| 【発明の名称】 |
漁業用組紐材 |
| 【発明者】 |
【氏名】林 良次
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| 【要約】 |
【課題】漁業用の網糸やロープ等の材料(ストランド)として使用される組紐材について、それから製造される網糸やロープ等の耐摩擦性を向上させると共に、製造工程を単純化することで生産コストを下げ、また、製造工程で起きる過失を回避して不良品の発生を防止する。
【解決手段】中空軸芯部に芯材を埋設させた組紐材であって、この組紐材をストランドとして複数本撚り合わせることで漁業用の網糸又は綱を形成するための組紐材2において、組紐材3を編組するための各ヤーン3の全てを、組紐材2をストランドとして網糸又は綱を形成するときの撚り方向とは逆方向の撚りを有するものとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中空軸芯部に芯材を埋設させた組紐材であって、この組紐材をストランドとして複数本撚り合わせることで漁業用の網糸又は綱を形成するための組紐材において、組紐材を編組するための各ヤーンの全てが、組紐材をストランドとして網糸又は綱を形成するときの撚り方向とは逆方向の撚りを有するものであることを特徴とする漁業用組紐材。 【請求項2】 組紐材が、全てが左(Z)撚りの各ヤーンにより編組されており、右(S)撚りの2子撚りによって無結節網を形成するためのストランドとなるものであることを特徴とする請求項1に記載の漁業用組紐材。 【請求項3】 左(Z)撚りにした各ヤーンが、右(S)撚りに下撚りした糸束を左(Z)撚りにしたものであることを特徴とする請求項2に記載の漁業用組紐材。 【請求項4】 左(Z)撚りにした各ヤーンが、組紐材を編組するときに右(S)方向に編まれるヤーンと、左(Z)方向に編まれるヤーンとで、撚りの回数を変えたものであることを特徴とする請求項2に記載の漁業用組紐材。 【請求項5】 組紐材の中空軸芯部に埋設させる芯材が、断面形状が偏平な一本の芯糸の長手方向に沿って、断面形状を扁平な多数の錘片を芯糸の周りに固着したような沈子索であることを特徴とする請求項1乃至4に記載の漁業用組紐材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、漁網用の網糸や漁業用のロープ等を形成するときにストランドとして使用される漁業用の組紐材に関する。 【0002】 【従来の技術】漁網や延縄用ロープ(幹縄)等においては、ポリエステルやナイロンのような軽量の合成繊維からなる網糸やロープを水中で使用する際に適した比重のものとするために、網糸やロープを構成するためのストランドとなる組紐に対して、その中空軸芯部に鉛のような比重の大きい金属の錘を埋設させるということが従来から行なわれており、そのように高比重の芯材が埋設された組紐材は、複数本がストランドとして撚り合わされることで漁業用の網糸やロープとされている。 【0003】上記のように漁網用の網糸や漁業用のロープ等で芯材入りのストランドとして使用される組紐材については、無撚の糸束をヤーンとして編組したものが一般的であるが、そのような無撚のヤーンによる芯材入りの組紐材では、それを材料(ストランド)として製造された網糸やロープの耐摩擦性が劣ることから、撚りを入れたヤーンにより編組した組紐材も網糸やロープの材料(ストランド)として従来から使用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような従来の漁業用組紐材について、無撚のヤーンを編組した芯材入りの組紐材では、既に述べたように、それを撚り合わせて形成した網糸やロープの耐摩擦性が劣るという問題がある一方、撚りを入れたヤーンにより編組した芯材入りの組紐材についても、以下に述べるような問題のあることが検討の結果判った。 【0005】すなわち、撚りを入れたヤーンを編組して組紐材とする場合、従来は、組紐を編組するときに右(S)方向に編まれるヤーンについては左(Z)撚りとし、左(Z)方向に編まれるヤーンについては右(S)撚りとすることで、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンが交互に組み合わされるようにして、右撚りと左撚りの撚りバランスを互いに打ち消し合う構造とすることで、組紐材としてバランスのとれた構造となるようにしていた。 