| 【発明の名称】 |
白血病抑制因子を用いる胚の増強移植、増殖及び維持 |
| 【発明者】 |
【氏名】リチャード・チャールズ・フライ
【氏名】ロナルド・アレン・パー
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| 【要約】 |
【課題】胚又は前胚の生存性保護剤を提供すること。
【解決手段】白血病抑制因子(LIF)を有効成分として使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 胚または前胚を移植、イン・ビボ受精および/または遺伝子操作で使用するに先立ってイン・ビトロ培養する培地に添加することにより使用される、LIFを有効成分とする、胚又は前胚の生存性保護剤。 【請求項2】 胚が哺乳動物、鳥または魚起原のものである、請求項2の剤。 【請求項3】 哺乳動物がヒトまたは家畜動物である、請求項3の剤。 【請求項4】 家畜動物が反芻動物である、請求項4の剤。 【請求項5】 LIFがヒト、ネズミまたは家畜起原のものである、請求項5の剤。 【請求項6】 LIFが反芻動物起原のものである、請求項5の剤。 【請求項7】 LIFが組換えまたは合成LIFである、請求項5または6の剤。 【請求項8】 LIFが真核細胞で産生されたものである、請求項7の剤。 【請求項9】 LIFが原核細胞で産生されたものである、請求項7の剤。 【請求項10】 LIFの添加量が約100単位/mlから約10,000単位/mlである、請求項1ないし23のいずれかの剤。 【請求項11】 LIFの添加量が約500単位/mlから約5,000単位/mlである、請求項10の剤。 【請求項12】 LIFの添加量が約1,000単位/mlから約5,000単位/mlである、請求項12の剤。 【請求項13】 胚を培養する培地がSOFおよび/またはM2培地である、請求項1の剤。 【請求項14】 LIFの添加量が約100単位/mlから約10,000単位/mlである、イン・ビトロで動物胚を保持及び/または発育させるための培地用組成物。 【請求項15】 LIFがヒト、ネズミまたは家畜動物起原のものである、請求項14の組成物。 【請求項16】 LIFが反芻動物起原のものである、請求項15の組成物。 【請求項17】 LIFが組換え又は合成LIFである、請求項14ないし16のいずれかの組成物。 【請求項18】 組換えLIFが真核細胞で産生されたものである、請求項17の組成物。 【請求項19】 組換えLIFが原核細胞で産生されたものである、請求項17の組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、動物又は哺乳動物胚の増殖及び維持の増強での白血病抑制因子(LIF)の用途並びに受胎を増強するための同じものの用途に関する。LIFは、これまでにイー・コリ及び酵母細胞から組換え形に大量にクローンされ、生成されそして精製された蛋白である(国際特許出願番号PCT/AU88/00093)。LIFは、以下の性質を含む因子として定義されて来た。 【0002】1.白血病細胞の結合分化と共に、骨髄性白血病細胞、例えばM1細胞の増殖を抑制する能力、及び【0003】2.M1細胞或いはネズミ又はヒトマクロファージの特異的細胞レセプターに結合するためのネズミLIF又はヒトLIF(国際特許出願番号PCT/AU88/00093で定義された)特定の配列を有する分子と競合する能力【0004】現在のインビボ受精(LVF)及び胚移植(ET)プログラム、特にヒトに於て、に関連する主な困難は、受精胚の移植に「達成される」低成功率である。現在、ヒトIVFプログラムで、移植率は10%と低く、交替で時々多生児に導く各処理で4受精胎まで用いる現実施に導く。従ってヒトIVFプログラムで移植率を改良する必要がある。同様に家畜、例えばヒツジ、ウシ、ブタ及びヤギでのIVF及びET処理で、失われた受精胚及びなされた不成功の処理方法の数を減ずるため出来るだけ高い移植率をもつことが経済的理由から望まれる。