トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 釣魚用撒き餌具
【発明者】 【氏名】加行 寛良

【要約】 【課題】タナに到達する前に餌取り魚に食わせ餌を取られたり、餌取り魚の釣り上げを回避すると共に、釣針が引っかかることなく確実に撒き餌と食わせ餌を付けた釣針を外部に放出できる魚釣用の撒き餌具を提供する。

【解決手段】撒き餌具20は、上部に水は通過するが水中を沈降中に撒き餌が通過しない通水部21有すると共に、底部に撒き餌および釣針の通過できる開口部22を有する筒状の本体23と、その本体23の上部に設けられた接続部24を備え、その本体23に錘作用を持たせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上部に水は通過するが沈降中に撒き餌が通過しない通水部を有すると共に底部に撒き餌および釣針の通過できる開口部を有する筒状の本体と、該本体の上部に設けられた接続部を備え、前記本体に錘作用を持たせたことを特徴とする釣魚用撒き餌具。
【請求項2】 通水部が網体または穿孔板により形成される請求項1に記載の釣魚用撒き餌具。
【請求項3】 本体の断面積がテーパー状に上方より開口部に向かって縮小される請求項1または2に記載の釣魚用撒き餌具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣魚に際して使用される撒き餌具の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】釣魚をする際には、集魚効果を高める目的で種々の形式の撒き餌具(通称撒き餌かご)が使用される。図4〜図7は従来使用されている撒き餌具の代表的なものである。図4に示す撒き餌具1は、金属網で形成されたラクビーボール状のかご2の側部に開閉蓋3を取り付け、かご2の頂部に道糸や天秤などの接続具に対するリング状の接続部4を設けると共に、底部に錘または幹糸に対するリング状の接続部5を設けたものである。
【0003】図5に示す撒き餌具1は、撒き餌を網目の間から放出拡散できる金属線のかご2の上方に道糸または天秤に接続する接続部6、下方に錘または幹糸に接続する接続部9が設けられ、かご2の上部の開閉蓋7を開いて撒き餌をかご2内に充填するようになっている。なおプラスチック製または木製の中通し玉8および8aは、接続部6および接続部9と、かご2との固着もしくはからまり防止の目的で一般に設けられることが多い。
【0004】図6に示す撒き餌具1は、プラスチック製で、一般にシャベルびしかごと呼ばれて広く使用されているものである。錘10を装備した拡大下部を有する細長い内円筒部11と通水部12を有する外円筒部13が回転嵌合方式により着脱可能に組み立てられ、内円筒部11をシャベルのようにして撒き餌を掬い内部に充填し、それを外円筒13に回転しながら嵌め込むようになっている。外円筒部13の上部は一部が開口するテーパー部とされ、そのテーパー部の外面に開口を有する回転可能部15が装着される。そして回転可能部15の回転位置を変えることにより、両開口が一致する部分に形成される開口部14の面積が調整される。収容された撒き餌は、開口部14および内円筒部11と外円筒部13の間に形成される調整可能な間隙14aの両者から放出される。そして開口部14または間隙14aを調整することにより撒き餌の放出程度を加減できる。なお撒き餌具1の頂部には道糸または天秤などを接続するためのリング状の接続部16が設けられる。
【0005】上記の各撒き餌具1は、そのかご2や内円筒部11内などに撒き餌を充填し、それらの外にある食わせ餌を付けた釣針と共に水中に沈降させるようになっている。しかしいずれの撒き餌具1も水中に沈降させる途中で撒き餌に集まる目的外の魚種(以下餌取り魚という)に食わせ餌を取られるかまたは餌取り魚が釣針に掛かることが多い。例えば真鯛やハタなどを目的魚とする場合に、目的魚が遊泳する層(以下タナという)に釣針が達する前に、そのタナより水浅に回遊するソーダカツオ、サバ、シイラ、ウマズラハギ、フグなどの餌取り魚に食わせ餌を取られたり、それら餌取り魚が釣れたりするという問題がある。
