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【発明の名称】 魚釣用リ―ルの逆転防止装置
【発明者】 【氏名】高橋 賢助

【要約】 【課題】そのクラッチ手段のころがり部材に対する発条の効き度合いを均一に保つことができ確実な逆転防止機能を行える逆転防止装置を提供する。

【解決手段】リールボディ1とローター回転軸との間に介在させたクラッチ手段によって、該ローター回転軸の回転を選択的に規制し得るように構成された釣用リールの逆転防止装置であって、該クラッチ手段は、ローター回転軸に固定されたスリーブ22と、該スリーブの周囲に複数配置された転動ローラ23と、該ローラ保持部を有するリテーナ24と、前記スリーブの外周面との間で大径部分と小径部分とを有する楔状収容部25aを形成する外枠体25とよりなり、前記リテーナ24は、前記ローラ保持部の側壁を介して前記転動ローラを前記楔状収容部の小径部分に係合する方向に付勢されていることを特徴とする魚釣用リールの逆転防止装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リールボディとローター回転軸との間に介在させたクラッチ手段によって、該ローター回転軸の回転を選択的に規制し得るように構成された釣用リールの逆転防止装置であって、該クラッチ手段は、ローター回転軸に固定されたスリーブと、該スリーブの周囲に複数配置された転動ローラと、該ローラ保持部を有するリテーナと、前記スリーブの外周面との間で大径部分と小径部分とを有する楔状収容部を形成する外枠体とよりなり、前記リテーナは、前記ローラ保持部の側壁を介して前記転動ローラを前記楔状収容部の小径部分に係合する方向に付勢されていることを特徴とする魚釣用リールの逆転防止装置。
【請求項2】 前記転動ローラは、小径部分から離脱する方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リールの逆転防止装置。
【請求項3】 前記転動ローラへの付勢力は、前記リテーナへの付勢力よりも弱いことを特徴とする請求項2に記載の魚釣用リールの逆転防止装置。
【請求項4】 前記ローラ保持部は、長幅部と、短幅部とに区画され、前記長幅部は前記転動ローラを嵌合保持し、前記短幅部には前記転動ローラを楔状収容部の小径部から離脱する方向に付勢する弾圧体が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の魚釣用リールの逆転防止装置。
【請求項5】 前記弾圧体は、前記短幅部の側壁と一体に形成されており、前記短幅部から前記長幅部内に突出していることを特徴とする請求項4に記載の魚釣用リールの逆転防止装置。
【請求項6】 前記リテーナは、クラッチレバーが係止固定されており、該クラッチレバーと、前記リールボディとの間に介在されたスプリングによって付勢されていることを特徴とする請求項1〜5記載の魚釣用リールの逆転防止装置。
【請求項7】 前記リテーナと前記クラッチレバーとは、相互に凹凸部を有し、該凹凸部によって係止固定されており、前記リテーナに対する前記クラッチレバーの取り付け角度が変更可能に係止固定されていることを特徴とする請求項1〜6に記載の魚釣用リールの逆転防止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にスピニングリールにおけるローターの回転方向を規制制御するクラッチ手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、特開昭54−141285号公報に開示されているように、スピニングリールのローターの軸筒部に軸受部材の移動係止作用により一方向にのみに回転するベアリングを設けると共に、該ベアリングの前部に往復回動自在に設けた規制板に前記軸受部材のガイド溝孔内に突出する係止片を突設し、筐体には前記規制板を回動する作動杆を支承させるようにした釣用スピニングリールの逆転防止装置が知られている。
【0003】このスピニングリールの逆転防止装置によれば、作動杆を回動してカムの突起により規制板を回動し、係止片をガイド溝孔の端部に移行させたとき、軸筒部の正転方向の回転には軸受部材はガイド溝孔内で遊転状態になり、これにより軸筒部を回転させる。また、逆転方向には軸受部材が軸筒部の回転を阻止して、ローターの逆転を防止するというものである。
【0004】しかし、規制板に設けられた小さい係止片の移動により軸受部材を軸筒部に締め付け又は解放状態に切り替える方法を採用しているので、係止片と軸受部材との位置関係が安定しないことがあり、必ずしも満足いくものではない。そこで、特開平6−225673号公報等に開示されているような逆転防止装置が開発された。この装置は、ころがり部材を保持する環状保持体を別体に設けて、該ころがり部材の安定作動をさせるようにしたものであり、上述の欠点を克服したものとして有用である。
