| 【発明の名称】 |
両軸受リールの遠心制動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 純
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| 【要約】 |
【課題】制動力を簡単に調整でき、かつ調整により明確な制動力の差を得ることができるようにする。
【解決手段】両軸受リールの遠心ブレーキ機構23は、リール本体1に回転自在に設けられたスプールを遠心力により制動するものであって、移動部材52と、制動部材53と、付勢部材54と、規制部材55と、付勢力調整機構56とを備えている。移動部材は、スプールに連動して回転する回転部材51に設けられ、スプールの回転による遠心力により移動する。制動部材は、リール本体に対してスプールの軸方向移動自在かつ回転不能に設けられ、遠心力により移動した移動部材に接触可能である。付勢部材は、制動部材を移動部材側に付勢する。規制部材は、制動部材の移動部材側への移動を規制する。付勢力調整機構は付勢部材の付勢力を調整するためのものである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】リール本体に回転自在に設けられたスプールを遠心力により制動する両軸受リールの遠心制動装置であって、前記スプール又は前記スプールに連動して回転する回転部材に設けられ、前記スプールの回転による遠心力により移動する移動部材と、前記リール本体に対して前記スプールの軸方向移動自在かつ回転不能に設けられ、前記遠心力により移動した移動部材に接触可能な制動部材と、前記制動部材を前記移動部材側に付勢する第1付勢部材と、前記制動部材の前記移動部材側への移動を規制する規制部材と、前記第1付勢部材の付勢力を調整するための付勢力調整機構と、を備えた両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項2】前記制動部材を前記移動部材から離反する方向に付勢しかつその付勢力が前記第1付勢部材の付勢力より小さい第2付勢部材をさらに備える、請求項1に記載の両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項3】前記移動部材は、遠心力により前記スプールの軸方向に移動して前記制動部材を前記軸方向に押圧する、請求項1又は2に記載の両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項4】前記移動部材は、先端が前記制動部材に向けて傾斜して前記スプール又は前記回転部材に放射状に立設されたガイド軸に前記ガイド軸の軸方向に移動自在に装着されており、先端に前記スプールの回転軸と直交する平面に沿った接触部を有している、請求項3に記載の両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項5】前記移動部材は、遠心力により前記スプールの径方向に移動し、前記制動部材は、前記移動部材が接触すると前記軸方向に押圧される、請求項1又は2に記載の両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項6】前記移動部材は、前記スプール又は前記回転部材に軸方向移動自在かつ回転不能に設けられ前記制動部材に接触可能な第1部材と、前記第1部材に径方向移動自在に設けられかつ径方向の移動により前記第1部材を前記制動部材側に移動させる第2部材と、前記第1部材を前記制動部材から離反する方向に付勢する第3付勢部材とを有する、請求項1に記載の両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項7】前記移動部材は、前記スプール又は前記回転部材に軸方向移動自在かつ回転不能に設けられた第1部材と、前記第1部材に径方向移動自在に設けられかつ径方向の移動により前記第1部材とともに前記軸方向に移動して前記制動部材に接触する第2部材と、前記第1部材を前記制動部材から離反する方向に付勢する第3付勢部材とを有する、請求項1に記載の両軸受リールの遠心制動装置。 【請求項8】前記第1付勢部材は、同芯に内外周に配置されかつその自由長さと巻径が異なる複数のコイルばねを有する、請求項1から7のいずれかに記載の両軸受リールの遠心制動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、遠心制動装置、特に、リール本体に回転自在に設けられたスプールを遠心力により制動する両軸受リールの遠心制動装置に関する。 【0002】 【従来の技術】主にルアーフィッシングに用いられるベイトリールと呼ばれる両軸受リールでは、キャスティング時にスプールの回転速度が糸繰り出し速度より速くなるバックラッシュが生じないように、制動力をスプールに作用させることが一般に行われている。