【0006】図7に示す撒き餌具1は、このような問題を回避することを目的として商品化されたものである。この撒き餌具1は上部に撒き餌に水圧をかけるための開口17および道糸や天秤などの接続具を接続するための接続部18を設けると共に、側部に切込部19aを形成したゴム製で筒状の本体19を有している。そして本体19内に撒き餌を充填し、さらに切込部19aを開いて食わせ餌を付けた釣針を内部に挿入し水中に沈降させるものである。この撒き餌具1は釣針を本体19内に挿入するので、水中を沈降させる際に餌取り魚に食わせ餌を取られたり、餌取り魚が釣れたりすることを防止できる。そして撒き餌具1が目的とする魚種の回遊するタナに達したとき、道糸を強く引っ張ることにより本体19の切込部19aが開いて内部の食わせ餌を付けた釣針が外部に放出されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし図7に示す撒き餌具1は、切込部19aの開きが不十分であったり、釣針が切込部19aに引っかかったりして、食わせ餌を付けた釣針が外部に放出されないこともしばしば起こり、確実性に欠けるという問題が残されている。そこで本発明はこのような問題を解決した新しい撒き餌具の提供を課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成する請求項1に記載の発明は、上部に水は通過するが沈降中に撒き餌が通過しない通水部を有すると共に底部に撒き餌および釣針の通過できる開口部を有する筒状の本体と、該本体の上部に設けられた接続部を備え、前記本体に錘作用を持たせたことを特徴とする撒き餌具である。
【0009】かかる撒き餌具は、本体上部の接続部を道糸または天秤などの接続具に接続し、開口部から本体内部に撒き餌および食わせ餌を付けた釣針を収容することができる。その際、通水部が内部の空気や液体の通路となるので撒き餌が容易に且つスムースに充填できる。また、撒き餌具を水中に沈降させて目的とする魚種の回遊するタナまで到達させる途中においては、本体の錘作用および道糸の上向きの張力により本体は開口部を下側にして沈降する。そして内部に収容された撒き餌は下方からの水圧で内部に安定して保持され、さらに通水部から撒き餌が外部に散逸することもない。また食わせ餌を付けた釣針は本体内に収容されているので、食わせ餌を餌取り魚に食われたり、餌取り魚が釣れたりすることがない。
【0010】そしてタナに到達した後は、道糸を僅かに上方へ引くことにより、あるいは通水部を通した水圧や水の流通により静止状態において、釣針などが本体に引っかかることなく、撒き餌および食わせ餌を付けた釣針を外部へ確実且つ円滑に放出することができる。
【0011】また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撒き餌具の実施の形態であって、通水部が網体または穿孔板により形成されることを特徴とするものである。さらに請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の撒き餌具の好ましい実施の形態であって、本体の断面積がテーパー状に上方より開口部に向かって縮小されることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面により説明する。図1は本発明の撒き餌具の1例を示す斜視図である。撒き餌具20は上部に通水部21を有すると共に底部に開口部22を有する筒状の本体23と、本体23の上部に設けられた接続部24を備えている。
【0013】本体23は内部に撒き餌および食わせ餌を付けた釣針を収容するものであり、その内容積は使用する撒き餌の量、食わせ餌の大きさ等に合わせて種々選定される。この本体23は耐蝕性のあるステンレス等の薄い金属板やプラスチック板を成形して作られた筒体25と、その外周面に積層した鉛板からなる錘26により形成されている。錘26は本体23に錘作用を付与するものであるが、そのような錘24を積層する方法としては、例えば筒体25の上下縁部を外側に折り返して掛止部を形成し、それら掛止部に筒状とした鉛板の錘26の上下を挟み込む方法が簡便である。なお圧着等により両者を一体化して積層してもよい。
【0014】このような錘作用は、特別な錘を付加しなくても撒き餌具1を所定速度で水中に沈降させるために有効であり、水の流れや深さ等、使用目的に適合した種々の重さのものが用意される。なお、本体23を肉厚なステンレス板や鉛板などを単層で使用することによっても所望の錘作用を持たせることができる。本体23の断面形状はこのような円形以外に、方形、矩形、多角形、楕円形など任意の形状とすることができる。また、本体23の側壁にも沈降中に撒き餌を通過させないが水は通過するような通水部を設けてもよい。
