トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 両軸受リール
【発明者】 【氏名】片山 仁志

【要約】 【課題】クラッチ戻し機構を強度を維持して軽量化できるようにする。

【解決手段】両軸受リールは、釣り竿の長手方向と交差する軸回りに釣糸を巻き取るリールであって、リール本体1と、スプール15と、ハンドル2と、クラッチ機構13と、クラッチ操作レバー12と、クラッチ制御機構19と、クラッチ戻し機構50とを備えている。クラッチ制御機構は、クラッチ操作レバーの移動に応じて、クラッチ機構を連結及び連結解除する。クラッチ戻し機構は、クラッチ操作レバーの離脱位置への操作によって係合位置に変位し、係合位置から非係合位置への変位によってクラッチ操作レバーを連結位置に変位させる係合部材51と、係合位置にある係合部材を引張可能なラチェット歯52aを有し、ハンドルの糸巻き取り方向の回転に伴って係合部材を引っ張って非係合位置に離脱させるラチェットホイール52とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣り竿に装着され、前記釣り竿の長手方向と交差する軸回りに釣り糸を巻き取る両軸受リールであって、前記長手方向に沿って配置され前記釣り竿に装着される竿装着脚を有するリール本体と、前記リール本体の内部に回転自在に支持された糸巻用のスプールと、前記リール本体の外部に回転自在に装着されたハンドルと、前記ハンドルと前記スプールとを連結及び連結解除するクラッチ機構と、連結位置と離脱位置とに移動可能に前記リール本体に装着され前記クラッチ機構を連結及び離脱操作するためのクラッチ操作部材と、前記クラッチ操作部材の移動に応じて前記クラッチ機構を連結及び連結解除するためのクラッチ制御機構と、前記クラッチ操作部材の前記離脱位置への操作によって係合位置に変位し、前記係合位置から非係合位置への変位によって前記クラッチ操作部材を前記連結位置に変位させる係合部材と、前記係合位置にある前記係合部材を引張可能な凸部を有し、前記ハンドルの糸巻取方向の回転に伴って前記係合部材を引っ張って前記非係合位置に離脱させる離脱手段とを有するクラッチ戻し機構と、を備えた両軸受リール。
【請求項2】前記ハンドルの回転軸は、前記スプールの回転軸より前記釣り竿に接近する位置に配置され、前記離脱手段は、前記ハンドルの回転軸と一体回転し外周面に前記係合位置にある前記係合部材を引張可能な多数の凸部を有する回転部材を有し、前記係合部材は、前記回転部材の軸心より前記釣り竿から離反しかつ前記スプールから釣り糸が繰り出される側で前記回転部材に対して係合する、請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】前記ハンドルの回転軸は、前記スプールの回転軸心から前記竿装着脚に直交する軸に対して±30度の範囲に配置されている、請求項2に記載の両軸受リール。
【請求項4】前記係合部材を係合位置と非係合位置とでそれぞれ保持するための保持機構をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項5】前記係合部材は、前記クラッチ制御機構に揺動自在に装着され、前記保持機構は、一端が前記クラッチ制御機構に係止され他端が前記係止部材に係止された捩じりコイルばねを含むトグルバネを有する、請求項4に記載の両軸受リール。
【請求項6】前記クラッチ操作部材は、前記リール本体に前記連結位置と離脱位置との間で揺動自在に装着され、前記クラッチ制御機構は、前記クラッチ操作部材の揺動に応じて前記スプール軸回りに回動するクラッチカムと、前記クラッチカムの回動により前記スプールの軸方向の一方に移動するクラッチヨークと、前記クラッチヨークを前記軸方向の他方に付勢する付勢部材とを有する、請求項1から5のいずれかに記載の両軸受リール。
【請求項7】前記リール本体の前記釣り竿から離反する位置で前記釣り糸繰り出し側に設けられ、前記スプールに巻き付けられる釣り糸の先端に装着される仕掛けの水深を表示するためのカウンターをさらに備える、請求項1から6のいずれかに記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、両軸受リール、特に、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と交差する軸回りに釣糸を巻き取る両軸受リールに関する。
【0002】
