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【発明の名称】 釣り糸用スプール
【発明者】 【氏名】米田 武弘

【要約】 【課題】容易に低コストで製作できる釣り糸用スプールの提供を図る。

【解決手段】胴部3と鍔部4、4とにより形成された巻回部5を有するスプール本体1と、巻き終端係止部2とを備えている。巻き終端係止部2は、スプール本体1の成型に際して一体的に形成された舌片状の突片21を有する。この突片21は、スプール本体1に設けられた補強リブ34の周方向の側方側に、軸方向に撓み得るように配位されることにより、突片21と補強リブ34との間に巻回部5に巻回された釣り糸Tの巻き終端部T1を係止できるようになされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】釣り糸(T) を巻回するスプール本体(1) と、スプール本体(1)に形成された巻き終端係止部(2) とを備え、スプール本体(1) が、胴部(3) と、胴部(3) の軸方向の両端側に設けられた鍔部(4)(4)とを備えることにより、胴部(3) の外周における両鍔部(4)(4)間に、釣り糸(T) を巻回する巻回部(5) が区画形成され、巻き終端係止部(2) が、巻回部(5) の外側、且つ巻回部(5) の径内側に設けられ、この巻き終端係止部(2) によって、巻回部(5) に巻回された釣り糸(T) の巻き終端部(T1)が巻回部(5) から外に出されて係止されるようになされ、この巻き終端係止部(2) が、スプール本体(1) と一体的に形成されたものであることを特徴とする釣り糸用スプール。
【請求項2】釣り糸(T) を巻回するスプール本体(1) と、スプール本体(1)に形成された巻き終端係止部(2) とを備え、スプール本体(1) が、胴部(3) と、胴部(3) の軸方向の両端側に設けられた鍔部(4)(4)とを備えることにより、胴部(3) の外周における両鍔部(4)(4)間に、釣り糸(T) を巻回する巻回部(5) が区画形成され、巻き終端係止部(2) が、巻回部(5) の外側、且つ巻回部(5) の径内側に、少なくとも二つの係止体(21)(34)(35)を備え、二つの係止体(21)(34)(35)の間の部分(22)に、巻回部(5) に巻回された釣り糸(T) の巻き終端部(T1)が巻回部(5) から外に出されて係止されるようになされ、これらの係止体(21)(34)(35)の少なくとも一方が、軸方向の両側を開放するようにして形成されたものであることを特徴とする釣り糸用スプール。
【請求項3】釣り糸(T) を巻回するスプール本体(1) と、スプール本体(1)に形成された巻き終端係止部(2) とを備え、スプール本体(1) が、胴部(3) と、胴部(3) の軸方向の両端側に設けられた鍔部(4)(4)とを備えることにより、胴部(3) の外周における両鍔部(4)(4)間に、釣り糸(T) を巻回する巻回部(5) が区画形成され、巻き終端係止部(2) が、巻回部(5) の外に、胴部(3) の軸方向と交わる方向に設けれた少なくとも二つの係止体(21)(34)(35)を備え、二つの係止体(21)(34)(35)の間の部分(22)に、巻回部(5) に巻回された釣り糸(T) の巻き終端部(T1)が巻回部(5) から外に出されて係止されるものであることを特徴とする釣り糸用スプール。
【請求項4】係止体(21)(34)(35)が、周方向に並設されたものであることを特徴とする請求項2又は3記載の釣り糸用スプール。
【請求項5】二つの係止体(21)(34)(35)の少なくとも一方が、軸方向に撓み得るように形成されたものであることを特徴とする請求項4記載の釣り糸用スプール。
【請求項6】二つの係止体(21)(34)(35)の一方が、スプール本体(1) における巻回部(5) の径内側に設けられた補強リブ(34)からなるものであることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の釣り糸用スプール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、釣り糸を巻回する釣り糸用のスプールの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】釣り糸を巻回する釣り糸用のスプールとして、例えば図10(A)(B)に示すようなものが従来から知られている。