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【発明の名称】 釣り用品
【発明者】 【氏名】西村 泰

【要約】 【課題】釣り用品に光触媒層を形成しても有機塗料層や有機基材の劣化を抑える。

【解決手段】両軸受リール10は、釣りに使用されるリールであって、リール本体1やカウンターケース8の合成樹脂製の基材部20上に、有機塗料層22と、無機塗料層23と、光触媒層24とを備えている。有機塗料層22は、基材部20の外周面に有機塗料を塗布することにより形成された層である。無機塗料層23は、有機塗料層上に形成された層である。光触媒層24は、無機塗料層上に光触媒粒24aをバインダ24b中に含む塗料を塗布することにより形成された層である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣りに使用される用品であって、本体部と、前記本体部の周面の少なくとも一部に形成された有機塗料層と、前記有機塗料層上に形成された無機塗料層と、前記無機塗料層上に形成された光触媒層と、を備えた釣り用品。
【請求項2】釣りに使用される用品であって、有機基材製の本体部と、前記本体部上の少なくとも一部に形成された無機塗料層と、前記無機塗料層上に形成された光触媒層と、を備えた釣り用品。
【請求項3】前記無機塗料層は、金属アルコキシド系及びオルガノシロキサン系等の無機バインダのいずれか一つを少なくとも含む無機塗料を塗布して形成されている、請求項1又は2に記載の釣り用品。
【請求項4】釣りに使用される用品であって、本体部と、前記本体部の周面の少なくとも一部に形成された有機塗料層と、前記有機塗料層上に形成されフッ素樹脂及びシリコン樹脂製のバインダの少なくともいずれかひとつを含む光触媒塗料層と、を備えた釣り用品。
【請求項5】釣りに使用される用品であって、有機基材製の本体部と、前記本体部上に形成されフッ素樹脂及びシリコン樹脂製のバインダの少なくともいずれかひとつを含む光触媒塗料層と、を備えた釣り用品。
【請求項6】釣りに使用される用品であって、本体部と、前記本体部の周面の少なくとも一部に形成された有機塗料層と、前記有機塗料層上に形成され少なくとも紫外線吸収剤が混入されたバインダを含む光触媒塗料層と、を備えた釣り用品。
【請求項7】釣りに使用される用品であって、有機基材製の本体部と、前記本体部上に形成され少なくとも紫外線吸収剤が混入されたバインダを含む光触媒塗料層と、を備えた釣り用品。
【請求項8】前記釣り用品は釣り用リールであり、前記本体部はリール本体である、請求項1から7のいずれかに記載の釣り用品。
【請求項9】前記釣り用品は釣り竿であり、前記本体部は先細り筒状の竿本体である、請求項1から7のいずれかに記載の釣り用品。
【請求項10】前記釣り用品はクーラボックスであり、前記本体部は内部に空間を有する容器部と前記容器部を開閉自在に閉止する蓋部とを有している、請求項1から7のいずれかに記載の釣り用品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣り用品、特に釣りに使用されて表面に有機物が付着しやすい釣り用品に関する。
【0002】
【従来の技術】屋外で使用される釣り竿や釣り用リールやクーラーボックス等の釣り用品は、釣り餌等の有機物からなる異物が付着して汚染されやすい。釣り用品が汚染されたまま乾燥すると、異物から異臭を発生することがある。たとえば、こませかごにしばしば充填されるオキアミやそれが入った液体が釣り用品に付着し乾燥すると、オキアミから異臭が発生する。このような異臭が発生したままの釣り用品を車に積み込むと、車内に臭いが移り臭くなる。そこで、通常は釣りを行った後に真水や海水で釣り用品を洗浄することがしばしば行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、水で洗浄しただけでは異物を十分に除去できず、異臭が残ることがある。とくに、釣り用品の部品のつなぎ目等の凹んだ部分に異物が残ると、水洗だけでは異物を十分に除去できない。そこで、釣り用品の表面に光触媒を含有する光触媒層を形成することが考えられる。光触媒、たとえばアナターゼ型のチタニア(TiO2)は、一般に光励起状態で有機化合物が付着すると有機化合物中の炭素及び水素を還元作用及び酸化作用により奪って有機化合物を分解する機能がある。この分解機能による自浄作用により抗菌・脱臭・防汚が可能なため、汚染されやすい釣り用品に、たとえば光触媒を含有した塗料(以下、光触媒塗料という)を塗布して光触媒層を形成すれば、光を当てた上で水で洗浄しただけで釣り用品を清潔に保つことが可能である。