さらに、ヒトIVF方法で、妊娠を確実にするため、1以上の胚のレシピエント動物への移植の実施は希望しない多生児となる。 【0005】胚移植に関して一つの大きな抑制は、胚を培養培地中に、比較的短期間、多分移植前数時間又は顕微操作後、数日のより長い期間、保持することが必要なことである。 【0006】哺乳動物胚の増殖において、受精卵は桑実胚及び胚盤胞段階を含む数多くの段階を通過する。胚盤胞段階で、細胞は、栄養外胚葉(これは胎盤の前駆体である)として知られる外細胞層及び内細胞塊(これから全ての好ましい胚が誘導される)を形成する。胚盤胞は透明帯により囲まれ、それは胚盤胞がかえると、続いて失われる。次いで栄養外胚葉の細胞は移植段階で子宮壁と密に接触するようになる。原腸形成による内細胞塊による好ましい胚の形成の前に、全細胞塊は「前胚」として引用しうる。 【0007】胚死亡率は透明帯から胚盤胞の不完全ふ化及び/又は子宮壁への胚の不成功な移植に、多分、移植前の培養でのそれらの期間に胚幹細胞(ES)の自然分化に帰されて来た。 【0008】本発明によりLIFがインビトロ胚培養培地に含まれるとき、ふ化工程が増強され移植に関連する発育変化を受けることにより、増殖段階を完全にする多数の胚に導くことが判った。従ってLIFは胚防御剤である。結果としてIVF及びETプログラムについての移植率は、インビトロ胚培養培地中、LIFの使用により有意に改良でき、又、改良される。 【0009】さらにLIF含有培地は、胚の生存率が低い、卵母細胞/胚、たとえばインビトロ受精、胚分裂及び核移植で早く操作できる方法に使用するのに適する。LIFは、又、冷却又は凍冷胚/精液の輸送に用いられた培地への封入にクローニング用全能幹細胞系の生育に重要な適用性を有する。 【0010】特に指定しない限り、明細書中での「LIF」の使用は、合成組換え体又は天然に発生するヒト、ネズミ及び/又は家畜類又は反芻動物LIF、例えばヒツジ、ブタ、ウシ、ヤギ、ロバ及びウマからの、及び他の動物、例えばイヌ、ネコ又はトリ(例えばニワトリ)からの、及びその誘導体又は部分をいう。その誘導体又は部分は、上記LIF分子のいずれか1つに含まれる1又はそれ以上の連続的系列のアミノ酸を含み、又、天然又は合成LIF分子への又は中での単一又は多重アミノ酸置換、削除及び/又は付加を含む。組換えLIFを調製するための条件は国際特許出願番号PCT/AU88/00093及びPCT/AU90/00001に開示されるが、これらの条件の変更及び/又は修飾は用いる宿主細胞により変りうる。これらの変更及び/又は修飾も主題発明の範囲内にある。宿主細胞は真核生物(例えば酵母、哺乳動物、昆虫、植物等)又は原核生物(例えばエセリキア・コリ、バチルス・スピシーズ、シュードモナス・スピシーズ等)細胞でありうる。 【0011】従って、本発明の一局面は、一又はそれ以上の胚を有する動物の妊娠率を増強する方法を意図し、該方法は、有効量の白血病抑制因子(LIF)を含む培地中、十分時間、適当な条件下、胚を維持及び/又は分化させること、次いで胚を動物中に移植することを含む。 【0012】「妊娠」は、成功した移植及び受精胚インビボの続く増殖の率を意味する。 【0013】本発明の他の局面は、胚又は前胚をインビトロ培養中維持し、一方、胚移植、IVF及び/又は遺伝的操作での使用のため生存度を維持する方法を意図し、その方法は有効量のLIFを含む培地中、十分時間、適当な条件下、該胚を培養することを含む。 【0014】培養中、胚の生存度を維持するこの方法は、全胚の遺伝的操作を行わせる可能性を有する。このような成功した操作は、現在、生きている胚への実験を実施するのに利用できる限られた量の時間に限定される。 【0015】方法は、又、現在行なわれている技術に比べて輸送条件下、胚の生存度を維持するのに優れており、胚の保存に有利である。 【0016】本発明の他の局面は、哺乳動物胚のインビトロ増殖を移植段階に上昇する方法に関し、その方法は、有効量の哺乳動物LIFを含む培養培地中、インビトロで胚を培養する段階を含む。 