この種のブレーキ機構としてスプールの回転により生じる遠心力を利用してスプールを制動する遠心制動装置がある。 【0003】この種の遠心制動装置は、一般に、スプール又はスプールに連動して回転する回転部材に周方向に間隔を隔てかつ径方向に移動自在に装着された複数の移動部材と、移動部材の外周側に移動部材に接触可能に配置され、リール本体に固定された筒状の制動部材とを備えている。この遠心制動装置では、スプールが回転すると、移動部材が遠心力により径方向外方に移動して制動面と接触してスプールを制動する。この遠心力は回転速度の二乗に比例して大きくなるので、糸巻取時のようにスプールが低速回転するときには制動力はあまり大きくならず、キャスティング時のようにスプールが高速回転すると大きくなる。このため、遠心制動装置は、糸巻取時における抵抗が小さくかつキャスティング時に大きな制動力でバックラッシュを防止できるという特徴がある。 【0004】この遠心制動装置では、制動力を調整するために、径方向に移動する移動部材の数を変化させている。このため、制動部材に接触可能な作用位置と、接触不能な非作用位置とに移動部材を切り換えるロック機構がそれぞれの移動部材に設けられている。この種の遠心制動装置を有するベイトリールで、たとえばルアーフィッシングを行っている時に、プラグやワーム等の異なる重さのルアーを使用する場合、制動力が一定であると、ルアーの重さによりキャスティング時の飛距離が変動する。このため、重さが異なるルアーを使用する場合、重さに応じて制動力を調整するのが好ましい。 【0005】前記従来の遠心制動装置では、遠心力が作用する方向と同じ径方向に移動部材が移動するので、大きな制動力が得られる。しかし、移動部材に設けられたロック機構により制動部材に接触可能な移動部材の数を増減して制動力を調整しなければならない。このため、制動力を調整するために複数のロック機構を操作する必要が生じる場合があり、制動力の調整が煩わしい。 【0006】そこで制動力の調整をリール本体の外部に露出したダイヤルでワンタッチで調整できる遠心制動装置が特開平10−304798号公報に開示されている。この遠心制動装置は、スプールに連動して回転する回転部材と、回転部材に放射状に配置されかつ回転部材に揺動自在に装着された複数の移動部材と、移動部材の先端に当接可能にリール本体にスプール軸方向に往復移動自在に設けられた制動部材と、回転するダイヤルを有し制動部材を往復移動させる移動機構とを備えている。移動部材の先端には、制動部材に接触するための接触部が設けられている。制動部材は円板状の部材であり、その外周側の側面に接触部に接触するリング状のブレーキシューが設けられている。制動部材は、移動機構のダイヤルを回動させることによりスプール軸方向に往復移動する。 【0007】前記従来の遠心制動装置では、スプールが回転すると移動部材に遠心力が作用して移動部材がスプール軸方向外方に向けて揺動する。そしてブレーキシューに接触してスプールが制動される。ダイヤルを回動させて制動部材をスプール軸方向に移動させることにより、ブレーキシューに移動部材が接触するときの揺動角度を変化させ、制動力をワンタッチで調整できる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】前記従来の遠心制動装置では、ダイヤルを回動させることで制動力の調整を簡単に行える。しかし、ブレーキシューに接触して得られる制動力が移動部材の軸方向外方への揺動による力により得られるため、大きな制動力が得られにくい。これは、移動部材が径方向外方に移動するのではなく軸方向外方に揺動するので、径方向に作用する遠心力を制動力として効率よくに取り出すの困難だからである。しかも、移動部材の揺動角度を変化させることにより制動力を調整しているので、制動部材をスプール軸方向に移動させた時の制動力の変化が小さく明確な制動力の変化を感じにくい。 【0009】本発明の課題は、両軸受リールの遠心制動装置において、制動力を簡単に調整でき、かつ調整により明確な制動力の差を得ることができるようにすることにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】発明1に係る両軸受リールの遠心制動装置は、リール本体に回転自在に設けられたスプールを遠心力により制動する装置であって、移動部材と、制動部材と、第1付勢部材と、規制部材と、付勢力調整機構とを備えている。移動部材は、スプール又はスプールに連動して回転する回転部材に設けられ、スプールの回転による遠心力により移動する部材である。制動部材は、リール本体に対してスプールの軸方向移動自在かつ回転不能に設けられ、遠心力により移動した移動部材に接触可能な部材である。第1付勢部材は、制動部材を移動部材側に付勢する部材である。規制部材は、制動部材の移動部材側への移動を規制する部材である。付勢力調整機構は第1付勢部材の付勢力を調整するための機構である。 