| 【発明の名称】 |
体細胞クローン動物の作製法 |
| 【発明者】 |
【氏名】河野 友宏
【氏名】下澤 律浩
【氏名】權 五龍
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】細胞周期を分裂中期に同調した細胞の核を用い、未受精卵ついで受精卵に核移植する連続核移植法による体細胞クローン動物の作製方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 細胞周期を分裂中期に同調した体細胞の核を除核した未受精卵の細胞質に導入することを特徴とする体細胞クローン動物の作製法。 【請求項2】 体細胞の核を除核した未受精卵の細胞質に導入した後、これを活性化処理し、核を形成させ、この核を除核した受精卵に導入することを特徴とする体細胞クローン動物の作製法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝的に全く同一の動物集団(クローン動物)の作製法に関する。本発明の体細胞クローンの作製方法は、モデル動物などの有用動物の生産・維持に有用である。 【0002】 【従来の技術】モデル動物を含む有用動物の増殖は、交配、人工授精、体外受精により雌雄生殖細胞である精子および卵子の受精を介して達成される。また、マウスでは、相同組換えを利用して遺伝子を導入できる胚性幹細胞(ES cells)を用いれば、生殖キメラ個体を介して次世代で目的の遺伝子が導入された遺伝子組換えマウスの作出が可能である。しかし、作出に多大な労力を要するばかりでなく、多様な形質転換動物の中には繁殖能力に著しい傷害を持つものも少なくない。培養細胞や胎仔・成体細胞から直接産子を生産する効率的な体細胞クローン技術が開発されれば、モデル動物を含む有用動物の生産・維持に画期的な技術となる。これまでに、ウシ・ヒツジ・マウスで体細胞クローンが生産されている。これらの技術では、いずれの場合にも個体複製するための細胞は、血清飢餓培養等の手法により、その細胞周期が休止期(G0期)に同調されたものが使用される。また、核移植は、未受精卵への一回の移植により再構築卵が作製されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述のように、一部の培養細胞、体細胞から未受精卵への核移植によりクローン個体を作出する事は可能であるが、再現性に問題を持ち、成功例はこれまでいずれの報告も著しく低い。さらに、現在のところクローン動物の生産が可能な細胞も限られている。本発明は、この様な問題を解決することを目的とするものであり、具体的には、培養細胞、成体体細胞等から核移植技術により効率的に産子を生産する手段を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題を解決するため、鋭意検討を加えた結果、ドナー核の細胞周期を分裂中期に同調すること、及び未受精卵へ核移植し活性化処置して発生させたのち、1細胞期で再び除核受精卵に核移植することにより、効率的に産子を生産できることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の第一は、細胞周期を分裂中期に同調した体細胞の核を除核した未受精卵の細胞質に導入することを特徴とする体細胞クローン動物の作製法である。また、本発明の第二は、体細胞の核を除核した未受精卵の細胞質に導入した後、これを活性化処理し、核を形成させ、この核を除核した受精卵に導入することを特徴とする体細胞クローン動物の作製法である。 【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の体細胞クローン動物の作製方法は以下のようにして行う。まず、成体あるいは胎児より体細胞を単離する。この体細胞を培養し増殖させてから凍結保存を行った後、融解培養し細胞周期を分裂中期に同調させ、除核した未受精卵の細胞質中に導入する。これを活性化処理し核を形成させ、この核を除核した受精卵の細胞質に導入する。この構築卵を体外で移植可能胚に発生させた後、仮親の子宮内に移植することで体細胞由来のクローン動物を作製することができる。 【0006】採取する体細胞は、ヒト以外の動物由来のものであればどのようなものでもよい。また、正常個体に由来するものであっても疾患個体に由来するものであってもよい。体細胞は、肉眼あるいは顕微鏡下にて鋏、ピンセット等を用いて細切し酵素等の処理により単離し、遠心して回収する。細胞は牛胎児血清入培養液などで培養増殖させた後、DMSOを含む培地などに浮遊させ、液体窒素中で凍結保存を行う。核移植に用いる体細胞は融解培養後、細胞周期の同調試薬により、分裂中期で停止させることができる。分裂中期での同調試薬としては、Nocodazole等を用いることができる。分裂中期にある細胞の培養面への付着は弱いため、ピペッティング操作あるいは培養器を振ることで回収できる。 【0007】一回目の核移植において、体細胞を成熟した除核未受精卵に導入する。