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【発明の名称】 プラスチツク製人工魚礁及びその製造法
【発明者】 【氏名】酒井 泰三郎

【氏名】酒井 礼子

【氏名】酒井 美和子

【氏名】酒井 マリア

【氏名】酒井 明子

【要約】 【課題】家庭から排出される廃プラスチツク容器ゴミをリサイクルして大型の人工魚礁を製作する。人工魚礁は大きいものほど集魚効果が優れている。従来のプラスチツク製大型人工魚礁は比較的小さな部材を多数連結して組み立てた構造物であり、構造的強度が足りないため実用性に欠けていた。金型コストが高いためプラスチツク製では連結型人工魚礁しか作れなかった。プラスチック製の大型構造物は一体成型法で作らないと十分な構造的強度が確保できない。金型や型枠を使用しないで一体成型構造のプラスチツク製大型人工魚礁を作る方法を確立する。

【解決手段】砂利の層2を利用して熔融プラスチツク3を流延し鉄筋で補強された一体成型の板材からなる大型の人工魚礁構造物を製作する。プラスチツクの表面が砂利で覆われて生物付着性が改善されている。プラスチツクは鉄筋4で補強されており、簡易な構造で非常に大きな構造物にも拘わらず、構造的強度および耐衝撃強度が大きく輸送中や海へ投入する際の衝撃に十分に耐える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金型または型枠を使用することなく、砂利または砕石の層を型枠に代用して魚礁構造物に成型されたプラスチツク(熱可塑性合成樹脂)の表面に該砂利(または砕石)が接着されていることにより該魚礁構造物の見掛け比重が増加しているとともに該プラスチツク表面の生物付着性が改良されていることを特徴とするプラスチツク製人工魚礁。
【請求項2】 上記のプラスチツクが家庭ゴミの廃プラスチツク容器および/または廃プラスチツク包装材であり、150〜290℃に加熱して熔融され砂利または砕石と共に混練して得られるレジンコンクリートにより上記の魚礁構造物が形成されていることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載のプラスチツク製人工魚礁。
【請求項3】 上記のプラスチツクまたはレジンコンクリートが鉄筋および/またはメタルラス(金網)によって補強されており、該魚礁構造物の剛性および耐衝撃強度が向上されていることを特徴とする特許請求の範囲第(1)項または第(2)項に記載のプラスチツク製人工魚礁。
【請求項4】 金型または型枠を使用することなく、上記のプラスチツクまたはレジンコンクリートの熔融物を砂利または砕石の層の上に流延し、鉄筋および/またはメタルラス(金網)を該熔融物の中に埋め込んだのち該熔融物が硬化するのを待って魚礁構造物を形成することを特徴とするプラスチツク製人工魚礁の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術】本発明は廃プラスチックから作る人工魚礁に関する。 更に詳しくは、主として家庭から排出されるプラスチツクゴミ,即ち、飲料容器または食品包装材として使用されたのち回収された廃プラスチツクゴミを加熱熔融して金型または型枠を使用しないで魚礁構造物を形成し表面に砂利または砕石を熱接着して生物付着性が改良されたプラスチツク製人工魚礁及びその製造法に関する。 本出願は先の特許出願平成10年第378000号及び特許出願平成11年第67299号を更に改良したものである。
【0002】
【従来の技術】低コストで成型が容易な廃プラスチツクを材料として人工魚礁を作る方法が従来より多数提案されている。 例えば、下記の公開特許公報の各号には、廃プラスチツクを用いて人工魚礁を作る方法が提案されており、また砂利および砕石等の骨材を混合して見掛け比重を大きくし潮に流されない人工魚礁が提案されている: 特開昭48−32678, 特開昭49−11690, 特開昭49−30149, 特開昭52−88190, 特開昭54−117787。上記の各公開特許公報に述べられている方法ではいずれも金型または型枠を用いて通常のプラスチツク成型技術を応用して人工魚礁の部材を作ることが提案されている。 人工魚礁では各種プラスチツクが混在しても問題なく再利用でき、また廃プラスチツクを大量に消費できる利点がある。 また、廃プラスチツク容器を洗浄する必要もなく、容器のラベルを剥がす必要もないため、家庭から出る廃プラスチツクゴミのリサイクル用途として人工魚礁は適しているのである。