【0017】以下に示すように、胚盤胞の形成前、又は胚盤胞形成前及び後、培養培地中LIFの封入も、移植と関連した増殖変化を受けることにより増殖段階を含む前胚の数をも増加する。LIFの添加は、又、培養中、退歩する前胚の数を減ずる。結果として、IVF及びETプログラムに対する移植率はインビトロ培養培地中、LIFの使用により有意に改良できる。 【0018】「動物胚」は、哺乳動物、例えばヒト、反芻動物及び他の家畜動物及び他の動物、例えば鳥及び魚からの胚を含む最も広い意味で用いられる。主題発明は、インビトロ移植ヒツジ胚により本明細書で例証される一方、本発明は、ヒト、反芻動物及び、例えばウシ、ウマ、ロバ、ヤギ等の動物を含む他の動物又は哺乳動物種の胚の移植でのLIFの使用に及ぶ。 【0019】又、本発明は、インビトロでの受精及び続く哺乳動物胚の移植に及び、それは、胚を動物又は哺乳動物宿主(ここに「宿主」は適当に受容する雌動物又は哺乳動物として定義される)に移植する前、有効量の哺乳動物LIFを含む培養培地中、インビトロで培養することを特徴とする。 【0020】本発明のそのうえの局面は、LIF含有培養培地中、インビトロで保持されたES細胞を用いる公知技術により作られた、非ヒト動物、特にキメラ非ヒト動物又は該動物の遺伝子導入子孫に関する。本発明のこの局面により、ES細胞は、該ES細胞が、挿入された付加遺伝物質を有するLIF含有培養培地中で継代された動物胚から誘導される。意図する遺伝子導入動物は非ヒト哺乳動物、例えば家畜動物及び反芻動物及び家畜を含む。 【0021】本発明により、「同種」又は「異種」系は、LIFが誘導された動物が胚が分離された同じ動物(同種)か又は異なる動物(異種)である意味に用いうる。LIFは自然発生でありうるが好ましくは組換え又は合成LIFである。LIFは、LIFが望ましい効果を有するならば如何なる起原、例えばヒト、マウス又は家畜動物(反芻動物を含む)LIFでありうる。例えば、1つの動物からのLIFは他の動物からのLIFと同じように活性でないこともありうる。適当な動物から適切なLIFを容易にスクリーンすることは受取人の技量内にある。組換えLIFが用いられる場合は、真核又は原核細胞で生成されうる。 【0022】本発明は又、有効量のLIFを、動物(例えば哺乳動物)胚を維持する媒体と組合せて含む組成物に向けられる。本発明は、又、1又はそれ以上のヒツジ栄養膜蛋白、インターロイキン1及び/又は2、マクロファージコロニー刺激因子、マウス線維芽細胞3T3系における因子及び/又はプラスミノーゲンと組合せてLIFを含む胚栄養及び/又は胚防御性質を有する組成物を提供する。上記組成物は、又胚維持培地と組合せうる。 【0023】本明細書で意図する胚維持媒体はSOF及び/又はM2を含むがこれに限定されない。 【0024】本発明により用いられるLIFの量は、胚を維持及び/又は分化し、及び/又は受精を増強するのに要するものであり、100単位/mlないし10,000単位/ml、好ましくは500単位/mlないし5,000単位/mlで最も好ましくは1,000単位/mlないし5,000単位/mlの範囲である。LIFの単位はPCT/AU88/00093に定義される。 【0025】 【発明の実施の形態】さらに本非限定実施例で本発明を示す。 【実施例】 【0026】実施例1材料及び方法胚収集40匹の成熟メリノ雌羊を14日間0.3gプロゲステロン(リベリナ・アーティフィシャル・ブリーダース、NSW)を含むCIDRで処置し、CIDR使用中止48時間前、5mgの脳下垂体卵胞刺激ホルモンFSH−P(インターベット・オーストラリア・プティ,リミテッド、シドニィ、NSW)及び200国際単位のPMSG(筋肉内)(プレグネコール;ヘリオット・アグベット・プティ、リミテッド、メルボルン、Vic)の注射(筋肉内)、次いで各12時間後、減量していく投与量のF8H−P(4、3、3、2及び1mg)の注射により過排卵した。排卵はCIDR使用中止24時間後ゴナドトロピン−放出ホルモン(GnRH;アウスペップ・プリティ、リミテッド、メルボルン、Vic)の50μg注射(筋肉内)により確実にし、それは、ほとんどの雌羊が標識クレヨンと適合した去精雄羊により発情期に検出される時間と一致した。