| 【発明の名称】 |
凝固因子XIII欠損トランスジェニック動物並びに傷の治癒および出血を試験するためのその使用 |
| 【発明者】 |
【氏名】ゲーアハルト・ディックナイテ
【氏名】フーベルト・メツナー
【氏名】ゲルト・ツェトルマイスル
【氏名】ウルリヒ・グルントマン
【氏名】リヒャルト・ラーテ
【氏名】オースティン・スミス
【氏名】メン・リー
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| 【要約】 |
【課題】トランスジェニック凝固因子XIII欠損動物並びに傷の治癒および出血を試験するためのその使用。
【解決手段】本発明は、少なくとも部分的に欠損している凝固因子XIII遺伝子のヘテロ接合体またはホモ接合体であるトランスジェニック非ヒトほ乳動物を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも部分的に欠損している凝固因子XIII遺伝子のヘテロ接合体またはホモ接合体であるトランスジェニック非ヒトほ乳動物。 【請求項2】 欠損遺伝子が、挿入、欠失、置換または変換もしくは他の適当な遺伝子操作によって不活化されている請求項1記載のトランスジェニック動物。 【請求項3】 欠損した凝固因子XIII遺伝子が、因子XIIIa遺伝子の標的破壊によって調製され、エクソン7の配列をコードする活性部位の欠失を有する請求項1または2記載のトランスジェニック動物。 【請求項4】 トランスジェニック動物がげっ歯類である請求項1〜3のいずれかに記載のトランスジェニック動物。 【請求項5】 トランスジェニック動物がマウスである請求項4記載のトランスジェニック動物。 【請求項6】 因子XIIIaのエクソン配列の欠失を特徴とするトランスジェニック因子XIII欠損マウス。 【請求項7】 1)少なくとも部分的に欠損した凝固因子XIII遺伝子をコードするDNA構造体を調製し; 2)そのようなDNA構造体を適当なキャリヤー細胞に導入し; 3)構造体が相同的組換えによって組み込まれている細胞を同定し; 4)これら標的とされる細胞を胚中に挿入し; 5)胚を母体動物中に移して、胚を妊娠期間満了まで発育させ; 6)破壊された因子XIIIaのヘテロ接合体である子を得;そして7)ヘテロ接合体である子を同系交配して、欠損した因子XIIIaのホモ接合体の動物を得ることからなる請求項1〜6のいずれかに記載のトランスジェニック動物の産生方法。 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載のトランスジェニック動物を化合物と接触させ、傷の治癒過程および出血疾患の障害におけるその作用を監視することからなる、凝固因子XIII活性に対する化合物の薬理学的特性を試験する方法。 【請求項9】 傷の治癒、出血または因子XIIIの欠乏に関連する他の疾病に経口または非経口投与される医薬品の研究のための請求項1〜6のいずれかに記載のトランスジェニック動物の使用。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも部分的に欠損した凝縮因子XIII遺伝子に対してヘテロ接合体またはホモ接合体であるトランスジェニック非ヒトほ乳動物に関する。 【0002】 【従来の技術】因子XIIIは、フィブリンを架橋させる凝集カスケードの酵素であり、従って止血プラグの安定性を促進させる。凝固は、限定的タンパク質分解により続いて起こる活性化を伴うタンパク質分解酵素のカスケードシステムである。外傷の後、凝固の内因系および外因系の経路が活性化される。内因系の活性化は、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)および酵素補因子(因子VIII)である凝固因子XII、XIおよびIXを包含する。外因系システムは、組織因子および因子VIIを包含する。双方の活性化経路は、不活性プロトロンビン(因子II)を酵素的活性化トロンビンに変換させるプロテアーゼ因子Xaおよびその補因子(因子Va)を含む共通の経路を引き起こす(IIa、n.b.:活性化された因子はローマ数字の後に“a”が付けられ、ローマ数字単独は不活性酵素を示す)。トロンビンは、凝固システムの中心的なプロテアーゼと考えられる。これはフィブリノーゲン(因子I)を解裂して、傷を閉じるための基質であるフィブリンを生じさせる。血小板と共にフィブリンは止血プラグを形成する。更にトロンビンは、限定的タンパク質分解により凝固因子XIIIを活性化させる。凝固カスケードの他のプロテアーゼとは対照的に、因子XIIIはトランスグルタミナーゼである。因子XIIIは、リジンおよびグルタミン残基を介してフィブリン分子を架橋させ、可溶性フィブリンを不溶性フィブリンにする。血しょう中に見いだされるような因子XIIIは、それぞれ約83,000Daおよび76,500Daの分子量を有するa−鎖およびb−鎖2つの同一でないサブユニットで構成される(McDonagh J., in:Hemostasis and Thrombosis(止血とトロンビン),Colman RW, Hirsh J., March V.J.および Salzmann E.W.(eds), Lippincott, Philadelphia, 1994年)。 【0003】血しょう中の四量体複合体は、Mr320,000Daを有するa2b2の構成を有する。血しょう中の四量体の濃度は約0.07μモル/Lである。活性化段階において、トロンビンはa−鎖の37位と38位の位置でArg−Gly結合を切断し、アミノ末端からMr4500活性化ペプチドを放出する。b−鎖二量体は複合体から分離して、活性a−鎖二量体(a2*,因子XIIIa)を放出する。