【0003】これまでの経験から、また近年における魚類の生態面からの研究結果から魚礁構造物は大きなものほど集魚効果が優れていることが明らかになっている。 また陰影をつくる部分が多いほど魚礁として効果が大きいことも知られている。そのような人工魚礁はタテ、ヨコ及び高さがそれぞれ5〜10メートルに達する非常に大きな構造物となり、金型を使用してプラスチツクで一体成型することは実際には不可能である。 それ故、上記の公開特許公報の各号で述べられている方法は比較的小さな部材を金型で成型して作り、これを多数個連結してひとつの大きな構造物とする方法である。 しかしながら、この方法で多数の部材を連結して組み立てたプラスチツク製大型魚礁では構造強度が不足しており、輸送中や海へ投入する際の衝撃に堪えられず破損することが多い。 プラスチツクは金属に比べて軟らかく剛性が足りないため、ボルトおよびナツトで強く締め付けることが出来ないからである。 多数の部材を連結して組み立てた大型プラスチツク製魚礁は耐衝撃強度が不足しており実用性がない。 そのため、廃プラスチツクで作られる人工魚礁は一体成型法により製作する必要がある。 しかしながら、タテ,ヨコおよび高さがそれぞれ5〜10メートルに達するような非常に大きなプラスチツク構造物を一体成型するのに金型や型枠を使うことは実際には不可能であるため、従来廃プラスチツク製の大型魚礁は実用化されたことがなかった。金型または型枠を使用しないで人工魚礁として使用するプラスチツク製の大型構造物を一体成型するという問題が解決されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】飲料容器及び食品包装材に使われているプラスチツクはすべて軟化点150〜250℃のサーモプラスチツク(熱可塑性合成樹脂)であるから、種類の異なるプラスチツクが混在していても上記温度に加熱するだけで全て熔融できる。熔融されたプラスチツクは流動性を有しており自由な形状に成型することができるが、従来技術ではプラスチツクを成型するためには金型または型枠が必要であった。 しかしながら、タテ,ヨコおよび高さがそれぞれ5〜10メートルにも達するような非常に大きな魚礁構造物を金型または型枠を使用して一体成型することは実際には不可能である。 金型または型枠を使用しないでプラスチツク製の魚礁構造物を一体成型により製作する方法はこれまで知られていなかった。人工魚礁はどのような立体形状であっても良いのであるが、魚の好む陰影部分を多くするには必然的に空洞または天井の部分が多い形状にならざるを得ない。また海底のいかなる地形にも安定して設置できるようにすることも重要であり、人工魚礁の形状はこれらの制約により大体決まってくる。 プラスチツクは成型しやすいという特長を有するものの、生物付着性が不足しているという欠点があり、プラスチツク製魚礁には藻類やイソギンチヤク等の磯生物が活着しにくいという問題があった。 更に、プラスチツクは比重が小さく魚礁材料として使用するには見掛け比重を大きくしなければならないという問題があった。本発明が解決しようとする課題は、これらの諸問題をすべて解決しながら大型のプラスチツク製魚礁構造物を金型または型枠を使用しないで一体成型する方法を具体化し実用化することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】150〜290℃に加熱されて熔融した廃プラスチツクは流動性を有しており、これを砂利(または砕石)の層の上に流延すると、熔融した液状のプラスチツクは砂利(または砕石)に触れてそれらを接着すると同時に冷やされ軟化点以下に温度低下して硬化する。 この方法により岩石のような表面を有する丈夫な板材が得られる。 この板材の表面には砂利または砕石が全面にびっしり接着されており生物付着性が改善されている。 図1に断面を示したように、砂利または砕石の層に凹部を形成し、その上に鉄筋および/またはメタルラス(金網)を配置してプラスチツクで埋めることにより剛性および耐衝撃強度を向上させた板材を作ることが出来る。 上記の熔融したプラスチツクには同じ程度の温度に加熱された砂利または砕石を混練してレジンコンクリートにすることもできる。 レジンコンクリートはセメントのコンクリートとほぼ同じくらいの比重を有しており、魚礁材料として適している。 レジンコンクリートとは接着材としてセメントの代わりにプラスチツクを用いたコンクリートのことである。上記の砂利または砕石を加熱するには図4に示した簡単な装置を用いる。
