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【発明の名称】 養蚕設備
【発明者】 【氏名】吉田 久

【氏名】菊地 雅之

【要約】 【課題】設備コスト,暖房運転コストを低廉にする。蚕の成育に障害を発生させないようにする。

【解決手段】外部との空気の流通を制限した養蚕室1と、養蚕室1の内部の中央の床に階層状に設置された蚕座2と、養蚕室1の内部の側部の床に蚕座2と間隔を介して設置され取入れた養蚕室1の内部の空気を電気ヒータ33で加熱される蓄熱体32によって温めて比較的風力の弱い温風として蚕座2の下層に向けて送風する暖房機3とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部との空気の流通を制限した養蚕室と、養蚕室の内部の中央の床に階層状に設置された蚕座と、養蚕室の内部の側部の床に蚕座と間隔を介して設置され取入れた養蚕室の内部の空気を電気ヒータで加熱される蓄熱体によって温めて比較的風力の弱い温風として蚕座の下層に向けて送風する暖房機とからなる養蚕設備。
【請求項2】 請求項1の養蚕設備において、暖房機は電気ヒータに深夜電力を通電する制御部を備えていることを特徴とする養蚕設備。
【請求項3】 請求項1または2の養蚕設備において、養蚕室の天井に養蚕室の内部の空気を攪拌するファンを設置したことを特徴とする養蚕設備。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかの養蚕設備において、養蚕室は断熱材で形成されていることを特徴とする養蚕設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、暖房機能を備えた養蚕設備に係る技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】 最近、人工飼料を用いた蚕の通年飼育が試みられるようになってきている。この通年飼育では、冬期に養蚕室の内部の暖房(20〜25℃)が必要になるため、暖房機能を備えた養蚕設備の開発が切望されている。
【0003】従来、暖房機能を備えた養蚕設備としては、例えば、石油,ガス等を燃焼させる燃焼系の暖房機を養蚕室の内部に設置してなるものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 前述の従来の養蚕設備では、暖房機での石油,ガス等の燃焼ガスにより養蚕室の内部の空気が汚染されるとともに、暖房機から高温で比較的風力の強い熱風が送風され養蚕室の内部に高速熱気流を形成するため、蚕の成育に障害が発生するという問題点がある。
【0005】なお、燃焼系の暖房機を設置することによる問題点を解消するためには、電気加熱手段を採用することが考えられる。具体的には、特公平3−47813号公報に記載の電気加熱される面発熱体を利用して蚕座を形成するものが提案されているが、電気配線工事や温度制御が面倒であったりして設備コスト,暖房運転コストが嵩むという別の問題点を含んでいる。
【0006】本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、設備コスト,暖房運転コストが低廉で蚕の成育に障害を発生させることのない養蚕設備を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】 前述の課題を解決するため、本発明に係る養蚕設備は、次のような手段を採用する。
【0008】即ち、請求項1では、外部との空気の流通を制限した養蚕室と、養蚕室の内部の中央の床に階層状に設置された蚕座と、養蚕室の内部の側部の床に蚕座と間隔を介して設置され取入れた養蚕室の内部の空気を電気ヒータで加熱される蓄熱体によって温めて比較的風力の弱い温風として蚕座の下層に向けて送風する暖房機とからなる。
【0009】この手段では、暖房機から送風される温風が蓄熱体で温められたものであるため、養蚕室の内部の空気が汚染されるこることがない。また、暖房機から送風される温風が比較的風力が弱く比較的温度が低いため、養蚕室の内部に高速熱気流が形成されることがない。また、電気加熱手段が暖房機の形態からなるため、設備コストが安価になる。また、温風の熱源が電気ヒータによる加熱時期に留保が可能な蓄熱体からなるため、暖房運転コストも安価になる。