因子XIIIaは、グルタミン−リジントランスフェラーゼである。触媒される反応は、フィブリン分子間のグルタミンのγ−カルボニル基とリジンのε−アミノ基との間のイソペプチド結合の形成であり、フィブリンネットワークを安定化させる。フィブリン1分子当たり4〜6のリジン−グルタミン架橋が形成される。 【0004】患者における因子XIIIの欠失は、出血性素質および傷治癒の減少をもたらしうる(Duckert F., Ann NY Acad Sci, Vol.202,190-199, 1972)。先天的因子XIII欠損を有する患者は、外傷の後に軟質組織および関節出血に苦しんでいる。出血の最も重大な型は中枢神経系におけるものであり、因子XIII欠損の患者は頭内出血の発生率が高い。因子XIII欠損を有する女性はしばしば妊娠中に流産する。因子XIIIは、傷の治癒に必須である繊維芽細胞の増殖を刺激する。従って、因子XIII欠損を有する患者は、異常な傷の治癒を有することが報告されている。【0005】 【発明が解決しようとする課題と解決手段】本発明において、傷の治癒過程および出血疾患の障害を持つ凝固因子XIII欠損トランスジェニックマウスの生成を記載する。更に、凝固を正常化する傷の治癒を促進する薬剤を開発するためのその使用を記載する。 【0006】少なくとも部分的に欠損した凝固因子XIII遺伝子を持つトランスジェニック動物は、知られている遺伝子技術によって調製することができ、因子XIII遺伝子は挿入、欠失、置換または変換もしくは他の適する遺伝子操作によって不活性化される。本発明の実施において、欠損凝固因子XIII遺伝子を有するトランスジェニック動物は、エクソン7の配列をコードする活性部位の欠失を用いる因子XIIIa遺伝子の標的破壊によって調製されたものである。 【0007】従って、本発明の別の態様によると、1)少なくとも部分的に欠損した凝固因子XIII遺伝子をコードするDNA構造体を調製し; 2)そのようなDNA構造体を適当なキャリヤー細胞に導入し; 3)構造体が相同的組換えによって組み込まれている細胞を同定し; 4)これら標的とされる細胞を胚中に挿入し; 5)胚を母体動物中に移して、胚を妊娠期間満了まで発育させ; 6)破壊された因子XIIIaのヘテロ接合体である子を得;そして7)ヘテロ接合体である子を同系交配して、欠損した因子XIIIaのホモ接合体の動物を得ることからなる、少なくとも部分的に欠損した凝固因子XIII遺伝子を有するトランスジェニック非ヒト動物のトランスジェニック動物の産生方法が提供される。トランスジェニックマウスは次のようにして調製される。 【0008】 【実施例】トランスジェニックマウスの調製胚幹(ES)細胞におけるホモ接合組換えを用いて因子XIIIについて欠損したマウスを産生した。因子XIIIaサブユニットのマウスゲノム配列は、プローブとしてラットcDNA配列を用いて129系統のゲノムライブラリーから単離した。エクソン(エクソン7)をコードする活性部位に特異的なプローブは、ラットcDNAの110bpのゴグネイト断片のPCR増幅によって作られた。このプローブは、14kbのラムダクローン(図1)を単離するために使用した。マウスの因子XIIIのエクソン7配列の存在は、DNAシーケンシングによって確認され、これはラットのエクソン7配列(図2および配列表)と170/174ヌクレオチドが一致していることが明らかにされた。コードされるアミノ酸配列は、ラットのタンパク質配列と完全に一致している。 【0009】置換タイプの標的ベクターを標準組換えDNA法を用いて構築した。エクソン7を包含するゲノムの約2.95kb領域を、標的構造体中において欠失させ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ選択マーカーカセット(図3)により運ばれたb−アクチンプロモーターによって置換した。標的構造体をSac1で消化してプラスミドの配列を切除し、次いでエレクトロポレーションによってE14TG2a ES細胞に導入した。安定なトランスフェクタントをG418における選択によって単離した。ホモ接合組換え体は、5′および3′ホモロジー領域の外側であるプローブを用いてのゲノムDNAのサザンハイブリダイゼーションによって同定した(図4)。2つの別個のエレクトロポレーションから、分析した278クローンのうちの4クローンが、相同置換の結果に対して予期されるハイブリダイゼーションのパターンを与えた。これらのクローンの2つ(FXIII-110およびFXIII-129)をC57BL/6胚盤胞にマイクロインジェクションしてキメラを産生した。キメラを最初に、異系交配したスイスアルビノマウスと試験的に交配させた。両方のクローンから生殖細胞系列のトランスミッションを得た。 【0010】トランスミットキメラをCBA/Caマウスと交配して、因子XIIIaサブユニットについて突然変異した遺伝子を持つ129Ola×CBAの子を得た。次の戻し交配でCBA/Caを産生し、ヘテロ接合体マウスを交配した。ホモ接合体の動物をサザンハイブリダイゼーションによって同定した。ホモ接合体においてエクソン7配列が無いことは、エクソン7特異的プローブを用いて確認された。前記マウスは、そのトランスグルタミナーゼ活性によって特徴付けられる。 【0011】トランスグルタミナーゼ活性による因子XIII欠損マウスの特徴付け静脈血を取り出し、次のトランスグルタミナーゼ活性試験のためのクエン酸塩血しょうを遠心分離によって得た。用いるアッセイは、Behring Diagnosticsによって製造されている、市販のBerichrom FXIIIキットであった。参照材料として、ヒト標準血しょうを用いた。