| 【発明の名称】 |
実験動物の遺伝的統御の評価方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】野村 達次
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】クローズドコロニーに属する実験動物について、遺伝的多型を示す複数の遺伝子座についての遺伝的プロファイルを少なくとも年1回あるいは世代が変わる毎に作成し、世代毎の遺伝子頻度の変化をチェックし、この変化の程度が予め適宜定められた経世代的安定性の範囲内か否かを定め、この範囲内にある場合にはクローズドコロニーの経世代的安定性を肯定するように評価することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クローズドコロニーに属する実験動物について、遺伝的多型を示す複数の遺伝子座についての遺伝的プロファイルを少なくとも年1回あるいは世代が変わる毎に作成し、世代毎の遺伝子頻度の変化をチェックし、この変化の程度が予め適宜定められた経世代的安定性の範囲内か否かを定め、この範囲内にある場合にはクローズドコロニーの経世代的安定性を肯定するように評価することを特徴とする実験動物の遺伝的統御の評価方法。 【請求項2】 前記実験動物は凍結保存された胚から新たに構築されたクローズドコロニーから選択されたものである請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記実験動物は、ローテーション方式で得られたクローズドコロニーから選択されたものである請求項1または2記載の方法。 【請求項4】 新たに構築されたクローズドコロニーから数十匹の実験動物を選択して遺伝的プロファイルを得るようにした請求項2記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【発明の利用分野】本発明は実験動物の遺伝的統御の評価方法に係わり、特にクローズドコロニーの遺伝的形質の経世代的安定性を客観的に評価するシステムに関するものである。 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】バイオメディカルサイエンスの研究に使用される実験動物の品質に、均一性と再現性が求められることは良く知られている。そのためには、実験動物の遺伝的統御が必要である。遺伝的統御の形態として、実験動物が遺伝的に幾つかのグレード分け(近交系、クローズドコロニー、ミュータント系、交雑系)が存在する。クローズドコロニーの実験動物は、医薬、農薬、食品添加物などの安全性試験やワクチンの効力検定を行う際の生きた測定器として使用されることが多く、この実験動物は業者によって生産・供給されている。クローズドコロニーは、遺伝的ばらつきが一定となるように維持された集団であるのに対して、近交系は繰り返しの兄弟交配によって確立された動物で、対立形質は全て一方に固定され、即ちホモとなったものである。このグレードの中で、一般的に使用されているクローズドコロニーの遺伝的統御が最も難しいとされている。そこで、1960年にPoilyらは、集団内の遺伝的なバラツキが世代に伴って変化しないように維持する必要性から、集団的遺伝学の見地に基づき、コロニーを3−12ユニットに分け、次世代は異なったユニットの雌、雄を交配するローテーション方式を提案し、この方式が世界的に用いられるようになった。しかしながら、実験動物=クローズドコロニーに対する要求は、実験動物に障害を与える様々な因子の排除、生産における発育や繁殖性の向上、更に、コロニーを清浄に保つための微生物クリーニングなど、バイオサイエンス研究と共に変わり、コロニーをそのまま群として維持・生産するローテーション方式は、実務上極めて困難な技術となった。財団法人実験動物中央研究所の江藤らは、実験動物として確立された同一のクローズドコロニーを起源として、これにより抽出された実験動物を独立した兄弟交配によって少なくとも四種類の近交系に作出維持し、次いでこれらの近交系の間でいくつかの組み合わせにより交配を行って数種類の子供B1を作出し、これら異なる数種の子供B1の間でさらに交配を行って最終製品である子供B2を作出するようにして、クローズドコロニーを維持する方式を提案した(特公昭59−37052号)。この方式では、クローズドコロニーにおける実験動物は少なくとも50つがいで構成されてなり、近交系は少なくとも20世代以上の交配で維持されることが好ましいとされている。ところが、一時的に集団の大きさが小さくなることによって遺伝子頻度の変化に影響がでること、Nが50以下で次世代がまんべんなく選択されない不完全な交配によって、世代の経過に伴ってある対立遺伝子の遺伝子頻度が極端に変化してまうなどのボトルネックを完全に防ぐことは困難である。