【0006】なお、漁業用の網糸やロープを形成するための組紐材については、各ヤーンを1本ずつ交互に組み合わせる「普通目」と、各ヤーンを2本ずつ揃えて交互に組み合わせる「追打ち」が使用されているが、何れの型式の組紐材においても、従来は、右方向に編まれるヤーンについては左撚りとし、左方向に編まれるヤーンについては右撚りとしている。 【0007】しかしながら、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンを交互に組み合わせた従来の組紐材については、それ自体の撚りバランスはとれているものの、例えば、これを使用して無結節網を製造するために、2本の組紐材を右撚り(通常、無結節網は右撚り)として網糸としたときに、ストランドとして2子に右撚りされる各組紐材において、右撚りのヤーンには更に撚りが入り、左撚りのヤーンには右に撚りが入ることで撚りがやや弛んで浮き上がる状態となる。 【0008】そのため、2子撚りされた網糸においては、ストランドとなるそれぞれの組紐材における各ヤーンの撚りのバランスが崩れたものとなってしまい、その結果、網糸を構成する各組紐材の表面に不規則な凹凸が現れることで、網糸が擦られたときに摩耗しやすくなり、網糸としての耐摩擦性が若干低下することとなる。 【0009】さらには、そのような問題とは別に、漁業用の網糸やロープを製造する場合、その材料(ストランド)となる組紐材を形成するためのヤーンとして右撚りのものと左撚りのものが必要となることで、ヤーンの製造工程がそれだけ複雑なものとなって生産コストが上昇するだけでなく、各ヤーンから組紐材を製造する段階で、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンを取り違えて編組してしまうような過失が起きる虞があって、そのような過失による不良品の発生で生産上重大な支承を来すというような問題も生じる虞がある。 【0010】本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、漁業用の網糸やロープ等の材料(ストランド)として使用される組紐材について、それから製造される網糸やロープ等の耐摩擦性を向上させると共に、製造工程を単純化することで生産コストを下げ、また、製造工程で起きる過失を回避して不良品の発生を防止することを課題とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような課題を解決するために、中空軸芯部に芯材を埋設させた組紐材であって、この組紐材をストランドとして複数本撚り合わせることで漁業用の網糸又は綱を形成するための組紐材において、組紐材を編組するための各ヤーンの全てを、組紐材をストランドとして網糸又は綱を形成するときの撚り方向とは逆方向の撚りを有するものとすることを特徴とするものである。 【0012】なお、上記の組紐材における各ヤーンの撚りについては、無撚の糸束を同じ方向(片撚り)に撚ってヤーンとしたものだけではなく、下撚りした糸束同士を更に上撚りしてヤーンとしたようなものをも含むものであり、そのようなものでは上撚りの方向をヤーンの撚り方向としている。 【0013】上記のような組紐材によれば、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンを交互に組み合わせたような組紐材と比べて、組紐材自体としての撚りバランスという点では若干劣るかもしれないが、ストランドとなる組紐材同士を撚り合わせて網糸や綱としたときに、各組紐材における各ヤーンの撚りのバランスが崩れるようなことがなく、結果的には、各組紐材における各ヤーンの撚りのバランスが良好に保たれて、網糸や綱としたときの耐摩擦性を向上させることができる。 【0014】また、上記のような組紐材によれば、組紐材の構成要素となる各ヤーンを製造する工程で、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンをそれぞれ製造する必要がなく、一方向の撚りのヤーンだけを製造すれば良いことから、製造工程を単純化することができて生産コストを下げることができ、また、各ヤーンから組紐材を編組する工程で、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンを取り違えるような過失を完全に回避することができ、そのような取り違えによる不良品の発生を防止することができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の漁業用組紐材の実施形態を図面に基づいて説明する。 