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【発明の名称】 釣 竿
【発明者】 【氏名】白記 貴之

【氏名】森田 篤

【要約】 【課題】竿体の軸方向のバランスが良好で、竿操作が容易に行える釣竿を提供する。

【解決手段】この釣竿は、元竿1と元竿1の穂先側に連結される竿体ユニット2とを有している。元竿1は、炭素繊維やガラス繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグ(通常プリプレグ)及び金属粉末を混入した合成樹脂を炭素繊維やガラス繊維に含浸させたプリプレグ(金属粉末混入プリプレグ)をマンドレルに巻回して焼成して得られた先細り筒状部材である。即ち、元竿1は通常プリプレグから形成される内層11と、内層11の外周に形成され金属粉末混入プリプレグからなる外層12とを有している。この釣竿では、比重の大きい金属粉末混入プリプレグによって釣竿全体の重心位置が竿元側に移動して竿操作が容易になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属粉末を混入した合成樹脂を強化繊維に含浸させたプリプレグからなる部分を少なくとも竿元側の一部に有する竿体を備えた釣竿。
【請求項2】前記竿体は竿元側端部に配置された竿元グリップと、前記竿元グリップの穂先側に設けられリールを脱着自在に固定可能なリールシートとを有し、前記リールを前記リールシートに装着した状態において、釣竿の軸方向の重心位置が前記リールシートより竿元側に位置する、請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】前記金属粉末は、チタン,タングステン,鉛,鉄またはこれらの合金からなる群より選択される金属の粉末である、請求項1または2に記載の釣竿。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は魚釣りに用いる釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の釣竿は、竿体と、竿体の竿元側端部に設けられたグリップと、グリップの穂先側に形成されリールを脱着自在に固定可能なリールシートとを有している。従来の釣竿の竿体は、軽量化を図りまた機械的強度を向上させるべく、炭素繊維またはガラス繊維等の繊維材を同一方向に引き揃え合成樹脂を含浸させて形成されたシート状のプリプレグをマンドレルに巻回し、これを焼成して製造される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の釣竿の竿体は、竿体全体の軽量化を図るあまり釣竿全体の軸方向のバランスが崩れがちである。例えば、グリップを把持してキャスティング等の動作を行う場合に、釣竿の重心が穂先側に偏って把持したグリップ部分が不自然に重たく感じる現象(「持ち重り」と呼ばれる現象である)等が生じる場合がある。
【0004】このような持ち重りを解消すべく、釣竿の竿体の竿元側に錘を取り付けた釣竿が知られている。しかし、竿体とは別に錘を取り付けると錘を取り付けた部分に応力集中が生じ、竿体が破損する恐れがある。また、竿の調子も低下してしまう恐れもある。本発明の課題は、竿体の軸方向のバランスが良好で、竿操作が容易に行える釣竿を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明1にかかる釣竿は、金属粉末を混入した合成樹脂を強化繊維に含浸させたプリプレグからなる部分を少なくとも竿元側の一部に有する竿体を備えている。この場合には、金属粉末が混入されているプリプレグから竿体の少なくとも竿元側の一部が形成されている。金属粉末が混入されたプリプレグは金属粉末が混入されていないプリプレグより比重が大きく、釣竿の重心が竿元側に移動する。この結果、持ち重り等が解消されキャスティング等の竿操作が容易になる。
【0006】また、金属粉末は竿体を形成するプリプレグ自体に混入されており、別部材として竿体に取り付けられるものではないので、竿の調子を損なうことはなく、さらに、従来同様に製造可能であり特に製造工程が複雑化することもない。発明2にかかる釣竿は、発明1の釣竿であって、竿体は竿元側端部に配置された竿元グリップと、竿元グリップの穂先側に設けられリールを脱着自在に固定可能なリールシートとを有している。そして、リールをリールシートに装着した状態において、釣竿の軸方向の重心位置がリールシートより竿元側に位置する。