【0005】そして、この従来の逆転防止装置では、環状保持体の作動制御を行う切換レバー(回動操作部材)を環状保持体に一体もしくは一体的に設けている。また、環状保持体の各ガイド溝孔には、各ころがり部材を環状外枠とカラーとの間に対して食い込むよう、すなわち、楔作用を行うように付勢するための、発条が設けられている。この発条により逆転防止が迅速に作用することができる利点を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、後者の従来の逆転防止装置においては、楔作用を行う場合(ON状態)、各ころがり部材を個々の発条を介して積極的に動かす構造となっている。従って、長く使用している間に各発条の弾発力にそれぞれ散らばりが出てきて、逆転防止の際、各ころがり部材に対する各発条の効き方が異なってくる。すなわち、逆転防止装置全体として見た場合、周方向で効き方が不均一となり逆転防止の感度が必ずしも満足できるものではない。また、逆に、逆転防止装置をON状態からOFF状態に変換した場合、環状外枠とカラーとの間に食い込まれていたころがり部材を、環状保持体によって直接強引に動かして外すことになる。従って、ころがり部材と環状外枠及びカラーとにかかる抵抗が大きくなり、それらの壁面に傷が付き易い。
【0007】本発明はかかる実情を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、釣用リール、主にスピニングリールにおいて、そのクラッチ手段のころがり部材に対する発条の効き度合いを均一に保つことができ確実な逆転防止機能を行える逆転防止装置を提供することを目的とする。また、更なるに目的は、環状外枠やカラーの壁面の無理な傷つきを防止することができる逆転防止装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】しかして、本発明者等は、このような課題に対して、鋭意研究を重ねた結果、クラッチ手段のリテーナを全体を付勢すること、また転動ローラを付勢する方向を逆にすることにより、上記問題点を解決できることを見い出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0009】即ち、本発明は、(1)、リールボディとローター回転軸との間に介在させたクラッチ手段によって、該ローター回転軸の回転を選択的に規制し得るように構成された釣用リールの逆転防止装置であって、該クラッチ手段は、ローター回転軸に固定されたスリーブと、該スリーブの周囲に複数配置された転動ローラと、該ローラ保持部を有するリテーナと、前記スリーブの外周面との間で大径部分と小径部分とを有する楔状収容部を形成する外枠体とよりなり、前記リテーナは、前記ローラ保持部の側壁を介して前記転動ローラを前記楔状収容部の小径部分に係合する方向に付勢されている魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0010】そして、(2)、前記転動ローラは、小径部分から離脱する方向に付勢されている上記(1)の魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0011】そしてまた、(3)、前記転動ローラへの付勢力は、前記リテーナへの付勢力よりも弱い上記(2)の魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0012】そしてまた、(4)、前記ローラ保持部は、長幅部と、短幅部 とに区画され、前記長幅部は前記転動ローラを嵌合保持し、前記短幅部には前記転動ローラを楔状収容部の小径部から離脱する方向に付勢する弾圧体が設けられている上記(2)又は(3)の魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0013】そしてまた、(5)、前記弾圧体は、前記短幅部の側壁と一体に形成されており、前記短幅部から前記長幅部内に突出している上記(4)の魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0014】そしてまた、(6)、前記リテーナは、クラッチレバーが係止固定されており、該クラッチレバーと、前記リールボディとの間に介在されたスプリングによって付勢されている上記(1)〜(5)の魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0015】そしてまた、(7)、前記リテーナと前記クラッチレバーとは、相互に凹凸部を有し、該凹凸部によって係止固定されており、前記リテーナに対する前記クラッチレバーの取り付け角度が変更可能に係止固定されている上記(1)〜(6)の魚釣用リールの逆転防止装置に存する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、本発明による釣用リールの逆転防止装置の好適な実施の形態を説明する。