【0006】廃プラスチツク容器および廃プラスチツク包装材は図2に示した装置により熔融する。 図2の装置は上下ふたつの部分に分かれており、上部は廃プラスチツク8を投入する鉄製ホツパー6であり、底部に電熱ヒーターを内蔵した格子7を有する。 格子7は電熱ヒーターにより150〜290℃に加熱されている。廃プラスチツクは熔融して格子を通り抜けて流れ落ち、下部の保温炉9に溜まる。鉄製の保温炉9にはシーズヒーター10が巻き付けられており150〜290℃に加熱される。 また保温炉9とシーズヒーター10は断熱材11で包まれ保温されている。家庭ゴミの廃プラスチツク容器は全て肉厚の薄い成型品であるため熔融し易く、図2に示した簡易な装置がプラスチツク熔融炉として使用できる。 また本発明の魚礁構造物は鉄筋で補強されているため、樹脂が多少過熱されて品質が劣化しても強度に影響を与えることはない。 図2のプラスチツク熔融装置において、下部の保温炉9は台車に載せて移動させることが出来るため、砂利(または砕石)の層の上に熔融プラスチツクを流延させるとが容易になった。 保温炉9には底部に開閉弁12が付いている。 この開閉弁は補助ヒーターを有しているため、熔融プラスチツクの温度が低下して粘度が高くなった時に開閉弁の作動が困難になることを防ぐことができる。
【0007】上記の廃プラスチツクは家庭ゴミを収集したものであるから食品の残留物が付着しており異物が混入している場合もある。 また容器のラベルも付着しており、金属製キヤップも混入してくると考えられるが、本発明の人工魚礁にリサイクルする場合は問題を生じない。 それ故、ゴミ処理の困難な家庭から出る廃プラスチツクをリサイクルする用途として人工魚礁は非常に適している。家庭から出される廃プラスチツクは平均して、大まかな割合いではあるが、重量比でポリオレフイン樹脂が7〜8部,ポリエステル樹脂が1〜2部,ポリスチレン樹脂が1〜2部の混合物であり、ABS樹脂に似たポリマー組成になると考えられる。 即ち、柔軟なポリオレフイン樹脂が多く混在しているので耐衝撃強度が大きく割れにくいプラスチツク素材である。そのため、鉄筋で補強された当該プラスチツク構造物は肉薄の構造でありながら、耐衝撃強度に優れている。 それ故、砂利(または砕石)の層の上に熔融プラスチツクを流延して板材を作る方法により一体成型の大型魚礁を製作できる。
【0008】このようにして金型または型枠を使用しないで、材料として廃プラスチツクと砂利および鉄筋を用いて大型の人工魚礁を作ることが出来るようになった。大型の人工魚礁を沈設すると魚を増やす効果があるのは単に魚の隠れる場所が多いという理由だけではなく、次のような効果によると考えられる。 海底には緩慢な潮の流れがあり、海水がゆっくりと移動している。 しかし、表層の海水に較べて海底の水温は低いから比重差のため海底近くの海水が海面に上昇してくることはない。 表層の海水は植物プランクトンの光合成に消費されて栄養分が少なくなっており、一方、海底近くの海水は太陽光が届かないため栄養分が多い。台形の形状を有する人工魚礁では側面が傾斜しているため、海底を流れる潮流が魚礁の斜面に当たると上昇流となり、海底の栄養分に富む海水が海面近くに湧き上がってプランクトンの繁殖を盛んにする効果がある。 それ故、大型魚礁はプランクトン繁殖に始まる海の食物連鎖を活発にして魚を増やす効果がある。上記の該プラスチツクの中に鉄筋を配置する理由は、該魚礁構造物を輸送し海へ投入する際のシヨックに耐える耐衝撃強度を該魚礁構造物に持たせるためである。 ひとたび海底に設置された人工魚礁は強い外力や衝撃を受けることはなく該魚礁構造物は鉄筋を必要としない。 それ故、海中において鉄筋が腐食しても該プラスチツク構造物はそのまま形状を保持することができる。 この人工魚礁は海だけでなく湖沼に設置してもよく淡水魚の増殖にも利用できる。次に、一体成型の方法により耐衝撃強度に優れた廃プラスチツク製の大型人工魚礁を作る本発明の実施法について説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】タテ,ヨコおよび高さがそれぞれ5〜10メートルに達する大きな人工魚礁を金型または型枠を使用することなく一体成型するには実際には次のような製作手順をとる。 図1に示した断面の板材を三枚作製する。 その際、図4に示すように鉄筋の端を砂利(または砕石)の層の側面から突き出して置く。 このようにして鉄筋の端が露出した該板材を3枚用意する。 鉄筋を曲げ、熔接して図5に示した形状に組み立てる。この熔接した露出部分の鉄筋を図6に示した方法で再び熔融プラスチツクを流延して埋め込み、三脚を有する魚礁構造物を成型する。 その形状を図7および図8に示す。 二段階に分けて一体成型するが、熔融プラスチツクは強力な接着材であり接合部は完全に接着されて強度的に問題はない。 図7は上から見た平面図であり、図8は横から見た側面図である。三脚で支えられた魚礁は海底のいかなる地形にも安定して設置できる。 又、この形状の魚礁は開口部が大きく取れ、魚が自由に出入りできる。 この魚礁の外観は天然の岩と似ており周囲の海底環境と違和感が少ないので、海洋レジヤーとして人気のあるダイビングポイントの集魚施設としても適している。 この魚礁を海に投入する時には三本の脚が下方へ向いた姿勢で海底に着地できるように頂点部分に浮力材をロープで結びつけて落下傘のように海中を降下させる。 浮力材としては発泡スチレン樹脂のブロツクを使い古した魚網に包んで使用してもよい。 浮力材は魚礁が海底に設置された後ロープを切り離して回収する。次に実施例について本発明をさらに詳しく説明する。 本発明による人工魚礁の形状は実施例において示した形状以外にもいろいろな形状のものが製作できることは上記に説明した技術内容から明らかである。