この導入にはセンダイウィルス、電気刺激による細胞融合法や細胞質内注入法を用いることができる。続いて、活性化処理を行い核を形成させる。この活性化処理法には、ストロンチウム、エタノール、電気刺激、等が挙げられる。この核を二回目の核移植のドナーとして除核受精卵に導入する。この導入にも先に記した方法を用いることができる。以上のようにして作製された体細胞由来構築卵は培養後、移植可能胚へ発生したものを仮親の子宮内に移植することで、体細胞由来のクローン動物へ発生することができる。 【0008】 【実施例】妊娠15.5日目のマウス胎仔を雄、雌に区別してから、脳、内臓、生殖細胞を取り除いた。これをPBS(-)中で細かく切り刻み、遠心後、PBS(-)を吸引除去してから0.05%trypsin-EDTAを加え、三角コルベンの中で15分間撹拌して細胞を単離した。遠心して細胞を集め、10%FBS加DMEM培養液が入ったφ10cmディッシュに2×106cellずつ播種し、インキュベーター(5%CO2、5%O2、90%N2、37℃)中で培養した。翌日培養液を交換し、翌々日に初代マウス胎児線維芽細胞が完成した。コンフルエントになった初代マウス線維芽細胞はtrypsin-EDTA処理してディッシュからはがし、凍結保存液(70%DMEM、10%DMSO、20%FBS)に浮遊させ液体窒素中で凍結保存した。 【0009】凍結保存したマウス線維芽細胞を融解してφ35mmディッシュに5×105cell播種し、1回継代した。継代後14〜18時間目に培養液の半量を除き、最終濃度(0.5μg/ml)の倍濃度のnocodazoleを含む培養液を同量加え細胞を分裂中期に同調させた。培養2時間後、軽くピペッティングしてから培養液を回収し、1000rpmで3分間遠心して分裂中期に同調した細胞を集めた。これを核移植のドナー核として用いた。これらの回収した細胞のうち、核が分裂中期に同調していているものは形態によっても区別できた。 【0010】第1回目の核移植にはB6CBF1雌マウスからhCG投与後14時間目に採取した第二減数分裂中期の未受精卵の除核したものをレシピエント細胞質に、分裂中期に同調したマウス胎児線維芽細胞をドナー核に用いた。核移植操作は CytochalasinB (5μg/ml)とnocodazole(0.5μg/ml)を添加した卵子操作液中で行った。これらの融合は不活化したセンダイウイルスを用いて行ったが、その融合率はおよそ79%であった。融合が完了した後、1〜2時間培養液中で培養した後、10mMストロンチウムを含む培養液中で4時間培養して卵子を活性化させた。93%が第2極体の放出と1つの前核を形成し正常に活性化し、発生を開始した。 【0011】第2回目の核移植では、活性化処理後8〜9時間目の構築卵と媒精後8〜9時間目の受精卵(F1×F1)との間で前核置換した。構築した卵子はCZB培養液の微小滴中で4日間体外培養を行った。体外培養4日目に桑実胚あるいは胚盤胞に発生した卵子は擬妊娠3日目の受胚マウスの子宮へ移植した。体外培養による発生状況と着床後の発生状況は表1に示した。なお対照として、第1回目の核移植のみ行った実験の結果も併せて示す。 【0012】 【表1】
【0013】表1に示したように着床前の発生では両方法間に大差は見られなかった。しかし、作出された胚盤胞の形態を比較すると、連続核移植区の方が良好な形態を示していた(図1)。着床後の発生は、連続核移植では移植された胚の1割の確率で新生仔が生まれたが、1回のみの核移植では胎齢9.5日の胎仔が1例見られたのみであった。 【0014】 【発明の効果】本発明は、体細胞クローン動物の新規な作製方法を提供する。この方法は、細胞周期の休止期あるいは間期での同調および一回のみの核移植方法に比べ、産仔への発生率が高く、遺伝子操作された細胞および繁殖能の低い動物からの効率的な個体生産が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390016470 【氏名又は名称】財団法人実験動物中央研究所
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| 【出願日】 |
平成11年2月10日(1999.2.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091096 【弁理士】 【氏名又は名称】平木 祐輔 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−228929(P2000−228929A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月22日(2000.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−32772 |
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