【0016】図1は、本発明の漁業用組紐材の使用形態の一例を示すものであって、図1(A)は、組紐材を2子撚りにした網糸による無結節網を示し、図1(B)は、無結節網の網糸を構成するためのストランドとなる組紐材(撚り合わされて網糸とされる2本の組紐材のうちの1本)を示すものである。 【0017】無結節網の網糸1は、2本のストランドを右(S)撚りにした2子撚りの網糸であって、無結節網としては従来から一般的な撚り構造のものであり、図示したものでは、網糸同士の交差部分が「貫通式」により互いに連結されているが、網糸同士の交差部分の連結構造については、「千鳥式」や「亀甲式」のような従来から一般的に知られた適宜の構造が可能である。 【0018】網糸1のストランドとなる組紐材2は、各ヤーン3により編組される組紐の中空軸芯部に芯材4が埋設されているものであって、芯材4を被覆している各ヤーン3の編み構造について、図示したものでは、各ヤーン3を2本ずつ揃えて交互に組み合わせる「追打ち」に編組されているが、各ヤーンを1本ずつ交互に組み合わせる「普通目」に編組することも可能である。 【0019】組紐材2の中空軸芯部に埋設されている芯材4は、網糸1を水中で使用する際に適した比重のものとするための沈子索であって、図示したものでは、合成繊維製の一本の芯糸5と、芯糸5の周りに固着される多数の錘片(鉛又は鉛合金)6とで構成されており、各錘片6は、その断面形状が扁平なものとなるように形成されている。 【0020】芯材4については、上記のような構造の沈子索に限られるものではなく、従来から芯材として知られた適宜の構造のものを使用することで実施することも可能であるが、芯材4として図示したような沈子索については、特に網糸に使用すると効果的なものであることから、その具体的な内容について以下に詳細に説明しておく。 【0021】芯糸5は、その断面が扁平な形状(例えば、厚さが0.2mmで幅が1.0mm)となるように形成されたポリプロピレン等の合成繊維からなる扁平モノフィラメント糸であり、所定の間隔で芯糸5に固着される複数の錘片6は、それぞれの扁平面が略同じ面となるように、芯糸5にかしめつけられている。 【0022】錘片6の扁平度については、特に一定の値に限定されるものではないが、断面が円形に近いようなものとの差異を明確にするために、錘片6の厚さtと幅wの関係を t/w≦2/3 としている。 【0023】なお、錘片6については、図示したものは、芯糸の長手方向に沿って延びるように一本の帯状体の錘を芯糸にかしめて固着し、この帯状体の錘を所定間隔で分割して各錘片6としたものであるが、帯状体の錘を複数の錘片6に完全に分割することなく、帯状体の錘の長手方向に沿って所定間隔でその表面に切断可能な打刻溝を施すことで、そのような錘を埋設した組紐材2が屈曲したときに帯状体の錘が打刻溝の部分で切断されて錘片6となるようにしても良い。 【0024】上記のような構造の沈子索によれば、合成樹脂の被膜したような沈子索と比べて、低容積で高比重化を達成することができ、組紐による沈子索の抱合性(抱着性)を良好なものとすることができると共に、屈曲性や柔軟性も充分に確保することができて、沈子索を埋設した組紐材同士を撚り合わせて編網した場合、網としての柔軟性を維持しながら、潮流による網地のふかれを少なく抑える優れた沈降性を得ることができる。 【0025】また、沈子索の錘片6が扁平なものであることにより、錘片6の断面形状が略円形である場合と比べて、沈子索を埋設した組紐材同士を2本撚り合わせて無結節網を編網するような場合に、網糸の最大径を小さくすることができるため、水中での網の流水抵抗をより少なくすることができて、潮流による網地のふかれを更に少なく抑えることができる。 【0026】また、沈子索の芯糸5が扁平なものであることにより、芯糸の断面形状が略円形である場合と比べて、錘(各錘片6を形成するための帯状体の錘)を芯糸にかしめつける際に、錘と芯糸がずれたりするようなことがなく、芯糸の長手方向において一様な状態に、芯糸に対して錘をかしめつけることができる。 【0027】また、沈子索の芯糸5が撚りのないものであることにより、長手方向で充分な屈曲性を与えるために錘を複数の錘片に分離したり、或いは、長手方向で屈曲性を与えるために錘に打刻された打刻溝が沈子索の屈曲により切断されたりしても、各錘片(分離された各錘片、或いは、打刻溝の部分で切断された錘の各部分)の間の部分で、芯糸の撚り増しや撚り戻りの起きることはなく、沈子索の長手方向で錘の扁平面を同一面に維持することができる。 