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【発明の名称】 フリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠
【発明者】 【氏名】早坂 貴代史

【氏名】津久井 昭

【氏名】佐藤 公久

【要約】 【課題】フリーストール牛舎で通路に横臥するウシをストールに横臥するように矯正馴致するための矯正枠。

【解決手段】■.四方に備える4本の支柱2,3間に前枠5、後枠6、左右の側枠7を形成し、前枠5は解放され、後枠6は、ウシCを出し入れするために、中段に設けられた複数の着脱柵6aと、下段に設けられた跳ね上げ柵6bとを有し、左右の側枠間7に、牛体の腹部下側に掛渡す脱着式のべルト8を設けると共に、前部下方に着脱式の飲水器9を設け、各支柱2,3の下端部にはキャスター10を設けた。■.キャスター10の前側のものを、支柱2に対して上下移動可能にした。そして、フリーストール牛舎で通路に横臥するウシCをストール13に横臥するように矯正馴致する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 四方に備える4本の支柱間に前枠、後枠、左右の側枠を形成し、前枠は解放され、後枠は、ウシを出し入れするために、中段に設けられた複数の着脱柵と、下段に設けられた跳ね上げ柵とを有し、左右の側枠間に、牛体の腹部下側に掛渡す脱着式のべルトを設けると共に、一方の側枠の下方に着脱式の飲水器を設け、各支柱の下端部にはキャスターを設け、フリーストール牛舎で通路に横臥するウシをストールに横臥するよう矯正馴致することを特徴とするフリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠。
【請求項2】 上記キャスターの前側のものを、支柱に対して上下移動可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のフリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フリーストール牛舎で通路に横臥するウシをストールに横臥するように矯正馴致するためのフリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、規模拡大と省力化を目指して、乳牛のフリーストール飼養が増えている。フリーストールとは、ウシを舎内で放し飼いにして、採食の他、その中に設置されているストール(牛床べッド)で自由に横臥休息することができるようにした飼養法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、なかには、ス卜−ルに全く横臥せずに、ウシの移動,排泄場所である通路に横臥するウシもいる。このようなウシは、フリーストールを初めて体験する場合が多く、牛体や乳房が糞尿で汚れやすくて、衛生的な乳生産に支障をきたし、また、乳房炎の発症や乳房洗浄に時間がかかるなど、搾乳作業能率の低下をもたらしやすい。
【0004】また、通路の表面はコンクリートで硬く、糞尿で濡れていたりするので、横臥時間が低下したり、褥そう(床ずれ)発生や起臥動作時の肢蹄の故障などが考えられ、ウシの淘汰廃用の決め手になりやすい。このようなウシを、常時ストールに横臥させる有効な矯正方法や手段は、酪農現場では見当たらないのが現状である。
【0005】本発明は、ウシの横臥休息欲求を高めるために、一定時間ウシを給飼場で強制的に佇立させ(強制佇立期)、その後、一定時間、閉じこめられたストール内で横臥させること(ストール横臥期)により、ストールの快適性を学習させ、常時ストールで横臥させるように矯正するための枠体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明は、A.四方に備える4本の支柱間に前枠、後枠、左右の側枠を形成し、前枠は解放され、後枠は、ウシを出し入れするために、中段に設けられた複数の着脱柵と、下段に設けられた跳ね上げ柵とを有し、左右の側枠間に、牛体の腹部下側に掛渡す脱着式のべルトを設けると共に、一方の側枠の下方に着脱式の飲水器を設け、各支柱の下端部にはキャスターを設け、フリーストール牛舎で通路に横臥するウシをストールに横臥するよう矯正馴致することを特徴としている。