【0011】この遠心制動装置では、スプールが回転すると、遠心力により移動部材が制動部材側に移動して制動部材に接触して制動部材を押圧する。制動部材はリール本体に対して回転不能に設けられているので、移動部材と制動部材との摩擦によりスプールが制動される。この制動部材は、第1付勢部材により移動部材側に付勢されている。したがって、第1付勢部材の付勢力を調整すると、移動部材が制動部材を押圧したときの反力が変化して摩擦力が変化し、摩擦力に比例して制動力が変化する。ここでは、第1付勢部材の付勢力を変更することにより制動力を調整しているので、制動力を簡単に調整でき、かつ付勢力の調整により明確な制動力の差を得ることができる。 【0012】発明2に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明1に記載の装置において、制動部材を移動部材から離反する方向に付勢しかつその付勢力が第1付勢部材の付勢力より小さい第2付勢部材をさらに備える。この場合には、スプールを制動する際には、第1付勢部材の付勢力が第2付勢部材の付勢力より強くなるように付勢力調整機構により調整する。スプールを自由回転状態にしたいときには、第1付勢部材の付勢力を調整して第2付勢部材の付勢力より弱くする。これにより、第2付勢部材の付勢力により制動部材を移動部材から確実に離反させることができる。この結果、制動力がスプールに作用せず、スプールを確実に自由回転させることができる。 【0013】発明3に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明1又は2に記載の装置において、移動部材は、遠心力により軸方向に移動して制動部材を軸方向に押圧する。この場合には、径方向に作用する遠心力により軸方向に移動部材を移動させるために、移動部材の装着構造を工夫する必要があるが、制動部材は軸方向に移動する移動部材に接触する構成であればよい。このため、制動部材の構成が簡素になる。 【0014】発明4に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明3に記載の装置において、移動部材は、先端が制動部材に向けて傾斜してスプール又は回転部材に放射状に立設されたガイド軸にガイド軸の軸方向に移動自在に装着されており、先端にスプールの回転軸と直交する平面に沿った接触部を有している。この場合には、遠心力が移動部材に作用するとガイド軸が放射状に斜めに配置されているので、移動部材がガイド軸に沿って斜めに軸方向及び径方向外方に制動部材に向かって移動し、接触部で制動部材に接触する。この接触部はスプールの回転軸と直交する面に面に沿って形成されているので、制動部材は、スプールの回転軸に直交する円板状の部材でよい。このため、移動部材をガイド軸に沿って移動するように構成すればよいので移動部材の装着構造が簡素になり、かつ制動部材が円板状の部材でよいので制動部材の構造も簡素になる。 【0015】発明5に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明1又は2に記載の装置において、移動部材は、遠心力によりスプールの径方向に移動し、制動部材は、移動部材が接触すると軸方向に押圧される。この場合には、遠心力により径方向に移動する移動部材の押圧力を軸方向の力に変換するための構造が制動部材に必要になるが、移動部材を遠心力により径方向に移動させればよいので、移動部材の装着構造が簡素になる。 【0016】発明6に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明1に記載の装置において、移動部材は、スプール又は回転部材に軸方向移動自在かつ回転不能に設けられ制動部材に接触可能な第1部材と、第1部材に径方向移動自在に設けられかつ径方向の移動により第1部材を制動部材側に移動させる第2部材と、第1部材を制動部材から離反する方向に付勢する第3付勢部材とを有する。この場合には、スプールが回転して第2部材に作用する遠心力による軸方向の力が第3付勢部材の付勢力より強くなると、第2部材が径方向外方に移動し、第2部材の径方向の移動により第1部材が制動部材側に移動し制動部材に接触してスプールが制動される。また、遠心力による軸方向の力が第2付勢部材の付勢力より弱くなると、第2部材が軸方向内方に移動し制動解除される。ここでは、第3付勢部材の付勢力を調整することで、たとえば、低速で回転する糸巻取時には制動力を作用させず、高速で回転するキャスティング時のみ制動力を作用させるなどの選択的な制動を行うことができる。 【0017】発明7に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明1に記載の装置において、移動部材は、スプール又は回転部材に軸方向移動自在かつ回転不能に設けられた第1部材と、第1部材に径方向移動自在に設けられかつ径方向の移動により第1部材とともに軸方向に移動して制動部材に接触する第2部材と、第1部材を制動部材から離反する方向に付勢する第3付勢部材とを有する。