【0010】また、請求項2では、請求項1の養蚕設備において、暖房機は電気ヒータに深夜電力を通電する制御部を備えていることを特徴とする。
【0011】この手段では、電気料金の安価な深夜電力を電気ヒータに通電して蓄熱体を加熱する。
【0012】また、請求項3では、請求項1または2の養蚕設備において、養蚕室の天井に養蚕室の内部の空気を攪拌するファンを設置したことを特徴とする。
【0013】この手段では、ファンの回転で養蚕室内の空気を攪拌し、養蚕室の内部の温度分布を均等化する。
【0014】また、請求項4では、請求項1〜3のいずれかの養蚕設備において、養蚕室は断熱材で形成されていることを特徴とする。
【0015】この手段では、養蚕室の内部から外部への熱の逃散が防止される。。
【0016】
【発明の実施の形態】 以下、本発明に係る養蚕設備の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】この実施の形態は、図1に示すように、養蚕室1,蚕座2,暖房機3,ファン4により構成されている。
【0018】養蚕室1は、断熱空気層を有するビニールシート等で蒲鉾形に形成されてなるもので、内部,外部の換気を強制的に行う構造が排除され空気の流通を制限してている。
【0019】蚕座2は、階層状に組まれた棚に蚕が収容される飼育枠を載せてなる。この蚕座2は、養蚕室1の内部の中央の床に設置されている。
【0020】暖房機3は、図2に詳細に示されるように、箱形のハウジング31の内部に加熱された大量の熱を長時間蓄積して少しずつ放熱することが可能な蓄熱体32が収容されてなる。蓄熱体32は、複数のブロックが組付けられいる。蓄熱体32の内部には、蓄熱体32を加熱する電気ヒータ33が内蔵されている。また、ハウジング31の内部には、蓄熱体32の全体を囲むように蓄熱体32の蓄熱を補助する断熱材34が収容されている。なお、蓄熱体32,断熱材34に間には、コ字形に空気Aの流通する経路を長く確保した空気流通路35が形成されている。空気流通路35に連通して断熱材34の底部の背面側に開口された空気入口351は、ハウジング31の下部の背面に開口されハウジング31の外部の空気Aを取入れる空気取入口311に連通している。空気流通路35に連通して断熱材34の底部の前面側に開口された空気出口352は、ハウジング31の下部の前面に開口され蓄熱体で32で温められた温風からなる空気Aを送風する空気送出口312に連通している。空気入口351付近のハウジング31の内部には、低速回転で大量の空気を取入れ可能なシロッコファン36が収容されている。また、空気取入口311,空気送出口312の間には、空気入口351,空気出口352の外部側で連通し空気流通路35へ流通する空気Aを逃がすバイパス空気流通路37が設けられている。バイパス空気流通路37には、空気Aの流通路を調整するダンパ38が取付けられている。また、ハウジング31背部には、温度センサ等を備えて暖房機として適当な蓄熱,放熱が行われるように各部を制御する制御部39が設けられている。
【0021】暖房機3の制御部39については、時計を備えて電気料金が低減される時間(午後11時から午前7時まで)の深夜電力を電気ヒータ33に通電するように構成されている。なお、深夜電力以外でも必要に応じて追加加熱(追炊き)できるようになっている。
【0022】なお、深夜電力の利用では、図3に示すように、蓄熱体32にある程度の残存熱量E1がある場合に、深夜電力の開始時間(午後11時に)に直ちに電気ヒータ33への通電を行わずにタイムラグをもって通電するようにする。この通電によると、深夜電力の終了時間(午前7時)の前に蓄熱体32の蓄熱が限界に近づき、電気ヒータ33への通電のON,OFF切換が煩雑に行われて電力を消耗するのを防止することができる。なお、この通電の実施では、深夜電力を利用した蓄熱体32の蓄熱E2による昇温パターンを記憶する手段と、蓄熱体32の残存熱量E1を測定する手段と、昇温パターン,蓄熱体32の残存熱量E1を比較する手段とを備える必要がある。