【0004】しかし、一般によく使用される色数が豊富なウレタン樹脂塗料やエポキシ樹脂塗料やアクリル樹脂塗料などの有機塗料を使用した有機塗料層上に光触媒塗料を上塗りすると、有機塗料層が光触媒の自浄作用により分解されて劣化し有機塗料層の寿命を縮めるおそれがある。また、合成樹脂等の有機基材上に塗布しても同様に有機基材を劣化させるおそれがある。本発明の課題は、釣り用品に光触媒層を形成しても有機塗料層や有機基材の劣化を抑えることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明1に係る釣り用品は、釣りに使用される用品であって、本体部と、有機塗料層と、無機塗料層と、光触媒層とを備えている。有機塗料層は、本体部の周面の少なくとも一部に形成された層である。無機塗料層は、有機塗料層上に形成された層である。光触媒層は、無機塗料層上に形成された層である。この釣り用品では、本体部上の少なくとも一部に有機塗料を塗布して有機塗料層を形成し、その有機塗料層の上に直接光触媒層を形成せずに無機塗料を塗布して無機塗料層を形成する。そしてこの無機塗料層の上に光触媒層を形成する。ここでは、有機塗料層の上に光触媒に侵されにくい無機塗料層を形成しているので、有機塗料層が光触媒層に直接接触しなくなり有機塗料層が保護される。このため、釣り用品に光触媒層を形成しても有機塗料層の劣化を抑えることができる。
【0006】発明2に係る釣り用品は、釣りに使用される用品であって、有機基材製の本体部と、無機塗料層と、光触媒層とを備えている。無機塗料層は、本体部上の少なくとも一部に形成された層である。光触媒層は、無機塗料層上に形成された層である。この釣り用品では、有機基材製の本体部上の少なくとも一部に直接光触媒層を形成せずに無機塗料を塗布して無機塗料層を形成する。そしてこの無機塗料層の上に光触媒層を形成する。ここでは、有機基材製の本体部の上に光触媒に侵されにくい無機塗料層を形成しているので、有機基材からなる本体部が光触媒層に直接接触しなくなり本体部が保護される。このため、釣り用品に光触媒層を形成しても有機基材からなる本体部の劣化を抑えることができる。
【0007】発明3に係る釣り用品は、発明1又は2に記載の用品において、無機塗料層は、金属アルコキシド系及びオルガノシロキサン系等の無機バインダのいずれか一つを少なくとも含む無機塗料を塗布して形成されている。発明4に係る釣り用品は、釣りに使用される用品であって、本体部と、有機塗料層と、光触媒塗料層とを備えている。有機塗料層は、本体部の周面の少なくとも一部に形成された層とである。光触媒塗料層は、有機塗料層上に形成されフッ素樹脂及びシリコン樹脂製のバインダの少なくともいずれかひとつを含む層である。
【0008】この釣り用品では、本体部の周面の少なくとも一部に有機塗料層が形成され、有機触媒層の上に光触媒塗料層が形成されている。この光触媒塗料層は、フッ素樹脂及びシリコン樹脂製のバインダの少なくともいずれかひとつを含むため、バインダが光触媒による分解作用を受けにくくなる。このため、光触媒塗料層が劣化しにくくなり、釣り用品に光触媒塗料層を形成しても有機塗料層の劣化を抑えることができる発明5に係る釣り用品は、釣りに使用される用品であって、有機基材製の本体部と、光触媒塗料層とを備えている。光触媒塗料層は、本体部上に形成されフッ素樹脂及びシリコン樹脂製のバインダの少なくともいずれかひとつを含む層である。
【0009】この釣り用品では、有機基材製の本体部の上に光触媒塗料層が形成されている。この光触媒塗料層は、フッ素樹脂及びシリコン樹脂製のバインダの少なくともいずれかひとつを含むため、バインダが光触媒による分解作用を受けにくくなる。このため、光触媒塗料層が劣化しにくくなり、釣り用品に光触媒塗料層を形成しても有機基材製の本体部の劣化を抑えることができる。発明6に係る釣り用品は、釣りに使用される用品であって、本体部と、有機塗料層と、光触媒塗料層とを備えている、有機塗料層は、本体部の周面の少なくとも一部に形成された層である。光触媒塗料層は、有機塗料層上に形成され少なくとも紫外線吸収剤が混入されたバインダを含む層である。
【0010】この釣り用品では、本体部の周面の少なくとも一部に有機塗料層が形成され、有機触媒層の上に光触媒塗料層が形成されている。この光触媒塗料層は、少なくとも紫外線吸収剤が混入されたバインダを含むため、バインダ中の紫外線吸収剤が紫外線を吸収して本体部に近い光触媒が活動しにくくなり有機塗料層が光触媒による分解作用を受けにくくなる。このため、釣り用品に光触媒塗料層を形成しても有機塗料層の劣化を抑えることができる。