【従来の技術】両軸受リールは、一般に、リール本体と、リール本体の内部に装着されたスプールと、リール本体の外部に装着されたハンドルと、ハンドルとスプールとを連結及び連結解除するクラッチ機構とを備えている。クラッチ機構は、連結位置と離脱位置とに移動可能にリール本体に装着されたクラッチ操作部材により連結及び離脱操作される。また、クラッチ機構は、クラッチ操作部材の移動に応じて連結及び連結解除するクラッチ制御機構により制御される。このクラッチ制御機構には、ハンドルの糸巻取方向の回転に応じて、連結解除状態にあるクラッチ機構を連結状態に戻すクラッチ戻し機構が設けられている。
【0003】クラッチ戻し機構は、従来、クラッチ制御機構の一部に揺動自在に装着された係合部材と、ハンドル軸に回転不能に設けられたラチェットホイールとを備えている。ラチェットホイールは、通常、ハンドル軸のワンウエイクラッチとしても機能している。すなわちハンドル軸は糸巻取方向にのみ回転可能となっている。クラッチ戻し機構は、係合部材がラチェットホイールの外周に形成された歯部に係合する係合位置と歯部から離脱して係合解除された非係合位置とに移動自在に装着されている。通常、クラッチ機構が連結解除状態のときは、係合部材は係合位置に配置され、クラッチ機構が連結状態のときは、非係合位置に配置される。そして、クラッチ解除状態でハンドルが糸巻取方向に回転すると、ラチェットホイールにより係合部材が押圧されて係合位置から非係合位置に移動する。係合部材が非係合位置に移動すると、クラッチ制御部材がクラッチ機構を連結状態にするとともに、クラッチ制御部材を介してクラッチ操作部材が連結位置に移動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成では、ラチェットホイールにより係合部材を押圧して係合位置から非係合位置に移動させてクラッチ機構を連結解除状態から連結状態に戻している。このため、押圧される係合部材に圧縮力が作用する。係合部材に圧縮力が作用すると、係合部材の強度をある程度維持しないと係合部材が座屈を起こしやすい。このため、係合部材の肉厚を厚くする必要が生じ、係合部材の重量が重くなる。
【0005】本発明の課題は、クラッチ戻し機構を強度を維持して軽量化できるようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明1に係る両軸受リールは、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と交差する軸回りに釣糸を巻き取るリールであって、リール本体と、糸巻き用のスプールと、ハンドルと、クラッチ機構と、クラッチ操作部材と、クラッチ制御機構と、クラッチ戻し機構とを備えている。リール本体は、長手方向に沿って配置され釣り竿に装着される竿装着脚を有する。糸巻き用のスプールは、リール本体の内部に回転自在に支持されている。ハンドルは、リール本体の外部に回転自在に装着されている。クラッチ機構は、ハンドルとスプールとを連結及び連結解除する機構である。クラッチ操作部材は、連結位置と離脱位置とに移動可能にリール本体に装着されクラッチ機構を連結及び離脱操作するための部材である。クラッチ制御機構は、クラッチ操作部材の移動に応じて、クラッチ機構を連結及び連結解除するための機構である。クラッチ戻し機構は、クラッチ操作部材の離脱位置への操作によって係合位置に変位し、係合位置から非係合位置への変位によってクラッチ操作部材を連結位置に変位させる係合部材と、係合位置にある係合部材を引張可能な凸部を有し、ハンドルの糸巻取方向の回転に伴って係合部材を引っ張って非係合位置に離脱させる離脱手段とを有している。
【0007】この両軸受リールでは、クラッチ操作部材を連結位置から離脱位置側に操作すると、クラッチ制御部材がクラッチ機構を連結解除する。この結果、スプールは自由回転可能状態となり、キャスティング時や仕掛けの投入時にスプールが糸繰り出し方向に軽快に回転する。仕掛けを投入した後にハンドルを糸巻取方向に回転させると、離脱手段の凸部により係合部材が引っ張られ、係合部材が係合位置から非係合位置に変位する。この非係合位置への変位によってクラッチ操作部材は連結解除位置から連結位置に変位され、クラッチ制御機構が、クラッチ機構を連結させる。この結果、ハンドルの回転がクラッチ機構を介してスプールに伝達され、スプールが糸巻取方向に回転する。このクラッチ戻し機構の係合位置にある係合部材は、離脱手段の凸部に引っ張られて係合位置から非係合位置に変位する。ここでは、係合部材が凸部に引っ張られて非係合位置へ変位するので、係合部材には引っ張り力だけが作用する。このため、係合部材の強度が押す場合に比べて低くて済み、係合部材の厚みを薄くすることができる。したがって、係合部材の軽量化を図ることができる。