図1および図2は、この実施形態に係るスピニングリールの構成例を示している。図において、1はリールボディ、2はハンドル、3はハンドルアーム、4はハンドル2によって回転するドライブギヤ、5はドライブギヤ4と噛合するピニオンギヤ、6はメインシャフトであり、このメインシャフト6はピニオンギヤ5をはじめとする後述する複数の部品を支持する。
【0017】ピニオンギヤ5の軸端部にはローター7が連結固定されており、ハンドル2の回転操作でローター7を正逆回転されるようになっている。また、8はドライブギヤ4に固定されたギヤ、9はギヤ8と噛合するギヤである。ギヤ9の回転により、その突起9aに係合するスライダ10を前後(図2において前後方向をそれぞれ矢印F,Rで示す)にスライドさせる。スライダ10にはメインシャフト6が連結する。メインシャフト6の前端にはスプール11が支持されており、スライダ10のスライド(往復移動)によって、スプール11も前後に所定ストローク往復動する。
【0018】上記のようにスピニングリールでは、基本的に、ローター7を回転させるための回転機構と、スプール11をスライドさせるためのスライド機構の二つの機構を備えている。この基本構成によれば、ハンドル2の回転操作でドライブギヤ4およびピニオンギヤ5を介してローター7を正逆回転させると共に、このローター7の回転に連動するかたちで、ギヤ8,9およびスライダ10等を介してスプール11を前後にスライドさせる。この回転・スライド動作により、釣糸をラインローラ12を介してスプールの巻回部11aに対して巻き取り、あるいは繰り出すことができる。
【0019】ここで、ローター7の正逆回転については、ローター回転軸すなわちピニオンギヤ5とリールボディ1の間に介在させたクラッチ手段14によって、ローター7の回転、特に逆転を選択的に規制し得るように構成されている。この例では、図3にも示したように、ピニオンギヤ5のローター側にベアリング13を外嵌すると共に、このベアリング13の内輪に当接させクラッチ手段14を連設する。そして、そのベアリング13およびクラッチ手段14の間に介在されたクラッチレバー15によって、クラッチ手段14の作動を制御するようになっている。なお、ピニオンギヤ5の軸部に装着されたベアリング13の周囲にはベアリングホルダ19が外嵌され、また、そのベアリング13及びベアリングホルダ19を固定するベアリングリテーナ20がネジ21等によりリールボディ適所に締結される。
【0020】クラッチレバー15には、凹凸部15aが設けられており、後述のように、ここにクラッチ手段14、具体的にはクラッチ手段のリテーナ24が連結(係止固定)される。また、図4および図5に示されるように、クラッチレバー15の端部とリールボディ間にはスプリング16が張架されている。
【0021】このスプリング16の弾性力により、クラッチ手段14、詳しくはクラッチ手段14のリテーナ24を所定方向に付勢している(これについては、後で詳しく述べる)。なお、クラッチレバー15の端部のカム穴15bには操作杆17の逆止カム17aが係合されており、該操作杆17の端部に付設された操作レバー18を動かすことによって、リールボディ1の外側からクラッチレバー15を駆動し得るようになっている(図1、図2及び図3参照)。
【0022】さて、クラッチ手段14とクラッチレバー15は、図6あるいは図7のように相互に連結する。クラッチ手段14は図9に示したように、スリーブ22と、該スリーブ22の周囲に複数の転動ローラ23を保持するリテーナ24と(なお、スリーブ22に対してリテーナ24は回動可能である)、スリーブ22の外周面との間で楔状収容部25aを形成する外枠体25と、から構成される。
【0023】転動ローラ23は細長の円筒状に形成されており、図8のように、楔状収容部内、詳しくはスリーブ22と外枠体の楔状収容部25aの間に配置収容されるようになっている。スリーブ22は、先述したように、ベアリング13の内輪側面に連設するピニオンギヤ5の軸部に固定される。リテーナ24には、転動ローラ23が位置決め保持されるローラ保持部24aが形成されており、この例では、リテーナ24の円周6分割位置にて、各々平行に各ローラ保持部24a(くり抜かれている)が設けられている〔図8(A)、図9参照〕。