この場合には、スプールが回転して第2部材に作用する遠心力による軸方向の力が第3付勢部材の付勢力より強くくなると、第2部材が径方向外方に移動し、第2部材の径方向の移動により第1部材が制動部材側に移動し第2部材が制動部材に接触してスプールが制動される。また、遠心力による軸方向の力が第2付勢部材の付勢力より弱くなると、第2部材が軸方向内方に移動し制動解除される。ここでは、第3付勢部材の付勢力を調整することで、たとえば、低速で回転する糸巻取時には制動力を作用させず、高速で回転するキャスティング時のみ制動力を作用させるなどの選択的な制動を行うことができる。 【0018】発明8に係る両軸受リールの遠心制動装置は、発明1から6のいずれかに記載の装置において、第1付勢部材は、同芯に内外周に配置されかつその自由長さと巻径が異なる複数のコイルばねを有する。この場合には、制動部材が第1付勢部材の各コイルばねに段階的に接触するので、付勢力が連続的ではなく段階的に変化し、それに伴って制動力も段階的に変化する。このため、付勢力の調整によりさらに明確な制動力の差を得ることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】〔全体構成〕図1は、本発明の一実施形態が装着された両軸受リールの平面図である。図に示す両軸受リールは、主にルアーフィッシングに用いられるベイトリールであり、リール本体1とリール本体の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手部2bとを有するダブルハンドル型のものである。ハンドル2のアーム部2aの外側面は繋ぎ目が無い滑らかな面で構成されており、釣り糸が絡みにくい構造となっている。 【0020】図2に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7と、フレーム5の前部に開閉自在に装着された前カバー10とを有している。フレーム5は、所定の間隔を開けて互いに対向するように配置された1対の側板8,9と、これらの側板8,9を連結する複数の連結部(図示せず)とを有している。 【0021】ハンドル2側の第2側カバー7はねじにより側板9に着脱自在に固定されている。ハンドル2と逆側の第1側カバー6はバヨネット構造14によりフレーム5の側板8に着脱自在に装着されている。ハンドル2と逆側の側板8には、スプール12が通過可能な開口8aが形成されている。フレーム5内には、スプール12と、スプール12内に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなるクラッチレバーと兼用されたサムレスト17とが配置されている。フレーム5と第2側カバー7との間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるためのギア機構18と、クラッチ機構13と、サムレスト17の操作に応じてクラッチ機構13の係脱を行うためのクラッチ係脱機構19と、糸繰り出し時にスプール12を制動するドラグ機構21と、スプール軸16を両端で挟んで制動するキャスティングコントロール機構22とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構23が配置されている。 【0022】スプール12は、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻き胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻き胴部12bの内周側に一体に形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸16に例えばセレーション結合により回転不能に固定されている。 【0023】スプール軸16は、側板9を貫通して第2側カバー7の外方に延びている。その延びた一端は第2側カバー7に形成されたボス部29に軸受35bにより回転自在に支持されている。またスプール軸16の他端は、遠心ブレーキ機構23内で軸受35aにより回転自在に支持されている。レベルワインド機構15は、1対の側板8,9間に固定されたガイド筒25と、ガイド筒25内に回転自在に配置されたウォームシャフト26と、ラインガイド27とを有している。ウォームシャフト26の端部には、ギア機構18を構成するギア28aが固定されている。またウォームシャフト26には螺旋状溝26aが形成されており、ラインガイド27がこの螺旋状溝26aに噛み合っている。このため、ギア機構18を介してウォームシャフト26が回転させられることにより、ラインガイド27はガイド筒25によって往復移動する。