【0007】B.上記キャスターの前側のものを、支柱に対して上下移動可能に構成したことを特徴としている。
【0008】
【作用】上記の構成により本発明のフリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠は、以下の作用を行う。
【0009】■.上記A.の構成により、後枠の着脱柵を取り外し、跳ね上げ柵を跳ね上げると後枠は解放状態になり、ここからウシを枠内に追い込み、跳ね上げ柵及び着脱柵により後枠を閉じる。それから牛体の腹部下側を通したべルトを左右の側枠に掛渡すことにより、ウシを横臥できない状態で一定時間強制的に佇立させる。その間、ウシは前枠の解放空間から飼槽の飼料を自由に採食し、また、飲水器から飲水する。その後、矯正枠をキャスターによりストールに移動して、前側支柱のキャスター部分を短くして設置し、ウシを後枠から枠内に入れ、一定期間放置させて、ストールにおいて横臥することを学習させる。このようにして、フリーストール牛舎で通路に横臥するウシをストールに横臥するよう矯正馴致する。
【0010】■.上記B.の構成により、キャスターの前側支柱は上下移動できるので、矯正枠をストールに移動して設置するとき、キャスターの前側支柱を短くすることにより、ストールの段差に矯正枠を合わせて水平に安定よく保持し、ウシがストールにおいて横臥する学習を行わせることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。図1において、符号1は本発明に係る矯正枠で、この矯正枠1は、四方にウシCが余裕をもって入る程度の間隔に前支柱2,2、後支柱3,3の4本の支柱を立設し、それぞれの上端部を4本の連結柵4によりそれぞれ連結して枠体を形成している。そして、前支柱2,2間に前枠5、後支柱3,3間に後枠6、左右の前支柱2と後支柱3間に側枠7,7をそれぞれ形成している。
【0012】前枠5は、ウシCが飼料を採食したり、矯正枠1を後述するストールにはめ込んで設置できるように解放されている。後枠6は、中段に設けられた2本の着脱柵6aと、下段に設けられた跳ね上げ柵6bとを有しており、着脱柵6aと跳ね上げ柵6bを解放状態にしてウシCを矯正枠1内に導入してから着脱柵6aと跳ね上げ柵6bを閉鎖状態にする。左右の側枠7は、3本の連結柵7aを前支柱2と後支柱3に連結している。そして、左右の側枠7の連結柵7a,7a間には、牛体の腹部下側に掛渡す脱着式の横臥防止べルト8が、着脱可能に設けられている。一方の側枠7の前部下方に、着脱式のサスペンド型飲水器9を設けている。各支柱2,3の下端部にはキャスター10が設けられ、矯正枠1を任意の場所に移動可能にしている。
【0013】矯正枠1を図2に示すウシCの強制佇立期に使用するときは、牛体の腹部下側に横臥防止べルト8を掛渡して両端を左右の連結柵7a,7aに固着し、前枠5の前側にフリーストール休息場の給餌柵11を連結紐12により結び付けて使用する。また、キャスター10の前側のもの、即ち、前支柱2,2に取付けられているものは、上下調節機構10aにより支柱2に対して上下移動可能である。これは、図3に示すように、矯正枠1をストール13に設置するときに、ストール13が通路16より高台になっているために、そのまま設置すると不安定になったり、後方の通路16に枠上部が出て、他のウシCの通行に支障をきたしたりする可能性があるため、前側のキャスター10,10を短縮するのである。
【0014】次に、上記のように構成された本発明のフリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠の使用態様について説明する。
【0015】矯正枠1の使用手順は、まず図2の強制佇立期には、フリーストール休息場の給飼柵11に前枠5を連結紐12により取付け、矯正すべきウシCを、後枠6の着脱柵6aを外し、跳ね上げ柵6bを跳ね上げた解放状態にして枠内に導入し、ウシCの腹部下側に横臥防止べルト8を掛渡して両端を左右の連結柵7a,7aに固着する。この状態で、一定時間(6時間〜半日程度)放置する。その間、ウシCは自由に飼槽の飼料を採食することや飲水器9から飲水が可能であるが、横臥しようとしても横臥防止べルト8により横臥することができない。