【0008】発明2に係る両軸受リールは、発明1に記載のリールにおいて、ハンドルの回転軸は、スプール回転軸より釣り竿に接近する位置に配置され、離脱手段は、ハンドルの回転軸と一体回転し外周面に係合位置にある係合部材を引っ張り可能な多数の凸部を有する回転部材を有し、係合部材は、回転部材の軸心より釣り竿から離反しかつスプールから釣糸が繰り出される側で回転部材に対して係合する。この場合には、係合部材がリールの通常は上前部となる糸繰り出し側かつ釣り竿から離反する側に配置される。このため、通常は後下部に配置される係合部材が不要となり、リール本体の後下部のスペースを小さくすることができる。この結果リール本体の膨らみが小さくなり、リール本体の小型化を図ることができる。
【0009】発明3に係る両軸受リールは、発明2に記載のリールにおいて、ハンドルの回転軸は、スプールの回転軸心から竿装着脚に直交する軸に対して±30゜の範囲に配置されている。この場合には、ハンドルの回転軸が釣り竿に接近するので、ハンドルを握って回した時に釣り竿の軸回りに作用するトルクが小さくなる。このため、ハンドルを握って回した時に力が逃げにくくなる。
【0010】発明4に係る両軸受リールは、発明1から3のいずれかに記載のリールにおいて、係合部材を係合位置と非係合位置とでそれぞれ保持するための保持機構をさらに備える。この場合には、係合部材が2つの位置でそれぞれ保持されるので、それらの位置で係合部材は確実に保持され、クラッチオフ状態からクラッチオン状態への切り換えが確実に行える。
【0011】発明5に係る両軸受リールは、発明4に記載のリールにおいて、係合部材は、クラッチ制御機構に揺動自在に装着され、保持機構は、一端がクラッチ制御機構に係止され他端が係止部材に係止された捩りコイルばねを含むトグルばねを有している。この場合には、トグルばねにより、1つの部材によって2つの位置で係合部材を保持できる。
【0012】発明6に係る両軸受リールは、発明1から5のいずれかに記載のリールにおいて、クラッチ操作部材は、リール本体に連結位置と離脱位置との間で揺動自在に装着され、クラッチ制御機構は、クラッチ操作部材の揺動に応じてスプールの軸回りに回動するクラッチカムと、クラッチカムの回動によりスプールの軸方向の一方に移動するクラッチヨークと、クラッチヨークを軸方向の他方に付勢する付勢部材とを有している。この場合には、クラッチ操作部材を連結位置に揺動させると、クラッチカムが軸回りに回動し、クラッチヨークを軸方向の一方に移動させクラッチを連結させる。また、離脱位置に揺動させると、クラッチカムが逆方向に回動し、クラッチヨークが回転軸の軸方向の他方に付勢され例えばクラッチを連結解除する。ここでは、クラッチ操作部材の揺動によりクラッチカムを回動させているので、クラッチ操作部材とクラッチカムとの連動機構の構成が簡素になる。
【0013】発明7に係る両軸受リールは、発明1から6のいずれかに記載のリールにおいて、リール本体の釣り竿から離反する位置で釣糸繰り出し側に設けられ、スプール巻き付けられた釣り竿の先端に装着される仕掛けの水深を表示するためのカウンターをさらに備える。この場合には、カウンターにより仕掛けの水深が表示される。このカウンターを通常はリール本体の上前側に装着しているので、リール本体の上前側のカウンターとハンドル軸との間には隙間がある。この隙間を利用して係合部材を配置できるので、係合部材を設けてもリール本体が大きくなることがない。
【0014】
【発明の実施の形態】〔全体構成〕図1において、本発明の一実施形態による両軸受リールは、水深表示機能を有する手巻きのリールである。両軸受リールは、釣り竿に装着されるリール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3と、リール本体1に回転自在に装着された糸巻用のスプール15と、クラッチ操作用のクラッチ操作レバー12とを主に備えている。
【0015】リール本体1は、左右1対の側板7a,7bとそれらを連結する複数の連結部材7c(図2)とからなるフレーム7と、フレーム7の作用を覆う左右の側カバー8a,8bと、フレーム7の前部を覆う前カバー9とを有している。フレーム7の下面には、釣り竿に設けられたリールシートに両軸受リールを装着するための竿装着脚11が設けられている。竿装着脚11は、スプール15の軸方向の中心位置よりハンドル2側に偏ってフレーム7の下面の連結部材7cに一体形成されている。フレーム7の後部には、サミングを行う場合の親指の当てとなるサムレスト17が配置されている。サムレスト17は、後部の連結部材7cと一体で形成されている。