雌羊は、発情8−12時間後、腹腔鏡により約100×106の新鮮な動き得る精子を各子宮角に注入した。精液を4稔性雄羊から集め、リン酸緩衝食塩水(フロウ・ラボラトリーズ、ノース・ライド、NSW)中に1に希釈し、媒精前、外界温度に保った。発情6日後、雌羊をバルビツール酸ナトリウムチオペントン(イントラバル;メイ・アンド・ベーカー、フットスクレイ、Vic)の注射(筋肉内)により麻酔し、ハロタン(メイ・アンド・ベイカー)及び酸素の混合物により一般的麻酔下に維持した。子宮を中央腹開腹により外部に出し、各角を分岐約1cm下でホレイカテーテル(プロメデイカ・モーラビン、Vic)でカニューレした。洗浄媒体を満した20ml管に付着した20g針を、子宮卵管接合部に近い子宮の管腔に通した。子宮の各角を洗浄し、媒体プラス胚をホレイカテーテルを経てガラス容器に集めた。胚を4mg/mlマイルスBSA(ペンテックス・クリスタリン;マイルス・ダイアグノスティックス、カナキー、イリノイズ、USA)を含むM2保持培地に集め、処置群に配分前、増殖の健康及び段階に従って、等級づけした。 胚の培養【0027】胚(健康と評価された166及び低品質とされた17)を無差別に3つの処理群の1つに配分した。処理1の胚(桑実胚又は初期胚盤胞段階で80健康及び5低品質胚)は、対として(グループ1:n=38)又は単一で(グループ2:n=47)発情サイクルの6日にレシピエント雌羊に移植する前に5mlのM2保持培地中、1−2時間、10のロットで培養した。グループ3胚(桑実胚又は初期胚盤胞段階で44健康及び6低品質胚)は移植48時間前、SOF培地中、別々に培養した。SOF培養培地の3分割100μl小滴を35×10mmプラスチックペトリ皿に置き、2.5mlパラフィン油(ラブケム、アジャクス・ケミカルズ、アウバーン、NSW)で覆った。次いで1つの胚を各小滴中に置き、ペトリ皿を水ジャケットをつけたインキュベーター中に置き、20%O5、5%CO2及び75%N2を含むガス体中、39℃に保った。グループ4胚(桑実胚又は初期胚盤胞で44健康及び6低品質)は、ヒト組換LIFを1000単位1mの割合で培地に加えた以外、グループ3と同様にSOF培養培地中、48時間培養した。 【0028】健康又は低品質(退化)胚、桑実胚、胚盤胞又は移植の孵化胚盤胞段階に達しているものの数を、胚収集、各12時間後及び発情後8日にレシピエント雌羊に移植する直前の時間に記録した。 培養培地【0029】用いた新鮮な培地は10%(v/v)ウシ胎仔血清、ペニシリンGカリウム塩(0.060g/l)及びストレプトマイシン硫酸塩(0.050g/l)を含む、トルベッコリン酸緩衝食塩水であった。 【0030】M2培養培地(キィン等1982)はヘペス緩衝液で置き換え幾らかの重炭酸塩を含む修飾クレープスーリンガー溶液であった。成分は、ヘペス緩衝液(4.969g/l)、NaCl(5.533g/l)、KCl(0.356g/l)、CaCl2・2H2O(0.252g/l)、KH2PO4(0.162g/l)、MgSO4・7H2O(0.293g/l)、NaHCO3(0.349g/l)、ペニシリンGカリウム塩(0.060g/l)ストレプトマイシンリン酸塩(0.050g/l)、ミリポアH2Oで1リットルとするであった。 【0031】SOF培養培地(テルビット等、1972)はNaCl(6.95g/l)、KCl(0.534g/l)、KH2PO4(0.162g/l)、CaCl22H2O(0.252g/l)、MgCl26H2O(0.10g/l)、NaHCO3(2,106g/l)、乳酸Na(0.616g/l)、ピルビン酸Na(0.0362g/l)グルコース(0.270g/l)、BSA(32.0g/l)、ペニシリンGカリウム塩(0.060g/l)、ストレプトマイシン硫酸塩(0.050g/l)ミリポアH2Oで1リットルとする、よりなる。 【0032】全ての培地は0.2μmフィルター(ミリポア・プティ、リミテッド、リッチモンド、Vic)を通して無菌とした。 