このラインガイド27内に釣り糸が挿通されて釣り糸がスプール12に均一に巻き付けられる。 【0024】ギア機構18は、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、前述のウォームシャフト26端部に固定されたギア28aと、ハンドル軸30に回転不能に固定されギア28aに噛み合うギア28bとを有している。ピニオンギア32は、側板9の外方に配置され中心にスプール軸16が貫通する筒状部材であり、スプール軸16に軸方向に移動自在に装着されている。ピニオンギア32は、図2右端部外周に形成されメインギア31に噛み合う歯部32aと、他端側に形成された噛み合い部32bとを有している。歯部32aと噛み合い部32bとの間にはくびれ部32cが設けられている。噛み合い部32bは、ピニオンギア32の端面に形成された凹溝からなり、そこにスプール軸16を径方向に貫通するクラッチピン16aが係止される。ここではピニオンギア32が外方に移動してその噛み合い部32bの凹溝とスプール軸16のクラッチピン16aとが離脱すると、ハンドル軸30からの回転はスプール12に伝達されない。この噛み合い部32bの凹溝とクラッチピン16aとによりクラッチ機構13が構成される。 【0025】サムレスト17は、図2に示すように、1対の側板8,9間の後部でスプール12後方に配置されており、クラッチ操作レバーを兼ねている。フレーム5の側板8,9には長孔(図示せず)が形成されており、サムレスト17を固定するクラッチカム(図示せず)がこの長孔を貫通している。サムレスト17は、長孔に沿って上下方向にスライドする。クラッチ係脱機構19は、クラッチヨーク40を有している。クラッチ係脱機構19は、サムレスト17の回動によりクラッチヨーク40をスプール軸の軸芯と平行に移動させる。また、ハンドル軸30が糸巻き取り方向に回転すると自動的にクラッチ機構13がオンするようにクラッチヨーク40を移動させる。 【0026】このように構成において、通常状態では、ピニオンギア32は内方のクラッチ係合位置に位置しており、その噛み合い部32bとスプール軸16のクラッチピン16aとが係合してクラッチオン状態となっている。一方、クラッチヨーク40によってピニオンギア32が外方に移動した場合には、噛み合い部32bとクラッチピン16aとの係合が外れクラッチオフ状態となる。 【0027】〔遠心ブレーキ機構の構成〕遠心ブレーキ機構23は、図3に示すように、スプール12に連動して回転する回転部材51に設けられた移動部材52と、移動部材52に接触可能な制動部材53と、制動部材53を移動部材52側に付勢する付勢部材54と、制動部材53の移動部材52側への移動を規制する規制部材55と、付勢部材54の付勢力を調整するための付勢力調整機構56とを備えている。 【0028】移動部材52は、回転部材51に移動自在に装着され、スプール12の回転による遠心力により径方向外方かつ軸方向外方に移動する部材である。回転部材51は、スプール軸16に、たとえばセレーション結合され回転不能に連結された筒状の部材である。回転部材51の外周面には、周方向に間隔を隔てかつ制動部材53に向けて斜めに放射状に、たとえば6本のガイド軸57が立設されている。このガイド軸57に移動部材52が軸方向移動自在に装着されている。このようにガイド軸57を斜めに放射状に配置すると、移動部材52に遠心力が作用したときに移動部材52が遠心力によりガイド軸57に沿って径方向外方かつ軸方向外方に斜めに移動する。回転部材51の先端(図3左端)には、移動部材52が抜け落ちるのを防止するためのフランジ部51aが形成されている。 【0029】移動部材52は制動部材53に向けて湾曲した概ね棒状の部材であり、内部には、ガイド軸57に案内される案内穴52aが形成されている。移動部材52の制動部材53側の先端部には、スプール軸16と直交する面に沿った接触面52bが形成されている。この接触面52bの姿勢を前記直交する平面に沿うように維持するために、移動部材52はガイド軸57に対して回転不能になっている。 【0030】制動部材53は、図3及び図4に示すように、リール本体1に対してスプール12の軸方向移動自在かつ回転不能に設けられ、遠心力により移動した移動部材52に接触可能なワッシャ状の部材である。具体的には、制動部材53は、リール本体1を構成するブレーキケース50に回転不能かつ軸方向移動自在に装着されている。ブレーキケース50は、有底短筒状の部材であり、その底部中心に内方に突出する筒状の軸受収納部50aが形成されている。この内周部にスプール軸16を支持する軸受35aが収納され、キャスティングコントロール機構22の摩擦プレートが装着され、外周部に制動部材53が回転不能かつ軸方向移動自在に装着されている。 【0031】ブレーキケース50は、ビス60(図2)により第1側カバー6に固定されている。つまり、ブレーキケース50はリール本体1の一部を構成している。