施形態による電動リールは、図1に示すように、7段変速の電動リールであって、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを主に備えている。リール本体1の内部には、ハンドル2に連結されたスプール10が、リール本体1に対して回転自在に支持されている。スプール10の内部には、スプール10を糸巻き上げ方向に回転駆動する直流駆動のモータ12が配置されている。また、リール本体1の一側面には、ハンドル2及びクラッチ操作レバー11が配置されている。クラッチ操作レバー11はモータ12とスプール10との駆動伝達をオンオフするための操作部材である。
【0016】リール本体1の上部には、操作パネル4が一体に形成されている。操作パネル4には、仕掛けの水深や2つの基準による棚位置等を表示するための液晶ディスプレイからなる表示部5と、表示部5の周囲に配置された各種の操作キーからなる操作部6とが設けられている。表示部5には、図2に拡大して示すように、表示モード(上からモードと底からモード)に応じて異なる水深を表示する水深表示部5aと、各種のモードや動作状態を表示するためのモード表示部5bと、水底の水深を表示するための底メモ表示部5cと、表示モードに応じて上棚位置又は底棚位置を表示するための棚メモ表示部5dと、スプール10の電動巻き上げの7つの変速段を表示するための速度表示部5eとが含まれている。
【0017】水深表示部5a、底メモ表示部5c及び棚メモ表示部5dは、正負3桁で水深を表示可能である。モード表示部5bは、「上から」と「底から」との2種の文字のいずれかで表示モードを画面上に表示する。ここで、上からモードとは、電動リールを基準とした水面からの仕掛けの水深を表示するモードであり、底からモードとは水底を基準とした水底から仕掛けまでの距離を表示するモードである。このため、上からモードは、「上もの」と呼ばれる魚を釣るときに好適であり、底からモードは「底もの」と呼ばれる魚を釣るときに好適である。
【0018】操作部6には、表示部5の右側に上下に並べて配置された増減速スイッチSK及びパワーボタンPBと、左側に上下に並べて配置されたさそいボタンIB、棚メモボタンTB及び底メモボタンSBとが設けられている。増減速スイッチSKは、2つのスイッチからなるシーソー型のスイッチであり、上スイッチを押すと変速段が押している時間だけ徐々に高速側に移行し、下スイッチを押すと低速側に移行する。また、押すのを止めると増減速スイッチSKが中立位置に復帰して、そのときの変速段を維持する。パワーボタンPBは、モータ12のオンオフを行わせるためのボタンである。
【0019】さそいボタンIBは、仕掛けを棚近傍でさそい上げるさそいモードをセットしたり、さそい学習を行ったり、さそいモードを解除する際に使用されるボタンである。棚メモボタンTBは、上からモードのときの上棚位置や底からモードのときの底棚位置を設定するためのボタンである。なお、棚メモボタンTBを3秒以上押し続けると、水深表示が0セットされる。底メモボタンSBは、水底の水深を設定するためのボタンである。また、底メモボタンSBを3秒以上押し続けると、表示モードが上からモードあるいは底からモードに切り替わる。
【0020】また、操作パネル4の下面側には、各種警報音を出力するアラーム7(図3参照)が設けられている。
<制御系の構成>この電動リールは、図3に示すような制御部20を有している。制御部20は、操作パネル4内に配置されたCPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータを備えており、制御プログラムに従って後で説明する各種の制御動作を実行する。制御部20には、操作部6の各種のボタン(スイッチ)と、スプール10の回転方向及び回転数を検出するための1対のリードスイッチからなるスプール回転センサ21と、モータ12に供給された電流値を検出するための電流検出センサ23と、温度センサ24とが接続されている。電流検出センサ23は、PWM駆動回路25に用いられるモータ駆動素子であるFET25aの両端の分圧を検出することで、モータ12に供給された電流を検出する。温度センサ24は、FET25aの温度を検出することによりモータ12の温度を間接的に検出する。ここで、電流検出センサ23と温度センサ24とは、制御部20とともに操作パネル4内に配置されている。