【0010】
【実施例1】上記の熔融プラスチツクに砂利(または砕石)を混練して得られるレジンコンクリートを用いて、金型または型枠を使用しないで一体成型による大型人工魚礁を下記の方法により製作した。図3に示した装置により砂利(または砕石)を200〜300℃に加熱した。図3において、鉄製円筒13は水平軸に対して一定の傾斜角(θ=約10°)を有しており、矢印方向にゆっくり回転している。 上端の開口部から砂利または砕石15を鉄製円筒13に投入する。 下端の開口部より石油バーナー14の火炎を吹き込む。 このようにして下端の開口部より200〜300℃に加熱された砂利または砕石16を得た。 このようにして加熱した砂利または砕石16をコンクリートミキサーの中へ投入した。 コンクリートミキサーは通常のセメントコンクリートの混練に使用されるコンクリートミキサーでよい。次いで、図2に示した装置で得られる熔融プラスチツク3をコンクリートミキサーの中へ流し込むとともに混練してレジンコンクリートの流動性熔融物を得た。このレジンコンクリートを図4に示した方法で砂利の層2の凹部に流し込んだ。この方法で鉄筋4およびメタルラス5で補強された板材を三枚製作した。この板材の鉄筋(露出部分)を曲げて図5に示す形状に熔接して組みあげた。このようにして得られた三脚の構造物を図6に示した方法で再びレジンコンクリートを流し込み図7および図8に示した形状の人工魚礁を製作した。 この人工魚礁は鉄筋で補強されたレジンコンクリート製であるが、外側の表面はすべて砂利または砕石が接着されており、生物付着性が改善されている。 また、この人工魚礁は天然の岩石に近い比重を有している。
【0011】
【実施例2】図11に示した形状の人工魚礁を次に述べる方法で製作した。 図2の装置で得られる熔融プラスチツク3を砂利の層の上に流延して鉄筋とメタルラスで補強された板材を作製した。 砂利の層には図1に断面を示したように凹部を形成しておき、該凹部に鉄筋およびメタルラスを配置した後、熔融プラスチツクを流し込んで図4に示した要領で上記の板材を作製した。 この時、鉄筋は砂利の層の側面の両側に突き出して置く。 図9に示した方法で鉄筋を熔接して継ぎ合わせ更に大きな板材を形成した。 露出部分の鉄筋を図6に示した方法で熔融プラスチツクにより埋めて硬化させた後、更に鉄筋を継ぎ足し熔接して図10に示した構造物を得た。 この天井部分の露出鉄筋を図6の方法で熔融プラスチツクにより埋めて図11の人工魚礁を製作した。
【0012】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプラスチツク製人工魚礁では金型または型枠を使用しないで一体成型法により構造物を製作するため、頑丈な魚礁構造物を低コストで作ることが可能になった。 この魚礁構造物は鉄筋で補強されているため耐衝撃強度が大きく、破損しない大型プラスチツク魚礁が製作可能になった。一方、家庭から排出される廃プラスチツク容器は焼却することも埋め立て処分することも困難な廃棄物であるため、低コストのリサイクル方法が望まれている。本発明の人工魚礁は家庭から排出される廃プラスチツクを熔融して再利用するするため、ごみ処理問題の解決,環境保全,リサイクルによる資源活用,魚資源の再生等の観点から本発明の効果は非常に大きい。
【出願人】 【識別番号】596045410
【氏名又は名称】酒井 泰三郎
【識別番号】599010613
【氏名又は名称】酒井 礼子
【識別番号】599010624
【氏名又は名称】酒井 美和子
【識別番号】599010635
【氏名又は名称】酒井 マリア
【識別番号】599010646
【氏名又は名称】酒井 明子
【出願日】 平成11年5月20日(1999.5.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−232836(P2000−232836A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願平11−178823