【0033】胚移植200匹の3令雌メリノ羊は14日CIDR処置で同時性を持たせたそれらの発情周期を有した。400国際単位PMSGの注射をCIDR使用中止の時に与えた。引き具及びクレヨンを取り付けた去精した羊を雌羊と共に置き発情期を検定した。発情期に観察した雌羊は無作為に4つのレシピエントグループの一つに配分した。レシピエント雌羊を局所麻酔剤(リグノカイン、リパード・ケミカルズ、ブライトン、Vic)で処置し、腹腔鏡を用いて、各卵巣上の黄体の数を記録した。子宮を位置決定し、排卵卵巣と同側の子宮角の先端は2cm中央腹切り口を経て体外に出した。子宮を先端から約4cm穿刺し、MS保持培地中に置いた胚は、1ml管に付着したトムカットカテーテル(サイズ3.5FR、リパード・ケミカルズ、ブライトン、Vic)を経て保管した。子宮角は腹腔にもどし切り口を縫合した。 【0034】全てのレシピエント雌羊を引き具を付けた去精雄羊と共に21日間放牧して移植前又は移植時に胚消失を評価した(エディ、1967)。妊娠の70日に超音波を用いて走査し健康な胎児の数を測定した。 【0035】分析グループ間の差はカイ二乗分析により測定した。 【0036】実施例2羊胚の孵化後状態へのインビトロ増殖に対するLIFの効果【0037】胚培養SOF培養培地への1,000単位/mlのヒト組換えLIFの添加は、48時間インビトロ培養した健康な桑実胚及び胚盤胞胚の増殖(より桑実胚孵化及び退化少ない)を有意に改良した(表1)。 【0038】処理グループは共に、胚回収の時に貧弱として初めに分類された6胚を有した。処理期間を越えて、それらの健康は改良されず、それらは廃棄され、レシピエント雌羊に移植しなかった。 【0039】移植率培養胚をレシピエント雌羊に個々に移植したとき、SOF+LIFで培養した(グループ4)胚を受ける雌羊の21日非復帰率(移植率のインディケーター)はSOFのみで胚培養を受ける雌羊(グループ3、表2)のそれより有意に高い。さらにグループ4雌羊の移植率は、2時間の収集以内に単一胚を受けたレシピエント雌(グループ2)と同様であったが、両グループの非復帰率は収集後直ちに移植した2つの胚を有するレシピエント雌(グループ1)のそれより低かった。 【0040】妊娠の70日での実時間超音波走査により測定した真の妊娠率は表3に示す。 【0041】上で得られた結果は、ヒト組換えLIFの培養培地への添加は透明体から「孵化する」羊胚盤胞の数を4倍増加することを示し、又、20%O2、5%CO2及び75%N2のふん囲気でSOF中48時間培養の間変性する胚の数を減ずる。事実、SOF+LIFで培養した胚の64%は、発情期後8日までに孵化し、それはインビボで見られたものと類似する(ロウソン及びモアー、1966、ビンドン、1971)。LIFは逆条件下に胚の健康を維持する役割を有しうる。さらに、この培養の間、LIF含有培地中、48時間培養した胚の移植後、レシピエント雌羊の妊娠率は、収集後直ちに胚を受けている雌羊のそれに少くとも等しかった。 【0042】胚上のLIFのこの安定役割は、4日ネズミ胚上のLIFレセプターの、及び4日妊娠及び偽妊娠マウスの及び子宮内膜腺に強く表われているネズミLIFの局在の最近の報告に一致する。これは、LIFが胚の存在に対するよりも妊娠に対する受身応答として生成されることを示唆する。従ってLIFは、胚が卵管から子宮に入っている時に生じているように見える。ここでの結果は、ほぼこの時点で報告された胚死亡率の幾つかはLIFの胚への適切な供給により防ぐことができることを示唆する。最近、ヒト及び家畜動物でのほとんどの胚移植プログラムで、一つの胚が各レシピエントに移植し生存妊娠を確実にする。我々の研究は、2胚が各雌羊に移植されるとき、約50%損失の胚が存在しても(これらの雌の52%は双子を有し、37%は1匹で11%は妊娠しなかった)妊娠率がほとんど40%高いことを示す。従って、LIFはこの胚損失の幾らかを防ぎ単一胚の各レシピエント実施の移植を有効になす可能性がある。 