このものは、胴部aと、胴部aの軸方向の両端側に設けられた鍔部b、bとを備え、又、一方の鍔部bに、鍔部bの外周から、釣り糸Tの径よりやや細幅に切り込んだ係止用溝cを備えたものとし、胴部aの外周における両鍔部b、b間に釣り糸Tを順次巻回するとともに、その巻回した釣り糸Tの巻き終端部T1を係止用溝cに押し込むことにより、釣り糸Tの巻き終端部T1を係止しておけるようにしたものである。ところが、巻回した釣り糸Tの巻き終端部T1を係止しておく巻き終端係止部を、鍔部bの外周から切り込んだ係止用溝cから構成し、胴部aの外周における両鍔部b、b間に巻回した釣り糸Tの巻き終端部T1を、単に係止用溝cに通しているだけのため、釣り糸Tの巻き終端部T1が係止用溝cを滑り易く、緩むおそれがある。又、この場合において、係止用溝cの溝幅を狭くしておけば釣り糸Tの巻き終端部T1を滑り難くできるが、その場合は、釣り糸Tを傷めてしまう。また、このような係止用溝cでは、一種類の径の釣り糸Tしか使用できず、種々の径の釣り糸Tに対応させることができない。
【0003】そこで、この課題を解決するものとして、例えば実用新案登録第30332248号に提案されたものがある。このものは、図11(A)(B)に示すように胴部aと鍔部b、bとを有するスプール本体dと、スプール本体dに設けた巻き終端係止部eとを備え、この巻き終端係止部eを、スプール本体dにおける胴部aの径内側の部分に、スプール本体dの成型に際して一体的に形成した挾持体e1を備えるとともに、その挾持体e1における軸方向の前方側に、スプール本体dとは別体のものから形成した可撓性を有する挾持片e2を備えたものとし、挾持片e2を挾持体e1に取り付けることにより、挾持体e1の前面側と挾持片e2の後面側との間に、巻回した釣り糸Tの巻き終端部T1を押し入れれば、挾持体e1が前方側に撓んでその間に形成される隙間gに釣り糸Tの巻き終端部T1が入り込み、入り込んだ後は、挾持片e2の弾性によって巻き終端部T1を挾持できるようにしたものである。尚11(A) 中のf…fは、補強リブを示す。しかしながら、このものにおいては、挾持片e2を、スプール本体dとは別体のものから形成しているため、スプール本体dと挾持片e2を別途に成型しなければならず、しかも、これらを組み付けなければならず、製作に時間を要するとともに、コスト高になってしまっている。又、挾持体e1と軸方向に並設した挾持片e2が、挾持体e1に対して軸方向に撓むため、図12に示すように複数回の使用によって挾持片e2が湾曲状に塑性変形すると、挾持体e1と挾持片e2との間の隙間gが大きくなってしまい、挾持片e2の弾性力による挾持力が弱くなってしまう。その結果、複数回の使用により挾持体e1と挾持片e2との間に巻き終端部T1を入れても、巻き終端部T1が挾持体e1と挾持片e2との間を滑ってしまうという課題を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、以上の実情に鑑み提案されたもので、容易に低コストで製作できる釣り糸用スプールの提供を第1の目的とする。
【0005】本願発明は、複数回の使用によっても釣り糸の巻き終端部を確実に係止しておくことのできる釣り糸用スプールの提供を第2の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明は、以下の特徴を有する釣り糸用スプールを提供することにより上記課題を解決する。本願第1の発明は、釣り糸Tを巻回するスプール本体1と、スプール本体1に形成された巻き終端係止部2とを備える。スプール本体1は、胴部3と、胴部3の軸方向の両端側に設けられた鍔部4、4とを備えることにより、胴部3の外周における両鍔部4、4間に、釣り糸Tを巻回する巻回部5が区画形成される。巻き終端係止部2は、巻回部5の外側、且つ巻回部5の径内側に設けられ、この巻き終端係止部2によって、巻回部5に巻回された釣り糸Tの巻き終端部T1が巻回部5から外に出されて係止されるようになされる。又、この巻き終端係止部2は、スプール本体1と一体的に形成されたものである。