【0007】この場合には、竿体の竿元側が釣竿の軸方向の重心位置がリールシートより竿元側に位置するように、金属粉末が混入されたプリプレグから竿体の竿元側が形成されるので、持ち重り等が解消されキャスティング等の竿操作が容易になる。発明3にかかる釣竿は、発明1または2の釣竿であって、金属粉末は、チタン,タングステン,鉛,鉄またはこれらの合金からなる群より選択される金属の粉末である。
【0008】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
(全体の構成)本発明の第1実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1の穂先側に並継形式に連結された複数の竿体ユニット2と、元竿1の竿元側端部に固定された竿元グリップ3と、竿元グリップ3の穂先側に固定された前グリップ4と、竿元グリップ3と前グリップ4との間に形成されリール5を脱着自在に固定可能なリールシート6とを有している。また、元竿1及び竿体ユニット2にはリール5からの釣糸Lを挿通可能な釣糸ガイド7が所定の間隔を隔てて複数設けられている。そして、リール5からの釣糸Lは順次釣糸ガイド7を通って、穂先側に導かれる。
【0009】元竿1は、後に詳しく説明するように、炭素繊維やガラス繊維に合成樹脂を含浸させたプリプレグ(以下、「通常プリプレグ」という)及び金属粉末を混入した合成樹脂を炭素繊維やガラス繊維に含浸させたプリプレグ(以下、「金属粉末混入プリプレグ」という)をマンドレルに巻回して焼成して得られた先細り筒状部材である。図2に示すように、通常プリプレグから形成される内層11と、内層11の外周に形成され金属粉末混入プリプレグからなる外層12とを有している。一方、竿体ユニット2は、それぞれ通常プリプレグをマンドレルに巻回して焼成して得た部材である。
【0010】竿元グリップ3は元竿1の竿元側端部に固定された蓋付円筒形部材である。例えば、EVA,ポリウレタン等の合成樹脂やコルク材等の多孔質材から形成され、所定の形状に形成された後に元竿1の竿元側端部にはめ込まれて接着剤等で固定される。また、前グリップ4も竿元グリップ3同様に所定の合成樹脂等で形成され、元竿1に固定されている。
【0011】リールシート6はチタン合金,アルミニウム合金等の金属で成型され元竿1の所定の位置に固定されている。リール5の脚部を載置した状態でリール5の脚部を脱着自在に固定可能である。
(元竿1の製造方法)この元竿1は以下のようにして製造される。
【0012】まず、図3及び図4に示すように、先細りのテーパが形成された棒状部材であるマンドレル100の外周にワックス等の離型剤Pを必要に応じて塗布する。この離型剤Pの外周面に必要に応じてポリプロピレン等からなる離型テープ110を巻回する。続いて、離型テープ110の外周面に、圧をかけながら複数のプリプレグ121〜124を順次巻回する。このプリプレグ121は同一方向に引き揃えた炭素繊維Cに合成樹脂を含浸させたシート状のプリプレグ(通常プリプレグ)を細いテープ状にしたものであり、プリプレグ122〜124は炭素繊維Cを同一方向に引き揃えて、チタン金属粉末Mを混入した合成樹脂を含浸させたシート状のプリプレグ(金属粉末混入プリプレグ)シートである。この炭素繊維Cはその径が5〜50μm程度のものが好ましく、また、チタン金属粉末Mは粒径10〜25程度の粉砕物が好ましい。ここで、最も内側に巻回される第1プリプレグ121は、テープの長さ方向に炭素繊維Cが配向されたものを用いて形成され、マンドレル100の周方向に炭素繊維Cが配向されるように螺旋状に圧をかけながらマンドレル100に巻回される。また、第2プリプレグ122〜第4プリプレグ124は、マンドレル100の軸方向に炭素繊維Cが配向されたものであり、第1プリプレグ121の外周に順次巻回される。
【0013】このようにして4層(必要に応じてさらに複数のプリプレグを巻回してもよい)のプリプレグ121〜124を巻回した後、さらにその外周に成型テープ111をかけながら巻回する。このようにして竿素材を成型し、これを焼成する。その後、マンドレル100を抜き取り、保護用テープや離型テープ110,成型テープ111を順次剥離する。そして、両端を所望の長さに切りそろえ、表面を平滑に研磨しさらに必要な塗装を施して元竿1を製造する。その後、竿元グリップ3,前グリップ4や釣糸ガイド7等を所定の箇所に固定して釣竿を製造する。なお、これらのプリプレグ121〜124は焼成後一体化して元竿1を形成するが、図においては各プリプレグを別体として示している。