【0015】通水部21は、金属板やプラスチック板などの板材に複数の孔21aを穿設した穿孔板を筒体25に結合したものである。例えば前記筒体25がステンレス製である場合、通水部21を形成する材料として複数の孔21aを穿設した円形のステンレス板を使用し、その周縁を筒体25の上縁部にろう付けすることができる。また通水部21と筒体25が異種材料である場合にはカシメ等の手段により相互結合できる。さらに複数の孔21aを穿設したステンレス板材を深絞り成形して筒体25と通水部21を一体的に作ることもできる。なお、通水部21としては上記のほかに、耐蝕食性および所定の強度を有するものであれば特に材料に制限はなく、例えば複数の孔を穿設したプラスチック板や合成繊維材を使用した布帛なども使用することができる。
【0016】通水部21の孔21aは、水は通過するが沈降中に撒き餌が通過しないような直径とされる。この直径は使用する撒き餌の種類や形状、または粘性などの性状等によって適する大きさがあるので、数段階のものを標準化して用意する。なお撒き餌としてはアミ、生沖アミ、ボイル沖アミ、魚肉ミンチ、裁断魚肉、人口撒き餌、さなぎ、さなぎ粉、穀物類など一般に多用されているものから砂、泥にいたるまで広範囲のものが使用でき、それらを混合したものも使用できる。例えばさなぎ粉などの粘性の少ない粉粒体を使用するときは、適当な粘性を付与するために泥などを混合することができる。
【0017】開口部22は撒き餌および食わせ餌をつけた釣針を本体21内に収容し、タナに達したときにそれらを本体23から外部に放出するための通路となるので、撒および餌や食わせ餌などを付けた釣針が通過できる大きさに形成される。本体23の上部に、すなわちこの例では通水板21の中央部に設けた接続部24は、道糸または天秤等の接続具に簡便に接続するためリング状に形成される。この接続部24は例えば金属製のリングをカシメやろう付け、または接着等により通水板21に取付られる。
【0018】図2は本発明の撒き餌具の他の例を示す斜視図であり、図1と同じ部分には同一符号が付されている。この例は肉厚のステンレス板を筒体にして重量の大きい本体23としたもので、それ自体で筒体25と錘26を兼ねている。そして本体23の断面積は上方より開口部に向かってテーパー状に縮小されている。このようなテーパー形状とすることにより、例えば水分含有量の少ない細粒の人口撒き餌のように、粘性が低く粒相互の密着性の悪い撒き餌なども、本体23内への収容操作に際して外部にこぼれ落ちることを最小限とすることができる。また同様に水中を沈降する間に撒き餌の一部が開口部22から下方に落下することも有効に防止できる。なお、本体23の断面を上記のようにテーパー状とする代わりに、直線状の断面として開口部22の直径を本体23の断面積より所定値だけ少なくしても同様な効果を発揮することができる。
【0019】図2の通水部21は網体で形成されている。網体としては例えば耐蝕性を有するステンレス等の金網、または合成繊維、麻、強化木綿等の強度の大きい繊維材の網もしくはネット等を使用できる。このような網体はその周縁を筒体25の上縁部に巻き付けて接着または縫い付け等によって結合する。接続部24は筒体25の上縁部に両端を接続した半円状の線体24aと、その線体24aの中間部に設けられたリング状の接続体24bを有し、該接続体24bに道糸または天秤などの接続具が接続される。なお接続体24bは線体24aの中間部を円形に巻くことによって簡便に形成できる。
【0020】次に図1または図2に示す本発明の撒き餌具1の作用を説明すると、先ず接続部24を道糸または天秤などの接続具に接続し、次に開口部22を上にしてそこから本体23内に撒き餌を所定量充填する。その際、本体23内部の空気や撒き餌の水分は通水部21から外部に排出されるので充填は無理なくスムースに行われる。そして撒き餌の底面中央部に指で凹部を形成し、そこへ食わせ餌を付けた釣針を押し込んで収容し、さらにその食わせ餌の外側に撒き餌を被せる。なお食わせ餌は目的とする魚種により適宜選択されるもので、その種類は本発明の撒き餌具1の使用に際して特に制限となるものではない。
【0021】次にその状態でリールをフリーにして撒き餌具1を水中に投入しタナまで沈降させる。前記のように食わせ餌を付けた釣針は本体23内に収容されているので、沈降の途中で餌取り魚に食わせ餌を取られたり、餌取り魚が釣れることはない。また、本体23はその道糸による上方への張力と錘作用のバランスにより開口部を下側にした姿勢で沈降するが、下方からの水圧により開口部22から撒き餌や釣針が外部に散逸することがなく、上部の通水部21からの撒き餌の放出もない。そして撒き餌具1がタナに達したら静止状態とすることにより水の流れ等によって、本体23内の撒き餌および食わせ餌を付けた釣針は共に外部に放出される。その際道糸を僅かに上方へ引くことによって放出を促進することもできる。このように撒き餌と食わせ餌がほとんど同調し混在した状態で放出され拡散していくので不自然性がなく、魚の警戒感を緩め餌食いが良好となる。