【0007】本願第2の発明は、釣り糸Tを巻回するスプール本体1と、スプール本体1に形成された巻き終端係止部2とを備える。スプール本体1は、胴部3と、胴部3の軸方向の両端側に設けられた鍔部4、4とを備えることにより、胴部3の外周における両鍔部4、4間に、釣り糸Tを巻回する巻回部5が区画形成される。巻き終端係止部2は、巻回部5の外側、且つ巻回部5の径内側に、少なくとも二つの係止体21、34、35を備え、二つの係止体21、34、35の間の部分22に、巻回部5に巻回された釣り糸Tの巻き終端部T1が巻回部5から外に出されて係止されるようになされる。又、これらの係止体21、34、35の少なくとも一方が、軸方向の両側を開放するようにして形成されたものである。
【0008】本願第3の発明は、釣り糸Tを巻回するスプール本体1と、スプール本体1に形成された巻き終端係止部2を備える。スプール本体1は、胴部3と、胴部3の軸方向の両端側に設けられた鍔部4、4とを備えることにより、胴部3の外周における両鍔部4、4間に、釣り糸Tを巻回する巻回部5が区画形成される。巻き終端係止部2は、巻回部5の外に、胴部3の軸方向と交わる方向に設けれた少なくとも二つの係止体21、34、35を備え、その二つの係止体21、34、35の間の部分22に、巻回部5に巻回された釣り糸Tの巻き終端部T1が巻回部5から外に出されて係止されるものであることを特徴とする釣り糸用スプール。
【0009】本願第4の発明は、本願第2、第3の発明に係る係止体21、34、35は、周方向に並設されたものであることを特徴とする請求項1記載の釣り糸用スプール。
【0010】本願第5の発明は、本願第4の発明に係る二つの係止体21、34、35の少なくとも一方が、軸方向に撓み得るように形成されたものである。
【0011】本願第6の発明は、本願第2〜5の発明に係る二つの係止体21、34、35の一方が、スプール本体1における巻回部5の径内側に設けられた補強リブ34からなるものである。
【0012】以上のように構成された本願第1の発明においては、巻き終端係止部2を、スプール本体1と一体的に形成したものとするため、従来のように別途に成型して組み付けなくても良く、容易に、低コストで製作できる。
【0013】本願第2の発明においては、係止体21を、軸方向の両側を開放するようにして形成したものとする。例えば係止体21の軸方向の後方側に他の部材を配位させていると、他の部材が邪魔になって2つの割り型で係止体用の鋳型部を区画成形して係止体21を成形できないが、係止体21における軸方向の両側を開放して形成しておくようにすれば、スプール本体1の成型に際し、2つの割り型で係止体用の鋳型部を区画成形して係止体21を一体的に成型することができる。これにより、容易に短時間で、しかも低コストで製作し得るものとなる。
【0014】本願第3及び第4の発明においては、二つの係止体21、34、35を、胴部3の軸方向と交わる方向に設けたものとする。例えば図11(A)(B)に示す従来品のように、挾持体e1と挾持片e2とを軸方向に沿う方向に並設させる場合は、挾持片e2の軸方向の後面側に挾持体e1が配位されているため、挾持体e1が邪魔になって2つの割り型で挾持片用鋳型部を区画成形して挾持片e2を成形できず、挾持片e2と挾持体e1とを切り離して隙間gを形成できない。そのため、スプール本体の成型に際して挾持体e1及び挾持片e2を一体的に成型するのは、技術的に困難である。しかし、本願発明のように、例えばえば図1(A) に示すように、二つの係止体21、34、35としての突片21と補強リブ34とを、周方向に並設する場合には、突片21における軸方向の両側を開放して空間部を形成しておくことができ、スプール本体1の成型に際し、2つの割り型で突片用鋳型部を区画成形して突片21を一体的に成型することができる。これにより、容易に短時間で、しかも低コストで製作し得る。
【0015】本願第5の発明においては、二つの係止体21、34、35を周方向に並設するとともに、軸方向に撓み得るように形成したものとする。こうすることにより、図6(A)(B)に示すように、複数回の使用により係止体としての突片21が湾曲状に塑性変形した場合でも、補強リブ34と突片21との間の周方向の隙間6は変わることがなく、巻き終端部T1を突片21の弾性によって確実に挾持しておくことができる。
【0016】本願第6の発明においては、二つの係止体21、34、35の一方を、スプール本体1における巻回部5の径内側に設けられた補強リブ34からなるものとする。こうすることにより、従来の釣り糸用スプールの補強リブを、二つの係止体の内の一つとして利用でき、経済的なものにできる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図を基に本願発明の一実施形態を具体的に説明する。図1(A) は、本願発明の一実施形態の釣り糸用スプールの正面図、図1(B) は、その平面図、図2(A) は、その背面図、図2(B) は、図1(A) のII−II線断面図である。