【0016】リール本体1の前側(糸繰り出し側)上部には、水深表示装置としてのカウンター4が固定されている。カウンター4の内部には、仕掛けの水深や棚位置を水面からと底からとの2つの基準で表示するための液晶表示ディスプレイからなる水深表示部5と、水深表示部5と、水深表示部5の右側に配置された3つのスイッチ6a〜6cからなる操作キー部6とが設けられている。ここで、例えば図1上側のスイッチ6aは電源をオンオフするための電源操作スイッチであり、中間のスイッチ6bは、モード切り換えスイッチであり、下側のスイッチ6cは底や棚等をメモするためのスイッチである。
【0017】図2に示すように、フレーム7内には、スプール15と、スプール15に釣糸を均一に巻くためのレベルワインド機構(図示せず)とが配置されている。また、フレーム7と側カバー8bとの間には、ハンドル2からの回転力をスプール15に伝えるためのクラッチ機構13を含む第1回転伝達機構18と、クラッチ操作レバー12の操作に応じてクラッチ機構13を係脱するためのクラッチ制御機構19と、スプール15にドラグ力を作用させるドラグ機構21と、スプール15の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構22とが配置されている。また、フレーム7と側カバー8aとの間には、スプール15の回転力をレベルワインド機構に伝えるための第2回転伝達機構23が配置されている。
【0018】スプール15は両端にフランジ部15aを有しており、両フランジ部15aの間に糸巻き胴部15bを有している。スプール15はその中心を貫通するスプール軸24に固定されている。スプール軸24は軸受によってフレーム7に回転自在に支持されており、側カバー8b側の端部は側板7bを貫通して側方に突出するように延びている。
【0019】第1回転伝達機構18は、リール本体1に回転自在に支持されたハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたマスターギヤ31と、マスターギヤ31に噛み合うピニオン32とを有している。ハンドル軸30は、一端がリール本体1の外部に突出し、その先端にハンドル2が回転不能に装着されている。ハンドル軸30の軸芯は、図3に示すように、スプール軸24の軸芯を通って竿装着脚11に直交する直線αとスプール軸24の軸芯とハンドル軸30の軸芯とを結ぶ直線とのなす角度βが5度程度となるようにスプール軸24に対して前方にずれた位置に配置されている。なお、ハンドル軸30の軸芯は、直線αに対する角度βが±30゜の範囲に配置されているのが好ましい。この場合には、ハンドル軸30が釣り竿に接近するので、ハンドル2を握って回した時に、釣り竿の軸回りに作用するトルクが小さくなる。このため、ハンドル2を握って回した時に力が逃げにくくなる。また、竿装着脚11がスプール15の軸方向の中心よりハンドル2側に偏っているので、ハンドル2と釣り竿との距離が短くなり、ハンドル2を握って回した時に釣り竿の軸回りに作用するさらにトルクが小さくなり、力を入れてハンドル2を握って高速で回した時に力が逃げにくくなる。
【0020】マスターギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されており、ドラグ機構21を介してハンドル軸30の回転が伝達される。ピニオン32は、一端側外周部に形成された歯部32aと、他端側に形成された噛み合い部32bと、歯部32aと噛み合い部32bとの間に形成された小径部32cとを有している。噛み合い部32bの中心部には係合溝が形成されており、スプール軸24に形成された係合凸部24aと係合あるいは離脱が可能である。このようなピニオン32の噛み合い部32bとスプール軸24の係合凸部24aとによりクラッチ機構13が構成されている。ここでは、ピニオン32が外方に移動してその噛み合い部32bの係合溝とスプール軸24の係合凸部24aとが離脱すると、ハンドル軸30からの回転力はスプール軸24に伝達されない。この状態がクラッチオフ状態(連結解除状態)である。一方、ピニオン32が内方に移動してその噛み合い部32bの係合溝とスプール軸24の係合凸部とが係合すると、ハンドル軸30からの回転力がスプール軸24に伝達される。この状態がクラッチオン状態(連結状態)である。