【0043】 【表1】 SOF(n=42)又はSOF+1000単位/mlLIF(n=44)培地での48時間培養の間、孵化又は変性する健康な胚の数及びパーセント 培養 孵化胚 変性胚時間 SOF SOF+LIF SOF SOF+LIF0時間 0 0% 0 0% 0 0% 0 0%12時間 0 0% 3 7% 2 5% 0 0%24時間 1 2% 10* 23% 2 5% 1 2%36時間 6 14% 19* 43% 5 11% 1 2%40−46時間 7 16% 28* 64% 13* 27% 4 9% *はSOF及びSOF+LIF処理グループ間の有意差 P<0.05を示す【0044】 【表2】 表2 発情期後21日に種付けを受けている雌羊 グループ1 グループ2 グループ3 グループ4 M2中1時間1胚 M2中2時間2胚 SOF中48時間1胚 SOF+LIF中4時間1胚種付けした 0 13 26 15種付けせず 19 28 18 27 計 19 41 44 42 %受けなかった 100a 68b 41c 64b 異なる上付き文字は有意差(P<0.05)を示す【0045】 【表3】 表3 発情期後70日でのレシピエント雌妊娠の数 グループ1 グループ2 グループ3 グループ4 M2中3時間1胚 M2中3時間2胚 SOF中48時間1胚 SOF+LIF中4時間1胚非妊娠 2 20 37 21 妊娠 17 22 7 21 計 19 42 44 42 %妊娠 89a 52b 16c 50b 異なる上付き文字は有意差(P<0.05)を示す【0046】実施例3胚培養及び移植でのLIFの用途羊胚を上述したように発情期後6日にメリノ雌羊から集めた。しかしながら今回はSOF、SOF+ネズミLIF又はSOF+ヒトLIFで10日間個々にそして毎日課した発達で培養した。意図はLIF含有培地で孵化後発達した胚があるか及びどの程度か、例えばインビボ約10−12日で起きる発達の拡大胚盤胚又は栄養膜段階に達したかどうかを見ることであった。第二に、培養した羊胚の発達に対するネズミLIFの効果も調べた。 【0047】胚は実施例1におけると正確に同じ方法でメリノ雌羊から集めた。唯一の違いは、胚が、FSHがオバーゲンを生成するか水平再生成により供給されたRFSH−50を生成するかにより過剰排卵したことである。処理は以下の通りであった。 グループ1(n=19);SOFのみで個々に培養した胚。 グループ2(n=18);SOF+ネズミLIFで個々に培養した胚。 mLIFはマウス幹細胞バイオアッセーにより3500単位/mlが加え、それはM1細胞バイオアッセーを用い約8000単位/mlに当る。 グループ3(n=20);SOF+ヒトLIF(hLIF)で個々に培養した胚。hLIFはM1細胞バイオアッセーにより5000単位/mlが加えた。 【0048】培養条件は、胚発達が日に2回であるよりも毎日評価する点を除き上例と同一であった。大気条件は上記したように即ち20%O2、5%CO2及び75%N2であった。 【0049】結果は表4に示す。 【表4】 処理 培養日 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 SOF 10B 19B 13B 11B 1HB 1HB 19D 9M 6D 8D 9B 5B 9D 13DSOF+ 9B 4M 18B 15B 14B 11B 20DmLIF 9M 14B 3D 4D 7DSOF+ 10B 4HB 4FB 12FB 14FB 14FB 14FB 14FB 12FB 11FB 20DhLIF 10M 16B 9HB 7HB 4HB 2HB 1B 1B 8D 9D 5B 2B 1B 1B 5D 5D 8D 9D 2D 2D 3D 3D 凡例: M=桑実胚 B=胚盤胞 HB=孵化胚盤胞 FB=透明帯から自由の胚盤胞 D=変性胚【0050】培養3日後、胚は、SOF+hLIFに置いたとき(グループ3)SOF(グループ1)又はSOF+mLIF(グループ2)の胚より、有意に発達して孵化するか、透明体から完全に孵化した(P<0.01、カイ二乗)。さらに培養6日後、より少く有意に変性した(P<0.01、カイ二乗)。胚の発達又は生存へのmLIFの有意な効果はなかった。