また軸受収納部50aの先端(図3右端)外周部には、1対の凹溝50bが軸方向に沿って形成されている。凹溝50bは、制動部材53を回転不能に係止するために設けられている。凹溝50bの先端には、環状溝50cが形成されており、この環状溝50cに規制部材55が装着されている。規制部材55は、たとえば、円周の一部が切り欠かれたリング状の弾性線材製の部材であり、前述したように制動部材53の移動部材52側への移動を規制する。制動部材53は、内周部が軸受収納部50aに軸方向移動自在に支持されており、内周部に凹溝50bに係止される1対の係止突起53aが形成されている。 【0032】ブレーキケース50の外周面には、バヨネット構造14を構成する突起部14aが周方向に間隔を隔てて3カ所形成されている。なお、開口8aには、この突起部14aに対向する位置に係止爪14bが形成されている。係止爪14bは開口8aから外方に突出して形成されている。付勢部材54は、一端が制動部材53に当接しかつ制動部材53側が大径の円錐コイルばねである。付勢部材54は、制動部材53と後述する押圧部材58との間に圧縮状態で配置されている。なお、押圧部材58が最も後退したときに付勢部材54が自由長さになっていてもよい。 【0033】付勢力調整機構56は、ブレーキケース50の内部に軸方向移動自在かつ回転不能に装着された押圧部材58と、ブレーキケース50の外側に回動自在に装着された操作部材59と、操作部材59の回動を押圧部材58の軸方向の移動に変換するためのカム機構61とを有している。押圧部材58は、軸受収納部50aに軸方向移動自在に支持された内周部58aと、ブレーキケース50の内周面に軸方向移動自在かつ回転不能に装着された外周部58bと、内周部58aと外周部58bとを連結する底部58cとを有している。外周部58bの外周面には、径方向に突出する1対の係止ピン62が形成されている。1対の係止ピン62は、ブレーキケース50の内周面にスプール軸方向に沿って形成された1対の係止溝50eに係止されており、これにより押圧部材58がブレーキケース50に対して回転不能に装着される。また、外周部58bの外周面には、カム機構61の第1カム63が形成されている。第1カム63はほぼ三角形状のカムである。底部58cの内壁には、段差部58dが形成されており、段差部58dに付勢部材54の他端が係止されている。 【0034】操作部材59は、ブレーキケース50の外側面に回転自在に装着された略リング状の部材である。操作部材59の外側面の外周部には、つまみ部59aが形成されている。つまみ部59aは、スプール軸方向外方に突出して形成されている。つまみ部59aの外側面の中心部にはさらに径方向に沿った突起部59cが第1側カバー6表面から突出するように形成されており、第1側カバー6の表面に表示された制動力を示す、たとえば0から5の文字(図示せず)を指示するようになっている。また内周面には、回動範囲を規制するための1対の回動規制凹部59bが形成されている。操作部材59には、ブレーキケース50に対する回動角度を6つの位置で位置決めするための位置決め機構70が設けられている。 【0035】位置決め機構70は、操作部材59にスプール軸方向に移動自在に装着された位置決めピン70aと、位置決めピン70aをブレーキケース50側に付勢するコイルばね70bと、ブレーキケース50の外側側面に周方向に間隔を隔てて形成された6つの位置決め凹部70cとを有している。操作部材59の図4右側側面には、カム機構61を構成する第2カム64が設けられている。第2カム64は第1カム63に対向する位置に形成されており、それぞれ三角形の斜辺カムを構成している。この2つのカム63,64の働きにより、操作部材59の回動が押圧部材58の制動部材53に接近する方向の移動に変換される。なお、ブレーキケース50には、第2カム64を貫通させるための円弧状のカム溝50fが1対設けられている。 【0036】操作部材59は、押さえ板75によりブレーキケース50に押圧されている。押さえ板75は、ブレーキケース50の外側面に形成されたねじ止め部50dにねじ込まれて操作部材59を押圧している。ねじ止め部50dは径方向外方に突出しており、操作部材59は、このねじ止め部50dに回動規制凹部59bが係止されることにより回動角度が所定範囲に規制されている。 【0037】このように構成された付勢力調整機構56では、つまみ部59aをつまんで操作部材59を矢印A方向に回動させると、第1カム63及び第2カム64の作用により、押圧部材58が制動部材53に接近する方向に前進する。この結果、制動部材53に対する付勢力が強くなり、移動部材52が制動部材53に接触したときの反力が大きくなり制動力が大きくなる。一方、操作部材59を矢印B方向に移動させると、付勢部材54の付勢力により押圧部材58が制動部材53から離れる方向に後退し、制動部材53に作用する付勢力が弱くなり、制動力が小さくなる。