【0021】次に、クラッチ操作レバー12とクラッチ制御機構19とについて詳細に説明する。クラッチ操作レバー12は、図3に示すように、スプール15の後方かつ上方で側カバー8bに揺動自在に装着されている。クラッチ操作レバー12は、側カバー8bに揺動自在に支持される揺動軸12bと、揺動軸12bの先端に回転不能に装着された操作用のレバー部12aと、揺動軸12bの基端に回転不能に装着された係止突起12cとを有している。
【0022】クラッチ制御機構19は、クラッチヨーク40と、クラッチヨーク40を制御するためのクラッチカム41とを有している。クラッチヨーク40は、スプール軸24の外周側に配置されており、2本のガイド軸42によってスプール軸24の軸心と平行に移動可能に支持されている。なお、スプール軸24はクラッチヨーク40に対して相対回転が可能である。すなわちスプール軸24が回転しても、クラッチヨーク40は回転しないようになっている。また、クラッチヨーク40はその中央部にピニオン32の小径部32cに係合する半円弧状の係合部40aを有している。またクラッチヨーク40を支持するガイド軸42の外周でクラッチヨーク40と側カバー8bとの間にはコイルばね43が圧縮状態で配置されており、クラッチヨーク40はコイルばね43によって常に内方(側板7b側)に付勢されている。
【0023】このような構成では、通常状態ではピニオン32は内方のクラッチ係合位置に位置しており、その噛み合い部32bとスプール軸24の係合凸部24aとが係合してクラッチオン状態となっている。一方、クラッチヨーク40によってピニオン32が外方に移動した場合は、噛み合い部32bと係合凸部24aとの係合が外れ、クラッチオフ状態となる。
【0024】クラッチカム41は、クラッチ操作レバー12の揺動によりスプール軸24回りに回動する部材であり、回動によりクラッチヨーク40をスプール軸外方に移動させるものである。クラッチカム41は、スプール軸24回りに回動自在に装着された回動部45と、回動部45からクラッチ操作レバー12側に延びる第1突出部46aと、回動部45から前方に延びる第2突出部46bと、回動部45の側面に形成された傾斜カムからなる1対のカム突起47a,47bとを有している。このカム突起47a,47bに対向するクラッチヨーク40の両端には、カム突起47a,47bに乗り上げるカム受け(図示せず)が形成されている。
【0025】回動部45は、クラッチヨーク40と側板7bとの間に配置されており、側板7bに回動自在に支持されている。第1突出部46aは回動部45から上後方に延び、先端は二股に分かれてクラッチ操作レバー12の係止突起12cに係合している。この第1突出部46aは、クラッチ操作レバー12の揺動に応じてクラッチカム41を回動させるために設けられている。
【0026】第2突出部46bは、リールの前方に延びており、マスターギヤ31と側板7bとの間に配置された逆転防止用のラチェットホイール52の外方側に延びている。第2突出部46bには、捩じりコイルばねからなる第1トグルばね55が係止されている。第1トグルばね55の他端は側板7bに係止されている。この第1トグルばね55により、クラッチカム41は、図3に示すクラッチオン位置と、図4に示すクラッチオフ位置とに保持される。
【0027】カム突起47a,47bは、クラッチヨーク40をスプール軸方向外方に押圧するために設けられている。すなわち、クラッチカム41が図3に示すクラッチオン位置から図4に示すクラッチオフ位置に回動すると、カム突起47a,47bにクラッチヨーク40が乗り上げてスプール軸方向外方に移動する。クラッチカム41の第2突出部46bには、クラッチ戻し機構50の係合部材51が揺動自在に装着されている。クラッチ戻し機構50は、ハンドル2の糸巻取方向の回転に応じて、クラッチオフ位置に配置されたクラッチカム41をクラッチオン位置に戻してクラッチ機構13をクラッチオン状態に復帰させると共に、クラッチカム41によりクラッチ操作レバー12をクラッチオフ位置からクラッチオン位置に戻すものである。
【0028】クラッチ戻し機構50は、前述した係合部材51と、ラチェット歯52aが外周に形成されたラチェットホイール52とから構成されている。係合部材51は、前述したようにクラッチカム41の第2突出部46bに揺動自在に支持されており、その先端にラチェットホイール52のラチェット歯52aに係合する第1突起51aと、第1突起51aの図3左方に延びる第2突起51bとを有している。