透明体から孵化した胚盤胞は、変性前伸長を開始しなかった。 【0051】実施例4本実施例は各第2日に胚を新鮮な培地に置き孵化胚盤胞をさらに発達させるように試みる以外実施例2を繰り返す。処理は以下の通りで結果は表5に示す。 【0052】 【表5】 処理:コントロール−SOF グループ1−SOF+マウスLIF(5000単位/ml M1バイオ アッ セーによる) グループ2−SOF+ヒトLIF(5000単位/ml M1バイオア ッセーによる) 表 5 処理 培養日 0 1 2 3 4 5 6 7 8 SOF 2B 2B 2B 8Dn=8 6M 6M 5M 1DSOF+ 3B 8B 1HB 8DmLIF 5M 5Dn=8 3DSOF+ 3B 1HB 2FB 5FB 6FB 6FB 6FB 8DhLIF 5M 5B 3HB 1HB 2D 2D 2Dn=8 2M 1B 2D 1M 1D 本実験例もhLIFが培養に保持された桑実胚及び胚盤胞の健康を改良したことを示す。孵化胚盤胞は約1mmから2mm成長したが、それらは伸長を開始しなかった。 【0053】実施例5本実施例の目的は、SOF培養培地へのLIFの添加が非常に早い段階の胚を改良するかどうかを調べることであった。 【0054】本実験例では、胚は、発情期後、種々の時間でドナー雌羊から取り、SOF又はSOF+hLIF(1000単位/ml)に特定時間培養し、それらの発達は細胞のそれらの数を数えることにより評価した。全ての胚(グループ5のものを除く)は低O2圧力(7%)の外気条件で培養し、最も速い段階の胚を通過させて8/16細胞ブロックとした。胚健康は、スライド上に細胞を塗布し、細胞数を数えることにより評価した。 処理:グループ1、2−4細胞胚を発情期後2日に集め、SOF(n=10)又はSOF+hLIF(n=14)に6日培養した。 グループ2、2−4細胞胚を発情期後2日に集め、SOF(n=15)又はSOF+hLIF(n=18)に2.5日培養した。 グループ3、8/16細胞胚を発情期後4日に集め、SOF(n=11)又はSOF+hLIF(n=9)に2日培養した。 グループ4、桑実胚/胚盤胞を発情期後6日に集め、SOF(n=19)又はSOF+hLIF(n=20)に培養した。 これらの全ての胚は7%O2、5%CO2、88%N2の特異的大気中で培養した。 グループ5、桑実胚/胚盤胞を発情期後6日に集め、SOF(n=19)又はSOF+hLIF(n=18)に2日培養した。 これらの胚は20%O2、5%CO2、75%N2の大気中で培養した。云い換えればこのグループは、実施例2、3及び4で培養した胚の繰り返しである。 【0055】 【表6】 結果は表6に示す。 処理 平均細胞数(±sem) SOF SOF+hLIF グループ1 41.2± 3.94 69.1*± 8.42 グループ2 7.4± 0.52 8.5 ± 0.60 グループ3 17.7± 1.94 24.9 ± 5.20 グループ4 75.7±10.40 82.7 ±11.49 グループ5 56.2± 5.90 62.6*± 8.42 *は、グループ間列内(P<0.05)スチュデントt試験、有意差を示す。 要するに、本実験例は培養培地へのhLIFの添加が、それらを最適以下の条件、即ち理想大気条件以下(グループ)又は、改良された大気条件下長時間(グループ1)保持したとき、健康を改良することを示す。 【0056】実施例6本実施例の目的は、転移培地へのhLIFの添加がレシピエント雌羊の続く移植率を改良するかどうかを測定することである。 【0057】本実験例では胚は、発情期後6日、過剰排卵したメリノ雌羊から集めた。それらをSOF又はSOF+hLIF(5000単位/ml)に置き、採収の1時間以内又は、39℃で培地中6−8の間保持したのち、レシピエント雌羊に個々の内移植した。胚を培養培地に移植した。妊娠率は、発情期後65日に超音波走査により確認した。 【0058】結果は表7に示す。 