【0021】また、制御部20には、複数のタイマ8と、アラーム7と、表示部5と、FET25aを用いたPWM駆動回路25と、各種の制御データを記憶する不揮発メモリからなる記憶部26と、読み出し部28と、他の入出力部とが接続されている。複数のタイマ8には、後述する停止条件(制限条件の一例)に合致するか否かを判断するときに使用されるものや、停止条件になってモータ12をオフさせるまでの時間を測定するときに使用されるもの等が含まれる。これらのタイマ8は、制御部20からの指令により作動し、随時その時間の情報を制御部20に送る。また、PWM駆動回路25にはモータ12が接続されている。
【0022】記憶部26には、図4に示すように、棚位置等の表示データを記憶する表示データ記憶エリア30と、実際の糸長とスプール回転数との関係を示す学習データを記憶する学習データ記憶エリア31と、PWM駆動回路25で用いられるFET25aの温度及びモータ12に供給された電流値等に応じて電子ブレーカーを働かせるための停止条件を記憶する停止条件テーブル記憶エリア32と、PWM駆動回路25で用いられる変速段に応じた最大デューティー比DSUを記憶するデューティーテーブル記憶エリア33と、種々のデータを記憶するデータ記憶エリア34とが設けられている。
【0023】停止条件テーブル記憶エリア32には、図5に示すようなモータ12をオフさせる複数の条件からなる停止条件のテーブルが記憶されている。ここには、FET25aの温度の範囲とモータ12に供給された電流値の範囲との2要素からなる7つの条件が並列に存在しており、それぞれの条件には、その条件に合致する状態がどれだけの時間継続したらモータ12をオフさせるのかという時間の要素が加えられている。たとえば、FET25aの温度が60℃以上の範囲にあってかつ電流値が8A以上にある状態が15秒以上継続したときには、停止条件になっていると判断され、モータ12がオフされる。また、FET25aの温度が80℃以上になれば、電流値の大きさにかかわらず、即座にモータ12がオフされる。
【0024】デューティーテーブル記憶エリア33には、たとえば、低速側の段である1から2速では50%、3速から4速では70%、5速では90%、外部電源40の供給電圧における最高速である6速及び昇圧状態の7速では100%の最大デューティー比DSUが記憶されている。このように、変速段が高くなるに従って最大デューティー比DSUが大きくなるように設定されている。また、各変速段SCそれぞれに設定されている巻き上げ速度も、このデューティーテーブル記憶エリア33に記憶されている。
【0025】読み出し部28(図3参照)には、実際にセットされたPWM駆動のデューティー比D、デューティーテーブル記憶エリア33から読み出された最大デューティー比DSU、セットされた変速段SC、変速段SCに対応して設定されている目標の巻き上げ速度等が記憶される。また、この電動リールは、図3に示すように、制御部20によって制御される切替部41及び昇圧回路42を内蔵している。切替部41は、バッテリー等の外部電源40からの供給電力をPWM駆動回路25に送るルートを切り替える。具体的には、切替部41は、制御部20からの指令によって、外部電源40の供給電圧をそのままPWM駆動回路25に送るか、昇圧回路42を介して供給電圧を昇圧してPWM駆動回路25に送るかを切り替える。
【0026】<電動リールの主な制御>次に、制御部20によって行われる主な制御処理を図6以降に示す制御フローチャートに従って説明する。電動リールに外部電源40が接続されると、図6に示すステップS1において初期設定を行う。ここでは、水深表示を「0」にしたり、各種のフラグをリセットしたり、表示モードを上からモードに設定する。また、図5に示す停止条件のテーブルは、ここで停止条件テーブル記憶エリア32から読み出し部28に呼び出される。
【0027】ステップS2では、図7に示す表示処理を行う。ステップS3では、操作部6の各種ボタンの操作によるキー入力がなされたか否かが判断される。ステップS3においてキー入力がなされると、ステップS7に移行し、図8及び図9に示すキー入力処理を行う。ステップS4では、スプール10が回転したか否かが判断される。この判断は、スプール回転センサ21の出力により判断する。スプール10が回転していると判断すれば、ステップS4からステップS8に移行し、各モード処理(棚アラーム処理、船縁アラーム処理等)を実行する。