【0029】第1突起51aは、ラチェットホイール52の外方に向けて折り曲げられており、第2突起51bは、側板7b側に逆側に折り曲げられている。側板7bの側面には、第2突起51bを案内するための変形台形状のガイド突起7dが形成されている。このガイド突起7dは、第2突起51bを係止することで係合部材51の揺動状態を制御するために設けられている。
【0030】係合部材51には、第2トグルばね56が係止されている。第2トグルばね56は、捩じりコイルばねからなり,一端がクラッチカム41の第2突出部46bの先端に係止され他端が係合部材51に係止されている。第2トグルばね56は、係合部材51を係合位置と非係合位置とに保持するために設けられている。係合部材51は係合位置に配置されると、ラチェットホイール52の外周より内周側に第1突起51aが位置してラチェット歯52aに係止し得る状態になり、非係合位置に配置されると、ラチェットホイール52の外周から若干離反した位置に第1突起51aが位置する。この係合部材51はラチェットホイール52の前方かつ上方に配置されている。このため、ラチェットホイール52の後方に配置される従来例に比べてラチェットホイール52の後方側に空間が小さくて済む。係合部材51の第1突起51aはラチェット歯52aにより引っ張られて図4に示す係合位置から図3に示す非係合に回動する。この点については後で詳述する。
【0031】ラチェットホイール52はマスターギヤ31と側板7bとの間でハンドル軸30に回転不能に装着されている。ラチェットホイール52の外周側には前述したような鋸歯状のラチェット歯52aが形成されている。係合部材51は、このラチェット歯52aにより第1突起51aが引っ張られて係合位置から非係合位置に移動する。ラチェットホイール52の後方には、ストッパー機構60が配置されている。ストッパー機構60は、ラチェットホイール52の一方側への回転を禁止することによってスプール15の糸繰り出し方向の回転を停止させるものであり、回動レバー61とカバー部材62とを有している。回動レバー61は側板7bに回動自在に装着されている。またカバー部材62は回動レバー61の先端に取付られ、ラチェットホイール52の外周面を挟持可能である。このカバー部材62とラチェットホイール52との摩擦によって、ラチェットホイール52の時計回り(糸巻取方向)の回転時には回動レバー61がラチェット歯52aと干渉しない位置まで離れられ、ラチェットホイール52の回転が許容される。一方、反時計回り(糸繰り出し方向)の回転時には回動レバー61がラチェット歯52aと干渉する位置まで引き込まれ、糸繰り出し方向の回転が禁止される。なおこの両軸受リールには、このようなストッパー機構60に加えて、ローラ型のワンウエイクラッチ65が側カバー8bとハンドル軸30との間に配置されている。
【0032】次にドラグ機構21等の他の機構について説明する。ドラグ機構21は、図2に示すように、マスターギヤ31に押圧される摩擦プレート70と、スタードラグ3の回転動作によって摩擦プレート70をマスターギヤ31に所定の力で押圧するための押圧プレート71とを有している。またキャスティングコントロール機構22は、スプール軸24を挟むように配置された複数のプレート72と、プレート72によるスプール軸24の挟持力を調整するためのキャップ74とを有している。キャップ74の内周部には雌ねじが形成されており、側カバー8b側に形成された雄ねじと噛み合っている。
【0033】次に動作について説明する。通常の状態では、クラッチヨーク40はコイルばね43によってスプール軸方向内方に押されており、これによりピニオン32はクラッチオン位置に移動させられている。この状態では、ピニオン32の噛み合い部32bとスプール軸24の係合凸部24aとが噛み合ってクラッチオン状態となっており、ハンドル2からの回転力をハンドル軸30、マスターギヤ31及びピニオン32を介してスプール軸24及びスプール15に伝達される。このとき、キャスティングコントロール機構22のキャップ74の締め付け量を調整することにより、スプール15の回転時の抵抗力を調整することが可能である。
【0034】仕掛けを投入する場合には、クラッチ操作レバー12が図4に示すクラッチオフ位置に揺動される。クラッチ操作レバー12が、図3に示すクラッチオン位置から、図4に示すクラッチオフ位置に揺動されると、クラッチカム41が図3反時計回りに回動する。この結果、クラッチカム41のカム突起47a,47bにクラッチヨーク40が乗り上げ、クラッチヨーク40はスプール軸方向外方に移動させられる。クラッチヨーク40はピニオン32の小径部32cに係合しているので、クラッチヨーク40が外方へ移動することによってピニオン32も同方向に移動させられる。この状態ではピニオン32の噛み合い部32bとスプール軸24の係合突起24aとの噛み合いが外れ、クラッチオフ状態となる。このクラッチオフ状態では、スプール15は自由回転状態になる。この結果、仕掛けの重さにより釣糸がスプール15から繰り出される。