【0024】このローラ保持部24aは、相通ずる長幅部a1と短幅部a2とに分けられて段状に形成されている。長幅部a1では転動ローラ23が嵌まり込んだ状態で、該転動ローラ23が回転を許されるように保持される。また、図に示すように短幅部a2には弾圧体Sが長幅部a1に少し突出した状態で側壁と一体に設けられており、転動ローラ23を一方向に押圧する。この弾圧体Sは、図9から明らかなように、ローター7の回転が巻き取りの回転時(時計方向)、その回転と同じ方向に転動ローラ23を常時付勢するように設けられている。換言すると転動ローラ23が小径部分から離脱する方向に付勢されている(これについては後で詳しく述べる)。
【0025】弾圧体Sによる2勢により、ローラ保持部内を回転する転動ローラ23は常に安定した回転を円滑に行うことができる。また、弾圧体Sは短幅部a2に設けられているので、弾圧体Sが転動ローラ23によって極端に強く押し潰されることはなく、弾圧体Sの寿命を十分長くすることが可能である。
【0026】リテーナのローラ保持部24aは、リテーナ24がスリーブ22に装着された状態ではスリーブ22に平行となり、すなわち、ローラ保持部24aに位置決め保持される転動ローラ23をスリーブ22に対して同じく平行状態で回転することができる。また、リテーナ24は、その端部に形成された凹凸部24bでクラッチレバー15と係止固定する。
【0027】すなわち、先述したように、クラッチレバー15はリテーナの凹凸部24bと嵌合する凹凸部15aを有しており、これらクラッチレバーの凹凸部15aとリテーナの凹凸部24bが嵌合することで、クラッチレバー15及びリテーナ24が相互に連結される(図5〜図7参照)。なお、クラッチレバー15及びリテーナ24は別体に構成するものであるが、それぞれに同寸法の凹凸部15a及び凹凸部24bを同数設ける。従って、リテーナ24に対してクラッチレバー15の係止固定角度が自由に選択できることになる(図6(A)二点鎖線参照)。
【0028】外枠体25は、図10のように、その内周面が一定の間隔で直径が次第に小さくなるように形成することで楔状収容部25aがスリーブ22との間に設けられる。そうすることで転動ローラ23は、外枠体の楔状収容部25aの大径部分では自由に回転し、また外枠体の楔状収容部25aの小径部分では楔状収容部25aとスリーブ22間に食い付くようになっている。
【0029】本発明においては、リテーナのローラ保持部24aに位置決め保持された転動ローラ23は、リテーナの短幅部a2に付設された弾圧体Sにより小径部分から離脱する方向に付勢されている。この弾圧体Sは、ローター7の回転が巻き取りの回転時(時計方向)、その回転に対して同じ方向に転動ローラ23を常時付勢する。より詳しく言うとローラ保持部24aに保持された転動ローラ23は、弾圧体Sとローラ保持部24aの一側面(側壁24a1)との間に支持され回転する。転動ローラ23を付勢している弾圧体Sの付勢力は、リテーナ24を付勢しているスプリングの付勢力よりも弱く設定されている。
【0030】この時、弾圧体Sによる付勢によって、ローラ保持部内を回転する転動ローラ23は常に安定した状態で回転を円滑に行うことができる。上記構成において、リテーナのローラ保持部24aに位置決め保持された転動ローラ23は、クラッチレバー15の切り換え操作によって、外枠体の楔状収容部25aの大径部分に位置する時は自由に回転し、また小径部分に位置する時は楔状収容部25aとスリーブ22に食い付くことができる。これにより、クラッチ手段14のON/OFFに応じて、ローター7の逆転を規制する逆転防止モードと正逆転可能な通常モードに切り替えることができる。
【0031】このモード切り替えの変換に際して、クラッチレバー15はニュートラル位置Nから時計方向・反時計方向に±θの角度範囲(図7参照)で移動し、クラッチレバー15がこの範囲にあればいずれかのモードに設定される。例えば、今、クラッチ手段14を作動させて、ローター7の逆転を規制する場合(クラッチ手段14のON状態)を想定する。先ず、操作レバー18を回動すると操作杆の逆転カム17aがクラッチレバーのカム穴15bの一側面に係合する。この係合状態のまま逆止カム17aの回転に伴い、クラッチレバー15は図4、図5及び図7(A)のように反時計方向に駆動される。
【0032】これにより、クラッチレバー15が図7(A)のように角度−θまで回動すると、転動ローラ23は楔状収容部25aとスリーブ22の間に食い付き、それ以上駆動されない。この逆転防止モードでは、クラッチレバー15はスプリング16の弾性力によって、リテーナ全体が所定方向である楔状収容部25aの小径部分側方向に係合を強めるように付勢されている。すなわち、リテーナ24に保持された転動ローラ23は食い付きを強める方向に付勢されていることになる。