【0028】ステップS5では、モータ12がオンされているか否かが判断される。オンされていると判断すれば、ステップS5からステップS9に移行する。ステップS9の増減速処理では、デューティー比Dを増加又は減少させて、モータ12を増速又は減速させる。この処理では、スプール回転センサ21により検出される現在のスプール10の回転数と現在の変速段SCに設定されている回転速度データとを比較して、両者を合わせるようにデューティー比Dを調整してスプール10を回すモータ12の回転を増減速させる。ただし、そのときの変速段SCに対応する最大デューティー比DSUを超えない範囲でデューティー比Dが調整される。
【0029】ステップS9からステップS10に移行すると、ここで、図10に示すモータ12の電子ブレーカー処理が行われる。図10に示すように、電子ブレーカー処理では、まずステップS51において、タイマ開始条件を満たしているか否かを判断する。このタイマ開始条件は、モータ12が停止させるための条件(モータ停止条件)を含む範囲内において、電流検出センサ23により検出されている電流値や、温度センサ24により検出されているFET25aの温度の範囲毎に対応するようにモータ12が停止するまでの時間(モータ停止時間)taが定められている。タイマ開始条件はたとえば、図5に示すモータ停止条件の初期時間に対応するように、電流値が7Aのときta=60秒、8Aのときta=30秒、10Aのときta=4秒とすることができる。また電流値や温度は変動するので、たとえばタイマ8がオンされているとき、電流値が7Aから8Aに上昇したときは、既にタイマ8が作動してモータ停止時間taが消費されているのでta=20秒のように少なく設定することができる。
【0030】ステップS51においてタイマ開始条件を満たしていないときはステップS59に移行する。ステップS59ではタイマ8がオンされているか否かを判断し、オンされていればステップS60でオフされる。そして、タイマ開始条件が満たされていなければ、モータ停止条件も満たされないので、図6のステップS6に移行する。ステップS51においてタイマ開始条件を満たしているときはステップS52に移行し、タイマ処理が行われる。
【0031】ステップS52のタイマ処理は、図11に示すように、ステップS61では、タイマ開始条件のテーブルで決定されるモータ停止時間taが読み込まれる。そして、ステップS62でタイマ8がオンされているか否かを判断する。タイマ8がオフのときは、ステップS63に移行しモータ12を停止させるまでの時間であるモータ停止時間taの経過を検出するために、タイマ8をオンさせる。タイマ8が既にオンされているときは、ステップS63をスキップする。そしてステップS64では、タイマ8の残り時間tb(=ta−t)を算出する。この残り時間tbは、ステップS2の表示処理で水深表示部5aに表示される。
【0032】タイマ処理が行われると、図10に示すように、ステップS53に移行し、モータ停止条件を満たしているか否かを判断する。このステップS53では、電流値、FET25aの温度、及びタイマ8により検知されるこれらの条件が図5に示す範囲に継続している時間の3要素が読み出され、電動リールが図5に示す停止条件のいずれかになっているか否かが判断される。具体的には、タイマ処理により算出された残り時間tbが0になったか否かを判断する。この停止条件を満たしていないときは、モータ12やFET25aが焼損するおそれはないとして、図6のステップS6に移行する。
【0033】ステップS53においてモータ停止条件を満たす場合、すなわち前記3要素の組み合わせが図5の停止条件に該当する場合には、ステップS54に移行してモータ12をオフさせ、ステップS55において、モータ12のオン操作を受け付けないようにパワーボタンPBを凍結状態とする。そしてステップS56に移行しタイマをオフにする。次に、ステップS57では、モータ12に供給される電源電圧が昇圧されているか否か、すなわち、外部電源40の供給電圧を昇圧回路42を介して送っているかそのままPWM駆動回路25に送っているかを判断する。そして、昇圧されている場合、すなわち昇圧回路42を介している場合には、ステップS58に移行して、切替部41を切り替え外部電源40の供給電圧を昇圧しない状態でPWM駆動回路25に供給させるようにして、昇圧を解除させる。
【0034】図6に示すステップS6では、他の指令がなされたか否かを判断する。他の指令がなされるとステップS6からステップS11に移行し、指令に応じた他の処理を行う。図7に示すステップS2の表示処理では、ステップS13でタイマ8が停止条件を満たした後に動作を開始したか否かを判断する。タイマ8が動作を開始している、つまり動作状態である場合にはステップS14に移行する。ステップS14では、タイマ8の残り時間tbを水深表示部5aに表示する。ステップS15では、タイマ8の時間tがモータ停止時間taより短い点滅開始時間tsを経過したか否かを判断する。このタイマ8が動作を開始してから点滅開始時間tsを経過するとステップS15に移行し、水深表示部5aを点滅表示させる。なお点滅開始時間tsを経過していない場合にはステップS15をスキップする。