【0035】また、クラッチカム41がクラッチオフ位置に回動すると、クラッチ戻し機構50の係合部材51が第2トグルばね56によりラチェットホイール52の内方に付勢されかつガイド突起7dにより案内され内方に揺動する。この結果、係合部材51はラチェット歯52aに係止される係合位置に配置される。仕掛けが所定の棚に配置されると、ハンドル2を糸巻取方向に回転させるか又はクラッチ操作レバー12をクラッチオン位置に揺動させスプール15の糸繰り出しを停止する。ハンドル2を糸巻取方向に回転させると、ハンドル軸30が図4の時計回りに回転する。これにつれてハンドル軸に回転不能に固定されたラチェットホイール52も時計回りに回転する。ラチェットホイール52が時計回りに回転すると、ラチェット歯52aに係合部材の第1突起51aが引っかかって係合部材51が引っ張られる。係合部材51がひっぱられると、第2トグルばね56の作用により、第2トグルばね56の死点を超えた時点で係合部材51がラチェットホイール52の外方に付勢される。そして第2突起51bがガイド突起7dに案内されながらラチェットホイール52に係合しない非係合位置に外方に係合部材51が揺動する。係合部材51が引っ張られると、クラッチカム41が図4時計回りに回動する。クラッチカム41が時計回りに回動すると、クラッチカム41のカム突起47a,47bに乗り上げていたクラッチヨーク40がカム突起47a,47bから下りて、コイルばね43の付勢力によりスプール軸方向内方に移動する。この結果、ピニオン32もスプール軸方向内方向に移動しクラッチオン位置に配置される。また、クラッチカム41が図4時計回りに回動すると、第1突起部46に係止されたクラッチ操作レバー12もクラッチオン位置に揺動する。これにより、クラッチ操作レバー12を操作することなくクラッチ機構13をクラッチオフ状態からクラッチオン状態にすることができる。
【0036】このクラッチ戻し機構50の係合部材51はハンドル軸30の上前方に配置されている。このハンドル軸の上前方の位置は、カウンター4を設ける場合には、空いたスペースとなっている。この空いたスペースに係合部材51を設けると、係合部材を従来のようにハンドル軸の後方かつ下方に配置する構成に比べてリール本体の膨らみを小さくすることができる。
【0037】また、ハンドル軸30がスプール軸24の下方に対して30゜以下の位置に配置されている。このため、ハンドル軸30を釣り竿に装着した時に、釣り竿の軸心とハンドル軸との距離が短くなり、ハンドル2を握ってハンドルを回した時に釣り竿の軸回りのトルクが小さくなり、力が逃げにくく効率良くハンドルを回すことができる。
〔他の実施形態〕
(a)前記実施形態では、ハンドル軸30をスプール軸24の略下方に配置したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハンドル軸30をスプール軸の前方又は後方に配置しても良い。
(b)前記実施形態では、カウンター4付きの両軸受リールを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、カウンター無しの両軸受リールやモータによりスプールを駆動する電動リールにも適用できる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、係合部材が凸部に引っ張られて非係合位置へ変位するので、係合部材には引っ張り力だけが作用する。このため、係合部材に圧縮力が作用する従来例に比べて低くて済み、係合部材の厚みを薄くすることができる。したがって、係合部材の軽量化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成11年6月16日(1999.6.16)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2000−354441(P2000−354441A)
【公開日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願番号】 特願平11−169391