【0033】そのため、従来のように各発条の弾圧力に依存しないため、周方向に均一な楔作用が得られる。さて、ここで、先にも述べたように、転動ローラ23は弾圧体Sにより時計方向に常時付勢されている。例えば、クラッチレバー15がニュートラルNの位置の時、転動ローラ23は弾圧体Sとローラ保持部の壁24a1との間で支持されている。
【0034】この状態から、クラッチレバー15をON状態にすると、それに連結するリテーナ24も一緒に反時計に回転する。この時、転動ローラ23はローラ保持部の壁24a1に、直接、押されながら、外枠体の楔状収容部25aの小径部分側に移動する。そして、楔状収容部25aとスリーブ22との間に転動ローラ23が食い付いてローター7の逆転を規制する。
【0035】このように、クラッチON時、従来と異なって、構造上、弾圧体Sには直接負荷をかけることなく転動ローラ23を移動できる。換言すれば、従来のように、ころがり部材を発条を介して楔状収容部25aとスリーブ22との間に食い込ませるのではなく、ローラ保持部の側壁24a1を介して転動ローラ23を食い込ませているので、弾圧体Sに無理な負荷が加わることはない。従って、クラッチONにする際、クラッチレバー15がスプリング16を介して瞬時に回動された場合でも、弾圧体Sが転動ローラ23により極端に圧縮されて塑性変形を生ずることはない。また、弾圧体Sの疲労も完全に防止される。
【0036】次に逆転防止モードから通常モードのモード変換するためには、操作レバー18を反対方向に回す。すなわち、操作レバー18を逆転防止モードとは反対方向に操作することで、逆止カム17aが反対方向に回転してカム穴15aの一側面に再び係合する。さらに操作レバー18を回動させると、クラッチレバー15は図4の二点鎖線のように時計方向に駆動される。
【0037】そして、クラッチレバー15が図7(B)のように角度+θまで回動すると、それに連結するリテーナ24も一緒に時計方向に回転し、リテーナ24の回転と共に、弾圧体Sを介して転動ローラ23が押され、食い込みが外れる。これで、転動ローラ23は楔状収容部25aとスリーブ22との間でフリーな状態となり、正逆転方向ともローター7の回転は規制されない。参考までに、従来のものは前述したように、上記の場合、環状外枠とカラーとの間に食い込んでいた各ころがり部材を環状保持部のガイド溝孔の一側面(壁)を介して、強引に、押し外していた。
【0038】このように、ガイド溝の壁により、急激にころがり部材を動かすという力の伝達は、ころがり部材が食い込まれていた環状外枠とカラーとにかかる抵抗が大となり、それにより環状外枠やカラーに傷が付いてしまう。本発明は、弾圧体Sを経由して間接的に転動ローラ23を移動させる構造なので、転動ローラ23を動かすまでに僅かながら時間差が生じる。
【0039】例えば、急激にクラッチレバー15を切った場合(ONからOFFへ)でも、弾圧体Sを介しているため、その力の伝達が緩和される。従って、外枠体の楔状収容部25aとスリーブ22との間に食い込まれていた転動ローラ23を動かす場合、衝撃がなく、外枠体25やスリーブ22の表面に傷が生ずることはない。また、OFF状態になった後は、転動ローラ23は、弾圧体Sによる付勢により、定位置、すなわち、弾圧体Sとローラ保持部24aの一側面の壁24a1との間で支持され、安定した回転が行われる。
【0040】以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質から逸脱しない範囲で、他の色々な変形例が可能であることは言うまでもない。例えば、転動ローラあるいはこれを保持するリテーナのローラ保持部の個数等は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜選定可能である。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、リテーナ全体を付勢しているため楔作用の利き度合いを均一に保つことができる。また、ローラ保持部の側壁にて食い込み状態を維持するので、逆転防止機能が確実である。更には、食い込まれていた転動ローラを弾圧体を介して動かすことで、外枠体やスリーブの表面に傷が付きにくい。
【出願人】 【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
【出願日】 平成10年12月8日(1998.12.8)
【代理人】 【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二
【公開番号】 特開2000−166436(P2000−166436A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−368557