【0035】タイマ8がオンしていない場合にはステップS13からステップS16に移行する。ステップS16では、他の表示処理を行う。この他の表示処理では、水深表示等の各種の表示を行う。ここで、上からモードのときには、水深表示部5aに上からの水深が、底からモードのときには水底からの距離が表示される。また、棚位置がセットされると、上からモードのときには棚メモ表示部5dに上棚位置が、底からモードのときには底棚位置が表示される。
【0036】図8及び図9に示すステップS7のキー入力処理では、まずステップS21でパワーボタンPBが押されたか否かを判断する。ステップS22では増減速スイッチSKの上スイッチが押されたか否かを判断する。ステップS23では増減速スイッチSKの下スイッチが押されたか否かを判断する。ステップS24では、棚メモボタンTBが押されたか、底メモボタンSBが押されたか、底メモボタンSBの長時間(たとえば3秒以上)のキー入力がされたか、底メモボタンSBと棚メモボタンTBとの同時操作がされたか、さそいボタンIBのキー入力がされたか等の他のキー入力がなされたか否かを判断する。
【0037】ステップS21においてパワーボタンPBが押されると、ステップS30に移行する。ステップS30ではモータ12がオンの状態であるか否かを判断する。モータ12が既にオンしている場合にはステップS31に移行しモータ12を停止させる。モータ12がオフの場合には、ステップS32に移行して、パワーボタンPBが凍結状態であるか否かを判断する。これが凍結状態でなければ、ステップS35に移行してモータ12をオンさせる。パワーボタンPBが凍結状態の場合には、ステップS33に移行して、モータ復帰条件を満たしているか否かを判断する。このモータ復帰条件は、たとえばモータ12の停止後のモータ12等の温度を検出し、所定の温度まで冷却されたときモータ12を回転可能にするための条件である。ここで、モータ復帰条件が満たされていなければ、モータ12をオフ状態としたまま図9のステップS22に移行する。モータ復帰条件を満たしている場合には、ステップS34に移行してパワーボタンPBの凍結状態を解除する。そして、ステップS35においてモータ12をオンさせる。
【0038】図9のステップS22において増減速スイッチSKの上スイッチが押されると、ステップS40に移行する。ステップS40では、変速段をアップさせる。このときの変速段SCは読み出し部28に記憶されるとともに、表示処理において速度表示部5eに表示される。ステップS41では、変速段SCが7速であるか否かを判断し、7速である場合には、ステップS42で切替部41を切り替えて、昇圧回路42において外部電源40の供給電圧を昇圧してPWM駆動回路25に供給させる。ただし、パワーボタンPBが凍結状態にあるときには、図示しないが、増減速スイッチSKの上スイッチが押されていても、ステップS22からステップS40に移行せずにステップS23に移行する。
【0039】ステップS23において増減速スイッチSKの下スイッチが押されると、ステップS43に移行する。ステップS43では、変速段を減少させる。このときの変速段SCも読み出し部28に記憶されるとともに、速度表示部5eに表示される。ステップS44では、変速段SCが6速であるか否かを判断し、6速である場合にはステップS45で切替部41を切り替えて外部電源40の供給電圧を昇圧しない状態でPWM駆動回路25に供給させる。
【0040】ステップS24において他のキー入力がなされた場合には、ステップS46に移行し、押されたキーに応じた他のキー入力処理を行う。たとえば、棚メモボタンTBが押されると、このときの水深を上棚位置として表示データ記憶エリア30に記憶するとともに、水底の水深からそのときの水深を引いた値を底棚位置として表示データ記憶エリア30に記憶する。また底メモボタンSBが押されると、このときの水深を水底の水深として表示データ記憶エリア30に記憶する。底メモボタンSBが3秒以上押されると、表示モードが上からと底からとで切り替えられ、さそいボタンIBが押されると動作モードがさそいモードに切り替えられる。