【0023】この暖房機3は、図1に示すように、養蚕室1の内部の側部の床に蚕座2と少しの間隔を介して設置されている。そして、暖房機3の前面の空気送出口312が蚕座2の下層に向けられている。
【0024】ファン4は、養蚕室1の天井に吊持ちされてなるもので、養蚕室1の内部の空気Aを攪拌する。このファン4は、養蚕室1の内部の特定方向へ強制気流を形成するものではない。
【0025】この実施の形態によると、暖房機3から送風される温風からなる空気Aによって養蚕室1の内部が適温に保持される。即ち、暖房機3の空気送出口312から蚕座2の下層に向けて送風された温風からなる空気Aは、養蚕室1を囲むようにして上昇し、養蚕室1の天井でファン4により攪拌され養蚕室1の内部の全体に拡散される。従って、養蚕室1の内部(特に、蚕座2)では、温度むらがなくなる。
【0026】暖房機3から送風される温風からなる空気Aは、暖房機3の内部の蓄熱体32によって温められたものであるため、燃焼系のように汚染されたり高温化されていない。また、この空気Aは、暖房機3の内部のコ字形に流通する経路を長く確保した空気流通路35の通過の間に風力が減衰されるため、比較的風力(風圧)が弱くなって養蚕室1の内部に高速熱気流を形成させない。従って、蚕の成育に障害を発生させることがない。なお、この空気Aの取入源が低速回転で大量の空気を取入れ可能なシロッコファン36からなるため、風力が弱くても適当な風量を得ることができ、養蚕室1の内部の保温に熱量不足を生ずることがない。
【0027】また、養蚕室1の内部の電気加熱手段が暖房機3の形態となっているため、前述の従来例のような面倒な電気配線工事等が不要になり、設備コストが安価となる。
【0028】また、温風からなる空気Aの熱源が電気ヒータ33による加熱時期に留保が可能な蓄熱体32からなり、電気料金の安価な深夜電力を利用して蓄熱することができるため、暖房運転コストが安価になる。
【0029】
【実施例】 前述の実施の形態については、図4に示すように、建物Hの内部に養蚕室1を構築して熱効率等について実験を行った。
【0030】養蚕室1は、厚さが30〜100mmの断熱のエアクッションを有する厚さ2mmのビニールシートを材料として、床長手長aが10m,床短手長が4m,高さが3mとしたビニルハウスとして構築されている。
【0031】養蚕室1の内部には、電気容量18Kwのものを4台設置した。
【0032】実験地は、群馬県前橋市である。実験年月日は、1998年12月15日から同12月24までである。実験内容としては、深夜電力の利用を基本として実施した。
【0033】この実験の消費電力,各箇所の温度についての結果は、表1に示されている。
【0034】
【表1】

【0035】表1からは、養蚕室1の内部の温度である「ハウス内温度」が蚕の飼育に適当な温度に維持され、消費電力も少ないことが理解される。
【0036】
【発明の効果】 以上のように、本発明に係る養蚕設備は、暖房機から送風される温風が蓄熱体で温められ養蚕室の内部の空気が汚染されることがなく、暖房機から送風される温風が比較的風力が弱く比較的温度が低くなって養蚕室の内部に高速熱気流を形成されないため、蚕の成育に障害を発生させることがない効果がある。
【0037】さらに、電気加熱手段が暖房機の形態からなり面倒な電気配線工事等が不要になるため、設備コストが安価になる効果がある。
【0038】さらに、温風の熱源が電気ヒータによる加熱時期に留保が可能な蓄熱体からなるため、暖房運転コストが安価になる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000153720
【氏名又は名称】株式会社白山製作所
【出願日】 平成11年4月27日(1999.4.27)
【代理人】 【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
【公開番号】 特開2000−308435(P2000−308435A)
【公開日】 平成12年11月7日(2000.11.7)
【出願番号】 特願平11−119384