【0022】図3は本発明の撒き餌具を従来の撒き餌具と組み合わせて使用する例を示す斜視図であり、図1の例と同じ部分には同一の符号が付されている。本発明の撒き餌具1は通水部に網体を使用した点を除いて図1に示したものと同一のものである。図示しない道糸に接続された天秤(片天秤)27が従来の撒き餌具1の接続部4に接続され、その撒き餌具1の他方の接続部5に本発明の撒き餌具20の接続部24が接続される。このように従来の撒き餌具1を本発明の撒き餌具20に接続することにより、異なる種類の撒き餌を併用したり、撒き餌の放出形態が一時的なタイプと継続性のあるタイプを組み合わせるような使用方法が可能になる。例えば図3のような撒き餌具1と撒き餌具20の組み合わせを使用すると、船を移動しながら釣る場合などに有効である。
【0023】
【実施例】次に本発明の撒き餌具20を使用した実施例を説明する。撒き餌具20として図2に示すものを使用した。本体23における筒体25の高さ65をmm、上部内径を50mm、開口部22の内径を40mmとした。通水部21は線径1mmのステンレス金網であって、その線密度が縦横ともに1インチあたり8本のものを使用した。この撒き餌具20の総重量は300グラム(80号に相当)であり、それを線径2mmのステンレス製で縦軸長30cm、横軸長60cmの片天秤に接続して実験した。
【0024】先ず本体23内に撒き餌のアミを約7分目程度に充填し、その底部の中央に指を押しつけて凹部を形成した。釣針はフロロカーボン製3号の8m長の鉢素に付けた子鯛針10号であり、食わせ餌として体長約30mmの生沖アミを尾部より腹部に向けて刺して腹部より針先を外に出し、生沖アミが真っ直ぐになるように装着した。次にその釣針を前記凹部に挿入し、さらに撒き餌をかぶせ指で軽く押し付けて食わせ餌が撒き餌内にスッポリと埋まるようにした。
【0025】次に天秤上部を指で持ち船縁で指を離し、リールをフリーにして途中で止めることなく撒き餌具20を当日の真鯛のタナである水深52mまで一気に海中を沈降してストップした。そして釣竿を竿掛けに掛けて待ち、約5分後にリールを巻き上げる。この操作を当日47回繰り返し行ったが、毎回撒き餌は全て放出され針素もからむことなく全く正常な釣りを行うことができた。
【0026】なお、当日は終日船の周囲をソーダカツオが群泳し、本発明の撒き餌具20を使用しない同船者5名は、終日殆ど仕掛けをタナまで到達する前にソーダカツオが釣針に掛かり、目的魚である真鯛を吊り上げ得たものは皆無であった。これに対して本発明の撒き餌具20を使用した実験者は、ソーダカツオに邪魔されることなく毎回仕掛けをタナまで到達させることに成功し、0.8〜2.2kg/匹の真鯛6枚を釣り上げた。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明の撒き餌具は、本体上部の接続部を道糸または天秤などの接続具に接続し、開口部から本体内部に撒き餌および食わせ餌を付けた釣針を収容する際、通水部から内部の空気や液体の通路となるので撒き餌が容易に且つスムースに充填される。また撒き餌具を水中に沈降させて目的とする魚種が回遊するタナまで到達させる際には、本体の錘作用および道糸の上向きの張力により本体は開口部を下側に沈降するが、内部に収容された撒き餌は下方からの水圧で内部に保持され、さらに通水部から外部への撒き餌の散逸もない。
【0028】また、食わせ餌を付けた釣針は撒き餌と共に本体内に収容されるので、タナに達するまでに食わせ餌を餌取り魚に食われたり、餌取り魚が釣れたりすることもない。そしてタナに到達した後は、道糸を僅かに上方へ引くことにより、あるいは通水部を通した水圧や水の流通により静止状態において、釣針などが本体に引っかかることなく、撒き餌および食わせ餌を付けた釣針を外部へ確実且つ円滑に放出することができる。
【出願人】 【識別番号】598144236
【氏名又は名称】加藤 正明
【出願日】 平成10年9月28日(1998.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−93059(P2000−93059A)
【公開日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【出願番号】 特願平10−288698