【0041】<電動リールの特徴>この電動リールでは、モータ12やFET25aの焼損防止のために電子ブレーカーを作動させモータ12をオフさせる基準となる停止条件として、図5に示すように、電流値、FET25aの温度、及びこれらの条件が継続している時間の3要素の組み合わせによる7つの条件の集合を持ってきている。このため、電動リールにおけるモータ12等の焼損回避が効果的に行われており、不必要に電動リールを電動巻き上げできない状態にしてしまって釣人に不便をかけてしまうことが少なくなっている。
【0042】また、この電動リールでは、停止条件になると、モータ12をオフするとともに、モータ復帰条件を満たすまではパワーボタンPBを凍結させることによりモータ12をオンさせることを禁止している。さらに、モータ12が停止するまでの残り時間tbが水深表示部5aに表示されるので、釣人はモータ12が停止するまで、モータ12を最大限回転させることができるので、モータ12の性能を充分に活用することができる。
【0043】〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、モータ12を停止させるための時間を報知するための手段として残り時間tbを水深表示部5aに表示させていたが、これに限定されるものではない。たとえば、モータ12が停止する数秒前から所定時間おきにアラーム7を鳴らすようにしてもよい。また、音声により所定時間おきに残りの時間をカウントダウンするようにしてもよい。
【0044】(b) 前記実施形態において、電子ブレーカー処理によりモータ12を停止させる制御を行っていたが、モータ12の回転速度を徐々に落として停止させるような制御を行ってもよい。また、モータ12の回転速度を徐々に落とした後、低速回転を維持させるような制御を行ってもよい。
(c) 前記実施形態では、モータ12の温度及びモータ12に供給される電流値によりモータ停止条件が設定されていたが、これに限定されるものではなく、いずれか一方のみをモータ停止条件としてもよい。
【0045】(d) あるモータ停止条件を満たしてタイマ8が作動した後、モータ12の状態が変動し異なるモータ停止条件に移行した場合、タイマ8がリセットされ、次のモータ停止条件が前のモータ停止条件に依存するようにしてもよい。たとえば、あるモータ停止条件Xを満たしてモータ停止時間ta(x)が設定され、c秒が経過したとき、タイマ8の残り時間tb(x)=ta(x)−cと表される。このときモータ12の状態が変動し、別のモータ停止条件Yを満たし、さらにd秒経過したとする。ここで通常、つまりモータ停止条件Yを単独で満たした場合は、モータ停止時間ta(y)秒が設定され、タイマ8の残り時間tb(y)=ta(y)−dと表される。しかしここでは、モータ停止条件Xの下でc秒の消費時間を勘案して換算時間e秒が調整される。したがって、タイマ8の残り時間tb(y)=ta(y)−d−eと表される。具体的な換算方法としては、前のモータ停止条件における消費時間と後のモータ停止時間の残りの時間の割合を考慮する方法が挙げられる。図5の停止条件テーブルに示すように、たとえば全温度で7A以上のとき、モータ停止時間ta(x)=60秒である。ここでc=30秒経過した後、全温度で8A以上になったとする。ここで通常であれば、d=0秒で、残り時間tb(y)=ta(y)−d=30−0=30秒であるが、7Aのときに既に全体の半分の時間(c/ta(x)=30/60=1/2)消費しているので、8Aのときは残りの半分、すなわち換算時間e=ta(y)*1/2=30*1/2=15秒となる。したがって残り時間tb(y)=ta(y)−d−e=30−0−15=15秒と表される。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、電子ブレーカー機能を有する電動リールにおいて、電子ブレーカーの作動する時間を報知することにより、釣人はモータが減速又は停止するまで、モータを最大限回転させることができるので、モータの性能を充分に活用することができる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成11年6月14日(1999.6.14)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2000−354443(P2000−354443A)
【公開日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願番号】 特願平11−166468