【0028】その結果、沈子索を組紐に埋設する際に、(長手方向での各錘片の扁平面のバラツキによる不規則な凹凸で沈子索にできる突起部がガイドに擦れることで)沈子索を案内するガイドにより錘片が芯糸から剥離されるようなことがなく、また、沈子索を埋設した組紐の表面に不規則な凹凸が現れることもないため、沈子索を埋設した組紐材同士を撚り合わせて編網したときに、網糸の表面に長手方向で不規則な凹凸ができるようなこともない。 【0029】無結節網の網糸1にストランドとして使用される組紐材2について、図2(A),(B)は本発明の各実施形態を、また、図3(A)〜(C)は本発明に対する比較例(従来例)を、それぞれ芯材を覆う組紐の部分を拡大して示すものである。 【0030】図2(A)に示した実施形態(第1実施形態)の組紐材2では、ポリエステル等の合成繊維の多数のフィラメントの糸束からなる各ヤーン3が、右(S)方向に組まれるヤーンについても、また、左(Z)方向に組まれるヤーンについても、全て左(Z)撚りに撚られており、そのように全てが左(Z)撚りとなっている各ヤーンが(追打ちにより2本ずつ揃えて)交互に組み合わされるように編まれている。 【0031】また、図2(B)に示した実施形態(第2実施形態)の組紐材2では、各ヤーン3が、右(S)方向に組まれるヤーンも、左(Z)方向に組まれるヤーンも、全て右(S)撚りに下撚りした糸束同士を更に左(Z)撚りに上撚りしたものであって、そのように全てが左(Z)撚りに上撚りされた各ヤーンが(追打ちにより2本ずつ揃えて)交互に組み合わされるように編まれている。 【0032】一方、上記のような本発明の各実施形態に対して、図3(A)に示した組紐材2では、各ヤーン3が、右(S)方向に組まれるヤーンも、左(Z)方向に組まれるヤーンも、全て撚りのないヤーンであって、そのような無撚のヤーンが(追打ちにより2本ずつ揃えて)交互に組み合わされるように編まれている。 【0033】また、図3(B)に示した組紐材2では、各ヤーン3が、右(S)方向に組まれるヤーンは左(Z)撚りであり、左(Z)方向に組まれるヤーンは右(S)撚りであって、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンが(追打ちにより2本ずつ揃えて)交互に組み合わされるように編まれている。 【0034】また、図3(C)に示した組紐材2では、各ヤーン3が、右(S)方向に組まれるヤーンは、右(S)撚りに下撚りした糸束同士を更に左(Z)撚りに上撚りしたものであり、左(Z)方向に組まれるヤーンは、左(Z)撚りに下撚りした糸束同士を更に右(S)撚りに上撚りしたものであって、右撚りに上撚りされたヤーンと左撚りに上撚りされたヤーンが(追打ちにより2本ずつ揃えて)交互に組み合わされるように編まれている。 【0035】なお、図2および図3に示したものは、何れも、各ヤーン3を2本ずつ揃えて交互に組み合わせる追打ちに編組したものであるが、そのような追打ちによる組紐材だけでなく、図示していないが、各ヤーンを1本ずつ交互に組み合わせる普通目に編組した組紐材についても、追打ちの場合と同様に各ヤーンを上記のような状態で編組できることはいうまでもない。 【0036】上記のような各実施形態と各比較例の組紐材のそれぞれを(普通目と追打ちの両方で)何れも2子撚りの網糸としたそれぞれの試料について、耐摩耗性を以下のような摩耗試験により比較した。 【0037】 摩耗試験による比較 試験方法 引張強さ,伸び率 JIS L−1096準拠(引張速度20cm/min) 摩耗試験 JIS D−4604準拠 摩耗回数2000回 荷重500gf 試料 1.2子撚り網糸の直径 5.0mm (右撚り) 2.2子撚り網糸のピッチ 11山/75mm 3.ストランドの仕様 (1)組紐の仕様 ポリエステルマルチフィラメント 1000デニール×2×16打 (2)鉛芯 偏平糸入り鉛線 12.5g/m (3)組紐の目数 普通目のもの 11.4目/インチ 追打ち 5.7目/インチ【0038】上記のような網糸についての各試料(NO.1〜NO.10)におけるストランド(組紐材)の撚り方向と撚り回数は以下の表1の通りである。 【0039】表1に示したような撚り方向と撚り回数のストランド(組紐材)を2子撚りした網糸の各試料(NO.1〜NO.10)について摩耗試験を行なった結果については以下の表2の通りである。(但し、摩耗試験成績の各数値は、各々の試料で同一品種を各3回試験し、引張強さ、伸び率共にその平均値とした。) 【0040】 【表1】