【0011】発明7に係る釣り用品は、釣りに使用される用品であって、有機基材製の本体部と、光触媒層とを備えている、光触媒塗料層は、本体部上に形成され少なくとも紫外線吸収剤が混入されたバインダを含む層である。この釣り用品では、本体部の上に光触媒塗料層が形成されている。この光触媒塗料層は、少なくとも紫外線吸収剤が混入されたバインダを含むため、バインダ中の紫外線吸収剤が紫外線を吸収して本体部に近い光触媒が活動しにくくなり有機基材製の本体部が光触媒による分解作用を受けにくくなる。このため、釣り用品に光触媒塗料層を形成しても本体部の劣化を抑えることができる。
【0012】発明8に係る釣り用品は、発明1から7のいずれかに記載の用品において、釣り用品は釣り用リールであり、本体部はリール本体である。この場合には、リール本体に光触媒層又は光触媒塗料層を形成しても有機塗料層や有機基材製のリール本体が劣化しにくくなる。発明9に係る釣り用品は、発明1から7のいずれかに記載の用品において、釣り用品は釣り竿であり、本体部は先細り筒状の竿本体である。この場合には、竿本体に光触媒層又は光触媒塗料層を形成しても有機塗料層や有機基材製の竿本体が劣化しにくくなる。
【0013】発明10に係る釣り用品は、発明1から7のいずれかに記載の用品において、釣り用品はクーラボックスであり、本体部は内部に空間を有する容器部と容器部を開閉自在に閉止する蓋部とを有している。この場合には、クーラボックスの容器部や蓋部からなる本体部に光触媒層又は光触媒塗料層を形成しても有機塗料層や有機基材製の本体部が劣化しにくくなる。
【0014】
【発明の実施の形態】〔実施形態1〕図1において、本発明の一実施形態による両軸受リール10は、釣り竿に装着されるリール本体1と、リール本体の内部に回転自在に装着されたスプール2と、スプール2を回転させるためにリール本体1に設けられたハンドル3とを備えている。
【0015】リール本体1は、スプール2の軸方向に間隔を隔てて配置された1対の側板7a,7bと、両側板7a,7bを連結する複数の連結部材(図示せず)とが一体形成されたフレーム4と、側板7a,7bの側方を覆う1対の側カバー5a,5bとを有している。リール本体1の上部には、水深表示用のカウンターケース8が載置されている。カウンターケース8の上面には、液晶表示部9が臨んでいる。
【0016】リール本体1及びカウンターケース8は、それぞれ、たとえばガラス繊維で強化されたナイロン66等の合成樹脂成形品である。これらの断面は、図2に示すように、合成樹脂成形品からなる基材部20と、下地塗料層21と、仕上げ塗料層22と、無機塗料層23と、光触媒層24とをこの順で積層形成して構成されている。下地塗料層21は、基材部20上にアクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料などの有機塗料を塗布することにより形成されており、基材部20の色を隠すためにたとえば白色に色づけられている。仕上げ塗料層22は、下地塗料層21上にアクリル塗料、エポキシ塗料、ウレタン塗料などの有機塗料を塗布することにより形成されており、所望の色を色づけするために形成されている。無機塗料層23は、金属アルコキシド系及びオルガノシロキサン系等の無機バインダのいずれか一つを少なくとも含む無機塗料を塗布して形成されている。なお、無機塗料層23として、有機成分を有する有機バインダ中に前記の無機成分を傾斜的に分散させ、仕上げ塗料層22側に有機成分を多く存在させ光触媒層24側に無機成分を多く存在させた無機塗料を用いてもよい。無機塗料層23は、仕上げ塗料層22が光触媒層24の分解作用により劣化するのを防止するために設けられており、仕上げ塗料層22の色が透けて見えるように透明又は半透明になっている。
【0017】光触媒層24は、たとえばアナターゼ型のチタニア(TiO2)からなる光触媒粒24aを塗料のバインダ24b中に混入させた塗料を無機塗料層23上に塗布することにより形成されている。光触媒層24は、光触媒の作用により表面に付着した有機物を分解して除去する機能を有している。この光触媒層24も仕上げ塗料層22の色が見えるように透明又は半透明になっている。ここでは、有機塗料からなる仕上げ塗料層22と、光触媒層24との間に無機塗料層23を介在させたので、仕上げ塗料層22が無機塗料層23に保護されて光触媒の分解作用を受けにくくなり劣化しにくくなる。しかも、リール本体1やカウンターケース8に餌などの有機物の異物が付着しても太陽光や蛍光灯の光に含まれる紫外線により異物が分解しやすくなる。
