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【発明の名称】 漁業用擬餌とその製造方法
【発明者】 【氏名】籠尾 信之

【要約】 【課題】鮪延縄漁に用いる擬餌であって、古紙で安価に大量生産でき、かつ海洋汚染を招かないものにする。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 難溶性の紙からなる魚形の外皮1と、古紙の溶解物を主成分とする水溶性の中味2とからなり、中味2の外側が外皮1で覆われていることを特徴とする漁業用擬餌。
【請求項2】 難溶性の紙で外皮1を中空袋状の魚形に形成し、この外皮1の中空内部に古紙の溶解物を充填することを特徴とする漁業用擬餌の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鮪や金目鯛など、とくに延縄漁に使用して好適な漁業用擬餌と、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】漁業関係者は、たとえば捕獲した鮪などの胃の内容物にプラスチックフィルム類を発見する機会が多い。このことは、海中に浮遊のプラスチックフィルム類にも魚が食い付くことを意味しており、かねてより漁業用の擬餌を大量生産する方途が望まれている。
【0003】その背景には、天然の鰺や鰯など本物の餌用小魚の資源が年毎に減少傾向にあり、高価なうえに量的不足を来していることが動機になっている。すなわち、釣遊び用のルアーなどとは異なり、例えば鮪延縄漁では、1日1回の操業分だけでも約3000尾の鰺、鯖、鰯、さんまなどの餌を付けるので、大量の餌の確保に追われているのが現実である。なお、ゴム製のイカ釣り用擬餌が一時期使用された実績がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、プラスチック製やゴム製などの擬餌は、これ自体の製造コストが高く付くうえに、海洋汚染の新たな問題を招来する。そのため、先のゴム製イカ釣り用擬餌も使用中止になっており、使い捨ての擬餌は未だ実用化されていない。かかる観点から、本発明の目的は、安価に大量生産が可能であり、かつ海洋汚染の問題もない漁業用擬餌とその製造方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】現在ではゴミの分別リサイクルが進み、古紙は安価に大量で求めることができる。その古紙なら水溶性を有する。そこで本発明者は、古紙を用いて餌の魚の形をつくり、これを擬餌とすることを狙ったものである。すなわち本発明に係る漁業用擬餌は、難溶性の紙からなる魚形の外皮1と、古紙の溶解物を主成分とする水溶性の中味2とからなり、中味2の外側が外皮1で覆われていることを特徴とする。これが製造に際しては、難溶性の紙で外皮1を中空袋状の魚形に形成し、この外皮1の中空内部に古紙の溶解物を充填して得ることができる。
【0006】
【作用】外皮1と中味2とは紙を材料としているので、これが海水に溶けても、海洋汚染の問題を生じない。その限りにおいて、ここでの紙とは本来的に植物繊維からなるものを想定している。中味2に古紙の溶解物を用いたのは、安価に量産するためである。その中味2は剥き出し状態で海中に漬けると容易に溶けるので、難溶性の外皮1で中味2の溶解を防いでいる。ここでの難溶性とは、鮪や金目鯛の延縄漁に供するため、海中において20〜25時間は溶解せずに原型を保持するものであればよく、おしめや生理用品などに用いられている材料を予想している。中味2が古紙の溶解物のみからなる場合は、形状の安定性に劣り、かつ重量が軽くなり過ぎることがあるので、必要に応じて砂や、他の凝固促進材、結合材などを混合することができる。
【0007】本発明の擬餌では、中味2で外皮1を立体的な魚の形状に保持しているが、その場合に外皮1を先につくり、その内部に中味2を後から充填してもよいし、逆に先に中味2を魚の形に形成して凝固させ、あとから中味2の外周に外皮1を被せた形態にしてもよい。
【0008】回収された古紙は、ドロドロの粘液状に溶解される。この古紙の溶解液は、安価で大量に入手できる。この古紙溶解液を用いて擬餌をつくる場合は、魚の形に形成した中空袋状の外皮1内に、これの一部に設けた通口より古紙溶解液を流し込んで充填したのち乾燥凝固化することができる。その場合、外皮1の内周面に外皮本体が容易に溶解しない内面加工をしておけば在庫管理が容易になる。予め古紙溶解液を乾燥させたのち、その古紙溶解液を外皮1の中空内部に詰め込むこともできる。
【0009】古紙溶解液を型に流し込んで魚の形に成形しながら型内で凝固乾燥させたのち、型から取り出した中味2の外周に外皮1を被せ付けることもできる。もちろん古紙溶解液を乾燥させたのち、その古紙溶解物を型に入れて魚形に成形し、その外周に外皮1を被せ付けてもよい。これらの場合は外皮1が中味2の形状保持機能を果たすことになる。
【0010】外皮1の外表面には、適宜着色を施す。中味2には外皮1を通じて魚を誘う匂いの誘引物質が混入されておれば、これが使用時に誘引物質が外皮1を通じて外部に発散し、獲物の魚を誘引できることになり、より一層好ましい。
【0011】
【発明の実施の態様】(実施例1)海水に溶け難い難溶性の紙で餌の小魚(例えば鰯)の形に立体裁断した外皮1をつくった。古紙の溶解液に砂と匂いの誘引物質とを混入して乾燥することにより、中味2となる古紙溶解物をつくった。魚の形をなす外皮1は、1箇所たとえば口の部分に通口を有する袋状に形成してあり、外皮1の中空内部に通口を介して古紙溶解物を詰め込み充填し、通口を接着剤で閉じて図1に示す鰯に似せた擬餌をつくった。なお、外皮1は外表面に魚体の模様を着色して印刷した2枚の紙を重ねて小魚の形に同時に打ち抜き、前記通口の部分を除く外周縁どうしを接着剤で接着した。
【0012】(実施例2)古紙の溶解液に、砂と匂いの誘引物質と凝固材とを混入し、この古紙溶解液を小魚の形に形成した型に流し込み、型内で乾燥固化させて中味2を成形した。次に中味2の外周に、外表面に着色を施した外皮1を接着剤で貼り付けて、図1に示す擬似餌をつくった。その他は実施例1と同様にした。
【0013】
【発明の効果】本発明の擬餌によれば、中味2が古紙の溶解物であるから、安価で大量に入手でき、全体として低コストで量産できる。外皮1は難溶性の紙からなるので、操業時間内に中味2が溶け出して型崩れをすることがなく、これら相まって餌が大量に消費される鮪などの延縄漁に用いて好適である。中味2に加えて外皮1も紙製であるから、海洋汚染を招くこともなく、使い捨てに適っている。
【出願人】 【識別番号】598010300
【氏名又は名称】株式会社カゴオ
【出願日】 平成11年2月12日(1999.2.12)
【代理人】 【識別番号】100077920
【弁理士】
【氏名又は名称】折寄 武士
【公開番号】 特開2000−228934(P2000−228934A)
【公開日】 平成12年8月22日(2000.8.22)
【出願番号】 特願平11−33811