【0041】 【表2】
【0042】上記の表2に示された摩耗試験成績による評価の基準については、摩耗後の引張強さの数値の高いものが優れているとし、引張強さが略同一のものは伸び率の高いものの方が優れているとし、引張強さ及び伸び率が略同一のものは保持率の高いものの方が優れているとした。 【0043】そのような評価基準によれば、表2の摩耗試験成績から見て、網糸のストランドである組紐材の各ヤーンが無撚のもの(NO.1,NO.2) は、摩耗後の引張強さにおいて、網糸のストランドである組紐材の各ヤーンに撚りが入っているその他のもの(NO.3 以降の全ての試料)と比較して劣っているものと判断できる。 【0044】また、片撚りを入れたもの(下撚りを入れることなくフィラメントの糸束を全て同じ方向に撚ったもの)の試料同士を比較して見ると、NO.3とNO.5の比較(普通目同士の比較)では、NO.5の方が摩耗後の引張強さにおいて優れており、また、NO.4とNO.6の比較(追打ち同士の比較)では、NO.6の方が摩耗後の引張強さにおいて優れている。 【0045】また、下撚りと上撚りを入れたものの試料同士を比較して見ると、NO.7とNO.9の比較(普通目同士の比較)では、NO.9の方が摩耗後の引張強さにおいて優れており、また、NO.8とNO.10 の比較(追打ち同士の比較)では、NO.10 の方が摩耗後の引張強さにおいて優れている。 【0046】以上のようなことから、本発明の組紐材同士を2子撚りした網糸については、単に無撚のヤーンを編組した組紐材同士を2子撚りした網糸と比べて摩耗後の引張強さ(耐摩耗性)が優れているというだけではなく、右方向に組まれるヤーンを左撚り(或いは右撚りに下撚りしてから左撚りに上撚り)とし、左方向に組まれるヤーンを右撚り(或いは左撚りに下撚りしてから右撚りに上撚り)とした組紐材同士を2子撚りしたような従来の網糸と比べても、摩耗後の引張強さ(耐摩耗性)において優れていることが判る。 【0047】ところで、上記のような摩耗試験は、組紐材を2子撚りした網糸同士について比較したものであるが、更に、組紐材自体と、該組紐材を2子撚りして網糸としたものとの耐摩耗性の比較について、同様の摩耗試験を行なった。 【0048】組紐材自体についての各試料(NO.11 〜NO.14)におけるストランドの撚り方向と撚り回数、および、該組紐材を2子撚りして網糸としたものも各試料(NO.15〜NO.18)については以下の表3の通りである。 【0049】表3に示したような組紐材自体の各試料(NO.11 〜NO.14)と2子撚りした網糸の各試料(NO.15 〜NO.18)について摩耗試験を行なった結果については以下の表4の通りである。(なお、この摩耗試験では、試験方法,網糸の各仕様,および評価基準等について、試験方法で摩耗回数を5000回としている点を除けば、既に述べた網糸の摩耗試験の場合と同様なものである。) 【0050】 【表3】
【0051】 【表4】
【0052】表4の摩耗試験成績から見ると、組紐材自体については、各試料(NO.11 〜NO.14)の間で摩耗後の引張強さに大きな差異は認められないが、それらの組紐材を2子撚りした網糸の各試料(NO.15 〜NO.18)では、明確な差異が認められ、NO.15 とNO.17 の比較(普通目同士の比較)では、NO.17 (全て左撚りのヤーンからなる組紐材同士を右撚りに2子撚りした網糸)の方がNO.17 (右撚りのヤーンと左撚りのヤーンからなる組紐材同士を右撚りに2子撚りした網糸)よりも摩耗後の引張強さにおいて優れている。 【0053】また、NO.16 とNO.18 の比較(追打ち同士の比較)でも、NO.18 (全て左撚りのヤーンからなる組紐材同士を右撚りに2子撚りした網糸)の方がNO.16 (右撚りのヤーンと左撚りのヤーンからなる組紐材同士を右撚りに2子撚りした網糸)よりも摩耗後の引張強さにおいて優れている。 【0054】以上のことから、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンを交互に組み合わせたような組紐材同士を2子撚りしたような従来の網糸と比べて、本発明の組紐材同士を2子撚りした網糸の方が耐摩耗性において優れているという理由は、以下のようなことと考えられる。 