【0018】〔実施形態2〕前記実施形態1では、仕上げ塗料層22と光触媒層24との間に無機塗料層23を介在させたが、図3に示すように、仕上げ塗料層22上に直接光触媒層24を塗布により形成してもよい。この場合、光触媒塗料をフッ素樹脂塗料やシリコン樹脂塗料等のバインダ24bがフッ素樹脂やシリコン樹脂で構成された塗料に光触媒粒24aを混入させた塗料とし、この塗料により光触媒層24を形成すればよい。このようなフッ素樹脂やシリコン樹脂は、光触媒により分解作用を受けにくいため、光触媒により仕上げ塗料層22が影響を受けにくい。なお、仕上げ塗料層22上に光触媒粒を混入しないシリコン樹脂塗料又はフッ素樹脂塗料を塗布しその上に光触媒粒を混入したシリコン樹脂塗料又はフッ素樹脂塗料を塗布して光触媒層24を形成してもよい。この場合には、光触媒と仕上げ塗料層22とが接触しにくくなるので、より仕上げ塗料層22が劣化しにくくなる。
【0019】〔実施形態3〕前記実施形態2では、シリコン樹脂又はフッ素樹脂塗料を用いたが、図4に示すように、紫外線吸収剤24cを有機塗料のバインダ24b中に混入することにより仕上げ塗料層22の劣化を防止できる。光触媒は、紫外線に反応して有機物を分解するため、紫外線を吸収する紫外線吸収剤を塗料の中に混入することで最表面に露出した光触媒は、その分解作用を発揮し、塗料内の光触媒が紫外線吸収剤によりその分解作用を低下させられ仕上げ塗料層22の劣化が進行しにくくなる。この紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系のものやベンゾフェノン系のものが好ましい。これらの物質を最表面に塗布される塗料に混入させることにより仕上げ塗料層22の劣化を防止できる。
【0020】〔実施形態4〕前記実施形態1では、両軸受リールに本発明を適用したが、スピニングリールにも本発明を適用できる。図5において、本発明の一実施形態によるスピニングリール30は、ハンドル31が回転自在に装着されたリール本体32と、リール本体32の前部に回転自在に装着されたロータ33と、ロータ33の前部でリール本体32に前後移動自在に装着されたスプール34とを備えている。ロータ33は、スプール34に釣り糸を案内するために設けられている。
【0021】リール本体32は、ロータ33及びスプール34を支持するためのリールボディ32aと、リールボディ32aから上方に延び先端がT字状に前後に延びる竿取付脚32bとを有している。リール本体32及びロータ33は、ガラス繊維で強化されたナイロン66などの合成樹脂成形品である。これらの断面は、図2から図4のいずれかに示すような構造である。このような構成のスピニングリールにおいても、リール本体32やロータ33に有機物が付着してもそれが分解されて異臭などがしにくくなる。また、仕上げ塗料層22を有機塗料により形成しても仕上げ塗料層22が劣化しにくくなる。
【0022】〔実施形態5〕釣り用品は、釣り用リールに限定されず釣り竿にも本発明を適用できる。図6において、本発明の一実施形態による釣り竿40は、中通し竿であり、振り出し形式で連結された3つの竿体42〜44を有している。竿体42は元竿でありグリップ41を有している。竿体43は中間竿、竿体44は穂先竿であり、それぞれ竿体42,竿体43の先端部に伸縮自在に連結されている。各竿体42〜44の内部には釣り糸経路が形成されている。
【0023】竿体42のグリップ部41の近傍には、釣り糸を巻き取るためのリール45が装着されている。竿体42の先端部分には釣り糸を竿体内部に導入するための糸導入口46が形成されている。竿体44の先端には、トップガイド48が装着されている。リール45から繰り出された釣り糸は、糸導入口46から竿体42〜44の内部に導入され、トップガイド48から外部に引き出される。各竿体42〜44は、それぞれ炭素繊維強化樹脂製のプリプレグを先細りのマンドレルに多数層巻回し、得られた先細り筒状の基材部20に図2〜図4に示すように、下地塗料層21〜光触媒層24を形成したものである。
【0024】このような構成の竿体42〜44に有機物が付着してもそれが分解されて異臭などがしにくくなる。また、仕上げ塗料層22を有機塗料により形成しても仕上げ塗料層22が劣化しにくくなる。
〔実施形態6〕前記実施形態では、仕上げ塗料層22上に光触媒層24を形成したが、仕上げ塗料層22を形成せずに、合成樹脂等の有機基材部20上に光触媒層24を直接形成してもよい。