【表7】 グループ 培 地 培養時間 妊 娠 非妊娠 1 SOF <1時間 21(58%a) 15 2 SOF+LIF <1時間 21(51%a) 20 3 SOF 6−8時間 8(21%b) 30 4 SOF+LIF 6−8時間 21(53%a) 19 異なる上付き文字は有意差(P<0.01、カイ二乗)を示す。 【0059】本実験例は、胚が収集後直ちに移植された場合、hLIFが移植率に少し効果を有することを示す。しかしながら、胚が移植前6−8時間培地に保持された場合、それは、極めてしばしばフィールドでの状態である。培地へのhLIFの添加は、さもなければ変性したかもしれない生存胚を維持する。 【0060】実施例7市販ETプログラムで、248レシピエントメリノ又は交配種の雌羊はそれぞれ、M2又はM2+hLIF(5000単位/ml)に保持した2胚を受けた。培養時間は約1から約6−8時間まで変化した。ドナー雌羊はメリノであった。結果を表8に示す。 【0061】 【表8】 N 2胚 1胚 非妊娠 M2 メリノ 148 44 40 64 交配種 20 10 4 6 計 168 54(32%) 44(26%) 70(42%) M2+LIF メリノ 56 24 12 20 交配種 44 24 7 13 計 100 48(48%) 19(19%) 33(33%) 胚死亡率 M2=55% M2+LIF=43%【0062】M2培地へのLIFの添加は、移植率を有意に増加した(P<0.05:カイ二乗)。これはLIFがETプログラムに用いた培地に加えたとき、胚保護剤として、潜在性を有することを示す。この分野の当業者は、本明細書に記載された発明が特に記載されたもの以外に変形及び修飾を受けられることを理解しうるであろう。本発明がかかる変形及び修飾を全て含むことを理解すべきである。本発明は又、本明細書において引用し、又は示した全ての段階、特徴、組成物及び化合物を個々に又はまとめて、又、該段階又は特徴の全ての2又はそれ以上のいかなる、そして全ての組合せをも含む。 【0063】引例ビンドン、ビー.エム(1971)羊における妊娠の前移植段階の組織的研究、オーストラリアン・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・サイエンシズ24:131−147、エディ、(1967)ジャーナル・オブ・レプロダクション・アンド・ファーティリティ、13;437−443、キン.ピー.バロス.シー.及びヴィッテイングトン.ディ.ジー.(1982)ヒト精子の受精能力を検定するためのハムスター卵母細胞の保存、ジャーナル・オブ・レプロダクション・アンド・ファーティリティ、66;161−168。ローソン.エル.イー.エイ.及びモア.アール.エム.(1966)最初の14日間のヒツジ胎児の発達ジャーナル・オブ・アナトミィ、100;777−785タービット.エイチ.アール.ウイッテイントン.ディ.ジー.及びローソン.エル.イー.エイ.(1972)ヒツジ及びウシ卵のインビトロ成功培養、ジャーナル・オブ・レプロダクション・アンド・ファーティリティ、30;493−496 |
| 【出願人】 |
【識別番号】500205389 【氏名又は名称】アムラド・コーポレイション・リミテッド
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| 【出願日】 |
平成3年7月9日(1991.7.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062144 【弁理士】 【氏名又は名称】青山 葆 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−350534(P2000−350534A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月19日(2000.12.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−132567(P2000−132567) |
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