【0018】本願発明の釣り糸用スプールは、スプール本体1と、スプール本体1に形成された巻き終端係止部2とを備えている。
【0019】スプール本体1は、胴部3と、鍔部4、4とを備えている。胴部3は、円筒状を呈し、外周31と内周32との間における前面側は開口されており、後面側は、後壁30によって閉ざされている。又、前面と後面との間には、径方向に伸ばされた板状の六つの補強リブ34…34が設けられており、これらの補強リブ34…34よって前面と後面との間に前面開口の孔33…33が区画形成されている。また、後壁30には、孔33に貫通する穿設孔30aが穿設されている。この穿設孔30aは、突片注型用の2つの割り型(図示せず)で突片注型部を区画形成して後述する突片21をスプール本体1と一体成型する際に、一方の割り型を他方の割り型に後方側から挿入するために他方の割り型に設けた孔によって形成されたもので、突片21と略同形状を呈している。
【0020】鍔部4、4は、胴部3の軸方向の前端側と後端側との各々に配位されている。又、各鍔部4、4は、胴部3の全外周から径外方向に延設されており、この鍔部4、4の延設によって、胴部3の外周における両鍔部4、4間に、釣り糸Tを巻回する巻回部5が区画形成されている。また、前方側の鍔部4には、案内溝41が備えられている。この案内溝41は、釣り糸Tを巻き終端係止部2に案内するためのもので、釣り糸Tの径よりやや大きい幅で、外周から胴部3の孔33にかけて、径方向に対して傾斜状に切り込まれるようにして形成されている。このように形成された案内溝41の径外側が入り口41aをなし、この入り口41aから案内溝41内に釣り糸Tの巻き終端部T1を入れる。又、図3(A) に示すように、この入り口41と鍔部4の外周との境界部42、42は、先鋭状に形成されている。
【0021】巻き終端係止部2は、スプール本体1の巻回部5に巻回された釣り糸Tの巻き終端部T1を係止するためのもので、この実施形態での巻き終端係止部2は、図1(A) 及び図3(A)(B)に示すように鍔部4の案内溝41の径内側、且つ、穿設孔30aの前方側に設けられた可撓性を有する舌片状の突片21を備えたものとされている。この突片21は、軸部23と、軸部23の先端側に、先端に行くに従い漸次細幅に形成された細幅部24とを備えている。軸部23は、周方向の幅Lが軸方向の厚さTより幅広く形成されており、周方向側に撓み難いが軸方向側に撓み易いようになされている。又、突片21の軸部23及び細幅部24の後面側には、後方側に突出した断面略円弧状の突部25が備えられている。そして、この突片21は、軸部23が胴部3の孔33内における補強リブ34の周方向の側方側、本実施形態では周方向の時計方向側に、補強リブ34の側面34aと突片21の軸部23の側面23aとを対向させるとともに、軸部23と補強リブ34との間に殆ど隙間6ができないようにして、孔33の外周内壁から延設されることにより、先端側の細幅部24が胴部3の外周側から径内方向に伸ばされ、後方側が穿設孔30aによって開放されている。そして、このようにして突片21が補強リブ34の周方向の側方側に並設されることにより、突片21と補強リブ34との間の部分が、釣り糸Tを係止する係止部22をなし、突片21と補強リブ34とが二つの係止体として機能する。又、突片21の細幅部24と補強リブ34との間の部分が受容口22aをなし、この受容口22aから釣り糸Tを係止部22aに受容できるようになされている。この受容口22aは、突片21の細幅部24の先端側で釣り糸Tの径より幅広に形成され、係止部22側に行くに従い漸次幅狭に形成されている。
【0022】このように構成された突片21は、スプール本体1の成型時に、一体的に成型される。例えば図11(A)(B)に示す従来品のように、挾持体e1と挾持片e2とを軸方向に沿う方向に並設させる場合は、挾持片e2の後面側に挾持体e1が配位されているため、挾持体e1が邪魔になって2つの割り型で挾持片用鋳型部を区画成形して挾持片e2を成形できず、挾持片e2と挾持体e1とを切り離して隙間gを形成できなず、スプール本体の成型に際して挾持体e1及び挾持片e2を一体的に成型するのは、技術的に困難である。しかし、この実施形態のように、突片21を、補強リブ34の周方向に並設する場合には、突片21の後方側を開放しておくことができ、スプール本体1の成型に際して2つの割り型で突片用鋳型部を区画成形して突片21を一体的に成型することができる。これにより、容易に短時間で、しかも低コストで製作し得る。