同じ遺伝的性質であるが、因子XIII遺伝子に欠損を有していない正常マウス、ヘテロ接合体の因子XIII欠損マウスおよびホモ接合体の因子XIII欠損マウスの血しょうのトランスグルタミナーゼ測定の結果を表1に示す。Berichrom FXIIIによって決定された正常マウスのトランスグルタミナーゼレベルは134%であり、ヘテロ接合体の因子XIII欠損マウスのトランスグルタミナーゼレベルはおよそその半分(70%)である。ホモ接合体の因子XIII欠損マウスのトランスグルタミナーゼレベルは6%未満である。これは、別の因子XIIIアッセイ、即ち尿素またはTCA溶液中において不溶性となるフィブリンに対する架橋活性によって因子XIII活性を更に特異的に測定する、クロット安定性アッセイを用いて確認された。このアッセイを用いて、2%の検出限界で因子XIII活性は検出できなかった。 【0012】 【表1】
【0013】因子XIII欠損マウスの使用─傷治癒の減少および出血に対するモデルとして因子XIII欠損マウスをヘキソバルビタールで麻酔し、背側領域を剃った。皮膚の十分な厚さの中心線の切り傷を背骨に沿ってメスで作った。次いで傷をクリップで閉じて、マウスを麻酔から覚醒させた。2日後、クランプを取り除いた。傷つけた後7、9および16日で、治癒した傷の張力を各動物について研究した。 【0014】マウスを犠牲にし、背側の皮膚を除去した。次いで皮膚を、切り傷が中心に位置するように、正確に1センチメートルの幅および3センチメートルの長さで切除した。次に、皮膚片をテンシオメーター(Hounsfield 試験装置, Salford, Redhill, England)中に導入し、切り傷の張力をMustoe等(Science,vol.237, 1333-1336, 1987)に記載される方法に従って測定した。力を、一定速度で引き剥がすことによって、切り傷を横切るように適用した。力をグラフに記録し、破損張力を傷が分かれる前の最大圧力点として特定した。 【0015】破損張力をニュートン(N)で表わした。対照として、本発明者らは遺伝的性質が同一であるが、挿入された欠失遺伝子を有していないマウス系統(正常マウス)を使用し、同一の実験手順を受けさせた。表2は、傷の治癒の研究結果を示す。対照と比較して、正常マウスと比較した場合、因子XIII欠損マウスでは破損張力は低い。これは、傷の治癒が減少していることを明確に示している。 【0016】 【表2】
【0017】出血時間を止血機能の測定として試験した。出血時間について、先端を除いて尾を約2mmのところで切除した(尾の先端出血)。出血の停止までの時間を、傷からの出血をフィルター紙を用いて吸い取ることによって監視した。出血時間を出血の停止についての秒数で与えた。表3は、出血時間の結果を示す。因子XIII欠損マウスは、正常マウスと比較して出血時間が顕著に長くなっていた。 【0018】 【表3】
【0019】 【配列表】 <110> ツエンテオン・フアルマ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング<120> 凝固因子XIII欠損トランスジェニック動物並びに傷の治癒および出血を試験するためのその使用<130> C9P11EP<140><141><160> 2<170> PatentIn Ver.2.1<210> 1<211> 174<212> DNA<213> Mus musculus<400> 1 gtgaatgcca aggatgatga aggtgttctt gttggatcat gggacaatgt ctatgcctac 60 ggctcccttc catcagcctg gacaggaagt gttgacattc tactagaata cagaagctcg 120 gaaacaccag tccgatatgg ccagtgttgg gtttttgctg gtgtctttaa caca 174<210> 2<211> 174<212> DNA<213> Mus musculus<400> 2 gtgaatgcca aggatgacga aggtgttctt gttggatcat gggacaatgt ctatgcctac 60 ggatcccttc catcagcctg gacaggaagt gttgacattc tactagaata cagaagctca 120 gaaacaccag tccgatatgg ccagtgctgg gtttttgctg gtgtctttaa caca 174 |
| 【出願人】 |
【識別番号】597070264 【氏名又は名称】アベンティス・ベーリング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
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| 【出願日】 |
平成11年9月22日(1999.9.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100091731 【弁理士】 【氏名又は名称】高木 千嘉 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−135037(P2000−135037A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月16日(2000.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−268062 |
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