【0014】このように構成された釣竿では、チタン金属粉末Mが混入されている金属粉末混入プリプレグ122〜124及び通常プリプレグ121から元竿1が形成されている。この金属粉末混入プリプレグ122〜124は通常プリプレグより比重が大きく、釣竿の全体の重心が竿元側に移動する。この結果、持ち重り等の現象が解消されキャスティング等の竿操作が容易になる。また、チタン金属粉末Mは元竿1を形成するプリプレグ122〜124自体に混入されており、別部材として元竿1に取り付けられるものではないので、竿の調子を損なうこともない。さらに、従来同様に製造可能であり製造が容易である。
【0015】なお、持ち重りを効率的に解消するためには、リール5をリールシート6に取り付けた状態において、釣竿の軸方向の重心位置がリールシート6より竿元側に位置するように、金属粉末混入プリプレグ122〜124を用いるのが好ましい。
[第2実施形態]以下、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】本発明の第2実施形態を採用した釣竿の元竿51は、後に詳しく説明するように、通常プリプレグ及び金属粉末混入プリプレグをマンドレルに巻回して焼成して得られた先細り筒状部材である。図5に示すように、通常プリプレグから形成される内層21と、内層21の外周の竿元側に形成され、金属粉末混入プリプレグからなる第1外層22と、内層21の外周の穂先側に形成され、通常プリプレグからなる第2外層23とを有している。
【0017】なお、その他の構成は第1実施形態と同様であり説明を省略する。この元竿1は以下のようにして製造される。まず、図6に示すように、先細りのテーパが形成された棒状部材であるマンドレル100の外周にワックス等の離型剤Pを必要に応じて塗布する。この離型剤Pの外周面に必要に応じてポリプロピレン等からなる離型テープ110を巻回する(図4参照)。
【0018】続いて、離型テープ110の外周面に、圧をかけながら複数のプリプレグを順次巻回する。最内に巻回する第1プリプレグ131は同一方向に引き揃えた炭素繊維Cに合成樹脂を含浸させたシート状のプリプレグ(通常プリプレグ)を細いテープ状にしたものである。この第1プリプレグ131は、テープの長さ方向に炭素繊維Cが配向されたものを用いて形成され、マンドレル100の周方向に炭素繊維Cが配向されるように螺旋状に圧をかけながらマンドレル100に巻回する。
【0019】次に、第1プリプレグ131の外周に、竿元側に第2プリプレグ132が配置され穂先側に第3プリプレグ133が配置されるようにして、第2プリプレグ132及び第3プリプレグ133を巻回する。この第2プリプレグ132は炭素繊維Cを同一方向に引き揃えて、チタン金属粉末Mを混入した合成樹脂を含浸させたシート状のプリプレグ(金属粉末混入プリプレグ)シートである。また、第3プリプレグ133は、マンドレル100の軸方向に配向された炭素繊維Cに合成樹脂を含浸させたもの(通常プリプレグ)である。
【0020】さらに必要に応じて第2プリプレグ132及び第3プリプレグ133の外周に通常プリプレグまたは金属粉末混入プリプレグを巻回し、その外周に成型テープ111(図4参照)を巻回する。このようにして竿素材を成型しこれを焼成する。その後、マンドレル100を抜き取り、保護用テープや離型テープ110,成型テープ111を順次剥離する。そして、両端を所望の長さに切りそろえ、表面を平滑に研磨しさらに必要な塗装を施して元竿1を製造する。
【0021】このように構成された釣竿では、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
[他の実施形態]
(a)金属粉末Mはチタン金属の他に、例えば、タングステン,鉛,スズ,鉄またはこれらの合金等を用いることができる。また、炭素繊維Cに代えて、ガラス繊維やボロン繊維またはチタン金属等からなる金属繊維を用いてもよい。
(b)元竿1を、炭素繊維等に金属粉末を混入した合成樹脂を含浸させたプリプレグ(金属粉末混入プリプレグ)からのみ形成してもよい。または、図7に示すように、元竿1の竿元側端部に補助プリプレグとして、金属粉末混入プリプレグを用いて竿体を形成してもよい。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、炭素繊維等に金属粉末を混入した合成樹脂を含浸させて得たプリプレグを竿体の竿元側に用いているので、竿体の軸方向のバランスが良好で、竿操作が容易である。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成10年9月14日(1998.9.14)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2000−83518(P2000−83518A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−260163