【0055】すなわち、組紐材だけで考えると、右(S)方向に組まれるヤーンを左(Z)撚りとし、左(Z)方向に組まれるヤーンを右(S)撚りとして、右撚りのヤーンと左撚りのヤーンを交互に組み合わせたような従来の組紐材は、組紐材自体としては撚りのバランスがとれた構造となっている。 【0056】しかしながら、そのような組紐材同士を更に右撚りの2子撚りとして網糸とした場合、右撚りのヤーンには更に撚りが入るのに対して、左撚りのヤーンでは撚りが弛んで浮き上がる状態となることから、網糸のストランドとしては撚りバランスが崩れてしまい、その結果、網糸の表面(各組紐材の表面)に不規則な凹凸が生じることで、網糸の耐摩擦性が低下することとなる。 【0057】これに対して、全て左撚りのヤーンからなる組紐材同士を右撚りに2子撚りした網糸では、組紐材自体としての撚りバランスという点では従来のものと比べて若干劣るかもしれないが、組紐材同士を撚り合わせて網糸としても、網糸のストランドとして撚りバランスが崩れるようなことがなく、結果的には、網糸全体の撚りバランスが良好に保たれて、網糸としての耐摩擦性が優れたものとなっていると考えられる。 【0058】以上、本発明の漁業用組紐材の各実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限られるものではなく、適宜設計変更可能なものであることはいうまでもない。 【0059】すなわち、例えば、2子撚りの無結節網では通常は網糸のストランドを右(S)撚りとしていることから、上記の実施形態では、組紐材の全てのヤーンを左(Z)撚りとして、組紐材同士を右(S)撚りとしているが、ストランド(組紐材)同士が左(Z)撚りとされる場合には、組紐材の各ヤーンを全て右(S)撚りとして実施することとなる。 【0060】また、上記の実施形態に示したような2子撚りの無結節網の網糸に限らず、有結節網の網糸や漁業用のロープ(網の下棚やその他のロープ)に対しても適用可能なものであり、組紐材同士の撚り合わせについても、2子撚りに限らず3子撚りなどとして実施することも可能である。 【0061】また、既に述べたように、組紐材の中空軸芯部に埋設される芯材についても、上記の実施形態に示したような構造の沈子索に限らず、その他の構造の沈子索や、沈子索以外の芯材(各種高強力繊維の芯材等)を使用することで実施することも可能であり、例えば、ポリエチレンの発泡糸等を芯材としたり、或いは、図1(B)に示したような構造において錘片6の代わりに発泡ポリエチレン又は発泡スチロール等の浮体を設けたりしたものをストランドとして、そのようなストランドを2子撚り又は3子撚りとすることで、浮きの機能を有する上棚若しくは浮きロープとして実施することも可能である。 【0062】また、組紐材を編組するときに右方向に組まれるヤーンと左方向に組まれるヤーンとで、同じ撚り方向でもその撚りの回数(撚りの強さ)を変えるようにすることで、組紐材同士を撚り合わせた網糸や綱の撚りバランスを更に向上させるようにすることも可能である。 【0063】 【発明の効果】以上説明したような本発明の漁業用組紐材によれば、それから製造される網糸やロープ等の撚りバランスを良好なものとして耐摩擦性を向上させることができると共に、材料の点数を減らして製造工程を単純化することで生産コストを下げることができ、また、製造工程での材料の取り違えにより起きる過失を回避して不良品の発生を防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598065056 【氏名又は名称】林 良次
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| 【出願日】 |
平成11年2月10日(1999.2.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100996 【弁理士】 【氏名又は名称】山口 允彦
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| 【公開番号】 |
特開2000−228931(P2000−228931A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月22日(2000.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−32087 |
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