【0023】このようにして形成された巻き終端係止部2に、釣り糸Tの巻き終端部T1を係止するには、例えば釣り糸Tをスプール本体1の巻回部5に、反時計方向に複数回巻き終えた後、図4(A)(B)に示すように釣り糸Tを案内溝41に入れる。これにより、釣り糸Tの巻き終端部T1を、巻回部5から外部に出すことができる。その際、案内溝41を、径方向に対して傾斜状に形成しているため、釣り糸Tの巻き終端部T1を案内溝41の内壁に引っ掛けるようにして、巻回方向と反対方向に引っ張れば、釣り糸Tの巻き終端部T1を案内溝41の内壁に沿わせて簡単に案内溝41の奥に入れることができるとともに、巻回部5に巻回した釣り糸Tを引っ張ることができ、緊張状態に巻回したものにできる。又、案内溝41に入れた釣り糸Tの巻き終端部T1を引っ張り操作する際、案内溝41の入り口41の形成された鍔部4の外周端部42、42を先鋭状に形成しているため、釣り糸Tが、鍔部4の外周側に滑り出てしまうようなことがなく、確実に案内溝41の奥部(径内方向側)に入れることができる。
【0024】そして、その状態から案内溝41から巻回部5から外部に出した釣り糸Tの巻き終端部T1を、図5(A)(B)に示すように突片21の後面側の突部25に回すようにして、受容口22aに入れ、その状態から釣り糸Tの巻き終端部T1を、係止部22側に引っ張り上げる。これにより、突片21の凸部25に沿って湾曲状になった釣り糸Tに張力がかかり、突片21が前方側に自然と撓む。又、この突片21の撓みによって、係止部22の前後間隔が広がり、釣り糸Tを係止部22に入れることができる。又、その際、受容口22aを突片21の細幅部24の先端側で釣り糸Tの径より幅広に形成しているため、釣り糸Tを、受容口22aから係止部22側に容易に送ることができ、突片21を撓ませ易くできる。従って、釣り糸Tを係止部22に簡単に入れることができる。そして、引っ張り操作している釣り糸Tを離せば、撓んだ突片21の弾性力によって係止部22が元に戻ろうとし、係止部22に入った釣り糸Tを補強リブ34との間に押圧して係止できる。又、その際、巻き終端部T1を突片21に巻き付けるようにして係止するため、強固に係止しておくことができる。一方、補強リブ34の周方向に並設した突片21を軸方向の前方側に撓ませることによって補強リブ34と突片21との間に形成した係止部22の前後間隔を広狭して釣り糸Tの巻き終端部T1を係止するため、複数回の使用により図6(A)(B)に示すように突片21が湾曲状に塑性変形した場合でも、補強リブ34と突片21との間に形成した係止部22の周方向の隙間6は変わることがなく、巻き終端部T1を確実に挾持できる。尚、上記のように、釣り糸Tの張力によって突片21を撓ませるようにすれば、釣り糸Tを引っ張り操作する一つの操作で行うことでき、操作便利なものにできるが、例えば、予め突片21の細幅部24を手で前方側に押圧して撓ませておき、釣り糸Tを係止部22aに入れた後、突片21を押圧している手を離すようにしても良い。
【0025】尚、本実施形態では、突片21と補強リブ34との間の係止部22に殆ど周方向に隙間6を設けないものにしているが、釣り糸Tの径以下の間隔を設けておいても良く、適宜変更できる。又、突片21は、可撓性を有する形態のものに限らず、可撓性を有しないものから構成することもできる。可撓性を有しない突片21から構成する場合でも、突片21と補強リブ34との間に形成される係止部22に、釣り糸Tの径よりやや幅狭の隙間を周方向に設けるようにしておけば、係止部22で釣り糸Tできる。更に、本実施形態では、巻き終端係止部2を、スプール本体1の一箇所にだけ設けているが、複数箇所に設けるようにしても良く、例えば図7に示すように六つの補強リブ34…34各々の側方側に、突片21…21を、案内溝41…41と共に夫々設けて六つの巻き終端係止部2…2を形成するようにしても良い。こうすることにより、例えば釣針T2を有する複数の釣針部T1…T1を取り付けた仕掛け糸をスプール本体1の巻回部5に巻回し、巻き終端部となる釣針部T1…T1を巻き終端係止部2…2夫々に係止することもでき、仕掛け糸用としても使用し得る便利なものにできる。