そして最も後退すると制動力が最も弱くなり、その間の4つの中間位置で反力が徐々に弱くなり制動力が段階的に弱くなる。 【0038】ここでは、付勢部材54の付勢力を変更することにより制動力を調整しているので、制動力を簡単に調整でき、かつ付勢力の調整により明確な制動力の差を得ることができる。 [リールの動作]通常の状態ではクラッチヨーク40は内方に押されておりクラッチオンの状態である。この結果、ハンドル2からの回転力はハンドル軸30、メインギア31、ピニオンギア32及びスプール軸16を介してスプール12に伝達され、スプール12が糸巻き取り方向に回転する。このとき、遠心ブレーキ機構23の移動部材52に遠心力が作用し移動部材52が径方向及び軸方向外方に移動するが、スプール12の回転速度が遅いため、制動力がそれほど大きくならず、ハンドル2の回転の邪魔になることはない。もし制動力を抑える必要があるのであれば、つまみ部59aをつまんで操作部材59を図4の矢印B方向に回転させて図3に示した後退位置に配置すればよい。 【0039】キャスティングを行う場合には、バックラッシュを抑えるためにつまみ部59aをつまんで操作部材59により制動力を調整する。操作部材59を矢印A方向に回転させて押圧部材58を制動部材53に接近させると、付勢部材54の付勢力が大きくなり、制動力が強くなる。続いて、サムレスト17を下方に押す。ここでは、サムレスト17は、側板8,9の流れに沿って下方の離脱位置に移動する。サムレスト17の移動によりクラッチヨーク40が外方に移動し、ピニオンギア32が同方向に移動する。この結果、クラッチオフ状態となる。このクラッチオフ状態では、ハンドル軸30からの回転はスプール12及びスプール軸16に伝達されず、スプール12は自由回転状態になる。クラッチオフ状態としてサムレスト17に置いた親指でスプールをサミングしながらスプール軸16が鉛直面に沿うようにリールを軸方向る傾けて釣り竿を振ると、ルアーが投げられスプール12が糸繰り出し方向に勢いよく回転する。 【0040】このような状態では、スプール12の回転によりスプール軸16が糸繰り出し方向に回転し、その回転が回転部材51に伝達される。回転部材51が回転すると、移動部材52が制動部材53に摺接して遠心ブレーキ機構23によりスプール12が制動されバックラッシュを防止できる。また、万一スプール12でバックラッシュが生じても、第1側カバー6がバヨネット構造14により簡単に着脱できるので、バックラッシュを容易に解消できる。 【0041】また、重さが異なるルアーに取り替えるときには、ルアーの重さに応じてつまみ部59aをつまんで操作部材59を回動させ制動力を調整する。ここでは、外部に露出したつまみ部59aをつまんで操作部材59を回動するだけで遠心力による制動力を簡単に調整できる。また制動力を調整すると制動力の差異が明確になる。 【0042】[他の実施形態] (a)前記実施形態では、カム機構61により押圧部材58を移動させたが、ねじ等の他の変換機構により押圧部材58を移動させてもよい。 (b)図5に示すように、複数のコイルばね54a〜54dにより付勢部材54を構成して制動部材53を付勢してもよい。ここでは、各コイルばね54a〜54dは、それぞれ自由長さと巻径とが異なる同芯に配置されたコイルばねであり、外周側のコイルばね54aが最も自由長さが長く、内周側のコイルばね54dが最も短い。また、内周側のコイルばね54dの先端位置は、制動部材53が最も後退したときに接触可能な位置である。押圧部材58には、各コイルばね54a〜54dの基端を係止するための筒状の係止突起58eが設けられている。 【0043】このような実施形態では、制動部材53が付勢部材54の各コイルばね54a〜54dに段階的に接触するので、付勢力が連続的ではなく段階的に変化し、それに伴って制動力も段階的に変化する。このため、付勢力の調整により、さらに明確な制動力の差を得ることができる。 (c)図6に示すように、制動部材53の図6右側に付勢部材71を設けてもよい。付勢部材71は、たとえば制動部材53側が大径の円錐コイルばねであり、付勢部材54よりばね定数が小さく、通常の付勢力は付勢部材54より小さい。付勢部材71の小径側の端部は、環状溝50cに係止された止め輪72により規制されたばね止めリング73により係止されている。このような実施形態では、スプール12を制動する際には、付勢部材54の付勢力が付勢部材71の付勢力より強くなるように付勢力調整機構56により調整する。スプール12を自由回転状態にしたいときには、付勢部材54の付勢力を調整して付勢部材71の付勢力より弱くする。これにより、付勢部材71の付勢力により制動部材53を移動部材52から確実に離反させることができる。この結果、制動力がスプール12に作用せず、スプール12を確実に自由回転させることができる。 