【0016】その後、横臥防止べルト8及び飲水器9を取り外した矯正枠1をストール13上に移動してストール側枠15,15に沿わせ、前枠5を連結紐12によりストール前枠14に固定し、前枠5,5の前側のキャスター10,10を短くして段差のあるストール13に安定よく設置する。そして、ウシCを後枠6から前記同様に導入し、一定期間(半日程度)放置させて、ストール13に横臥することを学習させることにより、経常的にストール13で横臥させるようにする。
【0017】この矯正枠1を利用する前のウシCを、一定期間、給飼柵に頚をスタンチョン(首かせ)で保定して強制佇立期とし、その後、ウシCの鼻環をロープでストール前枠14に繋いでストール横臥期とすることを検討した。この方法で、フリーストール牛舎で飼養する通路16に横臥するウシ6頭について矯正したところ、5頭がストール13に横臥することができたが、次のような問題点が認められた。
【0018】即ち、■.強制佇立期は、採食ができても飲水ができず、十分な採食ができないためにこの間の乳生産量が低下する。■.強制佇立期は常時頚が保定されているために自由度が小さく、ストレスを受けやすい。■.強制佇立させるために、給飼柵に頚を保定するためのスタンチョン設備が必要であり、また、横臥欲求が高まればその場で横臥することも可能である。■.ストール横臥期にロープでストールに繋ぐと横臥しにくい。■.両期とも同じ休息場に飼養されている他のウシの攻撃をうけることがあり、給飼柵での採食やストールでの横臥行動の妨害をうける、などの問題点が生じることが判明した。
【0019】本発明の矯正枠1は、以上の各問題点を改善することができ、矯正に供したウシCは、他のウシの妨害を受けずに、ストレスや乳生産性の低下を最小限に抑えながら、ストール13に横臥することを学習できた。本発明の矯正枠1を用い、通路16で横臥するウシ3頭について矯正したところ、すべてがストール13に横臥するようになった。本発明の矯正枠1は、以上の用途のほか、ウシの治療や種付けなどの保定枠としての使用も可能である。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように本発明のフリーストール飼養牛の通路横臥矯正枠によれば、以下の効果を奏することができる。
【0021】■.四方に備える4本の支柱間に前枠、後枠、左右の側枠を形成し、前枠は解放され、後枠は、ウシを出し入れするために、中段に設けられた複数の着脱柵と、下段に設けられた跳ね上げ柵とを有し、左右の側枠間に、牛体の腹部下側に掛渡す脱着式のべルトを設けると共に、一方の側枠の前部下方に着脱式の飲水器を設け、各支柱の下端部にはキャスターを設けたので、矯正枠の後枠からウシを枠内に導入し、牛体の腹部下側に脱着式のべルトを掛渡して左右の側枠間に固定し、ほぼ一定期間の強制佇立期を設けることにより、フリーストール牛舎で通路に横臥するウシをストールに横臥するよう矯正馴致することができる。また、各支柱の下端部に設けたキャスターにより、矯正枠を任意の位置に容易に移動することができる。ウシの矯正中は、飼料の採取や飲水を自由に行うことができる。
【0022】■.キャスターの前側のものを、支柱に対して上下移動可能に構成したので、矯正枠をストールに移動して設置するとき、キャスターの前側のものを短くすることにより、ストールの段差に矯正枠を合わせて水平に安定よく保持することができ、ウシがストールにおいて横臥する学習を効率よく行わせることができる。また、矯正枠の後部が後方の通路にはみ出し、他のウシの通行に支障をきたすようなことがない。
【出願人】 【識別番号】591131833
【氏名又は名称】農林水産省草地試験場長
【出願日】 平成11年2月15日(1999.2.15)
【代理人】 【識別番号】100063565
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 信淳
【公開番号】 特開2000−232831(P2000−232831A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願平11−35359