昭和54年に実験動物の遺伝的検査(モニタリング)が可能になった後、さらに財団法人実験動物中央研究所の加藤らは、平成3年にクローズドコロニーの遺伝的モニタリングの研究について報告した(「クローズドコロニーの遺伝的モニタリングに関する基礎的研究」 平成2年度化学研究費補助金(一般研究B)研究成果報告書)。それによると、本来同じであるべきコロニーに著しい差があり、また、同一コロニーにおいて、1回/年、3回の遺伝モニタリングを行ったところ、かなりの変動もみられたことが明らかとなった。したがって、クローズドコロニーの遺伝的なばらつきの優劣(クローズドコロニーの遺伝的系形質の経世代的安定性)を客観的に評価することが必要になる。本発明はこの客観評価法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】この発明はクローズドコロニーに属する実験動物について、遺伝的多型を示す複数の遺伝子座についての遺伝的プロファイルを少なくとも年1回あるいは世代が変わる毎に作成し、世代毎の遺伝子頻度の変化をチェックし、この変化の程度が予め適宜定められた経世代的安定性の範囲内か否かを定め、この範囲内にある場合にはクローズドコロニーの経世代的安定性を肯定するように評価するシステムであることを特徴とする。 【発明の実施の形態】対象としているコロニーは、スイスのRCC社で維持・生産しているクローズドコロニーBrHan:WIST系ラットである。このコロニーは、Poilyらによる12ユニットのローテーション方式に維持されている。ラット胚の凍結保存技術を持ち、ユニット毎の胚が凍結保存されている。1993年の感染事故の疑いにより、従来コロニーを閉鎖、凍結胚を用いてコロニーを再構築した。再構築したコロニーから、新たなコロニーが構築された。1コロニーより雌・雄合計50−60頭を無作為に抽出し、遺伝的モニタリングを行った。遺伝子モニタリングは、■定期検査を行う前にできるだけ多くの遺伝子座について調べて遺伝的プロファイルを作成する、■そのうち予め定めた複数項目について検査を行う、■遺伝的多型を示す遺伝子座を検査項目として選び、世代毎の遺伝子頻度をチェックする、ことによって行われる。遺伝的モニタリングは、既述の(「クローズドコロニーの遺伝的モニタリングに関する基礎的研究」 平成2年度化学研究費補助金(一般研究B) 研究成果報告書)において記載されている方法によって行った。従来コロニーを閉鎖する前に1993年に行った遺伝子モニタリングで得た遺伝子プロファイルと、再構築され新たに構築されたコロニーについて1998年及び1999年にそれぞれ行った遺伝的モニタリングで得た遺伝子プロファイルを図1乃至図3にそれぞれ示す。各表には標識遺伝子(Genetic Loci)と表現型頻度(Gene Frequencies)が記載されている。これらの表を比較すると、再構築したコロニー並びに新たに構築したコロニーの遺伝的モニタリングの結果、3者間の遺伝子頻度は極めて近似していた。これは12ユニットのローテーション方式を確実に行ったであろうこと、ラットの胚の凍結保存技術により、ユニット毎に胚が凍結保存され、それにより新たにクローズドコロニーが正確に構築されたことによると考えられる。ラット胚の凍結保存技術は、財団法人実験動物中央研究所の野村らによって報告されている(「実験動物(マウス・ラット)のエンブリオバンクシステムの確立」 平成3年科学研究費補助金一般研究(A)研究成果報告書 平成4年11月)。 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、世代が異なるクローズドコロニーについて遺伝的のプロファイルを得ることにより、遺伝的なばらつきの優劣(クローズドコロニーの遺伝的系形質の経世代的安定性)を客観的に評価することが可能となる。したがって、客観的な評価により、遺伝的にバラツキがある実験動物に対して行われた薬理試験等の各種試験結果の正確性や有用性を向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390016470 【氏名又は名称】財団法人実験動物中央研究所
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| 【出願日】 |
平成11年5月27日(1999.5.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079108 【弁理士】 【氏名又は名称】稲葉 良幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−333553(P2000−333553A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月5日(2000.12.5) |
| 【出願番号】 |
特願平11−148477 |
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