【0044】(d)図7に示すように、ガイド軸57を回転部材51の径方向に沿って放射状に配置するとともに、制動部材53に円錐形状の傾斜制動面53bを形成してもよい。ここでは、移動部材52は、回転部材51の径方向に移動自在に案内される。移動部材52の先端には、制動面に接触するような斜めの曲面で形成された接触面52bが形成されている。このような実施形態では、スプール12が回転して移動部材52に遠心力が作用すると、移動部材52が径方向外方に移動して傾斜制動面53bに接触してスプール12を制動する。このとき、傾斜制動面53bが斜めであるので、制動部材53は移動部材52によりスプール軸方向外方に押圧される。このときの制動力は、制動部材53を移動部材52側に付勢している付勢部材54の付勢力により決定される。ここでは、移動部材52が径方向に移動させるだけでよいので、移動部材52の装着構造が簡素になる。 【0045】(e)図8に示すように、移動部材52を軸方向移動自在な第1移動部材76と、径方向移動自在な第2移動部材77との2つの部材で構成してもよい。第1移動部材76は、回転部材51に軸方向移動自在かつ回転不能に装着された、たとえば、円錐台形状の部材である。第1移動部材76の大径側の端部には、環状の接触部76aが形成されている。小径側の端部にはコイルばねからなる引張部材74が係止されている。引張部材74は、第1移動部材76をスプール12に接近する側に引っ張っている。このため、引張部材74の両端は、第1移動部材76及びスプール12に係止されている。なお引張部材74の引張力は、たとえば、第2移動部材77に糸繰り出し時に遠心力が作用したときに、遠心力により第1移動部材76に作用する軸方向外方への分力より弱く、糸巻取時に作用する軸方向外方への分力より大きい。 【0046】第2移動部材77は、第1移動部材76に径方向移動自在に装着されている。第2移動部材77は、スプール12のフランジ部12aの外側面に形成されたテーパ面12dに接触可能な傾斜面77aを先端に有している。このような実施形態では、スプール12が回転して第2移動部材77に遠心力が作用すると、第2移動部材77は、遠心力により径方向外方に移動してテーパ面12dに接触する。テーパ面12dに第2移動部材77が接触すると、遠心力により生じる軸方向への分力が引張部材74の引張力より大きくなった時点で第1移動部材76とともに軸方向外方に移動する。この結果、第1移動部材76が制動部材53に接触してスプールが制動される。遠心力による分力が引っ張り力より弱くなると、第1移動部材76は、引張部材74により引っ張られて制動部材53から離反する。また、糸巻取時のように糸繰り出し時より低速で回転すると、遠心力により生じる分力は引張部材74の引張力より弱いので、糸巻取時にはスプール12は制動されない。このため、糸巻取時と糸繰り出し時とで選択的にスプール12を制動できる。 【0047】なお、図9に示すように、回転部材51に回転不能かつ軸方向移動自在に設けられた第1移動部材78に放射状にガイド軸80を設け、ガイド軸80に第2移動部材79を径方向移動自在に設けてもよい。この第2移動部材79には、スプール12のテーパ面12dに接触する第1接触面79aと、制動部材53に接触する第2接触面79bとが形成されている。なお,動作については、図8に示した実施形態と同様なため、説明を省略する。 【0048】(f)前記実施形態では、移動部材が径方向及び/又は軸方向に移動自在に回転部材に装着されていたが、遠心力により揺動するように回転部材に揺動自在に装着されていてもよい。 (g)前記実施形態では、移動部材がスプール12に連動して回転する回転部材に装着されていたが、スプール12に直接装着されていてもよい。 【0049】 【発明の効果】本発明によれば、第1付勢部材の付勢力を変更することにより制動力を調整しているので、制動力を簡単に調整でき、かつ付勢力の調整により明確な制動力の差を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ
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| 【出願日】 |
平成11年6月16日(1999.6.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100094145 【弁理士】 【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−354442(P2000−354442A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月26日(2000.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−169393 |
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