【0026】又、本実施形態では、巻き終端係止部2の突片21を、スプール本体1の一部をなす補強リブ34の側方側に設け、突片21とスプール本体1の補強リブ34との間に係止部22を形成したものとしているが、この形態のものに限らず、例えば図8に示すように予めスプール本体1に突起35を設けておき、この突起35の周方向の側方側に突片21を並設してその間に係止部22を形成するようにし、巻き終端係止部2を形成するようにしても良い。又、この場合において、突起35は、可撓性を有するものでも、可撓性を有しないものでも良い。また、三つ以上の突片21を周方向に並設して複数の係止部22…22を設けるようにしても良く、適宜変更し得る。
【0027】更に、巻き終端係止部2は、二つの係止体21、34、35を、周方向に並設した形態のものに限らず、軸方向と交わる方向に設ければ良く、こうすることにより、スプール本体1の成型に際して一体的に形成できる。例えば図9(A)(B)に示すように突片21を、穿設孔30aの前方側に、スプール本体1における孔33に胴部3の外周側から径内方向に伸ばすとともに、前方側から後方側に伸ばすことにより、突片21を胴部3の径方向に並設し、その突片21と胴部3との間に、深さ方向に漸次隙間6の狭くなる係止部22を設け、案内溝41から巻回部5の外に出してきた釣り糸Tの巻き終端部T1を係止部22に係止するようにしても良い。このようにしても、突片21の後方側を開放しておくことができ、スプール本体1の成型に際して2つの割り型で突片用鋳型部を区画成形して突片21を一体的に成型することができる。これにより、容易に短時間で、しかも低コストで製作し得る。
【0028】また、案内溝41は、設けなくても良く、適宜変更し得る。又、案内溝41を径方向に対して傾斜させて設ける場合、図1(A) で示したように鍔部4の外周から時計方向側に傾斜するもに限らず、図1(A) 中に点線で示すように鍔部4の外周から略時計方向側に傾斜させても良い。また、このように鍔部4の外周から略反時計方向側に傾斜させる場合には、突片21を、補強リブ34の反時計方向側に設けておくようにすれば、釣り糸Tを巻回部5に反時計方向側に巻回した際に、釣り糸Tの巻き終端部T1を引っ掛けながら案内溝41に入れることができる。
【0029】
【発明の効果】以上、本願第1の発明は、巻き終端係止部2を、スプール本体1と一体的に形成したものとするため、従来のように別途に成型して組み付けなくても良く、容易に、低コストで製作できる。
【0030】本願第2の発明は、係止体21を、軸方向の両側を開放するようにして形成したものとするため、スプール本体1の成型に際し、2つの割り型で係止体用の鋳型部を区画成形して係止体21を一体的に成型し得るものにできる。これにより、容易に短時間で、しかも低コストで製作し得るものとなる。
【0031】本願第3、第4の発明は、スプール本体1の成型に際して、二つの係止体21、34、35を一体的に成型することができ、従来のように係止体を別途に成型して組み付けるようなことをしなくても良く、容易に短時間で、しかも低コストで製作できる。
【0032】本願第5の発明は、第4の発明の発明の効果に加え、二つの係止体21、34、35を周方向に並設するとともに、軸方向に撓み得るように形成したものとするため、複数回の使用により係止体21が湾曲状に塑性変形した場合でも、係止体21、34、35の間の周方向の隙間6は変わることがないものにできる。これにより、複数回の使用しても巻き終端部T1を確実に挾持しておくことができる。
【0033】本願第6の発明は、第2〜第5の発明の発明の効果に加え、二つの係止体21、34、35の一方を、スプール本体1における巻回部5の径内側に設けられた補強リブ34からなるものとすることにより、従来の釣り糸用スプールの補強リブを、二つの係止体の内の一つとして利用でき、経済的なものにできる。
【出願人】 【識別番号】392013187
【氏名又は名称】株式会社ヨネプラ
【出願日】 平成10年10月30日(1998.10.30)
【代理人】 【識別番号】100086346
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 武信
【公開番号】 特開2000−135042(P2000−135042A)
【公開日】 平成12年5月16日(2000.5.16)
【出願番号】 特願平10−310131