【0025】図7において、本発明の一実施形態による釣り用の両面開き式のクーラーボックス51は、箱形の容体部52と、容体部52の上部に設けられた蓋部53と、蓋部53を容体部52に両側のいずれからも開閉可能かつ着脱可能なように蓋部装着機構54と、容体部52に回動可能に装着されたハンドル55と、容体部52に着脱自在に係止された肩掛けベルト56とを有している。ハンドル55は、ガラス繊維で強化されたナイロン66等の合成樹脂製のC字状に折れ曲がった棒状部材である。ハンドル55は、容体部52の左側面52bと右側面52dとに揺動自在に装着されており、容体部52の前面52aから背面52c方向に回動可能である。このハンドル55は、ユーザがクーラーボックス51を持ち運ぶ場合に把持する部分である。
【0026】容体部52は、内部に空間を有し魚等を保存するものである。容体部52は、断熱効果を必要とするので、表面壁となる1対のポリプロピレン樹脂製の部材の間に発泡ポリウレタン樹脂製断熱部材を内包する3重構造で構成されている。蓋部53は、表面壁となる1対のポリプロピレン樹脂製の部材の間に発泡ポリウレタン樹脂製断熱部材を内包する3重構造で構成されている。蓋部53には、魚を内部に入れるための小蓋61が設けられている。蓋部53の裏面には、容体部52の上側周面に接触するパッキンが装着されている。
【0027】このハンドル55、容体部52及び蓋部53の樹脂表面には、図8に示すように、合成樹脂製の基材部20上に無機塗料層23が形成されており、この無機塗料層23の上に光触媒層24が形成されている。基材部20は、劣化により変色しても目立ちにくいように黄色系の色に着色されている。このように有機物である合成樹脂製の基材部20に直接光触媒層24を形成せずに無機塗料層23を介して光触媒層24を形成することにより、有機物からなる基材部20の劣化を抑えることができる。
【0028】〔実施形態7〕前記実施形態6では、基材部20と光触媒層24との間に無機塗料層23を介在させたが、図9に示すように、基材部20上に直接光触媒層24を塗布により形成してもよい。この場合、光触媒塗料をフッ素樹脂塗料やシリコン樹脂塗料等のバインダ24bがフッ素樹脂やシリコン樹脂で構成された塗料に光触媒粒24aを混入させた塗料とし、この塗料により光触媒層24を形成すればよい。このようなフッ素樹脂やシリコン樹脂は、光触媒により分解作用を受けにくいため、光触媒により基材部20が影響を受けにくい。なお、基材部20上に光触媒粒を混入しないシリコン樹脂塗料又はフッ素樹脂塗料を塗布しその上に光触媒粒を混入したシリコン樹脂塗料又はフッ素樹脂塗料を塗布して光触媒層24を形成してもよい。この場合には、光触媒と基材部20とが接触しにくくなるので、より基材部20が劣化しにくくなる。
【0029】〔実施形態8〕前記実施形態7では、シリコン樹脂又はフッ素樹脂塗料を用いたが、図10に示すように、紫外線吸収剤24cを有機塗料のバインダ24b中に混入することにより基材部20の劣化を防止できる。光触媒は、紫外線に反応して有機物を分解するため、紫外線を吸収する紫外線吸収剤を塗料の中に混入することで最表面に露出した光触媒は、その分解作用を発揮し、塗料内の光触媒が紫外線吸収剤によりその分解作用を低下させられ基材部20の劣化が進行しにくくなる。この紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系のものやベンゾフェノン系のものが好ましい。これらの物質を最表面に塗布される塗料に混入させることにより基材部20の劣化を防止できる。
【0030】〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、光触媒塗料を塗布により光触媒層を形成したが、溶射等の他の形成手段で光触媒層を形成してもよい。
(b) 前記実施形態で光触媒の材料としてアナターゼ型のチタニア(TiO2)を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、酸化亜鉛や酸化タングステンや酸化バナジウムや酸化ジルコニウムなどの他の光触媒作用を有する材料を用いてもよい。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、有機塗料層又は有機基材の上に光触媒に侵されにくい無機塗料層を形成しているので、有機塗料層が光触媒層に直接接触しなくなり有機塗料層が保護される。このため、釣り用品に光触媒層を形成しても有機塗料層の劣化を抑えることができる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成11年2月4日(1999.2.4)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2000−224942(P2000−224942A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−26921